JP2009045996A - 四輪車両のカウル構造 - Google Patents

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泰宏 前田
Munenobu Takeda
宗信 武田
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Abstract

【課題】成形上の問題を生じることなく、高い衝撃吸収能を確保することができる四輪車両のカウル構造を提供すること。
【解決手段】フロントフード3とフロントガラスとの間に配置されたカウルトップガーニッシュ5の本体部5Aに縦壁部5bを立設し、該縦壁部5bに被着されたフードシール12を介して前記フロントフード3の後端裏面を受けるとともに、カウルトップガーニッシュ5の本体部5A前端に形成された固定部5aをカウルアッパーパネル6の前端取付部6aに接合固定して成る四輪車両のカウル構造において、前記カウルトップガーニッシュ5の縦壁部5bを前記固定部5aに対して車体後方にオフセットして配置するとともに、該縦壁部5b近傍の本体部5Aに縦壁部5bに沿った長孔13を形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、衝撃吸収能を高めた四輪車両のカウル構造に関するものである。
自動車等の四輪車両においては、フロントフードとフロントガラスとの間に配置されたカウルトップガーニッシュの本体部に縦壁部を立設し、該縦壁部に被着されたフロントフードシールを介して前記フロントフードの後端裏面を受けるとともに、カウルトップガーニッシュの本体部前端に形成された固定部をカウルアッパーパネルの前端取付部に接合固定して成るカウル構造が採用されている。
ところで、自動車等の四輪車両が歩行者と衝突した場合には歩行者がフロントフードの後端部近傍に当接することが多いため、カウルトップガーニッシュやこれを支持するカウルアッパーパネルを容易に変形させて衝撃を吸収し、歩行者が受けるダメージを最小限に抑える対策が施されている。
例えば、特許文献1には、カウルアッパーパネルとカウルトップガーニッシュとの接合部に対して所定距離だけオフセットした折曲部をカウルトップガーニッシュの下端部近傍に形成することによって、簡素な構成でカウルトップガーニッシュに高い衝撃吸収能を確保するようにしたカウル構造が提案されている。
又、特許文献2には、カウルトップガーニッシュの前部を形成するフロントパネルの下端部を下方に延長してカウルアッパーパネルの上面に結合するとともに、斜め上方から所定値以上の力が作用した場合に両者の結合を離脱させることによって衝撃を吸収するようにした構成が提案されている。
ところが、上記特許文献2において提案された構成では、カウルトップガーニッシュの脱落によって初期の荷重のみしか吸収することができないという問題がある。
そこで、特許文献3には、カウルトップガーニッシュに、上方からの荷重によって変形する薄肉部(第1脆弱部)と、該薄肉部(第1脆弱部)の変形後に変形又は破断する薄肉部(第2脆弱部)を設けることによって、様々な大きさの荷重に対して衝撃を吸収することができるカウル構造が提案されている。
特開2006−240560号公報 特開2002−046649号公報 特開2005−306086号公報
しかしながら、特許文献3において提案されているように樹脂製のカウルトップガーニッシュに薄肉部(脆弱部)を形成することは成形的に必ずしも容易ではなく、成形上の問題を有していた。
又、カウルトップガーニッシュには、衝撃が加わる方向に縦壁部が形成されているためにその部分の剛性が高く、フロントフードに衝撃が加わってもカウルトップガーニッシュが容易に変形せず、該カウルトップガーニッシュの変形による衝撃吸収能が低いという問題があった。
