JP2009090787A - カウル構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】カウルルーバの見切り部付近に衝撃力が加えられたときに衝撃エネルギーが吸収されるようにしたカウルルーバを提供する。
【解決手段】車両フロントガラス11の下縁を支持するカウルパネル12とボンネットのフードパネル14との間に配置し、前縁がフードパネルの後縁にシール部材を介して当接し、フードパネル後縁の後方に露出する見切り部13dを有すると共に、前縁と見切り部との間を下方に向かって凹状に形成し、この凹状部分の下部がカウルパネルの前方に突出したカウルフロントパネル12cに接合したカウルルーバ13であって、見切り部からカウルパネルのフロントパネル部に対する接合部まで下方に延びて見切り壁13eを配設し、見切り壁が車両前後方向に延びる垂直断面内で後方に突出した屈曲部13fを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車のフロントガラスとボンネットのフードとの間に構成されるカウル構造に関し、特に衝突時における歩行者の頭部のダメージを低減するカウル構造に関するものである。
一般に、自動車のフロントガラス(ウィンドウシールドガラス)は、自動車の車体に対して、その上縁がフロントヘッダ部により支持され、またその下縁がカウル部により支持されている。
このようなカウル部に関しては、フロントガラス接着部の所謂カウル剛性、あるいはボンネットのフード後端とカウル部のカウルルーバとのシール部剛性及びシール性等を確保しながら、歩行者の頭部保護性能を向上させるために、種々のカウル構造が提案されている。
例えば図5に示すようなカウル構造が知られている。図5において、カウル構造1は、フロントガラスを支持するためのカウルパネル2と、カウルルーバ3と、から構成されている。
カウルパネル2は、実際にはカウルインナパネル,カウルアウタパネル(何れも図示せず)及びカウルフロントパネルから構成されており、カウルインナパネルの上端付近に取り付けられたカウルアウタパネルがフロントガラス(図示せず)を支持している。
ここで、カウルフロントパネル2aは、カウルインナパネルの下端付近から前方に延びるように取り付けられており、その先端2bが、自動車のボンネットにおけるフードパネル4の後縁4aの下側付近にまで延びている。フードパネル4は、フードアウタパネル4b及びフードインナパネル4cから構成されている。
カウルルーバ3は、カウルパネル2のカウルアウタパネルとフードパネル4の後縁4aの間に配置されており、前後方向の中間付近が下方に凹状の水槽部として形成されていると共に、この水槽部の下部(底裏面)3aが、カウルフロントパネル2aの先端2bに対して接合されている。また、カウルルーバ3は、その前端3bに備えたシール部3cが、ボンネット閉鎖時にそのフードパネル4の後縁4aに液密的に当接している。さらに、カウルルーバ3は、フードパネル4の後縁4aから後方に位置する部分が外側に露出して、見切り部3dを形成している。
このような構成のカウル構造1によれば、フロントガラスの下端がカウルパネル2により支持される。
また、カウルルーバ3により、カウルパネル2とフードパネル4との間において、エンジンルームから車室への臭気,熱風や騒音が遮断され、また外部からエンジンルーム内への雨水や洗車水等の浸入が阻止される。
さらに、フロントガラスとフードパネル4との間で、カウル構造1の内部へのゴミ,水,雪等の侵入が防止されると共に、カウル構造1内に設けられるワイパーユニット(図示せず)が保護され、また車室内への空調吸気口及び通路が確保される。
ところで、このようなカウル構造1においては、カウルルーバ3の見切り部3dと接合部分3aに向かって下方に延びる所謂見切り壁3eがほぼ垂直の「I」字形の縦壁として形成されている。
