JP2011173849A - パナキサトリオール安定化組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パナキサトリオール((A)成分)と、マンニトールからなるパナキサトリオール安定化剤((B)成分)とを含有するパナキサトリオール安定化組成物である。
【選択図】なし
Description
しかし、この加水分解処理物中のパナキサトリオールは、そのままでは安定性が悪く、経時的に分解されてしまう点で問題であった。
<1> パナキサトリオール((A)成分)と、マンニトールからなるパナキサトリオール安定化剤((B)成分)とを含有することを特徴とするパナキサトリオール安定化組成物である。
<2> パナキサトリオール((A)成分)が、サポニン含有植物に、0.01mol/L〜4mol/L濃度の強酸水溶液を作用させて加水分解処理を施し、得られた加水分解処理後の液を中和後、濾過し、残渣を乾燥して得られる前記<1>に記載のパナキサトリオール安定化組成物である。
<3> 加水分解処理を低級アルコールの存在下で行う前記<2>に記載のパナキサトリオール安定化組成物である。
<4> 加水分解処理後かつ濾過前に、加水分解処理後の液に水を加え、加水分解処理後の液中の低級アルコール濃度を50容量%以下に調整する前記<2>から<3>のいずれかに記載のパナキサトリオール安定化組成物である。
<5> パナキサトリオール安定化剤((B)成分)の含有量が、0.5質量%〜5質量%である前記<1>から<4>のいずれかに記載のパナキサトリオール安定化組成物である。
<6> パナキサトリオール((A)成分)の含有量と、パナキサトリオール安定化剤((B)成分)の含有量との質量比((A)/(B))が、0.1〜50.0である前記<1>から<5>のいずれかに記載のパナキサトリオール安定化組成物である。
<7> 飲食品である前記<1>から<6>のいずれかに記載のパナキサトリオール安定化組成物である。
本発明のパナキサトリオール安定化組成物は、パナキサトリオール((A)成分)と、マンニトールからなるパナキサトリオール安定化剤((B)成分)とを含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記(A)成分であるパナキサトリオールは、下記構造式(1)で表されるダンマラン系トリテルペン類に属する化合物である。
前記(A)成分は、植物由来のサポニン(配糖体)から糖がはずれ、側鎖が閉環したサポゲニンである。
前記(A)成分の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サポニンを含有する植物より得る方法、合成する方法などが挙げられる。また、市販品を用いることもできる。これらの中でも、サポニンを含有する植物より得る方法が、安全性の高いパナキサトリオール安定化組成物を得ることができる点で好ましく、サポニンを含有する植物に、所定濃度の強酸水溶液を作用させて加水分解処理を施し(以下、「加水分解処理工程」と称することがある。)、得られた加水分解処理後の液を中和後(以下、「中和工程」と称することがある。)、濾過し(以下、「濾過工程」と称することがある。)、残渣を乾燥する(以下、「乾燥工程」と称することがある。)方法が、パナキサトリオールを多く含有し、簡便に製造できる点でより好ましい。
前記パナキサトリオールの原料として使用されるサポニン含有植物としては、サポニンが含まれる天然物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウコギ科トチバニンジン属田七人参の根、ウコギ科トチバニンジン属御種人参の根(ニンジン)、ウコギ科トチバニンジン属トチバニンジンの根(チクセツニンジン)、セリ科ミシマサイコ属ミシマサイコの根(サイコ)、ヒメハギ科ヒメハギ属イトヒメハギの根(オンジ)、ヒメハギ科ヒメハギ属ヒロハセネガの根(セネガ)、キキョウ科キキョウ属キキョウの根、ウリ科アマチャヅル属アマチャヅルの全草、マメ科カンゾウ属カンゾウの根、ヒユ科イノコズチ属ヒナタイノコズチの根(ゴシツ)、アケビ科アケビ属ミツバアケビの茎(モクツウ)、クロウメモドキ科ナツメ属ナツメの実(タイソウ)、ユリ科ハナスゲ属ハナスゲの根茎(チモ)、ユリ科ジャノヒゲ属ジャノヒゲの根(バクモンドウ)、ヤマノイモ科ヤマノイモ属オニドコロの根茎(ヒカイ)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記加水分解処理工程は、前記サポニン含有植物に、所定の濃度の強酸水溶液を作用させ、前記植物中のサポニンを加水分解し、サポニンよりも体内吸収性に優れたサポゲニンである前記(A)成分を生成させる工程である。
前記強酸水溶液における酸の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mol/L〜4mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜3mol/Lがより好ましい。前記酸の濃度が、0.01mol/L未満であると、加水分解が不十分で効率よく前記(A)成分が生成されないことがあり、4mol/Lを超えると、加水分解が進み過ぎることがあり、また不経済である。一方、前記酸の濃度が前記好ましい範囲内であると、十分な加水分解により効率よく前記(A)成分を生成することができる。
