JP2004187672A - 果物外皮を含む発酵物の製造方法 - Google Patents

果物外皮を含む発酵物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 より苦味が低減し、かつ発酵により有効成分が付加された果物外皮を含む発酵物を効率よく製造する製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 静菌作用を有する物質を含む果物および/又は果物外皮を発酵する発酵物の製造方法において、静菌作用を失活させる工程を含むことを特徴とする、果物外皮を含む発酵物の製造方法であり、静菌作用を失活させるため、加熱処理、塩処理、あるいはこれらの組み合わせ等の処理がなされる。該製造方法により、果物外皮に含有される有効成分の損失が少なく、該発酵物の製造を効率的に製造することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は外皮を含む果物を効率よく発酵物とする製造方法、特に柑橘類の外皮を含む発酵物の製造方法に関する。
近年になって、リンゴやイチゴ、ミカン、ブドウ、ウメなどの果物は、その種類によって様々な健康に対する有効成分が多いことが明らかとなってきている。
しかし、これらの果物に含まれる有効成分は少なく、有効量を摂取しようとすると果物の糖質が高いことから返って健康を害する恐れがあり、そのほとんどは有機溶媒などで有効成分を抽出したものが市販されている。
また近年になって、柑橘類やリンゴ、ブドウ等の果物の外皮にも有効成分が含まれていることが注目されており、特に、柑橘類の外皮は、独特の苦味と風味を持ち、さらに、外皮の表面を覆うクチン質が硬く、食用としては適していなかったが、これら外皮の有効成分を利用した様々な加工方法が提案されつつある。
このような外皮を含む果物の加工方法として、例えば、柑橘類の外皮にあっては、酵素によって処理することにより、また発酵を行うなどして、外皮をやわらかくしたり、苦味を低減したりして、食品素材としての応用が図られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、搾汁を取った残りの柑橘類の粕から、酵素処理を行うことにより、外皮などに含まれるカロチノイドを含有した食品素材が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭52−110877号 特開2000−245382号 特開2000−23637号
しかし、上記食品素材にあっては、苦味の低減度が低く、外皮中の有効成分利用率において充分ではなかったものも認められる。
また、糖質が多い場合も多く、苦味や渋みが強いことから食品などに利用しにくかったり、食品素材に含まれる有効成分や食品素材の生理活性も十分とはいえなかった。
また、発酵により果物を主原料として発酵させたとしても、発酵が不安定であり、発酵が進まないか、進んでも不十分になるといった問題点があった。
そこで、嗜好性および生体への機能性を高める発酵を応用し、より苦味や渋みを低減させるなどの嗜好性向上を図りつつ、かつ生理活性が高められた効率のよい発酵物の製造方法が望まれていた。
それゆえに、より苦味や渋みを低減させ、かつ果物外皮中の生理活性の高い有効成分を利用しうる果物加工物が望まれていることから、外皮を含む果物、特に柑橘類の苦味を低減させ、また、発酵を安定させ、有効成分含有量高めた果物外皮を含む発酵物、およびそれらを含む食品等を提供することを目的とする。
本発明者等は、より簡便に果実を発酵し、嗜好性および生理活性に優れた製造方法について鋭意検討したところ、果実を低温の水で洗浄した後に、加熱処理や二価の金属塩を添加することにより静菌作用を失活し、発酵を行うことで、効率よく、より付加価値の高い発酵物を得る事ができることを見出し、本発明に至った。
即ち、請求項1に記載の発明は、静菌作用を有する物質を含む果物および/又は果物外皮を発酵する発酵物の製造方法において、静菌作用を失活させる工程を含むことを特徴とする、果物外皮を含む発酵物の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、静菌作用を失活させる工程が加熱処理および/又は金属塩処理することを特徴とする、請求項1に記載の果物外皮を含む発酵物の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記果物が、柑橘類、イチゴ、リンゴ、ブルベリーの何れか一種以上である、請求項1又は2に記載の果物外皮を含む発酵物の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記発酵工程が乳酸菌発酵工程であることを特徴とする、請求項1ないし3の何れかに記載の果物外皮を含む発酵物の製造方法である。
本発明による果物外皮を含む発酵物の製造方法は、苦味がなく、風味豊であり、また、有効成分の損失が少なく、該発酵物を効率的に製造することができる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
