JP2009061842A - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】トレッドショルダー部の摩耗を抑制しつつ、旋回時における操縦安定性能(横グリップ)の向上を図った二輪車用空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】環状に形成されたトレッド部12を備える二輪車用空気入りタイヤである。トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に異種ゴム6が配置され、異種ゴムのトレッド表面における配設幅が、トレッド端からトレッド展開幅の5%〜17%の範囲内であり、異種ゴムの損失正接tanδの値が、異種ゴムのタイヤ幅方向内側に隣接して配置されたゴムのtanδの値よりも高く、トレッド部のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であるスパイラルベルト4を備え、かつ、スパイラルベルトの配設幅が、トレッド展開幅の60%以上90%以下の範囲内である。
【選択図】図1

Description

本発明は二輪車用空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、トレッド部の改良に係る二輪車用空気入りタイヤに関する。
自動二輪車は、車体を傾けて旋回するという特徴があるため、車体の傾きによって、路面に接地するタイヤの部分が移動する。また、直立時には速度が高く、制動力および駆動力の前後方向(タイヤの赤道方向)の力が加わるが、車体を傾けた旋回時には大きな横力が主体的に加わる。そのため、二輪車用タイヤのショルダー部には、横グリップが求められる。
一方、二輪車用タイヤのセンター部については、市販のタイヤでは、直進走行の頻度が高いため、耐摩耗性の高いゴムを用いることが多い。また、レースや競技用のタイヤにおいては、直進時の速度が非常に高いため、発熱しにくいゴムをトレッドセンター部に配置したり、トレッドセンター部を2層構造として、内部には発熱しにくいゴムを、外部にはグリップの高いゴムを、それぞれ配置するなどの工夫がなされている。
ところで、ゴムの特性として、損失正接tanδは、ゴムと路面のグリップ力(摩擦係数)に非常に大きな意味を持つ。tanδが高いゴムは、ゴムの変形に伴ってエネルギーロスが多く、グリップ力が高い。しかし、エネルギーロスが高いために、繰り返し変形をした場合にゴム自体が発熱するという特性がある。また、発熱したゴムは柔らかくなる特性があり、あまりにもタイヤのトレッドゴムが発熱するとトレッドの剛性が低下して、操縦安定性能が悪化することがある。つまり、tanδの高いゴムはグリップが良い反面、発熱しやすく、繰り返し使用した場合にゴムが柔らかくなりやすい。
特に、バイクレースや、一般消費者の場合でも激しいライディングを行った際には、走行中にタイヤショルダー部が発熱して、走行に伴う旋回性能の低下が生じたり、発熱によりゴムが柔らかくなってトレッド剛性が低下し、タイヤが滑りやすくなるためにショルダー部の摩耗が進んだり、ショルダー部のゴムが劣化したりする。
従来、かかる二輪車用空気入りタイヤのショルダー部のトレッドゴムについては、グリップを向上させることを主眼として、グリップの高い、すなわち、摩擦係数が高くなる、損失正接tanδの大きいゴムを使うことが一般的であった。例えば、特許文献1には、旋回時のグリップ性を高めることを目的として、自動二輪車用タイヤのショルダーゴム部の損失正接tanδ1を、0.2〜0.4であってかつ、中央ゴム部の損失正接tanδ2よりも大とすることが開示されている。
特開2006−256385号公報(特許請求の範囲等)
前述したように、二輪車用の空気入りタイヤでは、二輪車が車体を傾けて旋回することから、直進時と旋回時では、タイヤトレッド部が路面と接する場所が異なる。つまり、直進時にはトレッドの中央部分を使用し、旋回時にはトレッドの端部を使用するという特徴がある。
特に、旋回時にはタイヤの横方向(幅方向)に対してグリップすることが求められるが、二輪車を速く旋回させるには、旋回速度にともなって大きくなる遠心力と釣り合わせるために車体を大きく倒す必要があり、さらにその遠心力に対抗できるようにタイヤがグリップできなければならない。つまり、車体を大きく傾けたときにタイヤのグリップが不足する場合には、速く旋回できないことになるため、ここでのグリップが旋回性能に及ぼす影響は非常に大きい。一方で、トレッドの端部には、旋回時に加わる横力により大きな負担がかかることから、走行に伴う摩耗の抑制についても重要な課題となる。
したがって、二輪車用タイヤのショルダー部については、旋回時のグリップ性能、すなわち操縦安定性能に優れることに加え、走行に伴うトレッドの摩耗を抑制できることが要求されており、これらの要請を高度に満足し得る二輪車用空気入りタイヤが求められていた。
そこで本発明の目的は、トレッドショルダー部の摩耗を抑制しつつ、旋回時における操縦安定性能(横グリップ)の向上を図った二輪車用空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは、二輪車用タイヤにおいて旋回時のグリップをさらに向上させるために鋭意研究を行い、特にバイク車輌が最も倒れるバンク角度(キャンバー角度,以下、キャンバーアングルとして「CA」と称する)45〜50度付近のグリップを集中的に向上させることに取り組んだ。これは、例えばレースにおいては旋回速度が非常に重要であり、旋回速度が速ければコーナーの次のストレートの速度も伸びて、結果的にラップタイムが向上するからである。また、一般道路での走行においても、旋回時のグリップを増すことにより、安全性に貢献できる。
自動二輪車用のタイヤでは、特に車体を大きく倒した場合の旋回性能については、タイヤのトレッドの片側の端部が接地して、グリップを発生させている。車体を大きく倒して旋回する場合、タイヤは、図4に示すような接地状態となる。このときの接地形状について考察する。
バイク車体が大きく倒れて旋回する場合、すなわち、タイヤのCAが45〜55度で旋回する場合、タイヤのトレッド幅(全幅)のほぼ1/4が接地する。この旋回時に接地している1/4の領域を3等分して、トレッド端から領域A,領域B,領域Cとする。
ここで、タイヤの幅方向断面でのトレッド変形を考える。トレッドの変形により、タイヤに横力が発生するからである。横方向のトレッドの変形は、キャンバースラスト(横力)を発生させる。
図4はCA50度でタイヤが接地して回転しているときの断面を示したものであり、タイヤ断面図の下には、接地部の形状を示している。図示するように、それぞれのタイヤによって、接地形状は楕円の一部が欠けた形状であったり、半月状であったりする。
図4の略楕円型接地形状の場合の、領域Bのトレッドの幅方向の変形について述べる。領域Bのトレッドの表面、すなわち路面に接する点をQとし、Q点の内側のトレッドの最深部の点をP点とすると、これらP点およびQ点は、接地転動時において、図示するような軌跡を描く。P点はトレッドがタイヤのベルト(骨格部材)に接している点であり、タイヤがCAをつけて傾いて転動するため、弓なりの曲線を描く。これに対し、Q点はトレッド表面が路面に接触した時に路面に固定され、路面の方向に、すなわちタイヤの進行方向に直線的に動く。この動きの差によりトレッドは横剪断を受ける。これはちょうど弓と弦の関係であり、荷重直下で最大の横剪断を受ける。この横剪断量によってトレッドが横の変形を受け、トレッドが横に剪断されるため、横力(キャンバースラスト)が発生する。
このようなキャンバースラスト発生の仕組みから、接地長(接地形状のタイヤ周方向=赤道方向の長さ)が長い方がP点とQ点との軌跡の差が広がり、大きくトレッドが剪断されることになる。反対に接地長が短いと、トレッドの剪断量(横方向=タイヤ幅方向の剪断)は少ない。したがって図示するように、接地形状が略楕円型の場合は、領域Bで最も大きな剪断を受け、次いで領域Aが剪断が大きく、領域Cの剪断は少ない。一方、接地形状が半月型の場合は、領域Bおよび領域Aで大きな剪断を受け、領域Cの剪断は少ない。つまり、CAが45度〜55度の大CA時の旋回では、領域Bや領域Aが横力を大きく稼ぐ部位である。
一方、バイクの傾き角(バンク角、CA)を観察すると、CA45度〜55度以上には、バイクは倒れない。つまり、領域Aは、バイクが最大角度で傾いた時のみに接地する領域である。また、領域Bについても、バイクが大きく傾いた時を中心に使われる。これに対し、領域Cは、バイクが大きく傾いてからやや傾きが戻った領域、つまりCA40度近辺で特によく使われる部分である。つまり、領域Cは、バイクを傾けていく過程で使い、更に大きく倒した時も使い、さらにバイクを加速させて直立する過程でも使う。特に、摩耗の大きいリアタイヤについて考えると、この領域Cは、バイクを大きく倒して、そこから加速するときに使う領域であり、すなわちCA40度近辺でバイクは大きな駆動力を伝えることが多いため、領域Cは加速時の前後方向の駆動入力と、横方向の横入力との両方を頻度高く受ける領域であると言える。そのため、この領域Cは、トレッドの摩耗が進む部位である。
以上のことをまとめると、以下のことが言える。
領域A:最大CA(45度〜55度)の時にのみ使用され、横入力を受ける。最大CA時の横グリップの発生に大きく寄与する(特に、接地形状が半月形状の場合)。
領域B:最大CA(45度〜55度)の時に主体的に使う。最大CA時の横グリップの発生に大きく寄与する(特に、接地形状が楕円形状の場合)。また、CA40度の時にも接地しており、領域Aよりは使用頻度が高い。
領域C:最大CA(45度〜55度)の時にも使われる。さらに、最大CAに達する過程で使われ、特にリアタイヤの場合は、CA40度の本格加速開始時点で中心的に使われるため、摩耗が激しい部位である。領域Aや領域Bと比べると明らかに使用頻度が高い。また、CA40度の時には接地形状の中心となり、接地長が伸びるため、横方向の剪断も大きくなり、摩耗に厳しい。
一方、前述したように、トレッドゴムの特性として、tanδが大きいとエネルギー損失が大きく、グリップ力が高い半面、発熱が大きくなる。発熱してしまうとゴムは柔らかくなるため、トレッドゴムの厚い二輪車用タイヤにおいてはトレッドゴムの横剪断剛性が低下して、タイヤがグニャグニャして操縦安定性能が損なわれ、さらに滑りが増えるため摩耗が促進されてしまう。二輪車用のタイヤでは、旋回時にグリップが必要であるため、タイヤのショルダー部にtanδの高いゴムを配置することが普通であるが、CA45〜50度の高速旋回の頻度が多いと、タイヤのショルダー部が発熱して、上記の弊害が起こる。
特に、高速で旋回するバイクレースのような厳しい使用状態では、歪の繰り返し変形が高周波で与えられるため、発熱が極めて高く、120℃を超える場合もある。このような使用条件下では、tanδの高いゴムほど発熱が高くなり、繰り返しの使用によりトレッドゴムが異常加熱して、ゴムの軟化によりトレッドの剪断剛性が低下し、操縦安定性能が悪化するばかりか、摩耗が促進的に進むことになる。いわゆるレースにおいてタイヤが「たれる」現象が発生する。さらに、トレッドが高温になると、トレッド部のゴムが劣化しやすくなる。厳しい入力の高速走行を含むバイクレースにおいてトレッドの温度が高くなりすぎると、ゴムの中に気泡が生じて、気泡から亀裂が進展してトレッドゴムの一部が脱落する場合もある。
