JPWO2018066613A1 - 飲料用粉末植物エキスとその製造方法 - Google Patents

飲料用粉末植物エキスとその製造方法 Download PDF

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Abstract

風味保持効果及び溶解性に優れた飲料用粉末植物エキスを提供することを課題とし、飲用植物エキスと下記(A)乃至(C)の特性を有する分岐α−グルカン混合物とを固形物換算での質量比が1:0.1〜1:20の割合で含む飲料用粉末植物エキスを提供することによって上記課題を解決する;(A)グルコースを構成糖とし、(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上生成する。

Description

本発明は、飲料用粉末植物エキスに関し、より詳細には、溶解性に優れ、溶解すると通常の植物エキス飲料(緑茶、紅茶、コーヒー等)と同等の香気、風味を与える飲料用粉末植物エキスとその製造方法に関する。
粉末緑茶などに代表される、植物から抽出したエキス(飲用植物エキス)を粉末化した飲料用粉末植物エキスは、粉末形態であることから保存が比較的容易であり、さらに湯呑などの容器に入れて、お湯等を注ぐだけで、簡便に植物エキス飲料を調製することができるため有用である。
しかしながら、このような飲料用粉末植物エキスは、その製造時及び保存時において、飲用植物エキスに由来する風味が変質したり、揮散したりして失われるという問題があった。植物エキス由来の風味を保持するために、各種の粉末化基材を用いる種々の方法が提案されているが、風味保持の点で十分に満足できるものは未だ提案されていない。加えて、粉末化基材を用いることにより、水や湯に対する溶解性が低下する事態が生じていた。
例えば、特許文献1には、茶類エキスとDE10〜25のデキストリンを溶解、含有してなる水溶液を炭酸ガス溶存下で噴霧乾燥することにより、優れた風味と溶解性を有するインスタント茶類を製造する方法が開示されている。しかしながら、デキストリンを添加しているため、デキストリン由来の糊臭や粘性のため、茶本来の風味が損なわれるという課題があった。
特許文献2には、特定の重合度を持つマルトオリゴ糖を配合することにより得られる、茶葉の持つ風味を保持し、保存安定性に優れた即席茶が開示されている。しかしながら、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオースなどのマルトオリゴ糖を多く用いることから、これらのマルトオリゴ糖に由来する甘味のために、茶本来の風味が損なわれる場合があった。
特許文献3には、サイクロデキストリンを用いることにより、長期保存しても香気成分などの変質がなく、通常の喫茶法で得られる茶湯と殆ど同様の風味を有する保存安定性に優れたインスタント茶を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、サイクロデキストリンを含有させるため、茶エキス独特の苦みがマスキングされ、結果として、茶本来の風味が損なわれるという危惧があった。
特許文献4には、難消化性デキストリンを粉末化基材として用い、茶エキスと難消化性デキストリンを含有する溶液に炭酸ガスを溶解させて噴霧乾燥することにより、溶解した時の香気が良好で嗜好性に優れたインスタント茶を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法は、単に難消化性デキストリンを茶エキスに混合しインスタント茶としただけでは、水や湯に対する溶解性が悪く、難消化性デキストリンを添加、溶解した茶エキスに炭酸ガスをさらに溶解させ噴霧乾燥する工程が必須である点で、手間が掛かるという不都合を有している。
出願人が知る限り、調整工程が簡単で十分に満足できる溶解性を有し、かつ、飲用植物エキス本来の風味を保持する飲料用粉末植物エキスは未だ提供されていない。斯かる状況下、斯界においては、飲用植物エキス本来の風味、香気などを損なうことなく、溶解性に優れた飲料用粉末植物エキスとその製造方法が鶴首されていた。
特開昭60−210949号公報 特開2001−000108号公報 特開2000−253820号公報 特開2009−017867号公報
本発明は、上記従来技術の現状を鑑みて為されたもので、飲用植物エキス本来の風味及び香気を保持し、しかも溶解性に優れた飲料用粉末植物エキス及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行う過程において、本出願人が国際公開第WO2008/136331号パンフレットに開示した分岐α−グルカン混合物を、飲用植物エキスに対して一定の質量比になるよう配合し粉末化した飲料用粉末植物エキスが、意外にも、従来の飲料用粉末植物エキスと比べて、飲用植物エキス本来の風味、香気に優れるだけでなく、水に対して高い溶解性を有することを見出すとともに、その製造方法をも確立して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、飲用植物エキスと下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物とを含む飲料用粉末植物エキスであって、当該飲料用粉末植物エキスに含まれる飲用植物エキスと分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比が1:0.1〜1:20である飲料用粉末植物エキスを提供することによって上記課題を解決するものである。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上生成する。
さらに、本発明は、水性溶媒の共存下で、飲用植物エキスに対して、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物を、飲用植物エキスと分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比が1:0.1〜1:20となるように混合して、混合溶液を得る工程、得られた混合溶液を粉末化する工程を含む飲料用粉末植物エキスの製造方法を提供することによって上記課題を解決するものである。
本発明の飲料用粉末植物エキスは、飲用植物エキス本来の風味、香気を損なうことなく、水等の液体に溶解させたときに、従来の飲料用粉末植物エキスと比べ優れた溶解性を示す。また、本発明の製造方法によれば、混ぜて粉末化するだけの簡単な工程で前記飲料用粉末植物エキスを調製できるので、前記飲料用粉末植物エキスを工業的に容易かつ大量、安価に安定して製造することができる。
