JP5883316B2 - 糖化物、その製造方法、飲食品およびその風味向上方法 - Google Patents

糖化物、その製造方法、飲食品およびその風味向上方法 Download PDF

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Description

本発明は、糖化物、その製造方法、該糖化物を用いた飲食品およびその風味向上方法に関する。
従来、水飴、異性化糖などの糖化物は、デンプンを酸糖化法、酵素糖化法などにより加水分解することによって製造されている。加水分解により得られた糖化液は、原料に由来する糖質以外の成分を有していることから、通常、加水分解後にイオン交換樹脂、活性炭などを用いた精製処理が行われている。精製処理された糖化物は、純水程度の高い透明性を有し、クセが無くまろやかな甘味を示すことから、甘味料として加工飲食品に広く利用されている。
最近、原料として芋、野菜、豆、種実等の食材の粉末と精製デンプンとの混合物を用いた糖化物が提案されている(特許文献1)。該糖化物は、原料に含まれる食材が本来含有する色素やミネラル、アミノ酸成分を含んでおり、天然の着色料として、あるいは高血圧の予防、健康増進等に貢献する機能性を付加できる糖質として利用できるとされている。
一方、従来、冷菓等の飲食品の風味の向上のためにバニラ豆やバニラ抽出物(バニラエキストラクト、バニラオレオレジン等)が使用されている。しかし、天然物であるバニラ豆は、保存安定性が悪く、収穫量や品質が天候に左右され、高価である。
また、バニラ抽出物を得る従来の方法が、含水エタノールなどを用いて、バニリンを効率よく抽出することを主目的としているため、バニラ抽出物だけでは、飲食品によっては、必ずしもバニラ豆を用いた場合のような自然な風味を付与できているとはいえない。
特開2008−100号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、飲食品の風味向上に有用な新規な糖化物、その製造方法、該糖化物を用いた飲食品およびその風味向上方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、以下の態様を有する。
[1]バニラ豆の粉砕物と精製デンプンを含有する混合物を、少なくとも液化酵素及び糖化酵素を用いた加水分解処理して得られる糖化物。
[2]バニラ豆の粉砕物と精製デンプンを含有する混合物を、液化酵素及び糖化酵素を用いて加水分解処理する工程を有する糖化物の製造方法。
[3][1]に記載の糖化物を配合した飲食品。
[4]冷菓、プリン、ヨーグルト、フラワーペースト、コーヒーを含む飲料またはウイスキーを含む飲料である[3]に記載の飲食品。
[5]飲食品を製造する際に、[1]に記載の糖化物を添加する飲食品の風味向上方法。
[6]前記飲食品が、冷菓、プリン、ヨーグルト、フラワーペースト、コーヒーを含む飲料またはウイスキーを含む飲料である[5]に記載の飲食品の風味向上方法。
本発明によれば、飲食品の風味向上に有用な新規な糖化物、その製造方法、該糖化物を用いた飲食品およびその風味向上方法を提供できる。
本発明の糖化物は、バニラ豆の粉砕物(以下、「バニラ粉砕物」ということがある。)と精製デンプンを含有する混合物を、少なくとも加水分解処理して得られるものである。
バニラ豆は、バニラの果実をキュアリングしたものである。
バニラ豆としては、特に限定されず、市販のものを使用できる。バニラ豆は一般的に、原料のバニラの品種および産地により分類されている。バニラの品種としてはブルボンバニラ、メキシカンバニラ等が挙げられる。産地としては、マダガスカル、メキシコ、レユニオン等が挙げられる。
バニラ豆の粉砕は公知の方法により実施できる。
精製デンプンは、原料である植物が細胞内に貯蔵しているデンプン粒を取り出したものである。精製デンプンとしては、特に限定されず、公知のものが使用できる。
