JP2009096419A - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回時における横グリップの向上と、ショルダー部のトレッド摩耗の防止及び左,右の摩耗の均一化を実現するとともに、実車におけるトレッドの発熱を確保することのできる二輪車用空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド表面層15aのゴムを、tanδの大きさが比較的大きい高損失ゴムとするとともに、左,右のショルダー部16のトレッドの内層に、tanδが上記高損失ゴムのtanδよりも小さな異種ゴムから成る、幅W1,W2がトレッド展開幅の5%〜25%の範囲にあり、そのトレッド端部15z側の端部の位置がトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の5%〜14%の範囲にあり、センター部17側の端部の位置がトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の15%〜30%の範囲にあり、その厚さD1,D2がトレッド全体の厚さの20%〜70%である左,右の異種ゴム層15b,15cを配置した。
【選択図】図1

Description

本発明は、二輪車用空気入りタイヤに関するもので、特に、左,右の旋回頻度が異なって使用される二輪車用空気入りタイヤにおける旋回時の走行安定性能の向上と、ショルダー部のトレッド摩耗の防止及び左,右の摩耗の均一化に関する。
自動二輪車用のタイヤは、車体を傾けて旋回するという特徴がある。そのため、車体の傾きによって、路面に接地するタイヤの部分が移動する。つまり、直進時にはタイヤセンター部を使用し、旋回時にはタイヤのショルダー部を使用するという特徴がある。
また、直立時は速度が高く、制動力や駆動力といった前後方向(タイヤの赤道方向)の力が加わるが、車体を傾けた旋回時には大きな横力が加わるため、タイヤのショルダー部には上記横力に対応する高い横グリップが求められる。すなわち、二輪車を速く旋回させるには、旋回速度の大きさに伴って大きくなる遠心力と釣り合わせるために、車体を大きく倒す必要があり、更に、その遠心力に対向できるようにタイヤが路面にグリップできなければならない。
つまり、車体を大きく傾けたとき、タイヤのグリップが不足する場合には、速く旋回できないことになるため、ショルダー部のグリップが旋回性能に及ぼす影響は非常に大きい。そこで、タイヤのショルダー部に対しては、グリップの高いゴムを用いている。
また、タイヤのセンター部に対しては、市販のタイヤでは直進走行の頻度が高いため、耐摩耗性の高いゴムを用いることが多い。一方、レースや競技用のタイヤにおいては、直進時の速度が非常に高いため、発熱しにくいゴムをトレッドセンター部に配置したり、トレッドセンター部を二重構造として、内部に発熱しにくいゴムを、外部にグリップの高いゴムを配置したりするなどの工夫がなされている。
トレッドの発熱は、タイヤのショルダー部でも問題になる。この発熱はゴムに繰り返し加わる歪みが大きいほど大きく、タイヤの回転速度が速いほど大きい。特に、バイクレースはもとより、一般消費者でも激しいライディングを行ったときには、タイヤのショルダー部に大きな入力が加わるだけでなく、車体が比較的速い速度で旋回することから、ショルダー部のトレッドゴムの発熱が大きい。
ゴムは発熱すると軟化する性質があるため、ゴムが軟化してトレッド剛性が低下することで旋回性能が低下したり、ショルダー部の摩耗が進んだり、ショルダー部のゴムが劣化したりする。
一方、ゴムの特性として、損失正接(tanδ)は、ゴムが路面をグリップするときの力 (もしくは、ゴムと路面との間の摩擦係数) の大きさに非常に大きな意味を持つ。tanδが大きなゴムは、ゴムの変形に伴うエネルギーロスが大きくグリップが高い。しかし、エネルギーロスが大きいために、繰り返し変形をした場合にゴム自体が発熱しやすいといった特性がある。また、発熱したゴムは柔らかくなる特性があり、タイヤのトレッドゴムの発熱があまりに大きくなると、トレッドの剛性が低下して操縦安定性能が悪化することがある。つまり、tanδの大きいゴムはグリップが優れている反面、発熱しやすく、繰り返し使用した場合にゴムが柔らかくなりやすい。
特に、バイクレースや、一般消費者でも激しいライディングを行ったときには、走行中にショルダー部のトレッドゴムが発熱して旋回性能が低下するだけでなく、発熱によってゴムが柔らかくなってトレッド剛性が低下し、タイヤが滑りやすくなる。その結果、ショルダー部の摩耗が進んだり、ショルダー部のゴムが劣化したりする。
従来の二輪車用タイヤでは、タイヤショルダー部のゴムについては、グリップを向上させることを中心に、グリップの高い、すなわち、摩擦係数が大きくなるゴムである、損失正接(tanδ)の大きいゴムが主に使用されていた。例えば、特許文献1には、タイヤショルダー部については、グリップ性を確保するため、tanδが0.4〜0.8であるゴムを使用し、タイヤのセンター部については、低燃費製を確保するため、tanδが0.05〜0.3であるゴムを使用した二輪自動車用タイヤが示されている。また、特許文献2には、タイヤショルダー部には幅広の平板状ゴムを一周巻にした一周巻き体を用い、タイヤショルダー部には幅狭長尺のゴムストリップを周方向にかつ螺旋状に巻いたものを用いるとともに、タイヤショルダー部についてはtanδが0.2〜0.4の範囲のゴムを配置し、タイヤのセンター部については、tanδがタイヤショルダー部のゴムのtanδの80%以下であるゴムを配置した二輪車用タイヤが示されている。
一方、自動二輪車のレースが行われるサーキットでは、右旋回と左旋回の頻度がほぼ同じであるようなサーキットだけでなく右旋回と左旋回の頻度が異なるサーキットもある。図6(a)は、右旋回と左旋回の頻度がほぼ同じサーキットAでのサーキット1周のバンク角度(キャンバー角度)の使用頻度をグラフ化したもので、縦軸はサーキットを1周する時間に対して、どのぐらいの時間割合でそれぞれのキャンバー角度が使用されているかを%で示したもので、図6(b)は右旋回と左旋回の頻度が異なるサーキットBのグラフである。例えば、左回りのサーキット(反時計回りのサーキット)では、図6(b)に示すように、左回りのコーナーが多くなり、右回りのサーキット(時計回りのサーキット)では右回りのコーナーが多くなる。なお、タイヤの左,右は二輪車に装着したときに、車両の進行方向を前方としたときの方向をいう。
また、コーナーの形状によっては、速い速度で旋回できるいわゆる高速コーナーが右旋回ばかりで、遅い速度の低速コーナーが左旋回ばかりというコースもある。速度の速いコーナーを旋回する際には遠心力も大きく、タイヤに対する入力も厳しい。そのため、高速コーナーでタイヤの摩耗が進みやすい。また、高速コーナーは入力が厳しく回転速度も速いことから、ゴムが発熱しやすい。
このように、サーキットによっては、右旋回と左旋回で求める性能が違う場合がある。
特開昭60−94804号公報 特開2006−256385号公報
しかしながら、上記従来の二輪車用タイヤのように、タイヤショルダー部にtanδの大きなゴムを配置した場合には、初期状態においては十分なグリップを確保できるものの、ゴムが発熱しやすいため、操縦安定性能やショルダー部の耐摩耗性能に問題がある。更に、繰り返しの使用によりショルダー部の摩耗が進んだり、ショルダー部のゴムが劣化したりすると、グリップが低下してしまうといった問題点があった。
そこで、上記ショルダー部の発熱を抑制することが考えられるが、同じショルダー部でもトレッド端部側に近い側(後述するA領域)は車体の倒れが最大に近い(CA;キャンバー角が45度〜55度)ときにしか使用しないので、この部分の発熱まで抑えてしまうと、実車ではゴムの温まりが足りなくなって十分なグリップが確保できず、操縦安定性能が低下してしまうといった問題が発生する。
また、二輪車用のタイヤが右旋回と左旋回の頻度が異なるように使用される場合には、使用頻度の多い側のショルダー部の摩耗が早期に進むため、十分なグリップが得られないだけでなく、ショルダー部の左,右の摩耗が均一でなくなるため、タイヤの寿命が短くなってしまうといった問題点がある。
以下に、タイヤショルダー部にtanδの大きなゴムを配置した場合の問題点について詳細に説明する。
自動二輪車用のタイヤでは、車体を大きく倒した場合の旋回性能は、タイヤトレッドの片側の端部が接地したときに発生するグリップに依存する。図7は、タイヤ50がキャンバー角(以下、キャンバーアングルとしてCAと記す)50度で接地して回転しているときの断面を示す図で、CAはタイヤ50の縦断面において、車輪中心線CLと路面60に垂直な方向であるZ軸との成す角である。
二輪車が車体を大きく倒して旋回する場合、すなわち、タイヤ50のCAが45度〜50度である場合、タイヤ50のトレッド51の全幅(トレッド幅)のほぼ1/4が接地する。この接地している1/4の領域を3等分し、トレッド端部側に近い方から領域A、領域B、領域Cとし、各領域におけるタイヤ50の幅方向断面でのトレッド51の変形を考える。これは、トレッド変形によってタイヤ50に横力が発生するからで、トレッド51の横方向の変形によりキャンバースラスト(横力)が発生する。
なお、CA50度で接地して回転しているときには、トレッドの接地形状は楕円の一部が欠けた形状であったり、半月形であったりする。
ここで、接地面の中心の領域である領域Bのトレッド幅方向の変形について述べる。
領域Bのトレッド表面、すなわち、路面に接する点をQ点とし、このQ点の内側でトレッド最深部に位置する点をP点とすると、タイヤ50の接地転動時には、上記路面60に接するQ点はトレッド51の表面が路面60に接触したとき路面60に固定され、同図の紙面に垂直な方向である路面60の延長方向、すなわち、タイヤ50の進行方向に沿って直線的に動く。一方、トレッド最深部の点であるP点は、タイヤ50がCAを付けて傾いて転動するため、弓なりの曲線を描く(同図のP→P’→Pで示した直線は、上記曲線の正射影で、同図の右側が車体側で、左側が車体外側である)。このようなP点とQ点の動きの差によって、トレッド51は車体外側方向に横剪断力を受ける。また、この横剪断力が最大になるのは、上記Q点が荷重直下、すなわち、接地面のタイヤ周方向中心に位置したときである。このような横剪断力によりトレッド51が横変形を受けることにより、タイヤ50には上記横剪断力とは反対の方向の力、すなわち、車体側にキャンバースラスト(横力)が発生し、これが旋回時の横グリップとなる。
このような、キャンバースラストの発生の仕組みから、接地長(接地形状の周方向=赤道方向の長さ)が長い方が上記P点と上記Q点との軌跡の差が広がるので、トレッド51が大きく剪断される。逆に、接地長が短いと、トレッド51の剪断量(横方向=タイヤ幅方向の剪断)は少ない。
