JP2009080271A - 現像剤搬送装置および画像形成装置 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、現像剤取出部における現像剤の搬送体上での凝集を抑制することで、現像剤をスムーズに搬送することができる現像剤搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、現像剤像を担持する像担持体（感光体ドラム３）と、現像剤（トナーＴ）を収容し、前記像担持体に対向する位置で開口する供給口７１Ａを有した現像剤ケース（カートリッジケース７１）と、複数の搬送電極７３２で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内の現像剤を前記像担持体に向けて搬送する現像剤搬送体（トナー搬送体７３）と、前記現像剤搬送体を振動させる振動体７４と、振動体７４によって振動される振動領域を、前記現像剤ケース内の現像剤の量に応じて、前記現像剤搬送体に沿って移動させる振動領域移動手段（移動装置７５、制御装置８）とを備える。
【選択図】図２

Description

本発明は、進行波電界を利用して現像剤を搬送する現像剤搬送装置および画像形成装置に関する。

一般に、進行波電界を利用して現像剤を搬送する現像剤搬送装置は、多数本の線状の搬送電極が一列に配列された搬送体を有しており、この搬送体の各搬送電極に対して多相の交流電圧を順次印加することで進行波電界を形成し、帯電した現像剤を搬送する。このような現像剤搬送装置では、現像剤が搬送体上で凝集し、現像剤の搬送をスムーズに行うことができないといった問題がある。

このような問題に対して、従来、搬送体の所定箇所に対して振動を加えるべく、所定箇所に固定された振動体を備えた現像剤搬送装置が知られている（特許文献１参照）。この現像剤搬送装置によれば、振動体によって搬送体の所定箇所に振動を加えることで、搬送体全体を震わせて搬送体上で凝集した現像剤を崩すことが可能となっている。

特開昭６１−７３１６７号公報

ところで、ケース内に収容した現像剤を斜め上方へ搬送させるべく、搬送体を斜めに配置した場合、ケース内に溜まっている現像剤のうち上面側に位置するとともに、搬送体近傍に位置する部分（以下、現像剤取出部とも呼ぶ）から順に、搬送体によって搬送される。このような場合においては、現像剤取出部において現像剤が搬送体上で凝集すると、現像剤をスムーズに搬送することができないという問題がある。

しかしながら、上述した従来技術では、振動体が所定箇所に固定されているので、ケース内の現像剤の量に応じて現像剤の上面の位置が変化して、現像剤取出部が振動体から離れると、振動体による振動が現像剤取出部に伝わり難くなることにより、現像剤取出部において現像剤が搬送体上で凝集して、上述の問題が発生するおそれがあった。

そこで、本発明は、現像剤取出部における現像剤の搬送体上での凝集を抑制することで、現像剤をスムーズに搬送することができる現像剤搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とする。

前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、現像剤像を担持する像担持体と、現像剤を収容し、前記像担持体に対向する位置で開口する供給口を有した現像剤ケースと、複数の搬送電極を備え、これらの搬送電極で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内に収容された現像剤を前記像担持体に向けて搬送する現像剤搬送体と、前記現像剤搬送体を振動させる振動体と、前記振動体によって振動される振動領域を、前記現像剤ケース内の現像剤の量に応じて、前記現像剤搬送体に沿って移動させる振動領域移動手段と、を備えたことを特徴とする。

本発明によれば、振動領域移動手段によって搬送体上の振動領域を移動することができるので、例えば、現像剤の量に応じて移動する現像剤取出部に合わせるように振動領域を移動することで、現像剤取出部において現像剤が搬送体上で凝集するのを抑制することができる。

また、本発明に係る現像剤搬送装置は、現像剤を収容し、所定の供給対象に対向する位置で開口する供給口を有した現像剤ケースと、複数の搬送電極を備え、これらの搬送電極で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内に収容された現像剤を前記供給対象に向けて搬送する現像剤搬送体と、前記現像剤搬送体を振動させる振動体と、前記振動体を前記現像剤搬送体に沿って移動させる移動装置と、を備えたことを特徴とする。