このため、歩行者との衝突時に、歩行者の頭部等がフードパネル4の後縁4a付近に当たると、フードパネル4の後縁4a付近は、歩行者保護対策により容易に変形し得るので、衝撃力の大部分がカウルルーバ3の見切り部3dに作用することになる。
ここで、見切り壁3eがほぼ垂直の縦壁として形成されていることから、見切り壁3eは、その壁面方向には衝撃荷重による変形が起こりにくい。従って、見切り部3dに加えられた衝撃力Fが見切り壁3eを介して、カウルフロントパネル2aに伝達される。
このため、全体としての変形ストロークが短くなり、カウルフロントパネル2aから見切り壁3eを介して歩行者の頭部等に対して大きな反力が作用してしまう。
また、自動車のエンジンルーム内における各種機器の配置等により、カウルルーバ3の見切り壁3eが前後方向にずれて配置されることがあり、例えば図6に示すように前傾して、「L」字形に形成されることもある。この場合も同様に、上述した衝撃力Fが見切り壁3eを介してカウルフロントパネル2aに伝達され、歩行者の頭部等に対して反力が作用することになる。
なお、板金の都合上、鉛直線に対するカウルルーバ3の見切り壁3eの傾斜角度βは、鉛直線に対するカウルルーバ3の成形金型の抜き角度θに対して、型抜き可能であるような角度に設定されている。すなわち、θ≧βである。また、カウルルーバ3の底部3aからシール部3cまでの部分、所謂シール壁3fの傾斜角度γは、同様にしてカウルルーバ3の成形金型の抜き角度θに対して、型抜き可能であるような角度に設定されている。すなわち、θ≦γである。
これに対して、特許文献1には、シール部材がフードシール取付手段を介してカウルルーバに対して取り付けられたカウル構造が開示されている。このカウル構造によれば、フードパネルに対して上方から荷重が作用したとき、シール部材からフードシール取付手段に荷重が作用して、フードシール取付手段が破断あるいは折曲して、荷重によるエネルギーが吸収されると共に、フードパネルとフードシール取付手段の干渉が回避される。
特許文献2及び3には、カウルルーバ(カウルトップカバー)の前壁部と後壁部とを互いに連結する複数個のリブを設けて、このリブと前壁部または後壁部の連結部に切欠部及び弱部を設けることにより、フードパネルに上方から衝撃力が加えられた場合に、弱部が破断し、さらにリブが変形することにより衝撃エネルギーが吸収されるようにした、カウルルーバが開示されている。
特許文献4及び5には、フードパネルに上方から衝撃力が加えられたとき、シール部が変形することで衝撃力が吸収されるようにしたカウルルーバが開示されている。
特許文献6には、カウルフロントパネルの下端部を下方に延長してフロントバルクヘッドに対して、所定値以上の力が作用したとき離脱可能に結合したカウル構造が開示されている。このカウル構造によれば、フードパネルからカウルルーバを介してカウルフロントパネルに上方からの衝撃力が作用したとき、カウルフロントパネルの下端部がフロントバルクヘッドから脱落することにより、衝撃エネルギーが吸収される。
特許文献7には、カウルルーバ(カウルトップカバー)の本体部を変形可能に形成すると共に、その後端部がスライド可能にフロントガラスの下端を挟持するようにしたカウルルーバが開示されている。このカウルルーバによれば、フードパネルに上方から衝撃力が加えられたとき、カウルルーバの本体部が変形すると共に、その後端部がフロントガラスの下端に対して相対的にスライドすることにより、衝撃エネルギーが吸収される。
特許文献8には、フロントガラス下縁が固定されたカウルアウタパネル(カウルアッパパネル)の上壁部が強化ガラスにより支持されているカウル構造が開示されている。このカウル構造によれば、フロントガラスの下端付近に上方から衝撃力が加えられた場合に、この衝撃力がフロントガラス下端からカウルアウタパネルから強化ガラスに伝達されて、強化ガラスが瞬時に全面均一に細かい破片に粉砕し、衝撃エネルギーが吸収される。
