JP2009001080A - 二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】トレッド部を改良することで、旋回時のグリップ、すなわち操縦安定性能を向上するとともに、走行に伴うショルダー部のトレッドゴムの摩耗や劣化を抑制することができ、これにより、長時間走行時においても良好な旋回時操縦安定性能を維持することが可能な二輪車用空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】環状に形成されたトレッド部12を備える二輪車用空気入りタイヤである。トレッド部12のうち、タイヤ赤道面を中心とするトレッド展開幅の50%の領域をトレッドセンター部、トレッドセンター部の両側の各トレッド展開幅の25%の領域をトレッド側部とし、さらにトレッド側部を3分割して、トレッド端からそれぞれ領域A、領域B、領域Cとしたとき、領域Bのトレッドゴムの100℃における平均のtanδが、領域Cのトレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも小さい。
【選択図】 図1

Description

本発明は二輪車用空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、トレッド部の改良に係る二輪車用空気入りタイヤに関する。
自動二輪車は、車体を傾けて旋回するという特徴があるため、車体の傾きによって、路面に接地するタイヤの部分が移動する。また、かかる特徴に起因して、タイヤには、直立時においては速度が高く制動力と駆動力との前後方向(タイヤの赤道方向)の力が加わるのに対し、車体を傾けた旋回時においては、大きな横力が主体的に加わることになる。
従来、かかる自動二輪車用空気入りタイヤのショルダー部のトレッドゴムについては、グリップを向上させることを主眼として、グリップの高い、すなわち、摩擦係数が高くなる、損失正接tanδの大きいゴムを使うことが一般的であった。例えば、特許文献1には、旋回時のグリップ性を高めることを目的として、自動二輪車用タイヤのショルダーゴム部の損失正接tanδ1を、0.2〜0.4であってかつ、中央ゴム部の損失正接tanδ2よりも大とすることが開示されている。
特開2006−256385号公報(特許請求の範囲等)
前述したように、二輪車用の空気入りタイヤでは、二輪車が車体を傾けて旋回することから、直進時と旋回時では、タイヤトレッド部が路面と接する場所が異なる。つまり、直進時にはトレッドの中央部分を使用し、旋回時にはトレッドの端部を使用するという特徴がある。
特に、旋回時にはタイヤの横方向(幅方向)に対してグリップすることが求められるが、二輪車を速く旋回させるには、旋回速度にともなって大きくなる遠心力と釣り合わせるために車体を大きく倒す必要があり、さらにその遠心力に対抗できるようにタイヤがグリップできなければならない。つまり、車体を大きく傾けたときにタイヤのグリップが不足する場合には、速く旋回できないことになるため、ここでのグリップが旋回性能に及ぼす影響は非常に大きい。
一方で、旋回時に加わる大きな横力により、トレッドゴムに大きな負担がかかることから、二輪車用タイヤのタイヤショルダー部には、発熱しやすいという難点がある。特に、バイクレースや、一般消費者の場合でも激しいライディングを行った際には、走行中にタイヤショルダー部が発熱して、走行に伴う旋回性能の低下や、ショルダー部の摩耗の進行、ショルダー部のゴムの劣化などが生ずる。
したがって、二輪車用のタイヤのショルダー部については、旋回時のグリップ性能、すなわち操縦安定性能に優れることに加え、走行に伴うトレッドの摩耗や劣化を抑制できることが要求されており、これらの要請を高度に満足し得る二輪車用空気入りタイヤが求められていた。
そこで本発明の目的は、トレッド部を改良することで、旋回時のグリップ、すなわち操縦安定性能を向上するとともに、走行に伴うショルダー部のトレッドゴムの摩耗や劣化を抑制することができ、これにより、長時間走行時においても良好な旋回時操縦安定性能を維持することが可能な二輪車用空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、二輪車用タイヤにおいて旋回時のグリップをさらに向上させるために鋭意研究を行い、特にバイク車輌が最も倒れるバンク角度(キャンバー角度,以下、キャンバーアングルとして「CA」と称する)45〜55度付近のグリップを集中的に向上させることに取り組んだ。これは、例えばレースにおいては旋回速度が非常に重要であり、旋回速度が速ければコーナーの次のストレートの速度も伸びて、結果的にラップタイムが向上するからである。また、一般道路での走行においても、旋回時のグリップを増すことにより、安全性に貢献できる。
自動二輪車用のタイヤでは、特に車体を大きく倒した場合の旋回性能については、タイヤのトレッドの片側の端部が接地して、グリップを発生させている。車体を大きく倒して旋回する場合、タイヤは、図3に示すような接地状態となる。このときの接地形状について考察する。
バイク車体が大きく倒れて旋回する場合、すなわち、タイヤのCAが45〜55度で旋回する場合、タイヤのトレッド幅(全幅)のほぼ1/4が接地する。この旋回時に接地している1/4の領域を3分割、仮に3等分して、トレッド端から領域A,領域B,領域Cとする。
