JP5182743B2 - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
領域A:最大CA(45度〜55度)の時にのみ使用され、横入力を受ける。最大CA時の横グリップの発生に大きく寄与する(特に、接地形状が半月形状の場合)。
領域B:最大CA(45度〜55度)の時に主体的に使う。最大CA時の横グリップの発生に大きく寄与する(特に、接地形状が楕円形状の場合)。また、CA40度の時にも接地しており、領域Aよりは使用頻度が高い。
領域C:最大CA(45度〜55度)の時にも使われる。さらに、最大CAに達する過程で使われ、特にリアタイヤの場合は、CA40度の本格加速開始時点で中心的に使われるため、摩耗が激しい部位である。領域Aや領域Bと比べると明らかに使用頻度が高い。また、CA40度の時には接地形状の中心となり、接地長が伸びるため、横方向の剪断も大きくなり、摩耗に厳しい。
前記トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に異種ゴムが配置され、該異種ゴムのトレッド表面における配設幅が、トレッド端からトレッド展開幅の5%〜14%の範囲内であり、該異種ゴムのショアA硬度が、該異種ゴムのタイヤ幅方向内側に隣接して配置されたゴムのショアA硬度よりも小さく、
前記トレッド部のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であるスパイラルベルトを備え、かつ、該スパイラルベルトの配設幅が、トレッド展開幅の60%以上90%以下の範囲内であり、該スパイラルベルトが、前記異種ゴムとタイヤ幅方向に重ならないよう配設されていることを特徴とするものである。
図1に、本発明の一好適例の二輪車用空気入りタイヤの幅方向断面図を示す。図示するように、本発明の二輪車用タイヤは、左右一対のビード部11にそれぞれ埋設された一対のビードコア1と、一方のビード部から他方のビード部にトロイド状に跨って延在する少なくとも1枚のカーカス2と、そのタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも1枚のベルト3と、環状に形成されてその半径方向外側に配置されたトレッド部12とを備えている。
(第一の実施形態)
下記条件に従い、タイヤサイズ190/50ZR17にて、二輪車用空気入りタイヤを作製した。各供試タイヤは、一対のビードコア間にトロイド状に跨って延在するカーカスプライ(ボディプライ)の1枚からなるカーカスを備えており、カーカスプライには、ナイロン繊維を撚った直径0.6mmのコードを、打ち込み間隔65本/50mmで平行に並べて、未加硫ゴムでシート状にしたものを使用した。また、カーカスの配設方向はラジアル(タイヤ周方向に対する角度が90度)とした。さらに、カーカスの端部は、ビード部において、ビードコアの周りにタイヤ内側から外側に巻き回されて固定されている。
トレッド部の全領域を、単一種のゴムにて作製した。この従来例1のトレッドゴムの温度50℃における動的弾性率E’は4.0MPaであった。この動的弾性率E’の値を100として、以下、各ゴムの同弾性率を指数にて示す。また、スパイラルベルトの配設幅は、240mmとした。
図1に示すように、トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に、配設幅(トレッド表面の幅)25mm、深さ4mmにて、異種ゴム6を配置した。この異種ゴムの動的弾性率E’の指数値は70であった。また、異種ゴムと、そのタイヤ幅方向内側に隣接して配置されたゴムの深さ方向の境界は、深さ方向に垂直であり、傾いていなかった。さらに、トレッドセンター部は2層に分かれており、その表層ゴムは、トレッド端部の柔らかい異種ゴム6のセンター寄りに隣接するゴムと同じであり、動的弾性率E’の指数値は100であった。一方、内層ゴム12Aとしては、動的弾性率E’の指数値150のゴムを用いた。内層ゴム12Aの配設幅は、120mmであった。さらに、スパイラルベルトの配設幅は、トレッド展開幅の75%であり、180mmであった。
トレッドセンター部を実施例1と同様の構成で2層にした以外は、従来例1と同様にして、従来例2の供試タイヤを作製した。