特に、トレッドゴムの軟化は二輪車用タイヤの場合は致命的である。二輪車用タイヤでは、キャンバースラストで横力を発生させるが、キャンバースラストは、図4のP点およびQ点の軌跡で示したように、横剪断変位が決まっている。つまり、タイヤの寸法と、タイヤのCAが決まると、ベルトの軌跡が幾何学的に決まってしまい、P点とQ点の軌跡が最大に離れる距離が、トレッドを横に剪断できる量となる。
以上の特徴的なベルト挙動から、トレッドゴムの弾性率が低下すると、同じ変位が与えられた時の反力が低下することになる。トレッドゴムが発熱して柔らかくなると、同じ変位を与えた時のゴムの反力が低下し、すなわち、タイヤが発生する横力が低下することになる。このようなことから、トレッドゴムには、発熱を抑制しつつ最大のグリップを出せることが必要とされる。グリップを発生させるためにはtanδの高いゴムが適しているが、発熱を抑制するためにはtanδの低いゴムが良いことになる。
また、大CAで旋回しているときのトレッドの動きについてさらに考察した。図5に、タイヤがCA50度で旋回する時のトレッドのタイヤ周方向断面についての挙動を示す。図示するように、トレッドの周方向の変形は、領域Aと領域Cとで異なっている。これは、接地形状のセンター寄りの領域Cと、接地形状のトレッド端部寄りの領域Aとで、ベルトの速度が異なるからである。二輪車のタイヤは幅方向断面において大きな丸みを持っているため、回転軸からベルトまでの距離であるベルト半径が、領域A(RA)と領域C(RC)とでは、領域C(RC)の方が大きい。したがって、ベルトの速度、つまりトレッドが路面に接触してからタイヤの回転が進み、トレッドが路面から離れるまでのベルト速度が、領域Cの方が速い。ベルト半径に、タイヤの回転角速度をかけたものがベルトの速度になるからであり、タイヤの回転速度は領域Aも領域Cも同じだからである。このベルトの周方向の速度差により、タイヤのセンター寄りの領域Cではトレッドがドライビング状態となり、タイヤのトレッド端部寄りの領域Aではブレーキング状態となる。ここで、ドライビングとは、タイヤを周方向に沿って輪切りにした場合に、そのトレッドの変形が、トレッド内面(タイヤ内部の骨格部材に接している面)がタイヤ進行方向後方にせん断され、路面に接地しているトレッド表面がタイヤ進行方向前方に変形しているせん断状態であり、ちょうどタイヤに駆動力をかけたときに起こる変形である。一方、ブレーキングはドライビングの逆であり、トレッドの変形はタイヤ内部側(ベルト)が前方にせん断され、路面に接地しているトレッド表面が後方に変形しているせん断状態であり、制動したときのタイヤの動きとなる。
この周方向のトレッドの変形は、タイヤが駆動力も制動力も受けずに、遊輪状態で転がるだけで発生する。そして、この周方向の剪断変形によって、領域Aと領域Cとでトレッドが路面から滑りやすくなり、摩耗が進む。図5に示すように、トレッドの表面が路面に接してから、タイヤの回転に伴ってトレッドの周方向の変形は徐々に増していく。そして、蹴り出し(トレッドが路面から離れること)直前にトレッドの周方向の変形は最大となる。蹴り出し時に接地圧が弱くなると、トレッドが路面から滑るため、摩耗が発生する。このような旋回中の余計な変形は、タイヤショルダー部に偏摩耗を起こしやすいので、無い方がよい。また、このような余計な周方向の動きはタイヤが1回転するたびに繰り返される。そのため、ゴムに周期的な変形が加わることになり、ゴムが発熱しやすくなる。この周方向の動きは、横方向のグリップには全く寄与しない無駄な動きであり、この変形によってゴムの発熱が促進され、また、ゴムの摩耗も促進される。特に、グリップを高めるためにtanδの高いゴムを用いた場合には、横方向の変形だけではなく、上記の周方向の無駄な変形によって、発熱が促進されてしまうという問題がある。
上記の観点から、本発明者らはさらに検討した結果、グリップに寄与するトレッドショルダー部の中でも、最大CA時の横力の発生に寄与するトレッド表面の領域Aから領域Bにかけての部分と、使用頻度が高く摩耗が激しい領域Cとについて、それぞれ異なるゴムを配置するとともに、特定の範囲に周方向のベルト部材を配置することで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の二輪車用空気入りタイヤは、環状に形成されたトレッド部を備える二輪車用空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に異種ゴムが配置され、該異種ゴムのトレッド表面における配設幅が、トレッド端からトレッド展開幅の5%〜17%の範囲内であり、該異種ゴムの損失正接tanδの値が、該異種ゴムのタイヤ幅方向内側に隣接して配置されたゴムのtanδの値よりも高く、
前記トレッド部のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であるスパイラルベルトを備え、かつ、該スパイラルベルトの配設幅が、トレッド展開幅の60%以上90%以下の範囲内であることを特徴とするものである。
本発明においては、前記スパイラルベルトの配設幅が、トレッド展開幅の66%以上84%以下の範囲内であることが好ましく、特には、前記スパイラルベルトが、前記異種ゴムとタイヤ幅方向に重ならないよう配設されていることが好ましい。また、本発明のタイヤは、前記トレッド部と前記スパイラルベルトとの間に、タイヤ周方向に対する角度が80度以上90度以下であって、該スパイラルベルトより配設幅の広いベルト層を備えることが好ましく、この場合、より好ましくは、前記スパイラルベルトと前記ベルト層との間の少なくとも一部に、厚み0.3mm以上3mm以下である緩衝ゴム層を有するものとする。
さらに、本発明においては、トレッド端からトレッド展開幅の10%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みが、トレッド端を基準とするトレッド展開幅の17%から25%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みよりも小さいことが好ましく、前記異種ゴムの配設幅が、トレッド表面からタイヤ半径方向内側に向かい増大することも好ましい。さらにまた、前記異種ゴムの厚みは、好適には、トレッドゴムの総厚みの20%以上70%以下である。
さらにまた、本発明においては、前記トレッド部のうち、タイヤ赤道面を中心とするトレッド展開幅の少なくとも15%の領域が、厚み方向に積層された2種のゴムからなることが好ましい。さらにまた、前記積層された2種のゴムのうち表層ゴムと、前記異種ゴムに隣接するゴムとが、同種のゴムからなることが好ましい。さらにまた、本発明においては、トレッド端の壁面部の少なくとも一部に、厚み6mm以下の硬質ゴムを配置することが好ましく、前記トレッド部の少なくとも一部を、幅狭長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に重ねて巻きつけて形成することも好ましい。さらにまた、前記異種ゴムのトレッド表面における配設幅は、好適には、トレッド端からトレッド展開幅の5%〜14%の範囲内である。
本発明によれば、上記構成としたことにより、トレッドショルダー部の摩耗を抑制しつつ、旋回時、特に大CAでの旋回時における操縦安定性能(横グリップ)の向上を図った二輪車用空気入りタイヤを実現することが可能となった。また、本発明においては、摩耗しても横グリップを維持することができ、特に、競技用タイヤとして使用したときに、グリップおよび耐摩耗性に優れたタイヤを提供できるものである。
以下、本発明の好適実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の一好適例の二輪車用空気入りタイヤの幅方向断面図を示す。図示するように、本発明の二輪車用タイヤは、左右一対のビード部11にそれぞれ埋設された一対のビードコア1と、一方のビード部から他方のビード部にトロイド状に跨って延在する少なくとも1枚のカーカス2と、そのタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも1枚のベルト3と、環状に形成されてその半径方向外側に配置されたトレッド部12とを備えている。
本発明のタイヤにおいては、トレッド部12表面のタイヤ幅方向両端部に異種ゴム6が配置され、この異種ゴム6のトレッド表面における配設幅が、トレッド端からトレッド展開幅の5%〜17%の範囲内である。ここで、トレッドを展開するとは、幅方向に丸みをもつトレッドを、弧の長さを直線にするように平面にするという意味であり、トレッド展開幅とは、タイヤ幅方向断面において、トレッドの一方の端部から他方の端部までのトレッド表面の曲面に沿った幅である。本発明においては、この展開幅を100としたときに、トレッド部のタイヤ幅方向両端部のトレッド端から5〜17の範囲の表面に、tanδの高い異種ゴム6を配置している。なお、この配設幅の定義はトレッド部表面での幅であり、異種ゴム6の幅が深さ方向で異なっている場合でも、トレッド表面での幅を、上記配設幅とする。
すなわち、本発明においては、トレッドの両端部において、トレッド表面とトレッド内部とでゴム種を変えて、トレッド表面にtanδの高いゴムを配置する。トレッド端部のトレッド表面にtanδの高いゴムを配置するのは、この表面ゴムがアスファルトなどの骨材の細かい凹凸に食い込んでゴムの局部的な変形が大きくなった際に、tanδの高いゴムはエネルギーロスが高く、そのため摩擦係数が高くなってグリップが良くなるからである。一方で、先に述べたように、tanδの高いゴムは発熱しやすいという問題がある。発熱するとゴムは軟化する。二輪車のショルダー部トレッドは入力が厳しく、長時間使用すると、tanδの高いゴムは発熱が大きいために、ゴムが軟化して操縦安定性能が悪化する。そのため本発明では、使用頻度の低い部位のトレッドの表面だけにtanδの高いゴムを使用して、摩擦力を稼ぐとともに、内部にはtanδの低いゴムを使用する。使用頻度の低い領域とは、大CA時にだけ接地する図4の領域Aや領域Bであり、かつ、横グリップの寄与の大きい領域であるため、tanδを高めて摩擦抵抗を増大させることで、横力を稼ぐことができる。
本発明においてゴムのtanδは、例えば、周波数15Hz、歪5%の変位をサイン波でゴムのサンプルに加え、そのときの反力を計測することで測定することができる。かかるtanδの測定温度としては、一般の消費者向けのタイヤでは50℃とすることが好ましく、競技用のタイヤでは100℃以上とすることが好ましい。特に、自動二輪車の競技用のタイヤの場合は、ショルダー部のトレッド温度が100℃を超える場合もあるので、目的に応じて100℃以上、例えば100℃でのtanδを計測して、本発明におけるtanδとする。tanδの測定は、具体的には例えば、レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を用いて、温度50℃、周波数15Hz、歪5%の条件で行うことができる。