精製デンプンの原料としては、トウモロコシ、キャッサバ、サツマイモ、ジャガイモ、小麦、米等の、植物の根、茎、種子、果実等が挙げられる。
精製デンプンとして具体的には、コーンスターチ、タピオカデンプン、甘藷デンプン、馬鈴薯デンプン、小麦デンプン、米デンプン等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
精製デンプンとしては、市販のものを用いてもよく、公知の方法によって対応する原料から製造したものを用いてもよい。精製デンプンは、通常、原料の植物の細胞壁を破壊してデンプン粒を分離し、必要に応じて、蛋白質、脂質等のデンプン以外の成分を除去するための精製処理を行うことによって得られる。
混合物中におけるバニラ粉砕物と精製デンプンとの比率は、特に限定されないが、バニラ粉砕物と精製デンプンとの合計に対するバニラ粉砕物の割合が、無水固形分換算で、1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。該割合が1質量%以上であると、得られる糖化物が、バニラ豆に由来する良好な香りを充分に有し、飲食品に対して優れた風味向上効果を発揮する。50質量%以下であると、得られる糖化物や該糖化物を配合した飲食品の風味がより自然なものとなる。
ここで、無水固形分とは、水分量をゼロとしたときの残分である。無水固形分量は、常圧加熱乾燥法(直接法)により測定される。
前記混合物は、本発明の効果を損なわない範囲で、バニラ粉砕物および精製デンプン以外の他の成分を含有してもよい。たとえば、風味を補う目的で、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類、果実類、海草、香辛料等の乾燥粉砕物を配合してもよい。
バニラ粉砕物と精製デンプンを含有する混合物を、少なくとも加水分解処理する方法については、後の本発明の糖化物の製造方法で説明する。
本発明の糖化物は、液状糖化物であってもよく、粉末状糖化物であってもよい。加水分解処理による反応生成物は液状であり、粉末状とするためには乾燥処理を行う必要がある。そのため製造性の点では、液状糖化物であることが好ましい。
液状糖化物である場合のブリックス(Brix、以下「Bx」と略記する。)は、用途に応じて適宜設定できるが、好ましくは、75.0〜80.0の範囲内である。75.0以上であると微生物の汚染リスクが低減され、80.0以下であるとハンドリング性が良好である。
Bxは、可溶性固形分の質量%濃度を示し、糖度計を用いて屈折率法により測定される。
本発明の糖化物は、Bx30の液状としたときのpH(20℃)が4.0〜7.0であることが好ましく、4.0〜6.0であることがより好ましい。
本発明の糖化物は、前記混合物に含まれるデンプン(バニラ粉砕物に含まれるデンプンおよび精製デンプン)の加水分解物である糖質を含んでいる。
デンプンは、加水分解によって、最終的には構造単糖であるグルコースにまで分解されるが、加水分解処理条件(使用する酵素や酸の種類、処理時間等)を調節することにより、各種の糖類(マルトース、イソマルトース等の二糖類;マルトトリオース、パノース等の三糖類;デキストリン等の、四糖類以上の糖類など)を含む混合物が得られる。
本発明の糖化物における糖質の糖組成は特に限定されず、当該糖化物の用途に応じて適宜設定できる。
本発明の糖化物は、原料がバニラ豆粉砕物を含むことで、精製デンプンのみを原料とする糖化物や、従来用いられているバニラ抽出物に比べて、良好な風味を有しており、該糖化物を飲食品に配合することで、飲食品の風味が向上する。また、該飲食品の風味は、従来用いられているバニラ抽出物を用いた場合に比べて、より自然な風味である。