特許文献9には、フロントガラスに衝撃力が加えられたとき、カウルアウタパネルそしてカウルインナパネルが変形することにより、衝撃力が吸収されるカウル構造が開示されている。このカウル構造によれば、カウルアウタパネルがカウルインナパネルに当接した後、カウルインナパネルが変形して衝撃が吸収され得るので、カウルアウタパネルとカウルインナパネルとの間に大きな空間を設ける必要がなく、またカウルインナパネルの変形量が小さくて済むので、カウル構造が小型化される。
特開平11−165654号公報 特開2005−289237号公報 特開2005−280628号公報 特開2001−146177号公報 特開2002−154456号公報 特開2002−046649号公報 特開2005−238915号公報 特開2004−034841号公報 特開2005−104438号公報
特許文献1から7によるカウル構造またはカウルルーバにおいては、何れもフードパネル後端付近に衝撃力が加えられた場合に、シール部,フードシール取付手段あるいはカウルルーバの弱部や本体部が変形することにより、衝撃エネルギーが吸収されるように構成されている。従って、カウルルーバの見切り部に対して上方から衝撃力が作用した場合については、考慮されていない。
また、特許文献8によるカウル構造においては、フロントガラス下端付近に衝撃力が加えられた場合に、カウルアウタパネルの上壁部を支持する強化ガラスが破壊することにより、衝撃エネルギーが吸収されるように構成されている。従って、カウルルーバの見切り部に対して上方から衝撃力が作用した場合については、同様に考慮されていない。
さらに、特許文献9によるカウル構造においては、フロントガラスに衝撃力が加えられた場合に、カウルアウタパネル及びカウルインナパネルが変形することにより、衝撃エネルギーが吸収されるように構成されている。従って、カウルルーバの見切り部に対して上方から衝撃力が作用した場合については、やはり考慮されていない。
本発明は、以上の点に鑑み、カウルルーバの見切り部付近に衝撃力が加えられたときに衝撃エネルギーが吸収されるようにしたカウルルーバを提供することを目的としている。
上記目的は、本発明によれば、自動車のフロントガラスの下縁を支持するカウルパネルとボンネットのフードパネルとの間に配置され、前縁がフードパネルの後縁にシール部材を介して当接し、フードパネル後縁の後方に露出する見切り部を有すると共に、前縁と見切り部との間が上方に開いた凹状に形成され、この凹状部分の下部がカウルパネルの前方に突出したフロントパネル部に接合されているカウルルーバであって、見切り部からカウルパネルのフロントパネル部に対する接合部まで下方に延びて見切り壁が配設され、この見切り壁が車両前後方向に延びる垂直断面内で後方に突出した屈曲部を備えていることを特徴とするカウルルーバにより達成される。
本発明によるカウルルーバは、好ましくは、屈曲部が垂直断面内で見切り壁の高さ方向中間付近に設けられている。
本発明によるカウルルーバは、好ましくは、見切り壁の屈曲部から下方の部分が、カウルルーバの見切り部に上方から衝撃力が加えられたとき、その上端が見切り壁の屈曲部から上方の部分に対して屈曲部で折れ曲がりながら、その下端がカウルルーバのフロントパネル部に対して回動して変形する。
見切り壁は、その折れ曲がり変形による稜線部分に沿って肉薄の線状の切欠部を備えていることが好ましい。
上記構成によれば、カウルルーバにより、カウルパネルとフードパネルとの間が密閉されているので、エンジンルームから車室への臭気,熱風や騒音が遮断され、また外部からエンジンルーム内への雨水や洗車水等の浸入が防止される。
さらに、カウル構造の内部へのゴミ,水,雪等が入り込むのが防止されると共に、カウル構造の内側に設けられるワイパーユニットが保護され、車室内への空調吸気口及び通路が確保される。
ここで、歩行者との衝突時等において、歩行者の頭部等が自動車のボンネットのフードパネルとフロントガラスの間に当たって、カウルルーバの見切り部に衝撃力が加えられると、この衝撃力がカウルルーバの見切り壁からカウルパネルのフロントパネル部に伝達される。