これによれば、例えば現像剤搬送装置が装着される画像形成装置の制御装置によって、現像剤の量に応じて移動する現像剤取出部に合うように、振動体を移動装置によって移動させることで、現像剤取出部において現像剤が搬送体上で凝集するのを抑制することができる。

また、本発明に係る現像剤搬送装置は、現像剤を収容し、所定の供給対象に対向する位置で開口する供給口を有した現像剤ケースと、複数の搬送電極を備え、これらの搬送電極で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内に収容された現像剤を前記供給対象に向けて搬送する現像剤搬送体と、前記現像剤搬送体を振動させ、前記現像剤搬送体に沿って並べられる複数の振動体と、を備えたことを特徴とする。

これによれば、例えば現像剤搬送装置が装着される画像形成装置の制御装置によって、現像剤の量に応じて移動する現像剤取出部に相当する位置にある振動体を駆動させることで、現像剤取出部において現像剤が搬送体上で凝集するのを抑制することができる。

本発明によれば、現像剤取出部における現像剤の現像剤搬送体上での凝集を抑制することができるので、現像剤をスムーズに搬送することができる。

［第１の実施形態］
次に、本発明の第１の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図１は本発明の第１の実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を示す側面図であり、図２はトナー供給装置の構造を示す断面図である。また、図３はトナー搬送体を示す平面図（ａ）と、断面図（ｂ）であり、図４は各給電部から出力される電圧の波形を示す図である。さらに、図５は、振動体を示す正面図（ａ）と、断面図（ｂ）である。また、図６は、トナーの搬送状態を示す断面図であり、時刻ｔ１のときの状態を示す断面図（ａ）と、時刻ｔ２のときの状態を示す断面図（ｂ）と、時刻ｔ３のときの状態を示す断面図（ｃ）である。

＜レーザプリンタ＞
図１に示すように、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ１は、用紙搬送機構２と、像担持体および供給対象の一例としての感光体ドラム３と、帯電器４と、スキャナユニット５と、現像剤搬送装置の一例としてのトナー供給装置７と、制御装置８とを備えている。なお、図示は省略するが、レーザプリンタ１には、給紙トレイや定着装置などの公知の構成が適宜設けられている。

用紙搬送機構２は、前記給紙トレイから用紙Ｐを搬送する公知の機構であり、複数のローラ（例えばレジストローラ２１）を介して感光体ドラム３の転写位置に用紙Ｐを搬送する。

感光体ドラム３、帯電器４およびスキャナユニット５は、公知の構成である。簡単に説明すると、感光体ドラム３の表面は、帯電器４により一様に負帯電された後、スキャナユニット５からのレーザビームＬＢの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が変化して、画像データに基づく静電潜像が形成される。次いで、トナー供給装置７から感光体ドラム３の静電潜像に対して現像剤の一例としてのトナーＴ（図２参照）が供給され、このトナーＴが感光体ドラム３の表面上で選択的に担持されることによって、トナー像が形成される。その後、感光体ドラム３と転写ローラ２２とは、用紙Ｐを両者間で挟持して搬送するように回転駆動され、この際に感光体ドラム３の表面に担持されているトナー像が転写ローラ２２に引き寄せられることで用紙Ｐ上に転写される。

＜トナー供給装置＞
トナー供給装置７は、図２に示すように、現像剤ケースの一例としてのカートリッジケース７１と、アジテータ７２と、トナー搬送体７３と、振動体７４と、移動装置７５とを備えている。

カートリッジケース７１は、樹脂等の比較的剛性の高い部材で形成されており、その壁の一部がトナー搬送体７３で構成されている。また、カートリッジケース７１の上方には、感光体ドラム３に対向する位置で開口する供給口７１Ａが形成されている。そして、このカートリッジケース７１では、その底部において、ポリエステルを主成分とする負帯電性、非磁性１成分の黒色のトナーＴを収容している。