異種ゴム6のtanδは、隣接ゴムのtanδの1.1〜2.0倍とすることができる。異種ゴム6のtanδが小さすぎると効果が少なく、異種ゴムを配設する意味がなくなってしまう。一方、このtanδが大きすぎると、隣接ゴムとの性質が異なりすぎて、両者の間で剥離が生じたり、段差を生じた摩耗が起こりやすくなり、いずれも好ましくない。
本発明において、異種ゴム6の配設幅をトレッド展開幅の5%以上17%以下とする根拠は、図4を用いて説明したように、大CA時のトレッドの使われ方に基づく。図4において、大CA時に接地する領域は、トレッドの展開幅の1/4、つまり25%の領域である。横力に寄与するのは、図4中の領域Aおよび領域B、つまり、25%の約2/3程度であり、トレッド端部から17%の領域が、横力に寄与している。特に、領域Aは、CA45〜55度の時にだけ接地する部分であり、使用頻度が低く、そのため発熱の恐れが領域Cよりも少ない。また、大CA時のみにおいて接地して、大きく横力を発生させる。領域Aはトレッド端部からトレッド展開幅の8%くらいまでの領域である。
かかる大CA時の接地特性より、異種ゴム6の配設幅がトレッド展開幅の5%未満では、図4の領域Aには含まれているが、範囲が狭すぎて効果が少なくなる。一方、17%を超えると、図4の領域Cで表される、最大CA時以外にも使われる領域、すなわち、使用頻度が高い領域となり、また、CA40度で大きな駆動力が加わる領域であって、タイヤ表面の滑りも大きく、路面とタイヤ表面が擦れて発熱も高い部位となる。本発明において、tanδの高いゴムは、大CA時にのみ主に使われ(すなわち、使用頻度が少なく)、かつ、横グリップに寄与する部位に配置することが好ましい。つまり、図4の領域Aと、領域Bの範囲が好ましく、そのため、トレッド展開幅の5%以上17%以内とした。好ましくは5%以上14%以内、より好ましくは8%以上14%以下、更に好ましくは10%〜12.5%の範囲である。なお、トレッド展開幅の12.5%は、図4の接地形状の中心の位置である。
また、異種ゴム6のtanδについては、その比較対象は、異種ゴム6のタイヤセンター側に配置されている表面ゴムである。かかるセンター側のゴムは、図4の領域Cに相当する部分、つまり使用頻度が高く、かつ、CA40度で加速時に使われて、滑り摩擦による発熱の大きい部分である。本発明において異種ゴム6は、この領域Cの部分のゴムと比べてtanδが高いことが必要である。
この異種ゴム6の内側には、異種ゴムよりもtanδの低いゴムを使用するが、これは、この領域の発熱を抑える効果があり、このように内部にtanδの低いゴムを配置しておけば、表面の異種ゴムとして思い切ってtanδの高いものを使用できるからである。これにより、効率的に摩擦力を高めることができる。タイヤの製造効率の面からは、このtanδの低い内部ゴムと、上記タイヤセンター側のゴムとを同一とすれば、製造が非常に効率的であり、好ましい。なお、CA40度でタイヤの接地中心になるのは図4の領域Cであり、この部分はトレッド端部を基点とすると、トレッド端部から17%〜25%程度の領域である。この部分にtanδの高いゴムを配置してしまうと、加速時の厳しい入力によって発熱が高くなり、ゴムが軟化してしまい、走行を繰り返している比較的早い段階で操縦安定性能が損なわれる。また、操縦安定性能が損なわれることによって、タイヤの滑りも更に大きくなり、摩耗が促進するため、好ましくない。
また、使用頻度が低いとはいえ、tanδの高いゴムをトレッド端部の表面に配置すると、発熱する。特に、トレッド端部からトレッド展開幅の5〜14%の範囲は、図5の領域Aの部分であり、タイヤが転動するだけで、周方向にトレッドがブレーキング変形を受けて、繰り返しの変形で発熱する。また、周方向に変形を受けている上に、横方向に変形が加わる領域Aは、滑りやすく、ゴムと路面が滑ることで、摩擦熱も発生する。滑りやすいと摩耗も進み好ましくない。そこで、本発明においては、トレッド部のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であるスパイラルベルト4を配置し、その配設幅を、トレッド展開幅の60%以上90%以下の範囲内としている。これは、すなわち、領域Aにスパイラルベルトが存在しないことを意味する。
領域Aにスパイラルベルトが存在しないと、領域Aのベルトがタイヤ周方向に伸びることができる。図5において、領域Aのトレッドが路面に接地してから(踏込み)、路面から離れる(蹴り出す)までの間、トレッドはブレーキング変形を受けるため、トレッドがベルトを周方向に伸ばそうと引っ張っている。トレッドが接地している領域において、ベルトが周方向に伸びることができれば、トレッドのブレーキング変形を緩和することができる。すなわち、ベルトが接地している領域において周方向に伸びるということは、ベルト速度が増すことであり、領域Cと領域Aとのベルトの速度差が縮まる=トレッドの周方向の余計な変形(ブレーキング変形)が抑制されることにつながる。領域Aのトレッドについては、そこに周方向に伸びないスパイラルベルトがないことによりベルトが周方向に伸びて、ブレーキング変形が緩和される。ブレーキング変形が緩和されれば、繰り返し変形による発熱も低減できる。また、(トレッドが路面から滑る)滑りが低減されて、すべりによる発熱が抑制され、ゴムの軟化が防止できる。滑りが少ないので、耐摩耗性能も向上することになる。
本発明においてはこのように、スパイラルベルトをトレッド幅全体に巻回する従来の構造ではなく、スパイラルベルトの配設幅を狭くして、領域Aにスパイラルベルトが存在しない構造としたことで、ショルダー部の発熱を抑制することが可能である。また、耐摩耗性能を向上するとともに、すべりによる発熱も抑制できる。そのため、さらに摩擦係数(グリップ)が高いゴム、つまり従来よりもさらにtanδの高いゴムをトレッド端部に配置することが可能となる。
スパイラルベルトの配設幅については、トレッド展開幅の60%以上90%以下とすることが必要である。これは、図5の接地形状の幅方向の中心部がトレッド端部からトレッド展開幅の12.5%の位置であり、この中心でスパイラルベルトの幅を規定すると75%となるため、この75%を中心値として規定した幅である。スパイラルベルトの幅が90%であると、トレッド端部から5%の範囲がスパイラルベルトが巻かれていない部分となる。スパイラルベルトの幅が90%を超えると、領域Aのベルトが周方向に伸びにくくなり、領域Aのブレーキング変形を緩和する効果が薄れてしまう。一方、60%未満の場合、トレッド端部から15%の位置よりもスパイラルベルトの幅が狭いことを意味し、15%よりも広幅側には図5の領域Cにおいてもスパイラルベルトが一部存在しなくなり、領域Cも接地によってベルトが周方向に伸びようとするため、領域Aと領域Cとのベルトの周方向の速度差が縮まらなくなってしまう。また、接地領域のほとんどにスパイラルベルトが存在しないため、スパイラルベルトのタガ効果が薄れ、高速時操縦安性能が低下する。したがって、スパイラルベルトの幅は、60%以上90%以下とすることが必要である。
かかるスパイラルベルトの配設幅は、好適には、トレッド展開幅の66%以上84%以下の範囲内とする。前述したように、図5における接地幅は25%であり、接地の中心は12.5%の位置である。25%を領域A,領域B,領域Cに3等分すると約8%ずつの領域である。したがって、75%を中心値として、より好適な範囲を規定した。スパイラルベルトの配設幅を84%以下とすれば、スパイラルベルトを巻かない部分がトレッド端部から8%の領域となり、図5の領域Aにはスパイラルベルトは存在しない。そのため、領域Aにおいては確実に周方向にベルトが伸びることになる。一方、66%以上とすれば、領域Cには確実にスパイラルベルトが存在することになる。したがって、領域Cは伸びることができず、かつ、領域Aは伸びることができる。このような構成とすれば、領域Aと領域Cとのベルトの伸びに確実に差を付けることができ、領域Aと領域Cとのトレッドのベルト速度を縮められ、周方向のトレッドの無駄な変形を抑制できる。また、領域Cにスパイラルベルトが必ず存在するため、高速転動時においても、少なくとも領域Cはタガ効果を発揮して、操縦安定性能を最低限は確保できる。
また、かかるスパイラルベルトは、本発明に係る異種ゴムと、タイヤ幅方向に重ならないよう配設することがより好ましい。スパイラルベルトを異種ゴムと重ならない部分に配置することで、ショルダー部の発熱を抑制して耐摩耗性を向上し、すべりによる発熱を抑制する効果を、より良好に得ることができる。
スパイラルベルトは、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードの他、スチールコードで形成してもよく、例えば、直径0.21mmのスチール単線を1×3タイプで撚ったスチールコードを、打ち込み間隔30本/50mmでスパイラル状に巻きつけるなどして形成することができる。
図1に示す例では、ベルト3として、スパイラルベルト4とともに、そのタイヤ半径方向外側に互いに交錯する2枚の交錯ベルト層5が設けられているが、本発明においては、図2に示すように、スパイラルベルト4のタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対する角度が80度以上90度以下であって、スパイラルベルト4より配設幅の広いベルト層8を配置することが好適である。かかる幅方向のベルト層8は、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードを用いて形成することができる。
これは、本発明のタイヤにおいては、トレッド部で、スパイラルベルト4が存在する部分と存在しない部分とがあるため、その両者の境界でタイヤの骨格部材の剛性が急激に変わり、この部分を接地端が乗り越すとき(すなわち、タイヤをどんどん傾けて旋回する際に、接地部分が移動してこの境界を乗り越えるとき)に、ライダーがタイヤの段差を感じて、違和感を覚えることを防止するためである。タイヤ内部のベルト等の骨格部材のコードは、トレッドゴムに比べて剛性が非常に大きい。そのため、内部の骨格部材に不連続な部分があると、ライダーはその段差を感じる。そこで、スパイラルベルト4の外側に、スパイラルベルト4よりも幅広のベルト層8を、タイヤセンターからタイヤショルダーまで連続させて配置することで、この段差を感じにくくすることができる。
かかるベルト層8のコード角度をタイヤ周方向に対し80度〜90度としているのは、幅方向に沿ってコードを配置することで、段差を最も効果的に感じさせなくできるからである。ここで、角度が80度〜90度と幅を持つのは、製造上の誤差を考慮したものである。また、配設幅についてはスパイラルベルトよりも広い幅とした。この部材の目的は段差を感じさせなくすること、つまりスパイラルベルトの端部をこの部材で覆って、最外層のベルトが分断されないようにしている点にある。そのため、ベルト層8については配設幅を広くして、トレッドの全領域を覆う配置とすることが好ましい。より具体的には、スパイラルベルトの幅+5%とすれば、十分にスパイラルベルトの段差を覆うことができる。なお、上限については特に制限はされないが、トレッド幅を超えてサイド部に達してもかまわない。つまり、トレッド幅の110%となってもかまわない。好ましくは、タイヤのサイド部の最大幅に達しない程度の110%が上限である。