このとき、カウルルーバの見切り壁が後方に突出した屈曲部を備えているので、衝撃力が加えられたとき、見切り壁がこの屈曲部で折れ曲がって容易に座屈する。このように見切り壁がその板面方向(上下方向)に圧縮されて潰れるので、見切り壁の衝撃による変形ストロークが大きくなり、衝撃力が十分に吸収されることになる。従って、カウルパネルのフロントパネル部から見切り壁を介して歩行者の頭部等に対して作用する反力が大幅に低減される。
屈曲部が垂直断面内で見切り壁の高さ方向中間付近に設けられている場合には、カウルルーバの見切り部に上方から衝撃力が加えられたとき、この衝撃力が屈曲部の上下に効果的に分散される。
見切り壁の屈曲部から下方の部分が、カウルルーバの見切り部に上方から衝撃力が加えられたとき、その上端が見切り壁の屈曲部から上方の部分に対して屈曲部で折れ曲がりながら、その下端がカウルルーバのフロントパネル部に対して回動して変形する場合には、カウルルーバの見切り部に上方から衝撃力が加えられたとき、見切り壁の屈曲部から下方の部分のみが折れ曲がって変形する。このため、折れ曲がりによる変形方向が衝撃力の方向に誘導されて、見切り壁を介して歩行者の頭部等に対して作用する反力がより効果的に減少される。
見切り壁が、その折れ曲がり変形による稜線部分に沿って肉薄の線状の切欠部を備えている場合には、カウルルーバの見切り部に上方から衝撃力が加えられたとき、衝撃力によって見切り壁がこれらの切欠部に従って容易に折れ曲がると共に、衝撃力が所定値より大きいと、見切り壁がこれらの切欠部に沿って破断することにより、衝撃力が効果的に吸収され、歩行者の頭部等への反力も小さくなる。
このように、本発明によれば、カウルルーバの見切り壁に屈曲部を設けて、この屈曲部における折れ曲がりを誘導することにより、歩行者の頭部等によりカウルルーバの見切り部に上方から衝撃力が加えられたとき、カウルルーバの見切り壁が屈曲部で折れ曲がって、座屈して衝撃力が効果的に吸収される。これにより、カウルルーバの見切り部における所謂、歩行者頭部保護性能が向上する。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態につき詳細に説明する。図中のFrは車両前方を、Upは車両上方を示す。
図1は、本発明によるカウルルーバの一実施形態を含むカウル構造の構成を示している。カウル構造10は、フロントガラス11を支持するためのカウルパネル12と、カウルルーバ13と、から構成されている。
カウルパネル12は、カウルインナパネル12a,カウルアウタパネル12b及びカウルフロントパネル12cから構成されている。カウルアウタパネル12bは、その後端がカウルインナパネル12aの上端付近に固設されており、その前端がフロントガラス11の下端を支持している。なお、図示の場合、カウルインナパネル12aの下端とカウルアウタパネル12bの前端とが、ブレース15により互いに連結され、補強されている。
カウルフロントパネル12cは、カウルインナパネル12aの下端付近から前方に延びるように取り付けられており、その先端12dが、自動車のボンネットにおけるフードパネル14の後縁14aの下側付近にまで延びている。なお、フードパネル14は、フードアウタパネル14b及びフードインナパネル14cから構成されている。
カウルルーバ13は、カウルパネル12のカウルアウタパネル12bとフードパネル14の後縁14aの間に配置されており、前後方向の中間付近が上方に開いた凹状の水槽部として形成されていると共に、この水槽部の下部(底裏面)13aが、カウルフロントパネル12cの先端12dに対して接合されている。
また、カウルルーバ13は、その前端13bに備えられたシール部13cが、ボンネット閉鎖時にフードパネル14の後縁14aに液密的に当接する。
さらに、カウルルーバ13は、フードパネル14の後縁14aから後方に位置する部分が外側に露出して、見切り部13dを形成している。