アジテータ７２は、カートリッジケース７１内の最深部に回転可能に設けられており、カートリッジケース７１内に溜まったトナーＴを攪拌する。なお、攪拌されたトナーＴは、トナーＴ同士の摩擦や、トナーＴとトナー搬送体７３との摩擦により、負極性に帯電される。

トナー搬送体７３は、図３（ｂ）に示すように、合成樹脂製の薄い板状部材である支持板７３１と、支持板７３１上に配設される複数の搬送電極７３２と、支持板７３１の搬送電極７３２が配設される側を被覆するコーティング膜７３３とを備えている。ここで、コーティング膜７３３としては、例えば合成樹脂であるナイロン製のコーティング膜を採用できる。そして、このコーティング膜７３３の表面が、トナーＴを搬送する搬送面ＴＳとなっている。なお、このような薄い板状に形成されるトナー搬送体７３は、カートリッジケース７１に比べて剛性が低くなっており、振動し易くなっている。

搬送電極７３２は、図３（ａ）に示すように、金属薄膜からなる線状の配線パターンであって、トナーＴの搬送方向において等間隔に配列されるとともに、トナーＴの搬送方向と直交する方向（感光体ドラム３の軸方向）に沿うように延びて、互いに平行に配置されている。そして、図３（ｂ）に示すように、各搬送電極７３２には、それぞれ異なる位相の電圧を出力する第１給電部ＶＡ、第２給電部ＶＢ、第３給電部ＶＣおよび第４給電部ＶＤが適宜接続されている。詳しくは、第１給電部ＶＡ、第２給電部ＶＢ、第３給電部ＶＣおよび第４給電部ＶＤは、各搬送電極７３２に対して、搬送方向上流側から順にこの順で繰り返し接続されている。言い換えると、各搬送電極７３２は、３本置きに、同一の給電部（例えば第１給電部ＶＡ）に接続されている。なお、以下の説明においては、便宜上、第１給電部ＶＡが接続された搬送電極７３２を「搬送電極ＥＡ」、第２給電部ＶＢが接続された搬送電極７３２を「搬送電極ＥＢ」、第３給電部ＶＣが接続された搬送電極７３２を「搬送電極ＥＣ」、第４給電部ＶＤが接続された搬送電極７３２を「搬送電極ＥＤ」とも呼ぶこととする。

各給電部ＶＡ〜ＶＤは、レーザプリンタ１内に配設される制御装置８によって適宜制御されることで、図４に示すような波形の電圧を出力する。すなわち、各給電部ＶＡ〜ＶＤから出力される電圧は、それぞれ同一の波形であるが、それぞれ位相が９０°ずつずれている。具体的には、第１給電部ＶＡ、第２給電部ＶＢ、第３給電部ＶＣ、第４給電部ＶＤの順で、電圧の波形の位相が、９０°ずつ遅れている。そして、このように制御装置８で制御された各給電部ＶＡ〜ＶＤによって各搬送電極７３２に進行波状の電圧が印加され、これにより、搬送面ＴＳ上にて、進行波状の電界が形成される。

具体的には、図４における時刻ｔ１においては、中間電位「−５００Ｖ」に対して「−５５０Ｖ」を負、「−４５０Ｖ」を正とすると、第１給電部ＶＡおよび第４給電部ＶＤから負の電圧が出力され、第２給電部ＶＢおよび第３給電部ＶＣから正の電圧が出力される。これにより、図６（ａ）に示すように、負の搬送電極ＥＡと正の搬送電極ＥＢとの間において搬送方向と逆向きとなる電界ＥＦ１が形成されるとともに、正の搬送電極ＥＣと負の搬送電極ＥＤとの間において搬送方向に向かう電界ＥＦ２が形成される。そのため、正の搬送電極ＥＢ，ＥＣ周りに負極性のトナーＴが多く集められる。なお、負の搬送電極ＥＤ，ＥＡ間には、正の搬送電極ＥＢ，ＥＣに移動できなかった少量のトナーＴが残る。

