JP2007161054A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤの接地面内に発生するタイヤ周方向の滑り成分を接地面内で均一化して、滑り成分を起因とした偏摩耗の発生を抑制する空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】ビード部18と、ビードコア20と、カーカス16と、カーカス16のタイヤ半径方向外側へ順にスパイラルベルト層22、2枚のベルトプライからなる交錯ベルト層26、トレッドゴム30からなるトレッド28を備えた空気入りタイヤであって、タイヤ赤道面に対するベルトプライのコードの角度が30〜75°とされ、スパイラルベルト層22と交錯ベルト層26との間に緩衝ゴム層40、が配置されることにより、タイヤの接地面内に発生するタイヤ周方向の剪断変形が緩衝され、滑りが抑制されて、偏摩耗の発生が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗用車用、トラックバス用及び二輪車用の空気入りタイヤに係り、特に耐摩耗性能に優れる空気入りタイヤに関する。
タイヤは高速転動時にその遠心力により、タイヤ径方向に大きくなる傾向があり、高速走行時の安定性や耐久性が悪化する場合がある。そこで近年では、タイヤ周方向(以下、単に周方向と記載する。)にスチールや芳香族ポリアミド繊維(例えば、ケブラー:商品名)を巻き付けた構造、所謂スパイラル構造の開発が進み、高速転動時のタイヤクラウン部のせり出し膨張を抑えて、高速走行時の安定性能を高めたタイヤが供給されるようになった(例えば、特許文献1、2)。
米国特許6609551号公報 特開平05−504314号公報
さて、一般にタイヤの高速耐久性及び高速安定性能を確保するためには、周方向にスパイラル補強層(以下、単にスパイラルベルト層と記載する。)を設け、タイヤ高速転動時の遠心力によるタイヤの径の増大を防ぐ手法が使われる。
しかしながら、このようなスパイラルベルト層は周方向に伸びず、ベルト部の周方向の伸びを強力に抑制するため、トレッドゴムにはベルト部とトレッド表面(トレッド踏面)との間で周方向の相対変位が生じ、トレッド部の周方向の剪断変形が大きくなって、偏摩耗が起こり易い問題がある。
この問題が発生する経緯を以下に具体的に説明する。最初に、1)乗用車用、トラック用、バス用、その他の4輪車(例えば、トラクター等)用のタイヤの場合について説明する。
一般的に、乗用車用やトラックバス用のタイヤでは、タイヤのトレッド部がタイヤ幅方向(以下、単に幅方向と記載する。)に丸みを持った形状をしている。図3に示すように、タイヤセンター部(以下、単にセンター部と記載する。)の径は大きく、タイヤショルダー部(以下、単にショルダー部と記載する。)の径はそれよりも小さい。
また、図3に示す空気入りタイヤ100のようにベルト部にスパイラルベルト層102を有する場合は、スパイラルベルト層102が周方向に伸びないため、タイヤ中心(タイヤ回転軸)からスパイラルベルト層102のコード中心までの距離を半径Rと考える。タイヤ100が一定速度で転動する場合、タイヤ100の角速度はベルト部のどの位置でも一定であるから、タイヤ中心からスパイラルベルト層102までの距離(スパイラルベルト層102の半径R)に角速度を掛けたものが、ベルト部の速度となる。ここで前述したように、図3のセンター部の半径R1は、ショルダー部の半径R2より大きいため、タイヤ100が接地している場合、接地領域ではセンター部の方が、ショルダー部よりもベルト部の速度が速いことになる。
ここで、タイヤ100の接地挙動をもう少し詳しく説明する。トレッド表面106が路面に接した瞬間に、トレッド表面106は路面によって固定される。トレッド表面106が路面に接した瞬間を、踏み込み時と呼ぶと、タイヤ100は踏み込んでからタイヤ100が転がることによって、先ほど路面に固定されたトレッド表面106はやがてタイヤ100の中心の直下になり、そして更に転動すると路面から離れていく。この離れる瞬間を蹴り出し時と呼ぶ。
トレッド表面106と路面との摩擦係数が十分に高い場合は、タイヤ100のトレッド表面106は、図3のタイヤ幅方向断面(以下、単に幅方向断面と記載する。)のどこにおいても、全て路面と同じ速度で転動する、即ち同じ速度で周方向に移動することになる。センター部のトレッド表面106とショルダー部のトレッド表面106とは、同じ速度で周方向に移動することになる。これに対して、内部のベルト部、特に周方向に伸びないスパイラルベルト層102の速度は、先に説明したように、センター部がショルダー部よりも速くなる。
タイヤ100が何の駆動力も制動力も働かずに転がる場合は、トレッド表面106の速度は、センター部のベルト部の速度とショルダー部のベルト部の速度との中間になる。これは、タイヤ100のベルト部の速度の平均が、自動車の速度=路面の移動速度=タイヤトレッド表面106の速度と、なるからである。
このときに、センター部では、トレッド表面106よりも内部のスパイラルベルト層102の方が、速度が速い状態となり、ショルダー部では逆にトレッド表面106の方が、内部のスパイラルベルト層102よりも速度が速い状態となる。
またベルト部にスパイラルベルト層を用いずに交錯ベルト層を用いている空気入りタイヤでは、交錯ベルト層が所謂パンタグラフのような変形を起こすことが可能であり、交錯ベルト層が局所的に周方向に伸びたり縮んだりすることによって、これらの速度差(速度差とは、周方向=タイヤ回転方向のベルト部の速度の幅方向位置での差を指す。)を吸収することができる。
しかしながら、周方向に伸びないスパイラルベルト層102をベルト部に用いた場合は、特にタイヤ100のショルダー部ではベルト部の伸張を拘束するため、前述した速度差の影響を大きく受ける。タイヤ100のショルダー部では、トレッド表面106の速度よりもスパイラルベルト層102の速度の方が遅いため、タイヤ100のトレッド部104がブレーキ時に起こるような剪断変形(タイヤ回転方向に対して、ベルト部が回転方向後方に、トレッド表面106が回転方向前方に移動するような周方向の剪断変形をトレッド部104が受けている状態)を受ける。
もしもベルト部が周方向に伸びることができれば、ベルト部の周方向に伸びた分だけベルト部の速度を速めることができたことになり、このブレーキング変形(トレッド部104の剪断変形)を緩和することができるのだが、スパイラルベルト層102は伸びないため緩和することができずに、大きな剪断変形となる。
このように、トレッド部104は、センター部ではドライビング(タイヤが駆動時において、トレッド部104が受ける変形、前述したブレーキングとは逆の周方向の剪断変形)変形となり、ショルダー部では、ブレーキング変形となる。
これらの周方向の剪断変形は、タイヤ100の踏み込み時から速度差によって徐々に蓄積されていき、タイヤ100の蹴り出し部において最大となる。あまりにもその剪断変形が大きい場合は、トレッド表面106が路面から滑ることになる。
トレッド部104が滑ることによって、剪断変形は緩和されることになるが、トレッド部104が滑ることでトレッド部104が摩耗する。
この摩耗は、ショルダー部で起こり易かったり、センター部で起こり易かったりする。特にタイヤ100に駆動を掛けた場合は、もともとドライビング傾向にあるセンター部のトレッド部104が更にドライビング方向の変形を受けるので、センター部が滑り易く摩耗し易い。
逆にブレーキ時には、もともとブレーキング状態にあるショルダー部が更にブレーキング傾向となり、ショルダー部が滑り易くなり摩耗し易くなる。そしてこの傾向は、スパイラルベルト層102が、周方向に伸び難い特性に起因している。
次に、2)二輪車用のタイヤの場合について説明する。二輪車の場合は、1)で説明した傾向が更に顕著になる。
二輪車用のタイヤでは、乗用車用やトラック用のタイヤと異なり、車体を傾けて旋回するバイクの特性から、タイヤクラウン部が大きなRを持った丸いタイヤ形状をしている。つまり、前述したベルト部の速度差がつきやすい形状をしている。
そのため、接地状態によっては、接地形状(タイヤが路面と接地している部分の形状)の位置によって、特に大きな駆動力が働いた場合、接地面内での滑り分布が不均一となり易く、特にセンター部とショルダー部とでの滑り量の差が生じ易く、一部分のみが急激に摩耗する偏摩耗が起こり易い。
これは、車体を大きく傾けた場合に、例えばトレッド端部が急激に摩耗し易いなどの現象として確認される。
このトレッドゴムの剪断変形は、タイヤが直進走行しているキャンバー角度0度(以下、単にCA0°と記載する。)の場合には、接地形状の中央部がトラクション方向に、接地形状の幅方向両端部がブレーキング方向に働く。この理由は、図5に示した通りであり、前述した乗用車用のタイヤと同じメカニズムである。