本発明は、飲用植物エキスと下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物とを含む飲料用粉末植物エキスであって、当該飲料用粉末植物エキスに含まれる飲用植物エキスと分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比が1:0.1〜1:20である、前記飲料用粉末植物エキスとその製造方法に係る発明である。
(A)グルコースを構成糖とし、
(B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
(C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上生成する。
本明細書でいう飲料用粉末植物エキスとは、植物から水性溶媒によって抽出した飲用植物エキスを乾燥し、粉末化したものを意味する。ここで植物としては、具体的にはチャノキ(カメリア・シネンシス)、アッサムなどのチャノキ類;カモミール、ハイビスカス、ラベンダー、ミント、ローズヒップ、ペパーミント、レモングラス、どくだみ、ギムネマ、バナバ、イチョウ、モロヘイヤ、アルファルファ、よもぎ、マテ、ギャバロン、杜仲、ルイボス、アロエ、桜葉、シソなどの薬草(ハーブ)類;麦、はと麦、稲、大豆、そばなどの穀物類;朝鮮人参、ごぼうなどの根菜類;コーヒーノキなどが挙げられる。
本明細書でいう飲用植物エキスは、上記植物の葉、茎、花、ガク、根、種子などから選択される一種以上の部位を、必要に応じて乾燥、焙煎、発酵などの加工を行い、抽出して作られるものを意味する。そのような飲用植物エキスの具体例としては、緑茶、ウーロン茶、紅茶、ほうじ茶、番茶、ハーブティー、杜仲茶、ルイボス茶、どくだみ茶、麦茶、はと麦、玄米茶、そば茶、ごぼう茶、コーヒー生豆茶などが挙げられる。
本明細書でいう分岐α−グルカン混合物とは、例えば、本願と同じ出願人が、国際公開第WO2008/136331号パンフレットなどにおいて開示した分岐α−グルカン混合物(以下、単に「分岐α−グルカン混合物」と言う。)を意味する。当該分岐α−グルカン混合物は、澱粉を原料とし、これに種々の酵素を作用させて得られ、通常、様々な分岐構造とグルコース重合度を有する複数種の分岐α−グルカンを主体とする混合物の形態にある。当該分岐α−グルカン混合物の製造方法としては、前記国際公開第WO2008/136331号パンフレットに開示されているα−グルコシル転移酵素を澱粉質に作用させるか、前記α−グルコシル転移酵素に加え、マルトテトラオース生成アミラーゼ(EC 3.2.1.60)などのアミラーゼ、プルラナーゼ(EC 3.2.1.41)、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)などの澱粉枝切り酵素、更には、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)、澱粉枝作り酵素(EC 2.4.1.18)、或いは特開2014−54221号公報などに開示されている重合度2以上のα−1,4グルカンを澱粉質内部のグルコース残基にα−1,6転移する活性を有する酵素などの1又は複数を併用して澱粉質に作用させる方法を例示できる。現行の技術では、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物を構成する個々の分岐α−グルカン分子にまで単離して、定量したり、その構造、すなわち、その構成単位であるグルコース残基の結合様式及び結合順序を決定したりすることは不可能乃至は極めて困難であるが、当該分岐α−グルカン混合物は、斯界で一般に用いられている種々の物理的手法、化学的手法、又は酵素的手法により、混合物全体として特徴付けることができる。
すなわち、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物の構造は、混合物全体として、上記(A)乃至(C)の特徴によって特徴付けられる。本分岐α−グルカン混合物は、グルコースを構成糖とするグルカン(特徴(A))であり、α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有している(特徴(B))。なお、特徴(B)でいう「非還元末端グルコース残基」とは、α−1,4結合を介して連結したグルカン鎖のうち、還元性を示さない末端に位置するグルコース残基を意味し、「α−1,4結合以外の結合」とは、文字通り「α−1,4結合以外の結合」であり、α−1,2結合、α−1,3結合、α−1,6結合等のα−1,4結合以外の結合を意味する。
さらに、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり、5質量%以上生成することを特徴(特徴(C))を備えている。
このように、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、前記特徴(A)乃至(C)により特徴付けられるグルカン混合物である。それら特徴の内、特徴(C)について補足すれば以下に述べるとおりである。
本発明で用いる分岐α−グルカン混合物を特徴づける前記特徴(C)に関し、イソマルトデキストラナーゼ消化とは、当該分岐α−グルカン混合物にイソマルトデキストラナーゼを作用させ、加水分解することを意味する。イソマルトデキストラナーゼは、酵素番号(EC)3.2.1.94が付与される酵素であり、α−グルカンにおけるイソマルトース構造の還元末端側に隣接するα−1,2、α−1,3、α−1,4、及びα−1,6結合のいずれの結合様式であっても加水分解する特徴を有する酵素である。イソマルトデキストラナーゼ消化には、好適には、アルスロバクター・グロビホルミス由来のイソマルトデキストラナーゼ(例えば、サワイ(Sawai)ら、アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural and Biological Chemistry)、第52巻、第2号、第495頁−501頁(1988)参照)が用いられる。
前記イソマルトデキストラナーゼ消化により生成する消化物の固形物当たりのイソマルトースの割合は、分岐α−グルカン混合物を構成する分岐α−グルカンの構造におけるイソマルトデキストラナーゼで加水分解され得るイソマルトース構造の割合を示すものであり、特徴(C)によって、本分岐α−グルカン混合物の構造を、混合物全体として、酵素的手法によって特徴付けることができる。