前記加水分解処理は、低級アルコールの存在下で行うことがより好ましい。前記加水分解工程において低級アルコールを使用することにより、前記サポニン含有植物と、前記強酸水溶液との親和性を向上させ、効率よく加水分解を進めることが可能となる。
また、前記低級アルコールを使用することにより、得られる前記(A)成分の味や取り扱い性を向上させることができる点でも有利である。
前記低級アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数が1〜5のアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、メタノール、エタノール、プロパノールが好ましく、安全性の点からエタノールが特に好ましい。
なお、前記「加水分解液総量」とは、前記強酸水溶液、及び、前記低級アルコールを含めた全反応液量のことをいう。
前記中和工程は、前記加水分解工程で得られた加水分解後の液を中和する工程である。
前記中和を行なう方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記加水分解後の液に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強塩基水溶液を適宜添加することにより行うことができる。
前記中和後のpHとしては、中性であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜8が好ましい。
前記濾過工程は、前記中和工程で中和した後の加水分解処理後の液を濾過し、濾液と、残渣とに分離する工程である。
前記濾過の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
なお、濾過後は、更に塩がなくなるまで水洗を繰り返してもよい。
前記加水分解処理工程で低級アルコールを使用しなかった場合は、中和後、そのまま前記濾過工程に進むことができるが、低級アルコールを使用した場合は、濾過前に、生成された前記(A)成分の残渣への残留を促す目的で、水を加えて加水分解処理後の液中の低級アルコール濃度を下げることが好ましい。
この場合に添加する水の量は多いほどよいが、加水分解処理後の液中の低級アルコール濃度は、低いほど好ましく、具体的には50容量%以下となるように添加することが好ましく、30容量%以下となるように添加することがより好ましく、10容量%以下となるように添加することが更に好ましい。前記加水分解処理後の液中の低級アルコール濃度が、50容量%を超えたまま濾過に供すると、生成された前記(A)成分が低級アルコールに溶解して濾液として排出されてしまい、残渣中のサポゲニン含有量が減少してしまうことがある。一方、前記加水分解処理後の液中の低級アルコール濃度を、前記更に好ましい範囲内とすると、より残渣中の前記(A)成分の含有率を高めることができる点で有利である。
前記乾燥工程は、前記濾過工程後の残渣を乾燥し、前記(A)成分の乾燥物を得る工程である。
前記乾燥を行う方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凍結乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥法、減圧乾燥法などが挙げられる。
前記パナキサトリオール安定化組成物における、前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、多いほどよいが、0.1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、5質量%以上が特に好ましい。
前記パナキサトリオール安定化組成物における、前記(A)成分の分解率は、製造直後のパナキサトリオール安定化組成物中の前記(A)成分(パナキサトリオール)の含有量を「初期(A)成分量」とし、適当な時間放置後のパナキサトリオールの含有量を「保存後(A)成分量」としたとき、次式により算出することができる。
分解率(%)=(初期(A)成分量−保存後(A)成分量)/初期(A)成分量×100
前記(B)成分であるパナキサトリオール安定化剤は、マンニトールからなる。マンニトールは、下記構造式(2)で表される化合物(CAS番号:69−65−8)であり、抗酸化作用を有し、前記(A)成分を安定化する目的で配合される。
なお、前記パナキサトリオール安定化組成物における、前記(B)成分の配合量は、多いほど前記(A)成分の安定化作用が優れるため、その上限に臨界的な意義はないが、5質量%程度配合すれば十分な安定化作用を得ることができる。
前記(A)成分の含有量と、前記(B)成分の含有量との質量比((A)/(B))としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜50.0が好ましく、0.7〜10.0がより好ましく、0.7〜1.0が更に好ましい。