スパイラルベルトの配設幅を変えた以外は従来例2と同様にして、比較例1の供試タイヤを作製した。
上記実施例1の供試タイヤを基本構造として、異種ゴムの配設条件およびスパイラルベルトの配設幅をそれぞれ下記の表中に示すように変えて、各実施例、参考例および比較例の供試タイヤを準備した。
トレッド端部からトレッド展開幅の10%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みが、その他の部分よりも0.7mm薄くなるようにした以外は、従来例2と同様にして、比較例9の供試タイヤを作製した。
作製した各供試タイヤについて、CA50度における横力測定を実施した。直径3mのスチール製のドラムに、#40番の紙やすりを貼り付けて路面に見立てた。各供試タイヤは、リム幅6インチ、リム径17インチのホイールに組み、内圧240kPaを充填した。このタイヤを、CA50度、荷重1500N、SA0度でドラムに押し付けて、時速40km/hで回転させ、このときの横力を、タイヤの回転軸に取り付けた3分力計から測定した。横力がキャンバースラストである。横力の測定は、タイヤが回転し始めて5分の時のものを計測した。このときタイヤは十分に温まり、ショルダー部のトレッド温度は約50℃になっていた。結果は、従来例1の横力を100として指数で示した。なお、従来例1の横力は1350Nであった。
転がり抵抗の試験は、転がり抵抗試験機を用いて、内圧240kPa、荷重1500N、スリップ角度(SA)0度、CA0度、時速80kmで測定して評価した。結果は、従来例1の転がり抵抗を100として、指数で示した。指数が小さいほど抵抗が少なく、燃費の節約ができる。
テストコースで、熟練ライダーによる総合的な操縦安定性能の試験(操安試験)を実施した。各供試タイヤはリア用のタイヤであったため、リアタイヤのみを交換して実車試験を行った。フロントタイヤは常に従来のもので固定した。各供試タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車に装着して、テストコースで実車走行させ、車両を大きく倒した旋回時操縦安定性(コーナリング性能)を中心に評価し、テストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価した。テストコースのレイアウトは、速度50km/h前後でCA50度まで倒すコーナーを6箇所設け、特に大きく倒した時の横グリップ性能を確認できるように特設した。1周のラップタイムは約60秒ほどであり、これを15周した。ライダーには、15周での総合的な官能評点をつけてもらった。
上記実車テストを行う前に、タイヤの重量を測定しておいた。その後、テストコースを15周した後に、タイヤに付着したゴムかすや小石などの付着物を綺麗に取り除いてタイヤの重量を測定し、新品時からの重量差を摩耗量として評価した。特設したテストコースはコーナーが多かったため、摩耗はショルダー部で集中的に発生した。つまり、この重量差を、新品時からのショルダー部の摩耗量と考えることができる。従来例1のタイヤの摩耗重量を100として、各供試タイヤの摩耗量を指数で比較した。
*2)異種ゴムの厚み(mm)、および、この厚みがトレッドゴムの総厚みに占める比率を示す。
*3)括弧内は、トレッド展開幅に対する比率(%)を示す。
*4)2層の場合の幅は、常に120mmである。
従来例2と比較例1、比較例5と実施例1を比べることで、柔らかい異種ゴムをトレッドショルダー部の表面に配置すること、および、スパイラルベルトの幅を狭くすることの効果がわかる。
従来例2、比較例1、実施例1〜3および比較例2〜4の結果を比較することで、配設幅による効果がわかる。従来例2(表面ゴム無し)に比べて、15mm〜45mmの表面ゴムを配置したものは、いずれもドラムでの横力=キャンバースラストが向上しており、横グリップ向上の効果があることがわかる。さらに、比較例1と比べることで、柔らかい異種ゴムを配置することのみの効果がわかる。比較例2は幅が10mmのものであるが、幅が10mmであると、表面ゴムが接触する面積が小さすぎて、比較例1と比べた場合の横力の向上効果がほとんどない。また、幅が25mm以上になると、横グリップ向上の割合がほぼ一定になっており、幅が25mm程度あれば、十分に横グリップを向上できることがわかる。逆に、ある程度の幅があれば、それ以上幅を広くしても横グリップの向上効果は薄れることもわかる。この傾向は、テストコースでの操縦安定性能評点にも現れており、幅が25mm以上あれば、評点が10点で同じレベルとなることがわかる。