まず、タイヤの幅方向断面でのトレッド変形を考える。トレッドの変形により、タイヤに横力が発生するからである。横方向のトレッドの変形は、キャンバースラスト(横力)を発生させる。
図3はCA50度でタイヤが接地して回転しているときの断面を示したものであり、タイヤ断面図の下には、接地部の形状を示している。図示するように、それぞれのタイヤによって、接地形状は楕円または半月状となり、その中間の形状をとる場合もある。一般的に、接地形状が楕円であると、トレッド端部、特に領域Aの部分の摩耗が良いとされ、接地形状が半月状であると、CA50度のような大きなCAでの横力の発生が大きく、グリップが高いとされる。また、タイヤ構造との兼ね合いからは、コード方向が略タイヤ周方向に沿ういわゆるスパイラルベルトを用いたものは楕円になりやすく、スパイラルベルトを用いないものは半月状になりやすい傾向がある。
図3の楕円型接地形状の場合の、領域Bのトレッドの幅方向の変形について述べる。領域Bのトレッドの表面、すなわち路面に接する点をQとし、Q点の内側のトレッドの最深部の点をP点とすると、これらP点およびQ点は、接地転動時において、図示するような軌跡を描く。P点はすなわちタイヤのベルト(骨格部材)に接している点であり、タイヤがCAをつけて傾いて転動するため、弓なりの曲線を描く。これに対し、Q点はトレッド表面が路面に接触した時に路面に固定され、路面の方向、すなわちタイヤの進行方向に直線的に動く。この動きの差によりトレッドは横剪断を受ける。これはちょうど弓と弦の関係であり、荷重直下で最大の横剪断を受ける。これが、キャンバースラスト発生のしくみである。
このような発生のしかたから、接地長(接地形状のタイヤ周方向=赤道方向の長さ)が長い方がP点とQ点との軌跡の差が広がり、大きくトレッドが剪断されることになる。反対に接地長が短いと、トレッドの剪断量(横方向=タイヤ幅方向の剪断)は少なくなる。したがって図示するように、接地形状が楕円型の場合は、領域Bで大きな剪断を受け、領域Cと領域Aの剪断は少ない。一方、接地形状が半月型の場合は、領域Bおよび領域Aで大きな剪断を受け、領域Cの剪断は少ない。また、剪断量が大きいと、トレッドが横方向に大きな力を出す。
ところで、トレッドゴムには繰り返しの変形に対してエネルギー損失があり、トレッドゴムのtanδが大きいとエネルギー損失が大きく、グリップが高い反面、発熱が大きくなる。発熱は、歪の大きさと周波数とにより決まり、さらに、tanδの高いものが高くなる。また、二輪車がCA45〜55度で高速で旋回した場合、大きな歪が高周波数で加わる。前述したように、二輪車用のタイヤでは旋回時にグリップが必要であるため、ショルダー部にtanδの高いゴムを配置することが普通であり、CA45〜55度の高速旋回の頻度が多いと、タイヤのショルダー部が発熱し、特に、バイクレースのような厳しい使用状態では、発熱が大きくなる。
一方、ゴムの特性として、温度が高くなると柔らかくなることが挙げられる。つまり、高温になると、トレッドの弾性率が低下する。前述したように、二輪車の場合はキャンバースラストで横力を発生させるが、図3中のP点およびQ点の軌跡で示したように、キャンバースラストは横剪断変位が決まっている。つまり、トレッドゴムの弾性率が低下すると、同じ変位が与えられた時の反力が低下することになる。したがって、トレッドゴムの弾性率が低下すると、横力が低下する。
また、トレッドゴムは、硬すぎると横変形しないため、ゴムの表面が簡単に路面から滑ってしまい、グリップが得られない。そのため、二輪車用タイヤのトレッドゴムの弾性率は、通常、大きすぎず、小さすぎずの適正な値に設定されている。しかしながら、温度上昇にともなって弾性率が低下すると、十分な横力が得られなくなる。このように、高速の旋回走行が長時間続く場合は、トレッド温度の上昇と共に、横グリップが低下することになり、これを防止するためには、大きな剪断が加わっても発熱しにくいことが重要である。
また、トレッドが高温になると、トレッドゴムが劣化しやすくなる。特に、バイクレースの場合は、トレッドの内部温度が100℃を超える場合もあり、温度が高くなりすぎるとゴムの中に気泡が生じ、気泡から亀裂が進展してトレッドゴムの一部が脱落する場合もある。さらに、ゴムが発熱によって柔らかくなると、十分な横力が得られないためにタイヤが滑り出す。このため、タイヤの摩耗が進展しやすくなる。摩耗は、接地長が長い領域Bから発生する場合が殆どである。
以上より、二輪車用のタイヤでは、ショルダー部の発熱を抑えることができれば、走行を繰り返しても、高い旋回性能を維持でき、ゴムの劣化を防止でき、かつ、ショルダー部の摩耗についても防止できるものと考えられる。かかる観点から、本発明者はさらに検討した結果、下記構成とすることにより、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の二輪車用空気入りタイヤは、環状に形成されたトレッド部を備える二輪車用空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド部のうち、タイヤ赤道面を中心とするトレッド展開幅の50%の領域をトレッドセンター部、該トレッドセンター部の両側の各トレッド展開幅の25%の領域をトレッド側部とし、さらに該トレッド側部を3分割して、トレッド端からそれぞれ領域A、領域B、領域Cとしたとき、