前記(A)/(B)の質量比が、50.0を超えると、前記(A)成分を充分に安定化することができないことがある。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬理学的に許容される担体や、飲食品に利用される補助的原料又は添加物などが挙げられる。
前記補助的原料又は添加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記パナキサトリオール安定化組成物は、飲食品であることが好ましい。また、前記パナキサトリオール安定化組成物は、飲食品原料として使用されてもよく、既知の飲食品に含有されてもよい。
ここで、前記飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
前記飲食品の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康食品、栄養補助食品、医薬品、医薬部外品などが挙げられる。
前記パナキサトリオール安定化組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、更に必要に応じて前記その他の成分を混合する方法などが挙げられる。
前記パナキサトリオール安定化組成物の性状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乾燥した粉末の状態が、保存安定性を維持できる点で好ましい。
前記パナキサトリオール安定化組成物が、種々の形態の健康食品、栄養補助食品、医薬品、医薬部外品等として用いられる場合、その剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤、経口半固形剤、及び経口液剤などが挙げられる。
前記経口固形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、タブレット剤などが挙げられる。
前記経口固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、更に必要に応じて、前記その他の成分、各種添加剤に、賦形剤を加えることにより製造することができる。
前記賦形剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味/矯臭剤などが挙げられる。
前記崩壊剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。
前記滑沢剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。
前記矯味/矯臭剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
前記経口半分固形剤としては、液剤と固形剤の中間に位置するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、舐剤、チューインガム剤、ホイップ剤、ゼリー剤などが挙げられる。
前記経口半固形剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、更に必要に応じて、前記その他の成分に、ゲル化剤、増粘剤、安定剤などを加えることにより製造することができる。
前記増粘剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キサンタン、カラギーナン、ローカスト、グァー、タマリンド、ペクチンなどが挙げられる。
前記安定剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ガティゴムなどが挙げられる。
前記経口液剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。
前記経口液剤の製造方法としては、特に制限はなく、常法を使用することができ、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、更に必要に応じて、前記その他の成分に、添加剤を加えることにより製造することができる。
前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、矯味/矯臭剤、緩衝剤、安定化剤などが挙げられる。
前記緩衝剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記安定化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
前記パナキサトリオール安定化組成物の摂取方法、摂取量、摂取時期、及び摂取対象としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記摂取量としては、特に制限はなく、摂取対象個体の年齢、体重、体質、症状、他の成分を有効成分とする医薬の投与の有無など、様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