二輪車用のタイヤ120は、クラウン形状が丸いために、センター部(図5のD)とタイヤ接地形状の幅方向両端部(図5のC)では、ベルト部122の周長、即ち、ベルト部122が配置されている部位までの半径が異なる。
タイヤ120が一定速度で回転していると仮定した場合、ベルト部122の速度は、ベルト部122の半径にタイヤ120の角回転速度を掛けたものとなるが、ベルト部122は、センター部の半径RDがショルダー部の半径RCよりも大きいため、相対的にベルト部122の速度もセンター部がショルダー部より速くなる。
トレッド表面126は路面に接地して、どの部分も接地している間は同じ速度で進むので、図5のようなCA0°の場合は、センター部Dは、ベルト部122の方がトレッド表面126よりも速度が速いことからトレッドゴム124は、トラクション方向の剪断変形を受け、接地形状の両端部Cは、ベルト部122の方がトレッド表面126よりも速度が遅いことからトレッドゴム124は、ブレーキング方向の剪断変形を受けることになる。
この状態で、タイヤ120に駆動力が掛かった場合、既にトラクション方向の剪断変形を受けているセンター部は、駆動力によって滑り易く、大きな駆動力が掛かった場合は、タイヤ120のセンター部から滑り始める。
次に二輪車が車体を傾けて旋回するという特性による影響を述べる。CA45°のようにCAが付いた場合、即ちバイクが旋回している場合について説明する。図4にタイヤ120の幅方向断面形状と接地形状とを示した。
タイヤ120がキャンバー角を伴って接地した場合、先に説明した接地面内の剪断変形分布が左右非対称となる。即ち、トレッド部128のセンターに近い図4のAの位置では、トレッド端部のBの位置よりも、タイヤ120のベルト部122の半径が大きく、ベルト部122の速度が速い。なお、図4では、Aの位置での半径をRA、Bの位置での半径をRBとしている。
タイヤ120の進行速度(トレッド表面126は路面に接地して路面と共に動くので、これは即ちトレッド表面126の速度と考えられる。)は、Aの位置でのベルト部122の速度とBの位置でのベルト部122の速度との間になるので、Aの位置ではトレッド表面126よりもベルト部122の速度の方が速いトラクション状態、Bの位置ではトレッド表面126よりもベルト部122の方が遅いブレーキング状態となる。
このような現象は、Aの位置とBの位置とのベルト部122の半径の差が大きければ大きいほど、起こり易い。即ち、二輪車用のタイヤ120では、タイヤ120のクラウン形状が端部になるほど丸みを帯びてくるので、ベルト部122の半径の差が付き易く、車体を倒せば倒すほど、接地形状内部のトレッドゴム124の剪断変形に大きな差が付き易くなる。
また、CA45°のような接地状態で更に駆動力を掛けた場合は、駆動力を掛けていない場合に既にトラクション方向の剪断を受けている図4のAの部位のトラクション方向の剪断変形(周方向の剪断変形)が更に厳しくなり、Aの部位のトレッドゴム124が先に、滑り限界に達して滑り出す。
Aの部位が滑り出したときにBの部位のトレッドゴム124は、もともとブレーキング方向の剪断であったため、駆動力が加わってもAの部位のトレッドゴム124ほどの大きな剪断状態ではなく、Aの部位が滑り限界に達してもBの部位は滑り限界に達していない。つまり、接地面内で滑りの不均一状態が起こる。
一般に、トレッドゴム124の摩耗は路面とトレッドゴム124が滑ることによって生じるため、このような状態では、Aの部位のみが摩耗することになる。
以上、述べたように、スパイラルベルト層を巻いたタイヤでは、スパイラルベルトが周方向に伸びないため、タイヤ半径の差によるベルト部の速度差成分が大きな影響となって現れる。
これに対して、スパイラルベルト層がない交錯ベルト層では、交錯ベルト層がパンタグラフのように変形するので、ベルト部が周方向に伸びたり縮んだりすることができ、前述したベルト部の速度差成分を緩和することができる。
しかし、スパイラルベルト層の場合は、速度差成分がダイレクトにトレッド表面の滑りの差となって現れる。
本発明では、トレッドゴムのタイヤ前後方向(周方向)の滑り成分を、接地形状内でできるだけ均一になるようにして、タイヤの偏摩耗を抑制することを狙った。
本発明の目的は、上記事実を考慮して、タイヤの接地面内に発生するタイヤ周方向の滑り成分を接地面内で均一化して、滑り成分を起因とした偏摩耗の発生を抑制する空気入りタイヤを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る空気入りタイヤは、左右一対のビード部に埋設されたビードコアと、一方のビード部から他方のビード部にトロイド状に跨り、端部分が前記ビードコアに巻回されて前記ビードコアに係止された少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、前記カーカスのタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層よりもタイヤ半径方向外側に配置され、路面と接触するトレッド部を形成するトレッドゴムと、を備える空気入りタイヤであって、前記ベルト層は、1本乃至並列した複数本のコ−ドを被覆ゴム中に埋設した帯状体を螺旋状に巻回して形成される少なくとも1層のスパイラルベルト層と、前記スパイラルベルト層のタイヤ半径方向外側に配置された複数本のコードを被覆ゴム中に埋設した2枚以上のベルトプライからなり、互いに隣接するベルトプライ同士で前記コードのタイヤ赤道面に対する傾斜方向が互いに反対方向となる交錯ベルト層とを有し、前記ベルトプライのコードのタイヤ赤道面に対する角度が30〜75°とされ、前記スパイラルベルト層と前記交錯ベルト層との間に緩衝ゴム層が設けられることを特徴とする。
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
請求項1では、スパイラルベルト層のタイヤ半径方向(以下、単に半径方向と記載する。)外側に緩衝ゴム層と、その半径方向外側にタイヤ赤道面(以下、単に赤道面と記載する。)に対してコードの角度が30〜75°で、お互いに交錯する複数枚のベルトプライから構成される交錯ベルト層を1層追加することを規定した。またスパイラルベルト層のコードは、スチールでも、芳香族ポリアミド繊維のような有機繊維でも良いものとする。
スパイラルベルト層が周方向に伸びないため、トレッド部の周方向の剪断変形を助長し、偏摩耗性が悪化する要因となることは既に説明した通りである。この解決策の一つとしては、トレッドゴムの厚みを増すことが考えられる。
しかし、トレッドゴムを厚くすると、トレッド部が横方向(幅方向)の力によって簡単に倒れ込み易くなってしまい、操縦安定性能が損なわれる虞がある。
そこで、スパイラルベルト層からトレッド表面までの距離を十分に保ち、且つトレッドゴムの厚みを必要以上に厚くしないことが重要となる。
請求項1の構成では、スパイラルベルト層を交錯ベルト層よりも半径方向内側に配置している。これは、前述した理由により、スパイラルベルト層とトレッド表面との距離をできるだけ広く取ろうとしたためである。
スパイラルベルト層を交錯ベルト層の半径方向外側に配置してしまうと、スパイラルベルト層とトレッドゴムの表面の距離が短くなるが、請求項1のように、スパイラルベルト層の半径方向外側に交錯ベルト層を設ければ、交錯ベルト層の機能をそのままにして、スパイラルベルト層からトレッド表面までの距離を広く保つことができる。
また、交錯ベルト層は内部にスチールや芳香族ポリアミド繊維等の補強素子からなるコードを埋没させているため、横力に対しても変形し難く、単純にトレッド部を厚くする場合に比べると、トレッド部が硬い状態となる。即ち、スパイラルベルト層の半径方向外側の交錯ベルト層は、タイヤの横力に対して剛性が高いといえる。それゆえ、トレッド部が余計に変形することはなく、操縦安定性能を損なわない。
また、交錯ベルト層の機能とは面内剪断剛性を確保することにもある。一般的に、ベルトは、タイヤがコーナリングするときに横方向の力によって面を保ちながら、面内でずれるような面内変形を受ける。ここで、ベルトの面内剪断変形が大きいとタイヤのコーナリングフォースが十分に得られずに、操縦安定性能が悪化する。
次に交錯ベルト層のコードの角度を赤道面に対して30〜75°にした理由を説明する。例えば、2枚のベルトプライによって構成される交錯ベルト層のみからなるタイヤでは、交錯ベルト層の面内剪断剛性は、ベルトプライのコードの赤道面に対する角度(以下、ベルトプライのコードの赤道面に対する角度を、単にベルト角度と記載する。)が30〜45°の時に最大となる。
この2枚のベルトプライからなる交錯ベルト層に加えて、スパイラルベルト層が配置された場合は、ベルト角度が30°〜45°の範囲外でも十分に大きな面内剪断剛性を確保することができる。