従来例2、比較例5〜7、参考例1〜2、実施例4〜5を比べることで、スパイラルベルトの幅の効果がわかる。比較例5は、スパイラルベルトの幅がトレッドの展開幅と同じで100%の場合である。スパイラルベルトの幅は、220mm(92%)のように20mm狭くしただけでは効果は少ない。また、スパイラルベルトの幅は、140mm(58%)のように狭くしすぎると効果がなくなる。スパイラルベルトの幅を狭くしすぎると、図5において、領域Cのスパイラルベルトが存在しなくなり、領域Cでもベルトが周方向に伸びてしまうからである。トレッド幅が240mmの本実施例では、CA50度における接地幅は60mm程度である。スパイラルベルトの幅が140mmであると、スパイラルベルトが巻かれていない部分が両トレッド端部に50mmずつあることになり、接地幅60mmのうち、50mmの領域にスパイラルベルトが巻かれていないことになる。
従来例2、比較例1、実施例1、8、9、10および比較例8の比較から、異種ゴムの厚みの効果がわかる。厚みが1mm、2mm、4mm、5mmのものはいずれも比較例1よりもドラムでの横力指数が高く、また、テストコースでの評点も高かった。しかし、比較例8は、従来例2と比べるとドラムの横力指数が向上しているが、比較例1と比べると横力指数が1%低く、柔らかいゴムをトレッド端部に配置したにもかかわらず、横力が低下してしまった。これは、トレッド端部のトレッド剛性が低下したためであり、ゴムが柔らかく路面に食い込みやすくて摩擦係数が上がったとしても、トレッドの横剪断剛性が低下したために、横力が出なくなったからである。このように、トレッドの厚み全体に柔らかいゴムを配置しても効果は得られず、各実施例におけるようにトレッド端部の表面にのみ柔らかいゴムを配置することが効果的であることが確認できた。
従来例1と従来例2との比較、および実施例12と実施例1との比較より、トレッドセンター部を2層とすることの効果がわかる。本実施形態では、従来例のようにトレッド端部に柔らかい異種ゴムを配置していない場合には、センター部を2層化した場合と2層化しない場合とで、ドラムでの横力指数に差はなかった。しかし、実施例のようにタイヤショルダー部に異種ゴムを配置して2層化し、さらにスパイラルの幅を狭くして、横力を大きく発生させる構造にした場合には、トレッドセンター部を2層にした方がさらに横力が高まっていることがわかる。これは、タイヤの横力が強まったことにより、タイヤの骨格部材の横変形量が増えているためであり、トレッドセンター部の内部のゴムを固くすることで、タイヤセンター部の剛性が高まったからである。
実施例1の構造を基準として、異種ゴムの動的弾性率を変更した各タイヤを比較することで、動的弾性率の影響がわかる。まず、実施例1、9、10、11、従来例2および比較例1の比較から、実施例はいずれも、従来例2に比べると高い効果があることがわかる。また、ゴムの弾性率については、比較例1と比べることで検討した。異種ゴムの弾性率指数が90であると効果は少ない。これは、硬さの差が少ないため、効果が薄れるからである。また、異種ゴムの弾性率指数が30であると、横力向上効果が少ないが、これは、ゴムが柔らかくなり、路面への食い込みは非常に増して摩擦係数は向上するものの、ゴムが柔らかすぎてトレッドの横剪断剛性が低下し、その摩擦係数の向上分を相殺してしまうからである。また、摩耗性能も比較例1と比べると大きく悪化している。
実施例13および比較例9は、トレッド端部からトレッド展開幅の10%までの領域のトレッドゴムの平均の厚みが、その他の部分よりも0.7mm薄くなるように製造したタイヤである。他の部分の厚みは7mmであり、均一である。厚みは、上記範囲で、端部に向かうにつれて徐々に薄くなっている。実施例13については、表面の柔らかいゴムの厚みはそのまま維持し、内部のゴムの厚みを徐々にトレッド端部に向かって薄くした。実施例1と実施例13との比較、および、従来例2と比較例9との比較から、トレッド端部を薄くすることの効果がわかる。