この発明にかかる果物外皮を含む発酵物の製造方法は、特に、柑橘類外皮の苦味を低減させ、また、発酵を安定させ、有効成分含有量を高めた果物外皮を含む発酵物を製造するために、果物外皮に含有される静菌作用を有する物質の静菌作用を失活させる工程を含めたこと等によって実現した。
本発明についてより詳細に説明する。
以下においては、果物および/又は果物外皮を含む発酵物を単に「発酵物」という。
本発明に用いられる果物としては、リンゴ、柿、バナナ、パインアップル、アセロラ、アケビ、マタタビ、イチジク、野いちご、いちご、山ぶどう、ぶどう、山挑、もも、梅、ブルーベリー 、ラズベリーや柑橘類に属するネーブル、ハッサク、温州みかん、夏みかん、オレンジ、伊予柑、きんかん、ゆず、カボス、ザボン、ポンカン、レモン、ライムなどが挙げられる。
また、果物の外皮とは、果物の外角を覆う皮だけでなく、例えば、柑橘類では果汁飲料等を製造する際にでる果皮およびアルベト層(白い海綿状の部分)じょうのう膜をも含む。このような外皮は有効成分が豊富に含まれるため、本発明で得られる発酵物中にこれら有効成分を高含有させる観点からは、外皮のみを用いることが好ましい。
これらの果物の外皮には、有効成分として不溶性食物繊維を含むだけでなく、フラボノイド、カロチノイド、リモノイド、モノテルペン、水溶性食物繊維のペクチンを豊富に含んでいる。
フラボノイドとしては、各果物の種類によって様々な物質が含まれ、例えば柑橘類特有の共通成分として、フラボノイドの一つであるヘスペリジンを豊富に含み、ブドウやブルーベリーではアントシアニンを豊富に含有する。
このヘスペリジンは、旧来はビタミンPと呼ばれていた物質の一つであり、血管の脆弱性の防止等循環器疾患予防効果やビタミンCの吸収を促進する効果が知られていた。
さらに近年になって、ヘスペリジンは高い抗酸化力を持つことが明らかとなり、中性脂肪の上昇抑制効果、ガンの増殖阻害、抗炎症、抗アレルギー、抗ウイルス作用を有することが知られ、近年注目されている物質の一つである。
また、アントシアニンは、眼疲労や視力の回復効果、動脈硬化予防効果等を有する。
また、水溶性食物繊維のペクチンは、水溶液への溶解後に糖等によりゲル化することが知られており、ゼリーやジャムといった食品に使われているが、さらに、腸内の菌環境を整え、下痢や便秘を改善したり、コレステロールや脂質の吸収抑制をすることが知られている。
なお、カロチノイドやテルペン類は、特に、柑橘類外皮の色や香の成分であり、ガンの予防効果や静菌作用があるといわれている。
また、近年ではガンの予防効果のある、カロチノイドの一つであるリコピンを、例えば柑橘類外皮は含有していることも明らかとなっている。
果物の外皮を含む発酵物を製造するにあたり、青果物の場合は先ず、これらの果物および/又は果物の外皮を洗浄する。洗浄は、果物および/又は果物の外皮に付着している菌類などの付着物を洗い落とす目的で行われる。
果物をそのまま洗浄する場合は問題ないが、果物外皮のみを分離したものを洗浄する場合は、外皮に含まれるペクチンが洗浄中の加温によって外皮から水溶液中に溶出するため、洗浄する水の温度は、25℃以下、好ましくは10℃以下の水で洗浄する。
このとき、特に柑橘類は外皮のアルベト層を剥離しないように洗浄することが好ましい。例えば、高圧水による洗浄は外皮のアルベト層を剥離しやすいので、ジェット噴射式洗浄法による洗浄等は好ましくない。
次いで、上記洗浄した果物および/又は果物外皮を破砕する。
破砕は当業者が用いる常法により行うことができる。例えば、スライサー、ダイサー、カッターミキサーなどで好ましくは0.1cm〜1cmに破砕する。
さらに、この破砕した外皮を30μm〜500μmに微粉砕する。30μm以下ではろ過を行う場合にろ過効率が悪くなる等の問題が、500μm以上では菌を添加した場合に均一に混合されにくく、処理効率上の問題等が生じるからである。
なお、後述する静菌作用を失活させる前に、熱の伝導効率や攪拌のしやすさから、処理前に加水することが好ましい。加水は、柑橘類の破砕物100重量部に対し、50〜8000重量部、より好ましくは50〜2000重量部を添加すれば良い。加水が多くなると、発酵がうまく進まなかったり、最終工程での発酵物の回収率が悪くなるため好ましくない。
また、既にペースト状に加工された果物や果物の破砕物を乾燥した乾燥粉末または破砕せずにそのまま乾燥したドライフルーツ等を用いる場合は、青果物を破砕した場合と同様静菌作用を失活させる前に、加水してから静菌処理を行なう。なお、この場合は、静菌作用を失活させる工程に適する量の加水を行なう。
上記した加水された破砕物等に存する静菌作用を有する物質を失活させる。
ここで静菌作用とは、菌の発育あるいは増殖を阻止する作用をいい、例えば、柑橘類外皮に含まれる静菌作用を有する物質としては、カロチノイドやテルペン類等が該当する。
また、静菌作用を失活させるためには、加熱処理、塩処理、あるいはこれらの組み合わせ等によりなされる。
加熱処理の場合は静菌作用を有する物質の変性によって静菌作用を弱めることができるが、加熱処理を行ってもなお静菌作用が残る場合がある。よって、この場合は、後述する塩処理により、静菌作用をさらに弱め、発酵をより効率よく行うことが可能である。
