JP2009084749A - 仮撚用ポリアミド繊維および仮撚用ポリアミド繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単糸繊度が1.2dtex以下ポリアミド繊維において、糸条の15%伸長時の応力が1.0〜1.5gf/デシテックス以下、開繊長50mm未満のインターレース開繊部が全体の99%以上、開繊長30mm未満のインターレース開繊部が全体の80%以上であることを特徴とする仮撚用ポリアミド繊維および単糸繊度が1.2dtex以下のポリアミド繊維を製造する方法において、口金から溶融ポリマーを吐出し、それを冷却、集束した糸条を紡糸張力0.8g/デシテックス以下で引き取りつつインターレースを付与することを特徴とする上記仮撚用ポリアミド繊維の製造方法。
【選択図】なし
Description
以下本発明を詳細に説明する。本発明のポリアミド繊維に使用されるポリアミドは、ポリアミドのホモポリマーまたはコポリマーであり、これらのポリアミドは、ラクタム、アミノカルボン酸あるいはジアミンとジカルボン酸との塩から形成されるアミド結合を有する溶融成形可能な重合体である。ポリアミドとしては、種々のポリアミドを使用することができ、特に限定されないが、繊維形成能および力学的特性の点でポリカプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)が好ましい。これらナイロン6,ナイロン66などのポリアミドのコポリマーとしては、20モル%以下の割合で他のアミノカプロン酸、ラクタムなどを共重合したものが使用できる。また、本発明で使用するポリアミドはラクタム、アミノカルボン酸あるいはジアミンとジカルボン酸との塩から形成されるアミド結合を混合成分として含むものについても使用可能である。本発明におけるポリマーには本発明の目的を逸脱しない範囲で、主成分の他に第2,第3成分を共重合または混合してもよい。また、本発明におけるポリマーには各種の添加剤、たとえば、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、螢光増白剤などを必要に応じて共重合または混合していてもよい。
溶融された熱可塑性ポリマーを口金1から吐出し、口金下保温ゾーン2を通過させた後、チムニー3によって冷却風を吹き当てることにより室温まで冷却し糸条とする。給油装置4で給油するとともに集束し、インターレースノズル5でインターレースを付与し、引き取りローラー6、延伸ローラー7を通過し、ワインダー(巻取装置)8で巻き取る。尚、9は繊維フィラメント、10は繊維製品パッケージである。糸条を冷却するに際し、単糸間の冷却斑を抑え糸条の長手方向の繊度斑を低減させる目的で(図2)のような整流板を付けた冷却装置11が好ましく、さらに好ましくは(図3)のような糸条側面全方向から冷却できる冷却装置12である。また、パッケージに巻き取る前に2組以上のローラーにより延伸しても良いが、この場合、延伸することにより付与されているインターレースがほどけてしまう事があるため、延伸倍率は低くするか、もしくは延伸後に再度インターレースを付与してもよい。
本発明の繊維は開繊長50mm未満のインターレース開繊部が全体の99%以上、開繊長30mm
未満のインターレース開繊部が全体の80%以上となる開繊長分布である必要があり、好ましくは5mm以上30mm未満のインターレース開繊部が全体の75%以上である。開繊長50mmを超えるインターレース開繊部が多く分布していると、繊維を梱包、輸送、仮撚り工程での準備を行う過程において、ハ゜ッケーシ゛端面の繊維が擦れハ゜ッケーシ゛端面から単糸が垂れ下がったり、その単糸が切れて毛羽を発生させるため好ましくない。
開繊長の測定方法は後述する。
実施例中の各特性値は次の方法にしたがって求めた。
A.繊度および単糸繊度
試料を枠周1.125mの検尺機にて27デシテックス以下の品種は400回巻、28デシテックス以上の品種は200回巻カセを作成し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)天秤にてカセ重量を量り公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。また、得られた繊度を糸条単糸数で割り返した値を単糸繊度とした。
B. 開繊長および開繊長の比率