カウルフロントパネル12cの前方領域の上面には、ワイパー取付ブラケット16が装着されている。このワイパー取付ブラケット16には、図示しないワイパーユニットが取り付けられる。
ここで、カウルルーバ13は、この見切り部13dから接合部分13aに向かって下方に延びる、所謂、見切り壁13eが、図1に示す車両前後方向の垂直断面内で後方に突出した屈曲部13fを備えることにより、「く」字状の断面を有している。この屈曲部13fは、図1に示すように、高さ方向に関して中間付近に設けられており、見切り壁13eの屈曲部13fから上方の部分13gと下方の部分13hが、それぞれほぼ同じ高さを有するようになっている。
上方の部分13gは、図2に示すように、その鉛直線に対する傾斜角度βが、鉛直線に対するカウルルーバ13の成形金型の抜き角度θに対して、型抜き可能であるような角度(β≧θ)に設定されている。同様に、上記下方の部分13hは、その傾斜角度γが、カウルルーバ13の成形金型の抜き角度θに対して、型抜き可能であるような角度に設定されている。
ここで、上記下方の部分13hは、その下端の折れ曲がり変形によりカウルフロントパネル12cの表面の高さまで変形した状態において、その上端が変形前の上方の部分13gの延長線とカウルフロントパネル12cの表面との交点Pに位置するように構成されている。
また、上記見切り壁13eは、屈曲部13f及び下端の折れ曲がり変形すべき部分の稜線に沿って、それぞれ線状の切欠部(ノッチ)13i,13jを備えている。これらのノッチ13i,13jはそれぞれ肉薄に形成されており、衝撃力を受けたときに折れ曲がりを誘導すると共に、衝撃力が所定値以上の場合には破断するようになっている。
本実施形態のカウル構造10は以上のように構成されており、従来のカウル構造1と同様に、フロントガラス11の下端がカウルパネル12により支持されると共に、カウルパネル12とフードパネル14との間がカウルルーバ13により密閉されているので、エンジンルームから車室への臭気,熱風や騒音が遮断され、また外部からエンジンルーム内への雨水や洗車水等の浸入が防止される。
さらに、フロントガラス11とフードパネル14との間で、カウル構造10の内部へのゴミ,水,雪等の侵入が防止されると共に、カウル構造10内に設けられるワイパーユニット(図示せず)が保護され、また車室内への空調吸気口及び通路が確保される。
ここで、歩行者との衝突時等において、歩行者の頭部A等が自動車のボンネットのフードパネル14とフロントガラス11の間に当たって、カウルルーバ13の見切り部13dに衝撃力Fが加えられると、この衝撃力Fがカウルルーバ13の見切り壁13eからカウルパネル12のカウルフロントパネル12cに伝達される。
このとき、カウルルーバ13の見切り壁13eが後方に突出した屈曲部13fを備えているので、上記衝撃力Fが加えられたときは、図3に示すように見切り壁13eがこの屈曲部13fで折れ曲がって、容易に座屈する。同時に、見切り壁13eの下方の部分13hの下端がカウルフロントパネル12cに対して後方に傾くように変形する。これにより、見切り壁13eがその板面方向(上下方向)に圧縮されて潰れるので、見切り壁13dの衝撃力Fによる変形ストロークが大きくなり、上記衝撃力Fが十分に吸収されることになる。
従って、カウルパネル12のカウルフロントパネル12cから見切り壁13dを介して歩行者の頭部等に対して作用する反力が大幅に低減され、所謂歩行者頭部保護性能が大幅に向上する。
次に、上述した本実施形態のカウル構造10と図6に示した従来のカウル構造1における見切り部に上方から衝撃力が加えられた場合のシミュレーション結果について図4に示す。符号Xは本発明実施形態によるカウル構造10を、そして符号Yは従来のカウル構造1を示している。