本発明の糖化物を配合する飲食品は、特に限定されないが、たとえば、菓子、パン等の加工食品、加工食品の製造に使用されて食用に供されるもの、飲料等が好ましい。具体的には、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓、プリン、ゼリー、ヨーグルト、シュークリーム、ケーキ、ビスケット、クッキー、チョコレート、キャンディ、チューインガム、スナック類、その他各種和洋菓子、菓子パン、栄養バランス食品、マーガリン、ジャム、フラワーペースト、酒類(ウイスキー、ブランデー、スピリッツ、リキュール、果実酒、これらを含む飲料等)、コーヒーを含む飲料(コーヒー、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等)、ココア飲料、茶飲料、乳飲料、調整豆乳、豆乳飲料、炭酸飲料等が挙げられる。これらの中でも、本発明による風味向上効果に優れることから、冷菓、プリン、ヨーグルト、フラワーペースト、コーヒーを含む飲料またはウイスキーを含む飲料が好ましい。
なお、フラワーペーストは、小麦粉、デンプン、ナッツ類もしくはその加工品、ココア、チョコレート、コーヒー、果肉、果汁、いも類、豆類または野菜類を主要原料とし、これに砂糖、粉乳、卵等を加え、加熱殺菌してペースト状としたもので、パンや菓子に充てん又は塗布して食用に供される。
また、本発明の糖化物は、糖質以外の栄養成分(たとえばカリウム、マグネシウム等のミネラル類、アミノ酸)も含有しており、その含量は、原料がバニラ粉砕物を含むことから、精製デンプンのみを原料とする糖化物に比べて多くなっている。ミネラル類については、近年、健康に対する意識の高まりから注目されており、たとえばカリウムは、ナトリウムを排出して血圧を下げる効果があるとされている。また、マグネシウムは、酵素の働きを助けたり、体温や血圧を調整する効果があるとされている。
したがって、本発明の糖化物を飲食品に配合することで、これらの栄養成分を強化することができる。
次に、本発明の糖化物の製造方法について説明する。
本発明の糖化物の製造方法は、バニラ粉砕物と精製デンプンを含有する混合物を、加水分解処理する工程を有する。
バニラ粉砕物、精製デンプン、それらの混合物についての説明はそれぞれ上述したとおりである。
加水分解処理は、原料としてバニラ粉砕物と精製デンプンを含有する混合物を用いる以外は、従来、デンプンから糖化物を製造する際に用いられている公知の方法によって実施できる。かかる方法としては、たとえば加水分解処理に酵素を用いる酵素糖化法、加水分解処理に酸を用いる酸糖化法等が挙げられる。これらの糖化法では、デンプンに水を加えて乳濁液とし、該乳濁液に酵素または酸を添加し、該酵素または酸を、デンプンやその加水分解により生じた単糖類および/または二糖類以上の各種糖類に作用させて糖化物を得る。
加水分解処理は、通常、液化および糖化の2段階で実施される。たとえば酵素糖化法の場合、前記乳濁液に液化酵素を添加、加熱して液化し、次に糖化酵素を作用させて糖化することによって糖化物が製造される。このような酵素処理においては、通常、液化の際には加水分解反応が進行し、糖化の際には加水分解反応、または加水分解反応およびその他の酵素反応が進行する。たとえばαグリコシダーゼを用いた糖化の際には、マルトースをはじめとするオリゴ糖を加水分解する反応、グルコース分子を他の糖に転移する反応(糖転移反応)等が進行する。酸糖化法においても、液化酵素および糖化酵素の代わりに酸を用いる以外は同様の手順で糖化物が製造される。
酵素処理に用いる酵素としては、少なくとも、デンプンおよび/または二糖類以上の各種糖類を加水分解する酵素が用いられ、該酵素としては、αアミラーゼ、βアミラーゼ、αグルコシダーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ等が挙げられる。これらの酵素は、適宜目的に応じて選択される。
これらのうち、液化酵素としては、通常、αアミラーゼが用いられる。