接地形状が楕円の一部が欠けた形状である場合には、上記3つの領域では、接地長は領域Bが最も長く、次いで領域Aが長く、C領域が最も短い。したがって、領域Bが最も大きな剪断を受け、次いで領域Aで剪断が大きく、領域Cの剪断は少ない。一方、接地形状が半月形である場合には、領域Aと領域Bとがほぼ同じ接地長で長く、領域Cでは接地長が短いので、領域Aと領域Bとで大きな剪断を受け、領域Cの剪断は少ない。
つまり、CAが45度〜50度の大CA時の剪断では、領域Aや領域Bが横力を大きく稼ぐ部位である。
自動二輪車の傾き角(バンク角、もしくは、CA)を観察すると、自動二輪車はCAが45度〜50度以上には倒れない。つまり、領域Aは自動二輪車が最大角度で傾いたときのみ接地する領域である。また、領域Bについても、自動二輪車が大きく傾いたときを中心に使われる。一方、領域Cは、自動二輪車が大きく傾いてからやや傾きが戻った時、すなわち、CAが40度近辺で主に使われる領域である。つまり、領域Cは、自動二輪車を傾けていく過程で使い、更に大きく倒したときにも使うだけでなく、更に、自動二輪車を加速させて直立させる過程でも使う。特に、摩耗の大きいリアタイヤについて考えると、この領域Cは、自動二輪車を大きく倒して、そこから加速するときに使う領域である。
自動二輪車はCAが40度近辺で大きな駆動力を伝えることが多いため、上記領域Cは、加速時の前後方向の駆動入力と横方向の横入力の両方を頻度高く受ける領域であるといえる。その結果、この領域Cがトレッド摩耗の最も進む部位となる。
一方、上記のように、トレッドゴムのtanδが大きいとエネルギー損失が大きく、グリップは大きくなるが、発熱も大きい。発熱してしまうゴムが柔らかくなるため、トレッドゴムの厚い二輪車用タイヤにおいては、トレッドゴムの横剪断剛性が低下してしまう。その結果、操縦安定性能が損なわれるだけでなく、滑りが増加するので、摩耗が促進するといった問題点が発生する。
二輪車用タイヤでは、旋回時にグリップが必要なため、タイヤのショルダー部にtanδが大きいゴムを配置することが普通であるが、CAが45度〜50度の高速回転の頻度が多いと、タイヤのショルダー部が発熱して上記の弊害が起こる。特に、高速で旋回するバイクレースのような厳しい使用状態では、歪の繰り返し変形が高周波で与えられるため、発熱が極めて大きく、トレッド表面の温度が120℃を超える場合もある。このような条件下では、tanδが大きいゴムほど発熱が大きくなり、繰り返しの使用でトレッドゴムが異常に加熱されてゴムが軟化する。これにより、トレッドの剪断剛性が低下して操縦安定性能が悪化するばかりか、摩耗が促進されることになる。更に、トレッドが高温になると、トレッド部のゴムが劣化しやすくなる。厳しい入力の高速走行を含むバイクレースでは、トレッドの温度が高くなりすぎると、ゴム中に気泡ができ、この気泡から亀裂が進展してトレッドゴムの一部が脱落する場合もある。
トレッドゴムの軟化は、二輪車用のタイヤの場合致命的である。二輪車用タイヤではキャンバースラストで横力を発生させる。キャンバースラストは、図7のP点とQ点との軌跡で示したように、横剪断変位が決まっている。つまり、タイヤ寸法とタイヤのCAとが決まると、ベルトの軌跡が幾何学的に決まってしまい、P点とQ点の軌跡が最大に離れる距離がトレッドを横に剪断できる量となる。以上の特徴的なベルト挙動から、トレッドゴムの弾性率が低下すると、同じ変位が与えられたときの反力が低下することになる。すなわち、トレッドゴムが発熱して柔らかくなると、同じ変位を与えたときのゴムの反力が低下するので、タイヤが発生する横力が低下することになる。
このようなことから、トレッドゴムは発熱を抑制しながら、最大のグリップを出せることが必要である。すなわち、高いグリップを発生させるためにはtanδの大きなゴムが適しているが、発熱を抑制してトレッドゴムの軟化を防ぐためにはtanδの小さなゴムがよいことになる。
また、トレッドの周方向の変形も車体側の領域である領域Aと車体外側の領域である領域Cとでは異なっている。これは、領域Cがトレッドのセンター寄りにあり、領域Aがトレッド端部側にあるため、上記領域Cと領域Aとではベルトの速度が異なるからである。
二輪車用タイヤの特徴は、乗用車用タイヤに比べて、幅方向断面に大きな丸みを持っていることで、そのため、回転軸からベルトまでの距離であるベルト半径Rが領域Aでは小さく、領域Cでは大きい。すなわち、図7に示す領域Cでのベルト半径RCは、領域Aのベルト半径RAよりも大きい。したがって、ベルト速度、つまりトレッドが路面に接触してから、タイヤの回転が進み、トレッドが地面を離れるまでのベルト速度は領域Cの方が速い。これは、ベルト半径にタイヤの回転角度をかけたものがベルトの速度になるからであり、タイヤの回転速度は領域Aも領域Cも同じだからである。このベルトの周方向の速度差により、タイヤのセンター寄りの領域Cではトレッドがドライビング状態であり、タイヤのトレッド端寄りの領域Aではブレーキング状態である。ドライビングとは、タイヤを赤道方向に沿って輪切りにした場合に、そのトレッド変形が、トレッド内面(タイヤ内部の骨格部材に接している面)がタイヤ進行方向後方に剪断され、路面に接地しているトレッド表面がタイヤ進行方向前方に変形している剪断変形であり、ちょうど、タイヤに駆動力をかけたときに起こる変形である。一方、ブレーキングはドライビングの逆であり、トレッド変形はタイヤ内部側が前方に剪断され、路面に接地しているトレッド表面がタイヤ進行方向後方に変形している剪断変形であり、制動したときのタイヤの動きとなる。
このような周方向の変形は、タイヤが駆動力も制動力も受けずに、遊輪状態で転がるだけで発生する。そして、この周方向剪断変形によって、領域Aと領域Cとでタイヤが路面から滑りやすくなり、摩耗が進む。また、上記トレッドの周方向の変形は、トレッド表面が路面に接してから、タイヤの回転に伴って徐々に増加して行く。そして、蹴り出し(トレッドが路面から離れること)直前にトレッドの周方向の変形は最大となる。蹴り出し時に接地圧が弱くなると、トレッドが路面から滑るため、摩耗が発生する。このような旋回中の余計な変形は、タイヤショルダー部に偏摩耗を起こしやすいので、ないほうがよい。また、このような余計な周方向動きはタイヤが1回転するたびに繰り返される。このため、ゴムに周期的な変形が加わることになり、ゴムが発熱しやすくなる。この周方向の動きは、横方向のグリップには全く寄与しない無駄な動きであり、この変形によってゴムの発熱を促進し、また、ゴムの摩耗も促進させる。
特に、横グリップを高めるために、タイヤのショルダー部にtanδの大きなゴムを用いた場合には、横方向の変形だけでなく、上記周方向の無駄な変形によっても発熱が促進されてしまうといった問題がある。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、二輪車用空気入りタイヤの旋回時における横グリップの向上と、ショルダー部のトレッド摩耗の防止及び左,右の摩耗の均一化を実現するとともに、実車におけるトレッドの発熱を確保することのできる操縦安定性能に優れた二輪車用空気入りタイヤを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本願の請求項1に記載の発明は、ベルト層とこのベルト層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドゴムとを備えた二輪車用空気入りタイヤであって、左,右のショルダー部のトレッドゴムはタイヤ径方向内側にそれぞれ異種ゴム層を備えており、これらの異種ゴム層は、幅がトレッド展開幅の5%〜25%の範囲にあり、トレッド端部側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の5%〜14%の範囲にあり、トレッドセンター側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の15%〜30%の範囲にあり、ゴムの損失正接(以下、tanδという)が当該異種ゴム層よりもタイヤ径方向外側にあるゴムのtanδよりも小さいゴムから成る異種ゴム層であり、かつ、左,右の異種ゴム層のゴムのtanδが互いに異なっていることを特徴とするものである。これにより、横グリップを確保することができるとともに、ショルダー部の発熱を抑制することができるので、旋回性能に優れるとともに、操縦安定性能及び耐摩耗性能にも優れた二輪車用タイヤを得ることができる。上記異種ゴム層の幅をトレッド展開幅の5%〜30%の範囲とし、上記異種ゴム層を配設するときに両端部の位置を、トレッド端部から測ってトレッド展開幅の5%〜14%の範囲とトレッド展開幅の15%〜30%の範囲にしたのは、使用頻度の高い領域Bと領域C(図7参照)における発熱を適正に抑制するとともに、使用頻度の低い領域Aで温度が下がりすぎてグリップが低下することを防ぐことができるようにしたためである。
ここで、左側の異種ゴム層のゴムのtanδと右側の異種ゴム層のゴムのtanδとを互いに異なる値としたので、このタイヤを右旋回と左旋回の頻度が異なる二輪車用タイヤに適用すれば、ショルダー部の左,右の摩耗を均一化でき、タイヤの寿命を延ばすことができる。なお、使用頻度の高い側に配置される異種ゴム層にtanδの小さいゴムを使用することはいうまでもない。
また、上記異種ゴム層の幅をトレッド展開幅の5%〜30%の範囲としたのは、少なくとも最大CA時に接地する領域A(図7参照)での発熱を抑制するとともに、温度が下がりすぎてグリップが低下することを防ぐことができるようにしたためである。
なお、トレッドゴム、ベルト層、ゴム層等の「幅」とは、タイヤの縦断面(トレッド幅方向断面)において、トレッド表面の曲面に沿った長さを指し、「厚さ」はタイヤ径方向に沿った長さを指す。また、「トレッド展開幅」は、幅方向に丸みを持つトレッドを展開して平面にしたときの、一方の端部から他方の端部までの長さであって、上記トレッド表面の曲線に沿って測定したトレッドの一方の端部から他方の端部までの長さに等しい。
また、上記tanδはゴム材料が変形する際にどのぐらいエネルギーを吸収するか(熱に変えるか)を示す値で、一般には、動的粘弾性測定装置を用いて測定される。例えば、周波数15kHz、歪5%の正弦波の変位をゴムサンプルに加え、そのときの反力を測定して求める。本発明においては、動的粘弾性測定装置を用いて、温度50℃、周波数15kHz、歪5%でtanδを測定した。また、自動二輪車用タイヤでも競技用のタイヤの場合は、ショルダー部のトレッド温度は100℃を超える場合もあるので、目的に応じて100℃でのtanδを測定し、これを本発明のtanδとしている。一般の消費者向けのタイヤでは50℃でのtanδを用いることが好ましく、競技用のタイヤでは、100℃でのtanδを用いることが好ましい。