また、果物および/または果物外皮の微粉砕物の粘度が高い場合は、この後の工程を考慮して、水を加えてから加熱処理を行っても良い。加える水の量は、例えば、柑橘類外皮微粉砕物に対し、20重量部以下にすることが好ましい。添加水量を20重量部以下とするのは、粉末化等における処理効率を考慮したものである。
失活のための加熱処理は、プレート式、パイプ式などの熱交換機、ジャケット付タンクなどを用いて行われ、上記微粉砕された、例えば、柑橘類外皮の加熱は60℃〜130℃、好ましくは100℃〜130℃で行う。加熱温度が60℃以下では、静菌作用を有する物質の変性に要する時間がかかることから、効率的に問題があり、130℃以上では悪臭を生じることとなるからである。
加熱時間は、果物および/又は果物外皮に含まれる静菌作用を有する物質が十分失活できる時間であればよく、好ましくは5分〜2時間、より好ましくは10分〜1時間である。加熱温度にもよるが、静菌作用を有する物質を変性させるためには、加熱時間が5分以下では変性しにくく、2時間以上ではそれ以上の効果を期待できないからである。加熱をしすぎると(時間的及び/又は温度的)、ジメチルスルフィド等を生成してしまうため、果物および/又は果物外皮特有の香気が失われ、悪臭を発してしまう。
なお、加熱時間が30分程度までは、静菌作用の失活が主体であり、それ以上の加熱処理を行なうのは、発酵前の殺菌を充分に行なうためである。
また、加熱処理はジャケット付きタンクなどを用いて密閉条件下で行うことにより、香気および有効成分を逃すことがないため好ましい。
本加熱処理により、果物外皮に含まれる静菌作用を有する物質は失活し、発酵するために最適な条件となる。
他の静菌作用を失活させる方法としては、金属塩を添加する方法が存する。
金属塩処理は、微粉砕物へ、好ましくは二価の金属塩を添加することにより行う。
二価の金属塩としては、ベリリウム、マグネシウム、アルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)などの金属塩が挙げられるが、食用に用いる場合はカルシウム、マグネシウムが好ましい。二価の金属塩を添加することにより、その理由は明確になっていないが、静菌作用成分と結合し、その効果を弱めることにより発酵が可能となると考えられる。
二価の金属塩の添加量は、発酵を阻害しない程度の範囲に添加することが好ましく、例えば柑橘類の破砕物100重量部に対し、0.05〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部となるように添加する。
このような金属塩を添加することだけで、安定的に発酵を行なうことができ、更に上記の加熱処理と併用することで、より発酵の効率を高めることができる。
なお、金属塩処理を行なうほうが、加熱処理を行うよりも、ゲル化が生じる可能性は低くなる。
静菌作用の失活処理後に、発酵の工程を行う。
失活処理を加熱処理で行なった場合は果物および/又は果物外皮微粉砕物を発酵が可能な温度、好ましくは10〜40℃に冷却した後に発酵工程を行う。果物および/又は果物外皮微粉砕物をかかる範囲に冷却するのは、40℃以上の温度では、添加する菌の生育が悪くなるからであり、10℃以下にあっては、菌の増殖が期待できないからである。
また、失活処理を塩処理で行なった場合は、静菌作用を弱めるために塩を添加してから3分〜24時間程、1℃〜50℃で保温して静置してから発酵を行う。
果物および/又は果物外皮の微粉砕物の場合は、菌体が資化することのできる窒素源が乏しく、果物外皮のみの場合は炭素源も乏しいため、効率よく発酵させるために、糖質、アミノ酸などを添加する。添加する糖質およびアミノ酸は、用いる菌の種類や株によって適宜調整される。例えば、乳酸菌の場合は、乳酸菌代謝性の糖(庶糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖等)および大豆タンパク質、酵母エキス、トウモロコシ分解物、小麦分解物、グルタミン酸などを添加する。
用いる菌によりこれらの添加量は異なるが、乳酸菌を用いた場合は、果物および/又は果物外皮の粉砕物に対し、糖質で0.1〜5重量%、タンパクまたはアミノ酸で0.05〜10重量%程度を添加する。この場合糖質の添加量を3重量%以上添加することで乳酸発酵により乳酸が産生されやすくなるため、さらに風味が良くなる。
発酵は乳酸菌、酵母菌、酢酸菌などを添加することで、有用物質を生産することができる。これらの発酵は、乳酸発酵、酢酸発酵、クエン酸発酵、アルコール発酵、およびこれらの組み合わせによる発酵などがある。
これらの中でも、乳酸発酵が好ましく、乳酸菌により整腸作用を有する有機酸などが作られ、胃腸機能改善効果のより高い発酵物を得ることができる。
例えば、乳酸菌としては、ロイコノストック・メセントロイデス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ストレプロコッカス・フェカリス、ビフィドバクテリウム・ロンガムなどが、単独でまたは組み合わされて用いられる。例えば、単独で用いる場合、ラクトバチルス・プランタラムが、その耐酸性、生育温度、および増殖速度の面から好適である。
また、乳酸発酵は、低いpH(pH3〜pH5)を維持できるため、他の菌の繁殖を防ぐことができる。
