JP2009051411A - 二輪自動車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】二輪自動車の旋回走行時における横グリップ力を向上させて、磨耗時にも横グリップ力を維持することができるグリップ力と共に、優れた耐摩耗性を備えることができる二輪自動車用空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド11の各サイドウォール12に隣接する各トレッドショルダー部11bに、表面をトレッド表面に露出させて配置した異種ゴム21は、タイヤ幅方向におけるトレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、サイドウォール側端部を、トレッド端部11aからトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成されると共に、各トレッドショルダー部11bに配置されたそれぞれで動的弾性率が異なっている。
【選択図】図1

Description

この発明は、二輪自動車用空気入りタイヤに関し、特に、旋回走行時におけるグリップ力の向上を図ることができるトレッド構造を有する二輪自動車用空気入りタイヤに関する。
従来、二輪自動車に用いられる空気入りタイヤが知られている。二輪自動車は、その構造的特徴から、旋回走行時には車体を傾けるため、車体の傾きによって、タイヤの路面に接地する部分が移動する。また、車体を傾けない直立時は、速度が高く、タイヤには制動力と駆動力の前後方向(タイヤの赤道方向)の力が加わるが、車体を傾けた旋回走行時は、タイヤには大きな横力が主体的に加わる。そのため、タイヤのショルダー部には、横力に対抗する横グリップ力が求められる。一方、タイヤのタイヤ幅方向センター部には、市販のタイヤでは直進走行の頻度が高いことから、耐摩耗性の高いゴムを用いることが多い。
また、レースや競技に用いられるタイヤにおいては、直進走行時の速度が非常に高いため、発熱し難いゴムをトレッドセンター部に配置したり、トレッドセンター部を2層構造として内部に発熱し難いゴムを、外部にグリップ力の大きいゴムを配置する等の工夫がなされている。特に、サーキットにおけるレース走行や、一般道路でも激しい走行を行ったときには、走行中にタイヤショルダー部が発熱することから、走行に伴って旋回性能が低下したり、タイヤショルダー部の摩耗が進んだり、ゴムが劣化したりする。
一方、ゴムの特性として、ゴムの弾性率の指標である動的弾性率(E’)が低いと、ゴムが柔らかいことを意味し、柔らかいゴムは路面の凹凸に食い込むためグリップ力が大きい。一方で、柔らかいゴムは摩耗が早い特性がある。ゴムの柔らかさは、硬度、即ち、ショアA硬度で示すこともできる。ショアA硬度の小さいゴムは柔らかく、グリップ力が大きい反面、耐摩耗性が劣る特性がある。また、同時に、ゴムの変形が助長されるため、ゴムの粘弾性の特性で生じる歪エネルギロスにより、発熱し易くなる特性がある。
二輪自動車が車体を傾けて旋回走行する特性を持つこと、また、車体の傾きによって、タイヤの路面に接地するトレッド位が移動する特性を持つことから、二輪自動車のタイヤトレッドには複数の異なるゴムを用いることがある。
例えば、タイヤのセンター部とショルダー部でゴム物性を変更しているものとして、「自動二輪車用空気入りタイヤ」(特許文献1参照)、「スパイラルベルト構造の二輪車用空気入りタイヤ」(特許文献2参照)が知られており、タイヤの厚み方向についてゴム物性を変更しているものとして、「空気入りタイヤ」(特許文献3参照)、「自動二輪車用タイヤ」(特許文献4参照)が知られている。これらは、タイヤのセンター部とショルダー部の機能を分離させたものである。
特開2000−158910号公報 特開平7−108805号公報 特開2006−76355号公報 特開2005−271760号公報
ところで、二輪自動車用の空気入りタイヤでは、二輪自動車は旋回走行時に車体を傾けることから、直進走行時と旋回走行時では、タイヤトレッドの路面と接する場所が異なる。つまり、直進走行時にはトレッド中央部分を使用し、旋回走行時にはトレッド端部を使用する特徴がある。レースや競技においては、特に、旋回走行時の横グリップ力が重要である。旋回走行時の横グリップ力が十分だと、コーナー(曲線部)を高速で通り抜けることができるだけでなく、コーナーに続くストレート(直線部)も、コーナー脱出の速度が速いため初速が速くスピードを乗せることができる。即ち、横グリップ力を増すことができれば、競技やレースにおいてラップタイムを短縮することができる。
旋回走行時には、タイヤの横(幅)方向に対してグリップすることが求められる。二輪自動車を速く旋回走行させるには、旋回速度に伴って大きくなる遠心力と釣り合わせるために車体を大きく倒す必要があり、更に、その遠心力に対抗できるようにタイヤが路面にグリップできなければならない。つまり、車体を大きく傾けたときのタイヤのグリップ力が不足すると、速く旋回走行することができないため、タイヤのグリップ力が旋回走行性能に及ぼす影響は非常に大きい。
また、二輪自動車のレースが行われるサーキットについては、右旋回走行と左旋回走行の頻度が異なるものがあり、例えば、右回り(時計回り)方向のサーキットでは、右回り方向のコーナーが多くなる。また、コーナーの形状によって、高速度で旋回できる、所謂高速コーナーが右回りばかりで、低速度で旋回できる低速コーナーが左回りばかりというコースもある。高速コーナーは、遠心力も大きく、タイヤに対する入力も厳しいため、タイヤの摩耗が進み易く、また、タイヤの回転速度も高いため、ゴムが発熱し易い。このように、サーキットによっては、右旋回走行と左旋回走行で、タイヤに求める性能が違う場合がある。
ここで、更に、旋回走行時におけるタイヤのグリップ力を向上させるため、詳細な研究を行い、特に、二輪自動車の車体が最も倒れるバンク角度(キャンバー角度)が45〜50度付近のグリップ力を集中的に向上させることを検討した。これは、例えば、レースにおいては旋回走行速度が非常に重要であり、旋回走行速度が高ければコーナーの次のストレートの速度も伸びて、結果的にラップタイムが向上するからである。また、一般道路においても、旋回走行時のグリップ力を増すことは安全性の向上に貢献することができる。
二輪自動車用のタイヤでは、車体を大きく倒した旋回走行の場合、タイヤのトレッドの片側のショルダー部が接地してグリップ力を発生させている。このときのタイヤ接地形状について考察する。
図7は、二輪自動車が旋回走行する場合のタイヤ幅方向断面におけるトレッド変形を示す説明図である。図7に示すように、二輪自動車が、車体を大きく倒して、即ち、タイヤ1のキャンバー角度(Camber Angle:CA)45〜55度で、旋回走行する場合、タイヤ1のトレッド2の全幅(トレッド幅)の略1/4が路面Rに接触する。接地している略1/4の領域を3等分し、トレッド2の端部から領域A、領域B、領域Cとする。ここで、タイヤ1のトレッド幅方向に沿う断面でのトレッド2の変形を考える。トレッド2の変形によってタイヤ1に横力が発生するからであり、横方向のトレッド2の変形はキャンバースラスト(横力)を発生させる。
図7には、CA50度で旋回走行している場合のタイヤ1の接地断面と、接地断面に対応する接地部形状を示しており、タイヤ1によって、接地部は楕円の一部が欠けた楕円型形状aであったり、半月型形状bであったりする。
接地部が楕円型形状aにおける、領域Bのトレッド幅方向の変形について述べる。領域Bのトレッド2の表面2a、即ち、路面Rに接する点をQとし、Q点の内側のトレッド2の最深部の点をP点とする。図7に、P点とQ点の接地転動時の軌跡を示すが、P点は、トレッド2がタイヤ1のベルト(骨格部材)3に接している点であり、タイヤ1がCAを付けて傾いて転動するため、弓なりの曲線を描く。これに対し、Q点は、トレッド2の表面(トレッド表面)2aが路面Rに接触したときに路面Rに固定され、路面Rの方向、即ち、タイヤ1の進行方向に直線的に動く。
この動きの差によって、トレッド2が横剪断を受けるが、丁度、弓と弦の関係であり、荷重直下で最大の横剪断を受ける。この横剪断量によってトレッド2が横の変形を受け(図7参照)、トレッド2が横に剪断されるため、横力(キャンバースラスト)が発生する。このような横力発生の仕組みから、接地長(接地形状の周方向であるタイヤ赤道方向の長さ)が長い方が、P点とQ点の軌跡の差が広がり、トレッド2が大きく剪断される。接地長が短いと、トレッド2の剪断量(横方向であるタイヤ幅方向の剪断)は少ない。
接地部が楕円型形状aの場合は、領域Bで最も大きな剪断を受け、次いで領域Aが剪断が大きく、領域Cの剪断は少ない。接地部が半月型形状bの場合は、領域Bと領域Aで大きな剪断を受け、領域Cの剪断は少ない。しかしながら、これは、CA値と大きくかかわっており、CA45度の場合、よりタイヤ赤道側で接地するため、CA50度時の領域Cであった接地領域は領域A,B側へシフトし、CA55度の場合、CA50度時の領域Aであった接地領域は領域B,Cの方にシフトする。
つまり、CA45度〜55度の大CA時の旋回走行では、領域Bを中心に領域A、領域Cにおいて横力を大きく稼ぐ。
一方、二輪自動車の傾き角(バンク角、CA)を観察すると、二輪自動車は、CA45度〜55度以上になるまで倒れることはなく、領域Aは、二輪自動車が最大角度で傾いたときのみ路面Rに接地する領域であり、領域Bについても、二輪自動車が大きく傾いた場合を中心に使われる領域である。つまり、領域Aは、二輪自動車が大きく傾いた状態、即ち、最も横力が大きくなるときにのみ使用頻度が大きくなる領域である。