ROTHSCHILD社製ENTANGLEMENT TESTER R−2040を用い、測定速度2.5m/分、トリップテンションレベル1.2cN、トリップ後の次回針刺しまでの糸長0.5mとし、針刺部からトリップテンションレベル(1.2cN)に到達してトリップするまでの糸条長を開繊長と見なし240回繰り返し測定を行い、繰り返し測定回数に1000を乗じた値を開繊長長さ(cm)の合計で除した値をインターレース数とした。また、得られたデータを5mm単位毎に弁別し、開繊長が50mm未満である割合、開繊長が30mm未満である割合、開繊長が5mm以上30mm未満である割合を、下記式により求めた。
50mm未満の開繊長比率(%)=50mm未満以下の開繊長の個数/測定回数×100
30mm未満の開繊長比率(%)=30mm未満以下の開繊長の個数/測定回数×100
5mm以上30mm未満の開繊長比率(%)=
5mm以上30mm未満以下の開繊長の個数/測定回数×100
C.15%伸長時応力
15%伸長時応力はORIENTEC社製TENSIRON RPC−1210Aを使用し、
つかみ間隔50cmで把持し、50cm/minの引っ張り速度で伸長させ、57.5cmまで伸長させたときの張力を3回測定し、その平均値を繊維の繊度で割り返した値とした。
D.紡糸張力
口金から吐出された糸条が給油装置で給油されるとともに集束したあとの張力をTEK社製TTM−101−Dにて口金から4mの位置で測定した。
E. ウースター斑
ウースター斑は、ZELLWEGER USTER社のUSTER TESTER UT−4を使用して糸速50m/分、S撚り、撚り数8000rpmで3分間、1/2inertで測定した。
F. 仮撚加工性
得られた繊維を仮撚加工した時の解じょ不良による解じょ切れ、仮撚り時の撚り切れを合計して加工糸切れを計算し、以下の3段階で判定した。
△・・・加工糸切れ10%以上、30%未満
×・・・加工糸切れ30%以上
G. 仮撚加工糸の品位
得られた繊維を加工してできた仮撚加工糸を筒編み、染色した布帛の柔らかさ、表面のなめらかさ、布帛の色の深みを目視および触感で判定し、以下の3段階で判定した。
△・・・やや不良(染色した布帛が柔らかく、表面がなめらかであるが、一部表面に傷があったり布帛の色が不均一)
×・・・不良(布帛表面に傷が多く、また、布帛が堅い)
実施例1
98%硫酸相対粘度2.63のナイロン66を285℃で溶融後、溶融紡糸口金パックに供し、98ホールの丸孔を持った口金孔から吐出し(吐出量=23.4g/分)、冷却風で冷却し、口金面より800mmの位置で油剤を給油し集束させ、インターレースの付与を行いながら、4550m/分で引き取り、延伸することなく4400m/分でパッケージに巻き取った。このときインターレースの付与は圧空圧0.3MPa流量85Nl/分の圧空が供給されたインターレースノズルを介して行った。この製法により60.5デシテックス、フィラメント数98(単糸繊度=0.6デシテックス)、開繊長50mm以下の割合99%、開繊長30mm以下の割合85%、15%伸長時応力1.2gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また集束時の紡糸張力は0.61gf/デシテックスであった。
68ホールの丸孔を持った口金孔から吐出し(吐出量=18.4g/分)としたこと以外は実施例1と同様な方法で繊維を得た。この製法により43.8デシテックス、フィラメント数68(単糸繊度=0.6デシテックス)開繊長50mm以下の割合99%、開繊長30mm以下の割合88%、15%伸長時応力1.1gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また、集束時の紡糸張力は0.62gf/デシテックスであった。
インターレース付与を圧空圧0.4MPa流量105Nl/分の圧空が供給されたインターレースノズルで行い、4365m/min引き取った後1.05倍に延伸したこと以外は実施例1と同様な方法で繊維を得た。この製法により60.5デシテックス、フィラメント数98(単糸繊度=0.6デシテックス)、開繊長50mm以下の割合99%、開繊長30mm以下の割合83%、15%伸長時応力1.3gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また、集束時の紡糸張力は0.55gf/デシテックスであった。