本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり、通常、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上70質量%以下、より更に好ましくは、20質量%以上60質量%以下生成するものが、これを用いて飲用植物エキスを粉末化したときの植物エキス本来の風味の保持効果が強く、本発明を実施する上でより好適に用いられる。
すなわち、後述するとおり、本発明の飲料用粉末植物エキスの溶解時の風味保持には、分岐α−グルカン混合物を構成する個々のα−グルカン分子中のイソマルトース構造が深く関与していると考えられる。イソマルトデキストラナーゼ消化におけるイソマルトース生成量が5質量%未満の分岐α−グルカン混合物は、分岐構造の少ないマルトデキストリンに近い構造を有するものとなり、飲料用粉末植物エキスの溶解時の風味保持に関与すると考えられる構造的特徴が薄れるので好ましくなく、イソマルトデキストラナーゼ消化によるイソマルトースの量には好適範囲が存在する。
また、本発明で用いる分岐α−グルカン混合物のより好適な一態様としては、高速液体クロマトグラフ(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上であるという特徴(D)を有しているものが挙げられる。
本発明で用いる分岐α−グルカン混合物を特徴づける前記特徴(D)に関し、水溶性食物繊維含量を求める「高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)」(以下、単に「酵素−HPLC法」という。)とは、平成8年5月厚生省告示第146号の栄養表示基準、「栄養成分等の分析方法等(栄養表示基準別表第1の第3欄に掲げる方法)」における第8項、「食物繊維」に記載されている方法であり、その概略を説明すると以下のとおりである。すなわち、試料を熱安定α−アミラーゼ、プロテアーゼ及びグルコアミラーゼによる一連の酵素処理により分解処理し、イオン交換樹脂により処理液から蛋白質、有機酸、無機塩類を除去することによりゲル濾過クロマトグラフィー用の試料溶液を調製する。次いで、ゲル濾過クロマトグラフィーに供し、クロマトグラムにおける、未消化グルカンとグルコースのピーク面積を求め、それぞれのピーク面積と、別途、常法により、グルコース・オキシダーゼ法により求めておいた試料溶液中のグルコース量を用いて、試料の水溶性食物繊維含量を算出する。なお、本明細書を通じて「水溶性食物繊維含量」とは、特に説明がない限り、前記「酵素−HPLC法」で求めた水溶性食物繊維含量を意味する。
水溶性食物繊維含量は、α−アミラーゼ及びグルコアミラーゼによって分解されないα−グルカンの含量を示すものであり、特徴(D)は、本分岐α−グルカン混合物の構造を、混合物全体として、酵素的手法により特徴付ける指標の一つである。
上記特徴(A)〜(C)を有するとともに、水溶性食物繊維含量が40質量%以上100質量%未満、好ましくは50質量%以上95質量%未満、より好ましくは60質量%以上90質量%未満、さらに好ましくは70質量%以上85質量%未満である分岐α−グルカン混合物は、飲料用粉末植物エキスを水等に溶解したときの風味保持効果が強く、本発明を実施する上でより好適に用いられる。
さらに、本分岐α−グルカン混合物のより好適な一態様としては、下記特徴(E)及び(F)を有するものが挙げられ、当該特徴はメチル化分析によって求めることができる。
(E)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、
(F)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める。
メチル化分析とは、周知のとおり、多糖又はオリゴ糖において、これを構成する単糖の結合様式を決定する方法として一般的に汎用されている方法である(シューカヌ(Ciucanu)ら、カーボハイドレート・リサーチ(Carbohydrate Research)、第131巻、第2号、第209−217頁(1984))。メチル化分析をグルカンにおけるグルコースの結合様式の分析に適用する場合、まず、グルカンを構成するグルコース残基における全ての遊離の水酸基をメチル化し、次いで、完全メチル化したグルカンを加水分解する。次いで、加水分解により得られたメチル化グルコースを還元してアノマー型を消去したメチル化グルシトールとし、更に、このメチル化グルシトールにおける遊離の水酸基をアセチル化することにより部分メチル化グルシトールアセテート(なお、「部分メチル化グルシトールアセテート」を単に「部分メチル化物」と総称する場合がある。)を得る。得られる部分メチル化物を、ガスクロマトグラフィーで分析することにより、グルカンにおいて結合様式がそれぞれ異なるグルコース残基に由来する各種部分メチル化物は、ガスクロマトグラムにおける全ての部分メチル化物のピーク面積に占めるピーク面積の百分率(%)で表すことができる。そして、このピーク面積%から当該グルカンにおける結合様式の異なるグルコース残基の存在比、すなわち、各グルコシド結合の存在比率を決定することができる。部分メチル化物についての「比」は、メチル化分析のガスクロマトグラムにおけるピーク面積の「比」を意味し、部分メチル化物についての「%」はメチル化分析のガスクロマトグラムにおける「面積%」を意味するものとする。
上記(E)及び(F)における「α−1,4結合したグルコース残基」とは、1位及び4位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールとして検出される。また、上記(E)及び(F)における「α−1,6結合したグルコース残基」とは、1位及び6位の炭素原子に結合した水酸基のみを介して他のグルコース残基に結合したグルコース残基であり、メチル化分析において、2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとして検出される。
メチル化分析により得られる、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比率、及び、α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の全グルコース残基に対する割合は、本分岐α−グルカン混合物の構造を、混合物全体として、化学的手法によって特徴付ける指標の一つとして用いることができる。