下記条件に従い、タイヤサイズ190/50ZR17にて、二輪車用空気入りタイヤを作製した。各供試タイヤは、一対のビードコア間にトロイド状に跨って延在するカーカスプライ(ボディプライ)の2枚からなるカーカスを備えており、カーカスプライとしては、ケブラー(芳香族ポリアミド)の繊維を撚った直径0.6mmのコードを、タイヤセンター部での打ち込みが40本/50mmになるように配置した。また、2枚のカーカスプライは互いに交錯しており、タイヤセンター部での角度はタイヤ周方向に対して±40度であった。カーカスの端部はビード部に達しており、ビード部において、2枚まとめて、両側からビードワイヤで挟み込まれて固定されている。
トレッドセンター部の両側に、120℃のショアA硬度が35のゴム12Cを配置し、表面に異種ゴムを配置しなかった。これは、図2中のトレッド端部の異種ゴムを取り除き、ショアA硬度が35のゴムに置換した場合に相当する。トレッド端の壁面部における硬質ゴム、および、スパイラルベルトと90度ベルト層との間における緩衝ゴム層につき条件を変えて、各供試タイヤを作製した。また、スパイラルベルトの幅は240mmとした。なお、硬質ゴムとしては120℃のショアA硬度が70のものを使用し、その配置箇所は、図3(C)に示すように、トレッド端部の側面を補強するように、厚みが最大部で4mmとなるよう配置した。また、硬質ゴムは表面には露出せず、高さとしては、表面から1mmの位置より、8mmの位置までに配置した。さらに、緩衝ゴムのゴム種は、90度ベルトを覆っているベルトコーティングゴムと同種であり、厚みは1mmであった。
図2に示すように、トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に、120℃におけるショアA硬度が27である異種ゴム6を、下記表中に示す条件に従い配置した。また、スパイラルベルトの幅は180mm(75%)とした。トレッド端の壁面部における硬質ゴム、および、スパイラルベルトと90度ベルト層との間における緩衝ゴム層につき条件を変えて、各供試タイヤを作製した。
直径3mのスチール製のドラムに、#40番の紙やすりを貼り付けて路面に見立てた。各供試タイヤは、リム幅6インチ、リム径17インチのホイールに組み、内圧200kPaを充填した。このタイヤを、CA50度、荷重1500N、SA0度でドラムに押し付けて、時速100km/hで回転させ、このときの横力を、タイヤの回転軸に取り付けた3分力計から測定した。横力がキャンバースラストである。横力の測定は、タイヤが回転し始めて5分の時のものを計測した。このときのショルダー部のトレッド温度は十分に暖められ、約120℃になっていた。結果は、従来例3の横力を100として指数で示した。なお、従来例3の横力は1900Nであった。
次に、各供試タイヤのタイヤ表面を、センター部からショルダー部まで一律に3mm削り取った。このタイヤについて、上記と同じ試験を行い、回転してから5分後のタイヤ横力を計測した。
テストコースで、熟練ライダーによる総合的な操縦安定性能の試験を実施した。各供試タイヤはリア用のタイヤであったため、リアタイヤのみを交換して実車試験を行った。フロントタイヤは常に従来のもので固定した。各供試タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車を改造して、競技用としたバイクを用いて、競技を想定して、サーキットでの走行を実施した。最高速度は320km/hに達した。結果は、テストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価した。なお、テストは20周行い、最初の10周の平均ラップタイムと、最後の10周の平均ラップタイムを求めた。ラップタイムについては明らかにライダーがミスした場合のラップタイムは平均計算から除外した。操縦安定性能のフィーリング評点も、前半の10周と、後半の10周とで分けて評価した。サーキットのレイアウトは、速度80km/h〜120km/hで大きく車体を倒しこむコーナーが4箇所あった。また、20周走行した直後のタイヤ温度は、120℃程度であった。