なお、乳酸発酵における糖の添加量は発酵前の混合状態でBrix値が20以上となると発酵を阻害することがあるため、20以下となるようにすることが好ましい。
乳酸菌の優先的な生育のために、グルタミン酸またはその塩を加えることもできる。添加するグルタミン酸の量は、果物および/又は果物外皮微粉砕物に対して0.05〜1重量%程度、好ましくは0.2重量%程度である。この範囲において乳酸菌の生育がよくなるからである。
乳酸発酵する場合は、嫌気性条件下で行うことが好ましい。嫌気性条件は、混合物を脱気することにより、または発酵槽を密封するか、窒素ガス、二酸化炭素ガス等のガスで満たすか、減圧することにより、あるいはそれらを組み合わせることにより得られる。
また、嫌気条件下で発酵することにより、発酵物の風味も良くなる。
発酵を酵母で行なう場合は、Saccharomyces属に代表される、パン酵母、ビール酵母、およびワイン酵母が用いられる。好ましくは、風味を良くし、さらに有用アミノ酸を産生するSaccharomyces cerevisiaeが好適に用いられる。
酵母を用いて発酵する場合は、例えば、柑橘類外皮微粉砕物ではpHが低いため、焼成カルシウムや炭酸カルシウム、マグネシウム塩などを用いてpHを6〜7.5程度に調整することが好ましい。酵母の発育や活性がこのpH範囲において活発となるからである。
酢酸発酵を行う場合は、該発酵物へアルコールを添加するか、酵母を用いてアルコールを産生させる。アルコール濃度は、酢酸発酵し得る微生物(酢酸菌)が生育できる濃度であれば、どのような濃度であってもよいが、発酵時間等を考慮して、10%以下にすることが好ましく、1〜6%が特に好ましい。
酢酸発酵にもちいる酢酸菌は、アセトバクター属に属する微生物、例えば、アセトバクター・アセチ、アセトバクター・パステウリアヌス、アセトバクター・ハンセニ等が挙げられる。
麹菌による場合、用いられる麹菌としては、着色効果の有る紅麹、市販の麹菌の他にも、アスペルギルス(Aspergillus )属、リゾプス(Rhizopus)属、サッカロミコプシス(Saccharomycopsis)属、バチルス(Bacillus)属、モナスカス(Monascus)属等に属する微生物、例えばアスペルギルス オリゼ、アスペルギルス ニガー、リゾプス デルマー、リゾプス オリゼ、サッカロミコプシス フィブリゲラ、モナスカス ピロサス、モナスカス プルプレウス、バチルス アミロリクイファシエンス、バチルス サブチリス等である。
発酵のために添加する菌量は、果物および/又は果物外皮微粉砕物100重量部に対して、好ましくは0.005〜5.0重量部、さらに好ましくは0.01〜2.0重量部添加する。0.005重量部以下では発酵が充分に行われず、5.0重量部以上では添加量に匹敵する効果をうることが困難だからである。また、乾燥した菌体を用いない場合はおおよその菌体の乾燥重量が上記範囲のとなるように添加すればよい。
発酵の温度と時間は20℃〜50℃の場合は、3時間〜96時間、好ましくは6時間〜72時間行う。また、植物体特有の苦味や臭いをさらに抑えた発酵物を得るためには4℃〜10℃で5日間〜14日間で行うとよい。
発酵後に風味の改善を目的として、熟成期間を用いても良く、この場合10℃〜50℃、好ましくは15℃〜40℃で1ヶ月〜5年、好ましくは3ヶ月〜2年である。
発酵をより効率よく行うために、発酵前に前培養しても良い。例えば、乳酸菌を添加する場合は、菌が優先的に増殖できる環境をつくるため、pHを低くしておくことも好ましい。乳酸菌として、例えば、ラクトバチルス・プランタラムでは、pH4.0程度に調整してから発酵を開始すれば、短時間でその発酵を終了させることができる。
発酵の停止は、一般的には、pHを下げる、高温(100℃以上)短時間(0.5〜5分)で処理する等の方法によるが、糖を加えて行うことも可能である。
このような糖としては、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、オリゴ糖(例えば、マルトオリゴ糖、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖)などが挙げられる。このようなオリゴ糖は、整腸作用、う蝕の予防などに効果があり、発酵物またはろ過液に食品としての機能性を付与し得る。
本発酵によって、添加した菌により有用物質が産生され、より栄養価の高い発酵物を得る事ができる。特に、菌体自身は、添加した窒素源、炭素源を有用アミノ酸や有機酸、脂質に資化するため、食品の製造時に配合するよりも少ないコストでに果物および/又は果物外皮高い栄養価を与えることができるだけでなく、風味を改善することができ、嗜好性および生理活性作用を高めることができる。
さらに、例えば乳酸菌発酵を行った場合は、乳酸菌は有機酸や、オリゴペプチド等を産生するため、風味や整腸作用が増加し、さらに菌体自身はアミノ酸や核酸、糖類などを含有することから、菌体自体が腸内の免疫を刺激し、免疫の活性化を誘導することも可能である。これは、乳酸菌の産生する物質によるものでああろう。
なお、高められる生理活性作用としては血中脂質改善、リパーゼ阻害作用、チロシナーゼ阻害作用、抗酸化作用等である。