この領域Aにおいては、グリップ力を増大させることが重要であるが、摩耗及び発熱に対しても厳しくなる領域であるため、使用頻度としては少ないが、最もCAが付いた状態、即ち、入力が最も大きい状態で使われる領域となり、他の領域の寄与が減るため、局所的に摩耗及び発熱が大きくなる領域である。更に、トレッド端部のため、変形に抗する隣接ゴム部が存在しないため、変形が大きくなり過ぎて、摩耗及び発熱を助長する傾向がある。
以上、各領域についてまとめると、以下のようになる。
領域A:最大CA(45度〜55度)のときにのみ使用され、特に、横入力を受けて、最大CA時の横グリップ力の発生に大きく寄与する(特に、接地部が半月型形状bの場合)ものの、摩耗及び発熱の影響を受け易い領域。
領域B:最大CA(45度〜55度)のときに主体的に使われ、最大CA時の横グリップ力の発生に大きく寄与(特に、接地部が楕円型形状aの場合)する。最大CAのとき、また、CA40度のときにも接地しており、領域Aよりは使用頻度が高い。
領域C:最大CA(45度〜55度)のときにも使われ、更に、最大CAに達する過程(CA:30度〜45度)でも使われて、領域Aや領域Bと比べると明らかに使用頻度が高い。また、CAが45度のときには、接地形状の中心となって接地長が伸びるため、横方向の剪断も大きくなる。
また、二輪自動車用タイヤは、その横力発生の仕組みの特性から、更に、特徴的な点がある。図7に示す、P点とQ点の軌跡の差がトレッド2の横変形量であるが、この横変形量(変位)は一定である。つまり、P点とQ点の軌跡は、タイヤ1の幾何学的構造で決まるため、最大の横剪断量は一定となる。通常のタイヤにおいて、大CA時の領域B(図7参照)の横剪断量は7mm程度であるため、トレッド2のゴムが硬くても柔らかくても、横剪断量は一定の7mm程度である。
従って、トレッド2のゴムが柔らかいと、変位は一定のためトレッド2を変形させる力が少なくて済むので、発生する横力は小さくなり、逆に、トレッド2のゴムが硬いと、トレッド2を一定量だけ横変形させるのに大きな力を要するので、発生する横力は大きくなる。即ち、横力は、トレッド2の剛性(トレッドゴムの弾性率や硬度等)によるところが大きい。
しかしながら、実際の走行状態にあっては、トレッド2が硬いゴムで形成されている場合、路面Rの細かい凹凸に食い込み難いために摩擦係数が小さくなって滑り易くなることから、ゴムが硬過ぎるとトレッド2の表面が滑ってしまい、滑ることで変位量が減少し横力が出なくなる。
図8は、二輪自動車が旋回走行する場合のタイヤ周方向断面におけるトレッド変形を示す説明図である。図8に示すように、タイヤ1がCA50度で旋回走行する時、トレッド2のタイヤ周方向における接地形状の変形は、領域Aと領域Cで異なっている。これは、タイヤセンター寄りの領域Cとトレッド端部寄りの領域Aで、配置されたベルト3の速度が異なるからである。二輪自動車のタイヤ1は、タイヤ幅方向断面において大きな丸みを持っている。そのため、タイヤ回転軸からベルト3までの距離であるベルト半径が、領域Aと領域Cでは領域Cの方が大きい。配置されたベルト3の速度、つまり、トレッド2が路面Rに接触してから、タイヤ1の回転が進みトレッド2が路面Rから離れるまでのベルト速度が、領域Cの方が速い。これは、ベルト半径にタイヤ回転角速度をかけたものがベルト速度になるからであり、タイヤ1の回転速度は領域Aも領域Cも同じだからである。
このベルト周方向の速度差により、タイヤセンター寄りの領域Cではトレッド2がドライビング状態であり、タイヤトレッド端部寄りの領域Aではブレーキング状態である。ドライビングとは、タイヤ1をタイヤ赤道面Eに沿って輪切りにした場合に、トレッド内面(タイヤ内部の骨格部材に接している面)がタイヤ進行方向後方に剪断され、路面Rに接触しているトレッド表面2aがタイヤ進行方向前方に変形している剪断状態であり、丁度、タイヤに駆動力をかけたときに起こる変形である。
一方、ブレーキング状態とは、ドライビング状態の逆であり、トレッド2の変形はタイヤ内部側(ベルト3)が前方に剪断され、路面Rに接地しているトレッド表面2aが後方に変形している剪断状態であり、制動(ブレーキング)時のタイヤ1の動きとなる。
このタイヤ周方向のトレッド2の変形は、タイヤ1が駆動力も制動力も受けずに、遊輪状態で転がるだけで発生する。そして、このタイヤ周方向の剪断変形により、領域Aと領域Cでトレッド2が路面Rに対し滑り易くなって摩耗が進む。このような旋回走行中の余計な変形は、タイヤ1のトレッド2のショルダー部に偏摩耗を起こし易いので、無い方が良い。
この発明の目的は、二輪自動車の旋回走行時における横グリップ力を向上させて、磨耗時にも横グリップ力を維持することができるグリップ力と共に、優れた耐摩耗性を備えることができる二輪自動車用空気入りタイヤを提供することである。
上記目的を達成するため、この発明に係る二輪自動車用空気入りタイヤは、一対のビード部の径方向外側に一対のサイドウォールを配置し、該サイドウォール相互間にトレッドを配置した二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、前記トレッドの前記各サイドウォールに隣接する各トレッドショルダー部に、表面をトレッド表面に露出させた異種ゴムを配置し、前記異種ゴムは、タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、サイドウォール側端部を、前記トレッドのサイドウォールとの境界であるトレッド端部からトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、前記トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成されると共に、前記各トレッドショルダー部に配置されたそれぞれで動的弾性率が異なっていることを特徴としている。
また、この発明に係る二輪自動車用空気入りタイヤは、一対のビード部の径方向外側に一対のサイドウォールを配置し、該サイドウォール相互間にトレッドを配置した二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、前記トレッドの前記各サイドウォールに隣接する各トレッドショルダー部に、表面をトレッド表面に露出させた異種ゴムを配置し、前記異種ゴムは、タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、サイドウォール側端部を、前記トレッドのサイドウォールとの境界であるトレッド端部からトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成されると共に、前記各トレッドショルダー部に配置されたそれぞれで厚みが異なっていることを特徴としている。
また、この発明に係る二輪自動車用空気入りタイヤは、一対のビード部の径方向外側に一対のサイドウォールを配置し、該サイドウォール相互間にトレッドを配置した二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、前記トレッドの前記各サイドウォールに隣接する各トレッドショルダー部に、表面をトレッド表面に露出させた異種ゴムを配置し、前記異種ゴムは、タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、サイドウォール側端部を、前記トレッドのサイドウォールとの境界であるトレッド端部からトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、前記トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成されると共に、前記各トレッドショルダー部に配置されたそれぞれで、タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅が異なっていることを特徴としている。
また、この発明に係る二輪自動車用空気入りタイヤは、一対のビード部の径方向外側に一対のサイドウォールを配置し、該サイドウォール相互間にトレッドを配置した二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、前記トレッドの前記一方のサイドウォールに隣接する一方のトレッドショルダー部に、表面をトレッド表面に露出させた異種ゴムを配置し、前記異種ゴムは、タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、サイドウォール側端部を、前記トレッドのサイドウォールとの境界であるトレッド端部からトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、前記トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成されることを特徴としている。
また、この発明において、前記異種ゴムの厚みは、前記トレッドの厚みの20%以上、60%以下の範囲であることが好ましい。
また、この発明において、前記トレッドの幅方向中央部分は、トレッド厚み方向に積層した複数層構造を有することが好ましい。
また、この発明において、前記複数層構造を構成するトレッド表面側に位置する表層ゴムは、前記異種ゴムに接触していることが好ましい。
また、この発明において、前記複数層構造を構成するトレッド内部側に位置する内層ゴムは、前記トレッドショルダー部の前記異種ゴムに重なる範囲に達していることが好ましい。