領域Bのトレッドゴムの100℃における平均のtanδが、領域Cのトレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも小さいことを特徴とするものである。
本発明において好適には、領域Aのトレッドゴムの100℃における平均のtanδが、領域Cのトレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも小さく、より好適には、領域A、領域Bおよび領域Cのそれぞれのトレッドゴムの100℃における平均のtanδが、領域B<領域A<領域Cの関係を満足する。
また、領域Bのトレッドゴムが内側と外側との2層からなり、該内側トレッドゴムの100℃における平均のtanδが、該外側トレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも低いことが好ましく、領域A、領域Bおよび領域Cのうち1箇所以上のトレッドゴムが内側と外側との2層からなり、各領域においてそれぞれ、該内側トレッドゴムの100℃における平均のtanδが、該外側トレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも低いことも好ましい。
さらに、本発明において好適には、領域Bおよび領域Aのトレッド表面をなすゴムが、同種のゴムからなる。さらにまた、本発明においては、領域Bが少なくとも、前記トレッド側部のタイヤ幅方向中央部を中心とするトレッド展開幅の5%の範囲を含むことが好ましい。
本発明によれば、上記構成としたことにより、旋回時のグリップ、すなわち操縦安定性能を向上するとともに、走行に伴うショルダー部のトレッドゴムの摩耗や劣化を抑制することができ、これにより、長時間走行時においても良好な旋回時操縦安定性能を維持することが可能な二輪車用空気入りタイヤを実現することが可能となった。
以下、本発明の好適実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の一好適例の二輪車用空気入りタイヤの幅方向断面図を示す。図示するように、本発明の二輪車用タイヤは、左右一対のビード部11にそれぞれ埋設された一対のビードコア1と、一方のビード部から他方のビード部にトロイド状に跨って延在する少なくとも1枚のカーカス2と、そのタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも1枚のベルト層3と、環状に形成されてその半径方向外側に配置されたトレッド部12とを備えている。
本発明のタイヤにおいては、トレッド部12のうち、タイヤ赤道面を中心とするトレッド展開幅の50%の領域をトレッドセンター部、その両側の各トレッド展開幅の25%の領域をトレッド側部と定義する。ここで、トレッドを展開するとは、幅方向に丸みをもつトレッドを、弧の長さを直線にするように平面にするという意味であり、本発明においては、この展開幅を100としたときに、トレッド中央部の50をトレッドセンター部として、それ以外をトレッド側部とした。すなわち、トレッド側部は、左右それぞれ25となる。
タイヤがCA45〜55度で路面に接地するとき、一般的なバイクにおいては、タイヤのトレッド幅の4分の1にあたる、トレッドの側部が路面に接地している。すなわち、上記の全体幅100のうちの片側25の領域が路面に接地する。
本発明においては、このトレッド側部をさらに3分割、特には3等分して、トレッド端からそれぞれ領域A、領域B、領域Cと定義している。このように3つの領域に分割したのは、図3に示したように、自動二輪車がCA45〜55度で旋回するときに、領域A、領域B、領域Cのそれぞれの領域で、横剪断量が異なるからである。すなわち、領域Bの横剪断量が高く、最も発熱しやすい。また、接地形状によっては、領域Aの横剪断量も増えて発熱しやすくなる。
そこで、本発明においては、領域Bのトレッドゴムの100℃における平均のtanδを、領域Cのトレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも小さくすることを規定した。100℃におけるtanδとしたのは、一般の二輪車用のタイヤにおいて、大きなCAでの旋回を繰り返した場合、トレッドのゴムの温度が100℃程度になるからである。また、特殊なレース用のタイヤにおいては、トレッドの温度が120℃に達する場合もあるが、100℃でのtanδが低ければ、120℃でのtanδも低くなる傾向にあるため、100℃の値を代表として採用した。また、tanδを規定したのは、tanδ(損失正接)が大きいと、同じ歪を同じ周波数で繰り返し入力したときの発熱が多くなるからである。tanδが小さければ、発熱を低くすることができる。
ここで、各領域のトレッドゴムのtanδを平均のtanδと規定したのは、領域Bに複数のゴムが存在した場合を想定したものである。二輪車用のタイヤでは、タイヤセンターとタイヤショルダーとで求められる性能が違うため、タイヤセンターとタイヤショルダーとで異なるゴムを使用する場合がある。また、摩耗後の性能を高めるためにトレッドの内層にグリップの高いゴムを配置することもあり、すなわち、トレッド部を高さ方向に2種以上のゴムで形成する場合がある。そのため、各領域に2種以上のゴムが存在する場合には、それらの平均の値を用いる。平均のtanδとは具体的には、トレッドゴムを2層にして、内側を低いtanδ、外側を高いtanδとした場合、2層の厚みが同一であれば双方のtanδの平均となり、厚みが異なれば、厚み(体積)を考慮した平均化を行うことになる。例えば、内側トレッドゴムの厚みが3mmでtanδが0.3、外側トレッドの厚みが4mmでtanδが0.45の場合には、下記式、