しかしながら、ベルト角度が75°よりも大きいと、あまりにもベルトプライ同士のコード間の角度差が小さくなりすぎて、十分な面内剪断剛性を得られなくなる。また、ベルト角度75°の場合は、2枚のベルトプライのコード間の角度差は30°であり、ベルト角度80°となると、2枚のベルトプライのコード間の角度差は20°となり、極端な場合のベルト角度90°では、2枚のベルトプライのコード間が平行に配置されることになり、このコード同士の角度差0°となり、全く面内剪断剛性に寄与できなくなる。
また、ベルト角度75〜90°に掛けての面内剪断剛性の低下割合は急激であり、ベルト角度75°よりも大きくすることは非常に好ましくない。
次に交錯ベルト層のベルト角度の下限値を30°とした理由を下記する。
本発明では、スパイラルベルト層が伸びないために、スパイラルベルト層の半径方向外側に交錯ベルト層を配置している。そして、スパイラルベルト層とトレッド表面との距離をできる限り広く取ることを狙っている。
ところが、交錯ベルト層のベルト角度が例えば10°の場合は、その交錯ベルト層そのものが周方向に伸び難い特性を帯びてくる。極端な場合は、交錯ベルト層のベルト角度が0°の場合であり、これは即ちスパイラルベルト層を意味する。つまり、ベルトプライが全く周方向に伸びないことを意味し、スパイラルベルト層の半径方向外側に配置した交錯ベルト層がスパイラルベルト層のような振る舞いをすることになる。
従って、交錯ベルト層が周方向に伸びるためには、ベルト角度を30°以上とすることが好ましい。
また、交錯ベルト層が周方向に伸びるとは、交錯ベルト層を構成するベルトプライのコード自体が伸びるのではなく、コードとコードとの間のゴムが周方向に伸びることで、隣接するコード同士の距離が離れ、交錯ベルト層が周方向に伸びることを意味する。
この点から、交錯ベルト層のベルト角度が45°を超えると、交錯ベルト層は周方向に伸びやすく、ベルト角度が45°よりも小さいと、交錯ベルト層は幅方向に伸びやすくなるが、周方向には伸び難くなることが分かる。
ベルト角度の下限値30°は、ベルト角度45°よりは周方向に伸び難い状態にあるが、赤道面に対するコードの角度が略0°(0〜3°程度)であるスパイラルベルト層と、比べれば周方向に伸びやすい。また、交錯ベルト層のベルト角度は45°以上とすると更に好ましい。
また、特許文献1に開示されている自動二輪車用のタイヤは、スパイラルベルト層の半径方向外側にベルト角度が65〜85°の交錯ベルト層が設けられている。また、特許文献2に開示されている自動二輪車用のタイヤは、特許文献1の構成のベルト角度の範囲が35〜55°とされている。
しかしながら、本発明と特許文献1及び2の明確な違いは、以下に示す緩衝ゴム層の有無である。前述した交錯ベルト層のベルト角度の設定に加えて、緩衝ゴム層を有することにより、以下に示す効果を得ることができる。
請求項1では、前述した内容に加えて、スパイラルベルト層と交錯ベルト層との間に緩衝材となる緩衝ゴム層を設けることを特徴としている。緩衝ゴム層を設けることで、周方向に伸びないスパイラルベルト層とトレッド表面との距離を更に広くすることができる。
また、緩衝ゴム層を有することによって、トレッド部の厚みが増してトレッド部が横方向に変形し易くなり、操縦安定性能が損なわれる懸念があるがそのようなことはない。これは、緩衝ゴム層の半径方向外側に交錯ベルト層が存在していることによる。
交錯ベルト層は内部にスチールや芳香族ポリアミド繊維等の補強素子からなるコードを埋没させているため、交錯ベルト層とスパイラルベルト層との間の緩衝ゴム層の横方向の変形が抑制される。
つまり、交錯ベルト層が内部のコードによって平面を保つため、緩衝ゴム層の横方向の変形には、曲げ変形は起こらず剪断変形のみとなり、単純にトレッドゲージ(トレッド厚み)を増したときとは異なり、横方向に強い状態を保てる。
これに対して、周方向に関しては、緩衝ゴム層の半径方向外側にある交錯ベルト層のベルト角度が30°以上であり、交錯ベルト層が周方向に伸びることができるため、交錯ベルト層の周方向の伸びに伴って、緩衝ゴム層も周方向に剪断変形することができる。
つまり、緩衝ゴム層がトレッドゴムの代わりに周方向に剪断変形することとなり、緩衝ゴム層が剪断変形した分だけ、トレッドゴムの周方向の剪断変形が緩和されることになる。
これにより、先に説明したセンター部でのドライビング変形、ショルダー部でのブレーキング変形が緩和されトレッド部が滑り難くなる。このように、緩衝ゴム層は、周方向には剪断変形を受け持ち、幅方向には交錯ベルト層の影響で変形し難いという特性をもつ。
緩衝ゴム層を備えたことで、単純にスパイラルベルト層の半径方向外側に交錯ベルト層を配置した特許文献1及び2に開示されている二輪車用のタイヤよりも、本発明は、周方向のトレッド部変形を抑制して、滑りを低減し、耐偏摩耗性能を良好にすることができる。従って、本発明は、特許文献1及び2よりも優れている。
また、スパイラルベルト層の半径方向外側に交錯ベルト層が配置されるが、さらにその交錯ベルト層の半径方向外側に他のベルト層を追加しても構わない。つまり、ベルト層が2層ではなく3層となっても構わないし、4層となっても構わない。但し追加する他のベルト層のベルト角度は30°以上として、周方向に伸びるようにする必要がある。
本発明の請求項2に係る空気入りタイヤは、左右一対のビード部に埋設されたビードコアと、一方のビード部から他方のビード部にトロイド状に跨り、端部分が前記ビードコアに巻回されて前記ビードコアに係止された少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、前記カーカスのタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と、前記ベルト層よりもタイヤ半径方向外側に配置され、路面と接触するトレッド部を形成するトレッドゴムと、を備える空気入りタイヤであって、前記ベルト層は、1本乃至並列した複数本のコ−ドを被覆ゴム中に埋設した帯状体を螺旋状に巻回して形成される少なくとも1層のスパイラルベルト層と、前記スパイラルベルト層のタイヤ半径方向外側に配置され、複数本のコードを被覆ゴム中に埋設した2枚以上のベルトプライからなり、互いに隣接するベルトプライ同士で前記コードのタイヤ赤道面に対する傾斜方向が互いに反対方向となる交錯ベルト層とを有し、前記ベルトプライのコードのタイヤ赤道面に対する角度が30〜75°とされ、隣接する前記ベルトプライ同士の間に緩衝ゴム層が設けられることを特徴とする。
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
請求項2では、緩衝ゴム層の配置が請求項1とは異なり、ベルトプライの間に配置することを規定した。例えば交錯ベルト層が2枚のベルトプライから構成される場合には、一枚目のベルトプライと2枚目のベルトプライとの間に配置する。
請求項2で得られる効果は、請求項1と同様である。大切なのは、スパイラルベルト層とトレッド表面との距離を広くすることと、最外層のベルト(この場合は交錯ベルト層の半径方向最外側のベルトプライ)とトレッド表面との距離が、トレッドゴムの厚みとなるため、この厚みを不要に厚くしてトレッドゴムが変形し易くしないことである。
請求項2の構成においても、緩衝ゴム層が周方向に剪断変形することができ、トレッドゴムの周方向の剪断変形を肩代わりすることができると共に、緩衝ゴム層の半径方向外側に、内部にスチールや芳香族ポリアミド繊維からなるコードを含む交錯ベルト層が存在するため、横方向の変形に対しては、曲げ変形が起こり難く、剛性に優れている。
本発明の請求項3に係る空気入りタイヤは、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記緩衝ゴム層は、前記スパイラルベルト層の被覆ゴム及び前記交錯ベルト層の被覆ゴムとは異種のゴムから形成され、該ゴムの硬さは、前記トレッドゴムの硬さ以下であることを特徴とする。
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
請求項3では、緩衝ゴム層を形成するゴム(以下、緩衝ゴムと記載する。)は、スパイラルベルト層の被覆ゴム及び交錯ゴム層の被覆ゴムとは異種のゴムからなり、この緩衝ゴムの硬さは、トレッドゴムの硬さ以下であることについて規定した。
この緩衝ゴムは、前述した通り、ベルト層の速度差を吸収する意味合いがあるため、柔らかい方が都合が良い。特に、スパイラルベルト層の半径方向外側に配置されるゴム層は、トレッドゴムと緩衝ゴムとの2種類が使用されるので、ゴム層の変形を考えた場合、両者の相対的な硬さが重要となる。そこで、緩衝ゴムの硬さをトレッドゴムの硬さ以下にすることが好ましいことを示した。
つまり、緩衝ゴムの硬さが、トレッドゴムの硬さ以下であれば、ベルト層の速度差成分を緩衝ゴムの内部で多く吸収でき、逆に緩衝ゴムの硬さが、トレッドゴムの硬さ以上であれば、緩衝ゴムでベルト層の速度差成分を吸収しきれずに、トレッドゴムにも速度差成分が伝わることになる。ここで速度差成分とは、周方向の速度差のことを言っている。従って、緩衝ゴム層は、スパイラルベルト層の被覆ゴム及び交錯ベルト層の被覆ゴムとは異種のゴムから形成されると共に、このゴムの硬さはトレッドゴムの硬さ以下であることが好ましい。