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、成形上の問題を生じることなく高い衝撃吸収能を確保することができる四輪車両のカウル構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、フロントフードとフロントガラスとの間に配置されたカウルトップガーニッシュの本体部に縦壁部を立設し、該縦壁部に被着されたフードシールを介して前記フロントフードの後端裏面を受けるとともに、カウルトップガーニッシュの本体部前端に形成された固定部をカウルアッパーパネルの前端取付部に接合固定して成る四輪車両のカウル構造において、前記カウルトップガーニッシュの縦壁部を前記固定部に対して車体後方にオフセットして配置するとともに、該縦壁部近傍の本体部に縦壁部に沿った長孔を形成したにことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記カウルトップガーニッシュの縦壁部を前記固定部の後端部から上方に屈曲させて形成し、該縦壁部の中間高さ位置に段部を形成したことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記カウルアッパーパネルの前端部に複数の屈曲点を形成し、該前端部の側断面形状をZ形としたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記カウルトップガーニッシュの縦壁部の前記カウルアッパーパネルの前端取付部後端からのオフセット量aをカウルトップガーニッシュの肉厚t以上(a≧t)に設定したことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、カウルトップガーニッシュの縦壁部を固定部に対して車体後方にオフセットして配置するとともに、該縦壁部近傍の本体部に縦壁部に沿った長孔を形成したため、該カウルトップガーニッシュの縦壁部近傍の剛性が長孔によって下げられるとともに、長孔部分に応力が集中し、フロントフードに衝撃力が加わった場合にカウルトップガーニッシュの縦壁部が容易に変形して衝撃を効果的に吸収することができる。このように、本発明では、カウルトップガーニッシュに従来のような薄肉部を設けることなく衝撃を吸収することができるため、成形上の問題を生じることなく衝撃吸収能を高めることができる。
請求項2記載の発明によれば、カウルトップガーニッシュの縦壁部を固定部の後端部から上方に屈曲させて形成し、その中間高さ位置に段部を形成したため、カウルトップガーニッシュの下方に形成されるカウルボックスの容量を犠牲にすることなく、縦壁部を固定部に対して車体後方にオフセットさせることができる。又、段部によって縦壁部をクランク状に形成したため、その形状によって該縦壁部自体の変形を促進して衝撃吸収能を高めることができる。
請求項3記載の発明によれば、カウルアッパーパネルの前端部に複数の屈曲点を形成し、該前端部の側断面形状をZ形としたため、カウルトップガーニッシュの縦壁部の変形空間が確保され、該縦壁部が容易に変形してフロントフードの変形を妨げることがない。又、衝撃を受けた場合にカウルアッパーパネルが屈曲点を起点として容易に変形するため、このカウルアッパーパネルの変形によっても衝撃が効果的に吸収されて歩行者が受けるダメージが最小限に抑えられる。
請求項4記載の発明によれば、カウルトップガーニッシュの縦壁部のカウルアッパーパネルの前端取付部後端からのオフセット量aをカウルトップガーニッシュの肉厚t以上(a≧t)に設定したため、衝撃が加わった場合、カウルトップガーニッシュ固定部のカウルアッパーパネルの前端取付部後端が当接する部分に剪断力が作用し、その部分が剪断力によって破断され、この破断によって衝撃が吸収される
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るカウル構造を備えた自動車前部の斜視図、図2は図1のA部拡大平面図、図3は図2のB−B線断面図、図4は図3のC部拡大詳細図、図5は図4のD部拡大詳細図、図6は衝撃が加わった場合にカウルトップガーニッシュの縦壁部が破断する様子を示す部分側断面図である。
図1に示す自動車1の前部に設けられた図3に示すエンジンルーム2の上部は開閉可能なフロントフード3によって覆われており、該フロントフード3とその車体後方に配されたフロントガラス4との間には樹脂製のカウルトップガーニッシュ5が配置されている。