糖化酵素は、製造しようとする糖化物の糖組成やデキストロース当量(dextrose equivalent、以下「DE」と略記する。)に応じて設定される。たとえば、麦芽糖を主成分とする糖化物(たとえばDE30〜60程度の水飴製品)の場合は、通常、βアミラーゼやプルラナーゼが用いられ、イソマルトオリゴ糖を主成分とする糖化物(たとえばDE30〜70程度のオリゴ糖製品)の場合は、通常、αグルコシダーゼやプルラナーゼが用いられ、ブドウ糖を主成分とする糖化物(たとえばDE70〜98程度のブドウ糖製品)の場合は、通常、グルコアミラーゼやプルラナーゼが用いられる。
酸処理に用いる酸としては、シュウ酸、塩酸等が挙げられる。
本発明においては、加水分解処理として、酵素処理のみを実施しても、酸処理のみを実施しても、両方を実施してもよい。
たとえば加水分解処理を、液化および糖化の2段階で実施する場合、液化および糖化の両方を酵素処理により行ってもよく、液化および糖化の両方を酸処理により行ってもよく、いずれか一方を酵素処理により行い他方を酸処理により行ってもよい。
液化および糖化の両方を酵素処理により行う場合、前記加水分解処理は、たとえば以下の手順で実施できる。
まず、バニラ豆の粉砕物と精製デンプンの混合物に水を加えて乳濁液とし、該乳濁液に液化酵素を添加し、加熱して、前記混合物中に含まれるデンプンをDE9〜35程度まで加水分解して可溶化(液化)する。その後、得られた液化液に糖化酵素を添加し、作用させて、所定の糖組成またはDEとなるまで糖化反応を行う。
液化の際の反応条件は、液化酵素の作用条件に対応するが、通常、反応温度50〜120℃、pH5〜7程度である。反応時間は、反応温度や所望の液化の程度(DE)、酵素量、pH、使用設備等によって異なる。
なお、pHは、20℃におけるpHである。
糖化反応の反応条件は、糖化酵素の作用条件に対応するが、通常、反応温度50〜60℃、pH4〜7程度である。反応時間は、反応温度や所望の糖組成またはDE、酵素量、pH、使用設備等によって異なるが、通常、10〜100時間程度である。
液化反応、糖化反応は、それぞれ、加熱等により酵素を失活させることにより停止させることができる。
糖化反応時に、糖化酵素以外の酵素を併用してもよい。糖化酵素以外の酵素としては、たとえば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ、ぺプチターゼ等が挙げられる。セルラーゼ、ヘミセルラーゼは、バニラ豆の粉砕物に含まれる食物繊維を分解して、ミネラル特にカリウムの溶出に貢献する。プロテアーゼ、ペプチターゼは、バニラ豆の粉砕物に含まれるたんぱく質を分解して、アミノ酸の生成に貢献する。
糖化反応後、得られた糖化液をろ過して、糖化液中に残留する不溶分(バニラ粉砕物に由来する繊維分、デンプンに由来する繊維分等)を除去することが好ましい。
糖化液に対し、ろ過以外の精製処理を行ってもよい。該精製処理としては、脱色処理、イオン分除去処理等が挙げられる。ただし、活性炭やイオン交換樹脂を用いた精製処理を行うと、ミネラル類やアミノ酸が吸着除去されてしまうため、活性炭やイオン交換樹脂を用いた精製処理は行わないことが好ましい。
上記のようにして得られた糖化液は、そのまま本発明の糖化物として用いてもよく、Bxの調整等のために希釈または濃縮を行ってもよい。また、該糖化液またはその濃縮物を乾燥して粉末状としてもよい。
希釈には通常、水が用いられる。
濃縮方法としては、公知の方法が利用でき、たとえば煮沸濃縮、真空濃縮、凍結濃縮等が挙げられる。
粉末状にするための乾燥方法としては、特に限定されず、公知の方法であってよい。たとえばディスク乾燥方式、スプレードライ方式、熱風型乾燥方式、棚式箱型乾燥方式、コンベア式乾燥方式、フリーズドライ方式、減圧乾燥方式等が挙げられる。