請求項2に記載の発明は、左,右のショルダー部のトレッドゴムのタイヤ径方向内側に設けられたtanδの小さなゴムから成る異種ゴム層の厚みを左,右で異なるようにしたもので、tanδが同じであっても、厚みを左,右で異なるようにすることにより、トレッドゴムの発熱量をコントロールすることができる。すなわち、使用頻度の高い側に配置されるtanδの小さなゴムの厚さを厚くすることにより発熱を防止し、使用頻度の低い側に配置されるtanδの大きなゴムの厚さを薄くすることによりグリップを稼ぐとともに少ない入力でトレッドが発熱しやすいようにすることができる。したがって、このようなタイヤを右旋回と左旋回の頻度が異なる二輪車用タイヤに適用すれば、左,右の異種ゴム層のゴムのtanδを変えた場合と同様に、ショルダー部の左,右の摩耗を均一化でき、タイヤの寿命を延ばすことができる。
また、請求項3に記載の発明は、上記異種ゴム層の幅を左,右で異なるようにしたもので、上記の厚みを左,右で異なるようにした場合と同様に、トレッドゴムの発熱量をコントロールすることができる。すなわち、tanδの小さいゴムの幅を広くすればトレッド全体の発熱量は少なくなる。一方、tanδの小さいゴムの幅を狭くすれば、トレッド全体の発熱量は大きくなる。したがって、使用頻度の高い側に配置されるtanδの小さいゴムの幅を広くし、使用頻度の低い側に配置されるtanδの小さいゴムの幅を狭くすれば、上記左,右の異種ゴム層のゴムのtanδ、もしくは、厚みを変えた場合と同様に、ショルダー部の左,右の摩耗を均一化でき、タイヤの寿命を延ばすことができる。
請求項4に記載の発明は、上記tanδの小さいゴムから成る異種ゴム層を左,右いずれか一方のショルダー部のみに配置したものである。これは、上記請求項1〜3で、その左,右差を極端にしたものに相当する。すなわち、使用頻度の差が極端な場合には、このように、異種ゴム層を左,右いずれか一方のショルダー部のみに配置するようにすれば、ショルダー部の左,右の摩耗を均一化でき、タイヤの寿命を延ばすことができる。すなわち、使用頻度の極端に低い側にはtanδの小さいゴムを配置しないようにして、トレッドが温まりやすいようにする。これにより、使用頻度の極端に低い側は少ない入力でもすぐに発熱して適正な温度に到達させることができるとともに、使用頻度の極端に高い側の発熱を防止することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、上記異種ゴム層の厚さをトレッドゴムの厚さの20%〜70%の範囲としたもので、これにより、十分な発熱抑制効果を得ることができるとともに、過剰な発熱抑制によるグリップの低下を防ぐことができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、上記トレッドゴムのトレッド端とトレッド端から測ってトレッド展開幅の10%の位置までの間の平均的なトレッドゴムの厚さを、トレッド端から測ってトレッド展開幅の10%の位置から25%の位置までの間の平均的なトレッドゴムの厚さよりも薄くしたものである。これにより、tanδの小さいゴムの効果に加えて、トレッド端部側の剛性を維持する効果を更に高めることができるので、旋回性能や操縦安定性能を更に向上させることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッドセンター部には複数のゴム層がタイヤ径方向に積層されており、内部のゴム層の少なくとも一層のゴムのtanδは、トレッド表面に配置されているゴムのtanδよりも小さいことを特徴とするものである。これにより、トレッドセンター部においてもゴムの発熱を抑制できるので、直進時の駆動、制動特性についても向上させることができる。なお、トレッドセンター部とはトレッドの中央部に位置し、その幅がトレッド全幅(トレッド展開幅)の25%程度の領域であり、トレッドの自動二輪車が直立しているときに路面に接している部分に相当する。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッドセンター部のトレッド表面に配置されているゴムと上記異種ゴム層のタイヤ表面側に隣接するゴムとが連続的に繋がっていることを特徴とするものである。これにより、トレッドを形成するゴム種を少なくできるので、タイヤの製造を効率よく行うことができる。
請求項9に記載の発明は、請求項7または請求項8に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッドセンター部の最内層のゴム層がトレッド端部側まで延長されており、かつ、上記延長された部分が異種ゴム層の径方向内側に隣接して配置されていることを特徴とするものである。これにより、トレッド前面で内部の発熱を抑制することができるとともに、上記最内層のゴム層のゴムのtanδと上記異種ゴム層のゴムのtanδを調整することで、ショルダー部の発熱量を調整することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッドセンター部の最内層のゴム層のゴムは上記異種ゴム層のゴムと同じであり、かつ、上記最内層のゴム層と上記異種ゴム層とが連続的に繋がっていることを特徴とするものである。これにより、tanδの小さいゴム層についてもゴム種を少なくできるので、タイヤの成型を更に効率よく行うことができるだけでなく、異種ゴム層のセンター側の温度上昇も抑制することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッド端部の壁面の少なくとも一部に幅(タイヤ幅方向に沿った長さ)が6mm以下の硬質ゴムを配置したもので、これにより、発熱によるトレッドの軟化を抑制できるので、トレッドが横変形したときのトレッドの倒れ込みを防止することができる。なお、上記硬質ゴムは、トレッドを形成するゴムよりも硬いゴムであり、より具体的には、室温でのショアA硬度が60以上90以下のゴムを指す。なお、上記ショアA硬度は材料の表面に鋼球またはダイヤモンド球を投下した時に、上記球の跳ね上がる高さにより決定された硬度(反発硬度)で、値が大きいほど硬い材料である。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、上記トレッドゴムの少なくとも一部が、幅狭長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に沿って螺旋状に重ねて巻付けて成型されたものであることを特徴とする。これにより、丸みが大きい二輪車用タイヤでも成形精度を確保することができるので、形状精度の高いタイヤを得ることができる。
また、請求項13に記載の発明は、請求項1〜請求項12のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、周方向に伸びにくい、補強部材のタイヤ赤道方向に対する配列角度(コード角)が0度〜5度であるスパイラルベルト層を更に備えたものである。これにより、遠心力によるタイヤの膨張を防ぐことができるので、高速走行時の操縦安定性能にも優れた高性能の二輪車用タイヤを得ることができる。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、上記スパイラルベルト層のタイヤ径方向外側に、コード角が80度〜90度のベルト層を配置したもので、これにより、スパイラルベルト層を保護することができるので、タイヤの耐久性を向上させることができる。また、トレッドの土台が横方向(タイヤ幅方向)に強くなるので、高い横力を維持することができる。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、上記スパイラルベルト層と上記ベルト層との間に、厚みが0.3mm〜3.0mmの緩衝ゴム層が配置されていることを特徴とするものである。これにより、ショルダー部のベルト速度の違いによるトレッドのドライビング変形、ブレーキング変形のうちの周方向の変形のみを上記緩衝ゴム層の剪断変形により吸収することができるので、高い横力を維持しつつトレッドの周方向の変形に伴う発熱を防止することができる。
請求項16に記載の発明は、請求項13〜請求項15のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、上記スパイラルベルト層の幅がトレッド展開幅の60%〜90%であることを特徴とするもので、これにより、トレッド端部側において、ベルト層がタイヤ周方向へ伸びることができるので、トレッドのブレーキング変形を抑制することができる。したがって、繰り返し変形による発熱が低減されるとともに、滑りも低減できるので、滑りによる発熱も低減できる。したがって、ゴムの軟化を防止することができる。また、滑りが低減されるので、耐摩耗性も向上する。
以下、本発明の最良の形態について、図面に基づき説明する。
図1は、本最良の形態に係る二輪車用タイヤ10の構成を示す図で、この二輪車用タイヤ10は2枚のボディプライ12A,12Bと、このボディプライ12A,12Bのタイヤ径方向外側に配置されたスパイラルベルト層13と、このスパイラルベルト層13のタイヤ径方向外側に配置された1枚のラジアルベルト層14と、上記ラジアルベルト層14のタイヤ径方向外側に配置されるゴム部材から成るトレッド層15とを備えている。
上記2本のボディプライ12A,12Bは、例えば、ナイロン等の繊維から成るコードを複数本撚ったものを所定の打込み間隔で平行に並べ、未加硫ゴムでシート状にしたもので、タイヤに配置した場合、上記コードの赤道方向に対するコード角度はともに90度である。これら2枚のボディプライ12A,12Bは、ビード部11において2枚まとめて、両側からビードワイヤ11Wで挟み込まれて固定されているが、ビードコアの周りを巻き回して固定してもよい。
スパイラルベルト層13は、赤道方向に対するコード角が0度〜5度のベルト層で、スチールコードもしくは芳香族ポリアミド(商品名;ケブラー)等の繊維を撚ったコードをゴムで被覆し、これをトレッド部分に螺旋巻するように巻き付けて形成したものである。
ラジアルベルト層14は、芳香族ポリアミドの繊維から成るコードを撚ったものを、所定の打込み間隔で配置したもので、赤道方向に対するコード角は80〜90度である。
なお、トレッド層15の厚みは8mmで展開幅(トレッド展開幅)は240mmである。また、スパイラルベルト層13の幅とラジアルベルト層14の幅も240mmである。
なお、上記トレッド展開幅、及び、スパイラルベルト層13、ラジアルベルト層14の幅は、タイヤの縦断面において、トレッド表面の曲面に沿って測定した長さを指す。
また、図1の二輪車用タイヤ10はレース用のタイヤであるため、トレッド表面には溝を配置していない。
トレッド層15はタイヤ表面側に配置されている表面層15aと、左,右のショルダー部16の表面層15aのタイヤ径方向内側にそれぞれ配置された左,右の異種ゴム層15b,15cと、センター部17の表面層15aのタイヤ径方向内側に配置された中央異種ゴム層15dと、上記表面層15aのタイヤ径方向内側で、上記左の異種ゴム層15bと上記中央異種ゴム層15dとの間及び上記右の異種ゴム層15cと上記中央異種ゴム層15dとの間に配置される内部中間層15mとを備えており、上記表面層15aと上記内部中間層15mとを構成するゴムは、損失正接(tanδ)の大きさが比較的大きい(例えば、tanδ=0.4)高損失ゴムで構成されている。