図４に示すように、時刻ｔ２になると、第１給電部ＶＡおよび第２給電部ＶＢから負の電圧が出力され、第３給電部ＶＣおよび第４給電部ＶＤから正の電圧が出力される。これにより、図６（ｂ）に示すように、負の搬送電極ＥＢと正の搬送電極ＥＣとの間に電界ＥＦ１が形成されることで、時刻ｔ１において搬送電極ＥＢ，ＥＣ周りにあったトナーＴが今回正となった搬送電極ＥＣ，ＥＤ周りに移動する。また、このとき、搬送電極ＥＤ，ＥＡ間の少量のトナーＴも搬送電極ＥＣ，ＥＤ周りに移動する。同様にして、時刻ｔ３になると（図４参照）、図６（ｃ）に示すように、負の搬送電極ＥＣと正の搬送電極ＥＤとの間に電界ＥＦ１が形成されることで、時刻ｔ２において搬送電極ＥＣ，ＥＤ周りにあったトナーＴが今回正となった搬送電極ＥＤ，ＥＡ周りに移動する。以上のような動作を繰り返すことで、トナーＴが搬送面ＴＳ上で搬送される。

以上のように構成されるトナー搬送体７３は、図２に示すように、カートリッジケース７１内に配設される円筒状の第１トナー搬送体７３Ａと、カートリッジケース７１の壁の一部を構成する湾曲形成された板状の第２トナー搬送体７３Ｂとを備えている。具体的に、第２トナー搬送体７３Ｂは、カートリッジケース７１の底部から斜め上方に向けて傾斜する傾斜部Ｂ１と、第１トナー搬送体７３Ａに沿うように形成されるとともに、その上端縁で供給口７１Ａの一部を構成する円筒状部Ｂ２とを備えている。そして、このように構成されるトナー搬送体７３では、カートリッジケース７１の底部に溜まったトナーＴが、第２トナー搬送体７３Ｂの傾斜部Ｂ１で斜め上方に搬送された後、第２トナー搬送体７３Ｂの円筒状部Ｂ２と第１トナー搬送体７３Ａとの間で搬送されることで、感光体ドラム３に向けて搬送される。

なお、供給口７１Ａ付近まで移動してきたトナーＴは、感光体ドラム３に静電潜像が形成されている場合において、この静電潜像に引き付けられるようにして感光体ドラム３に移動する。また、感光体ドラム３に静電潜像が形成されていない場合には、トナーＴは、感光体ドラム３を通り過ぎ、第１トナー搬送体７３Ａへの電圧の印加が終了するまで第１トナー搬送体７３Ａ上で搬送され続ける。

振動体７４は、図５（ａ）に示すように、トナー搬送体７３に摺接可能に設けられる長尺の梁状部材７４Ａと、梁状部材７４Ａの中央に固定されるコイル７４Ｂと、コイル７４Ｂを軸方向に振動させるコア７４Ｃとを備えている。

梁状部材７４Ａは、図５（ａ）および図２に示すように、搬送電極７３２に対して平行に延びる矩形の部材であり、トナー搬送体７３よりも高い剛性の部材で構成されている。なお、梁状部材７４Ａの長さは、任意に設定可能であるが、搬送電極７３２の長手方向の長さ以上の長さに形成されるのが好ましい。これによれば、搬送電極７３２上でトナーＴが凝集した場合において、凝集したトナーＴを良好に崩すことが可能となる。

コイル７４Ｂは、図５（ｂ）に示すように、その一端が梁状部材７４Ａに固定され、その他端がコア７４Ｃ内に配置されている。そして、このコイル７４Ｂには、制御装置８から交流電圧が供給されることによって、正負が逆となる同じ大きさの電圧が交互に印加される。そのため、このコイル７４Ｂからは、正負が逆となる磁界が交互に発生する。なお、コイル７４Ｂと制御装置８との間には、コイル７４Ｂを流れる電流を検知するための電流センサＡＳが設けられており、この電流センサＡＳで検知された信号は、制御装置８に出力される。ここで、コイル７４Ｂと電流センサＡＳは、検知手段の一例に相当する。すなわち、コア７４Ｃに対して振動するコイル７４Ｂに加わる負荷が変化することで、コイル７４Ｂの移動量が変化すると、コイル７４Ｂに流れる電流が変化して、この電流が電流センサＡＳで検知される。

