JP2009091309A - バコパモニエラエキスを含有する組成物およびその製造方法ならびに飲食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バコパモニエラエキスとサイクロデキストリンを含有する組成物。サイクロデキストリンは、γ−サイクロデキストリン、またはγ−サイクロデキストリンとβ−デキストリンの混合物が好ましい。
【選択図】なし
Description
これまでに、バコパモニエラエキスの臭いおよび味質を良好に改善する方法は知られていない。またバコパモニエラエキスは液中で沈殿を生じ難く、摂取しやすい形態とするためには、この点の改善も望まれる。
また本発明は該組成物の製造方法、および該組成物を含有する飲食品を提供することを目的とする。
前記バコパモニエラエキスの含有量1質量部に対するサイクロデキストリンの含有量が2〜10質量部であることが好ましい。
または、前記サイクロデキストリンの95質量%以上が、γ−サイクロデキストリンとβ−デキストリンの混合物であることが好ましい。
前記γ−サイクロデキストリンとβ−サイクロデキストリンの混合物が、γ-サイクロデキストリンの1質量部と、β-サイクロデキストリンの0.05〜1.5質量部とからなる混合物であることが好ましい。
本発明は、本発明の組成物を製造する方法であって、バコパモニエラエキスと、サイクロデキストリンを水の存在下で混合する混合工程を有し、前記サイクロデキストリンの1質量部に対して、前記水が0.5〜25質量部であることを特徴とする組成物の製造方法を提供する。
前記水が0.5〜12質量部であることが好ましい。
好ましくは、バコパモニエラエキスを含み、バコパモニエラ原料由来の好ましくない臭いおよび味質、ならびに液中での分散性が良好に改善された組成物、および該組成物を含有する飲食品が得られる。
さらに包接したときに、水溶液、水中油滴型エマルション等の水性媒体中での、バコパモニエラエキスの分散性を充分に改善できる点で、γ−サイクロデキストリン、またはγ−サイクロデキストリンとβ−サイクロデキストリンの混合物が好ましい。
また分岐サイクロデキストリンは、包接したときに、油脂、油中水滴型エマルション等の油性媒体中での、バコパモニエラエキスの分散性を充分に改善できる点で好ましい。
また、臭い、味質および分散性の改善効果が良好であるとともに、バコパモニエラエキス特有の後引きの苦味を改善する効果が得られる点で、組成物に含まれるサイクロデキストリンの95質量%以上がγ−サイクロデキストリンとβ−デキストリンの混合物であることが好ましく、98質量%以上がγ−サイクロデキストリンとβ−デキストリンの混合物であることが好ましい。
γ−サイクロデキストリンとβ−サイクロデキストリンの混合物において、β−サイクロデキストリンの含有量が少なすぎると混合したことによる効果が充分に得られず、多すぎると分散性が低下するおそれがある。したがって、該混合物は、γ-サイクロデキストリンの1質量部に対して、β-サイクロデキストリンを0.05〜1.5質量部含むことが好ましく、0.05〜0.6がより好ましく、0.25〜0.6質量部がさらに好ましい。
β−サイクロデキストリンを98質量%以上含むサイクロデキストリンとして、例えば塩水港精糖社製、製品名:デキシーパール β−100を用いることができる。
水の量の上限は特に限定されないが、水の量が多すぎると形成された包接体を固形分として得るための操作が煩雑になる。したがって、サイクロデキストリンの飽和水溶液が得られる量が好ましい。
バコパモニエラエキスの臭い、味質、および分散性の改善効果がより高い点では、バコパモニエラエキスとサイクロデキストリンと水の混合物がスラリー状またはペースト状であることが好ましい。具体的には、サイクロデキストリンの1質量部に対して水が25質量部以下であることが好ましく、12質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。
なおサイクロデキストリンとして2種以上の混合物を用いる場合、それらを予め混合したものを添加してもよく、2種以上のサイクロデキストリンをそれぞれ添加するとともにバコパモニエラエキスを添加し、これらを水の存在下で混合してもよい。
こうして形成された包接体と水を含む混合物を、そのまま本発明の組成物として各種用途に供することができる。また本発明の組成物は、該混合物を濃縮したものでもよく、乾燥して粉体化したものでもよい。粉体は安定性に優れる点で好ましい。乾燥方法は特に限定されない。例えば凍結乾燥法、加熱乾燥法、減圧乾燥法、スプレードライ法等を用いることができる。