前記摂取対象となる動物種としては、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、トリ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することも可能である。
前記パナキサトリオール安定化組成物は、糖代謝改善作用等の生理活性を有するパナキサトリオールを安定に含有し、更にその安定性を維持しながら長期間保存可能であるため、健康維持のための飲食品として好適に利用可能である。
田七粉(松浦薬業株式会社製)100gを、25容量%エタノールを含む5.9容量%塩酸(1.92mol/L濃度の塩酸加水分解液)1Lに懸濁し、ゆっくりと攪拌しながら80℃で6時間加熱し、加水分解処理を行った。得られた加水分解処理後の液を氷上で冷却後、5M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7.0に調整した。次いで、蒸留水で10倍希釈し、吸引濾過した後、残渣を凍結乾燥することにより、田七粉の酸処理物を18g得た。この酸処理物を用い、後述する測定方法でパナキサトリオール(PT)の含有量を測定したところ、パナキサトリオール(以下、「PT」と称することがある。)の含有量は5.0質量%であった。
田七粉(松浦薬業株式会社製)100gを、5.9容量%塩酸(1.92mol/L濃度の塩酸加水分解液)1Lに懸濁し、ゆっくりと攪拌しながら80℃で6時間加熱し、加水分解処理を行った。得られた加水分解処理後の液を氷上で冷却後、5M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7.0に調整した。次いで、吸引濾過した後、残渣を加温通風乾燥することにより、田七粉の酸処理物を15g得た。この酸処理物を用い、後述する測定方法でパナキサトリオール(PT)の含有量を測定したところ、パナキサトリオール(PT)の含有量は3.5質量%であった。
田七粉(松浦薬業株式会社製)100gを、25容量%エタノールを含む5.0容量%硫酸(0.94mol/L濃度の硫酸加水分解液)1Lに懸濁し、ゆっくりと攪拌しながら80℃で6時間加熱し、加水分解処理を行った。得られた加水分解処理後の液を氷上で冷却後、5M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7.0に調整した。次いで、蒸留水で10倍希釈し、吸引濾過した後、残渣を凍結乾燥することにより、田七粉の酸処理物を16g得た。この酸処理物を用い、後述する測定方法でパナキサトリオール(PT)の含有量を測定したところ、パナキサトリオール(PT)の含有量は4.8質量%であった。
御種人参(松浦薬業株式会社製)100gを、25容量%エタノールを含む5.9容量%塩酸(1.92mol/L濃度の塩酸加水分解液)1Lに懸濁し、ゆっくりと攪拌しながら80℃で6時間加熱し、加水分解処理を行った。得られた加水分解処理後の液を氷上で冷却後、5M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7.0に調整した。次いで、蒸留水で10倍希釈し、吸引濾過した後、残渣を凍結乾燥することにより、田七粉の酸処理物を16g得た。この酸処理物を用い、後述する測定方法でパナキサトリオール(PT)の含有量を測定したところ、パナキサトリオール(PT)の含有量は1.8質量%であった。
田七粉(松浦薬業株式会社製)100gを、25容量%エタノールを含む0.031容量%塩酸(0.01mol/L濃度の塩酸加水分解液)1Lに懸濁し、ゆっくりと攪拌しながら90℃で24時間加熱し、加水分解処理を行った。得られた加水分解処理後の液を氷上で冷却後、5M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7.0に調整した。次いで、蒸留水で10倍希釈し、吸引濾過した後、残渣を凍結乾燥することにより、田七粉の酸処理物を18g得た。この酸処理物を用い、後述する測定方法でパナキサトリオール(PT)の含有量を測定したところ、パナキサトリオール(PT)の含有量は0.1質量%であった。
田七粉(松浦薬業株式会社製)100gを、25容量%エタノールを含む12.3容量%塩酸(4.0mol/L濃度の塩酸加水分解液)1Lに懸濁し、ゆっくりと攪拌しながら80℃で6時間加熱し、加水分解処理を行った。得られた加水分解処理後の液を氷上で冷却後、5M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7.0に調整した。次いで、蒸留水で10倍希釈し、吸引濾過した後、残渣を凍結乾燥することにより、田七粉の酸処理物を16g得た。この酸処理物を用い、後述する測定方法でパナキサトリオール(PT)の含有量を測定したところ、パナキサトリオール(PT)の含有量は3.4質量%であった。
田七粉(松浦薬業株式会社製)100gを、80容量%エタノールを含む5.9容量%塩酸(1.92mol/L濃度の塩酸加水分解液)1Lに懸濁し、ゆっくりと攪拌しながら80℃で6時間加熱し、加水分解処理を行った。得られた加水分解処理後の液を氷上で冷却後、5M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7.0に調整した。次いで、蒸留水を0.6L加え、吸引濾過した後、残渣を凍結乾燥することにより、田七粉の酸処理物を13g得た。この酸処理物を用い、後述する測定方法でパナキサトリオール(PT)の含有量を測定したところ、パナキサトリオール(PT)の含有量は1.2質量%であった。