(0.3×3+0.45×4)/(3+4)=0.3857
となり、これが平均のtanδとなる。
また、先に述べたように厚み方向ではなく、トレッドの幅方向にもtanδが変わっている場合がある。例えば、領域Bを赤道方向に平行な断面で2つに分割し、幅方向のタイヤセンター側とトレッド端部側で異なるゴムを使っている場合などがこれに該当し、この場合も体積に応じてtanδを平均化して考える。これが、本発明における平均のtanδの意味である。
本発明において、領域Bのtanδを、領域Cよりも小さくすることを規定したのは、領域Bの横変位が最も大きく、領域Bが最も発熱しやすいからである。図3に示したように、トレッドの横方向の変形を確認すると、接地形状が楕円の場合は領域Bの横方向(赤道方向に対して90度)の剪断量が最も大きく、領域Aおよび領域Cの剪断量は小さい。領域Bの横剪断、トレッドの変形が大きいため、繰り返しの入力に対して領域Bでの歪エネルギーロス(エネルギー損失)が大きく、領域Bが発熱しやすい。これに対し、本発明のように領域Bのtanδを小さくすることで、領域Bで大きな歪が加わったとしても、発熱量を下げることが可能となる。
また、tanδは、グリップ力(摩擦係数)にも関係があり、tanδを下げると摩擦係数が低下するのが普通である。例えば、特開2006−274049には、空気入りタイヤのトレッドに用いるゴム組成物に関して、30℃のtanδを上げると乾燥した路面での摩擦係数が上がることが示され、逆に60℃のtanδを下げれば転がり抵抗が低減される(=歪エネルギーロスが低下する)ことが記載されている。つまり、使用雰囲気温度でのtanδを上げればグリップ(摩擦係数)が向上し、tanδを下げれば発熱を抑えられる。なお、二輪車のタイヤのトレッド温度は、四輪車のトレッド温度よりも高いことが普通であり、本発明では100℃という実際の二輪車用タイヤの温度を元に、30℃ではなく100℃を規定している。
本発明において、領域Bのtanδを下げることを規定したのは、領域Cや領域Aのtanδについても下げてしまうと、グリップが低下してしまうからである。そこで、もっとも発熱の厳しい領域Bのtanδだけを下げることで、高いグリップと、走行を繰り返してもグリップが低下しないこととを両立させている。領域Bが最も発熱しやすく、この部分が発熱すれば、領域Bのトレッドゴムの弾性率が低下して、領域Bで横力を発生しにくくなる。タイヤとして横力が減るので、タイヤの滑りが増して、摩耗が促進される。また、領域Bの発熱は、その両側の領域Aおよび領域Cにも伝播するため、領域Aおよび領域Cでもトレッドゴムの弾性率が低下して、グリップの低下が起こる場合もある。なお、バイクレースにおいて、タイヤがブロー(トレッドゴムが沸騰して内部に気泡ができる状態)するのは領域Bが殆どであり、この部分の発熱が高く、また、ブローした気泡を起点としてクラック(亀裂)が発生してトレッドゴムが脱落すると、接地面積が低下して急激にタイヤのグリップ力が低下する。したがって、領域Bの発熱を下げることは、レースにおいても有効である。
本発明により、最も発熱が発生する領域Bの発熱を下げることで、繰り返しの走行に伴うトレッド弾性率の低下を防止でき、高いグリップ力を維持できる。また、異常な摩耗の進展を防止できる。一般の走行においては、領域Bで高い温度が維持されて、ゴムが劣化することを防止することができる。
なお、本発明において領域A,領域B,領域Cの各領域がトレッド側部に占める比率としては、特に制限されるものではないが、領域Bが、少なくとも、トレッド側部のタイヤ幅方向中央部を中心とするトレッド展開幅の5%の範囲(タイヤ赤道面を基準としたトレッド展開幅の35%の位置から40%の位置)を含むことが好ましい。この範囲が、最も発熱の高い領域であると考えられるためである。特には、領域A,領域B,領域Cの分割比率が、2:1:2〜1:2:1の範囲内となるようにすることができる。
本発明においては、領域Bのtanδを領域Cより小さくすることのみが必須であり、領域Aのtanδについては制限はないが、好適には、領域Aのトレッドゴムの100℃における平均のtanδについても、領域Cのトレッドゴムの100℃における平均のtanδより小さくする。図3に示したように、CA45〜55度の接地形状は、半円型となる場合もあり、この場合には領域Aでも発熱が高く、領域Aの発熱も下げることが有効であるためである。この場合、100℃における平均のtanδが、領域B<領域Cかつ領域A<領域Cとなる。