上記tanδの値は、例えば、レオメトリックス社製の粘弾性測定装置などの動的粘弾性測定装置を用いて測定した値で、温度100℃、周波数15Hz、歪5%の測定条件にて測定したものである。
左,右のショルダー部16のトレッドゴムは上記のようにそれぞれ2層になっており、表面が表面層15aで、この表面層15aのタイヤ径方向内側、すなわち、トレッドの内層にはtanδの値が上記高損失ゴムよりも小さな異種ゴムから成る左,右の異種ゴム層15b,15cがそれぞれ設けられている。本例の二輪車用タイヤ10では、上記左,右の異種ゴム層15b,15cのゴムのtanδが互いに異なっている。ここで、上記二輪車用タイヤ10が、左側が使用頻度の高いタイヤであるとした場合、使用頻度の高い左側に配置される左の異種ゴム層15bのゴムのtanδを例えば0.2にし、使用頻度の低い右側に配置される右の異種ゴム層15cのゴムのtanδを例えば0.3にするなどして、使用頻度の高い側に配置される異種ゴム層のゴムのtanδを使用頻度の低い側に配置される異種ゴム層のゴムのtanδよりも小さくすることにより、トレッドの発熱量を調整するようにしている。
図2に示すように、上記左,右の異種ゴム層15b,15cの幅W1及び幅W2はそれぞれトレッド展開幅の5%〜25%の範囲にあり、距離L11,L21で示すトレッド端部15z側の端部の位置はトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の5%〜14%の範囲にあり、距離L12,L22で示すセンター部17側の端部の位置はトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の15%〜30%の範囲にある。また、その厚さD1及び厚さD2はトレッド層15全体の厚さの20%〜70%の範囲にある。
なお、tanδに代えて、上記幅W1を上記W2よりも広くしたり、上記厚さD1を上記厚さD2よりも厚くしたりするなどしてもよいが、本例では、W1=W2、D1=D2として、tanδの違いのみで左,右の発熱量を調整する。
また、本例では、センター部17のトレッドゴムも2層になっており、表面が上記表面層15aで、この表面層15aのタイヤ径方向内側にtanδが小さい異種ゴムから成る中央異種ゴム層15dが設けられている。この中央異種ゴム層15dのゴムとしては、上記左の異種ゴム層15bのゴムと同じ大きさのtanδを有するゴムを用いている。
なお、センター部17はトレッドの自動二輪車が直立しているときに路面に接している部分であって、トレッドの中央部に位置し、その幅がトレッド展開幅の25%程度の領域である。本例では、上記中央異種ゴム層15dの幅をトレッド展開幅の15〜25%としている。
本発明の二輪車用タイヤ10では、左,右のショルダー部16のトレッドの表面側でもある表面層15aにはtanδが比較的大きな高損失ゴムが配置されているが、その内層には上記高損失ゴムのtanδより小さなtanδを有するゴムから成る左,右の異種ゴム層15b,15cがそれぞれ配置されている。したがって、ショルダー部16全体を高損失ゴムで構成した場合に比べて、変形による発熱が小さくなるので、ショルダー部16の発熱を抑制することができる。その結果、ゴムの軟化によるショルダー部16の剪断剛性の低下を抑制することができるので、操縦安定性能を確保することができるとともに、摩耗の促進を抑制することができる。また、ショルダー部16の表層には高損失ゴムが配置されているので、従来と同等の横グリップを確保することができる。
ここで、上記左,右の異種ゴム層15b,15cの幅W1,W2をそれぞれトレッド展開幅の5%〜25%の範囲とするとともに、上記左,右の異種ゴム層15b,15cの両端部の位置を以下のように設定することが肝要である。トレッド端部15zの端部の位置をトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の5%〜14%までの範囲とし、センター部17側の端部をトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の15%〜30%までの範囲とする。
上記左,右の異種ゴム層15b,15cのトレッド端部15z側の端部の位置が、トレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の5%未満である場合には、使用頻度の比較的少ない領域A(図7参照)の内部の半分以上の領域にtanδの小さい異種ゴムが配置されることになるので、実車ではトレッド温度の温まりが足りずにグリップを失うことになるからである。また、上記端部の位置がトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の14%を超えると、使用頻度の高い領域B (図8参照)の内部に配置されるtanδの小さい異種ゴムの体積が少なくなり、上記領域Bでの発熱を十分に抑制することが困難になるからである。
また、上記左,右の異種ゴム層15b,15cのセンター部17側の端部の位置が、トレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の15%未満である場合には、tanδの小さい異種ゴムが、使用頻度が高くかつ摩耗の厳しい領域C (図8参照)の内部に配置されないことになるので、隣接する領域Bの内部にtanδの小さい異種ゴムが配置されていても、上記領域Cでの発熱を十分に抑制できなくなるからである。また、上記端部がトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の30%を超えると、発熱が大きくない領域にまで異種ゴムを配置する範囲を広げることになるので、トレッド温度が低下しすぎてグリップが十分に得られない場合があるからである。
また、上記左,右の異種ゴム層15b,15cの幅W1,W2についても、その範囲をそれぞれトレッド展開幅の5%〜25%までの範囲とすることが肝要である。すなわち、tanδの小さい異種ゴムの幅W1,W2をトレッド展開幅の5%未満とすると、異種ゴムの体積が小さすぎて十分な効果が得られない。また、上記幅W1,W2の上限を25%としたのは、発熱が大きくない領域にまで異種ゴムを配置する範囲を広げると、トレッド温度が低下しすぎてグリップが十分に得られない場合があるからである。これは、大CA時に接地する領域はトレッド展開幅の1/4、つまりトレッド端部15zとトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の25%の位置との間の領域であるが、上記最大CAから車体を少し起こしたCA40度の領域でも大きな駆動力が加わるため、トレッドの発熱量は大きい。そこで、このCA40度で発熱が大きい領域を含めると、発熱が大きい領域はトレッド端部15zとトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の30%程度の位置との間の領域となる。また、上記のように、トレッド端部15zから上記左,右の異種ゴム層15b,15cのトレッド端部15z側の端部の位置までの距離L11,L12の下限値は5%であるので、グリップを低下させずにショルダー部16の発熱を確実に抑制するためには、tanδの小さい異種ゴムの幅Wをトレッド展開幅の5%〜25%までの範囲とする必要がある。
また、上記左,右の異種ゴム層15b,15cの厚さとしては、トレッドゴムの厚さの20%〜70%であることが好ましい。上記厚さが20%未満だと、tanδの小さいゴムの層が薄すぎて十分な発熱抑制効果を得ることができない。一方、上記厚さが70%を超えると、特に、上記領域A(図7参照)のような使用頻度が低い領域では、トレッド温度が本来上昇すべき温度まで発熱できなくなって、横力(キャンバースラスト)が低下する。また、タイヤが摩耗することを想定した場合、上記異種ゴムの厚さが70%を超えると、上記異種ゴムが摩耗の進展がそれほどでもない場合にも表面に出てしまいグリップが低下する。これは、上記tanδの小さい異種ゴムは、高損失ゴムに比べてアスファルトなどに含まれる骨材の細かい凹凸への食い込みが小さく、そのため、摩擦係数が低下してグリップが低下するからである。したがって、左,右の異種ゴム層15b,15cの厚さとしては、トレッドゴムの厚さの20%〜70%の範囲とすることが好ましく、20%〜50%の範囲とすれば更に好ましい。特に、市販のタイヤは、競技用のタイヤとは異なり、摩耗が進展して使用する場合が多いので、上記異種ゴムが摩耗により表面に出てしまうことがないように、上記左,右の異種ゴム層15b,15cの厚さをトレッドゴムの厚さの20%〜40%の範囲とすることが好ましい。
なお、上記第1の異種ゴム層15cの厚さがタイヤ幅方向で異なる場合には、最も厚いところでの厚さを上記厚さの範囲とすることが好ましい。
本例では、上記のように、使用頻度の高い左側に配置される左の異種ゴム層15bを構成するゴムのtanδを使用頻度の低い右側に配置される右の異種ゴム層15cを構成するゴムのtanδよりも小さくしてトレッドの発熱量を調整するようにしている。使用頻度の低い側に発熱性の悪いtanδの小さいゴムを用いると、トレッドゴムが適温になるのに時間がかかり、レースの最初の1〜5周はトレッドゴムが温まらず、本来あるべきグリップが得られにくくなる。これは、レースで用いるトレッドゴムは、発熱してトレッド温度が100℃ぐらいになると大きなグリップが得られるように設計されているからである。そこで、使用頻度の高い側にtanδの小さいゴムを使用することにより、発熱を適切に抑制することができる。すなわち、左,右の使用頻度の違いによる発熱量の差をゴムによって調整できる。このように、ショルダー部16の内部ゴムのtanδを左,右で変えることによって、右旋回左旋回の両方について、旋回時における横グリップとショルダー部16のトレッドの耐摩耗性とを向上させるという本発明のメリットを、バランスよく享受することができる。また、摩耗も左,右で同じように進展するように調整できるので、使用頻度の高い左側のショルダー部16の摩耗の進展を抑制して、左,右の摩耗が均一になるようにすることができる。
例えば、両方にtanδの十分に小さくないゴムを配置した場合には、使用頻度の低い側は良いが、使用頻度の高い側のゴムは発熱のため130℃以上になり、ゴムが柔らかくなってトレッド剛性が失われるので、横力が十分に得られない。その結果、タイヤが横滑りしやすくなって摩耗が早期に進むため、レース後半での適切なグリップが得られなくなる。そうすると、タイヤが更に滑るので、滑りによる発熱も発生する。このように、発熱量が多くなって高温状態が長く続いた場合には、トレッド内部に気泡が生じ、この気泡から亀裂が発生してゴムが破壊されて脱落する現象が起きる場合がある。したがって、入力の大きさ、使用頻度に応じて、トレッド端部表面のゴムのtanδを調整することが好ましい。