また、この80度〜90度のベルト層8は、タイヤのバーストを防止する効果もある。スパイラルベルトを使用するタイヤでは、スパイラルベルトが周方向に伸びにくく、タイヤの遠心膨張を防止する。スパイラルベルトだけあれば、ベルト剛性が比較的高く保てるため、スパイラルベルトのみからベルト部が構成されているタイヤもある。このようなタイヤでは、タイヤの内圧をスパイラルベルトがほとんど受け止めている。そのため、万一、スパイラルベルトが損傷すると、タイヤバーストにつながりかねない。例えば、トレッドが摩耗して薄くなった時に、高速で突起物を踏みつけた場合や、摩耗しているのにタイヤを使い続けてしまい、スパイラルベルトが露出してしまった場合には、スパイラルベルトが破断してしまう可能性がゼロではない。そこで、スパイラルベルト4を外側から覆うように略タイヤ幅方向に沿うコードをもつベルト層8を配置することで、スパイラルベルト4を保護する効果を得ることができる。
さらに、スパイラルベルト4と上記幅方向のベルト層8とを配置する場合には、これらスパイラルベルト4とベルト層8との間の少なくとも一部に、厚み0.3mm以上3mm以下である緩衝ゴム層を配置することが好ましい(図示せず)。この緩衝ゴム層は、ショルダー部のトレッドの発熱および摩耗を抑制する効果がある。かかる緩衝ゴム層を設けることが好適である理由は、以下のとおりである。
図5のタイヤがCA50度で旋回する時のトレッドの周方向の挙動に示したように、トレッドの周方向の変形は、領域Aと領域Cとで異なっている。これは、接地形状のセンター寄りの領域Cと、接地形状のトレッド端部寄りの領域Aとでベルトの速度が異なるからである。二輪車用タイヤは幅方向断面において大きな丸みを持っているため、回転軸からベルトまでの距離であるベルト半径が、領域Aと領域Cとでは、領域Cの方が大きい。したがってベルトの速度、つまり、トレッドが路面に接触してからタイヤの回転が進み、トレッドが路面から離れるまでのベルト速度は、領域Cの方が速い。ベルト半径に、タイヤの回転角速度をかけたものがベルトの速度になるからであり、タイヤの回転速度は領域Aも領域Cも同じだからである。このベルトの周方向の速度差により、タイヤのセンター寄りの領域Cではトレッドがドライビング状態となり、タイヤのトレッド端部寄りの領域Aではブレーキング状態となる。ここで、ドライビングとは、タイヤを周方向に沿って輪切りにした場合に、そのトレッドの変形が、トレッド内面(タイヤ内部の骨格部材に接している面)がタイヤ進行方向後方にせん断され、路面に接地しているトレッド表面がタイヤ進行方向前方に変形しているせん断状態であり、ちょうどタイヤに駆動力をかけたときに起こる変形である。一方、ブレーキングはドライビングの逆であり、トレッドの変形はタイヤ内部側(ベルト)が前方にせん断され、路面に接地しているトレッド表面が後方に変形しているせん断状態であり、制動したときのタイヤの動きとなる。この周方向のトレッドの変形は、タイヤが駆動力も制動力も受けずに、遊輪状態で転がるだけで発生する。そして、この周方向の剪断変形によって、領域Aと領域Cとでタイヤが1回転するたびに、トレッドが周方向に剪断変形をうける。繰り返しのこの変形は、トレッドゴムの発熱を招く。特に、tanδの高いゴムをトレッドに使うと発熱が大きくなる。また、この周方向のトレッドの変形は、トレッド表面を路面から滑りやすくして、摩耗を進める。このような旋回中の余計な変形は、タイヤショルダー部に偏摩耗を起こしやすいので、無い方がよい。
緩衝ゴム層を設けると、緩衝ゴム層が周方向に剪断変形するため、上記ドライビング変形およびブレーキング変形をトレッドの代わりに肩代わりして、トレッドの周方向の変形が緩和される。一方で、緩衝ゴム層はその上面にタイヤ幅方向に沿ったベルトを持つため、幅方向には剪断変形されにくい。そのため、幅方向に対してはトレッドの変形を肩代わりせずに、トレッドの横剪断変形は緩衝ゴム層を配置しても大きいままである。すなわち、緩衝ゴム層はタイヤ周方向のみの変形を肩代わりし、トレッドの周方向変形を小さくして偏摩耗を防止する一方で、幅方向の変形は肩代わりせずにトレッドの横変形は大きいまま維持して、横力を高く保てる効果がある。本発明のように、トレッド端部の表面にtanδの高い異種ゴム6を配置した場合には、ゴムの変形を緩衝ゴム層が肩代わりして小さくしてくれるので、発熱が抑制される。緩衝ゴム層としては、トレッドゴムよりもtanδの小さいものを用いることが好ましい。
また、緩衝ゴム層は、周方向の余計なトレッドゴムの変形を肩代わりしてくれるので、トレッドゴムが路面から滑りにくくなり、滑りによる発熱が低減される。さらに、滑りにくいのでゴムの摩耗も抑制できる。
タイヤ周方向に対して80度〜90度のベルト層および緩衝ゴム層は、特には、トレッド端部かつ表面のtanδが高いゴムが配置されている位置に重なるように、幅広く配置することが好ましい。これにより、摩耗と発熱を防止できる。
本発明においては、スパイラルベルトの幅を狭くすることでタイヤ周方向の無駄な動きを緩和した上に、さらに、80度〜90度のベルト層および緩衝ゴム層を配置することで、周方向の無駄な動きがより緩和されて、発熱および摩耗の抑制効果が飛躍的に向上する。このような構造に、本発明に係るtanδの高い異種ゴムを組み合わせることで、発熱が抑制されているために、非常に大きな相乗効果を得ることができる。
また、本発明においては、トレッド端からトレッド展開幅の10%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みを、トレッド端を基準とするトレッド展開幅の17%から25%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みよりも小さくすることが好ましい。すなわち、tanδの高い異種ゴムを配置した位置のトレッドの厚みを、それ以外の部分に比べて薄くする。トレッド端部からトレッド展開幅の10%までの範囲はかかる異種ゴムの配置部位に相当し、また、トレッド端からトレッド展開幅の17%の位置を開始点、25%の位置を終点とする範囲は、CA50度で旋回する接地領域のうち異種ゴムが配置されない部分に相当する。このように、トレッド厚み(トレッドゲージ)を薄くすると、その部分のトレッド剛性が向上する。tanδの高いゴムは、使用頻度が低いとはいえ、発熱する傾向が強く、ゴムの弾性率が低下しやすいが、このようにtanδの高いゴムが配置された部位を薄くすることで、ゴムが軟化しても、トレッド剛性を維持できる。すなわち、ゴムが柔らかくなって、トレッド剛性が低下した分を、トレッドの全体的な厚みを薄くすることで補完できる。なお、トレッド剛性は厚みの3乗に比例するため、厚みを薄くする量は、例えばトレッド厚みが8mmの場合、0.5mm〜1.5mm程度で十分な効果がある。
なお、全部を薄くしてしまうと、トレッド剛性は向上するが、タイヤ表面の滑りが全体的に増えてしまい、摩耗ライフが低下する。ゆえに、tanδを高くしたゴムを配置した部分だけを薄くすることが好ましい。
図3(A)に、異種ゴムの配設部位の拡大部分断面図を示す。異種ゴム6は、図示するように、深さ方向に配設幅を変えずに配設することもできるが、図3(B)に示すように、その配設幅が、トレッド表面からタイヤ半径方向内側に向かい増大するよう配設することもできる。すなわち、この場合、摩耗が進行するにつれて、トレッド端部のtanδの高い異種ゴム16の露出量(露出面積)が増大し、深さ方向に異種ゴム16の幅が広がっていくことになる。タイヤのトレッドが摩耗するとトレッドの厚みが薄くなるため、トレッドゴム表面が路面から滑りやすくなる。そのため、グリップ力が低下する傾向になるが、図3(B)に示す構成として、摩耗にともなう異種ゴム16の露出を増大させることで、グリップ力を補う効果が得られる。特に、競技用のタイヤにおいては、レースが進んで周回数を重ねてもタイヤのグリップを維持することが重要であるため、このような構成とすれば、摩耗が進んでもtanδの高いゴムの範囲が増えていくため、摩擦係数の高い領域を増やして、グリップを維持することができる。
また、異種ゴムの厚みは、好適には、トレッドゴムの総厚みの20%以上70%以下とする。異種ゴムの厚みが20%未満であると、表面ゴムの層が薄すぎて、tanδの高いゴムが路面の凸凹に食い込みにくく、グリップを発生しにくい。また、すぐに摩耗してしまう懸念もある。一方、異種ゴムの厚みが70%を超えると、トレッドの厚み方向にtanδの高いゴムの層が広く存在するため、使用頻度の低い領域とはいえ、ゴムの発熱が高くなり、ゴムが熱から軟化してトレッド剛性が低下し、横グリップ(横力=キャンバースラスト)が低下する。厚みは、摩耗後にもグリップ力を維持するためには、40%〜70%がより好ましい。特に、市販のタイヤは比較的摩耗するまで使うため、厚みは厚い方が好ましく、40〜70%が好適である。一方、競技用の一部のタイヤでは、例えば予選に用いるタイヤのように、1周だけ速く走る目的のタイヤもある。このようなタイヤでは、剛性とグリップとのバランスから、厚みは薄いほうがよく、20%〜40%が適当である。
また、本発明のタイヤにおいては、図示するように、トレッドセンター部が、厚み方向に積層された2種のゴムからなることが好ましい。ここで、トレッドセンター部とは、トレッド中央部のトレッド展開幅の25%の領域である。これは、バイクが直立しているときに路面と接触している幅が約25%であることによる。この場合、このトレッドセンター部の全てが2層になっていなくてもよく、少なくともその大部分、具体的には、タイヤ赤道面を中心とするトレッド展開幅の少なくとも15%の領域で2層となっていれば、効果が得られ、好適である。
このトレッドセンター部を2層にすることが好適である理由は、発熱の抑制、すなわち転がり抵抗の抑制にある。例えば、2層の内層に硬いゴムを配置し、外層に柔らかいゴムを配置すれば、外層ゴムがグリップを稼ぎ、内層ゴムが発熱を抑制する。また、内層に損失正接tanδの低いゴムを使用すれば、さらにゴムの発熱を抑制し、転がり抵抗が向上する。特に市販のタイヤでは、直進状態で走行する時間が長く、近年の環境(低燃費)を考えた場合、直進時の転がり抵抗を抑制して、燃料の消費を抑えることが重要である。そのため、このように直進時に接地するタイヤセンター部のトレッド内部にtanδの低いゴムを使用することが好ましい。一方、競技用のタイヤにおいては、直進走行時に速度が300km/hを超えて走行する自動二輪車競技もある。このような競技では、高速走行からトレッドが高い周波数で変形を繰り返し受けて、発熱する。その発熱によって、トレッド内部のオイルが気化して泡が発生するブロー現象が起こり、この泡を起点としてトレッドの一部が欠けて飛び散る故障を起こす場合がある。そのため、このような高度な競技用タイヤにおいても、トレッドの内部に発熱のしにくい損失正接tanδの非常に低いゴムを使用し、一方でトレッドの表面にグリップの高いゴムを使用することが好ましい。