なお、本実施形態において、コイル７４Ｂに加わる負荷は、図２に示すように、カートリッジケース７１に収容されるトナーＴの量に応じて変化する。具体的には、トナー搬送体７３における振動体７４と同じ位置までトナーＴが溜まっている場合には、コイル７４Ｂに加わる負荷が大きくなり、振動体７４の位置よりも下側にトナーＴの上面ＴＦが位置する場合には、コイル７４Ｂに加わる負荷が小さくなる。そして、コイル７４Ｂに加わる負荷が大きくなる場合には、コイル７４Ｂに流れる電流が大きくなり、コイル７４Ｂに加わる負荷が小さくなる場合には、コイル７４Ｂに流れる電流が小さくなる。これにより、コイル７４Ｂに流れる電流を検知することで、制御装置８でトナーＴの上面ＴＦの位置を推定することが可能となっている。

コア７４Ｃは、図５（ｂ）に示すように、有底筒状の外側コア部Ｃ１と、外側コア部Ｃ１内に所定の隙間（ギャップ）を介して配置される内側コア部Ｃ２と、外側コア部Ｃ１の底面と内側コア部Ｃ２との間に設けられる永久磁石部Ｃ３とを備えて構成されている。そして、このように構成されるコア７４Ｃでは、そのギャップから磁界が発生する。そのため、この磁界内に配設されたコイル７４Ｂは、交流電圧が印加されると、フレミングの法則により軸方向に交互に力を受けて、コア７４Ｃに対して振動する。

図２に示すように、移動装置７５は、振動体７４のコア７４Ｃを支持して、振動体７４を第２トナー搬送体７３Ｂの傾斜部Ｂ１に沿うように、詳しくはトナーＴの搬送方向に沿うように移動させるものである。なお、移動装置７５としては、例えばレール、車輪およびモータを備えたものや、ラック、ピニオンおよびモータを備えたものなどを採用できる。ここで、この移動装置７５と後述する制御装置８は、振動領域移動手段の一例に相当する。

＜制御装置８＞
次に、制御装置８について説明する。参照する図面において、図７は制御装置の動作を示すフローチャートである。

制御装置８は、ＣＰＵ、ＲＡＭ、ＲＯＭ等を備えており、レーザプリンタ１の各部の駆動やトナー搬送体７３に供給する交流電圧を適宜制御する他、電流センサＡＳ（図５（ｂ）参照）からの信号に基づいて移動装置７５を制御することで、トナーＴの量に応じて振動体７４の位置を制御している。具体的に、制御装置８は、図７に示すフローチャートに従って制御を実行している。ここで、振動体７４の初期位置は、任意に設定可能であり、本実施形態のように振動体７４を下に下げる制御を行う場合には、トナーＴが最大限収容された状態におけるトナーＴの上面ＴＦに相当する位置や、この位置よりも上方の位置を初期位置とすればよい。

図７に示すように、制御装置８は、ユーザから印刷指示を受けると（ＳＴＡＲＴ）、まず、振動体７４に交流電圧を印加して、振動体７４を振動させる（Ｓ１）。ここで、「印刷指示」とは、レーザプリンタ１の外表面に設けられる操作盤やレーザプリンタ１に接続されるコンピュータの操作によって、制御装置８に入力される信号であって、用紙Ｐの印刷枚数などの情報が含まれている。ステップＳ１の後、制御装置８は、電流センサＡＳからの信号に基づいて、電流値が所定値未満であるか否かを判断することで、振動体７４がトナーＴの上面に相当する位置（以下、「トナー上面位置」ともいう）から離れているか否かを判断する（Ｓ２）。

ステップＳ２において電流値が所定値未満である（トナー上面位置から離れている）と判断すると（Ｙｅｓ）、制御装置８は、移動装置７５を制御して、振動体７４を斜め下側に所定量だけ移動させる（Ｓ３）。ステップＳ３の後、制御装置８は、電流値が所定値以上になったか否かを判断することで、振動体７４がトナー上面位置に位置したか否かを判断する（Ｓ４）。