また、センター部17のトレッド内層部にもtanδが小さい異種ゴムから成る中央異種ゴム層15dを設けることにより、直進時の転がり抵抗が改善されるだけでなく、横グリップも向上させることができる。これは、CAの大きな旋回時には、タイヤセンター部17が直進時におけるサイド部の役目をすることによるもので、上記中央異種ゴム層15dがセンター部17の温度上昇を抑制して表面層15aのゴムの軟化を防ぐようにすれば、センター部17の剛性が高まるので、強い横力を受け止めることができる。つまり、上記左,右の異種ゴム層15b,15cを設けて横力を増した場合にはタイヤの変形も大きくなるが、上記中央異種ゴム層15dを設けることによりセンター部17が補強されるので、操縦安定性能が向上する。
上記中央異種ゴム層15dは、センター部17全体に配置してもよいが、トレッド全幅の15%以上あれば、センター部17の温度上昇を十分に抑制することができるので、上記中央異種ゴム層15dの幅としては、トレッド全幅の15〜25%とすることが好ましい。
また、本例では、上記中央異種ゴム層15dのタイヤ表面側のゴム(センター部17の表面側のゴム)と、上記左,右の異種ゴム層15b,15cのタイヤ表面側に隣接するゴムとはともにtanδの比較的大きな高損失ゴムであり、かつ、連続的に繋がって表面層15aを形成しているので、タイヤの成型時には、上記表面層15aを形成しているゴムを上記左,右異種ゴム層15c,15d、内部中間層15m、及び、上記中央異種ゴム層15dとを巻付けた上に巻付けるようにすればよい。すなわち、中央異種ゴム層15dのタイヤ表面側のゴムと、上記左,右の異種ゴム層15c,15dのタイヤ表面側に隣接するゴムとは一緒に巻付けられることになるので、タイヤの製造を効率よく行うことができる。
また、上記トレッド層15の各ゴム層15a〜15d,15mのゴムを成型する際には、幅狭長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に沿って螺旋状に重ねて巻付けて成型することが好ましい。これにより、丸みが大きな二輪車用タイヤであっても、成型の精度を確保することができるので、形状精度の高いタイヤを得ることができる。
また、本例では、ボディプライ12(12A,12B)とベルト層(ラジアルベルト層14)との間に、周方向に伸びにくい、コード角が赤道方向に対して0度〜5度であるスパイラルベルト層13を設けたので、遠心力によるタイヤの膨張を防ぐことができる。したがって、高速走行時の操縦安定性能にも優れた高性能二輪車用タイヤを得ることができる。
また、本例では、上記スパイラルベルト層13の半径方向外側に配置されるベルト層をラジアルベルト層14としているので、高い横力を維持できる。すなわち、ベルト層の最外層に赤道方向に対するコード角が80〜90度のほぼタイヤ幅方向に延長するベルト層であるラジアルベルト層14があり、これがショルダー部16に広く配置されているので、トレッド層15の土台が横方向(タイヤ幅方向)に強くなる。したがって、トレッドの横剪断に対してラジアルベルト層14が剛性をもつため、高い横力を保持できる。すなわち、ゴムが発熱して多少軟化したとしても、内部にラジアルベルト層14があることにより、横方向に強さを発揮できる。
また、スパイラルベルト層13は、上述したように、遠心力によるタイヤの膨張を防ぎ、高速走行時の操縦安定性能を向上させるのに有効である。また、スパイラルベルト層13だけでもベルト剛性を比較的高く保てることから、ベルト層をスパイラルベルト層13のみで構成したタイヤもある。また、スパイラルベルト層13を設けた場合には、ベルト剛性が高まるため、それに合わせるベルトは、赤道方向に対するコード角が40〜80度である場合が殆どであり、タイヤの内圧は上記スパイラルベルト層13が殆ど受け止めている。そのため、万一、スパイラルベルト層13が損傷すると、タイヤバーストにつながりかねない。例えば、トレッドが摩耗して薄くなったときに高速で突起物を踏みつけた場合や、摩耗しているのにタイヤを使い続けてしまい、スパイラルベルト層13が露出してしまった場合には、スパイラルベルト層13が破断してしまう可能性がある。そこで、スパイラルベルト層13のタイヤ径方向外側に、上記ラジアルベルト層14のような、幅方向に沿ったベルト層を設ければ、上記スパイラルベルト層13を確実に保護することができる。
このように、本最良の形態によれば、トレッド表面層15aのゴムを、tanδの大きさが比較的大きな高損失ゴムとするとともに、左,右のショルダー部16のトレッドのそれぞれの内層に、tanδが上記高損失ゴムのtanδよりも小さな異種ゴムから成る、幅W1及び幅W2がそれぞれトレッド展開幅の5%〜25%の範囲にあり、そのトレッド端部15z側の端部の位置(L11,L21)がトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の5%〜14%の範囲にあり、センター部17側の端部の位置(L12,L22)がトレッド端部15zから測ってトレッド展開幅の15%〜30%の範囲にあり、その厚さD1及び厚さD2がトレッドゴムの厚さの20%〜70%である左,右の異種ゴム層15b,15cを配置して、トレッドの変形による発熱を小さくするとともに、使用頻度の比較的少ない領域Aでは温度が下がりすぎないようにしたので、ショルダー部16の発熱を抑制することができるとともに、実車でのグリップを確保することができる。したがって、操縦安定性能を確保することができるとともに、摩耗の促進を抑制することができる。
このとき、使用頻度の高い左側に配設される左の異種ゴム層15bのゴムのtanδを使用頻度の低い右側に配設される右の異種ゴム層15cのtanδよりも小さくすることが肝要で、これにより、発熱を適切に抑制して左右の使用頻度の違いによる発熱量の差を調整することができる。したがって、旋回時における横グリップとショルダー部16のトレッドの耐摩耗性とを向上させることができるとともに、ショルダー部16の摩耗も左,右で同じように進展するので、左,右の摩耗を均一にすることができる。
また、センター部17のトレッドの内層にも上記左の異種ゴム層15bのゴムと同じtanδのゴムから成る中央異種ゴム層15dを設けてセンター部17の温度上昇を抑制するようにしたので、直進時の駆動・制動性が向上する。また、これにより、センター部17の剛性が高まり強い横力を受け止めることができるので、操縦安定性能を更に向上させることができる。
また、上記左,右の異種ゴム層15b,15cのタイヤ表面側のゴムと上記中央異種ゴム層15dのタイヤ表面側のゴムとはともにtanδの比較的大きな高損失ゴムであり、かつ、連続的に繋がって表面層15aを形成しているので、中央異種ゴム層15dのタイヤ表面側のゴムと、上記左,右の異種ゴム層15b,15cのタイヤ表面側に隣接するゴムとを一緒に巻付けることができる。したがって、タイヤの製造を効率よく行うことができる。このとき、上記トレッド層15の各層15a〜15d,15mのゴムを、幅狭長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に沿って螺旋状に重ねて巻付けて成型するようにすれば、成型の精度を確保することができ、形状精度の高いタイヤを得ることができる。
また、本例では、ボディプライ12とラジアルベルト層14との間に、周方向に伸びにくい、コード角が赤道方向に対して0度〜5度であるスパイラルベルト層13を設けて遠心力によるタイヤの膨張を防ぐようにしたので、高速走行時の操縦安定性能にも優れた高性能二輪車用タイヤを得ることができる。
なお、上記最良の形態では、表面層15a及び内部中間層15mを構成する高損失ゴムのtanδを0.4とし、左の異種ゴム層15b及び中央異種ゴム層15dを構成する異種ゴムのtanδを0.2とし、右の異種ゴム層15cを構成する異種ゴムのtanδを0.3としたが、高損失ゴムのtanδの値はこれに限るものではなく、グリップの大きい、すなわち、摩擦係数が大きくなるような値(例えば、tanδ=0.35〜0.55程度)であればよい。このとき、トレッドの内層に配置される、上記左,右の異種ゴム層15b,15cのゴムのtanδを上記高損失ゴムのtanδよりも小さくすること、及び、使用頻度の高い左側に配設される左の異種ゴム層15bのゴムのtanδを、使用頻度の低い右側に配設される右の異種ゴム層15cのtanδよりも小さくすることが肝要であることはいうまでもない。
また、上記例では、左,右の異種ゴム層15b,15cのtanδの大きさを変えてトレッドの発熱量を調整するようにしたが、tanδの大きさ及び幅を同じにして、左,右の異種ゴム層15b,15cの厚さを変化させるようにしてもトレッドの発熱量を調整することができる。トレッドの発熱量を調整してトレッド温度をコントロールすれば、ゴムの軟化量を調整できるので、上記最良の形態と同様に、トレッドの剪断剛性を変更することができる。
すなわち、ショルダー部16の内層のtanδの小さなゴムから成る異種ゴム層(左,右の異種ゴム層15b,15c)の厚みが厚ければゴムの変形による発熱量が少なくゴムが軟化しないので、トレッドの剪断剛性が強くなる。その結果、強く横力に耐えることができるので、グリップが高くなるとともに、耐摩耗性も向上する。一方、上記異種ゴム層の厚みが薄ければトレッド全体のエネルギーロス(ゴムの発熱)が大きく、トレッドが温まりやすくなるので、早期から高いグリップを発揮することができる反面、ゴムが軟化しやすく、摩耗しやすい。
したがって、左,右の旋回において、使用頻度の高い側(例えば、右コーナーが多く、かつ、右コーナーが高速旋回を必要とする旋回半径の大きめの高速コーナーで、タイヤの摩耗が厳しい場合等)では異種ゴム層の厚さを厚くして発熱を抑え、トレッドの剛性を高めるようにすれば、グリップを高めることができるとともに、耐摩耗性を向上させることができる。一方、使用頻度の低い側では異種ゴム層の厚さを薄くしてグリップを優先させる。すなわち、使用頻度の低い側では、トレッドが発熱しやすくても走行に使われる時間が短いため、トレッド温度(発熱量)を使用頻度の高い側とあまり変わらないように調整することができる。更に、使用頻度の低い側については、レースが開始されてから数周のレース初期において、トレッド温度が上昇しにくく、トレッド温度が適温にならずに十分なグリップを得られにくいという問題がしばしば起るが、上記のように、使用頻度の低い側にtanδの小さいゴムを薄く配置すれば、表面側のゴムはtanδが大きいので、少ない入力で、つまり、使用頻度が少なくてもトレッド温度を簡単に上昇させることができる。
レース用のタイヤに使用するゴムは高温になるとグリップするように設計されているため、100℃程度の高温にならないとグリップが得られにくい。使用頻度の低い側は発熱しにくく、トレッドゴムがなかなか高温に達しないが、上記のように使用頻度の低い側に配置されるtanδの小さいゴム(ここでは、右の異種ゴム層15cのゴム)の厚さD2を薄くすれば、このような問題は解決される。