製造例1〜7の酸処理物におけるパナキサトリオール(PT)の含有量の測定方法は以下のとおりである。
製造例1〜7の酸処理物約0.1gを精密に量り、エタノール(純度99.5質量%)約8mLを加え、超音波槽を用いて15分間懸濁した。約700×gで10分間遠心した後、上清にエタノール(純度99.5質量%)を加えて正確に10mLとした。この液につき、下記の条件でガスクロマトグラフィーにより測定した。なお、下記条件におけるパナキサトリオール(PT)の保持時間は約29分間であった。
−GC測定条件−
ガスクロマトグラフ : GLサイエンス社製 GC353B
検出器 : 水素炎イオン化検出器(FID)
注入法 : スプリット注入法(スプリット比 1:50)
カラム : J&W社製 DB−17MS(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
カラム温度 : 初期温度:310℃
初期温度保持時間:20分間
昇温速度:10℃/分間
到達温度:320℃
到達温度保持時間:14分間
キャリヤーガス : ヘリウム
流量 : 1.5mL/分間
注入口温度 : 320℃
検出器温度 : 320℃
注入量 : 1μL
製造例1〜7の酸処理物9gに、表3〜11に記載の配合量(質量%)に従いD(−)−マンニトール(和光純薬工業株式会社製)を添加し、乳鉢で混合した。これをスクリューキャップ付き褐色ガラス瓶に入れ、40℃で3箇月間保存した後、前記製造例1〜7と同様の方法でガスクロマトグラフィーによりパナキサトリオール(PT)の含有量を測定した。結果を表3〜11に示す。
製造例1〜7の酸処理物10gをスクリューキャップ付き褐色ガラス瓶に入れ、40℃で3箇月間保存した後、前記製造例1〜7と同様の方法でガスクロマトグラフィーによりパナキサトリオール(PT)の含有量を測定した。結果を表4〜11に示す。
製造例1〜7の酸処理物9gに、表4〜11に記載の配合量(質量%)に従い、(+)−カテキン水和物(和光純薬工業株式会社製)、エチレンジアミン四酢酸(二ナトリウム塩、二水和物)(EDTA:和光純薬工業株式会社製)、アスタキサンチン(和光純薬工業株式会社製)、及び亜硫酸ナトリウム(無水)(和光純薬工業株式会社製)のいずれか(以下、これらの比較成分を「(B’)成分」と称することがある。)を添加し、乳鉢で混合した。これをスクリューキャップ付き褐色ガラス瓶に入れ、40℃で3箇月間保存した後、前記製造例1〜7と同様の方法でガスクロマトグラフィーによりパナキサトリオール(PT)の含有量を測定した。結果を表4〜11に示す。
製造例1〜7の酸処理物中のパナキサトリオール(PT)含有量を「初期PT量」とし、実施例1〜11及び比較例1〜43において40℃で3箇月間保存後のパナキサトリオール(PT)含有量を「保存後PT量」としたとき、次式によりパナキサトリオール(PT)の分解率(%)を算出した。分解率は、10%以下を良好とした。結果を併せて表3〜11に示す。
分解率(%)=(初期PT量−保存後PT量)/初期PT量×100
マンニトールは抗酸化剤として知られているが、パナキサトリオール(PT)は、その他の抗酸化作用を有する化合物と混合しても安定性の向上が認められなかったことから、詳細は不明であるが、前記パナキサトリオールの安定化はマンニトールの抗酸化作用のみに起因するものではないと推察される。
Claims (4)
- パナキサトリオール((A)成分)と、マンニトールからなるパナキサトリオール安定化剤((B)成分)とを含有することを特徴とするパナキサトリオール安定化組成物。
- パナキサトリオール安定化剤((B)成分)の含有量が、0.5質量%〜5質量%である請求項1に記載のパナキサトリオール安定化組成物。
- パナキサトリオール((A)成分)の含有量と、パナキサトリオール安定化剤((B)成分)の含有量との質量比((A)/(B))が、0.1〜50.0である請求項1から2のいずれかに記載のパナキサトリオール安定化組成物。
- 飲食品である請求項1から3のいずれかに記載のパナキサトリオール安定化組成物。
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JP2010040652A JP5546900B2 (ja) | 2010-02-25 | 2010-02-25 | パナキサトリオール安定化組成物 |
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JP2010040652A JP5546900B2 (ja) | 2010-02-25 | 2010-02-25 | パナキサトリオール安定化組成物 |
Publications (2)
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