より好適には、領域A、領域Bおよび領域Cのそれぞれのトレッドゴムの100℃における平均のtanδが、領域B<領域A<領域Cの関係を満足するものとする。領域Aおよび領域Bの発熱を抑える理由は前述のとおりであるが、領域Aおよび領域Bのtanδの順序をこのようにしたのは、領域Bが、領域Aよりも使用頻度が高いことによる。つまり、領域Aは、CAが45度以上の時だけに路面に接触して使われる。これに対し、領域Bは、CA45度以上の時はもちろん、CAが35度〜45度でも接地する領域である。バイクは倒しながら旋回し、加速時に立てながら加速していく。つまり、領域Bの方が領域Aよりも接地している時間が長く、発熱しやすいのである。なお、領域Cも倒す過程で接地するが、CA35度とCA50度では、CA50度の方が図3のP点の弓なり軌跡が大きく、すなわち、トレッドの剪断変形が大きく発熱が大きい。領域Cの接地長が最も伸びるであろうCA35度付近では、弓なり軌跡が小さく、トレッド横変形が小さい。バイクが車体を倒せば倒すほど横力を出せるのは、タイヤのベルトの軌跡(P点の軌跡)が、タイヤのCAが大きく付いた方が弓なりがきつくなり、横剪断が増えるからである。つまり、CA45度〜55度で接地する時の発熱が最も高いことが大前提であり、そのため領域Aおよび領域Bのtanδを下げることが第一に考えられる。次に、これに加えて、使用頻度を考えると、領域BはCA35度〜45度でも接触するため、発熱が領域Aよりも多くなる。したがって、より好適には、上記のような順序とする。
これら各領域のトレッドゴムの100℃における平均のtanδの値としては、具体的には例えば、領域Cを基準100%とした場合に、領域Bについては20%〜95%、特には30%〜90%とすることができ、領域Aについては40%〜90%、特には50%〜80%とすることができる。なお、トレッドゴムのtanδの値は、ゴム配合中の樹脂やカーボンの量を調整することにより、常法に従い適宜変動させることが可能である。
また、本発明においては、図1に示すように、領域Bのトレッドゴムを内側と外側との2層からなるものとして、内側トレッドゴムの100℃における平均のtanδを、外側トレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも低くすることが好ましい。これは、tanδを低下させると、摩擦係数が低下してしまうことによる。つまり、タイヤ表面の路面と接触する外側トレッドゴムの摩擦係数は下げずに、路面と接触しない内側トレッドゴムのtanδを小さくして、トレッド内部の発熱を抑えるものである。路面と接触する部分のtanδを高く保って路面とのグリップを高め、一方で、トレッド内部のゴムのtanδは下げて発熱を抑制することで、高いグリップと、走行を続けた場合のグリップの低下の防止とを両立することができる。
この場合、領域Bのみでなく、領域A、領域Bおよび領域Cのうちの1箇所か2箇所、またはすべての領域でトレッドゴムを内側と外側との2層として、各領域においてそれぞれ、内側トレッドゴムの100℃における平均のtanδを、外側トレッドゴムより低くすることも好適である。これにより、タイヤ表面に高いtanδのゴムを用い、タイヤ内部に低いtanδのゴムを用いて、内側と外側との層の厚みを領域ごとに変化させることで、各領域の平均のtanδの値を所望にコントロールすることができる。
また、領域Bおよび領域Aのトレッド表面を、同種のゴムからなるものとすることも好ましい。これら領域の表面のゴムを同じとすれば、使用するゴムの種類が減って、生産面で有利である。また、領域Aと領域Bとのゴム種が異なると、両者の境界で、ゴムの摩耗傾向が異なったり、両者の境界に割れが発生する恐れがあるが、同じであれば、これらを防止することができる。
本発明のタイヤにおいては、トレッド部を構成するトレッドゴムについて上記条件を満足することが重要であり、これにより本発明の所期の効果を得ることができ、それ以外のタイヤ構造や材質等の条件については、特に制限されるものではない。例えば、トレッドセンター部のトレッドゴムについては、本発明では特に制限はなく、トレッド側部と同様のものであっても、異なっていてもよい。
また、図示する例では、ベルト層3として、タイヤ周方向に対し0度〜5度の角度を有する補強素子からなるスパイラルベルト4と、交錯ベルト層5とが配設されている。スパイラルベルト4は、1本または複数本のコードをゴムで被覆して、これをタイヤの製造過程においてトレッドに螺旋巻きするようにタイヤ周方向にほぼ平行になるようぐるぐると巻付けることで形成できる。かかるスパイラルベルト4を設けることで、高速走行時の遠心力による膨張を防止することができ、さらに高速時の操縦安定性を増すことができる。スパイラルベルトは、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードの他、スチールコードで形成してもよく、例えば、直径0.21mmのスチール単線を1×3タイプで撚ったスチールコードを、打ち込み間隔30本/50mmでスパイラル状に巻きつけるなどして形成することができる。また、交錯ベルト層5は、例えば、芳香族ポリアミド等からなる補強コードを、タイヤ周方向に対して±20度〜80度で交錯させて設けることができる。
ベルト層は、図示するように、スパイラルベルト4と交錯ベルト層5とを組合せて設けてもよいが、スパイラルベルト4のみ、または、交錯ベルト層5のみの単独で構成してもよい。また、スパイラルベルトを2重にして配置してもよく、スパイラルベルトの他にタイヤ周方向に対する角度が90度のベルトを追加して、スパイラルベルトと網目を形成させて強化してもよい。また、交錯ベルト層についても、2層に限らず、3層以上で設けてもよく、特に制限はない。