ステップＳ４において電流値が所定値以上になっていない（トナー上面位置に位置していない）と判断すると（Ｎｏ）、制御装置８は、ステップ３に戻って、再度、振動体７４を斜め下側に所定量だけ移動させる。そして、ステップＳ４において電流値が所定値以上になった（トナー上面位置に位置した）と判断すると（Ｙｅｓ）、制御装置８は、印刷を実行する（Ｓ５）。なお、制御装置８は、ステップＳ２において電流値が所定値未満でない（トナー上面位置に位置している）と判断した場合も（Ｎｏ）、ステップＳ５の処理に進む。

ステップＳ５の後、制御装置８は、印刷指示の情報に基づいて、印刷指示に対応した印刷枚数分の印刷が完了したか否かを判断する（Ｓ６）。ステップＳ６において印刷が完了していないと判断すると（Ｎｏ）、制御装置８は、ステップＳ２の処理に戻って、再度、振動体７４がトナー上面位置から離れているか否かの判断を行う。また、ステップＳ６において印刷が完了したと判断すると（Ｙｅｓ）、制御装置８は、振動体７４への交流電圧の印加を停止して、振動体７４の振動を停止させて（Ｓ７）、このフローによる動作を終了する。

次に、制御装置８によって制御されるトナー供給装置７の動作について説明する。参照する図面において、図８は、振動体がトナー上面位置に位置している状態を示す断面図（ａ）と、図８（ａ）の状態からトナーの上面が下がった状態を示す断面図（ｂ）と、トナー上面位置に振動体が移動する状態を示す断面図（ｃ）である。

図８（ａ）に示すように、例えば印刷指示が制御装置８に入力された際において、振動体７４がトナー上面位置に位置している場合には、制御装置８は上述したステップＳ１→Ｓ２；Ｎｏ→Ｓ５の処理を実行する。これにより、振動体７４が振動して、トナーＴがトナー搬送体７３によって搬送され始める部分ＴＴ（以下、「トナー取出部ＴＴ」ともいう）が良好に崩された後、トナーＴは、トナー搬送体７３によって良好に搬送されて、印刷が実行される。

そして、印刷指示で指示された印刷枚数分の印刷が完了するまで、制御装置８は、上述したステップＳ２〜Ｓ６の処理を繰り返す。このような処理中において、印刷によりトナーＴが消費されて、図８（ｂ）に示すように、トナー上面位置が下がると、振動体７４に加わる負荷が小さくなることで、振動体７４に流れる電流が小さくなる。そして、その電流値が所定値未満になると、制御装置８は、ステップＳ２でＹｅｓと判断して、ステップＳ３，Ｓ４の処理を実行する。これにより、図８（ｃ）に示すように、振動体７４がトナー上面位置まで移動する。そして、振動体７４がトナー上面位置に到達した後は、制御装置８は、上述したステップＳ４；Ｙｅｓ→Ｓ５の処理を実行することで、トナー取出部ＴＴが確実に崩されて、トナーＴの搬送が良好に実行される。

以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
振動体７４をトナー取出部ＴＴに追従させて移動させることで、トナー取出部ＴＴにおけるトナーＴのトナー搬送体７３上での凝集を抑制することができるので、トナーＴをスムーズに搬送することができる。

コイル７４Ｂや電流センサＡＳによってトナー上面位置を正確に検知することができるので、トナー取出部ＴＴに確実に振動体７４を位置させることができる。また、振動体７４の一部品であるコイル７４Ｂが、トナー上面位置を検知するセンサとしても利用されるので、部品の共用化を図ることができ、コストを低減することができる。

振動体７４で振動させる対象となる第２トナー搬送体７３Ｂで、カートリッジケース７１の一部を構成したので、振動体７４をカートリッジケース７１外に配設することができ、良好に移動させることができる。