乾燥条件は、乾燥方法に応じて適宜設定できる。たとえば、ディスク乾燥方式での乾燥は、ディスクに噴霧する糖化液の水分が40〜60質量%、該糖化液の温度が0℃〜80℃、ディスクの回転数が10,000〜40,000rpm、熱風温度が入口で40℃〜90℃、出口で20℃〜60℃、の条件で行われる。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下の各例において「%」、「ppm」、「部」は、それぞれ、特に限定のない場合は「質量%」、「質量ppm」、「質量部」を示す。
バニラ粉砕物、馬鈴薯デンプン、コーンスターチそれぞれの仕込み量(kg)は、無水固形分換算量で示した。無水固形分(%)は、常圧加熱乾燥法(直接法)により測定した。各例で使用したバニラ粉砕物、馬鈴薯デンプン、コーンスターチそれぞれの無水固形分は、65.2%、83.4%、88.5%であった。
Bxは、糖度計(アタゴ社製「デジタル屈折計」)を用いて測定した。
DEは、氷点降下度による方法(還元糖を測定するレインエノン法と近似値が得られるDEの測定法)により測定した。
pHは、JASに基づき、ガラス電極pHメーターを用いて測定した。
カリウム、マグネシウムそれぞれの含有量(ppm)は、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析装置を用いて測定した。
糖組成は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
[実施例1]
バニラ粉砕物として、バニラ豆(マダガスカル産ブルボンバニラ)の粉砕物を用意した。該バニラ粉砕物0.75kgと、馬鈴薯デンプン14.25kgと、純水とを混合して乳濁液を調製した。該乳濁液の水分量は27.86kgであった。乳濁液の水分量は、純水の仕込み量と、バニラ粉砕物に由来する水分量と、馬鈴薯デンプンに由来する水分量との合計量である。本例での純水の仕込み量は24.62kgであった。
上記乳濁液に水酸化カルシウムを加えてpH(20℃)を6.5に調製した。該乳濁液にαアミラーゼ(ノボザイムズ社製「ターマミル」)45.0gを添加し、55℃で1時間反応させた。その後、30分かけて90℃に昇温し、続けて90℃で1時間反応させた。次にオートクレーブで121℃、15分間の加熱処理を行った後、60℃まで冷却して液化液とした。該液化液にβアミラーゼ(ヤクルト薬品工業社製「ユニアーゼL」)5.0gを添加し、60℃で24時間反応させて糖化液とした。該糖化液を80℃に加熱し、ろ紙(東洋濾紙社製、No.2)上にけいそう土(昭和化学工業社製「ラヂオライト」)をコートしたヌッチエに吸引しながら通液、ろ過した。得られたろ過液を更にメンブレンフィルター(東洋濾紙社製、孔径0.45μm)でろ過した後、エバポレーターにてBx約75となるまで濃縮して液状の糖化物を得た。
[実施例2〜4]
バニラ粉砕物と馬鈴薯デンプンとの配合比が表1に示す値となるように、それぞれの仕込み量を変更した以外は実施例1と同様にして糖化物を得た。
[比較例1]
原料として馬鈴薯デンプンのみを用いた以外は実施例1と同様にして糖化物を得た。
[実施例5]
馬鈴薯デンプンをコーンスターチに変更した以外は実施例2と同様にして糖化物を得た。
[比較例2]
原料としてコーンスターチのみを用いた以外は実施例5と同様にして糖化物を得た。
実施例1〜5、比較例1〜2で得た糖化物それぞれについて、Bx、該BxにおけるpH、DE、カリウム濃度およびマグネシウム濃度、ならびに糖組成を測定した。結果を表1に示す。なお、糖組成は、無水物換算した値である。
表1に示すとおり、原料としてバニラ粉砕物と馬鈴薯デンプンとの混合物を用いた実施例1〜4の糖化物は、原料として馬鈴薯デンプンのみを用いた比較例1の糖化物に比べて、カリウムおよびマグネシウムが豊富に含まれていた。
同様に、原料としてバニラ粉砕物とコーンスターチとの混合物を用いた実施例5の糖化物は、原料としてコーンスターチのみを用いた比較例2の糖化物に比べて、カリウムおよびマグネシウムが豊富に含まれていた。