また、例えば、本発明のタイヤは、図示するように、一対のビード部11と、それに連なる一対のサイドウォール部13と、両サイドウォール部13間にトロイド状をなして連なるトレッド部12とを備えており、これら各部をビード部相互間にわたり補強するカーカス2は、比較的高弾性のテキスタイルコードを互いに平行に配列してなるカーカスプライの少なくとも1枚からなる。カーカスプライの枚数は、1枚でも2枚でもよく、3枚以上でもかまわない。なお、カーカス2の両端部は、図示する例では、カーカス2の端部を両側からビードワイヤで挟み込んで係止されているが、ビードコアにタイヤ内側から外側に折り返して係止してもよい。また、タイヤの最内層にはインナーライナーが配置され(図示せず)、トレッド部12の表面には、適宜トレッドパターンが形成されている(図示せず)。本発明は、ラジアルタイヤに限らず、バイアスタイヤにも適用可能である。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明する。
下記条件に従い、タイヤサイズ190/50ZR17にて、二輪車用空気入りタイヤを作製した。各供試タイヤは、一対のビードコア間にトロイド状に跨って延在するカーカスプライの2枚からなるカーカスを備えており、カーカスプライにはナイロンコードを使用した(図1,2中ではカーカス2を1本の線で示しているが、いずれも2枚重なっているものである)。2枚のカーカスはラジアル方向(タイヤ周方向に対する角度が90度)でもよいが、本実施例ではタイヤ周方向に対する角度が±80度のものを互いに交錯させて使用した。また、カーカス2の端部は、ビード部において、両側からビードワイヤに挟まれて係止されている。
また、カーカスの半径方向外側には、2枚の交錯ベルト層を配置した。交錯ベルト層は、芳香族ポリアミド(商品名:ケブラー)繊維を撚った直径0.7mmのコードを打ち込み数30本/50mmにて配置して、これをタイヤ周方向に対し±60度の角度で交錯させて配置した。さらに、交錯ベルト層のタイヤ半径方向外側には、スパイラルベルトを配置した。スパイラルベルトは、芳香族ポリアミド(商品名:ケブラー)繊維を撚った直径0.7mmのコードを、打ち込み数50本/50mmで略タイヤ周方向に巻き付けて形成されたものであり、2本の並列したコ−ドを被覆ゴム中に埋設した帯状体(ストリップ)を、略タイヤ周方向に沿って螺旋状にタイヤ回転軸方向に巻き付ける手法で製造した。スパイラルベルトの外側には、トレッド部が設けられており、トレッド部の厚みは、タイヤセンターからトレッド端部にわたって一律に7mmであった。なお、本実施例のタイヤでは、トレッド部表面には溝を配置しなかった。
上記構造を基本として、トレッド部のうち、タイヤ赤道面を中心とするトレッド展開幅の50%の領域をトレッドセンター部、その両側の各トレッド展開幅の25%の領域をトレッド側部とし、さらにこのトレッド側部を1:1:1に3分割して、トレッド端からそれぞれ領域A、領域B、領域Cとしたとき、これら各領域A〜Cのトレッドゴムを下記に従いそれぞれ変えて、各従来例、実施例および比較例の供試タイヤを製造した。なお、以下の各実施例において、トレッドセンター部のゴムには、トレッド側部と同じもの(従来例と同じゴム)を用いた。
<従来例>
トレッドセンター部およびトレッド側部からなるトレッド部の全領域を、単一種のゴムにて作製した。このトレッドゴムの25%伸長時の100℃における弾性率は2.5MPaであり、100℃におけるtanδは0.45であった。このtanδの値を100として、以下、各ゴムのtanδを指数にて示す。
従来例の100℃でのtanδの各領域における比率は、下記の通りである。
領域A:領域B:領域C = 100:100:100
<実施例1>
図1に示すように、トレッド側部のうち領域Bのトレッドゴムのみを内側と外側との2層からなるものとして、外側トレッドゴムについては領域A,Cと同じゴムとし、内側トレッドゴムのトレッドゴム物性のみを変更した。内側トレッドゴムの厚みは3mmであり、弾性率は従来例のゴムと同じで、100℃におけるtanδは50であった。したがって、領域Bの平均のtanδは、79となる。なお、領域A,Cのトレッドゴムは従来例と同じものを用いた。
実施例1の100℃でのtanδの各領域における比率は、下記の通りである。
領域A:領域B:領域C = 100:79:100
<実施例2>
トレッド側部のうち領域Bのトレッドゴムのみを変更した。領域Bのトレッドゴムは1層で、弾性率は従来例のゴムと同じであり、100℃におけるtanδは80であった。なお、領域A,Cのトレッドゴムは従来例と同じものを用いた。
実施例2の100℃でのtanδの各領域における比率は、下記の通りである。
領域A:領域B:領域C = 100:80:100
<実施例3>
トレッド側部のうち領域A,Bのトレッドゴムを変更した。領域Bのトレッドゴムは1層で、弾性率は従来例のゴムと同じであり、100℃におけるtanδは80であった。また、領域Aのトレッドゴムは、内側と外側との2層からなるものとして、外側トレッドゴムについては厚み4mmとして領域Cと同じゴムを用い、内側トレッドゴムについては厚み3mmとして、領域Bと同じゴムを用いた。したがって、領域Aの平均のtanδは、94となる。なお、領域Cのトレッドゴムは従来例と同じものを用いた。
実施例3の100℃でのtanδの各領域における比率は、下記の通りである。
領域A:領域B:領域C = 94:80:100
<実施例4>