また、この発明において、前記内層ゴムは、前記異種ゴムに接触していることが好ましい。
また、この発明において、前記トレッドの少なくとも一部は、幅が狭い長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に重ねて巻き付けることにより成形されていることが好ましい。
また、この発明において、前記トレッドのタイヤ径方向内側に、タイヤ赤道に対し0〜5度の角度を有して配置されたコードからなる補強ベルトを有することが好ましい。
また、この発明において、前記補強ベルトのタイヤ径方向外側に、タイヤ赤道に対し80度以上、90度以下の角度で配置された、前記補強ベルトよりベルト幅が広い保護ベルトを有することが好ましい。
また、この発明において、前記補強ベルトと前記保護ベルトの間の少なくとも一部に緩衝ゴムが配置されていることが好ましい。
また、この発明において、前記補強ベルトは、トレッド幅方向に沿う幅が、トレッド幅の60%以上、90%以下の範囲にあることが好ましい。
この発明によれば、トレッドの前記各サイドウォールに隣接する各トレッドショルダー部に、表面をトレッド表面に露出させた異種ゴムが配置され、この異種ゴムは、タイヤ幅方向におけるトレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、サイドウォール側端部を、トレッドのサイドウォールとの境界であるトレッド端部からトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成されると共に、各トレッドショルダー部に配置されたそれぞれで動的弾性率が異なっている。
このため、二輪自動車の旋回走行時における横グリップ力を向上させて、磨耗時にも横グリップ力を維持することができるグリップ力と共に、優れた耐摩耗性を備えることができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施の形態)
図1は、この発明の第1実施の形態に係る二輪自動車用空気入りタイヤのタイヤ幅方向に沿う断面説明図である。図1に示すように、二輪自動車用空気入りタイヤ10は、タイヤ周方向に沿うトレッド11と、トレッド11に連続してタイヤ両側面を構成する一対のサイドウォール12を有している。各サイドウォール12のタイヤ径方向内周側には、ビード部13が設けられており、左右一対のビード部13のそれぞれには、ビードワイヤ14からなるビードコアが配置されている。
つまり、一対のビード部13の径方向外側に一対のサイドウォール12が配置されており、これらサイドウォール12相互間にトレッド11が配置されている。
左右一対のビードコアの間には、複数(一例として、2枚を図示)のプライ(ボディプライ)からなるカーカス15が掛け渡されている。このカーカス15のタイヤ径方向外側には補強ベルト(スパイラルベルト)16が、補強ベルト16のタイヤ径方向外側には保護ベルト17が、保護ベルト17のタイヤ径方向外側には、トレッド11を形成するトレッドゴム18が、それぞれ配置されている。
即ち、二輪自動車用空気入りタイヤ10は、カーカス15の上に、補強ベルト16、保護ベルト17、及びトレッドゴム18を積み重ねた積層構造を有すると共に、カーカス15のコードが、タイヤ赤道に対する角度が90度になる、タイヤ中心から見て放射状(Radial)に配置されたラジアル構造を有している。この二輪自動車用空気入りタイヤ10は、レース用タイヤであり、タイヤ外表面となるトレッド11の表面には、溝が刻まれていない(図1参照)。
カーカス15は、例えば、ナイロン製のコードを撚って直径約0.6mmとし、これを、打ち込み数65本/50mmで打ち込んで略平行に並べ、未加硫ゴムによりシート状にしたものをカーカス部材として、形成されている。このカーカス15は、ビード部13において、プライを2枚まとめて両側からビードワイヤ14で挟み込むことにより(図1参照)、固定されている。なお、カーカス15は、両側からビードワイヤ14で挟んで固定する他、ビードコアの周りを巻き回すことにより固定してもよい。
補強ベルト16は、ベルト補強層として、タイヤ赤道に対し0〜5度の角度を有して配置されており、1本又は複数本のコードをゴム部材により被覆したベルト部材を、タイヤ製造過程において、トレッド部分に螺旋(スパイラル)巻きするようにタイヤ赤道に略平行に巻き付けることにより、形成されている。この補強ベルト16のベルト部材は、例えば、芳香族ポリアミド繊維(ケブラー:DuPont社の商品名)を撚って直径約0.7mmにしたコードを、打ち込み数50本/50mmで打ち込んで形成される。
つまり、補強ベルト16は、タイヤ赤道方向に対し0〜5度の角度で配置されたコードを内部に含むベルトからなり、1本又は複数本のコードを未加硫ゴムで被覆した連続体を、タイヤ周方向に沿って連続的に螺旋巻きすることで形成されている。
このようなベルトは、コードがタイヤ周方向に沿っているため、遠心力によるタイヤ膨張が生じ難く、特に、高速走行時の操縦安定性能に優れている。そのため、近年の高性能タイヤに広く使われるようになってきたが、高速走行時の操縦安定性を得るのには有効であるのに対し、車体を大きく倒したCA45〜55度での旋回走行では、速度も遅いため、本来の遠心膨張し難い効果は薄れ、横グリップに関しては従来の補強ベルトのないタイヤとあまり変わらない。そこで、このような高性能タイヤに、本発明を適用すると、大CA時の横グリップが増して、高性能タイヤとしての性能バランスが良くなり、好ましい。
なお、補強ベルト16は、スチール部材で形成しても良く、例えば、直径0.21mmのスチール単線を3本撚り(1×3×0.21)にしたスチール製コードを、打ち込み数30本/50mmで打ち込んで、スパイラル状に巻き付け形成しても良い。
保護ベルト17は、例えば、芳香族ポリアミド繊維を撚って直径0.6mmにしたコードを、打ち込み数50本/50mmで打ち込んで形成し、タイヤ赤道に対し約90度の角度で配置されている。
この保護ベルト17は、補強ベルト16を保護するものであり、タイヤ赤道に対し80度以上、90度以下の角度で配置され、補強ベルト16のベルト幅より幅が広く形成されている。補強ベルト16は、タイヤ周方向に伸び難いことから、補強ベルト16を配置することにより、タイヤの遠心膨張を防いでいる。補強ベルトを備えることにより、ベルト剛性が比較的高く保てるため、補強ベルトだけからベルト部が構成されているタイヤもある。また、補強ベルトを用いるとベルト剛性が高まるため、補強ベルトに合わせる傾斜ベルトは、タイヤ赤道に対する角度が45度〜80度の場合が殆どであり、タイヤの内圧を補強ベルトが殆ど受け止めている。
そのため、万一、補強ベルトが損傷すると、タイヤバーストに繋がり兼ねない。例えば、トレッドが摩耗して薄くなったときに高速走行で突起物を踏みつけた場合や、摩耗したタイヤを使い続けて補強ベルトが露出してしまった場合に、補強ベルトが破断してしまう可能性が全くないとは言えない。そこで、補強ベルトを保護するようにタイヤ幅方向に沿ったコードを持つ保護ベルト17を配置する。
ここで、保護ベルト17と補強ベルト16との間の少なくとも一部に、緩衝層となるゴム層を配置しても良い。これにより、トレッドショルダー部11bのトレッドの摩耗を抑制することができる。
なお、ここでは、保護ベルトを備えた構造について説明したが、保護ベルトを備えない構造でも良く、この場合は、保護ベルトを配置せずに、補強ベルト16のみを備えた構造としても良く、また、保護ベルトに代えて、タイヤ赤道に対し約90度の角度でベルトを1枚配置しても良い。
トレッドゴム18は、約7mmのタイヤ径方向に沿う厚さ(トレッドゴム厚:D)を有している。このトレッドゴム18の少なくとも一部は、幅が狭い長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に重ねて巻き付けることにより成形されている。
タイヤを製造する場合、従来、未加硫ゴムからなる幅が狭い断面形状のゴム連続体をタイヤ周方向に巻き付けて成型している(例えば、特開2006−240098号公報参照)が、タイヤのショルダー部は、タイヤ幅方向に沿う断面が曲率の大きな円弧からなる部分であるため、従来のように作業者による手作業で幅の広いトレッド材を配置すると、成型精度(形状精度)を確保することが困難である。そこで、幅の狭い未加硫ゴム連続体を、専用の成型機械を用いて自動的に巻き付けて成形すれば、形状精度を高くすることができる。
このトレッドゴム18は、トレッド11の幅方向中央(トレッドセンター)部分の内部が、トレッド厚み方向に積層した複数層構造、例えば、トレッド内部側に位置する内層ゴム19と、トレッド表面側に位置する表層ゴム20からなる2種類のゴム層を有している。内層ゴム19は、100℃のショアA硬度が50、且つ、損失係数である損失正接(tanδ)が極めて低いゴム部材からなり、トレッド幅方向に沿う幅が約140mm、トレッド厚み方向に沿う厚みが3mmに形成されている。内層ゴム19を覆う表層ゴム20は、100℃のショアA硬度が35のゴム部材からなる。
この二輪自動車用空気入りタイヤ10は、例えば、トレッド展開幅が約240mm、補強ベルト16の幅が約240mm、保護べルト17の幅が約245mmに形成されている。トレッド展開幅とは、トレッド幅方向に沿う断面において、トレッド11の一方側端部から他方側端部までのトレッド表面の曲面に沿った幅をいい、トレッド11を展開することにより、タイヤ幅方向に丸みを持つ曲面からなるトレッド11を、その弧の長さを直線にする平面に対応させて表示している。