本発明の請求項4に係る空気入りタイヤは、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記緩衝ゴム層は、前記交錯ベルト層の被覆ゴムと同種のゴムから形成されることを特徴とする。
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
緩衝ゴム層が交錯ベルト層の被覆ゴムと同種のゴムから形成されるため、緩衝ゴムが旋回時にベルト層の速度差成分を吸収して剪断変形しても、層間剪断歪みによる亀裂が生じ難く、耐久性に優れる。
本発明の請求項5に係る空気入りタイヤは、請求項4に記載の空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向断面において、前記緩衝ゴム層の幅は、前記交錯ベルト層の最大幅より狭いことを特徴とする。
次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
交錯ベルト層の最大幅よりも緩衝ゴム層の幅を狭くすることで、交錯ベルト層端部に緩衝ゴム層を配置しなくても良い。層間剪断歪による亀裂は、交錯ベルト層端部で生じ易く、また交錯ベルト層端部の温度が高いとベルトプライのコードを包む被覆ゴムが柔らかくなるため、交錯ベルト層端部の動きが大きくなり亀裂が生じやすくなる。また、ゴム層(スパイラルベルト層からトレッド表面までのゴム層)が厚いと、発熱量が増し、また発生した熱が溜まり易い。請求項5のように、緩衝ゴム層の幅を狭くすると、交錯ベルト層端部付近のゴム層の厚みを余計に厚くすることを回避でき、発熱を低減できるため、交錯ベルト層端部の亀裂を抑制することができる。
本発明の請求項6に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至5の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記緩衝ゴム層の厚さは、0.5〜4.0mmを満たすことを特徴とする。
次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
請求項6では、緩衝ゴム層の厚みについて規定した。緩衝ゴム層の厚みは、スパイラルベルト層の速度差を吸収することにある(速度差とは、前述した通り、周方向=タイヤ回転方向のベルト層の速度の幅方向位置での差を指す。)。
緩衝ゴム層が0.5mmより小さいと、十分に緩衝ゴム層が変形できずにスパイラルベルト層の速度差を吸収できない。4.0mmより大きいと、緩衝ゴム層は十分に変形してこの速度差を吸収できるのだが、緩衝ゴム層が変形しすぎて、タイヤに横力が加わったときに緩衝ゴム層が非常に柔らかく振る舞いタイヤの安定性能が損なわれる。つまり、緩衝ゴム層が厚すぎると、ゴムに曲げ変形が生じて、あたかもトレッドゴムの厚すぎるタイヤの挙動に近くなり、剛性感のないタイヤとなるため好ましくない。従って、緩衝ゴム層の厚さは、0.5〜4.0mmを満たすことが好ましい。
本発明の請求項7に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至6の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記緩衝ゴム層を形成するゴムの硬さは、前記トレッドゴムの硬さの50〜100%を満たすことを特徴とする。
次に、請求項7に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
緩衝ゴム層はトレッドゴムの50〜100%の硬さと定義した。上限値の100%とは、緩衝ゴム層に効果的に速度差成分を吸収させるための設定である。つまり、トレッドゴムよりも、相対的に柔らかいことを規定した。下限値の50%は、50%以下にすると非常に柔らかいゴムとなり、ゴムの変形が大きくなりすぎてあたかもトレッドゴムの厚すぎるタイヤの挙動に近くなり操縦安定性能が損なわれること、またゴム層が柔らかいために変形が大きくゴム層に亀裂が生じ易いという耐久面の問題が生じてくることから設定した。従って、緩衝ゴム層の硬さは、トレッドゴムの硬さの50〜100%を満たすことが好ましい。
本発明の請求項8に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至7の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、二輪車に用いられることを特徴とする。
次に、請求項8に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
請求項8では、1乃至7の何れか1項に記載した空気入りタイヤが、二輪車用のタイヤであることを規定した。既に説明したようにベルトの周方向の速度は、ベルト形状が幅方向断面において、丸みを帯びている方が速度差が生じ易い。この点では、二輪車のように丸いトレッド部形状を備えているタイヤの方が、周方向のトレッドゴムの剪断変形が大きくなりがちであり、トレッドゴムが周方向に滑り易い。そのため、特に二輪車においては、効果が大きくなる。
本発明の請求項9に係る空気入りタイヤは、請求項1乃至8の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ベルトプライのコードが、芳香族ポリアミド繊維から構成されることを特徴とする。
次に、請求項9に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
請求項9では、交錯ベルト層のコードが芳香族ポリアミド繊維からなることを特徴とする二輪車用のタイヤを規定した。タイヤクラウン部が丸い二輪車用のタイヤでは、圧縮方向に強いスチール製のコードを交錯ベルト層に使用するとベルトの面外剛性が高くなりすぎてトレッド部分が撓み難く、接地面積が低下し易い。そのため、圧縮方向には弱い有機繊維を用いることが一般的であり、また、芳香族ポリアミド繊維は引っ張り剛性が強く、熱にも強いことから好都合な部材である。
なお、乗用車用のタイヤでは、スチールを用いても、芳香族ポリアミド繊維を用いても構わない。
本発明の二輪車用空気入りタイヤは、タイヤの接地面内に発生するタイヤ周方向の滑り成分を接地面内で均一化して、滑り成分を起因としたタイヤの偏摩耗を抑制できる。
[第1の実施形態]
次に、本発明の空気入りタイヤの第1の実施形態を図1にしたがって説明する。なお、本実施形態の空気入りタイヤは、高性能乗用車用タイヤ10であり、タイヤサイズは、225/50R16である。
図1に示すように、二輪車用空気入りタイヤ10は、赤道面CLに対して交差する方向に延びるコードが埋設された第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14から構成されたカーカス16を備えている。
(カーカス)
第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14は、各々両端部分が、ビード部18に埋設されているビードコア20の周りに、タイヤ内側から外側へ向かって巻き上げられている。
第1のカーカスプライ12は、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(例えば、ナイロン等の有機繊維コード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、赤道面CLでの赤道面CLに対するコードの角度が90度に設定されている。第2のカーカスプライ14も、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(例えば、ナイロン等の有機繊維コード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、赤道面CLでの赤道面CLに対するコードの角度が90度に設定されている。なお、本実施形態では、第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14は、ナイロン製を使用している。
(スパイラルベルト層)
このカーカス16の半径方向外側にはスパイラルベルト層22が設けられている。このスパイラルベルト層22は、例えば、1本のコードを未加硫のコーティングゴムで被覆した長尺状のゴム被覆コード、または複数本のコードを未加硫のコーティングゴムで被覆した帯状プライを螺旋状に巻き回すことにより形成されており、赤道面CLに対するコードの角度が略0°(0〜3°程度)とされている。また、スパイラルベルト層22のコードは有機繊維コードであっても良く、スチールコードであっても良い。