さらに、タイヤのセンター部は、CA50度で旋回する時には接地はせずに、ちょうどサイドウォールの役目を担う。この部分の剛性が不足すると、タイヤが横に変形しやすくなり、グリップが失われる。センター部のトレッドが加熱しすぎて柔らかくなると、サイドウォールの役目を担うセンター部の剛性が低下するため、CA50度での旋回においても性能が低下することになる。本発明においては、トレッドセンター部を上記2層構成として、センター部の異常発熱を防止することで、センター部の剛性を高く保つことができ、タイヤのコーナリング性能を維持することができる。
以上のように、トレッドセンター部を上記2層構成とすることで、CA45〜55度の大CA時のみならず、直進時の駆動、制動特性も向上させることができる。
なお、この場合、トレッドセンター部の表層ゴムと、異種ゴムに隣接するゴムとを、同種のゴムからなるものとすることが好ましい。これにより、トレッドを形成するゴム種を少なくすることができ、効率的である。
また、本発明のタイヤにおいては、図3(C)に示すように、トレッド端の壁面部の少なくとも一部に厚み6mm以下の硬質ゴム7を配置して、補強することが好ましい。ここで、硬質ゴム7とは、トレッドを形成するゴムよりも硬さが硬いゴムであり、より具体的には、室温でのショアA硬度が60以上95以下のゴムである。このような硬いゴムで壁面を固定することで、トレッドが横変形した時にトレッドの倒れ込みを抑制することができ、トレッド端部が路面から浮き上がるのを防止することができる。また、特に本発明では、トレッド端部の表面にtanδの高い異種ゴムを配置するため、tanδの高いゴムが発熱して、ゴムが軟化したとしても、このような硬いゴムで壁面を補強すると剛性を保てるため、効果が大きい。硬質ゴム7は、硬いため、摩擦係数が低い。そのため、トレッド表面に達すると硬質ゴム7の接触による摩擦力の向上は期待できず、逆に異種ゴム26の接触面積を減らす結果となってしまう。そのため、図示するように、トレッド端の壁面部の表面に接しない部分のみを補強することがより好ましい。また、硬質ゴム7は、厚みを持たせると摩耗した時に露出するため、厚みは薄い方が良く、ゴムの硬さにもよるが、1mmの厚みがあれば効果が得られる。より好適には、厚み2mm以上5mm以下とする。
本発明においてトレッド部は、幅狭長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に重ねて巻きつける手法で形成することができる。本発明においてゴムを変更しているタイヤショルダー部はタイヤ断面で丸みが大きい位置であり、従来の製法のように作業者が手作業で幅の広いトレッド部材を配置すると、成型精度(形状精度)が確保しにくい位置である。そこで、幅の狭い未加硫ゴム連続体を、専用の成型機械を用いて自動的に巻きつける手法を用いることで、形状精度の高いタイヤを製造することが可能となる。かかる手法は、トレッド部の少なくとも一部に適用すれば形状精度の向上効果を得ることができ、また、全体につき適用してもよい。この手法については、例えば、特開2006−240098中に開示されている。
本発明のタイヤにおいては、トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に上記異種ゴム6を配置するとともに、幅狭のスパイラルベルトを配置した点のみが重要であり、これにより本発明の所期の効果を得ることができ、それ以外のタイヤ構造や材質等の条件については、特に制限されるものではない。
前述したように、本発明においては、ベルト3として、少なくともスパイラルベルト4を配設することが必要であるが、スパイラルベルトは単独で配置しても、または、交錯ベルト層5(図1)または幅方向のベルト層8(図2)と組合せて配置してもよい。また、スパイラルベルトを2重にして配置してもよい。ここで、交錯ベルト層5は、例えば、芳香族ポリアミド等からなる補強コードを、タイヤ周方向に対して±20度〜80度で交錯させて設けることができ、2層に限らず、3層以上で設けてもよく、特に制限はない。
また、例えば、本発明のタイヤは、図示するように、一対のビード部11と、それに連なる一対のサイドウォール部13と、両サイドウォール部13間にトロイド状をなして連なるトレッド部12とを備えており、これら各部をビード部相互間にわたり補強するカーカス2は、比較的高弾性のテキスタイルコードを互いに平行に配列してなるカーカスプライの少なくとも1枚からなる。カーカスプライの枚数は、1枚でも2枚でもよく、3枚以上でもかまわない。なお、カーカス2の両端部は、図1に示すようにビードコア1にタイヤ内側から外側に折り返して係止しても、図2に示すように両側からビードワイヤで挟み込んで係止しても、いずれの固定方法を用いてもよい。また、タイヤの最内層にはインナーライナーが配置され(図示せず)、トレッド部12の表面には、適宜トレッドパターンが形成されている(図示せず)。本発明は、ラジアルタイヤに限らず、バイアスタイヤにも適用可能である。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明する。
(第一の実施形態)
下記条件に従い、タイヤサイズ190/50ZR17にて、二輪車用空気入りタイヤを作製した。各供試タイヤは、一対のビードコア間にトロイド状に跨って延在するカーカスプライ(ボディプライ)の1枚からなるカーカスを備えており、カーカスプライには、ナイロン繊維を撚った直径0.6mmのコードを、打ち込み間隔65本/50mmで平行に並べて、未加硫ゴムでシート状にしたものを使用した。また、カーカスの配設方向はラジアル(タイヤ周方向に対する角度が90度)とした。さらに、カーカスの端部は、ビード部において、ビードコアの周りにタイヤ内側から外側に巻き回されて固定されている。
また、カーカスのタイヤ半径方向外側には、スパイラルベルトを配置した。スパイラルベルトは、芳香族ポリアミド(商品名:ケブラー)繊維を撚った直径0.7mmのコードを打ち込み数50本/50mmで略タイヤ周方向に巻き付けて形成されたものであり、2本の並列したコードを被覆ゴム中に埋設した帯状体(ストリップ)を、略タイヤ周方向に沿って螺旋状にタイヤ回転軸方向に巻き付ける手法で製造した。さらに、スパイラルベルトのタイヤ半径方向外側には、2枚の交錯ベルト層を配置した。交錯ベルト層は、芳香族ポリアミド繊維を撚った直径0.7mmのコードを、打ち込み数30本/50mmにて、タイヤ周方向に対し±50度の角度で互いに交錯させて配置した。交錯ベルト層の外側には、トレッド部が設けられており、トレッド部の厚みは7mmであり、センター部からショルダー部まで同じ厚さであった。また、トレッド部表面には、幅8mm、深さ5mmの斜め溝を、左右交互にハの字に配置して、溝がトレッド全体に占める割合が10%になるものとした(図1(b))。
上記構造を基本とし、トレッド部およびスパイラルベルトの構成を下記に従い変更して、各従来例、実施例および比較例の供試タイヤを製造した。トレッドの展開幅(丸みにそって図った弧の長さ)は240mmであり、1枚目(内側)の交錯ベルトの幅は250mm、2枚目(外側)の交錯ベルトの幅は230mmであった。なお、以下において損失正接tanδは、レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を用いて、温度50℃、周波数15Hz、歪5%で計測した。
<従来例1>
トレッド部の全領域を、単一種のゴムにて作製した。この従来例1のトレッドゴムの温度50℃におけるtanδは0.3であった。この損失正接tanδの値を100として、以下、各ゴムのtanδの値を指数にて示す。また、スパイラルベルトの配設幅は、240mmとした。
<実施例1>
図1に示すように、トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に、配設幅(トレッド表面の幅)25mm、深さ4mmにて、異種ゴム6を配置した。この異種ゴムのtanδの指数値は130であった。また、異種ゴムと、そのタイヤ幅方向内側に隣接して配置されたゴムの深さ方向の境界は、深さ方向に垂直であり、傾いていなかった。さらに、トレッドセンター部は2層に分かれており、その表層ゴムは、トレッド端部のtanδの高い異種ゴム6のセンター寄りに隣接するゴムと同じであり、tanδの指数値は100であった。一方、内層ゴム12Aとしては、tanδの指数値70のゴムを用いた。内層ゴム12Aの配設幅は、120mmであった。さらに、スパイラルベルトの配設幅は、トレッド展開幅の75%であり、180mmであった。
<実施例2〜16,比較例2〜7>
上記実施例1の供試タイヤを基本構造として、異種ゴムの配設条件およびスパイラルベルトの配設幅をそれぞれ下記の表中に示すように変えて、各実施例および比較例の供試タイヤを準備した。
<従来例2>
トレッドセンター部を実施例1と同様の構成で2層にした以外は、従来例1と同様にして、従来例2の供試タイヤを作製した。
<比較例1>
スパイラルベルトの配設幅を変えた以外は従来例2と同様にして、比較例1の供試タイヤを作製した。
<比較例8>
トレッド端部からトレッド展開幅の10%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みが、その他の部分よりも0.7mm薄くなるようにした以外は、従来例2と同様にして、比較例7の供試タイヤを作製した。
<CA50度の横力測定>
作製した各供試タイヤについて、CA50度における横力測定を実施した。直径3mのスチール製のドラムに、#40番の紙やすりを貼り付けて路面に見立てた。各供試タイヤは、リム幅6インチ、リム径17インチのホイールに組み、内圧240kPaを充填した。このタイヤを、CA50度、荷重1500N、SA0度でドラムに押し付けて、時速40km/hで回転させ、このときの横力を、タイヤの回転軸に取り付けた3分力計から測定した。横力がキャンバースラストである。横力の測定は、タイヤが回転し始めて5分の時のものを計測した。このときタイヤは十分に温まり、ショルダー部のトレッド温度は約50℃になっていた。結果は、従来例1の横力を100として指数で示した。なお、従来例1の横力は1350Nであった。
また、5分の走行を行ってドラムを停止させた直後の、タイヤトレッド端部の温度を計測して記録した。
<転がり抵抗の試験>
転がり抵抗の試験は、転がり抵抗試験機を用いて、内圧240kPa、荷重1500N、スリップ角度(SA)0度、CA0度、時速80kmで測定して評価した。結果は、従来例1の転がり抵抗を100として、指数で示した。指数が小さいほど抵抗が少なく、燃費の節約ができる。
<テストコースでの評価>