Figure 0005883316
[比較例3]
バニラ豆(マダガスカル産ブルボンバニラ)の粉砕物100gに38%含水エタノール900gを添加し、室温で90分間の抽出処理を行うことにより調製した。
上記バニラ抽出物を、比較例1の糖化物100部に対して0.2部添加してシロップを調製した。
なお、100部に対して0.2部という添加量は、食品に対する香料の添加量として一般的な値である。
[比較例4]
比較例1の糖化物の代わりに比較例2の糖化物を用いた以外は比較例3と同様にしてシロップを調製した。
<試験例1:糖化物の官能評価>
実施例1〜5の糖化物、比較例3〜4のシロップをそれぞれ純水により水分70%(Bx30)になるまで希釈し、得られた希釈物の風味について、パネラー10名による官能評価を実施した。該官能評価では、実施例1〜4に対しては比較例3を基準とし、実施例5に対しては比較例4を基準として下記の各風味を比較した。結果を表2に示す。表2中の数値は、パネラー10名のうち、基準よりも当該実施例の方が、評価項目の風味が勝っていると判定したパネラーの人数である。
下記結果から、実施例1〜5の糖化物は、バニラ抽出物を添加した比較例3〜4のシロップに比べて、風味の自然さ、好ましさに優れていることが確認できた。
Figure 0005883316
<試験例2:食品の官能評価>
上記で得た糖化物のうち実施例2の糖化物を用いて、以下の実施例6〜12に示す食品(アイスクリーム、ヨーグルト、フラワーペースト、プリン、クッキー、コーヒーを含む飲料、ウイスキーを含む飲料)を製造した。
また、風味の比較のため、実施例2の糖化物の代わりにバニラ抽出物(比較例3で調製したもの)を用いた以外は同じ手順で、以下の比較例5〜11に示す食品を製造した。ただしバニラ抽出物の使用量は、得られる食品のにおい中のバニラ感(バニラ豆の香りの主成分であるバニリンに由来するにおい)が同程度になるように調整した。
得られた食品の風味について、訓練された専門パネラー(実施例6〜10については12名、実施例11〜12については8名)による官能評価を行った。該官能評価では、実施例と該実施例に対応する比較例とを対比し、どちらがより「Phenolic」(バニラ抽出物やバニラ豆で感じられるスモーク感)が強くないか、「自然な風味」が表現されているか、または「人工的」であるかを判定した。
その結果、アイスクリーム、ヨーグルト、フラワーペースト、プリン、コーヒーを含む飲料、ウイスキーを含む飲料では、表3に示すとおり、実施例と比較例との間に官能的に大きな違いが見られ、かつ実施例の方が風味の自然さに優れていることが確認できた。表3中の数値は、パネラー12名または8名のうち、当該実施例または比較例の方が、評価項目の風味が勝っていると判定したパネラーの人数である。
一方、クッキーの場合、実施例、比較例ともに風味が弱く、パネラーによる優劣の判定は困難であった。これは、クッキーを焼いて水分が失われた際に香り成分が減少したためと考えられる。したがって、本発明は、ある程度水分を保持した状態で製造される食品に対する有用性が高いと考えられる。
Figure 0005883316
[実施例6:アイスクリーム]
生クリーム、砂糖、牛乳等を主原料とするアイスクリーム生地に実施例2の糖化物を添加した後、常法によりアイスクリームを調製した。
[比較例5:アイスクリーム]
実施例2の糖化物に代えてバニラ抽出物を添加した以外は実施例6と同様にしてアイスクリームを調製した。
表4に、実施例6および比較例5で使用した原料名および各原料の配合量(部)を示す。
Figure 0005883316
[実施例7:ヨーグルト]
市販のヨーグルト(日本ミルクコミュニティー(株)製「素材の味わいヨーグルト」、無脂乳固形分8.5%、乳脂肪分3.5%)に砂糖および実施例2の糖化物を添加した。
[比較例6:ヨーグルト]
実施例7で用いたのと同じ市販のヨーグルトに砂糖およびバニラ抽出物を添加した。