上記(E)の「α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にある」との特徴は、本分岐α−グルカン混合物をメチル化分析に供したとき、検出される2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にあることを意味する。また、上記(F)の「α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める」との特徴は、本分岐α−グルカン混合物が、メチル化分析において、2,3,6−トリメチル−1,4,5−トリアセチルグルシトールと2,3,4−トリメチル−1,5,6−トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの55%以上を占めることを意味する。通常、澱粉は1位と6位でのみ結合したグルコース残基を有しておらず、かつα−1,4結合したグルコース残基が全グルコース残基中の大半を占めていることから、上記(E)及び(F)の要件は本分岐α−グルカン混合物が澱粉とは全く異なる構造を有することを意味するものである。
上記(E)及び(F)の特徴で規定されるとおり、本分岐α−グルカン混合物は、好ましい一態様において、通常、澱粉には存在しない「α−1,6結合したグルコース残基」を相当程度有するものであるが、高い風味保持効果を必要とする場合には、より複雑な分岐構造を有するものの方がより高い効果を期待できるため、α−1,4結合及びα−1,6結合に加えてα−1,3結合及びα−1,3,6結合を有するのが好ましい。具体的には、例えば、α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満であることが好ましく、α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上であることが好ましい。ここで、「α−1,3,6結合」とは、「1位、3位及び6位の水酸基の3箇所で他のグルコースと結合した(α−1,3,6結合した)グルコース残基」を意味する。
上記「α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上10%未満である」ことは、本分岐α−グルカン混合物をメチル化分析に供したとき、2,4,6−トリメチル−1,3,5−トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満存在することによって確認することができる。また、上記「α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の0.5%以上である」ことは、本分岐α−グルカン混合物が、メチル化分析において、2,4−ジメチル−1,3,5,6−テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満存在することによって確認することができる。
本分岐α−グルカン混合物は、重量平均分子量(Mw)、及び、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値(Mw/Mn)によっても特徴づけることができる。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー等を用いて求めることができる。また、重量平均分子量(Mw)に基づいて本分岐α−グルカン混合物を構成する分岐α−グルカンの平均グルコース重合度を算出することができるため、本分岐α−グルカン混合物は平均グルコース重合度で特徴づけることもできる。平均グルコース重合度は、重量平均分子量(Mw)から18を減じ、その分子量をグルコース残基量である162で除して求めることができる。飲料用粉末植物エキスに用いられる本分岐α−グルカン混合物は、その平均グルコース重合度が、通常、8乃至500、好ましくは15乃至400、より好ましくは20乃至300のものが好適である。なお、分岐α−グルカン混合物は、平均グルコース重合度が大きいほど粘度が増し、平均グルコース重合度が小さいほど粘度が小さくなる点で、通常のグルカンと同様の性質を示す。そのため、本発明の飲料用粉末植物エキスの実施態様に応じ、飲料として要求される粘度に適合する平均グルコース重合度を有する本分岐α−グルカン混合物を適宜選択して用いることができる。
重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除した値であるMw/Mnは、1に近いものほど構成する分岐α−グルカン混合物を構成する分岐α−グルカン分子のグルコース重合度のばらつきが小さいことを意味する。飲用植物エキスに用いられる本分岐α−グルカン混合物は、Mw/Mnが、通常、20以下のものであれば問題なく使用できるものの、好ましくは10以下、より好ましくは5以下のものが好適である。
本発明で用いる分岐α−グルカン混合物は、以上に述べたとおりのものであるが、本発明の実施においては、前述の国際公開第WO2008/136331号パンフレットに開示された種々の分岐α−グルカン混合物を用いることができる。その中でも、バチルス・サーキュランス PP710(FERM BP−10771)由来及び/又はアルスロバクター・グロビホルミス PP349(FERM BP−10770)由来のα−グルコシル転移酵素単独、又は、当該α−グルコシル転移酵素とプルラナーゼ(EC 3.2.1.41)、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)などの澱粉枝切酵素及び/又はシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19(CGTase)とを組み合わせて、澱粉原料に作用させて得られる分岐α−グルカン混合物が、より好適に用いることができる。さらに、本出願人である株式会社林原からイソマルトデキストリン(登録商標『ファイバリクサ』)として販売されている分岐α−グルカン混合物が、とりわけ好適に用いることができる。
本発明の飲料用粉末植物エキスに含有される分岐α−グルカン混合物の量は、飲用植物エキスに対し固形物換算での質量比が1:0.1乃至1:20であり、好適には、1:0.33乃至1:5の割合で含有される。分岐α−グルカン混合物を前記数値範囲で含む飲料用粉末植物エキスは、溶解性に優れ、溶解時に植物エキス飲料(緑茶、紅茶、コーヒー等)と同等の風味、香気を保持した飲料用粉末植物エキスである。なお、当該質量比が0.1未満の場合では、分岐α−グルカン混合物による上述の効果が十分発揮できなくなるので好ましくない。また、逆に、当該質量比が20を超えた場合に、多量の分岐α−グルカン混合物により風味、溶解性などの特性が悪化する傾向にある。なお、本発明飲料用粉末植物エキスに含有されるα−グルカン混合物は、通常、粉末形態で植物エキスに対して添加されるが、必要に応じて適宜、水等に溶解させた溶液形態でも添加することができ、シラップ形態にあるものでも添加することができる。