テストコースで、熟練ライダーによる総合的な操縦安定性能の試験(操安試験)を実施した。各供試タイヤはリア用のタイヤであったため、リアタイヤのみを交換して実車試験を行った。フロントタイヤは常に従来のもので固定した。各供試タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車に装着して、テストコースで実車走行させ、車両を大きく倒した旋回時操縦安定性(コーナリング性能)を中心に評価し、テストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価した。テストコースのレイアウトは、速度50km/h前後でCA50度まで倒すコーナーを6箇所設け、特に大きく倒した時の横グリップ性能を確認できるように特設した。1周のラップタイムは約60秒ほどであり、これを15周した。ライダーには、15周での総合的な官能評点をつけてもらった。
また、15周した直後のタイヤのトレッド端部の温度を記録した。
<摩耗量の評価>
上記実車テストを行う前に、タイヤの重量を測定しておいた。その後、テストコースを15周した後に、タイヤに付着したゴムかすや小石などの付着物を綺麗に取り除いてタイヤの重量を測定し、新品時からの重量差を摩耗量として評価した。特設したテストコースはコーナーが多かったため、摩耗はショルダー部で集中的に発生した。つまり、この重量差を、新品時からのショルダー部の摩耗量と考えることができる。従来例1のタイヤの摩耗重量を100として、各供試タイヤの摩耗量を指数で比較した。
これらの結果を、下記の表中に示す。
Figure 2009061842
*1)異種ゴムのトレッド表面における配設幅(mm)、および、この配設幅のトレッド展開幅に占める比率(%)(トレッド端からの範囲)を示す。
*2)異種ゴムの厚み(mm)、および、この厚みがトレッドゴムの総厚みに占める比率を示す。
*3)括弧内は、トレッド展開幅に対する比率(%)を示す。
*4)2層の場合の幅は、常に120mmである。
Figure 2009061842
Figure 2009061842
<スパイラルベルトの配設幅を狭くする効果およびtanδの高い異種ゴムを配置する効果>
従来例2と比較例1、比較例4と実施例1を比べることで、tanδの高い異種ゴムをトレッドショルダー部の表面に配置すること、および、スパイラルベルトの幅を狭くすることの効果がわかる。
比較例1は、従来例2に比べ、スパイラルの幅が75%と、幅狭に配置されている。これにより、ドラム横力は4%向上し、走行後の摩耗は18%改善した。また、比較例4は、従来例2に比べ、トレッドショルダー部にtanδの高い異種ゴムが配置されている。これにより、ドラム横力は4%向上するものの、摩耗が2%悪化している。
これらに対し、実施例1は、ショルダー部にtanδの高い異種ゴムを配置し、かつ、スパイラルベルトの幅を75%としたものである。この実施例1では、摩耗に関しては、tanδの高いゴムを配置すると2%悪化するにもかかわらず、スパイラルベルトの幅を75%としたことで、22%改善されている。従来例2と比較例1とから、スパイラルベルトの幅を狭くすることで、摩耗が18%改善されることがわかるが、実施例1は、これよりもさらに摩耗量が改善した。これは、スパイラルベルトの幅を75%とすることで、図5に示した周方向のトレッドの変形が緩和される効果があることに加えて、tanδの高いゴムをトレッド表面に配置することでタイヤのグリップ力が増して、タイヤが路面から滑りにくくなり、摩耗しにくくなったためである。このように、スパイラルベルトの幅を75%とすることと、tanδの高い異種ゴムの配置とを組み合わせることで、グリップ力を高めつつ、摩耗を改善できることがわかる。通常の構造で(従来例2)、グリップを向上させるために、ショルダー部にtanδの高いゴムを配置すると、摩耗が同等かやや悪化してしまうが、本発明のように、スパイラルベルトの幅を狭くすることと組み合わせることで、摩耗との両立を図ることが可能となった。また、ドラム横力についても、実施例1は、従来例2に比べて9%の大きな向上を果たしている。
<トレッド端部表面の異種ゴムの配設幅の効果>
従来例2、比較例1、実施例1〜4および比較例2,3の結果を比較することで、配設幅による効果がわかる。従来例2(表面ゴム無し)に比べて、15mm〜45mmのtanδの高いゴムを表面に配置したものは、いずれもドラムでの横力=キャンバースラストが向上しており、横グリップ向上の効果があることがわかる。さらに、比較例1と比べることで、tanδの高い異種ゴムを配置することのみの効果がわかる。比較例2は幅が10mmのものであるが、幅が10mmであると、表面ゴムが接触する面積が小さすぎて、比較例1と比べた場合の横力の向上効果がほとんどない。また、幅が25mm以上になると、横グリップ向上の割合がほぼ一定になっており、幅が25mm程度あれば、十分に横グリップを向上できることがわかる。逆に、ある程度の幅があれば、それ以上幅を広くしても横グリップの向上効果は薄れることもわかる。これは、タイヤの発熱が増えて、ゴムが軟化するためである。この傾向は、テストコースでの操縦安定性能評点にも現れており、幅が30mmのとき評点が10点であるが、幅が35mm以上になるとトレッド温度が上昇して、ゴムが軟化するため横力が低下して評点が下がっている。比較例3のように、異種ゴムの幅が45mmになると、ゴムの軟化が著しく、操縦安定性能評点は異種ゴムを配置しない比較例1とほとんど変わらなくなる。
一方で、摩耗量を見ると、幅35mmと幅45mmとの間に大きな摩耗量の差がある。これは、幅を広げると発熱量が増えてしまい、ゴムが軟化するためにタイヤがグリップしにくくなり、タイヤが滑って摩耗するようになるからである。
以上より、操縦安定性能面からは、横グリップが幅25mm〜35mmあたりで、これ以上向上しないレベルまで改善されていること、また、幅が45mm以上では、トレッドの発熱が大きくなってグリップ力が失われ、また、摩耗性能が急激に悪くなることがわかる。したがって、本実施形態のタイヤについては、異種ゴムの配設幅は15mm〜35mm程度が妥当であることが確かめられた。これは、トレッド展開幅の5%以上17%以下に相当し、より好ましくは、10%以上14%以下であった。
<スパイラルベルトの配設幅の効果>
従来例2、比較例4〜6、実施例5〜8を比べることで、スパイラルベルトの幅の効果がわかる。比較例4は、スパイラルベルトの幅がトレッドの展開幅と同じで100%の場合である。スパイラルベルトの幅は、220mm(92%)のように20mm狭くしただけでは効果は少ない。また、スパイラルベルトの幅は、140mm(58%)のように狭くしすぎると効果がなくなる。スパイラルベルトの幅を狭くしすぎると、図5において、領域Cのスパイラルベルトが存在しなくなり、領域Cでもベルトが周方向に伸びてしまうからである。トレッド幅が240mmの本実施例では、CA50度における接地幅は60mm程度である。トレッド幅が140mmであると、スパイラルベルトが巻かれていない部分が両トレッド端部に50mmずつあることになり、接地幅60mmのうち、50mmの領域にスパイラルベルトが巻かれていないことになる。
スパイラルベルトの幅は、220mmでは効果が少なく、210mm(88%)で効果が現れている。また、140mmでは狭すぎ、150mm(63%)で効果がある。以上のことから、スパイラルベルトの幅は60%以上90%以下とすることが必要である。さらに、摩耗の観点から効果を確認すると、スパイラルベルトの幅が200mm以下160mm以上で効果が高い。このことから、スパイラルベルトの幅は、好適には66%以上84%以下とすることで、さらに高い効果があると判断できる。
<トレッド端部の表面の異種ゴムの厚みの効果>
従来例2、比較例1、実施例1、9、10、11および比較例7の比較から、異種ゴムの厚みの効果がわかる。厚みが1mm、2mm、4mm、5mmのものはいずれも比較例1よりもドラムでの横力指数が高く、また、テストコースでの評点も高かった。しかし、比較例7は、従来例2と比べるとドラムの横力指数が向上しているが、比較例1と比べると横力指数が2%低く、摩擦係数の高い、すなわちtanδの高いゴムをトレッド端部に配置したにもかかわらず、横力が低下してしまった。これは、ドラム走行後のトレッドの温度が高くなっており、tanδの高いゴムが発熱して、トレッド端部のトレッドの横剪断剛性が低下したために、横力が出なくなったからである。実車テストにおいても、トレッドの厚み全体にtanδの高いゴムを配置したものは、使用頻度の低い領域に配置しているにもかかわらず、非常に発熱が高い。そのため、操縦安定性能の評点も低くなっている。これは、ゴムの発熱軟化でトレッド端部のトレッド剛性が低下したためであり、ゴムが柔らかく路面に食い込みやすくて摩擦係数が上がったとしても、トレッドの横剪断剛性が低下したために、横力が出なくなったからである。このように、トレッドの厚み全体に柔らかいゴムを配置しても効果は得られず、各実施例におけるようにトレッド端部の表面にのみ柔らかいゴムを配置することが効果的であることが確認できた。
異種ゴムの厚みの好適値については、本実施形態の場合は、1mmではやや薄く、効果はあるものの改良度合いは少ないことがわかった。本実施形態においては、厚み2mm〜5mmが適当であり、厚みはトレッドの総厚み7mmの0.2〜0.7(20%〜70%)が適当であることがわかる。より好ましくは、0.3〜0.7(30%〜70%)である。
<センター部の2層化の効果>
従来例1と従来例2との比較、および実施例15と実施例1との比較より、トレッドセンター部を2層とすることの効果がわかる。本実施形態では、従来例のようにトレッド端部にtanδの高い異種ゴムを配置していない場合には、センター部を2層化した場合と2層化しない場合とで、ドラムでの横力指数に差はなかった。しかし、実施例のようにタイヤショルダー部に異種ゴムを配置して2層化し、横力を大きく発生させる構造にした場合には、トレッドセンター部を2層にした方がさらに横力が高まっていることがわかる。これは、タイヤの横力が強まったことにより、タイヤの骨格部材の横変形量が増えているためであり、トレッドセンター部の内部のゴムのtanδを下げることで、センター部の温度が下がってセンター部のゴムが硬くなり、タイヤセンター部の剛性が高まったからである。
図4を用いて説明すると、CA50度の接地状態では、タイヤセンター部は路面には接しておらず、接地面のすぐ隣に存在する。このとき、タイヤセンター部は、ちょうどタイヤのサイドウォールと同じような役割を担っており、この部分を硬くすると、タイヤの横方向の剛性が高まることになる。二輪車用タイヤの場合は、タイヤのセンター部は接触するトレッド部でありながら、CA50度の旋回時にはサイド部の役割をするのである。実施例のように、トレッドショルダー部にtanδの高いゴムを配置して旋回時の横力を増した場合には、タイヤの変形が大きくなるため、タイヤのセンター部を補強することで、操縦安定性能が向上する。従来例のタイヤと比べると、実施例のタイヤはCA50度で横力が大きく、タイヤセンター部に負担がかかる。それゆえ、タイヤセンター部の温度を低くしてゴムの軟化を防止することで、センター部の剛性が高まり、強い横力を受け止めることが可能となって、効果が上がったものである。
上記のように、トレッドセンター部を2層化することは、単に直進時の転がり抵抗を低下させて燃費を節約する以外に、本実施例に示したように、ショルダー部の表面にtanδの高いゴムを配置することと合せると、横グリップをさらに向上できる効果があることが確かめられた。