表5に、実施例7および比較例6で使用した原料名および各原料の配合量(部)を示す。
Figure 0005883316
[実施例8、比較例7:フラワーペースト]
小麦を主原料とするフラワーペーストを、表6に示す原料を用いて常法により調製した。
表6に、実施例8および比較例7で使用した原料名および各原料の配合量(部)を示す。加工デンプンとしては、松谷化学工業(株)製「プリジェルVA70T」を用いた。
Figure 0005883316
[実施例9:プリン]
卵、砂糖、乳成分等を主原料とするプリン種に実施例2の糖化物を添加した後、常法によりプリンを調製した。
[比較例8:プリン]
実施例2の糖化物に代えてバニラ抽出物を添加した以外は実施例9と同様にしてプリンを調製した。
表7に、実施例9および比較例8で使用した原料名および各原料の配合量(部)を示す。安定剤としては新田ゼラチン(株)製「FP−1356」を用い、乳化剤としては新田ゼラチン(株)製「EM−1000」を用いた。
Figure 0005883316
[実施例10:クッキー]
小麦粉、砂糖等を主原料とするクッキー生地に実施例2の糖化物を添加した後、常法によりクッキーを調製した。
[比較例9:クッキー]
実施例2の糖化物に代えてバニラ抽出物を添加した以外は実施例10と同様にしてクッキーを調製した。
表8に、実施例10および比較例9で使用した原料名および各原料の配合量(部)を示す。
Figure 0005883316
[実施例11:コーヒーを含む飲料]
牛乳、コーヒー、グラニュー糖等を主原料とする飲料(コーヒーを含む飲料)を、表9に示す原料を用いて常法により調製した。
[比較例10:コーヒーを含む飲料]
実施例2の糖化物に代えてバニラ抽出物を添加した以外は実施例11と同様にしてコーヒーを含む飲料を調製した。
表9に、実施例11および比較例10で使用した原料名および各原料の配合量(部)を示す。焙煎コーヒー豆抽出液としては、焙煎したコーヒー豆5.2g(ブラジル産およびグアテマラ産を1:1の質量比でブレンド)を粉砕機(MAHLKONIG社製)で粉砕し、ネルドリップにより、9倍量の80℃の熱水で抽出し得られたもの(固形分3.10%)を用いた。固形分はアタゴ社製 糖度計RX−5000αを用いて測定した。乳化剤としては三菱フーズ(株)製「P−1670」を用いた。
Figure 0005883316
[実施例12:ウイスキーを含む飲料]
ウイスキーと炭酸水を主原料とする飲料(ウイスキーを含む飲料)を、表10に示す原料を用いて常法により調製した。
[比較例11:ウイスキーを含む飲料]
実施例2の糖化物に代えてバニラ抽出物を添加した以外は実施例12と同様にしてウイスキーを含む飲料を調製した。
表10に、実施例12および比較例11で使用した原料名および各原料の配合量(部)を示す。ウイスキーとしてはサントリー酒類(株)製「TORYS」(登録商標)を用いた。
Figure 0005883316

Claims (6)

  1. バニラ豆の粉砕物と精製デンプンを含有する混合物を、少なくとも液化酵素及び糖化酵素を用いた加水分解処理して得られる糖化物。
  2. バニラ豆の粉砕物と精製デンプンを含有する混合物を、液化酵素及び糖化酵素を用いて加水分解処理する工程を有する糖化物の製造方法。
  3. 請求項1に記載の糖化物を配合した飲食品。
  4. 冷菓、プリン、ヨーグルト、フラワーペースト、コーヒーを含む飲料またはウイスキーを含む飲料である請求項3に記載の飲食品。
  5. 飲食品を製造する際に、請求項1に記載の糖化物を添加する飲食品の風味向上方法。
  6. 前記飲食品が、冷菓、プリン、ヨーグルト、フラワーペースト、コーヒーを含む飲料またはウイスキーを含む飲料である請求項5に記載の飲食品の風味向上方法。
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