本発明が対象とする飲料用粉末植物エキスは、分岐α−グルカン混合物を含有することにより、飲料用粉末植物エキスを水等の液体に溶解させたときに、植物エキス飲料本来の風味、香気がよく保持されていることを特徴としている。分岐α−グルカン混合物を含有することにより、飲料用粉末植物エキスの風味及び香気が効果的に維持されるメカニズムは、明らかではないが、上記(A)乃至(C)の特徴を有する本分岐α−グルカン混合物が、植物エキス飲料(特にお茶類)の主な風味及び香気成分であるテルペン類、アルデヒド類、ピラジン類、ピロール類、フラン類と何らかの相互作用をして風味を保持しているのではないかと推定される。
このように、本発明の飲料用粉末植物エキスは、所定量の分岐α−グルカン混合物を含有することにより、風味が効果的に保持され、加えて溶解性に優れたものとなる。なお、本発明の飲料用粉末植物エキスには、分岐α−グルカン混合物以外の他の成分を必要に応じて、適量配合することも随意である。他の成分としては、例えば、保存剤、着色剤、賦形剤、結合剤、矯味剤、酸化防止剤、pH調整剤、甘味料、香料、酸味料、調味料などが例示でき、それらの1種又は2種以上の適量を適宜組み合わせて用いることができる。前記他の成分の配合量は、その種類及びそれを配合する飲料用粉末植物エキスの種類によって適宜設定すればよいが、通常、各成分につき、固形物換算で、飲料用粉末植物エキスに対し、0.0001質量%以上、好適には0.001乃至30質量%、より好適には0.01乃至20質量%、更に好適には0.01乃至10質量%の範囲から選ばれる量を例示できる。また、前記他の成分は、本発明の飲料用粉末植物エキスが完成するまでの1又は複数の工程でその必要量を適宜配合すればよい。
前記保存剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸などの可食性有機酸類;エチルアルコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;グリシン、アラニンなどのアミノ酸類、食塩、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三カリウムなどの塩類などを例示できる。
前記着色剤としては、例えば、赤麹、カニ殻粉末、アスタキサンチン、野菜色素、紅麹色素、濃縮ファフィア色素油、クチナシイエロー、抹茶色素、コチニール色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、フラボノイド色素、カラメル色素、β−カロテン、カロテノイド系色素、木炭などの天然色素;及び赤色2号、赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、二酸化チタンなどの合成着色料を例示できる。
前記甘味料としては、例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパルテーム、フラクトオリゴ糖などが例示できる。
本発明の飲料用粉末植物エキスは、水、温水、牛乳などに溶かして飲む他、クッキー、クラッカー、ビスケット等のビスケット類や、ゼリー、ムース、ババロア、プリン、アイス、わらび餅、団子、蒸しパン、パウンドケーキ、シフォンケーキ、スフレ等に配合できる。また、錠剤、顆粒等のサプリメントにも配合することができる。本発明の飲料用粉末植物エキスを配合することにより、植物エキス本来の風味を各種の飲食品、状剤、顆粒等に付与することができる。これらの食品中の飲料用粉末植物エキスの含有量は、食品の種類によっても異なるが、一般に1〜100質量%、特に5〜80質量%が好適である。
<本発明に係る飲料用粉末植物エキスの製造方法>
本発明は、水性溶媒の共存下で、飲用植物エキスに対して、上述した(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物を、飲用植物エキスと分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比が1:0.1〜1:20となるように混合して、混合溶液を得る工程及び、得られた混合溶液を粉末化する工程を含む飲料用粉末植物エキスの製造方法に係る発明である。
当該飲料用粉末植物エキスの製造方法について、その概要を具体的に述べるならば、植物原料に水性溶媒を加え、抽出し、粗分離し抽出液を得て(抽出工程)、当該抽出液(植物エキス)に分岐α−グルカン混合物を添加混合し溶解させ、さらに抽出液を濃縮し(濃縮工程)、その後、濃縮液を乾燥させる(乾燥工程)ことにより、水性溶媒を除去し、得られた粉末組成物を必要に応じて粉砕、分級して飲料用粉末植物エキスを製造する方法である。抽出液(植物エキス)に分岐α−グルカン混合物を配合する方法は、予め水性溶媒中に添加する方法、抽出液に添加する方法、及び、抽出液の濃縮液に添加する方法、のいずれの方法であっても有利に実施できる。また、これらの複数の方法により添加することもできる。
抽出工程とは、植物原料に水性溶媒を加え、浸漬、撹拌あるいは加熱して抽出を行い、抽出液を得る工程である。水性溶媒としては、水道水、脱イオン水、蒸留水、脱酸素水などの水やエタノール及びそれらの混合溶媒を使用することができる。水性溶媒には、酸化防止剤、乳化剤、pH調整剤等の添加剤を単独、あるいは併用して配合しても良い。また水性溶媒を使用せず、植物原料を圧搾して得られる搾汁液を、抽出液の代わりに使用しても構わない。抽出温度は、特に限定するものではないが、15℃以上100℃以下が好ましい。抽出温度が15℃未満では抽出効率が著しく低下し、また、100℃を越えた温度では、不要な成分が過剰に抽出され、かつ、香気成分の変性が起こりやすくなる。
濃縮工程とは、植物抽出液から選択的に水性溶媒を除き、抽出液の濃度を高める工程である。濃縮工程自体は、必須の工程ではないが、抽出液を予め濃縮することで、乾燥工程において効率よく乾燥することができる。濃縮は、減圧濃縮、凍結濃縮、逆浸透膜濃縮などの公知の方法により行うことができる。その中でも植物抽出液由来の香気成分の揮散、変性が少ない逆浸透膜濃縮、凍結濃縮が好ましい。
乾燥工程とは、分岐α−グルカン混合物を配合した抽出液(或いは濃縮液)の液中の水性溶媒を蒸発させて乾燥粉末化を行う工程である。乾燥粉末化は、熱風乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、凍結真空乾燥、ドラム乾燥、押出造粒、流動造粒などの適宜の方法により行うことができる。その中でも、乾燥中の植物抽出液由来の風味成分のロスが少ない凍結真空乾燥や噴霧乾燥が好ましい。
以下、実験に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