なお、本実施形態のスパイラルベルト層22は、芳香族ポリアミド繊維(例えば、ケブラー:商品名)を撚った直径0.70mmのコードを被覆ゴム中に埋設した帯状体を、スパイラル状にタイヤ回転軸方向に巻き付けることで形成されている。なお、本実施形態のスパイラルベルト層22におけるコードの打ち込み密度は、50本/50mmである。
(交錯ベルト層)
このスパイラルベルト層22の半径方向外側には交錯ベルト層26が設けられている。交錯ベルト層26は、第1のベルトプライ26Aと、第1のベルトプライ26Aの半径方向外側に配置される第2のベルトプライ26Bとから構成されている。
第1のベルトプライ26Aは、被覆ゴム中に複数本のコード(本実施形態では、直径0.21mmのスチール単線を1×3タイプで撚ったスチールコード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、赤道面CLでの赤道面CLに対するコードの角度が45°に設定されている。第2のベルトプライ26Bも、被覆ゴム中に複数本のコード(本実施形態では、直径0.21mmのスチール単線を1×3タイプで撚ったスチールコード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、赤道面CLでの赤道面CLに対するコードの角度が45°に設定されている。
なお、第1のベルトプライ26Aのコードと第2のベルトプライ26Bのコードとは互いに交差しており、赤道面CLに対して互いに反対方向に傾斜している。また、本実施形態における第1のベルトプライ26A、及び第2のベルトプライ26Bにおけるコードの打ち込み密度は、各々50本/50mmである。
本実施形態においては、第1のベルトプライ26A及び第2のベルトプライ26Bの夫々のコードが、赤道面CLに対して45°で傾斜しているが、このコードの好適な角度範囲は30〜75°のため、その他の実施形態においても、この好適な角度範囲に該コードの角度を設定することが好ましい。また、このコードの好適な角度範囲を45〜75°に設定すると更に好ましい。
(ゴム層)
交錯ベルト層26の半径方向外側には、トレッド28を形成するトレッドゴム30が配置されている。
また、交錯ベルト層26の第1のベルトプライ26Aとスパイラルベルト層22との間には、交錯ベルト層26の被覆ゴム及びスパイラルベルト層22のコーティングゴムと異なるゴムから形成される緩衝ゴム層40が配置されている。
緩衝ゴム層40の厚さは、0.5〜4.0mmを満たすことが好ましい。また本実施形態の緩衝ゴム層40の厚みは1.0mmである。
また、緩衝ゴム層40を形成する緩衝ゴム40Aの硬さは、トレッドゴム30の硬さの50〜100%を満たすことが好ましく、また本実施形態の緩衝ゴム40Aの硬さはトレッドゴム30の硬さの60%である。
なお、本実施形態のトレッドゲージの厚さは8mmであり、ここでいうトレッドゲージの厚さとは、交錯ベルト層26の第2のベルトプライ26B(最外層のベルト)とトレッド表面との距離をいう。
また、本実施形態の緩衝ゴム40Aは、スパイラルベルト層22の被覆ゴム及び交錯ベルト層26の被覆ゴムと異なる種類のゴムとする。
図1に示すように、本実施形態のベルト層は、スパイラルベルト層22及び交錯ベルト層26で構成されているが、その他の実施形態においては、他のベルト層を追加しても良い。
また図1に示すトレッド28には、溝が形成されていないが、ウエット路面走行時に必要とされる排水用の溝が形成されていても良い。
(作用)
本実施形態の高性能乗用車用空気入りタイヤ10では、カーカス16の半径方向外側にスパイラルベルト層22を設けたので、トレッド28の周方向の剛性が高くなり、高速走行時のトレッド28の半径方向外側へのせり出しを抑制することができ、高速耐久性が向上し、また高速走行時の操縦安定性能が向上する。
また、互いのコードが交錯する交錯ベルト層26を設けたことにより、横曲げ剛性が向上する。
さらに、ベルトプライのコードの赤道面CLに対する角度が75°よりも大きいと、ベルトプライ同士のコード間の角度差が小さくなりすぎて、十分な面内剪断剛性を得られなくなる。特に、ベルト角度が90°(コード間の角度差0°)では、ベルトプライのコードが平行に配置されることになり、全く面内剪断剛性に寄与できなくなる。また、ベルト角度が30°未満だと、ベルトプライが周方向に伸び難くなる。特にベルト角度が0°だと、交錯ベルト層26はスパイラルベルト層22のような振る舞いをする。
従って、ベルトプライのコードの赤道面CLに対する角度は30〜75°とすることが好ましい。
また、ベルトプライのベルト角度を45°以上にすることで、より周方向に対して伸びやすくなる。従って、このコードの好適な角度範囲は、45〜75°に設定すれば、更に好ましい。
更に、スパイラルベルト層22と交錯ベルト層26との間に緩衝ゴム層40を配置したことにより、交錯ベルト層26の周方向の伸びに伴って、緩衝ゴム層40も周方向に剪断変形することができる。つまり、緩衝ゴム層40がトレッドゴム30の代わりに周方向に剪断変形することとなり、緩衝ゴム層40が剪断変形した分だけ、トレッドゴム30の周方向の剪断変形が緩和されることになる。これにより、周方向のトレッド28の変形を抑制して、滑りを低減し、耐偏摩耗性能を良好にすることができる。
従って、タイヤ10の接地面内に発生する周方向の滑り成分を接地面内で均一化して、滑り成分を起因としたタイヤ10の偏摩耗を抑制できる。
ここで、緩衝ゴム層40が0.5mmより小さいと、十分に緩衝ゴム層40が変形できずにスパイラルベルト層22の速度差を吸収できない。4.0mmより大きいと、緩衝ゴム層40は十分に変形してこの速度差を吸収できるのだが、緩衝ゴム層40が変形しすぎて、タイヤ10に横力が加わったときに緩衝ゴム層40が非常に柔らかく振る舞いタイヤ10の安定性能が損なわれる。つまり、緩衝ゴム層40が厚すぎると、ゴム層に曲げ変形が生じて、あたかもトレッドゴム30の厚すぎるタイヤ10の挙動に近くなり、剛性感のないタイヤ10となるため好ましくない。従って、緩衝ゴム層40の厚さは、0.5〜4.0mmを満たすことが好ましい。
また、緩衝ゴム40Aがトレッドゴム30より硬いと、周方向の剪断変形を緩衝ゴム層40が緩衝するより先にトレッドゴム30が変形してしまうため、緩衝ゴム40Aの硬さは、トレッドゴム30の硬さの100%以下とした。更に、この硬さが50%未満だと、緩衝ゴム40Aが非常に柔らかくなりゴムの変形が大きくなりすぎてあたかもトレッドゴム30の厚すぎるタイヤ10の挙動に近くなり操縦安定性能が損なわれること、またゴム層が柔らかいために変形が大きくゴム層に亀裂が生じ易いという耐久面の問題が生じる。従って、緩衝ゴム40Aの硬さは、トレッドゴム30の硬さの50〜100%を満たすことが好ましい。
[第2の実施形態]
次に、本発明の空気入りタイヤの第2の実施形態を図2に従って説明する。なお、本実施形態の高性能乗用車用空気入りタイヤ10のタイヤサイズは、第1の実施形態と同様に225/50R16とする。タイヤ10では、図2に示すように、緩衝ゴム層40の配置が第1の実施形態と異なり、交錯ベルト層26の第1のベルトプライ26Aと第2のベルトプライ26Bとの間に配置されている点とが、第1の実施形態と異なっており、その他は第1の実施形態と同様の構成である。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
(作用)
本実施形態の空気入りタイヤ10のように、交錯ベルト層26の第1のベルトプライ26Aと第2のベルトプライ26Bとの間に緩衝ゴム層40を配置した場合でも、第1の実施形態の位置に配置した場合でも、同様の効果を得ることができる。
また、第2の実施形態においては、2枚のベルトプライ間に緩衝ゴム層40を配置しているが、その他の実施形態では、ベルトプライ間に緩衝ゴム層を配置すれば良く、例えば、ベルトプライが3枚からなる構成であれば、一枚目と二枚目との間及び二枚目と三枚目との間に配置する構成であっても良く、また、一枚目と二枚目との間(又は二枚目と三枚目との間)のみに配置する構成であっても良いものとする。
[第3の実施形態]
次に、本発明の空気入りタイヤの第3の実施形態を図6(A)にしたがって説明する。なお、本実施形態の空気入りタイヤは、二輪車用空気入りタイヤ60であり、タイヤサイズは、190/50ZR17である。
図6(A)に示すように、二輪車用空気入りタイヤ60は、赤道面CLに対して交差する方向に延びるコードが埋設された第1のカーカスプライ62及び第2のカーカスプライ64から構成されたカーカス66を備えている。
(カーカス)
第1のカーカスプライ62及び第2のカーカスプライ64は、各々両端部分が、ビード部68に埋設されているビードコア70の周りに、タイヤ内側から外側へ向かって巻き上げられている。