本発酵後、必要に応じて再度加熱処理を行う。
本加熱処理は、例えば、柑橘類外皮にはペクチンを含有するため、ペクチンがゲル化して該発酵物の粘度が上がり、粉末化や飲料の製造が困難になることを防ぐためである。また、このようにゲル化が生じやすいような場合、再加熱処理は、製造工程によって有効成分が喪失してしまうことを防ぐためである。
例えば、ペクチンがゲル化し、発酵物の粘度が高い状態での発酵物を飲料として利用しようとする場合、ろ過が必要となるが、ろ過工程での目詰まりにより効率が落ちたり、これによって有効成分がろ過膜に吸着してしまうことを防ぐためである。
また、いったんゲル化を生じた発酵物は固まりとなり、コレステロールの吸着効果が低下するためである。
よって、発酵物の再加熱処理を60℃〜130℃、好ましくは100℃〜130℃で行うことにより、ゲル化した発酵物を可溶化し、発酵物の成分の均一化を図ることが好ましい。塩処理による場合はゲル化が生じ難いが、ゲル化が生じた場合には再加熱処理を行なえば良い。
加熱時間は10分〜20分程度行うことにより、発酵物の流動性が向上し、発酵物中の成分の均一化が図られ、さらに殺菌も同時に行われるため、製造上の問題が低減し、コレステロールの吸収を抑制する効果等が得られやすい発酵物を得る事ができる。また、この加熱処理も、風味を維持する観点から、密閉条件下で行うことが好ましい。
得られた発酵物は濃縮してペースト状にしたり、乾燥して粉末化する。
ろ過や遠心分離を行うことで、飲料などの原料とすることができる。
なお、この発酵物は、粘性が高い、又はゲル化を生じうるような場合は、温度が40℃以下にならないうちに粉末化やろ過などを行うことが好ましい。発酵物が40℃以下になるとゲル化が生じることがあるためである。
ろ過により分離されたろ過液は、賦形剤などを添加して粉末化してエキス末などとしても良い。
このようにして得られた発酵物は、カロチノイドやフラボノイド、食物繊維などの有効成分と乳酸菌や酵母等の発酵過程において産生される生成物やアミノ酸、核酸等とを含む健康飲料として、そのままか、あるいは種々の調味料、例えば、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビット等の甘味料、アルコール、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの酸味料、香料、色素等を加えて、好みの味に調整することができる。
また、得られたろ過液は、他の発酵ジュースや野菜ジュースなど、例えば人参ジュースあるいは混合野菜ジュースと混合すれば、更に栄養価の高いジュースとすることができる。
なお、ろ過液とジュース等との混合は任意に行うことができる。
また、発酵物は、他の製法により得られた液、例えば果汁と、または野菜ジュース等と混合して食品に含ませることもできる。或は、寒天等に混合してゼリーとすることもでき、シャーベット、フローズンヨーグルトあるいはアイスクリームとすることもできる。
1つの実施態様において、この発酵物は、乾燥、粉末化して、乾燥形態の食品素材、例えば、発酵物粉末(発酵物物の一形態)または濾過して乾燥、粉末化したエキス末(発酵物の一形態)とすることができる。
発酵物またはろ過液の乾燥は、当業者が一般的に用いる種々の方法が用いられるが、凍結乾燥、噴霧乾燥が好ましく用いられる。
噴霧乾燥を行う場合、必要に応じてデキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースのような賦形剤を添加して行われる。好適にはデキストリンが用いられ、発酵物を乾燥する場合、発酵物と賦形剤の比は、重量比で1:5〜10:1が好ましい。ろ過液を乾燥する場合、ろ過液と賦形剤の比は、賦形剤添加により粉末化を容易にするため、重量比で1:10〜5:1が好ましい。
このようにして得られる発酵物は、必要に応じて、ローヤルゼリー、ビタミン類、ミネラル、キチン・キトサン、レシチン等の他の食品素材と組み合わせられる。
そしてさらに、ハードカプセル、ソフトカプセル等のカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤として成形されるか、または粉末、顆粒、ティーバッグなどにする。
これらは、その形状または好みに応じて、そのままか、あるいは水、お湯、もしくは牛乳などに溶いて、または成分を浸出して飲料とし、或は食品とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明がこの実施例に限定されるものではない。
(柑橘類外皮の調整)
バレンシアオレンジの外皮のみ(3Kg)を水(15℃)で洗浄した後、裁断機「ダイサー」((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、0.5cmの大きさに裁断し、さらに微粉砕機「コミトロール」((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、平均粒径が100μmとなるように微粉砕した。この微粉砕したバレンシアオレンジ外皮の微粉砕物(以下「オレンジ微粉砕物」という)へ等重量の精製水を加え、柑橘類外皮の調整を行った。
(実施例1)