<実験1:粉末化基材が植物エキス飲料の風味に及ぼす影響>
(1)概要
飲用植物エキスに分岐α−グルカン混合物又は難消化デキストリンを粉末化基材として配合することにより、飲料用粉末植物エキスを調製し、粉末化基材の違いが、それぞれを温水に溶解させたときの植物エキス飲料の風味に及ぼす影響を調べた。
(2)実験方法
(ア)被験試料の調製
ウーロン茶エキス(商品名『ウーロン茶エキスM水性』、ウーロン茶抽出物固形物10質量%含有溶液、丸善製薬株式会社販売)50g(固形物5g)に、後述する実施例1で用いたと同じ分岐α−グルカン混合物(以下、「分岐α−グルカン混合物」と言う。)の粉末を、0.5、1.65、2.5、5.0、25.0、50.0、100.0、200.0gを添加、混合し、必要に応じて適宜水を追加し、分岐α−グルカン混合物の配合割合の異なる8種のウーロン茶エキスを得た。その後、得られた分岐α−グルカン混合物配合ウーロン茶エキスのそれぞれを凍結乾燥し、飲料用粉末植物エキス(粉末ウーロン茶)とした(被験試料1乃至8)。比較対象として、分岐α−グルカン混合物に代えて、市販されている難消化性デキストリン(商品名『ファイバーソル2』、松谷化学工業株式会社販売)を配合した以外は、上記と同様の方法で粉末ウーロン茶を調製した(被験試料9乃至16)。なお、得られた被験試料1乃至8及び9乃至16は、ウーロン茶エキス固形物1質量部に対して、分岐α−グルカン混合物もしくは、難消化性デキストリンをそれぞれ、0.1、0.33、0.5、1、5、10、20又は40質量部含有するものである。
(イ)官能試験
上述した方法で得られた粉末ウーロン茶の被験試料1乃至16及び、原料であるウーロン茶エキス(対照)について、ウーロン茶エキス由来の固形物が各々0.33gとなるように湯呑に入れ、70℃の温水100mlで溶解し、その風味について5名のパネラーにより、表1に示す評価基準に基づいて官能評価を行った。評価パネラー数が最も多かった点数を評価点数とした。評価人数が同数の場合は、その評価の中間点を評価点数として採用した。対照及び被験試料1乃至16のそれぞれの組成及び官能評価の結果を表2に示す。
Figure 2018066613
Figure 2018066613
表2に示したとおり、分岐α−グルカン混合物を粉末化基材として用い、ウーロン茶エキス中の固形物1質量部に対して0.1乃至20質量部添加して調製した粉末ウーロン茶(被験試料1乃至7)を、温水に溶解して得たウーロン茶は、対照のウーロン茶と同じく香気や風味に優れており、0.33乃至5質量部添加して調製した粉末ウーロン茶(被験試料2乃至5)は、特に優れていることが判明した。ここで、分岐α−グルカン混合物を40質量部添加した粉末ウーロン茶(被験試料8)では、溶解して得たウーロン茶に分岐α−グルカン混合物に由来する甘味や異臭が感じられ、ウーロン茶本来の風味や香気が損なわれることが判明した。一方、難消化性デキストリンを粉末化基材として用い調製した粉末ウーロン茶(被験試料9乃至16)を、温水に溶解して得たウーロン茶では、いずれの被験試料でも対照のウーロン茶の場合と比較して、香気や風味などが損なわれており、当該影響は難消化性デキストリンの添加量が増加するにつれて顕著になることが判明した。
<実験2:粉末化基材の種類の違いが飲料用粉末植物エキスの冷水溶解性に及ぼす影響>
(1)概要
飲用植物エキスに分岐α−グルカン混合物、難消化デキストリン又はデキストリンを粉末化基材として添加、配合し、粉末化基材の種類の違いが飲料用粉末植物エキスの溶解性に及ぼす影響について調べた。冷水での植物エキス飲料の利用を想定し、比較的溶解しにくい低温条件下で実験を行った。
(2)実験方法
(ア)被験試料の調製
分岐α−グルカン混合物又は難消化性デキストリンに代えて、一般的なデキストリン(商品名『パインデックス#1』、DE7.5の澱粉分解物、松谷化学工業株式会社販売)を、ウーロン茶エキス固形物1質量部に対して固形物換算で、5質量部となるように配合した以外は実験1と同様の方法で、デキストリン配合粉末ウーロン茶を得た。
(イ)溶解性試験
上記(ア)で得たデキストリン配合粉末ウーロン茶、実験1で得た被験試料5及び13(ウーロン茶エキス由来固形物1質量部に対して5質量部の分岐α−グルカン混合物又は難消化性デキストリンを含む粉末ウーロン茶)を各々0.5gずつ、5℃の冷水50mlに加えて、それぞれ回転数200rpmで撹拌し、目視により完全に溶解するまでの時間を測定した。実験は2回行い、2回の平均時間を基にして、溶解性を4段階で評価した結果を表3に示す。なお、5分以上10分未満で溶解したものを「4」、10分以上15分未満で溶解したものを「3」、15分以上20分未満で溶解したものを「2」、20分以上で溶解したものを「1」として評価した。
Figure 2018066613
表3に示した通り、分岐α−グルカン混合物を粉末化基材とした本願発明の粉末ウーロン茶は、最も溶解性に優れ、5分以上10分未満で完全に溶解した。これに対して、難消化性デキストリンを粉末化基材とした粉末ウーロン茶は溶解に10分以上15分未満を要し、やや溶解性が劣ることが確認された。さらに、デキストリンを粉末化基材とした粉末ウーロン茶は、冷水に加えた際、ダマとなり完全溶解するまでに20分以上を要し、溶解性が著しく低かった。
以上述べた実験1及び2の結果から、本発明の分岐α−グルカン混合物は、粉末ウーロン茶の溶解性及び、お湯に溶解させた時の香気や風味の保持作用が、従来の粉末ウーロン茶に用いられてきたデキストリンや、水溶性食物繊維として現在市販されている難消化性デキストリンと比較して、優れていることが判明した。斯かる分岐α−グルカン混合物による高い溶解性及び溶解時の風味維持効果は、ウーロン茶だけではなく、同様のチャノキを加工、抽出して作られている茶類をはじめ、香気や風味を有している植物エキス飲料全般においても同様に発揮されると考えられる。
本分岐α−グルカン混合物が、従来公知の粉末化基材よりも効果的に、飲用植物エキス由来の風味を保持する理由の詳細は不明である。しかしながら、上記(A)乃至(C)という構造的特徴を有すること、特に、難消化性デキストリンやデキストリンと比較して、イソマルトデキストラナーゼ消化によりイソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上生成する構造的特徴を有することが、その機能を発揮する上で必要であると考えられ、本分岐α−グルカン混合物の当該構造的特徴が、植物エキスの風味及び香気成分に作用していることが推定される。
以下、実施例により本願発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<粉末緑茶>