上記実車テストを行う前に、タイヤの重量を測定しておいた。その後、テストコースを20周した後に、タイヤに付着したゴムかすや小石などの付着物を綺麗に取り除いてタイヤの重量を測定し、新品時からの重量差を摩耗量として評価した。特設したテストコースはコーナーが多かったため、摩耗はショルダー部で集中的に発生した。つまり、この重量差を、新品時からのショルダー部の摩耗量と考えることができる。従来例3のタイヤの摩耗重量を100として、各供試タイヤの摩耗量を指数で比較した。なお、従来例3において、サーキットを20周した時のショルダー部の摩耗量は4mmに達していた。
*2)異種ゴムの厚み(mm)、および、この厚みがトレッドゴムの総厚みに占める比率(%)を示す。
*3)括弧内は、トレッド展開幅に対する比率(%)を示す。
*5)異種ゴムと、そのタイヤ幅方向内側に隣接して配置されたゴムとの深さ方向の境界の形状を示す。
*6)トレッド端の壁面部における硬質ゴムの有無を示す。
*7)スパイラルベルトと90度ベルト層との間における緩衝ゴム層の有無を示す。
従来例3、実施例14および比較例12を比べることで、異種ゴム配置による効果がわかる。実施例14は、従来例3と比べて、新品時および3mmトレッドを削り取った時のいずれの横力指数も向上している。また、サーキットを走行した時のラップタイムも1.5秒以上速くなっており、効果が明確である。さらに、摩耗量についても、実施例14は従来例3より良化している。これは、このような競技用のタイヤでは、エンジンパワーが強化されて高いため、コーナーからの脱出のときの加速時における駆動力が非常に強く、タイヤが滑りながら加速するからである。そのため、タイヤのグリップ力を増すと、タイヤの滑りが抑制され、摩耗量を減らすことができる。実施例14のように、横グリップ力が10%以上も増すと、加速時に横方向にタイヤがしっかりグリップするため、タイヤの無駄な空転を抑制でき、柔らかいゴムをトレッド端部に用いたにもかかわらず、総合的に摩耗が改善されたのである。また、スパイラルベルトの幅を狭くしたことも、周方向のトレッドの変形を抑制して、耐摩耗性を向上させることに寄与している。
実施例14と実施例15との比較から、トレッド端部の表面の異種ゴムを、深さ方向に配設幅が広がるように配置することによる効果がわかる。図3の(A)と(B)との比較である。実施例15では、新品時のタイヤの横力指数も1ポイント増加した。これは、柔らかいゴムが斜めに内側に存在したため、表面に硬いゴムがあっても柔らかいゴムが内部にあることで、硬いゴムが路面に食い込みやすく、摩擦係数が増加したためである。また、摩耗を想定した3mm削り取ったタイヤでのドラム評価では、横力の新品時からの低下量が抑制されている。これは、タイヤの摩耗に伴って、柔らかいゴムの露出量が増していくからである。テストコースでの走行でも、実施例15は実施例14に比べて、走行の後半においても評点が高いことがわかる。
実施例15と16との比較から、硬質ゴムを配置することによる効果がわかる。硬質ゴムの120℃のショアA硬度は70であり、これはトレッドゴムを構成するいずれのゴムよりも硬い。実施例16のように、硬質ゴムを配置することで、柔らかいゴムを表面に配置して、トレッドの横剛性が低下するのを防止することができ、そのため、ドラムの横力指数、サーキットの指数ともに向上した。なお、従来例3のトレッドゴム構成に対し硬質ゴムを適用した場合を比較例10としたが、この場合は、実施例15に硬質ゴムを適用した実施例16に比べて、横力の向上効果が少ない。これは、従来例3は、トレッド端部に硬めのゴムを使用しているため、硬質ゴムで補強しなくても、トレッドの横剪断剛性がある程度保てているからである。本実施例のように、トレッド端部に柔らかいゴムを用いた場合に、硬質ゴムの効果は非常に有効となる。
実施例15と実施例17との比較から、緩衝ゴム層の配置による効果がわかる。実施例17では、90度ベルトとスパイラルベルトとの間に、緩衝ゴム層を配置している。このように、緩衝ゴム層を配置することで、骨格部材の幅方向の剪断剛性を強化しながら、骨格部材が周方向には柔軟に動けるようになり、トレッドの周方向の無駄な剪断を緩和できる。そのため、タイヤの滑りが抑制され、摩耗が減るとともに、グリップも改善される。実施例17が、今回のテストの中で最高の得点と、最速のラップタイムを示している。さらに、摩耗量が極めて少ないことが利点である。これは、競技用のタイヤがグリップが増すと滑りが減って摩耗が良くなる点による。また、スパイラルベルトの幅を狭くすることにより、さらに摩耗性能が向上していることも、走行末期でもラップタイムが低下しにくいことに繋がった。