そして、トレッド11の、各サイドウォール12との境界である各トレッド端部11a側、即ち、各サイドウォール12に隣接する各トレッドショルダー部11bには、トレッドセンター部側に隣接するゴム部材とは種類が異なるゴム部材からなる矩形断面形状の異種ゴム21が、その表面をトレッド11の表面に露出させて配置されている。
このように、トレッドショルダー部11bに異種ゴム21を配置することにより、トレッド表面部とトレッド内部でゴム部材の種類を異ならせ、トレッド表面部に、トレッドの内部を形成するトレッドゴム18より柔らかい異種ゴム21を配置している。トレッド表面部に柔らかいゴム部材である異種ゴム21を配置するのは、柔らかいゴム部材が、路面Rの舗装部材であるアスファルト等の骨材の細かい凹凸に食い込み、摩擦係数が高くなってタイヤのグリップが良くなるからである。
その一方、先に述べたように、二輪自動車用タイヤのトレッドショルダー部11bの横変位量は、幾何学的構造によって決まっており、トレッドショルダー部11b全てを柔らかくしてしまうとトレッドの剪断剛性が低下し、大きな横力を発生させることができなくなる。そのため、トレッド表面部のみを柔らかくしている。
トレッドゴム18の硬さは、動的弾性率(E’)又はショアA硬度で規定される。動的弾性率は、ゴム製のサンプルに、例えば、周波数15Hz、歪5%のサイン波(sinewave:正弦波)振動を加え、そのときの反力を計測することにより測定することができる。本発明においては、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を用いて、温度100℃、周波数15Hz、歪5%で計測した。特に、二輪自動車の競技用タイヤの場合、トレッドショルダー部11bのトレッド温度は100℃を超える場合もあるので、目的に応じて100℃よりも高い温度で測定するが、ここでは、温度100℃での計測値を動的弾性率とする。なお、競技用タイヤの場合、温度100℃以上で測定した動的弾性率を用いることが望ましい。
また、動的弾性率の代わりに、ショアA硬度を用いても良い。ショアA硬度は、市販の硬度計を用いて計測可能であり、例えば、トレッドゴムを切り出し、100℃の熱湯に30分漬けてゴムの温度を100℃にした後、硬度計で硬度を計測する。通常、硬度が大きいものは、動的弾性率も高くなる。
異種ゴム21は、タイヤ幅方向におけるトレッド表面に沿う幅(W1,W2)を、トレッド展開幅を基準(100)としてトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、サイドウォール12側の端部を、トレッド11のサイドウォール12との境界であるトレッド端部11aからトレッドセンター部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上(L1,L2)、10%以下の範囲に位置させている。
これは、大CA時のトレッドの使われ方に基づくものである。上述したように、二輪自動車のタイヤがCA45度〜55度の大CA時に接地する領域は、トレッド展開幅の1/4、即ち、25%の領域である(図7参照)。横力に寄与するのは、使用頻度を加えて考察すると、領域Bが最も大きく、続いて、領域C、領域Aとなる。一方、領域Aは、局所的に摩耗及び発熱への対策を、特に考慮する必要がある領域である。
つまり、異種ゴム21のトレッド幅方向に沿う幅が、トレッド端部11aを基点としてトレッド展開幅の5%未満では、領域Aに含まれているが、磨耗及び発熱のため柔らかいゴムを使用することはできない。特に、周囲のゴム部材に比べ相対的に柔らかくなると歪が集中してしまい、更に、磨耗及び発熱を助長することになる。
一方、トレッド展開幅の25%を超えると、領域Cより、更に、タイヤセンター部側になるため、横力の寄与は殆ど無い領域となる。更に、トレッド展開幅の5%以下では、少なくとも領域Bを網羅することができないので、あまり効果が得られず、トレッド展開幅の21%以上では、トレッド展開幅の1/4(25%)の横力に寄与する領域を逸脱するので、得られる効果代が鈍ってしまう。
そのため、トレッド幅方向に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上20%以下と規定した。これにより、異種ゴム21は領域B及び領域C(図7参照)を網羅することができる。
また、異種ゴム21のタイヤ径方向厚みであるトレッド深さ方向厚み(H)は、トレッド11の深さ方向に沿う、トレッド全体の厚み(深さ)の20%以上、60%以下の範囲とする。
また、異種ゴム21は、タイヤセンター部側に隣接するゴム部材に比べ、動的弾性率が低い或いはショアA硬度が小さいゴム部材により形成されると共に、各トレッドショルダー部11bに配置されたそれぞれ(即ち、異種ゴム21a,21b)で動的弾性率或いはショアA硬度が異なっている。
なお、一例として、異種ゴム21は、動的弾性率の場合は1.16MPa〜7.20MPaに、ショアA硬度の場合は30度〜70度に設定されている。
つまり、トレッド11のタイヤ赤道を境に一方のトレッドショルダー11b側に配置された異種ゴム21aと、他方のトレッドショルダー11b側に配置された異種ゴム21bのそれぞれの動的弾性率或いはショアA硬度は、二輪自動車の右旋回走行時と左旋回走行時におけるタイヤへの横力入力状況及び使用頻度の違いに対応し、一方のショルダー11b側と他方のショルダー11b側で異なっている。
また、トレッドショルダー11bの表面側に異種ゴム21が配置されたトレッドゴム18の内部、即ち、異種ゴム21より内側に位置する部分には、異種ゴム21よりも硬い材質のゴム部材、或いは損失正接(tanδ)の低いゴム部材を使用するのが望ましい。
このように、タイヤ赤道の両側(図1において、タイヤ赤道面Eの左右側)に位置する各トレッドショルダー部11bに配置された、両異種ゴム21a,21bのゴムの硬さを異ならせて、走行使用頻度の低い側には非常に柔らかいゴムを、走行使用頻度の高い側にはやや柔らかいゴムを用いる。これにより、走行状態によって、トレッド11のタイヤ赤道の両側で使用頻度が異なる場合でも、トレッド11全体でバランス良く対応することができ、また、トレッド11の磨耗についても、タイヤ赤道の両側で同様に進展するように調節することができる。
異種ゴム21aと異種ゴム21bの何れも、非常に柔らかいゴムにより形成した場合、走行使用頻度の低い側は良いが、走行使用頻度の高い側は摩耗が早期に進み、例えば、レース途中で適切なグリップが得られなくなってしまう。また、異種ゴム21aと異種ゴム21bの何れも、やや柔らかいゴムにより形成した場合、走行使用頻度の高い側は良いが、走行使用頻度の低い側については、更にグリップ力を高めることができるのにそれを生かすことができない。
また、トレッド11の幅方向中央(トレッドセンター)部を、内層ゴム19と表層ゴム20を積層配置した2層構造とすることにより、トレッド11における発熱を抑制することができる。
ここで、トレッドセンター部とは、トレッド幅方向中央部、トレッド幅全域の略25%の範囲であり、二輪自動車が直立状態のときに、タイヤのトレッド11と路面Rとの接触幅がトレッド幅全域の略25%であることによる。なお、2層構造とするのは、トレッド幅全域の略25%の範囲の全てでなくても良く、少なくともその大部分、具体的にはトレッド幅全域の15%以上の範囲であれば、効果が得られる。
2層構造として、トレッド内部に硬いゴム(内層ゴム19)を配置し、トレッド表面部に柔らかいゴム(表層ゴム20)を配置すれば、トレッド表面部のゴムがグリップを稼ぎ、内部のゴムが発熱を抑制する。また、内層ゴム19に、損失正接(tanδ)の低いゴムを使用すれば、更に、ゴムの発熱を抑制することができる。競技用タイヤにおいては、直進走行時に速度が300km/hを超えるときもあり、このような場合、高速走行によってトレッドが高い周波数で変形を繰り返し受け、発熱する。
その発熱により、トレッドゴム内部の添加オイル成分が気化して泡が発生するブロー現象が起こり、この泡を起点としてトレッドゴムの一部が欠けて飛び散ってしまう場合がある。そのため、このような使用条件の厳しい競技用タイヤにおいては、トレッド内部に発熱のし難い損失正接(tanδ)の非常に低いゴムを使用し、一方、トレッド表面部にグリップ力の高いゴムを使用するとよい。
このように、内層ゴム19と表層ゴム20の2層構造にすることで、CA45〜55度の大CA時のみならず、直進時の駆動特性及び制動特性も向上させることができる。
トレッド11の幅方向中心部であるトレッドセンター部において用いられている内層ゴム19と表層ゴム20は、異種ゴム21(21a,21b)との間にトレッドゴム18を介在させる離間空間を設けて配置されている(図1参照)が、この配置例に限るものではない。
図2から図4は、内層ゴム及び表層ゴムの配置状態の他の例(その1〜その3)を示す、図1と同様な断面説明図である。
図2に示すように、表層ゴム20を、トレッド幅方向に両トレッド端部11a側へ延ばして、異種ゴム21のタイヤセンター側端部に接触させている。これにより、トレッド11の外表面(トレッド面)は、両トレッド端部11a側を除く略全域が、異種ゴム21と表層ゴム20により形成される。つまり、表層ゴム20と異種ゴム21が繋がっていることにより、トレッド11を形成するゴムの種類を少なくすることができるので、効率的である。
また、図3に示すように、内層ゴム19を、トレッド幅方向に沿って両トレッド端部11a側へ延ばし、トレッドショルダー部11bの異種ゴム21の下方で異種ゴム21に重なる範囲に達するまで、幅広く配置する。