図2に示すように、トレッド側部のうち領域A,Bのトレッドゴムを変更した。領域Bのトレッドゴムは、内側と外側との2層からなるものとし、外側トレッドゴムについては厚み3.5mmとして、弾性率が従来例と同じでtanδが120であるゴムを用い、内側トレッドゴムについては厚み3.5mmとして、tanδが30であるゴムを用いた。したがって、領域Bの平均のtanδは、75となる。また、領域Aのトレッドゴムについても内側と外側との2層からなるものとして、外側トレッドゴムおよび内側トレッドゴムの双方ともに領域Bと同じものを用い、厚みのみ変えて、外側を5mm、内側を2mmとした。したがって、領域Aの平均のtanδは、94となる。さらに、領域Cには、図示するように、一部に領域Bの内側トレッドゴムが流れ込んでいる。領域Cは殆どの部分が一層であるが、流れ込んだ部分は2層になっており、流れ込んでいるゴムは領域Cの体積の5%であった。また、領域Cの外側トレッドゴムは従来例のゴムと同じであり、tanδは100であった。したがって、領域Aの平均のtanδは、96となる。
実施例4の100℃でのtanδの各領域における比率は、下記の通りである。
領域A:領域B:領域C = 94:75:96
<比較例>
従来例と同様に、トレッドセンター部およびトレッド側部からなるトレッド部の全領域を、単一種のゴムにて作製し、用いるトレッドゴムのtanδのみを80に変更した。このトレッドゴムの弾性率は従来例と同じであった。
なお、上記において、各トレッドゴムのtanδは以下の方法で計測した。また、各トレッドゴムの弾性率は全て従来例と同一に設定されており、tanδだけを変えている。
<tanδの測定法>
レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を用いて、温度100℃、周波数15Hz、歪5%でtanδを測定した。
得られた各供試タイヤの比較のために、以下の試験を行った。
<横力および温度の測定>
直径3mのドラムに、紙やすりを貼り付けて路面に見立て、これを用いて、各供試タイヤにつき、次の試験を実施した。各供試タイヤをリム幅6インチ、リム径17インチのホイールに組み、内圧220kPaを充填した。このタイヤを、CA50度、荷重1700N、SA0度でドラムに押し付けて、時速100km/hで回転させた。このときの横力を、タイヤの回転軸に取り付けた3分力計から測定した。横力がキャンバースラストである。
横力の測定は、タイヤが回転し始め、時速100km/hに到達して30秒が経過した時と、さらに続けて回転させて5分が経過した時の2回で行った。回転して30秒が経過した時は、まだトレッドゴムが十分に温まっていないが、5分間回し続けることによって、トレッドゴムは十分に温まる。横力は、従来例のタイヤの30秒経過時の横力を100として、指数で示した。なお、このときの実際の横力は1950Nであった。
5分回転させた後に、タイヤをドラムから離して急停止させ、タイヤが停止したらすぐに、針タイプの温度計で、トレッドの表面から深さ4mmの位置の温度を、領域A,領域B,領域Cの各領域について計測した。なお、各供試タイヤのCA50度の接地形状は、図3に示した楕円と半月との中間の形状をしていた。
また、本発明の二輪車用タイヤの性能改善効果を確認するために、実車を用いた操縦性能の比較試験を行った。
<操縦安定性能>
各供試タイヤはリア用のタイヤであったため、リアタイヤのみを交換して実車試験を行った。フロントタイヤは常に従来のもので固定した。評価方法を以下に示す。
各供試タイヤを、1000ccのスポーツタイプの二輪車に装着して、テストコースで実車走行させ、車両を大きく倒した旋回時操縦安定性能(コーナリング性能)を中心に評価し、テストライダーのフィーリングによる10点法で総合評価した。テストコースのレイアウトは、コーナーが多く、速度100km/h前後でCA50度まで倒すコーナーが6箇所存在した。1周のラップタイムは約80秒ほどであり、これを15周した。1周目はタイヤが冷めすぎていることもあり、2周目の操縦安定性能のフィーリングと、後半の10〜15周目の操縦安定性能のフィーリングとをライダーに評点で評価してもらった。後半の10〜15周目の評価は、2周目の評点から何点下がったかで示した。
<摩耗量測定>
最後に、各供試タイヤにつき、15周走った後の摩耗量を計測した。テストコースが殆どコーナーで形成されているため、摩耗はショルダー部で集中的に発生した。そこで、新品時のタイヤの重さと、走行後のタイヤの重さとを比較して、その差をショルダー部の摩耗量とした。結果は、従来例の摩耗量を100として、指数にて示した。指数が大きいほど、摩耗が大きいことを示す。
以上の結果を、下記の表1中にまとめて示す。
Figure 2009001080
上記表1より、30秒後の横力を見ると、従来例と実施例1とは同じであった。これは、接地している領域A,B,Cの表面のゴムが両者とも同じであったためと考えられる。また、従来例に比べて、実施例2、実施例3および比較例は横力が低いが、これは、領域Bの表面にtanδが低いゴムが配置され、路面に接触するゴムの摩擦係数が下がったからである。比較例については、領域A,B,Cの全領域にtanδの低いゴムが使われているので、横力が最も低かった。さらに、実施例4の横力は高くなっている。これは、表面のtanδが高いからである。