2 カーカス
3 ベルト層
4 スパイラルベルト
5 交錯ベルト層
6 異種ゴム
7 硬質ゴム
8 幅方向のベルト層
11 ビード部
12 トレッド部
12A 表層ゴム
12B 内層ゴム
12C トレッドセンター部の外側のゴム
13 サイドウォール部
Claims (11)
- 環状に形成されたトレッド部を備える二輪車用空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に異種ゴムが配置され、該異種ゴムのトレッド表面における配設幅が、トレッド端からトレッド展開幅の5%〜14%の範囲内であり、該異種ゴムのショアA硬度が、該異種ゴムのタイヤ幅方向内側に隣接して配置されたゴムのショアA硬度よりも小さく、
前記トレッド部のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であるスパイラルベルトを備え、かつ、該スパイラルベルトの配設幅が、トレッド展開幅の60%以上90%以下の範囲内であり、該スパイラルベルトが、前記異種ゴムとタイヤ幅方向に重ならないよう配設されていることを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。 - 前記スパイラルベルトの配設幅が、トレッド展開幅の66%以上84%以下の範囲内である請求項1記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記トレッド部と前記スパイラルベルトとの間に、タイヤ周方向に対する角度が80度以上90度以下であって、該スパイラルベルトより配設幅の広いベルト層を備える請求項1または2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記スパイラルベルトと前記ベルト層との間の少なくとも一部に、厚み0.3mm以上3mm以下の緩衝ゴム層を有する請求項3記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- トレッド端からトレッド展開幅の10%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みが、トレッド端を基準とするトレッド展開幅の10%から25%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みよりも小さい請求項1〜4のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記異種ゴムの配設幅が、トレッド表面からタイヤ半径方向内側に向かい増大する請求項1〜5のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記異種ゴムの厚みが、トレッドゴムの総厚みの20%以上70%以下である請求項1〜6のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記トレッド部のうち、タイヤ赤道面を中心とするトレッド展開幅の少なくとも15%の領域が、厚み方向に積層された2種のゴムからなる請求項1〜7のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記積層された2種のゴムのうち表層ゴムと、前記異種ゴムに隣接するゴムとが、同種のゴムからなる請求項8記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- トレッド端の壁面部の少なくとも一部に、厚み6mm以下の硬質ゴムが配置されている請求項1〜9のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
- 前記トレッド部の少なくとも一部が、幅狭長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に重ねて巻きつけて形成されてなる請求項1〜10のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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