トレッドセンター部の内層ゴム19を、異種ゴム21に重なる範囲まで幅広く配置したことにより、発熱の抑制が可能となる。トレッド11の内部に硬いゴム(内層ゴム19)を配置し、トレッドショルダー部11bの表面側に柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置するため、トレッド表層部のゴムがグリップを稼ぎ、内部のゴムが発熱を抑制する。また、内部のゴムに、損失正接(tanδ)の低いゴムを使用すれば、更に、ゴムの発熱を抑制することができると同時に、内部に硬いゴムを用いるため、横力(キャンバースラスト)の増加も見込める。
なお、内部の硬いゴムは、タイヤ赤道を境に一方の側にのみ広く存在させても良く、走行使用頻度の高い側にのみ広く配置すれば、走行使用頻度の高い側の耐熱性を向上させてブロー故障を防止することができる。
また、図4に示すように、内層ゴム19を、トレッド幅方向に沿って両トレッド端部11a側へ延ばして、トレッドショルダー部11bの異種ゴム21の下面略全域に接触した状態に配置している。内層ゴム19と異種ゴム21を接触させることにより、横力を効果的に向上させると共に、使用するゴムの種類を少なくすることができるので、効率的である。
保護ベルト17は、タイヤ赤道に対する角度が80度以上、90度以下で、且つ、トレッド幅方向のベルト幅が補強ベルト16より広い幅広ベルトに形成して、配置しても良い。
つまり、保護ベルト17を、トレッドショルダー部11bの表層部の柔らかいゴム(異種ゴム21)と重なるように配置すれば、トレッド幅(横)方向に補強する繊維がベルト層(補強ベルト16及び保護ベルト17)の最外層に存在し、トレッド11の土台がトレッド幅(横)方向に強くなり、トレッド11の横剪断に対してベルト層が剛性を持つため、高い横力(キャンバースラスト)を維持することができる。
また、保護ベルト17と補強ベルト16との間の少なくとも一部に、緩衝層となるゴム(緩衝ゴム)を設けると、緩衝ゴムが、タイヤ周方向に剪断変形するため、ドライビング変形及びブレーキング変形(図8参照)を肩代わりすることになり、トレッド11のタイヤ周方向の変形が緩和される。一方、緩衝ゴムは、その上面にタイヤ幅方向に沿う保護ベルト17を持つことから、タイヤ幅方向には剪断変形され難い。そのため、タイヤ幅方向に対してはトレッド11の変形を肩代わりせず、トレッド11の横剪断変形は緩衝ゴムを配置しても大きいままである。
即ち、緩衝ゴムは、タイヤ周方向のみの変形を肩代わりし、トレッド11のタイヤ周方向変形を小さくして偏摩耗を防止する一方で、タイヤ幅方向の変形は肩代わりせずにトレッド11の横変形は大きいまま維持し、横力(キャンバースラスト)を高く保つ効果がある。本発明のように、トレッドショルダー部11bの表面に柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置した場合は、柔らかいゴムが摩耗し易いため、このような緩衝ゴムを設けることが非常に効果的である。保護ベルト17及び緩衝ゴムは、トレッド端部で異種ゴム21が配置されている場所に重なるように、幅広く配置することが好ましい。
図5は、補強ベルトの他の配置例を示す、図1と同様な断面説明図である。図5に示すように、補強ベルト16のタイヤ幅方向に沿うベルト幅が、トレッド11のタイヤ幅方向に沿うトレッド幅の60%以上、90%以下の範囲にあるようにする。これは、領域A(図7参照)に補強ベルト16が存在しないことを意味する。領域Aに補強ベルト16が存在しないと、領域Aの保護ベルト17がタイヤ周方向に伸びることができる。
領域Aのトレッドは、路面Rに接触した(踏み込み)後、路面Rから離れる(蹴り出し)までブレーキング変形を受けるため、保護ベルト17をタイヤ周方向へ伸ばそうと引っ張っている(図8参照)。トレッド11が接地している領域において、保護ベルト17がタイヤ周方向に伸びることができれば、トレッド11のブレーキング変形を緩和することができる。
即ち、保護ベルト17が接地している領域においてタイヤ周方向に伸びるということは、ベルト速度が増すことであり、領域Cと領域Aの保護ベルト17の速度差が縮まってトレッド11のタイヤ周方向の余計な変形(ブレーキング変形)が抑制されることにつながる。領域Aのトレッド11については、そこに、タイヤ周方向に伸びない補強ベルト16が無いことによって保護ベルト17がタイヤ周方向に伸び、ブレーキング変形が緩和される。これにより、滑りが低減されて、柔らかいゴム(異種ゴム21)をトレッド表面部に搭載しても耐摩耗性能が向上することになる。
このように、上述した、補強ベルト16の幅をトレッド幅全体に巻く従来の構造ではなく、補強ベルト16の幅を狭くして領域Aに補強ベルト16が存在しない構造とすれば、耐摩耗性能が向上し、トレッドショルダー部11bの表面に柔らかいゴム(異種ゴム21)を搭載することが可能になる。
補強ベルト16の幅を、トレッド幅の60%以上、90%以下とするのは、図7に示す接地形状のタイヤ幅方向中心部がトレッド端部11aから12.5%の位置であり、この中心で補強ベルト16の幅を規定すると75%となるので、この75%を中心値として規定した幅である。
補強ベルト16の幅がトレッド幅の90%である場合、トレッド端部11aから5%の範囲が補強ベルト16が巻かれていない部分となり、90%を超えると、領域Aのベルトがタイヤ周方向に伸び難くなり、領域Aのブレーキング変形を緩和する効果が薄れる。トレッド幅の60%未満は、トレッド端部から15%の位置よりも補強ベルト16の幅が狭いことを意味し、15%よりも広い幅は、図7に示す領域Cにも補強ベルト16が一部存在しなくなり、領域Cも接地によってベルトがタイヤ周方向に伸びようとするため、領域Aと領域Cのベルトのタイヤ周方向の速度差が縮まらなくなってしまう。
また、接地領域の殆どに補強ベルト16が存在しないため、補強ベルト16のタガ効果が薄れ、高速時の操縦安定性能が低下する。故に、スパイラル幅は、60%以上90%未満が好ましい。
(第2実施の形態)
この発明の第2実施の形態に係る二輪自動車用空気入りタイヤは、異種ゴム21(21a,21b)のタイヤ径方向、即ち、トレッド深さ方向に沿う厚み(H)が、タイヤ赤道の両側(図1において、タイヤ赤道面Eの左右側)で異なっている。即ち、トレッド11の表面に設けた異種ゴム21の厚みを、各トレッドショルダー部11bに配置された異種ゴム21aと異種ゴム21bで異ならせている。その他の構成及び作用は、第1実施の形態に係る二輪自動車用空気入りタイヤと同様である。
トレッドショルダー部11bは、トレッド表面にのみ柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置しトレッド内部は硬いゴムとする、2層構造を有している。この異種ゴム21の厚み(H)を変えることで、トレッドショルダー部11bの剪断剛性を変更することができる。トレッド表面に配置した異種ゴム21が薄ければ、トレッドショルダー部11bの剪断剛性が高められ、横入力に対する耐久性が増す。即ち、耐摩耗性に優れる。トレッドの表面に配置した異種ゴム21が厚いと、摩耗は早くなるがグリップ力が強くなる。また、ゴムは、柔らかい方が、歪が大きく発熱し易い。
以上のことから、トレッド11のタイヤ赤道を挟んだ両側の内、走行使用頻度の高い側、例えば、走行コースに右コーナーが多く、その上、右コーナーが高速旋回を必要とする旋回半径の大きめの高速コーナーで、タイヤの摩耗が激しい等の場合は、異種ゴム21の厚みを薄くしてトレッド剛性を高め、摩耗に強くする。
走行使用頻度の低い側は、異種ゴム21の厚みを厚くしてグリップ力を優先させる。走行使用頻度が低いため、異種ゴム21が摩耗し易くても、摩耗の進行は、走行使用頻度の高い側と同程度に調節することができる。更に、柔らかいゴムからなる異種ゴム21は発熱し易いため、走行使用頻度が低くてもトレッド11の温度を上昇させることができる。レース仕様のタイヤに使用するゴムは、高温になるとグリップするように設計されていることから、100℃程度の高温にならないとグリップ力が得られ難く、走行使用頻度の低い側に硬いゴムを配置すると、ゴムの歪が小さく発熱が小さいためになかなか高温に達せず、トレッドゴムのグリップ力を得難い。
ところで、走行使用頻度の高い場所で柔らかいゴムを使用すると、直ぐに発熱してトレッド温度が100℃以上になってしまう。特に、柔らかいゴムを、長時間、使用頻度の高い厳しい入力条件で使用すると、ゴムの内部に気泡が発生し気泡を起点にゴムが破壊される、所謂ブロー現象が起こる。このような観点からも、走行使用頻度の高い側の異種ゴム21の厚みは薄くして発熱を防止し、使用頻度の低い側の異種ゴム21の厚みは厚くしてグリップ力を確保すると共に発熱し易くすることが有効となる。
従って、タイヤ赤道の両側で異種ゴム21の厚みを異ならせることにより、トレッド特性を簡単に調節することができる。しかしながら、上述したように、二輪自動車のトレッドショルダー部11bにおけるトレッド横変位量は、幾何学的構造により決まっており、トレッド11の全てを柔らかくするとトレッド剪断剛性が低下してしまい、大きな横力を発生することができなくなる。そのため、トレッド表面のみを柔らかくすることにより、トレッド表面でのグリップ力を増加させて剪断変形を大きくすると共に、トレッド内部のゴムを硬くすることで、横力の増加が望める。