一方、使用頻度の高い側にtanδの小さいゴムを薄く配置すると、すぐに発熱してしまい、トレッド温度が100℃以上になる。特に、使用頻度が高く、長時間にわたって厳しい入力条件が加わる場合には、ゴムの内部に気泡ができて、この気泡を起点にゴムが破壊される故障が起こる。このような観点からも、使用頻度の高い側に配置されるtanδの小さいゴム(ここでは、左の異種ゴム層15bのゴム)の厚さD1を厚くして発熱を防止し、使用頻度の低い側に配置されるtanδの小さいゴム(右の異種ゴム層15cのゴム)の厚さD2を薄くしてグリップを稼ぐとともに少ない入力でトレッドが発熱しやすいようにすることが有効となる。
あるいは、左,右の異種ゴム層15b,15cのtanδの大きさ及び厚さを同じにして、左の異種ゴム層15bの幅W1と右の異種ゴム層15bの幅W2とを互いに異なるようにしてもよい。内部のtanδの小さいゴムの幅が広ければ、トレッド全体での発熱は少ない。一方、内部のtanδの小さいゴムの幅が狭ければ、トレッド全体での発熱は大きくなる。したがって、使用頻度の高い左側に配置される左の異種ゴム層15bの幅W1を広くするとともに、使用頻度の低い右側に配置される右の異種ゴム層15cの幅W2を狭くすれば、発熱を適切に抑制して左右の使用頻度の違いによる発熱量の差を調整することができる。したがって、旋回時における横グリップとショルダー部16のトレッドの耐摩耗性とを向上させることができる。また、ショルダー部16の摩耗も左,右で同じように進展するので、左,右の摩耗が均一になるようにすることができる。
また、左,右の使用頻度が極端に異なる場合には、異種ゴム層を左,右いずれか一方のショルダー部のみに配置するようにすればよい。具体的には、使用頻度の極端に低い側にはtanδの小さいゴムを配置しないようにして、トレッドが温まりやすいようにする。これにより、使用頻度の極端に低い側は少ない入力でもすぐに発熱して適正な温度に到達させることができる。一方、使用頻度の極端に高い側には異種ゴム層が配置されているので発熱を防止することができる。
また、上記例では、図3(a)に示すように、左,右の異種ゴム層15b,15cの幅を厚さ方向に一定としたが、図3(b)に示すように、上記左,右の異種ゴム層15b,15cのいずれか一方もしくは両方のセンター部側の端部からセンター部17の方向に延長して上記中央異種ゴム層15dと連結する連結層15Uを設けて、上記左,右の異種ゴム層15b,15cのいずれか一方もしくは両方と上記中央異種ゴム層15dとを連続的に繋がっているようにすれば、tanδの小さいゴム層についてもゴム種を少なくできるので、タイヤの製造を更に効率よく行うことができる。また、同時に、左,右の異種ゴム層15b,15cのいずれか一方もしくは両方センター部17側の温度上昇も同時に抑制することができるので、グリップも向上する。但し、この場合には、上記連結層15Uの厚さについては、上記左,右の異種ゴム層15b,15cの厚さよりも薄くすることが好ましく、上記左,右の異種ゴム層15b,15cの厚さの半分以下とすると更に好ましい。これにより、過剰な発熱抑制によるグリップの低下を防ぐことができる。
なお、上記中央異種ゴム層15dのゴムのtanδと上記左,右の異種ゴム層15b,15cのゴムのtanδとは同じ値である必要はない。また、上記中央異種ゴム層15dのゴムのトレッド端部15z側をトレッド端部15z近傍まで延長して上記第1の異種ゴム層15cと連結するようにしてもよい。この場合には、図3(c)に示すように、上記中央異種ゴム層15dの延長部15nを、上記左,右の異種ゴム層15b,15cのいずれか一方もしくは両方の下面(径方向内側)に配置することが好ましい。これによっても、上記図3(b)に示した例と同様に、左,右の異種ゴム層15b,15cのいずれか一方もしくは両方センター部17側の温度上昇も同時に抑制することができるので、トレッド全体で発熱を抑制することができ、グリップを向上させることができる。
また、図3(d)に示すように、トレッド端部の壁面に、硬質ゴム19を配置して発熱によるトレッドゴムの軟化を抑制するようにすれば、トレッドが横変形したときのトレッドの倒れ込みを防止することができる。なお、上記硬質ゴム19は、トレッド層15を形成するゴムのいずれのゴムよりも硬いゴムである。これにより、トレッド端部が路面から浮き上がるのを防止することができる。
この硬質ゴム19は壁面の表面には露出させない方がよい。これは、硬質ゴム19は硬いため摩擦係数が低いからである。硬質ゴム19がトレッド表面に達すると、路面との接触による摩擦力の向上は期待できないだけでなく、逆に、柔らかいゴム(高損失ゴム)の接触面積を減らすことになる。そこで、本例では、上記硬質ゴム19のタイヤ径方向外側の位置を、トレッド表面からh=1mm程度の深さになるように上記硬質ゴム19を配置するようにしている。
また、上記硬質ゴム19の厚み(タイヤ幅方向に沿った長さ)Hが厚くなると、領域Aの内層に配置される左,右の異種ゴム層15b,15cのゴムの量が減るので、上記厚みHとしては最大の厚さとなる箇所でも6mm以下とすることが好ましい。なお、硬質ゴム19の厚みHは、その硬さにもよるが、1mm以上あればその効果を発揮することができる。2mm〜5mmとすれば、更に好ましい。
また、上記例では、トレッドゴムの厚みをタイヤ幅方向で一定としたが、tanδの小さいゴムが配置されているトレッド端部側のトレッドゴムの厚みを他の部分のトレッドゴムの厚みよりも薄くすれば、tanδの小さいゴムを配置した効果を更に高めることができる。トレッドゴムの厚み(トレッドゲージ)を薄くすると、その部分のトレッド剛性が向上する。ショルダー部のトレッドゴムのタイヤ径方向内側にtanδの小さいゴムを配置した目的は、発熱を抑制してゴムの弾性率を低下させないことにある。このように、tanδの小さいゴムが配置されている部位を薄くすることで、トレッド剛性を維持する効果を更に得ることができるので、旋回性能や操縦安定性能を更に向上させることができる。
なお、トレッド剛性はトレッド層15の厚みの三乗に比例するので、例えば、トレッド層15の厚みが8mmである場合には、0.5mm〜1.5mm程度薄くすれば、十分な効果を得ることができる。また、トレッド層15の厚みを薄くする範囲は、トレッド展開幅の10%の位置までとすることが好ましい。すなわち、トレッド展開幅の10%の位置までの範囲では、トレッド端15zから測ってトレッド展開幅の10%の位置から25%の位置までの間の平均的なトレッドゴムの厚さよりも薄くすればよい。なお、ショルダー部16全体を薄くすると、ショルダー部16のトレッド剛性は向上するが、タイヤ表面の滑りが全体的に増えてしまい、摩耗ライフが低下する。したがって、接地頻度が高い領域Bや領域Cでは、tanδの小さいゴムが配置されている場合でも、トレッドゴムの厚さを薄くしない方がよい。
また、上記例では、上記スパイラルベルト層13の幅をトレッド展開幅とほぼ同じとしたが、スパイラルベルト層13の幅をトレッド展開幅よりも狭くすれば、発熱を更に防止することができるとともに、耐摩耗性も向上させることができる。これは、少なくとも領域A(ショルダー部16の領域A,B,Cについては図7を参照のこと)にはスパイラルベルト層13を配置しないようにすれば、トレッド端部側において、ラジアルベルト層14がタイヤ周方向へ伸びることができるので、トレッドのブレーキング変形を抑制することができるからである。すなわち、ラジアルベルト層14が接地している領域において周方向に伸びるということは、ベルト速度が増すことであり、領域Aと領域Cとのベルトの速度差が縮まることを意味している。これにより、トレッド周方向の余計な変形(ブレーキング変形)が抑制されるので、繰り返し変形によるゴムの発熱が低減される。その結果、滑りも低減できるので、滑りによる発熱も低減できるので、ゴムの軟化を防止できる。また、滑りが低減されるので、耐摩耗性も向上する。したがって、更に摩擦係数(グリップ)が高いゴム、すなわち、従来よりも更にtanδの大きいゴムをトレッド端面部の表面に配置することができる。
上記スパイラルベルト層13の幅はトレッド展開幅60〜90%とするのが好ましい。上記スパイラルベルト層13の幅がトレッド展開幅の90%を超えると、ベルト層のタイヤ周方向への伸びが小さくなってしまい、トレッドのブレーキング変形を抑制することが困難となる。逆に、上記スパイラルベルト層13の幅がトレッド展開幅の60%未満であると、領域Cにもスパイラルベルト層13の存在しない領域ができるので、領域Cでもベルト層がタイヤ周方向へ伸びてしまい、その結果、領域Aと領域Cとのベルトの速度差があまり縮まらない。したがって、上記ブレーキング変形の抑制効果が小さくなり、繰り返し変形によるゴムの発熱を低減することができなくなる。また、接地領域の殆どにスパイラルベルト層13が存在しないため、タガ効果が薄れて高速時の操縦安定性能が低下する。したがって、上記スパイラルベルト層13の幅はトレッド展開幅60〜90%とするのが好ましい。
また、上記例では、スパイラルベルト層13のタイヤ径方向外側に、コード角が90度のラジアルベルト層14を配置したが、2枚の交錯ベルトから成るベルト層を配置してもよい。これらの交錯ベルトは、例えば、芳香族ポリアミドの繊維を撚って直径0.7mmにしたものを、打込み間隔30本/50mmで配置し、これを赤道方向に対して50度傾で交錯させて2枚配置すればよい。
また、スパイラルベルト層13を省略してもよい。この場合には、交錯ベルトを赤道方向に対して30度傾けて交錯させて2枚配置すればよい。
あるいは、交錯ベルトを省略してスパイラルベルト層のみとしてもよい。
また、図4に示すように、上記スパイラルベルト層13とラジアルベルト層14との間に、厚みが0.3mm〜3.0mmの緩衝ゴム層18を設けるようにすれば、偏摩耗と発熱とを更に防止することができる。これは、上記緩衝ゴム層18が周方向に剪断変形することにより、トレッド層15のドライビング変形、ブレーキング変形のうちの周方向の変形を吸収するためである。上記緩衝ゴム層18は幅方向の変形は吸収しないので、トレッドの横変形は大きいまま維持される。したがって、高い横力を維持しつつトレッドの周方向の変形に伴う発熱を防止することができる。特に、本例のように、左,右のショルダー部16の内層にそれぞれ左,右の異種ゴム層15b,15cを設けて、tanδの小さい異種ゴムを配置した場合には、緩衝ゴム層18の変形により上記左,右の異種ゴム層15b,15cの表面側に配置された高損失ゴムから成る表面層15aの歪が減少するので、発熱を更に防止することができる。なお、上記緩衝ゴム層18とラジアルベルト層14とは、トレッド端部で、かつ、上記左,右の異種ゴム層15b,15cの配置されている位置に重なるように幅広く配置することが好ましい。
[実施例]
図1に示した二輪車タイヤについて、左,右のショルダー部のトレッド端部側の内層にtanδの小さな異種ゴム層を備えた本発明によるタイヤ(実施例1〜9)と、異種ゴム層を有しない従来のタイヤ(従来例1)と、異種ゴム層はあるが左右の異種ゴム層が同じタイヤ(比較例1)と、異種ゴム層はないがスパイラルベルト層の幅が小さいタイヤ(比較例2)と、緩衝ゴム層を有するタイヤ(比較例3)とを準備し、上記各タイヤについて、CA50度における横力試験とドライバーによる操縦安定性能の評価試験及び、走行後のショルダー部の摩耗量と温度測定とを行った結果を図5の表に示す。