<ゴムのtanδの効果>
実施例1の構造を基準として、異種ゴムのtanδを変更した各タイヤを比較することで、tanδの影響がわかる。まず、実施例1、12、13、14、従来例2および比較例1の比較から、実施例はいずれも、従来例2に比べると高い効果があることがわかる。また、ゴムのtanδの適正値については、比較例1と比べることで検討した。異種ゴムのtanδの指数が115であると、横力ドラム指数の向上効果は少ない。これは、tanδの差が少ないため、効果が薄れるからである。しかし、実車テストでは操縦安定性能の評点は高く、効果が少ないながら、性能は確実に向上している。なお、ドラムでの横力よりも、実車テストの評点の方が影響が強く出るのは、ドラムの表面の粗さが粗くなく、ゴムのtanδの影響がグリップに現れにくいのに対して、実車テストの路面は凹凸が大きく、tanδの高いゴムではグリップの増し方が大きいからである。また、異種ゴムのtanδの指数が160であると、145よりも効果が減る。これは、ゴムが発熱して軟化し、トレッド剛性が失われるからである。高いtanδによりグリップは向上するが、ゴムが柔らかすぎてトレッドの横剪断剛性が低下し、そのグリップの向上分を相殺してしまうからである。
本実施形態における傾向からは、ゴムのtanδ指数が130および145の時に好ましい結果が得られており、以上のことから、tanδの指数は120〜150が最も好ましい値であると判断できる。
<トレッド端部を薄くすることの効果>
実施例16および比較例8は、トレッド端部からトレッド展開幅の10%までの領域のトレッドゴムの平均の厚みが、その他の部分よりも0.7mm薄くなるように製造したタイヤである。他の部分の厚みは7mmであり、均一である。厚みは、上記範囲で、端部に向かうにつれて徐々に薄くなっている。実施例16については、表面のtanδの高いゴムの厚みはそのまま維持し、内部のゴムの厚みを徐々にトレッド端部に向かって薄くした。実施例1と実施例16との比較、および、従来例2と比較例8との比較から、トレッド端部を薄くすることの効果がわかる。
実施例1と実施例16との比較から、トレッド端部のゴムを薄くした実施例16ではドラムの横力が向上し、テストコースの操縦安定性能試験の評点も高くなっている。比較例8も、従来例2に比べてドラムの横力は向上している。しかし、比較例8では、走行後の摩耗量が多い。これは、トレッド端部のゴムのtanδの値を大きくせずに、トレッド厚みだけを薄くしたため、この部分のトレッドの剛性が他と比べて向上し、トレッド表面が路面から滑りやすくなったためである。すなわち、端部のトレッドが滑り、端部の摩耗が進んだものと考えられる。これに対し、トレッド表面をtanδの高いゴムで覆った実施例16は、表面のゴムの摩擦係数が高く、滑りにくい上に、走行を重ねるに従いtanδの高いゴムが発熱するためにゴムが軟化して、トレッド厚みを薄くすることと軟化することが合わさって、他の部位との剛性のバランスが適切になったものである。
(第二の実施形態)
下記条件に従い、タイヤサイズ190/50ZR17にて、二輪車用空気入りタイヤを作製した。各供試タイヤは、一対のビードコア間にトロイド状に跨って延在するカーカスプライ(ボディプライ)の2枚からなるカーカスを備えており、カーカスプライとしては、ケブラー(芳香族ポリアミド)の繊維を撚った直径0.6mmのコードを、タイヤセンター部での打ち込みが40本/50mmになるように配置した。また、2枚のカーカスプライは互いに交錯しており、タイヤセンター部での角度はタイヤ周方向に対して±40度であった。カーカスの端部はビード部に達しており、ビード部において、2枚まとめて、両側からビードワイヤで挟み込まれて固定されている。
また、トレッド部のカーカスのタイヤ半径方向外側には、スパイラルベルトを配置した。スパイラルベルトは、直径0.12mmのスチールの単線を7本撚り合わせて1本のスチールコードとし、これを、打ち込み間隔が50本/50mmになるようにトレッドに螺旋巻きすることにより形成した。さらに、スパイラルベルトのタイヤ半径方向外側には、タイヤ周方向に対する角度が90度のベルト層を1枚配置した。この90度ベルト層は、芳香族ポリアミドの繊維を撚った直径0.6mmのコードを、打ち込み間隔50本/50mmにて配置することにより形成した。90度ベルト層の外側には、トレッド部が設けられており、トレッド部の厚みは、センター部からショルダー部まで一律で8mmであった。
トレッドの展開幅(丸みに沿って図った弧の長さ)は240mmであり、スパイラルベルトの半径方向外側の90度ベルトの幅も240mmであった。また、トレッドセンター部は2層に分かれており、内層ゴム12Aとしては、120℃の損失正接tanδが0.15のゴムを、幅120mm、厚み4mmにて配置した。一方、その表層ゴム12Bとしては、120℃のtanδが0.35のゴムを、幅90mmで配置した。
上記構造を基本とし、トレッド部およびスパイラルベルトの構成を下記に従い変更して、各従来例、実施例および比較例の供試タイヤを製造した。いずれも、タイヤのセンター部については2層の構造としたため、表中ではセンター部の構造について言及しなかった。
<従来例3、比較例9〜11>
トレッドセンター部の両側に、120℃のtanδが0.4のゴム12Cを配置し、表面に異種ゴムを配置しなかった。これは、図2中のトレッド端部の異種ゴムを取り除き、tanδが0.4のゴムに置換した場合に相当する。スパイラルベルトの配設幅、トレッド端の壁面部における硬質ゴム、および、スパイラルベルトと90度ベルト層との間における緩衝ゴム層につき条件を変えて、各供試タイヤを作製した。なお、硬質ゴムとしては120℃のショアA硬度が70のものを使用し、その配置箇所は、図3(C)に示すように、トレッド端部の側面を補強するように、厚みが最大部で4mmとなるよう配置した。また、硬質ゴムは表面には露出せず、高さとしては、表面から1mmの位置より、8mmの位置までに配置した。さらに、緩衝ゴムのゴム種は、90度ベルトを覆っているベルトコーティングゴムと同種であり、厚みは1mmであった。
<実施例17〜20,比較例12,13>
図2に示すように、トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に、120℃におけるtanδが0.5である異種ゴム6を、下記表中に示す条件に従い配置した。スパイラルベルトの配設幅、トレッド端の壁面部における硬質ゴム、および、スパイラルベルトと90度ベルト層との間における緩衝ゴム層につき条件を変えて、各供試タイヤを作製した。
各供試タイヤについて、次の評価を行った。各タイヤは3本ずつ準備し、1本は新品時の横力評価に、他の1本はトレッド表面を削って摩耗を想定した横力評価に、他の1本は実車テストに、それぞれ用いた。本第二の実施形態のタイヤについては、競技で使うことを想定した評価を行った。
<CA50度の横力測定(新品時)>
直径3mのスチール製のドラムに、#40番の紙やすりを貼り付けて路面に見立てた。各供試タイヤは、リム幅6インチ、リム径17インチのホイールに組み、内圧200kPaを充填した。このタイヤを、CA50度、荷重1500N、SA0度でドラムに押し付けて、時速100km/hで回転させ、このときの横力を、タイヤの回転軸に取り付けた3分力計から測定した。横力がキャンバースラストである。横力の測定は、タイヤが回転し始めて5分の時のものを計測した。このときのショルダー部のトレッド温度は十分に暖められ、約120℃になっていた。結果は、従来例3の横力を100として指数で示した。なお、従来例3の横力は1900Nであった。
また、ショルダー部の温度を、ドラムを停止させてから計測した。トレッド端部から20mmの位置の温度をショルダー部の温度とした。
<摩耗を想定したタイヤの横力評価>
次に、各供試タイヤのタイヤ表面を、センター部からショルダー部まで一律に3mm削り取った。このタイヤについて、上記と同じ試験を行い、回転してから5分後のタイヤ横力を計測した。また、上記と同様に、ショルダー部の温度を計測した。
<テストコースでの評価>
テストコースで、熟練ライダーによる総合的な操縦安定性能の試験を実施した。各供試タイヤはリア用のタイヤであったため、リアタイヤのみを交換して実車試験を行った。フロントタイヤは常に従来のもので固定した。各供試タイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車を改造して、競技用としたバイクを用いて、競技を想定して、サーキットでの走行を実施した。最高速度は320km/hに達した。結果は、テストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価した。なお、テストは20周行い、最初の10周の平均ラップタイムと、最後の10周の平均ラップタイムを求めた。ラップタイムについては明らかにライダーがミスした場合のラップタイムは平均計算から除外した。操縦安定性能のフィーリング評点も、前半の10周と、後半の10周とで分けて評価した。サーキットのレイアウトは、速度80km/h〜120km/hで大きく車体を倒しこむコーナーが4箇所あった。また、20周走行した直後のタイヤ温度は、120℃程度であった。
<摩耗量の評価>
上記実車テストを行う前に、タイヤの重量を測定しておいた。その後、テストコースを20周した後に、タイヤに付着したゴムかすや小石などの付着物を綺麗に取り除いてタイヤの重量を測定し、新品時からの重量差を摩耗量として評価した。特設したテストコースはコーナーが多かったため、摩耗はショルダー部で集中的に発生した。つまり、この重量差を、新品時からのショルダー部の摩耗量と考えることができる。従来例3のタイヤの摩耗重量を100として、各供試タイヤの摩耗量を指数で比較した。なお、従来例3において、サーキットを20周した時のショルダー部の摩耗量は4mmに達していた。
これらの結果を、下記の表中に示す。
Figure 2009061842
*1)異種ゴムのトレッド表面における配設幅(mm)、および、この配設幅のトレッド展開幅に占める比率(%)(トレッド端からの範囲)を示す。
*2)異種ゴムの厚み(mm)、および、この厚みがトレッドゴムの総厚みに占める比率を示す。
*3)括弧内は、トレッド展開幅に対する比率(%)を示す。
*5)異種ゴムと、そのタイヤ幅方向内側に隣接して配置されたゴムとの深さ方向の境界の形状を示す。
*6)トレッド端の壁面部における硬質ゴムの有無を示す。
*7)スパイラルベルトと90度ベルト層との間における緩衝ゴム層の有無を示す。
Figure 2009061842
<tanδの高いゴムを配置する効果およびスパイラルベルトの幅を狭くする効果>
従来例3、比較例12(スパイラルベルト幅が240mmでtanδの高いゴムを配置したもの)、比較例11および実施例17(スパイラルベルト幅が180mmでtanδの高いゴムを配置したもの)を比較することで、tanδの高いゴムを配置することの効果がわかる。