トレッド表面の柔らかいゴム(異種ゴム21)は、路面Rの凹凸との食い込みを考えると、その厚み(H)を、トレッド全体の厚み(D)、即ち、トレッドゴム18の厚みの20%以上、60%以下にすることが望ましい。トレッド全体の厚み(D)の20%未満だと、ゴムの層が薄過ぎて、ゴムが柔らかくても路面Rに食い込み難く、また、ゴムが直ぐに磨耗してしまう懸念もある。一般に、路面Rのマクロな凹凸は1mmから3mm程度であり、その範囲をカバーするのに十分な値を設定している。
更に、競技用の一部のタイヤ、例えば、予選に用いるタイヤでは、1周だけ速く走ることができることを目的としており、このようなタイヤの場合、剛性とグリップのバランスから、厚みは薄い方が良く、トレッド全体の厚み(D)の20%以上、40%以下が好ましい。
(第3実施の形態)
この発明の第3実施の形態に係る二輪自動車用空気入りタイヤは、異種ゴム21(21a,21b)のタイヤ幅方向におけるトレッド11の表面に沿う幅(W)が、タイヤ赤道の両側(図1において、タイヤ赤道面Eの左右側)で異なっている。即ち。トレッド表面に設けた異種ゴム21のゴム幅を、各トレッドショルダー部11bに配置された異種ゴム21aと異種ゴム21bで異ならせている。その他の構成及び作用は、第1実施の形態に係る二輪自動車用空気入りタイヤと同様である。
上述したように、走行時のタイヤの路面Rと接地する各領域は、以下のようになる。
領域A:最大CA(45度〜55度)のときにのみ使用され、特に、横入力を受けて、最大CA時の横グリップ力の発生に大きく寄与する(特に、接地部が半月型形状bの場合)ものの、摩耗及び発熱の影響を受け易い領域。
領域B:最大CA(45度〜55度)のときに主体的に使われ、最大CA時の横グリップ力の発生に大きく寄与(特に、接地部が楕円型形状aの場合)する。最大CAのとき、また、CA40度のときにも接地しており、領域Aよりは使用頻度が高い。
領域C:最大CA(45度〜55度)のときにも使われ、更に、最大CAに達する過程(CA:30度〜45度)でも使われて、領域Aや領域Bと比べると明らかに使用頻度が高い。また、CAが45度のときには、接地形状の中心となって接地長が伸びるため、横方向の剪断も大きくなる。
そのため、例えば、走行使用頻度が非常に多い場合は、領域Cにのみ柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置し、領域Aや領域Bの摩耗を抑制する。走行使用頻度がやや多い場合は、領域Bと領域Cに柔らかいゴムを配置して、グリップを最大限に稼ぐことができるようにする。左旋回と右旋回の頻度が異なるサーキットでは、トレッドにおけるタイヤ赤道の両側それぞれへの横入力の差異を考慮し、走行使用頻度に応じて柔らかいゴムを配置する。これにより、左右それぞれの側への横入力の差異による摩耗のアンバランスを解消し、走行使用頻度の低い側では柔らかいゴムの配置量を増やして少ない横入力でもゴムを発熱し易くし、また、グリップを最大限に稼ぐことができる。
(第4実施の形態)
この発明の第4実施の形態に係る二輪自動車用空気入りタイヤは、異種ゴム21(21a,21b)が、タイヤ赤道の両側(図1において、タイヤ赤道面Eの左右側)の各トレッドショルダー部11bの何れか一方のみに配置されている。即ち、トレッド11には、異種ゴム21aと異種ゴム21bの何れか一方が設けられている。その他の構成及び作用は、第1実施の形態に係る二輪自動車用空気入りタイヤと同様である。
ここでは、トレッド11における走行使用頻度が、タイヤ赤道を境に一方の側(例えば、右側)と他方の側(例えば、左側)で極端に異なる場合を対象にしており、トレッド11のタイヤ赤道を境にした片側にのみ柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置している。つまり、第1実施の形態から第3実施の形態において、トレッド11において極端に左右差を付けた場合に相当し、トレッド11のタイヤ赤道を境にした一方の側は、柔らかいゴムを配置せずに耐摩耗性能の強化を優先させることができる。即ち、トレッド11の走行使用頻度が高い側は、柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置しない。
トレッド11の走行使用頻度が低い側には、柔らかいゴムを配置するが、走行使用頻度が低いので摩耗量は少ないため、柔らかいゴムを搭載してグリップ力を稼ぐと共に、少ない横入力でも、直ぐにゴムが発熱して必要とする温度に到達させることができる。
次に、上述した構成に基づく二輪自動車用空気入りタイヤ10(図1参照)を基本構造として、従来例、比較例、及び実施例の各タイヤ(つまり、全て、タイヤセンター部は2層構造を有している)を用意し、各種評価を行った。
従来例のタイヤは、トレッドセンター部表面から両側に広がってトレッドショルダー部まで延長された、100℃のショアA硬度が35(図1中、M0と表示)の一種類のゴムにより、厚み7mmでショルダー部トレッドを形成している。
図1に示す二輪自動車用空気入りタイヤ10を実施例1のタイヤとした。
トレッド端部の表面に、柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置した。異種ゴム21の配置幅(トレッド表面のタイヤ幅方向の幅)と深さ(タイヤ径方向長さ)は、タイヤ赤道の両側で異なり、一方の側(図1に面して左側)の異種ゴム21aは配置幅W1、深さH1とし、他方の側(図1に面して右側)の異種ゴム21bを配置幅W2、深さH2とする。また、異種ゴム21の配置を、トレッド端部11aから、異種ゴム21aのトレッド端部11a側迄の距離L1、異種ゴム21bのトレッド端部11a側迄の距離L2とし、異種ゴム21の100℃のショアA硬度を、異種ゴム21aはM1、異種ゴム21bはM2とする。つまり、タイヤ赤道の両側で異種ゴム21の各設定値を異ならせている。
なお、トレッド表面側に配置された異種ゴム21の下方には、100℃のショアA硬度35(図中、M0と表示)のゴム、即ち、トレッドゴム18が配置されている。
また、比較例として、トレッド表面のゴムをタイヤ赤道の両側で同一としたものを用意した。各設定値を、表1にまとめた。
そして、従来例、比較例、及び実施例の各タイヤについて、次の評価を行った。
[CA50度の横力(キャンバースラスト)測定]
直径3mのスチール製のドラムに#40番の紙やすりを貼り付けて、路面に見立てる。タイヤは、リム幅6インチ、リム径17インチのホイルに組み込み、内圧200kfhを充填する。
このタイヤを、CA50度、荷重1500N、接地面のスリップ角度(Slip Angle:SA)0度でドラムに押し付け、時速100km/hで回転させる。このときの横力を、タイヤの回転軸に取り付けた3分力計により測定し、従来例の横力(1700N)を基準値(100)として指数で表した。
横力の測定は、タイヤが回転し始めてから5分経過後(このとき、タイヤは十分に温まりトレッドショルダー部のトレッド温度は約100℃になっていた)に、タイヤ赤道の両側のトレッドについて、つまり、タイヤを左右に50度倒したCA50度で行った。
[テストコースでの評価]
テストコースにおける熟練ライダーによる実車走行により、総合的な操縦安定性能の試験を実施した。準備したタイヤはリア用であったため、フロントのタイヤは従来のものを用いた。使用した二輪自動車は、排気量1000ccのレース使用車とし、車体を大きく倒した旋回時操縦安定性(コーナリング性能)を中心に、テストライダーのフィーリングによる10点満点で総合的に評価した。
旋回評価は、左旋回が多いサーキットをテストコースとして、1周のラップタイム約130秒で6周し、右旋回と左旋回のそれぞれで行った。
図6は、サーキット一周におけるバンク角度の使用頻度を示し、(a)は今回テストを行ったコースの場合をグラフにより表した説明図、(b)は他のコースの場合をグラフにより表した説明図である。図中、縦軸は、一周に要する時間に対する使用時間の割合(%)を、横軸は、バンク角度を、それぞれ示す。図6に示すように、テストコースとして使用したサーキットは、左旋回コーナーが非常に多く、進行方向左側のトレッドの使用頻度が高いことが分かる((a)参照)。なお、サーキットによっては右旋回と左旋回の使用頻度がほぼ同等の場所もある((b)参照)。
[摩耗量の評価]
実車走行テストを行う前にタイヤの重量を測定した。テストコースを8周した後に、タイヤに付着したゴムかすや小石等の付着物をきれいに取り除き、タイヤをリムから取り外して、タイヤの重量を測定する。このとき、タイヤをトレッドセンター部のタイヤ赤道面で左右2つに切断し、右側と左側のそれぞれのタイヤの重量を計測した。新品時のタイヤの重量の半分から、左側と右側それぞれの走行後のタイヤの重量を引けば、左側と右側それぞれの摩耗量を計測することができる。
テストコースはコーナーが多かったため、トレッドショルダー部で集中的に磨耗が発生した。つまり、新品時と走行後の重量差がトレッドショルダー部の摩耗量と考えることができるので、従来のタイヤの右側の摩耗重量を基準値(100)として指数で表し、他のタイヤの磨耗量と比較した。
表1に、従来例、比較例1,2、及び実施例1〜9の各種設定値と評価結果をまとめた。
Figure 2009051411
考察
実施例1は、右側のトレッド表面の柔らかいゴム(異種ゴム21a)の硬さを、左側(異種ゴム21b)よりも柔らかくしたものである。この実施例1を、従来例及び比較例1と比べると、従来例は、トレッド表面の柔らかいゴムが全く無い構成であり、比較例1は、トレッド表面の左右両側に対称に同じ硬さ(ショアA硬度25)の柔らかいゴムを配置した。