本発明の組成物は、バコパモニエラエキスの臭いおよび味質が良好に改善されているため、広範な形態の食品に含有させることができる。また好ましくは液中での良好な分散性も得られるため水分を多く含む食品や、飲料にも含有させることができる。これにより、バコパモニエラエキスを日常的に摂取し易い飲食品の形態で提供することができる。
本発明の飲食品は経口摂取できるものであれば特に限定されない。例えば、カプセル、錠剤などの味を感じ難いサプリメントの他、各種加工食品、菓子類、ゼリーなどの水系食品、果汁入り飲料や乳飲料等の各種飲料が挙げられる。
<評価方法>
以下の試験例において、評価は次の方法で行った。
(1)臭いおよび味の改善効果
バコパモニエラエキスのみを水に分散させた対照試料、および試験液を、5人のパネラー(パネラー1〜5)がそれぞれ試飲し、バコパモニエラエキスの臭いおよび味のマスキング効果について、下記の基準により5段階の評価点をつけた。
0点:効果なし。
1点:わずかに効果あり。
2点:少し効果あり。
3点:効果あり。
4点:非常に効果あり。
試験液の一部(10g)、およびバコパモニエラエキスのみを分散させた対照試料(同量)を、それぞれ3000rpmで5分間遠心分離し、沈殿の状態を観察した。
バコパモニエラエキスの粉体は黒茶色であり水中で沈殿を生じやすい。サイクロデキストリンによる包接が良好に行われていると、沈殿が生じない、または沈殿が生じてもその色調は薄茶色になる。この場合は分散性の改善について「効果あり:○」と判定する。
遠心分離後に沈殿が生じ、その色調が対照試料の黒茶色よりもやや薄い場合は、包接体が形成されているものの不充分であり、分散性の改善については「少し効果あり:△」と判定する。
遠心分離後に黒茶色の沈殿が生じた場合はサイクロデキストリンによる包接が良好に行われておらず、分散性の改善について「効果なし:×」と判定する。
バコパモニエラの全草を乾燥した後に粉砕した粉体に、該粉体の体積の3倍量のエタノールを加え、65℃で15分間抽出を行った後、濾過して固形分を除去し抽出液を得た。濾過後の固形分にエタノールを加え同様にして抽出を行う操作を2回繰り返し、合計3回の抽出を行った。各回で得られた抽出液を合わせてロータリーエバポレータで濃縮した後、65℃のオーブンで乾燥してバコパモニエラエキス粉体を得た。
以下の試験例におけるバコパモニエラエキスとしては、このバコパモニエラエキス粉体を使用した。
以下の試験例で用いたサイクロデキストリンは次の通りである。
・α−サイクロデキストリン:塩水港精糖社製、製品名:デキシーパール α−100、α−サイクロデキストリンの含有量98%以上。
・β−サイクロデキストリン:塩水港精糖社製、製品名:デキシーパール β−100、β−サイクロデキストリンの含有量98%以上。
・γ−サイクロデキストリン:塩水港精糖社製、製品名:デキシーパール γ−100、γ−サイクロデキストリンの含有量98%以上。
・分岐サイクロデキストリン:塩水港精糖社製、製品名:イソエリートP、全サイクロデキストリン(α−、β−、γ−、マルトシル−α−、マルトシル−β−、マルトシル−γ−の混合物)の含有量80%以上、そのうちマルトシル−サイクロデキストリンの含有量50%以上。
サイクロデキストリン、および比較物質として苦味やえぐみのマスキング材として知られているソーマチン、イヌリン、酵素分解レシチンを用い、バコパモニエラエキスの臭いおよび味の改善効果を調べた。
すなわち、表1に示す配合(単位;質量部)で、各比較物質(いずれも粉体状)および各種サイクロデキストリン(いずれも粉体状)を混合し、得られた混合粉体を水に分散させたものを試験液とした。撹拌はマグネチックスターラーにより行った。対照試料は、バコパモニエラエキス0.3質量部を水99.7質量部に、同様にして分散させて調製した。臭いおよび味の改善効果の結果を表2に示す。
例1ではソーマチン(ソーマチン濃度が0.15%の市販品)を0.1質量部添加した。したがってソーマチンの実質的な添加量は0.00015質量部である。このように少量の添加でソーマチン特有の甘味が感じられたにもかからわず、バコパモニエラエキスの苦味は残っていた。
例2はイヌリン(イヌリン濃度が90%以上の市販品)を3質量部まで添加したところ、臭いおよび味の改善効果が少し得られたが、これ以上添加しても効果は変わらなかった。
酵素分解レシチンは、マスキング効果が認められる添加量範囲では酵素分解レシチン由来の脂質臭が感じられ、飲食品に含有させる場合には好ましくない。