試験タイヤは二輪車用のタイヤで、タイヤサイズは190/50ZR17である。
これらのタイヤは、いずれも、2枚のボディプライを有している。このボディプライはナイロンの繊維を撚って直径0.6mmとし、打ち込みが65本/50mmになるように平行にならべて、未加硫ゴムでシート状にしたものをカーカス材としている。これら2枚のボディプライはラジアル(赤道方向に対する角度が90度)である。
スパイラルベルト層は、芳香族ポリアミド(商品名;ケブラー)の繊維を撚って直径0.7mmにしたものを、打込み間隔50本/50mmで配置したが、スチールコードから構成してもよい。この場合には、例えば、直径0.12mmのスチール単線を1×3タイプに撚ったスチールコードを打込み間隔30本/50mmとなるようにして、スパイラル状に巻付けて形成すればよい。
ラジアルベルト層は、芳香族ポリアミドの繊維を撚って直径0.6mmにしたものを、打込み間隔50本/50mmで配置した。
トレッド層の厚さは、センター部からショルダー部まで一律で、8mmで、トレッドの展開幅は240mmである。また、スパイラルベルト層の幅は従来例、実施例1〜8、及び、比較例3で240mm、比較例2及び実施例9で180mmで、ラジアルベルト層の幅は240mmである。
上記の基本構造は各タイヤについて共通である。
また、トレッドゴムの違いは以下の通りである。
従来例1のタイヤ
トレッド層のセンター部の内部には、幅が140mmで100℃でのtanδが0.2のゴムが厚み3mmで配置されており、その他の部分は100℃でのtanδが0.4の高損失ゴムが配置されている。
実施例1のタイヤ
左,右のショルダートレッド端の内部にtanδが上記高損失ゴムのtanδよりも小さな異種ゴムがそれぞれ配置されており、左側のゴムのtanδは0.2で、右側のゴムのtanδは0.3である。これらの異種ゴムの幅はそれぞれW1=W2=60mm(トレッドの展開幅の25%)で、トレッド端側の端部の位置はトレッド端部から測ってL11=L12=20mm(トレッドの展開幅の8%)である。このとき、上記異種ゴムのセンター側の端部の位置はL12=L22=L11+W1=80mmとなる。厚さはD1=D2=4mm(トレッド層の厚さの57%)である。この異種ゴムとセンター寄りのゴムとの深さ方向の境界は、深さ方向にほぼ垂直であり傾いていない(図3(a)参照)。
実施例2のタイヤは、左,右のゴムのtanδがいずれも0.25で、左,右の異種ゴム層の厚さがそれぞれ5.5mm/3mmである他は実施例1のタイヤと同じである。
実施例3のタイヤは、左,右のゴムのtanδがいずれも0.25で、左,右の異種ゴム層の幅がそれぞれ70mm/50mmである他は実施例1のタイヤと同じである。
実施例4のタイヤは、異種ゴム層が左側にしかなく、tanδは0.25で、左側の異種ゴム層の幅は60mm、厚さは4mmである。
実施例5のタイヤは、図3(b)に示すように、左の異種ゴム層のセンター部側の端部がセンター部の方向に延長して中央異種ゴム層と連結されているもので、他は実施例1のタイヤと同じである。
実施例6のタイヤは、図3(c)に示すように、中央異種ゴム層のゴムが左のトレッド端側に伸びて左の異種ゴム層の下側まで延長しているとともに、左側の異種ゴム層のtanδも右側と同じ0.3としたものである。
実施例7のタイヤは、図3(d)に示すように、実施例1のトレッド端部の壁面に、100℃のショアA硬度が70である硬質ゴムを配置したもので、他は実施例1のタイヤと同じである。
実施例8のタイヤは、実施例1のトレッド端部から10%の範囲のゴムの平均厚みを0.7mmだけ薄くしたもので、他は実施例1のタイヤと同じである。
実施例9のタイヤは、実施例1のスパイラルベルト層の幅を180mmに変更し、更に、スパイラルベルト層とラジアルベルト層との間に緩衝ゴムを配置したもので、他は実施例1のタイヤと同じである。
比較例1のタイヤは、左,右のゴムのtanδがいずれも0.25である他は実施例1のタイヤと同じである。
比較例2のタイヤは、従来例のスパイラルベルト層の幅を180mmに変更したもので、他は従来例のタイヤと同じである。
比較例3のタイヤは、従来例のタイヤのスパイラルベルト層とラジアルベルト層との間に緩衝ゴムを配置したもので、他は従来例のタイヤと同じである。
上記各タイヤについて、以下の測定及び評価を行った。
(1)CA50度における横力測定とドラムでのショルダー部の温度測定
タイヤをリム幅6インチ、リム径17インチのホイールに組込んだタイヤを、表面に#40番の紙ヤスリを貼り付けた直径3mのスチール製のドラムにキャンバー角(CA)50度、荷重1500N,スリップ角(SA)0度で押付けて、時速100kmで回転させ、このときの横力をタイヤの回転軸に取付けた3分力計で測定する。この横力がキャンバースラストである。なお、上記タイヤの内圧は240kPaである。
横力はタイヤが回転し始めてから5分後のものを測定した。この時、タイヤは十分に暖まり、ショルダー部の温度は100℃になっていた。
横力は、左,右のトレッドについて測定した。つまり、キャンバーは左右に50度倒して測定した。従来例のタイヤでは横力はいずれも1700Nであった。他のタイヤの横力については、上記従来例の横力を100とした指数で表わしている。
(2)テストコースでの評価
テストコースで熟練ドライバーによる総合的な操縦安定性能の試験を実施した。準備したタイヤはリア用のタイヤで、リアのみをタイヤ交換して実車試験を行った。なお、フロントのタイヤは従来のもので固定した。
タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車に装着してテストコースで実車走行させ、車輌を大きく倒した旋回時操縦性(コーナリング性能)を中心に評価した。評価点は、テストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価した。旋回評価は左右で行い、右旋回、左旋回でそれぞれ評点をつけてもらった。
テストコースは図6に示すような、左旋回の多いサーキットBを用いた。一周のラップタイムは約130秒であり、これを6周した。サーキットを6周した時のラップタイムの平均も記載した。
また、走行直後のショルダー部の温度を左,右で測定し、これを実車走行後のショルダー部の温度とした。
(3)摩耗量の評価
実車テストを行い前にタイヤの重量を測定しておき、テストコースを8周走行した後にタイヤに付着したゴムのかすや小石などの付着物をきれいに取り除き、再度タイヤの重量を測定する。このとき、タイヤをトレッドセンター部から赤道面で左,右2つに切断して、右のタイヤの重量と左のタイヤの重量とをそれぞれ計測した。新品時のタイヤ1本の重量の半分から、左,右それぞれの走行後のタイヤの重量を引けば、左,右の摩耗量が測定できる。テストコースはコーナーが多かったため、摩耗はショルダー部に集中した。そこで、新品時のタイヤに対する走行後タイヤの重量差を当該タイヤのショルダー部の摩耗量として評価した。各タイヤの摩耗量は、従来例のタイヤの右側の摩耗量を100とした指数で表わした。
以上の試験結果から本発明の効果が分かる。
実施例1の結果と従来例1及び比較例1の結果を比較すると、ショルダー部の内部にtanδの小さな異種ゴム層を設けた実施例1と比較例1では、従来例1に比べドラムでの横力指数が向上していることが分かる。また、テストコースのラップタイムが短くなっていることから、サーキットにおいてもグリップが向上していることが確認された。また、使用頻度の高い左側の摩耗量も減少しており、走行後のショルダー部の温度も低くなっている。
しかし、比較例1は左,右の旋回時操縦性能の差は縮まったものの評価点は低いままであるだけでなく、摩耗量の左右のバランスも解消されておらず、走行後のショルダー部の左,右の温度差も大きい。これに対して、左側の内部ゴムのtanδを右側よりも低くした実施例1では、左,右の旋回時操縦性能がバランスよく高くなり、かつ、上記比較例1よりもラップタイムが更に縮まっていることから、サーキットにおいてもグリップが更に向上していることが確認された。また、摩耗量の左右のバランスもよく、かつ、走行後のショルダー部の左,右の温度差も小さい。
また、実施例1の使用頻度の高い側である左側のショルダー部の走行後の温度は110℃で、上記比較例1よりも下がっている。これは、左側のtanδを小さくしたため発熱量が抑制され、ゴムが軟化せずにグリップが維持できたためである。一方、実施例1では、使用頻度の低い右側のショルダー部の走行後の温度は90℃で、上記比較例1よりも上昇している。これは、使用頻度の低い右側のtanδが比較例1のtanδよりも大きいためで、これにより、ゴムが温まりやすくなり、十分なグリップが確保できたと考えられる。
このように、左,右のショルダー部の内部にtanδの小さなゴムをそれぞれ配置し、更に、使用頻度の高い側のtanδを使用頻度の低い側のtanδよりも小さくすれば、旋回時操縦性能をともに高めることができるだけでなく、左,右の摩耗量の差を小さくできることが確認された。
実施例2の結果と従来例及び比較例1の結果を比較すると、左,右の異種ゴム層の厚みを変えても、tanδを変えた時と同様の効果を得られることがわかる。
また、実施例3の結果と従来例及び比較例1の結果を比較すると、左,右の異種ゴム層の幅を変えても、tanδを変えた時と同様の効果を得られることがわかる。
更に、実施例4の結果と従来例及び比較例1の結果を比較すると、使用頻度の高い左側のみに異種ゴム層を設けた場合でも、旋回時操縦性能をともに高めることができるだけでなく、左,右の摩耗量の差を小さくできることが確認された。この実施例4のタイヤは、上記実施例1〜3のタイヤよりも製造が容易であるという利点を有するが、tanδの小さなゴムを配置してない右側の旋回時操縦性能が若干低下する。しかしながら、左,右の使用頻度の差が大きなサーキットでは有効であると考えられる。
また、実施例5は左側のみが、トレッドセンター部の内部のtanδの小さい発熱しにくいゴム(tanδ=0.2のゴム)がタイヤショルダー部まで達している構造である。このように、発熱しにくいゴムを内部に配置することで、実施例1に比べて、走行を重ねてもトレッドのセンター部からショルダー部にかけての全体の温度が上がりすぎることがなく、適温に保てることがわかる。このため、周回の後半においても安定したラップタイムを計測できた。その、6周の平均のラップタイムも実施例1よりも短かかった。