比較例1は、柔らかいゴムを配置することで、ドラムでの横力指数が向上し、サーキットにおいてもグリップ力が向上し、ラップタイムは短縮された。しかし、左側の摩耗量が多く、周回の後半(6周の走行での5周目と6周目)において、左側のトレッドの摩耗によりグリップ力が失われ、ラップタイムが低下するのが目立った。
これに対し、実施例1は、左側のゴムをやや硬めにしたものであり、左側の旋回走行において走行を重ねてもグリップが低下し難くなった。そのため、ラップタイムが比較例1よりも速く、また、左側の磨耗量が比較例1よりも改善された。
従来例に比べると、実施例1は、摩耗量が改善されると共に、ラップタイムが2秒以上短縮された。
なお、レース仕様のタイヤは、非常に厳しい入力条件で使われるため、走行中に横滑りしたり、エンジントルクでタイヤ周方向に滑ったりする。摩耗は、滑りが大きいと促進される特徴があるため、トレッドに柔らかいゴムを配置してグリップ力を増加させると、滑りが収まって摩耗が改善される場合がある。市販のタイヤの場合は、柔らかいゴムを配置すると、ゴムが摩滅し易く摩耗が進むのが一般的であるが、入力の厳しいサーキット走行においては、逆の現象が見られる場合がある。
今回、従来例に比べ比較例1の摩耗性能が改善されたのは、この影響による。但し、比較例1の左側は、入力に対してあまりにもゴムが柔らか過ぎたために、摩耗の改善量が少なかった。これに比べて、実施例1の左側のゴムは、比較例1よりも硬めであるが摩耗性能が改善されている。
実施例2は、トレッド端部の表面に、左右両側共に同じ硬さ、同じ幅の柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置しているが、配置したゴムの厚みが左右両側で異なっている。左側は、トレッド表面にのみ、厚さ2mmの柔らかいゴムを配置し、右側は、トレッドショルダー部の全部の厚さに柔らかいゴムを配置している。
配置するゴムの厚みを左右両側で異ならせることにより、トレッド剛性を調整することができる。また、柔らかいゴムを厚く配置することで、少ない使用頻度でも直ぐに発熱して、グリップを発生する適温にトレッドが温められる。
実施例2は、従来例や比較例1よりも評点が高く、サーキットでのラップタイムも短縮した。また、摩耗については、特に、左側が改善された。
実施例3は、トレッド端部の表面に、左右両側共に同じ硬さ、同じ厚さの柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置しているが、配置したゴムのタイヤ幅方向の幅が異なっており(図1参照)、左側のゴムは幅15mm、右側のゴムは幅45mmとしている。幅15mmは、トレッド幅の約6%に相当し、配置と合わせて考えると、領域B(図7参照)の部分に相当する。幅45mmは、トレッド幅の約19%に相当し、設定している領域は、領域B〜領域C(図7参照)の全てを覆っている。
このサーキットの場合、右側の旋回走行が極端に少ないため、右側のトレッドについては、領域Cにまで柔らかいゴムを配置しても摩耗は問題にならなかった。むしろ、右側のゴムを柔らかくしてグリップ力が増加したため、右旋回走行においてタイヤの滑りが抑えられ、磨耗量は柔らかいゴムを配置したにも拘わらず改善された。左側の旋回走行は、入力が厳しく長時間使用するため、領域B(図7参照)の部分にだけ柔らかいゴムを配置した。左側についても、グリップ力が増加して摩耗量が減少した。
実施例4は、トレッド端部の表面に、左側は従来と同じで、右側にのみ、柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置している。このようにすれば、製造工程が簡略化して容易になるメリットもある。また、実施例4は、補強ベルト16の幅をトレッド展開幅の75%に当たる180mmにした。その結果、摩耗量が減少し、サーキットでのラップタイムも従来例に比べて速くなった。
比較例2は、従来例の補強ベルト16のタイヤ幅方向の幅を180mmに変更したものであるが、比較例2と比べても、走行使用頻度の低い右側のトレッドゴムの表面に柔らかいゴムを配置した実施例4は、ラップタイムが短縮されている。これは、走行使用頻度の低い右側のグリップ力が、柔らかいゴムによって向上したからである。
実施例5は、実施例3の補強ベルト16のタイヤ幅方向の幅を180mmにしたものである(図5参照)。
比較例2は、従来例のスパイラル幅を180mmにしたものであるが、従来例に比べてラップタイムが1.5秒短縮している。これに対し、実施例5は、従来例3に比べて、ラップタイムが2秒短縮しており、効果が大きい。また、磨耗量も、大幅な改善が確認された。
このように、柔らかいゴム(異種ゴム21)を配置することと、補強ベルト16の幅を180mmに狭くすることを組み合わせると、それぞれの要素を単独で用いるよりも、大きな効果が得られる。
実施例5は、ラップタイムも非常に速く、摩耗量も極めて少ない。
実施例6は、タイヤセンター部の内部を、内層ゴム19と表層ゴム20を層状に配置して、トレッドセンター部を2層構造とすると共に、表層ゴム20が柔らかいゴム(異種ゴム21)に接触しているものである(図2参照)。結果をみると、ラップタイム等を維持しながら、トレッドゴムの種類を減らすことができ、製造コストの低減が可能になる。
実施例7は、トレッドセンター部を2層構造とすると共に、損失正接(tanδ)の低い発熱し難いゴムからなる内層ゴム19が、トレッドショルダー部近傍まで達している構造である(図3参照)。このように、トレッドの内部に発熱し難いゴムを配置することで、走行を重ねてもトレッドショルダー部の温度が上がり過ぎることがなく、適温を保つことができる。そのため、周回走行の後半においても、安定したラップタイムを計測することができ、その結果、6周の平均のラップタイムは速くなった。
実施例8は、実施例7における、損失正接(tanδ)の低い発熱し難いゴムからなる内層ゴム19が、トレッドショルダー部11bまで達すると共に、柔らかいゴム(異種ゴム21)に接触している(図4参照)。これにより、実施例7により得られた性能を保持したまま、トレッドゴムの種類を減らすことができ、製造コストの低減が可能になる。
実施例9は、上述した各実施例(1〜8)の良い部分を全て組み合わせた構成を有しており、トレッドの左右両側それぞれのゴムの硬さ、深さ、幅を異ならせ、また、トレッドセンター部の発熱し難い内層ゴム19を、トレッドショルダー部まで延長させた。その結果、ラップタイムは、従来例に比べて5秒7も速くなり大幅に向上した。また、摩耗量も大幅に低減した。
このように、本発明の構成を組み合わせることで、相乗的な効果が期待できる。
また、比較例1を基に比較例3〜5を用意すると共に、実施例1を基に、比較例3〜5に相当する実施例10〜12を用意して、[CA50度の横力(キャンバースラスト)測定]、[テストコースでの評価]、[摩耗量の評価]を行った。
比較例3は、比較例1の構成に、補強ベルト16のタイヤ径方向外側に、タイヤ赤道に対する角度が90度の保護ベルト17を1枚加えた構成を有している。保護ベルト17は、芳香族ポリアミドの繊維を撚って直径0.6mmとしたものを、打ち込み数50本/50mmで形成されている。
比較例4は、比較例3において、補強ベルト16と保護ベルト17の間に、緩衝ゴムを設けた構成を有している。緩衝ゴムは、厚さ0.7mmで、保護ベルト17に用いているコーティングゴムと同じ種類のゴムを用いて形成されている。
比較例5は、比較例1において補強ベルト16の代わりにコードの傾斜角度45度のベルトを配置した構成を有している。
表2に、比較例1,3〜5及び実施例1,10〜12の各設定値と評価結果をまとめた。
Figure 2009051411
考察
[補強ベルトの効果]
比較例1と比較例5、及び実施例1と実施例12から、補強ベルト16による効果が分かる。この補強ベルト16を、柔らかいゴム(異種ゴム21)と一緒に用いると、ラップタイムが大幅に向上すると共に、トレッドの左右両側それぞれの摩耗比率が大きく改善していることが分かる。従って、補強ベルト16とトレッドショルダー部11bの柔らかいゴム(異種ゴム21)の組み合わせは、非常に有効である。
[保護ベルトの効果]
保護ベルト17の目的は、前述したように、補強ベルト16の保護のためであるが、実施例1と実施例10を比較すると、横力(キャンバースラスト)指数が向上している。これは、保護層である、タイヤ赤道方向に対し80〜90度の角度で配置された保護ベルト17は、タイヤ幅方向に剛性を持つ部材であるため、大CA時の横力を損失なくトレッド全体に伝えることができるためである。このように、保護層だけの機能ではなく、相乗効果として、大CA時の横力増加を達成するのに非常に有効である。
[緩衝ゴムの効果について]
実施例10,11及び比較例3,4から、緩衝ゴムによる効果が分かる。実施例10,11では、保護ベルト17と補強ベルト16の間に緩衝ゴムを配置した場合と配置しない場合を比較している。緩衝ゴムのゴムの種類は、保護ベルト17を覆っているベルトコーティングゴムと同じ種類のゴムであり、それぞれ厚みは0.7mmである。
このように、緩衝ゴムを配置することで、タイヤ骨格部材のタイヤ幅方向の剪断剛性を強化しながら、タイヤ骨格部材がタイヤ周方向には柔軟に動けるようになり、トレッドのタイヤ周方向の無駄な剪断の発生を緩和することができる。そのため、タイヤの滑りが抑制されて摩耗が減ると共に、グリップも改善される。更に、摩耗量は、極めて少ない。これは、競技用タイヤは、グリップ力が増すと滑りが減って耐摩耗性能が良くなるからである。