第1のカーカスプライ62は、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(例えば、ナイロン等の有機繊維コード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、赤道面CLでの赤道面CLに対するコードの角度が80度に設定されている。第2のカーカスプライ64も、被覆ゴム中に複数本のラジアル方向に延びるコード(例えば、ナイロン等の有機繊維コード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、赤道面CLでの赤道面CLに対するコードの角度が80度に設定されている。また、第1のカーカスプライ62のコードと第2のカーカスプライ64のコードとは互いに交差しており、赤道面CLに対して互いに反対方向に傾斜している。なお、本実施形態では、第1のカーカスプライ62及び第2のカーカスプライ64は、ナイロン製を使用している。
(スパイラルベルト層)
このカーカス66のタイヤ半径方向外側にはスパイラルベルト層72が設けられている。このスパイラルベルト層72は、例えば、1本のコードを未加硫のコーティングゴムで被覆した長尺状のゴム被覆コード、または複数本のコードを未加硫のコーティングゴムで被覆した帯状プライを螺旋状に巻き回すことにより形成されており、赤道面CLに対するコードの角度が略0°(0〜3°程度)とされている。また、スパイラルベルト層72のコードは有機繊維コードであっても良く、スチールコードであっても良い。
なお、本実施形態のスパイラルベルト層72は、芳香族ポリアミド繊維(例えば、ケブラー:商品名)を撚った直径0.70mmのコードを被覆ゴム中に埋設した帯状体を、スパイラル状にタイヤ回転軸方向に巻き付けることで形成されている。なお、本実施形態のスパイラルベルト層72におけるコードの打ち込み密度は、50本/50mmである。
(交錯ベルト層)
このスパイラルベルト層72の半径方向外側には交錯ベルト層76が設けられている。
交錯ベルト層76は、第1のベルトプライ76Aと、第1のベルトプライ76Aの半径方向外側に配置される第2のベルトプライ76Bとから構成されている。
第1のベルトプライ76Aは、被覆ゴム中に複数本のコード(本実施形態では、芳香族ポリアミド繊維(例えばケブラー:商品名)を撚った直径0.7mmのコード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、赤道面CLでの赤道面CLに対するコードの角度が70°に設定されている。第2のベルトプライ76Bも、被覆ゴム中に複数本のコード(本実施形態では、芳香族ポリアミド繊維(例えばケブラー:商品名)を撚った直径0.7mmのコード)を平行に並べて埋設したものであり、本実施形態では、赤道面CLでの赤道面CLに対するコードの角度が70°に設定されている。
なお、第1のベルトプライ76Aのコードと第2のベルトプライ76Bのコードとは互いに交差しており、赤道面CLに対して互いに反対方向に傾斜している。また、本実施形態における第1のベルトプライ76A、及び第2のベルトプライ76Bにおけるコードの打ち込み密度は、各々25本/50mmである。
本実施形態においては、第1のベルトプライ76A及び第2のベルトプライ76Bの夫々のコードが、赤道面CLに対して70°で傾斜しているが、このコードの好適な角度範囲は30〜75°のため、その他の実施形態においても、この好適な角度範囲に該コードの角度を設定することが好ましい。また、このコードの好適な角度範囲を45〜75°に設定すると更に好ましい。
(ゴム層)
スパイラルベルト層72の半径方向外側には、トレッド78を形成するトレッドゴム80が配置されている。
交錯ベルト層76の第1のベルトプライ76Aとスパイラルベルト層72との間には、交錯ベルト層76の被覆ゴム及びスパイラルベルト層72のコーティングゴムと異なるゴムから形成される緩衝ゴム層90が配置されている。
緩衝ゴム層90の厚さは、0.5〜4.0mmを満たすことが好ましい。また本実施形態の緩衝ゴム層90の厚みは4.0mmである。
また、緩衝ゴム層90を形成する緩衝ゴム90Aの硬さは、トレッドゴム80の硬さの50〜100%を満たすことが好ましく、また本実施形態の緩衝ゴム90Aの硬さはトレッドゴム80の硬さと同じである。
なお、本実施形態のトレッドゲージの厚さは6mmであり、ここでいうトレッドゲージの厚さとは、交錯ベルト層76の第2のベルトプライ76B(最外層のベルト)とトレッド表面との距離をいう。
また、図1に示すトレッド78には、溝が形成されていないが、ウエット路面走行時に必要とされる排水用の溝が形成されていても良い。
(作用)
本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ60は、一般的な二輪車用空気入りタイヤと同様に、ベルト形状がタイヤ幅方向断面において、丸みを帯びているため、第1及ぶ2の実施形態よりもベルトの速度差が生じ易い。このため、本実施形態のタイヤは、第1及び2の実施形態のタイヤよりも本発明の効果がより大きくなる。
更に、本実施形態のタイヤ60の交錯ベルト層76のコードは、引っ張り剛性が強く、熱にも強い芳香族ポリアミド繊維からなるため、高速耐久性に優れる。また、芳香族ポリアミド繊維からなるコードは、圧縮方向に弱いためトレッド78の柔軟性を確保でき接地面積を向上できる。このことから、芳香族ポリアミド繊維は、タイヤの補強としては好都合な部材であるといえる。
また、本実施形態のタイヤ60では、緩衝ゴム層90は、スパイラルベルト層72と交錯ベルト層76との間に配置したが、その他の実施形態では、第2の実施形態のように、ベルトプライ間に緩衝ゴム層40を配置する構成であっても良く、例えば、ベルトプライが3枚からなる構成であれば、一枚目と二枚目との間及び二枚目と三枚目との間に配置する構成であっても良く、また、一枚目と二枚目との間(又は二枚目と三枚目との間)のみに配置する構成であっても良いものとする。
(その他の実施形態)
第1〜3の実施形態では、緩衝ゴム層40及び90は、スパイラルベルト層22及び72の被覆ゴム及び交錯ベルト層26及び76の被覆ゴムとは異なるゴムから形成される構成としているが、その他の実施形態では、緩衝ゴム層は交錯ベルト層の被覆ゴムと同種のゴムから形成される構成であっても良いものとする。なお、ここで言う同種のゴムとは、種類が同じで且つ硬さが同じゴムのことを指す。
また、この同種のゴムを用いた場合のタイヤの製造方法は、ベルトプライの断面(ベルトプライの長手方向と直交する面で切った断面)を見て、コードが厚さ方向の片側に寄ったベルトプライを巻き付ける手法と、一般的な、ベルトプライの断面を見て、コードが厚さ方向の中心に位置するベルトプライを巻き付けた後に、そのベルトプライの上に同種のゴムを巻き付ける手法とがある。何れの手法を用いてタイヤを製造しても、緩衝ゴムが、交錯ベルト層の被覆ゴムと同種のゴムの場合の作用効果は、緩衝ゴム層が交錯ベルト層の被覆ゴムと同種のゴムから形成されるため、この緩衝ゴムが旋回時のベルト層の速度差成分を吸収して剪断変形しても、層間剪断歪みによる亀裂が生じ難く耐久性に優れることになる。
また、コードが厚さ方向の片側に寄ったベルトプライを巻き付ける手法を選んだ場合は、通常の成形方法の他に余計に緩衝ゴム層を貼り付け成形する手間が省け、製造効率にも優れる。
また、前述した、緩衝ゴム40Aと交錯ベルト層26の被覆ゴムとが同種のゴムから形成される場合は、タイヤ幅方向断面において、交錯ベルト層26の最大幅よりも緩衝ゴム層40の幅を狭くすることで、交錯ベルト層端部に緩衝ゴムを配置しなくても良い。層間剪断歪による亀裂は、交錯ベルト層端部で生じ易く、また交錯ベルト層端部の温度が高いとベルトプライのコードを包む被覆ゴムが柔らかくなるため、交錯ベルト層端部の動きが大きくなり亀裂が生じやすくなる。また、ゴム層(トレッド+緩衝ゴム層)が厚いと、発熱量が増し、また発生した熱が溜まり易い。請求項5のように、交錯ベルト層26の最大幅よりも緩衝ゴム層40の幅を狭くすると、交錯ベルト層端部付近のゴム層の厚みを余計に厚くすることを回避でき、発熱を低減できるため、交錯ベルト層端部の亀裂を抑制することができる。
(試験例1)
本発明を適用した空気入りタイヤの性能改善効果を確認するために、本発明に係る実施例の空気入りタイヤ4種、比較例の空気入りタイヤ2種及び従来例の空気入りタイヤ1種を用意し、これらのタイヤについて、摩耗耐久試験及び実車による安定性の試験を実施した。
摩耗耐久性試験は、直径3mのドラムにおいて、CA(キャンバーアングル)0°、SA(スリップアングル)0°、速度100km/h、荷重4kN、制動力1kNでタイヤを24時間転動させて、そのときの摩耗量をセンター部とショルダー部とで測定した。摩耗量の測定は、テスト前にタイヤトレッド部の形状をレーザー計測しておき、24時間走行後のタイヤの形状もレーザー計測し、その差から求めた。計測結果を表1に示す。
実施例1:図1に示す第1の実施形態の空気入りタイヤ。
実施例2:図2に示す第2の実施形態の空気入りタイヤ。