図4は、見切り部に上方から衝撃力が加えられた場合のカウルルーバの変形ストロークとインパクタ減速との関係を示している。図4において、従来のカウル構造1は、カウルルーバの反力によるインパクタ減速の二次ピークが大きいが、本発明実施形態によるカウル構造10においては、この二次ピークの大きさが、カウルルーバ13の見切り部13eの屈曲部13fにおける折れ曲がりによる反力の減少に基づいて、減少していることが分かる。また、見切り部13eの屈曲部13fにおける折れ曲がりの分だけストロークは伸びている。
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。例えば、カウルルーバ13の見切り壁13eは、その屈曲部13f及び下端にそれぞれ折れ曲がりを誘導するノッチ13i,13jを備えているが、これに限らず、見切り壁13eの上端にもノッチを備えていてもよく、またこれらのノッチが省略されてもよい。
また、カウルルーバ13の見切り壁13eは、上方から衝撃力を受けたときその屈曲部13f及び下端で折れ曲がることで衝撃力を吸収するようになっているが、これに限らず、見切り壁13eの上端も折れ曲がって衝撃力を吸収するようにしてもよい。
以上述べたように、本発明によれば、カウルルーバの見切り部付近に衝撃力が加えられたときに衝撃エネルギーが吸収されるようにした、極め優れたカウルルーバが提供される。
本発明によるカウルルーバの一実施形態を含むカウル構造の構成を示す車両前後方向の概略断面図である。 図1のカウルルーバの見切り壁の構造を詳細に示す概略図である。 図1のカウルルーバにおける見切り部に上方から衝撃力が加えられた場合の変形状態を示す概略断面図である。 図1のカウルルーバと従来(図6)のカウルルーバにおける見切り部に上方から衝撃力が加えられた場合の変形ストロークと減速との関係を示すグラフである。 従来のカウルルーバの一例を含むカウル構造を示す車両前後方向の概略断面図である。 従来のカウルルーバの他の例を含むカウル構造を示す車両前後方向の概略断面図である。
符号の説明
10 カウル構造
11 フロントガラス
12 カウルパネル
12c カウルフロントパネル
13 カウルルーバ
13a 接合部分
13b 前端
13c シール部
13d 見切り部
13e 見切り壁
13f 屈曲部
13g 上方の部分
13h 下方の部分
13i,13j 切欠部
14 フードパネル
14a 後縁

Claims (4)

  1. 自動車のフロントガラスの下縁を支持するカウルパネルとボンネットのフードパネルとの間に配置され、前縁が上記フードパネルの後縁にシール部材を介して当接し、上記フードパネル後縁の後方に露出する見切り部を有すると共に、上記前縁と上記見切り部との間が上方に開いた凹状に形成され、この凹状部分の下部がカウルパネルの前方に突出したフロントパネル部に接合されているカウルルーバであって、
    上記見切り部からカウルパネルのフロントパネル部に対する接合部まで下方に延びて見切り壁が配設され、該見切り壁が車両前後方向に延びる垂直断面内で後方に突出した屈曲部を備えていることを特徴とする、カウルルーバ。
  2. 前記屈曲部が、前記垂直断面内で前記見切り壁の高さ方向中間付近に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のカウルルーバ。
  3. 前記見切り壁の屈曲部から下方の部分が、前記カウルルーバの見切り部に上方から衝撃力が加えられたとき、上端が前記見切り壁の前記屈曲部から上方の部分に対して前記屈曲部で折れ曲がりながら、下端が前記カウルルーバのフロントパネル部に対して回動して変形するよう構成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載のカウルルーバ。
  4. 前記見切り壁が、その折れ曲がり変形による稜線部分に沿って、肉薄の線状の切欠部を備えていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載のカウルルーバ。
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