次に、5分後の横力を見ると、従来例では領域Bの温度が高く、領域Bでゴムが軟化した。そのため、5分後の横力が低くなっている。領域Bで発熱が大きいため、隣の領域AおよびCでも温度が高めとなっている。領域AおよびCでもゴムの軟化(弾性率が温度上昇に伴って低下する)は起こっており、これによっても横力は下がったと考えられる。これに比べ、実施例1〜4は発熱が抑制されていることがわかる。特に領域Bで温度が下がっており、これによって、軸力の低下度合いが少ない。中でも実施例4は、発熱を抑えながら、高い横力を維持している。比較例でも発熱は下がっており、そのため横力の低下割合は少ないが、tanδが小さいゴムを使用しているため、横力の絶対値は小さい。
次に、操縦安定性能については、上記表1のとおり、従来例では2周目の評点は8点と高いが、走行を重ねた時の評点の悪化度合いが大きい。これに対し、実施例1は、最初の評点は従来例と同じでありながら、走行を重ねても評点の悪化が少ないことがわかる。また、実施例2および実施例3は、tanδの低いゴムがトレッドの表面に一部露出しているため、最初の2周目の評点は低めだが、走行を重ねても熱が溜まりにくいため、評点の落ちが少なく、最終的には従来例よりも評点が高くなっており、利点がある。実施例4は最も評価が高く、トレッド表面にtanδの高いゴムを配置し、内部にtanδの低いゴムを配置したため、初期の操縦安定性能に優れ、かつ、走行を重ねても、評点の劣化が少なかった。比較例については、最初から評点が低かった。
最後に、摩耗量については、実施例1〜4はいずれも、摩耗量が減っていることがわかる。特に実施例4は摩耗量が少なく、これはタイヤの横力が十分に大きいため、タイヤがグリップして、路面から滑らなかったために、摩耗が減ったためである。これに対し、比較例は摩耗が非常に悪かった。これは、グリップが無かったために、タイヤが横滑りしやすく、摩耗を助長したからである。
以上の結果として、本発明に係る各実施例のタイヤは、いずれも従来例および比較例のタイヤと比較して、大幅な性能向上効果が得られていることが確認された。
本発明の一好適例に係る二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 本発明の他の好適例に係る二輪車用空気入りタイヤを示す幅方向断面図である。 CA50度で接地して回転しているときの二輪車用空気入りタイヤの幅方向断面および接地形状を示す説明図である。
符号の説明
1 ビードコア
2 カーカス
3 ベルト層
4 スパイラルベルト
5 交錯ベルト層
11 ビード部
12 トレッド部
13 サイドウォール部

Claims (7)

  1. 環状に形成されたトレッド部を備える二輪車用空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッド部のうち、タイヤ赤道面を中心とするトレッド展開幅の50%の領域をトレッドセンター部、該トレッドセンター部の両側の各トレッド展開幅の25%の領域をトレッド側部とし、さらに該トレッド側部を3分割して、トレッド端からそれぞれ領域A、領域B、領域Cとしたとき、
    領域Bのトレッドゴムの100℃における平均のtanδが、領域Cのトレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも小さいことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
  2. 領域Aのトレッドゴムの100℃における平均のtanδが、領域Cのトレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも小さい請求項1記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  3. 領域A、領域Bおよび領域Cのそれぞれのトレッドゴムの100℃における平均のtanδが、領域B<領域A<領域Cの関係を満足する請求項1または2記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  4. 領域Bのトレッドゴムが内側と外側との2層からなり、該内側トレッドゴムの100℃における平均のtanδが、該外側トレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも低い請求項1〜3のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  5. 領域A、領域Bおよび領域Cのうち1箇所以上のトレッドゴムが内側と外側との2層からなり、各領域においてそれぞれ、該内側トレッドゴムの100℃における平均のtanδが、該外側トレッドゴムの100℃における平均のtanδよりも低い請求項1〜3のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  6. 領域Bおよび領域Aのトレッド表面をなすゴムが、同種のゴムからなる請求項1〜5のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
  7. 領域Bが少なくとも、前記トレッド側部のタイヤ幅方向中央部を中心とするトレッド展開幅の5%の範囲を含む請求項1〜6のうちいずれか一項記載の二輪車用空気入りタイヤ。
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