実施例3:実施例1のタイヤの緩衝ゴム40Aの硬さをトレッドゴム30と同じとしたタイヤ。なおトレッドゲージは8mmである。
実施例4:実施例1のタイヤの緩衝ゴム40Aが、交錯ベルト層26の被覆ゴムと同種のゴムとしたタイヤ。なお、交錯ベルト層26の被覆ゴムの硬さは、トレッドゴム30の硬さの130%であり、トレッドゴム30よりも硬い、なお、トレッドゲージは8mmである。
従来例1:実施例1のタイヤから緩衝ゴム40Aを外したタイヤ(図3参照)。なお、トレッドゲージは8mmである。
比較例1:従来例1のタイヤのトレッドゲージを9mmとしたタイヤ。
比較例2:実施例1のタイヤの緩衝ゴム40Aの硬さが、トレッドゴム30の硬さの30%であるタイヤ。なお、トレッドゲージは8mmである。
Figure 2007161054
(結果の検証)
表1の結果から、本発明によりセンター部とショルダー部との摩耗量の差が低減されていることが分かった。特に、ショルダー部の摩耗量に差がある。これは、ショルダー部はもともとトレッドゴムがブレーキング状態にある上に、今回の試験が制動力を加える試験だったため、摩耗しやすかったからである。実施例1と実施例2とには差は無かった。緩衝ゴム層の配置は、最外層のベルトとスパイラルベルトとの間ならば、本発明が有効に機能する。
次に実施例1と実施例3と実施例4との比較から、緩衝ゴムの硬さの影響が分かる。緩衝ゴムは柔らかくした方が本発明の効果が大きい。但し、実施例1と比較例2とではさほど大きな差が無く、緩衝ゴムの硬さはある程度柔らかければ十分効果があり、必要以上に柔らかくする必要が無いことが分かる。本発明の請求項7では、トレッドゴムの硬さを緩衝ゴムの硬さの50〜100%としており、この範囲が特に有効である。しかし、実施例4については、緩衝ゴムの硬さが、トレッドゴムの硬さの130%で硬いが、効果が確認された。これは、トレッドゴムと緩衝ゴムの相対的な硬さの違いによって速度差成分の吸収度合いが異なるわけだが、トレッドゴムよりも硬くても緩衝ゴムは、速度差成分を吸収する役目を非効率ながら持つからである。また、同種のゴムで、コードが厚さ方向の片側に寄ったベルトプライを巻き付ける手法を選んだ場合は、通常の成形方法の他に余計にゴム層を貼り付け成型する手間が省け、製造効率に優れるメリットがある。
実施例3と比較例1との比較から、単にゴム層を厚くしても効果が無いことが分かる。本発明のようにゴム層を追加して、その半径方向外側にベルト層を配置することが重要となる。以上のことから、本発明のタイヤが偏摩耗性能を大幅に改善していることが分かった。
更に、操縦安定性能を試験するために、これらのタイヤをテストコースに持ち込み試験を行った。テスト内容は、これらのタイヤを装着した実車を十分な訓練を受けたテストドライバーに走行させて、旋回時の操縦安定性をテストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価し、表2に結果を示す。なお、点数は、数値が高いほど良いタイヤであることを示している。
Figure 2007161054
(結果の検証)
表2の結果より、比較例1に比べて、実施例1〜4は、僅かに良い結果となった。評価ドライバーによると、特に限界ブレーキ時にグリップが増しているとのことであった。これは、タイヤのショルダー部やセンター部での周方向の余計な滑りが無くなり、トレッドが接地面のどの位置でも、同じような周方向剪断変形を受けて、限界時のブレーキグリップ向上に寄与したためと思われる。また、単純にトレッドゲージを1mm増した比較例1のタイヤでは、トレッドゴムがグニョグニョ動くとの評価があり、操縦安定性能は大幅に悪化した。
更に、緩衝ゴム層の硬さをトレッドゴムの30%とした比較例2は、従来例1と変わらない結果となった。これは、構造面の効果(即ち、緩衝ゴムを配置したことによる、「タイヤのショルダー部やセンター部での周方向の余計な滑りがなくなり、トレッドが接地面のどの位置でも同じような周方向剪断変形を受けて、限界時のブレーキグリップ向上に寄与する」という効果)を、緩衝ゴムの柔らかさによってトレッドが横力に対して耐え切れずにグニョグニョする悪影響が打ち消してしまったと考える。
また、緩衝ゴム層を交錯ベルト層の被覆ゴムと同じゴムとしたタイヤ(実施例4)、つまり緩衝ゴム層の硬さが、トレッドゴム層の硬さの130%のタイヤについても、限界ブレーキ時のグリップが増す効果があった。実施例1〜3に比べると、効果幅は少ないが効果があったのは、緩衝ゴム層のゴムが、トレッドゴムの硬さよりも相対的に硬くても、緩衝ゴムが速度差成分を吸収する役割が少し発揮されたからである。
以上のことから、本発明に係る実施例のタイヤは何れも比較例のタイヤと比較して大幅な摩耗性能の向上をもたらしている。また操縦安定性能も向上した。これは、トレッド踏面内の周方向滑り及び剪断力分布が均一になることによって、トレッドのセンター部とショルダー部とが同じように機能したからである。
(試験例2)
本発明を適用した二輪車用空気入りタイヤの性能改善効果を確認するために、本発明に係る実施例の二輪車用空気入りタイヤ4種、比較例の二輪車用空気入りタイヤ2種及び従来例の二輪車用空気入りタイヤ1種を用意し、これらのタイヤについて、摩耗性能の改善効果を確認するために、実車を用いた操縦安定性能比較試験を実施した結果を説明する。この実車試験の目的は、トラクション時の滑りに起因する摩耗が改善されるかという点と、本発明で操縦安定性能の面にネガティブ面がないかという点である。これらのタイヤはリア用のタイヤであったため、リアのみのタイヤを交換して実車試験を行った。フロントのタイヤは常に従来のもので固定した。評価方法を以下に示す。
試験は、上記のタイヤを1000ccのスポーツタイプの二輪車(以下、単にバイクという。)に装着して、テストコースでかなり激しい(限界に近い)実車走行させた。1つのタイヤについて、テストコース10周の走行を実施(約25分の走行)し、走行後のタイヤの摩耗量を調査した。摩耗量は、トレッドの中で最大に摩耗している個所の摩耗深さを測定した。厳密には、走り終えたタイヤを切断して、残っているゴムの厚みを測定し、本来あった厚みからどの程度摩耗しているかを測定した。このサーキットは、時計回りのサーキットであり、右コーナーが多かったため、最大摩耗位置は全てのタイヤにおいて、タイヤの右側のトレッドのショルダー部分であった。
また、テストライダーのフィーリングによる操縦安定性能を10点法で同時に総合評価し、テストライダーの評価コメントも付記して結果を次に示す。
なお、第3の実施形態において、図6(B)に示すように、緩衝ゴム90Aの厚みをH1、トレッドゴム80の厚みをH2、トレッド78総厚み(スパイラルベルト層22からトレッド表面までの距離)をH0、第1のベルトプライ76A及び第2のベルトプライ76Bの夫々の厚みを0.7mmとする。
(実施例5)
構造:図6に示す第3の実施形態に係るタイヤ。H1=4.0mm、H2=6.0mm、H0=11.4mm。緩衝ゴム90Aの種類は、トレッドゴム80と同じ硬さのゴム。
最大摩耗量:1.1mm
操縦安定性能評点:8点
ライダーコメント:初期からグリップ力が高く感じた。おそらくタイヤの滑りが少なく、結果的に良くグリップしたものと思う。コーナリング中も横力に対してしっかりとタイヤがグリップする感じがある。周回を重ねるたびに徐々に摩耗してグリップは低下しているようだが、その低下割合は非常に小さく、10周の間、安定した走行ができた。また、直進走行時にも縦方向のトラクショングリップが良かった。但し、重いためか応答性が若干悪い。
(実施例6)
構造:実施例5の緩衝ゴム90Aの厚みを変更したタイヤ。H1=2.0mm、H2=6.0mm、H0=9.4mm。緩衝ゴム90Aの種類は、トレッドゴム80と同じ硬さのゴム。
最大摩耗量:1.2mm
操縦安定性能評点:9点
ライダーコメント:初期からグリップ力が高く感じた。おそらくタイヤの滑りが少なく、結果的に良くグリップしたものと思う。コーナリング中も横力に対してしっかりとタイヤがグリップする感じがある。周回を重ねるたびに徐々に摩耗してグリップは低下しているようだが、その低下割合は非常に小さく、10周の間、安定した走行ができた。また、直進走行時にも縦方向のトラクショングリップが良かった。実施例5と比べると応答性も非常に良い。
(実施例7)
構造:実施例5の緩衝ゴム90Aの厚みを変更したタイヤ。H1=1.0mm、H2=6.0mm、H0=8.4mm。緩衝ゴム90Aの種類は、トレッドゴム80と同じ硬さのゴム。
最大摩耗量:1.4mm
操縦安定性能評点:8点
ライダーコメント:実施例6と同様、従来例2と比べると明らかに初期からグリップ力が高く感じた。周回を重ねるたびに徐々に摩耗してグリップは低下しているようだが、その低下割合は非常に小さく、10周の間、安定した走行ができた。実施例6と同じ傾向で、効果が少し少ない感じ。
(実施例8)