オレンジ微粉砕物2Kgをパイプ式熱交換機(株式会社奈良製作所製)中で105℃、15分間加熱して、静菌成分を失活させた。
この加熱処理したオレンジ微粉砕物へ、添加後の最終濃度が2重量%のグルコースおよび0.1重量%の酵母エキスとなるように添加した。添加後のオレンジ微粉砕物のBrix値(国際砂糖分析法標準化委員会にて定義される蔗糖溶液の重量/重量パーセント)を測定した。
このオレンジ微粉砕物へ湿菌体重量で3gの乳酸菌(協和発酵株式会社製)を添加し、嫌気性条件下で24時間発酵を行い、発酵物を得た。
発酵24時間後にBrix値を再度測定し、この発酵物をパイプ式熱交換機にて100℃、10分間加熱処理を施した後、直ちに1Kgをろ過し、発酵物より発酵エキスAを得、発酵エキスA100mLを凍結乾燥し、乾燥粉末を得た。
また、残りの発酵物1Kgは、そのままスプレードライし、発酵粉末Aを得た。
(比較例1)
オレンジ微粉砕物2Kgへグルコース、酵母エキスを添加した。添加後のオレンジ外皮破砕物のBrix値を測定した。
このオレンジ微粉砕物へ湿菌体重量で3gの乳酸菌を添加し、嫌気性条件下で24時間発酵を行い、発酵物を得た。
発酵24時間後にBrix値を測定し、この発酵物を、パイプ式熱交換機にて100℃、10分間加熱処理を施した後、直ちに1Kgをろ過し、発酵エキスBを得、発酵エキスB100mLを凍結乾燥し、乾燥粉末を得た。
また、残りの発酵物1Kgは、そのままスプレードライし、発酵粉末Bを得た。
(比較例2)
オレンジ微粉砕物2Kgをパイプ式熱交換機にて105℃、15分間加熱し、このオレンジ微粉砕物へグルコース、酵母エキスを添加した。添加後のオレンジ微粉砕物のBrix値を測定した。
このオレンジ微粉砕物を嫌気性条件下で24時間静置した。
静置24時間後にBrix値を再度測定し、この混合物1Kgをろ過し、混合エキスCを得、混合エキスC100mLを凍結乾燥し、乾燥粉末を得た。
また、残りの混合物1Kgは、そのままスプレードライし、混合粉末Cを得た。
以上の実施例1、比較例1、比較例2で測定したBrix値および各発酵エキス及び混合エキスの乾燥粉末重量を表1に示す。
Figure 2004187672
表1より、本発明の発酵物は、発酵24時間後にBrix値が減少していることから、発酵前に熱を加えることで静菌成分が失活し、発酵が進むことが分かる。
また、発酵エキス作製のため、ろ過する直前に加熱した発酵エキスA、Bは、混合エキスCに比べ乾燥重量が多かったことから、加熱処理により、柑橘類外皮由来の成分の損失が少ないことが分かる。
(実施例2)
オレンジ微粉砕物2Kgをパイプ式熱交換機(株式会社奈良製作所製)中で105℃、15分間加熱処理を行った。
この加熱処理したオレンジ微粉砕物へ40gのグルコースおよび2gの酵母エキスを添加し、水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整した。
添加後のオレンジ微粉砕物のBrix値(国際砂糖分析法標準化委員会にて定義される蔗糖溶液の重量/重量パーセント)と、0.1NのNaOHを用いた中和滴定による酸度の測定した。
このオレンジ微粉砕物へ湿菌体重量で3gの乳酸菌(協和発酵株式会社製)を添加し、嫌気性条件下で24時間発酵を行った。
発酵24時間後にBrix値を再度測定し、この発酵物を、パイプ式熱交換機にて100℃、10分間加熱処理を施した後、発酵物1Kgは、加熱後ろ過してそのままスプレードライし、発酵粉末Dを得た。
(実施例3)
実施例2の加熱処理の変わりに、オレンジ微粉砕物へ最終濃度が0.1重量%となるように炭酸カルシウムを添加したこと以外は、実施例2と同様におこない、発酵粉末Eを得た。
(比較例3)
実施例2の加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様に行い、発酵粉末Fを得た。
(比較例4)
実施例2の乳酸菌を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様に行い、混合粉末Gを得た。
以上の実施例2、実施例3、比較例3、比較例4で測定したBrix値および酸度を表2に示す。
Figure 2004187672
表2より、本発明の工程を経た発酵物は、発酵24時間後にBrix値が減少していることから、発酵前に熱を加えることで静菌成分が失活し、発酵が進むことが分かる。
特に、金属塩を添加すると酸度の上昇が大きいことから、発酵がより進むことが分る。
(加熱による回収量の比較)
実施例3の発酵物の残り0.5Kgを100℃、10分加熱した後に、後直ちにろ過し、発酵エキスE1を得、100mLの発酵エキスE1を凍結乾燥し、発酵エキス末E1を得た。
また、更に残りの0.5Kgは室温に戻した後、加熱せずに濾過を行い、発酵エキスE2を得、100mLの発酵エキスE2を凍結乾燥し、発酵エキス末E2を得た。この発酵エキスE1、E2の乾燥重量を比較し、加熱濾過後の回収率を比較した。
測定の結果、E1は1.51g、E2は1.19gであった。このことは、発酵エキス作製のため濾過する直前に加熱した発酵エキスE1は、加熱を行わなかったE2に比べ乾燥重量が多かったことから、加熱処理により、柑橘類外皮由来の成分の損失が少ないことが分かる。