上記カウルトップガーニッシュ5は、図3に示すように、金属製のカウルアッパーパネル6とフロントカウル7によって形成されたカウルボックス8の上部開口を覆ってカウルボックス8の上面を構成しており、図2に示すように、カウルトップガーニッシュ5には車室内に外気を取り入れるための車体前後方向に長い複数の外気取入口9が形成されている。尚、前記カウルボックス8内には、不図示のワイパーモータ等の部品が収容され、該カウルボックス8を形成する前記カウルアッパーパネル6と前記フロントカウル7は、図3に示すように、互いに接合されてダッシュパネル10の上端に取り付けられている。
そして、図3〜図6に示すように、カウルトップガーニッシュ5の本体部5Aの前端には平坦な固定部5aが形成されており、この固定部5aは、前記カウルアッパーパネル6の前端に形成された平坦な前端取付部6a上に重ねられ、間にシール部材11を挟んで不図示のクリップによってカウルアッパーパネル6の前端取付部6aに固定されている。又、カウルアッパーパネル6の前端取付部6aの近傍には2つの屈曲点P1,P2が形成されており、この部分は側面視Z形の断面形状に成形されている。つまり、カウルアッパーパネル6は、前端取付部6aの後端で斜め下方に屈曲し、屈曲点P1,P2間で比較的なだらかとなって車両の後方側に延び、屈曲点P2で再び斜め下方に屈曲している。
ところで、図3及び図4に示すように、カウルトップガーニッシュ5の本体部5Aの固定部5aよりも車体後方にオフセットした位置には、フロントフード3の後端裏面に向かってスロントフードシール取付用の縦壁部5bが全幅に亘って一体に立設されている。そして、この縦壁部5bの上端にはゴム等の弾性体から成るフロントフードシール12が被着されており、前記フロントフード3の後端裏面はフロントフードシール12を介してカウルトップガーニッシュ5の前記縦壁部5bによって支持される。そして、上面がフロントフード3によって覆われたエンジンルーム2内の熱気がフロントフードシール12によって前記フロントフード3の後端から排出されることを防止している。
又、カウルトップガーニッシュ5の縦壁部5bは、固定部5aの後端部から上方に屈曲するよう形成されており、その中間高さ位置には段部5cが形成されている。ここで、図5に詳細に示すように、カウルトップガーニッシュ5の縦壁部5bのカウルアッパーパネル6の前端取付部6a後端からのオフセット量aは、カウルトップガーニッシュ5の肉厚t以上(a≧t)に設定されている。又、図2及び図4に示すように、カウルトップガーニッシュ5の縦壁部5b近傍の本体部5Aには横方向に長い複数の長孔13が縦壁部5bに沿って形成されている。
以上において、自動車1が歩行者に衝突したために歩行者がフロントフード3の後端部近傍に当接し、フロントフード3の後端部近傍に図3に矢印にて示す方向の衝撃荷重Fが作用した場合、本発明に係るカウル構造によれば、カウルトップガーニッシュ5の縦壁部5bを固定部5aに対して車体後方にオフセットして配置するとともに、該縦壁部5b近傍の本体部5Aに縦壁部5bに沿った横方向に長い複数の長孔13を形成したため、該カウルトップガーニッシュ5の縦壁部5b近傍の剛性が長孔13によって下げられるとともに、長孔13部分に応力が集中し、フロントフード3に加わる衝撃荷重Fによってカウルトップガーニッシュ5の縦壁部5bが容易に変形して倒れ、衝撃を効果的に吸収することができる。特に、本実施の形態では、カウルトップガーニッシュ5の縦壁部5bを固定部5aの後端部から上方に屈曲させて形成し、その中間高さ位置に段部5cを形成したため、カウルトップガーニッシュ5の下方に形成されるカウルボックス8の容量を犠牲にすることなく、縦壁部5bを固定部5aに対してより車体後方側にオフセットさせることができ、縦壁部5bの倒れ変形を効果的に起こすことができる。又、段部5cによって縦壁部5bをクランク状に形成したため、その形状によって該縦壁部5b自体の座屈変形を促進して衝撃吸収能を高めることができる。尚、カウルトップガーニッシュ5に形成された長孔13をエアコン用空気導入口として兼用しても良い。