包接体を形成した場合の効果を調べた。
すなわち表3に示す配合(単位;質量部)でバコパモニエラエキスと各サイクロデキストリンを水の存在下で混合して包接体を形成した。試験例11〜14は下記の混合法(A)を用い、試験例15〜18は下記の混合法(B)を用いた。
混合法(A):バコパモニエラエキス1質量部および各サイクロデキストリン5質量部を水5質量部に分散し、乳鉢で10分間混合した後、凍結乾燥して粉体を得た。
混合法(B):バコパモニエラエキス1質量部および各サイクロデキストリン5質量部を水45質量部に分散し、ホモジナイザーにて5000rpmで15分間高速撹拌した後、凍結乾燥して粉体を得た。
各混合法により得られた粉体1.8gを水に加えて全量を100gとし、マグネチックスターラーで撹拌して試験液を調製とした。対照試料は、バコパモニエラエキス0.3質量部を水99.7質量部に加え、同様に撹拌して調製した。臭いおよび味の改善効果の結果を表4に示す。分散性の改善効果の結果を表5に示す。
また混合法(B)よりも水の量が少ない混合法(A)の方が効果が高かった。
試験例6と試験例13,17とを比べると、水の存在下でバコパモニエラエキスとγ−サイクロデキストリンを混合することにより、素材(γ−サイクロデキストリン)由来の甘味も低減されることがわかる。
表5の結果より、分散性の改善に関しては、γ−サイクロデキストリンの効果が顕著であり、特に混合法(A)の効果が高かった。
サイクロデキストリンとしての適切な配合量の検討を行った。
表6に示す配合(単位;質量部)でバコパモニエラエキスとγ−サイクロデキストリンを水の存在下で混合して包接体を形成した。混合法は上記(A)を用いた。試験液および対照試料の調製は、上記試験例11と同様に行った。臭いおよび味の改善効果の結果を表7に示す。分散性の改善効果の結果を表8に示す。
サイクロデキストリンとしてγ−サイクロデキストリンとβ−サイクロデキストリンの混合物を用いた。
表9に示す配合(単位;質量部)でバコパモニエラエキスとγ−サイクロデキストリンとβ−サイクロデキストリンを水の存在下で混合して包接体を形成した。混合法は上記(A)を用いた。試験液および対照試料の調製は、上記試験例11と同様に行った。臭いおよび味の改善効果の結果を表10に示す。分散性の改善効果の結果を表11に示す。
表12に示す配合で、試験例24で得た包接体をグレープフルーツジュースに添加して均一に撹拌した。
対照試料aとして、表12に示す配合で、調製例1で得たバコパモニエラエキス粉体をグレープフルーツジュースに添加して均一に撹拌した。
分散性の改善効果の結果を表13に示す。
表14に示す配合で、試験例24で得た包接体を牛乳に添加して均一に撹拌した。
対照試料bとして、表14に示す配合で、調製例1で得たバコパモニエラエキス粉体を牛乳に添加して均一に撹拌した。
分散性の改善効果の結果を表15に示す。
Claims (8)
- バコパモニエラエキスとサイクロデキストリンを含有してなることを特徴とする組成物。
- 前記バコパモニエラエキスの含有量1質量部に対するサイクロデキストリンの含有量が2〜10質量部である、請求項1記載の組成物。
- 前記サイクロデキストリンの95質量%以上がγ−サイクロデキストリンである、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記サイクロデキストリンの95質量%以上が、γ−サイクロデキストリンとβ−デキストリンの混合物である、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記γ−サイクロデキストリンとβ−サイクロデキストリンの混合物が、γ-サイクロデキストリンの1質量部と、β-サイクロデキストリンの0.05〜1.5質量部とからなる、請求項4記載の組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物を含有する飲食品。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、バコパモニエラエキスと、サイクロデキストリンを水の存在下で混合する混合工程を有し、前記サイクロデキストリンの1質量部に対して、前記水が0.5〜25質量部であることを特徴とする組成物の製造方法。
- 前記水が0.5〜12質量部である請求項7記載の組成物の製造方法。
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