(ヘスペリジンの測定)
上記によって得られた発酵粉末(A,B,D,E,F)、混合粉末C,Gに柑橘類由来の有効成分が損失なく含有されているかを調べるため、柑橘類由来の成分であるヘスペリジンをHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって測定した。
発酵粉末1gを水200mL、メタノール20mLに溶解し、加熱還流抽出を行い、フィルター濾過した溶液中のヘスペリジンを、下記条件にてHPLCにより測定した。
なお、ヘスペリジンの定量のため、ヘスペリジンの標品(シグマ・アルドリッチジャパン製)を用いた。
(HPLC条件)
機器 LC−10ATvp(株式会社島津製作所製)
カラム YMC−Pack ODS−A A−312(6mm×15cm)
(株式会社ワイエムシイ製)
移動相 水:アセトニトリル:2−プロパノール=100:37:5、
0.4重量%クエン酸含有
測定波長 280nm
流速 1.0mL/min
測定の結果、発酵粉末中のヘスペリジン含有量は、発酵粉末A:423mg/100g、発酵粉末B:418mg/100g、混合粉末C:413mg/100gであった。
また、発酵粉末中のヘスペリジン含有量より算出した柑橘類外皮100gあたりの換算量は、発酵粉末D:17.4mg、発酵粉末E:17.8mg、発酵粉末F:16.8mg、混合粉末G17.0mgであった。
この結果から、本発明によって得られた発酵粉末A、D、Eは、発酵および2度の加熱によっても柑橘類外皮に存在する有効成分の損失は少なく、発酵物中にヘスペリジンが含有されていることが分かる。また、濾過前に加熱することでエキスに有効成分量が多くなっていることが分る。
(官能試験)
上記によって得られた各発酵粉末および混合粉末3gを100mLの水に溶解し、被験者10名によってその香りと食感についての官能試験を行った。
香りについては、いずれが好ましいかを回答してもらい、食感については苦味と食したときの風味のよさについていずれの発酵粉末がよいかを回答してもらった。
なお、いずれの質問事項に関しても、優劣判断しにくいことを考慮し、「どちらとも言えない」という選択肢を設けた。
被験者に対しては、それぞれの発酵物を単にA、B、Cとして評価を求めた。
結果を表3に示す。
また、上記によって得られた発酵粉末D、E、Fおよび混合粉末Gを各3gを100mLの水に溶解し、被験者10名によってその香りと食感についての官能試験を行った。
香りについては、いずれが好ましいかを回答してもらい、食感については苦味と食したときの風味のよさについていずれの発酵粉末がよいかを回答してもらった。
なお、いずれの質問事項に関しても、優劣判断しにくいことを考慮し、「どちらとも言えない」という選択肢を設けた。
被験者に対しては、それぞれの粉末を単にD、E、F、Gとして評価を求めた。
結果を表4に示す。
Figure 2004187672
Figure 2004187672
表3に示すように、本発明の方法により得られた発酵粉末Aは、他の工程によって得られた発酵粉末Bおよび混合粉末Cと比べ、食したときの風味が良いだけでなく苦味が低減されており、さらに香りについては同等であったため、発酵物は発酵により優れた嗜好性を持つことが明らかである。
表4に示すように、本発明の方法により得られた発酵粉末D、Eは、他の工程によって得られた発酵粉末F、混合粉末Gと比べ、食したときの風味が良いだけでなく苦味が低減されており、さらに香りについては同等であったため、発酵物は発酵により優れた嗜好性を持つことが明らかである。
(発酵の安定性の比較)
実施例2および実施例3の発酵について、同様の操作を5回繰り返し行い、発酵前および発酵後の酸度を測定した。
各5回の発酵および測定終了後、酸度が発酵前に比べ0.2以上上昇した場合を発酵したものとしてカウントし、発酵の再現性を確認した。
結果を表5に示す。
Figure 2004187672
表5の結果から、二価の金属塩を添加して発酵した場合は全て成功しており、発酵が安定に行えることが分かる。
(実施例4)
イチゴ1Kgへ精製水1Kgを添加し、マスコロイダーを用いて破砕した。この破砕物を100℃、10分間加熱処理し、破砕物中に10gのトウモロコシ抽出物(ソルリス:オリエンタル酵母工業株式が社)と100gのグルコースを添加して、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整した。
次いでBrix値、酸度を測定した後に乳酸菌3gを添加して、30℃、48時間発酵を行った。発酵終了後に再度Brix値、酸度を測定した。
結果を表6に示す。
(実施例5)
実施例4の加熱処理の変わりに破砕物中の最終濃度が1重量%となるように炭酸カルシウムを添加したこと以外は、実施例4と同様に行った。
結果を表6に示す。
(実施例6)
実施例4の加熱処理の後に最終濃度が0.2重量%の炭酸カルシウムを添加したこと以外は、実施例4と同様に行った。
結果を表6に示す。
(比較例5)
実施例4の乳酸菌を添加しなかったこと以外は、実施例4と同様に行った。
結果を表6に示す。
Figure 2004187672