実施例6は実施例5と同様の構成であるが、ショルダー部の異種ゴム層のtanδが実施例5よりもわずかに大きい。評価ライダーのコメントによると、実施例6は実施例5に比べて初期グリップがわずかに低下するものの、摩耗してトレッド厚みが薄くなった場合のグリップは高くなって、特に、周回の後半での性能が更に良化したとのこと。これは、実施例6はショルダー部におけるtanδの小さいゴムの影響がわずかに少ないため、初期には温度を抑制する効果が若干落ちるが、後期には摩耗後のトレッド温度が下がりすぎる傾向を抑えることができることを示している。したがって、摩耗後のトレッドを適温を保つためには、このような実施例6のような形状が適していることが確認された。
実施例7の結果と実施例1の結果とを比較すると、トレッド端に硬質ゴムを配置した実施例7では、ドラムの横力指数が向上しているだけでなく、サーキットの評点も向上した。これにより、トレッド端に硬質ゴムを配置した効果が確認された。
また、実施例8の結果と実施例1の結果を比較すると、実施例8の方がドラム横力が向上し、テストコースの操縦安定性能も向上していることがわかる。これにより、異種ゴムの厚さはそのままで、トレッド端部の表層ゴムの厚さを薄くした方が、その部分の剛性が高くなるだけでなく、異種ゴムの割合が高くなるので、ショルダー部の温度上昇を抑制して、横力及び操縦安定性能を向上させることができることが確認された。
実施例9の結果と実施例1の結果を比較すると、ドラム横力、ラップタイム、操縦安定性能、摩耗量の全てにわたって向上していることがわかる。また、走行後のショルダー温度差も小さくなっている。左側の摩耗量でみると、スパイラルベルト幅を狭くすることだけで指数で30(従来例と比較例2)、緩衝ゴム層を配置することだけで20(従来例と比較例3)、tanδの小さいゴムを配置することだけで80(従来例と実施例1)の改善がみられる。これらを単純に足し合わせると指数で130の改善となる。しかしながら、従来例と実施例9を比較すると、摩耗量の改善は指数で180である。このように、単にスパイラル幅を狭くしたり、緩衝ゴム層を配置するのではなく、これらを組合わせることで、相乗効果が発揮されたと考えられる。この実施例9はラップタイムも非常に速く、摩耗量も極めて少ないだけでなく、ショルダー部の温度も低くかつ左,右の温度差も小さい。
このように、本発明によれば、二輪車の旋回時における横グリップの向上と、ショルダー部のトレッド摩耗の防止及び左,右の摩耗の均一化を図ることができるとともに、実車におけるトレッドの発熱を確保することができるので、操縦安定性能に優れるとともに、耐摩耗性能にも優れた二輪車用空気入りタイヤを提供することができる。また、本発明のタイヤは、特に、左,右で使用頻度の異なるサーキットにおいて使用される二輪車用空気入りタイヤとして適している。
本発明の最良の形態に係る二輪車用タイヤの構成を示す図である。 本発明による異種ゴム層を示す図である。 本発明による異種ゴム層の他の形態を示す図である。 本発明による二輪車用タイヤの他の構成を示す図である。 試作タイヤ(一般用)の仕様とその評価結果を示す図である。 競技用バイクのサーキット1周のバンク角度の使用頻度を示す図である。 二輪車用タイヤがCA50度で接地したときの要部断面図である。
符号の説明
10 二輪車用タイヤ、11 ビード部、11W ビードワイヤ、
12A,12B ボディプライ、13 スパイラルベルト層、14 ラジアルベルト層、
15 トレッド層、15a 表面層、15b 左の異種ゴム層、
15c 右の異種ゴム層、15d 中央異種ゴム層、15m 内部中間層、
15U 連結層、16 ショルダー部、17 センター部、18 緩衝ゴム層、
19 硬質ゴム。

Claims (16)

  1. ベルト層とこのベルト層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドゴムとを備えた二輪車用空気入りタイヤであって、左,右のショルダー部のトレッドゴムはタイヤ径方向内側にそれぞれ異種ゴム層を備えており、これらの異種ゴム層は、幅がトレッド展開幅の5%〜25%の範囲にあり、トレッド端部側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の5%〜14%の範囲にあり、トレッドセンター側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の15%〜30%の範囲にあり、ゴムの損失正接が当該異種ゴム層よりもタイヤ径方向外側にあるゴムの損失正接よりも小さいゴムから成る異種ゴム層であり、かつ、左,右の異種ゴム層のゴムの損失正接が互いに異なっていることを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  2. ベルト層とこのベルト層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドゴムとを備えた二輪車用空気入りタイヤであって、左,右のショルダー部のトレッドゴムはタイヤ径方向内側にそれぞれ異種ゴム層を備えており、これらの異種ゴム層は、幅がトレッド展開幅の5%〜25%の範囲にあり、トレッド端部側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の5%〜14%の範囲にあり、トレッドセンター側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の15%〜30%の範囲にあり、ゴムの損失正接が当該異種ゴム層よりもタイヤ径方向外側にあるゴムの損失正接よりも小さいゴムから成る異種ゴム層であり、かつ、左,右の異種ゴム層の厚みが互いに異なっていることを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  3. ベルト層とこのベルト層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドゴムとを備えた二輪車用空気入りタイヤであって、左,右のショルダー部のトレッドゴムのタイヤ径方向内側にそれぞれ異種ゴム層を備えており、これらの異種ゴム層は、幅がトレッド展開幅の5%〜25%の範囲にあり、トレッド端部側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の5%〜14%の範囲にあり、トレッドセンター側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の15%〜30%の範囲にあり、ゴムの損失正接が当該異種ゴム層よりもタイヤ径方向外側にあるゴムの損失正接よりも小さいゴムから成る異種ゴム層であり、かつ、左,右の異種ゴム層の幅が互いに異なっていることを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  4. ベルト層とこのベルト層のタイヤ径方向外側に配置されたトレッドゴムとを備えた二輪車用空気入りタイヤであって、左,右いずれか一方のショルダー部のトレッドゴムはタイヤ径方向内側に異種ゴム層を備えており、上記異種ゴム層は、幅がトレッド展開幅の5%〜25%の範囲にあり、トレッド端部側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の5%〜14%の範囲にあり、トレッドセンター側の端部の位置がトレッド端部から測ってトレッド展開幅の15%〜30%の範囲にあり、ゴムの損失正接が当該異種ゴム層よりもタイヤ径方向外側にあるゴムの損失正接よりも小さいことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  5. 上記異種ゴム層の厚さはトレッドゴムの厚さの20%〜70%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  6. 上記トレッドゴムのトレッド端部とトレッド端部から測ってトレッド展開幅の10%の位置までの間の平均的なトレッドゴムの厚さは、トレッド端部から測ってトレッド展開幅の10%の位置から25%の位置までの間の平均的なトレッドゴムの厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  7. トレッドセンター部には複数のゴム層がタイヤ径方向に積層されており、内部のゴム層の少なくとも一層のゴムの損失正接は、トレッド表面に配置されているゴム層のゴムの損失正接よりも小さいことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  8. トレッドセンター部のトレッド表面に配置されているゴムと上記異種ゴム層のタイヤ表面側に隣接するゴムとが連続的に繋がっていることを特徴とする請求項7に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  9. トレッドセンター部の最内層のゴム層がトレッド端部側まで延長されており、かつ、上記延長された部分が異種ゴム層の径方向内側に隣接して配置されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  10. トレッドセンター部の最内層のゴム層のゴムは上記異種ゴム層のゴムと同じであり、かつ、上記最内層のゴム層と上記異種ゴム層とが連続的に繋がっていることを特徴とする請求項9に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  11. トレッド端部の壁面の少なくとも一部に幅が6mm以下の硬質ゴムが配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  12. 上記トレッドゴムの少なくとも一部は、幅狭長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に沿って螺旋状に重ねて巻付けて成型されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  13. 補強部材のタイヤ赤道方向に対する配列角度が0度〜5度であるスパイラルベルト層を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  14. 上記スパイラルベルト層のタイヤ径方向外側に、補強部材のタイヤ赤道方向に対する配列角度が80度〜90度であるベルト層が配置されていることを特徴とする請求項13に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  15. 上記スパイラルベルト層と上記ベルト層との間に、厚みが0.3mm〜3.0mmの緩衝ゴム層が配置されていることを特徴とする請求項14に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  16. 上記スパイラルベルト層の幅がトレッド展開幅の60%〜90%であることを特徴とする請求項13〜請求項15のいずれかに記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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