80℃の温水10kgに緑茶葉0.5kgを加え、80℃で15分間抽出した。粕分離し、ブリックス2.5度の茶抽出液8kgを得た。得られた抽出液を、遠心分離機で清澄化後、膜濃縮に供した。得られた濃縮液に国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例5に開示された方法に準じて得た下記(ア)乃至(コ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物の粉末150gを添加、溶解し、当該溶液を凍結乾燥し、粉末緑茶を得た。茶抽出物と分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比は、1:0.75であった。得られた粉末緑茶を70℃の温水に溶解させたところ、速やかに溶解し、緑茶本来のさわやかな香気並びに風味が感じられた。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり38.0質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が81.2質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:2.6である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の70.3%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の2.8%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の7.2%である。
(ケ)重量平均分子量が4,600である。
(コ)Mw/Mnが2.3である。
<粉末紅茶>
80℃の温水10kgに紅茶葉0.75kgを加え、80℃で15分間抽出した。粕分離し、ブリックス3.8度の抽出液8kgを得た。得られた抽出液を、遠心分離機で清澄化後、膜濃縮に供した。得られた濃縮液に国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例3に開示された方法に準じて得た下記(ア)乃至(コ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物の粉末300gを添加し、当該溶液を凍結乾燥し、粉末紅茶を得た。紅茶抽出液と分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比は、1:1.5であった。得られた粉末紅茶は、70℃の温水に溶解させたところ、速やかに溶解し、紅茶本来の香気並びに風味が感じられた。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり36.4質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が75.2質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:1.5である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の68.0%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の3.5%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の4.5%である。
(ケ)重量平均分子量が6,300である。
(コ)Mw/Mnが2.2である。
<粉末カモミール茶>
80℃の温水10kgにカモミール茶葉1.5kgを加え、80℃で15分間抽出した。粕分離し、ブリックス1.6度の抽出液16kgを得た。得られた抽出液を、遠心分離機で清澄化後、膜濃縮に供した。得られた濃縮液に国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例4に開示された方法に準じて得た下記(ア)乃至(コ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物の粉末300gを添加し、当該溶液を凍結乾燥し、粉末カモミール茶を得た。カモミール茶抽出液と分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比は、1:0.8であった。得られた粉末カモミール茶は、70℃の温水に溶解させたところ、速やかに溶解し、カモミール茶本来のさわやかな香気並びに風味が感じられた。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり41.8質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が68.5質量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:1.9である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の78.9%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の1.7%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の2.2%である。
(ケ)重量平均分子量が10,000である。
(コ)Mw/Mnが2.7である。
<粉末どくだみ茶>
90℃の温水10kgに、どくだみ茶葉0.5kgを加え、90℃で15分間抽出した。粕分離し、ブリックス1.9度の抽出液8kgを得た。得られた抽出液を、遠心分離機で清澄化後、膜濃縮に供した。得られた濃縮液に国際公開第WO2008/136331号パンフレットの実施例6に開示された方法に準じて得た下記(ア)乃至(コ)の特性を有する分岐α−グルカン混合物の粉末250gを添加し、当該溶液を凍結乾燥し、粉末どくだみ茶を得た。どくだみ茶抽出液と分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比は、1:1.2であった。得られた粉末どくだみ茶は、70℃の温水に溶解させたところ、速やかに溶解し、どくだみ茶本来の香気並びに風味が感じられた。
<分岐α−グルカン混合物の特性>
(ア)グルコースを構成糖とする。
(イ)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有する。
(ウ)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり40.1質量%生成する。