表6の結果から本発明の加熱処理または塩処理により、発酵が行われていることが分かる。また、加熱処理より塩処理の方が酸度の上昇が大きいことから、塩処理の方がより発酵を促進できていることが分かる。さらに、加熱処理と塩処理を組み合わせることで、発酵がよく進んでいることが分かる。
(実施例7)
ブルーベリー1Kgへ水1Kgを添加し、マスコロイダーで破砕した後に、炭酸カルシウムを10g添加して攪拌した。
次いで10gの酵母エキスと20gのグルコースを添加し、Brix値と酸度を測定した後に乳酸菌を2g添加して、30℃、72時間発酵を行った。
72時間後にBrix値および酸度を測定したところ、Brix値は6.0から1.8に減少し、酸度が0.22から0.99に上昇していたことから、発酵が十分に行えることが分かった。
(実施例8)
グレープフルーツ1Kgへ水1Kgを添加し、マスコロイダーで破砕し、100℃、10分間の加熱を行った。加熱後に40gのグルコースおよび2gの酵母エキスを添加し、2gの炭酸カルシウムを添加した後に、水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整した。
ついでBrix値を測定し、パン酵母を3g添加して30℃、48時間培養した。
48時間後Brix値を測定したところ、4.1から1.0にまで低下しており、この発酵物から得た発酵エキスは優れた嗜好性を有していた。
(実施例9)
飲料製造時の残渣であるグレープフルーツの外皮およびじょうのう膜0.5Kgを水(15℃)で洗浄した後、ダイサー((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、0.5cmの大きさに裁断し、さらにコミトロール((株)アーシェル・ジャパン製)を用いて、平均粒径が100μmとなるように微粉砕した。
この微粉砕したグレープフルーツ外皮の微粉砕物(以下「グレープフルーツ微粉砕物」という)へ等重量の精製水を加え、パイプ式熱交換機(株式会社奈良製作所製)中で105℃、15分間加熱して、静菌作用を有する物質の静菌作用を失活させた。
この加熱処理したオレンジ微粉砕物へ炭酸カルシウムを添加してpHを7.0にした後、最終濃度が2重量%のグルコースおよび0.5重量%の酵母エキスとなるようにグルコース、酵母エキスを添加した。
添加後のオレンジ微粉砕物のBrix値を測定したところ4.5であった。
このオレンジ微粉砕物へ湿菌体重量で1gのパン酵母(オリエンタル酵母株式会社)を添加し、好気性条件下で24時間発酵を行った。発酵24時間後にBrix値を再度測定したところ、1.5であった。
この発酵物0.5Kgをろ過し、発酵エキスを得た。
また、残りの発酵物0.5Kgは、そのまま凍結乾燥し、発酵粉末を得た。
いずれの発酵物とも黄色を呈していることから、カロチノイドを含んでいることが分かり、柑橘類の外皮特有の苦味が低減していた。
さらに、酵母発酵特有の風味を呈していた。
(実施例10)
実施例1および9にて得られた発酵粉末を用いて、下記の配合比で錠剤(200mg)を製造した。本錠剤は柑橘類特有の香気を有し、風味も優れていた。
(配合比)
実施例1および9の発酵物 30重量部
結晶セルロース 15重量部
蔗糖エステル 5重量部
二酸化ケイ素 2重量部
卵殻カルシウム 48重量部
(実施例11)
実施例1および9にて得られた発酵エキスを用いて、下記の配合比で飲料を製造した。
本錠剤は柑橘類特有の香気を有し、苦味もなく嗜好性に優れていた。
(配合比)
実施例1および9の発酵エキス 4.4L
スクラロース 0.008L
クエン酸 0.16L
L−アスコルビン酸 0.03g
水にて100Lに調整する
(実施例12)
実施例2および3にて得られた発酵粉末を用いて、下記の配合比で錠剤(200mg)を製造した。本錠剤は柑橘類特有の香気を有し、風味も優れていた。
(配合比)
実施例2および3の発酵物 30重量部
結晶セルロース 15重量部
蔗糖エステル 5重量部
二酸化ケイ素 2重量部
卵殻カルシウム 48重量部
(実施例13)
実施例2および3にて得られた発酵エキスを用いて、下記の配合比で飲料を製造した。
本錠剤は柑橘類特有の香気を有し、苦味もなく嗜好性に優れていた。
(配合比)
実施例2および3の発酵エキス 4.4L
スクラロース 0.008L
クエン酸 0.16L
L−アスコルビン酸 0.03g
水にて100Lに調整する。
この発明にかかる果物外皮を含む発酵物の製造方法による発酵物は、特には、食品等の製造に適用できる。

Claims (4)

  1. 静菌作用を有する物質を含む果物および/又は果物外皮を発酵する発酵物の製造方法において、静菌作用を失活させる工程を含むことを特徴とする、果物外皮を含む発酵物の製造方法。
  2. 静菌作用を失活させる工程が加熱処理および/又は金属塩処理することを特徴とする、請求項1に記載の果物外皮を含む発酵物の製造方法。
  3. 前記果物が、柑橘類、イチゴ、リンゴ、ブルベリーの何れか一種以上である、請求項1又は2に記載の果物外皮を含む発酵物の製造方法。
  4. 前記発酵工程が乳酸菌発酵工程であることを特徴とする、請求項1ないし3の何れかに記載の果物外皮を含む発酵物の製造方法。
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