実施例17は、従来例3と比べて、新品時および3mmトレッドを削り取った時の横力指数が共に向上している。また、サーキットを走行した時のラップタイムも1.5秒以上速く、効果が明確である。さらに、摩耗量についても、実施例17は従来例3よりも20%以上良化している。これにより、実施例17は、特に後半10周のラップタイムに優れている。これは、このような競技用のタイヤでは、競技車両のエンジンパワーが強化されて高いため、コーナーからの脱出のときの加速時における駆動力が非常に強く、タイヤが滑りながら加速するからである。そのため、タイヤのグリップ力を増すと、タイヤの滑りが抑制され、摩耗量を減らすことができる。
これは、比較例11のようにスパイラルベルトの幅を狭くしただけのものや、比較例12のようにトレッド端部にtanδの高い(表面の摩擦係数の高い)ゴムを配置しただけのものの、それぞれ単独の効果よりも、両者を組み合わせることで、効果が増すものである。摩耗量についてみると、従来例3から比較例11では7%少なく、従来例3から比較例12では6%少なく、両者を組み合わせると13%の改善であるが、実際には、両者を組み合わせた実施例17では、摩耗量が21%少なくなっている。これは、両者を組み合わせたことによって、グリップレベルが一段と高くなり、タイヤが滑りにくくなって、飛躍的に耐摩耗性能が向上するからである。また、走行後のトレッドショルダー部温度についても、実施例17では、比較例11、比較例12、従来例3よりも低下している。トレッドの滑りが少なく、すべり発熱が抑制されたからである。温度が低下しているため、ショルダー部のゴムの軟化も抑制されており、走行の後半でもラップタイムが速くなっている。
<厚みの効果>
比較例13は、tanδの高いゴムをトレッド端部の厚み全体に配置したものである。このタイヤでは、発熱が多く、トレッド端部のトレッドの横剪断剛性が低下しすぎてトレッドの剛性が不足し、高いtanδでグリップが高くなったメリットが相殺され、横力指数が実施例17に比べて小さくなっている。また、ドラムの温度も実施例17に比べて高いことがわかる。サーキットの走行においても、発熱が高く、ゴムが軟化して、操縦安定性能の評点は実施例17に比べて良くない。また、グリップが低くなるため、タイヤの空転、横滑りが多かったことからタイヤの摩耗量が多く、従来例3と変わらないレベルであった。
以上の結果から、トレッドの端部の厚み全てにtanδの高いゴムを配置するのではなく、実施例におけるように、タイヤの表面のみにtanδの高いゴムを配置することが好ましいことがわかる。
<深さ方向に異種ゴムの幅を広げる効果>
実施例17と実施例18との比較から、トレッド端部の表面の異種ゴムを、深さ方向に配設幅が広がるように配置することによる効果がわかる。図3の(A)と(B)との比較である。実施例18では、新品時のタイヤの横力指数は変わらないが、トレッドを3mm削った時の横力は向上した。これは、tanδの高い該ゴムが斜めに内側に存在したため、タイヤの摩耗に伴って、tanδの高い、すなわち、摩擦係数の高いゴムの露出量が増したためである。テストコースでの走行でも、実施例18は実施例17に比べて、走行の後半においてラップタイムが速いことが確認できる。また、グリップ力が増したため、タイヤの空転が防止され、滑りが減るため、摩耗量が少なくなった。
<硬質ゴムによる効果>
実施例18と実施例19との比較から、硬質ゴムを配置することによる効果がわかる。硬質ゴムの120℃のショアA硬度は70であり、これはトレッドゴムを構成するいずれのゴムよりも硬い。実施例19のように、硬質ゴムを配置することで、トレッドの横剛性が低下するのを防止することができる。トレッドショルダー部に配置するtanδの高いゴムは発熱しやすく、発熱によってゴムが軟化しやすい。しかし、硬質ゴムでトレッド端部を補強することでトレッドの横剛性を高めることができ、ゴムが軟化しても、ドラムの横力指数、サーキットの評点を高く維持できる。なお、従来例3のトレッドゴム構成に対し硬質ゴムを適用した場合を比較例9としたが、この場合は、実施例18に硬質ゴムを適用した実施例19に比べて、横力の向上効果が少ない。これは、従来例3は、トレッド端部にtanδの低いゴムを使用しているため、発熱が少なく、硬質ゴムで補強しなくても、トレッドの横剪断剛性がある程度保てているからである。本実施例のように、トレッド端部にtanδの高いゴムを用いた場合に、硬質ゴムの効果は非常に有効となる。
<緩衝ゴムによる効果>
実施例18と実施例20との比較から、緩衝ゴム層の配置による効果がわかる。実施例20では、90度ベルトとスパイラルベルトとの間に、緩衝ゴム層を配置している。このように、緩衝ゴムを配置することで、骨格部材の幅方向の剪断剛性を強化しながら、骨格部材が周方向には柔軟に動けるようになり、トレッドの周方向の無駄な剪断を緩和できる。そのため、タイヤの滑りが抑制され、摩耗が減るとともに、グリップも改善される。実施例20が、今回のテストの中で最高の得点と、最速のラップタイムを示している。さらに、摩耗量が極めて少ないことが利点である。これは、競技用タイヤでは、グリップが増すと滑りが減って摩耗が良くなるからである。また、スパイラルベルトの幅を狭くすることにより、さらに摩耗性能が向上していることも、走行末期でもラップタイムが低下しにくいことに繋がった。
なお、従来例3に、緩衝ゴムを配置したものが比較例10であるが、これらの場合と比べて、実施例20の効果は大きい。これは、本発明に係るトレッド端部の表面のtanδの高いゴムにより摩擦係数が上がった効果、スパイラルベルトを狭くすることで滑りが低減された効果、さらに、緩衝ゴム層を配置することでタイヤのグリップ力が向上した効果が重なり合って、飛躍的に摩耗性能とグリップ力が向上したからである。このように、単に緩衝ゴム層を配置するのではなく、本発明に係る構成と組み合わせることで、相乗的に効果を高めることができることが確かめられた。
本発明の一好適例に係る二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 本発明の他の好適例に係る二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 異種ゴムの配設部位を示す拡大部分断面図である。 二輪車が大きなCA(CA50度)で旋回しているときの荷重直下におけるタイヤ(タイヤ幅方向における挙動)を示す断面図である。 二輪車が大きなCA(CA50度)で旋回しているときの荷重直下におけるタイヤ(タイヤ周方向における挙動)を示す断面図である。
符号の説明
1 ビードコア
2 カーカス
3 ベルト層
4 スパイラルベルト
5 交錯ベルト層
6 異種ゴム
7 硬質ゴム
8 幅方向のベルト層
11 ビード部
12 トレッド部
12A 表層ゴム
12B 内層ゴム
12C トレッドセンター部の外側のゴム
13 サイドウォール部

Claims (13)

  1. 環状に形成されたトレッド部を備える二輪車用空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド部表面のタイヤ幅方向両端部に異種ゴムが配置され、該異種ゴムのトレッド表面における配設幅が、トレッド端からトレッド展開幅の5%〜17%の範囲内であり、該異種ゴムの損失正接tanδの値が、該異種ゴムのタイヤ幅方向内側に隣接して配置されたゴムのtanδの値よりも高く、
    前記トレッド部のクラウン部タイヤ半径方向内側に、タイヤ周方向に対する角度が0度〜5度であるスパイラルベルトを備え、かつ、該スパイラルベルトの配設幅が、トレッド展開幅の60%以上90%以下の範囲内であることを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 前記スパイラルベルトの配設幅が、トレッド展開幅の66%以上84%以下の範囲内である請求項1記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 前記スパイラルベルトが、前記異種ゴムとタイヤ幅方向に重ならないよう配設されている請求項1または2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  4. 前記トレッド部と前記スパイラルベルトとの間に、タイヤ周方向に対する角度が80度以上90度以下であって、該スパイラルベルトより配設幅の広いベルト層を備える請求項1〜3のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  5. 前記スパイラルベルトと前記ベルト層との間の少なくとも一部に、厚み0.3mm以上3mm以下の緩衝ゴム層を有する請求項4記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  6. トレッド端からトレッド展開幅の10%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みが、トレッド端を基準とするトレッド展開幅の17%から25%までの範囲のトレッドゴムの平均の厚みよりも小さい請求項1〜5のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  7. 前記異種ゴムの配設幅が、トレッド表面からタイヤ半径方向内側に向かい増大する請求項1〜6のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  8. 前記異種ゴムの厚みが、トレッドゴムの総厚みの20%以上70%以下である請求項1〜7のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  9. 前記トレッド部のうち、タイヤ赤道面を中心とするトレッド展開幅の少なくとも15%の領域が、厚み方向に積層された2種のゴムからなる請求項1〜8のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  10. 前記積層された2種のゴムのうち表層ゴムと、前記異種ゴムに隣接するゴムとが、同種のゴムからなる請求項9記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  11. トレッド端の壁面部の少なくとも一部に、厚み6mm以下の硬質ゴムが配置されている請求項1〜10のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  12. 前記トレッド部の少なくとも一部が、幅狭長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に重ねて巻きつけて形成されてなる請求項1〜11のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  13. 前記異種ゴムのトレッド表面における配設幅が、トレッド端からトレッド展開幅の5%〜14%の範囲内である請求項1〜12のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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