構造:実施例5の緩衝ゴム90Aの厚みを変更したタイヤ。H1=0.5mm、H2=6.0mm、H0=7.9mm。緩衝ゴム90Aの種類は、トレッドゴム80と同じ硬さのゴム。
最大摩耗量:1.6mm
操縦安定性能評点:8点
ライダーコメント:実施例6と同様、従来例2と比べると明らかに初期からグリップ力が高く感じた。周回を重ねるたびに徐々に摩耗してグリップは低下しているようだが、その低下割合は非常に小さく、10周の間、安定した走行ができた。実施例6と同じ傾向で、効果が少し少ない感じ。実施例7よりも効果は少なく感じるが、従来例2よりは確実に良い。
(従来例2)
構造:実施例6のタイヤから緩衝ゴム層90を排除したタイヤ。H1=0mm、H2=6.0mm、H0=7.4mm。
最大摩耗量:2.1mm
操縦安定性能評点:6点
ライダーコメント:周回を重ねるたびに徐々に摩耗しているようで、9周目、10周目はグリップ力が明らかに低下した。
(比較例3)
構造:従来例2と同じ構成で、排除した緩衝ゴム層90の厚みをトレッドゴム80の厚みに反映したタイヤ。H2=8.0mm(排除した緩衝ゴム90Aの厚みH1=2.0mm)、H0=9.4mm。
最大摩耗量:2.0mm
操縦安定性能評点:4点
ライダーコメント:トレッドがグニョグニョして全く安定感がない。ブレーキも止まらない、旋回時もグリップがない。また、旋回時にグリップがないため、アクセルを開けると簡単に滑ってしまう。
(比較例4)
構造:実施例5の緩衝ゴム90Aの厚みを変更したタイヤ。H1=6.0mm、H2=6.0mm、H0=13.4mm。緩衝ゴム90Aの種類は、トレッドゴム80と同じ硬さのゴム。
最大摩耗量:1.7mm
操縦安定性能評点:4点
ライダーコメント:トレッドがグニョグニョして安定感がない。周方向ではなく、コーナリング時にタイヤが横方向に滑る感じがする。また、タイヤが重たく感じられて、きびきびした俊敏性がなくダルい感じ。応答性が悪い。
(結果の検証)
実施例5〜8の本発明のタイヤは全て、従来例2よりも摩耗量が少なかった。つまり滑り(周方向の滑りが)低減されたことが確認された。
特に摩耗量が少なかったのは、実施例5及び6である。スパイラルベルト層からトレッド表面までの距離が実施例7及び8よりも厚く、周方向滑りが最も均一にできる構造であったからだと考察する。但し、緩衝ゴム層の厚みは0.5mmあれば十分な効果があることが、実施例8と従来例2との比較から分かる。その一方で、比較例4には効果がなかった。これは、比較例4の緩衝ゴムの厚みが、厚すぎたためにトレッド部分の横力に対する剛性が落ちてしまいグニョグニョする挙動が増えてしまったこと(操縦安定性能での点数が低かった理由)、またトレッドゴムがグニョグニョしたために、周方向ではなくタイヤが横にスライドする感じがあり、横方向のスライドで摩耗が進んでしまったこと(摩耗が大きかった理由)による。この試験により、緩衝ゴム層の厚みは、0.5〜4.0mmが好ましいことが確認できる。
また、実施例6と比較例3との比較から単純にトレッドゴムのゲージを増しても効果がないことが分かる。本発明のように、緩衝ゴムとしてゴムを追加し、その半径方向外側にベルト層を配置することが望ましい。
以上のことから、本発明に係る実施例5〜8のタイヤは何れも、大幅な耐摩耗性能の向上をもたらしている。これは、トレッド踏面内の剪断力分布が均一になり、局所的な滑りが抑制されてことによる効果である。また、滑りが抑制されたことにより、グリップ力も増して、操縦安定性能の向上も確認された。
第1の実施形態に係る空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図である。 第2の実施形態に係る空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図である。 従来例1の空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図である。 車体を大きく傾けた時(キャンバー角が略45度)の二輪車用空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図、及び接地形状図である。 直進走行時(キャンバー角が0度)の二輪車用空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図、及び接地形状図である。 (A)第3の実施形態に係る二輪車用空気入りタイヤの回転軸に沿った断面図 (B)(A)の一部分の拡大図である。
符号の説明
10 乗用車用空気入りタイヤ(空気入りタイヤ)
16 カーカス
18 ビード部
20 ビードコア
22 スパイラルベルト層
28 トレッド
30 トレッドゴム
40 緩衝ゴム層
40A 緩衝ゴム
60 二輪車用空気入りタイヤ(空気入りタイヤ)

Claims (9)

  1. 左右一対のビード部に埋設されたビードコアと、
    一方のビード部から他方のビード部にトロイド状に跨り、端部分が前記ビードコアに巻回されて前記ビードコアに係止された少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、
    前記カーカスのタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と、
    前記ベルト層よりもタイヤ半径方向外側に配置され、路面と接触するトレッド部を形成するトレッドゴムと、を備える空気入りタイヤであって、
    前記ベルト層は、1本乃至並列した複数本のコ−ドを被覆ゴム中に埋設した帯状体を螺旋状に巻回して形成される少なくとも1層のスパイラルベルト層と、前記スパイラルベルト層のタイヤ半径方向外側に配置され、複数本のコードを被覆ゴム中に埋設した2枚以上のベルトプライからなり、互いに隣接するベルトプライ同士で前記コードのタイヤ赤道面に対する傾斜方向が互いに反対方向となる交錯ベルト層とを有し、
    前記ベルトプライのコードのタイヤ赤道面に対する角度が30〜75°とされ、
    前記スパイラルベルト層と前記交錯ベルト層との間に緩衝ゴム層が設けられることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 左右一対のビード部に埋設されたビードコアと、
    一方のビード部から他方のビード部にトロイド状に跨り、端部分が前記ビードコアに巻回されて前記ビードコアに係止された少なくとも1枚のカーカスプライからなるカーカスと、
    前記カーカスのタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と、
    前記ベルト層よりもタイヤ半径方向外側に配置され、路面と接触するトレッド部を形成するトレッドゴムと、を備える空気入りタイヤであって、
    前記ベルト層は、1本乃至並列した複数本のコ−ドを被覆ゴム中に埋設した帯状体を螺旋状に巻回して形成される少なくとも1層のスパイラルベルト層と、前記スパイラルベルト層のタイヤ半径方向外側に配置され、複数本のコードを被覆ゴム中に埋設した2枚以上のベルトプライからなり、互いに隣接するベルトプライ同士で前記コードのタイヤ赤道面に対する傾斜方向が互いに反対方向となる交錯ベルト層とを有し、
    前記ベルトプライのコードのタイヤ赤道面に対する角度が30〜75°とされ、
    隣接する前記ベルトプライ同士の間に緩衝ゴム層が設けられることを特徴とする空気入りタイヤ。
  3. 前記緩衝ゴム層は、前記スパイラルベルト層の被覆ゴム及び前記交錯ベルト層の被覆ゴムとは異種のゴムから形成され、該ゴムの硬さは、前記トレッドゴムの硬さ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記緩衝ゴム層は、前記交錯ベルト層の被覆ゴムと同種のゴムから形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤ幅方向断面において、前記緩衝ゴム層の幅は、前記交錯ベルト層の最大幅より狭いことを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記緩衝ゴム層の厚さは、0.5〜4.0mmを満たすことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記緩衝ゴム層を形成するゴムの硬さは、前記トレッドゴムの硬さの50〜100%を満たすことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 二輪車に用いられることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記ベルトプライのコードが、芳香族ポリアミド繊維から構成されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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