なお、比較例3,4に比べ、実施例10,11の効果は大きい。これは、本発明のトレッドショルダー部11bの表面の柔らかいゴム(異種ゴム21)と補強ベルト16を狭くすることが、タイヤのグリップ力を高めており、それに加え、緩衝ゴムを配置することで、タイヤのグリップ力が飛躍的に向上し、タイヤが滑り難く耐摩耗性能が向上したからである。このように、単に、緩衝ゴムを設けるのではなく、本発明に係る構成を組み合わせることで、相乗的に効果を高めることができる。
このように、本発明に係る二輪自動車用空気入りタイヤは、横グリップ力を向上させて摩耗しても横グリップ力を維持することができる。また、特に、競技用タイヤとして使用したときに、グリップ力と耐摩耗性に優れたタイヤを提供することができる。更に、サーキットのコースレイアウト特性により、二輪自動車の走行に際しトレッドのタイヤ赤道の両側それぞれの利用頻度が異なる場合に、旋回走行時の操縦安定性能(横グリップ)の向上、トレッドショルダー部のトレッド摩耗の防止、トレッドのタイヤ赤道面の両側それぞれの摩耗進行の均一化を図ることができる。
この発明の第1実施の形態に係る二輪自動車用空気入りタイヤのタイヤ幅方向に沿う断面説明図である。 内層ゴム及び表層ゴムの配置状態の他の例(その1)を示す、図1と同様な断面説明図である。 内層ゴム及び表層ゴムの配置状態の他の例(その2)を示す、図1と同様な断面説明図である。 内層ゴム及び表層ゴムの配置状態の他の例(その3)を示す、図1と同様な断面説明図である。 補強ベルトの他の配置例を示す、図1と同様な断面説明図である。 サーキット一周におけるバンク角度の使用頻度を示し、(a)は今回テストを行ったコースの場合をグラフにより表した説明図、(b)は他のコースの場合をグラフにより表した説明図である。 二輪自動車が旋回走行する場合のタイヤ幅方向断面におけるトレッド変形を示す説明図である。 二輪自動車が旋回走行する場合のタイヤ周方向断面におけるトレッド変形を示す説明図である。
符号の説明
10 二輪自動車用空気入りタイヤ
11 トレッド
11a トレッド端部
11b トレッドショルダー部
12 サイドウォール
13 ビード部
14 ビードワイヤ
15 カーカス
16 補強ベルト
17 保護ベルト
18 トレッドゴム
19 内層ゴム
20 表層ゴム
21,21a,21b 異種ゴム
R 路面

Claims (14)

  1. 一対のビード部の径方向外側に一対のサイドウォールを配置し、該サイドウォール相互間にトレッドを配置した二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッドの前記各サイドウォールに隣接する各トレッドショルダー部に、表面をトレッド表面に露出させた異種ゴムを配置し、
    前記異種ゴムは、
    タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、
    サイドウォール側端部を、前記トレッドのサイドウォールとの境界であるトレッド端部からトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、
    前記トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成されると共に、前記各トレッドショルダー部に配置されたそれぞれで動的弾性率が異なっている
    ことを特徴とする二輪自動車用空気入りタイヤ。
  2. 一対のビード部の径方向外側に一対のサイドウォールを配置し、該サイドウォール相互間にトレッドを配置した二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッドの前記各サイドウォールに隣接する各トレッドショルダー部に、表面をトレッド表面に露出させた異種ゴムを配置し、
    前記異種ゴムは、
    タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、
    サイドウォール側端部を、前記トレッドのサイドウォールとの境界であるトレッド端部からトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、
    トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成されると共に、前記各トレッドショルダー部に配置されたそれぞれで厚みが異なっている
    ことを特徴とする二輪自動車用空気入りタイヤ。
  3. 一対のビード部の径方向外側に一対のサイドウォールを配置し、該サイドウォール相互間にトレッドを配置した二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッドの前記各サイドウォールに隣接する各トレッドショルダー部に、表面をトレッド表面に露出させた異種ゴムを配置し、
    前記異種ゴムは、
    タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、
    サイドウォール側端部を、前記トレッドのサイドウォールとの境界であるトレッド端部からトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、
    前記トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成されると共に、前記各トレッドショルダー部に配置されたそれぞれで、タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅が異なっている
    ことを特徴とする二輪自動車用空気入りタイヤ。
  4. 一対のビード部の径方向外側に一対のサイドウォールを配置し、該サイドウォール相互間にトレッドを配置した二輪自動車用空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッドの前記一方のサイドウォールに隣接する一方のトレッドショルダー部に、表面をトレッド表面に露出させた異種ゴムを配置し、
    前記異種ゴムは、
    タイヤ幅方向における前記トレッド表面に沿う幅をトレッド展開幅の6%以上、20%以下の範囲とし、
    サイドウォール側端部を、前記トレッドのサイドウォールとの境界であるトレッド端部からトレッド中央部へ向かう、トレッド展開幅の5%以上、10%以下の範囲に位置させ、
    前記トレッド中央部側に隣接するゴム部材に比べ動的弾性率が低いゴム部材により形成される
    ことを特徴とする二輪自動車用空気入りタイヤ。
  5. 前記異種ゴムの厚みは、前記トレッドの厚みの20%以上、60%以下の範囲であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
  6. 前記トレッドの幅方向中央部分は、トレッド厚み方向に積層した複数層構造を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
  7. 前記複数層構造を構成するトレッド表面側に位置する表層ゴムは、前記異種ゴムに接触していることを特徴とする請求項6に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
  8. 前記複数層構造を構成するトレッド内部側に位置する内層ゴムは、前記トレッドショルダー部の前記異種ゴムに重なる範囲に達していることを特徴とする請求項6または7に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
  9. 前記内層ゴムは、前記異種ゴムに接触していることを特徴とする請求項8に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
  10. 前記トレッドの少なくとも一部は、幅が狭い長尺のゴムストリップをタイヤ周方向に螺旋状に重ねて巻き付けることにより成形されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
  11. 前記トレッドのタイヤ径方向内側に、タイヤ赤道に対し0〜5度の角度を有して配置されたコードからなる補強ベルトを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
  12. 前記補強ベルトのタイヤ径方向外側に、タイヤ赤道に対し80度以上、90度以下の角度で配置された、前記補強ベルトよりベルト幅が広い保護ベルトを有することを特徴とする請求項11に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
  13. 前記補強ベルトと前記保護ベルトの間の少なくとも一部に緩衝ゴムが配置されていることを特徴とする請求項12に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
  14. 前記補強ベルトは、トレッド幅方向に沿う幅が、トレッド幅の60%以上、90%以下の範囲にあることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の二輪自動車用空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018020708A (ja) * 2016-08-05 2018-02-08 住友ゴム工業株式会社 二輪自動車用タイヤ
CN113165435A (zh) * 2018-12-13 2021-07-23 株式会社普利司通 乘用车用充气子午线轮胎

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