溶融紡糸口金パックを50ホールの丸孔としたこと以外は実施例1と同様な方法で繊維を得た。この製法により60.5デシテックス、フィラメント数50(単糸繊度=1.2デシテックス)、開繊長50mm以下の割合99%、開繊長30mm以下の割合84%、15%伸長時応力1.1gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また、集束時の紡糸張力は0.58gf/デシテックスであった。
インターレース付与を圧空圧0.4MPa流量105Nl/分の圧空が供給されたインターレースノズルで行い、4365m/min引き取った後1.09倍に延伸したこと以外は実施例1と同様な方法で繊維を得た。この製法により60.5デシテックス、フィラメント数98(単糸繊度=0.6デシテックス)、開繊長50mm以下の割合99%、開繊長30mm以下の割合80%、15%伸長時応力1.5gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また、集束時の紡糸張力は0.52gf/デシテックスであった。
インターレースノズルの圧空圧を0.1MPa流量42Nl/分としたこと以外は実施例1と同様の製法で60.5デシテックス、フィラメント数98(単糸繊度=0.6デシテックス)、開繊長50mm以下の割合46%、開繊長30mm以下の割合10%、15%伸長時応力1.1gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また、集束時の紡糸張力は0.61gf/デシテックスであった。
繊維の収束位置を口金面から1400mmとしたこと以外は実施例1と同様の製法で60.5デシテックス、フィラメント数98(単糸繊度=0.6デシテックス)開繊長50mm以下の割合93%、開繊長30mm以下の割合80%、15%伸長時応力1.2gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また、集束時の紡糸張力は0.90gf/デシテックスであった。
繊維の収束位置を口金面から500mmとしたこと以外は実施例1と同様の製法で60.5デシテックス、フィラメント数98(単糸繊度=0.6デシテックス)開繊長50mm以下の割合99%、開繊長30mm以下の割合83%、15%伸長時応力0.9gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また、集束時の紡糸張力は0.55gf/デシテックスであった。
インターレース付与を圧空圧0.4MPa流量105Nl/分の圧空が供給されたインターレースノズルで行い、4070m/min引き取った後1.15倍に延伸したこと以外は実施例1と同様な方法で繊維を得た。この製法により60.5デシテックス、フィラメント数98(単糸繊度=0.6デシテックス)、開繊長50mm以下の割合99%、開繊長30mm以下の割合80%、15%伸長時応力1.6gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また、集束時の紡糸張力は0.50gf/デシテックスであった。
溶融紡糸口金パックを43ホールの丸孔としたこと以外は実施例1と同様な方法で繊維を得た。この製法により60.5デシテックス、フィラメント数43(単糸繊度=1.4デシテックス)、開繊長50mm以下の割合99%、開繊長30mm以下の割合80%、15%伸長時応力1.1gf/デシテックスのナイロン66繊維を得た。また、集束時の紡糸張力は0.53gf/デシテックスであった。
2 口金下保温ゾーン
3 チムニー
4 給油装置
5 インターレースノズル
6 引き取りローラー
7 延伸ローラー
8 ワインダー(巻取装置)
9 繊維フィラメント
10 繊維製品パッケージ
Claims (3)
- 単糸繊度が1.2dtex以下ポリアミド繊維において、糸条の15%伸長時の応力が1.0〜1.5gf/デシテックス以下、開繊長50mm未満のインターレース開繊部が全体の99%以上、開繊長30mm未満のインターレース開繊部が全体の80%以上であることを特徴とする仮撚用ポリアミド繊維。
- 請求項1記載の仮撚用ポリアミド繊維を仮撚加工して成る、タイツ用仮撚加工糸。
- 単糸繊度が1.2dtex以下のポリアミド繊維を製造する方法において、口金から溶融ポリマーを吐出し、それを冷却、集束した糸条を紡糸張力0.8g/デシテックス以下で引き取りつつインターレースを付与することを特徴とする請求項1記載の仮撚用ポリアミド繊維の製造方法。
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