そして、本発明に係るカウル構造では、カウルアッパーパネル6の前端部に2つの屈曲点P1,P2を形成し、該前端部の側断面形状をZ形としたため、カウルアッパーパネル6の前端部に膨出部が形成されてカウルトップガーニッシュ5の縦壁部5aの変形空間(変形時に入り込む空間)が確保され、該縦壁部5bがカウルアッパーパネル6と干渉することなく容易に変形してフロントフード3の変形を妨げることがない。又、衝撃を受けた場合にカウルアッパーパネル6が図4に鎖線にて示すように屈曲点P1,P2を起点として容易に変形するため、このカウルアッパーパネル6の変形によっても衝撃が効果的に吸収される。
更に、本実施の形態では、図5に示すように、カウルトップガーニッシュ5の縦壁部5bのカウルアッパーパネル6の前端取付部6a後端からのオフセット量aをカウルトップガーニッシュ5の肉厚t以上(a≧t)に設定したため、衝撃が加わった場合、カウルトップガーニッシュ固定部5aのカウルアッパーパネル6の前端取付部6a後端が当接する部分(図5のE部分)に剪断力が作用し、その部分が剪断力によって図6に示すように破断され、この破断によって衝撃が吸収される。ここで、図6に示すように、カウルアッパーパネル6の先端角部分の深さbはカウルトップガーニッシュ5の図示D寸法よりも大きく設定されているため(b>D)、破断したカウルトップガーニッシュ5の縦壁部5bが下方へと落下し易くなる。
以上のように、本発明に係るカウル構造によれば、カウルトップガーニッシュ5に従来のような薄肉部を設けることなく衝撃を吸収することができるため、成形上の問題を生じることなく衝撃吸収能を高めることができる。
本発明に係るカウル構造を備えた自動車前部の斜視図である。 図1のA部拡大平面図である。 図2のB−B線断面図である。 図3のC部拡大詳細図である。 図4のD部拡大詳細図である。 衝撃が加わった場合にカウルトップガーニッシュの縦壁部が破断する様子を示す部分側断面図である。
符号の説明
1 自動車(四輪車両)
2 エンジンルーム
3 フロントフード
4 フロントガラス
5 カウルトップガーニッシュ
5A カウルトップガーニッシュの本体部
5a カウルトップガーニッシュの固定部
5b カウルトップガーニッシュの縦壁部
5c 縦壁部の段部
6 カウルアッパーパネル
6a カウルアッパーパネルの前端取付部
7 フロントカウル
8 カウルボックス
9 外気取入口
10 ダッシュパネル
11 シール部材
12 フロントフードシール
13 カウルトップガーニッシュの長孔
F 衝撃荷重
P1,P2 カウルアッパーパネルの屈曲点

Claims (4)

  1. フロントフードとフロントガラスとの間に配置されたカウルトップガーニッシュの本体部に縦壁部を立設し、該縦壁部に被着されたフードシールを介して前記フロントフードの後端裏面を受けるとともに、カウルトップガーニッシュの本体部前端に形成された固定部をカウルアッパーパネルの前端取付部に接合固定して成る四輪車両のカウル構造において、
    前記カウルトップガーニッシュの縦壁部を前記固定部に対して車体後方にオフセットするとともに、該縦壁部近傍の本体部に縦壁部に沿った長孔を形成したにことを特徴とする四輪車両のカウル構造。
  2. 前記カウルトップガーニッシュの縦壁部を前記固定部の後端部から上方に屈曲させて形成し、その中間高さ位置に段部を形成したことを特徴とする請求項1記載の四輪車両のカウル構造。
  3. 前記カウルアッパーパネルの前端部に複数の屈曲点を形成し、該前端部の側断面形状をZ形としたことを特徴とする請求項1又は2記載の四輪車両のカウル構造。
  4. 前記カウルトップガーニッシュの縦壁部の前記カウルアッパーパネルの前端取付部後端からのオフセット量aをカウルトップガーニッシュの肉厚t以上(a≧t)に設定したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の四輪車両のカウル構造。
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