(エ)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が83.8量%である。
(オ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:3.8である。
(カ)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の66.6%を占める。
(キ)α−1,3結合したグルコース残基が全グルコース残基の2.6%である。
(ク)α−1,3,6結合したグルコース残基が全グルコース残基の5.6%である。
(ケ)重量平均分子量が3,200である。
(コ)Mw/Mnが2.1である。
参考例
<飲料用粉末植物エキス>
実施例1で用いた分岐α−グルカン混合物に代えて、一般的なデキストリンである、DE25のデキストリン(商品名『パインデックス#3』、松谷化学工業株式会社販売)、DE20のデキストリン(商品名『LDX35−20』、昭和産業株式会社販売)、DE15のデキストリン(商品名『グリスター』、松谷化学工業株式会社販売)、DE14のデキストリン(商品名『液状デキストリン』、松谷化学工業株式会社販売)、DE11のデキストリン(商品名『パインデックス#2』、松谷化学工業株式会社販売)、又はDE4のデキストリン(商品名『パインデックス#100』、松谷化学工業株式会社販売)を用いた以外は、実施例1と同様にして6種類の粉末緑茶を調製した。
本例で得られた6種類の飲料用粉末植物エキス(粉末緑茶)と、実施例1で得た本発明の飲料用粉末植物エキス(粉末緑茶)を緑茶抽出液由来の固形物が各々0.33gとなるように湯飲みに入れ、70℃の湯100mlで溶解させ、それらについて風味を比較したところ、本例で得られた6種類の飲料用粉末植物エキスのいずれも、実施例1で得た本発明の飲料用粉末植物エキスと比べ、風味、香気、緑茶独特の苦み、基材由来の味などの点で明らかに劣っていた。
以上述べたとおり、本発明は、従来の飲料用粉末植物エキスと比べ、風味及び溶解性が改善された飲料用粉末植物エキスとその製造方法を提供するものである。本発明が斯界に及ぼす影響は斯くも甚大であり、本発明の産業上の利用可能性は極めて大きい。

Claims (10)

  1. 飲用植物エキスと下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物とを含む飲料用粉末植物エキスであって、前記飲料用粉末植物エキスに含まれる飲用植物エキスと分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比が1:0.1〜1:20である、飲料用粉末植物エキス;
    (A)グルコースを構成糖とし、
    (B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
    (C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上生成する。
  2. 前記分岐α−グルカン混合物が、下記(D)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物である請求項1記載の飲料用粉末植物エキス:
    (D)高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)により求めた水溶性食物繊維含量が40質量%以上である。
  3. 前記分岐α−グルカン混合物が、下記(E)及び(F)の特性を有する分岐α−グルカン混合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料用粉末植物エキス;
    (E)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基の比が1:0.6乃至1:4の範囲にある;及び
    (F)α−1,4結合したグルコース残基とα−1,6結合したグルコース残基との合計が全グルコース残基の55%以上を占める。
  4. 前記分岐α−グルカン混合物の平均グルコース重合度が、8乃至500であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の飲料用粉末植物エキス。
  5. 前記飲用植物エキスと分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比が、1:0.33〜1:5であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の飲料用粉末植物エキス。
  6. 前記飲用植物エキスの植物が、チャノキ、カモミール、ハイビスカス、ラベンダー、ミント、ローズヒップ、ペパーミント、レモングラス、どくだみ、ギムネマ、バナバ、イチョウ、モロヘイヤ、アルファルファ、よもぎ、マテ、ギャバロン、杜仲、ルイボス、アロエ、桜葉、シソ、麦、はと麦、稲、大豆、そば、朝鮮人参、ごぼう、コーヒーノキから選択される一種以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の飲料用粉末植物エキス。
  7. 前記飲用植物エキスが、植物の葉、茎、花、ガク、根、種子などから選択される一種以上を抽出したものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の飲料用粉末植物エキス。
  8. 前記飲用植物エキスの植物が、チャノキであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の飲料用粉末植物エキス。
  9. 前記飲用植物エキスが、緑茶、ウーロン茶、又は紅茶であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の飲料用粉末植物エキス。
  10. 水性溶媒の共存下で、飲用植物エキスに対して、下記(A)乃至(C)の特徴を有する分岐α−グルカン混合物を、飲用植物エキスと分岐α−グルカン混合物との固形物換算での質量比が1:0.1〜1:20となるように混合して、混合溶液を得る工程、得られた混合溶液を粉末化する工程を含む飲料用粉末植物エキスの製造方法:
    (A)グルコースを構成糖とし、
    (B)α−1,4結合を介して連結したグルコース重合度3以上の直鎖状グルカンの一端に位置する非還元末端グルコース残基にα−1,4結合以外の結合を介して連結したグルコース重合度1以上の分岐構造を有し、
    (C)イソマルトデキストラナーゼ消化により、イソマルトースを消化物の固形物当たり5質量%以上生成する。
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