［第２の実施形態］
次に、本発明の第２の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第１の実施形態に係るトナー供給装置７の一部の構造を変更したものであるため、第１の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図９は第２の実施形態に係るトナー供給装置の構造を示す断面図であり、図１０は第２の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。

図９に示すように、第２の実施形態に係るトナー供給装置７’は、第１の実施形態とは異なり、振動領域移動手段の一例として複数の振動体７４と制御装置８’とが採用され、検知手段の一例として機械式の上面位置検知センサ９が採用されている。

複数の振動体７４は、第２トナー搬送体７３Ｂの傾斜部Ｂ１に沿うように、詳しくはトナーＴの搬送方向に沿うように、互いに所定の間隔を開けた状態で並べられている。

上面位置検知センサ９は、トナーＴの上面ＴＦ上に載置されるフロート９１と、一端でフロート９１を回転可能に支持するとともに、他端がカートリッジケース７１に回転可能に支持される揺動アーム９２と、揺動アーム９２の角度を検知する角度センサ９３とを備えている。そして、この上面位置検知センサ９（角度センサ９３）で検知された信号は、制御装置８’に出力される。

制御装置８’は、上面位置検知センサ９からの信号に基づいてトナーＴの量を算出するとともに、算出したトナーＴの量に応じて複数の振動体７４に対して選択的に信号を出力することで、トナー上面位置に位置する振動体７４を振動させる機能を有している。すなわち、制御装置８’は、複数の振動体７４の中から所定の振動体７４を選択的に振動させることで、振動体７４で振動される振動領域をトナー搬送体７３に沿って移動させる。具体的に、制御装置８’は、図１０に示すフローチャートに従って制御を実行している。

図１０に示すように、制御装置８’は、ユーザから印刷指示を受けると（ＳＴＡＲＴ）、まず、上面位置検知センサ９からの信号に基づいてトナーＴの量を算出する（Ｓ１１）。ステップＳ１１の後、制御装置８’は、算出したトナー量に応じて、トナー上面位置に位置する振動体７４を複数の振動体７４の中から選択する（Ｓ１２）。ここで、トナー量と選択すべき振動体７４との関係は、予め実験やシミュレーション等を行うことにより、マップとして作成しておけばよい。なお、選択する振動体７４の数は、いくつであってもよい。

ステップＳ１２の後、制御装置８’は、振動体７４に交流電圧を印加して、振動体７４を振動させた後（Ｓ１３）、印刷を実行する（Ｓ１４）。ステップＳ１４の後、制御装置８’は、印刷指示の情報に基づいて、印刷指示に対応した印刷枚数分の印刷が完了したか否かを判断する（Ｓ１５）。ステップＳ１５において印刷が完了していないと判断すると（Ｎｏ）、制御装置８’は、ステップＳ１１の処理に戻る。また、ステップＳ１５において印刷が完了したと判断すると（Ｙｅｓ）、制御装置８’は、振動体７４の交流電圧の印加を停止して、振動体７４の振動を停止させて（Ｓ１６）、このフローによる動作を終了する。

以上によれば、第１の実施形態と同様の効果を奏する他、第２の実施形態において以下のような効果を得ることができる。
第１の実施形態のように振動体７４をトナー搬送体７３に摺接させる必要がないので、トナー搬送体７３の磨耗を抑制することができる。
また、一部の振動体７４を選択して振動させることで、騒音の発生を低減することができる。

なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
第１の実施形態では、トナー搬送体７３に対して振動体７４のみを摺接させたが、本発明はこれに限定されず、例えば図１１に示すように、振動体７４とともに断面視Ｕ字状の振動抑制部材７６をトナー搬送体７３に摺接させてもよい。具体的に、この振動抑制部材７６は、振動体７４の移動方向前方側に位置してトナー搬送体７３と接触する前側振動抑制部７６Ａと、振動体７４の移動方向後方側に位置してトナー搬送体７３と接触する後側振動抑制部７６Ｂと、これらの振動抑制部７６Ａ，７６Ｂを繋ぐ底壁部７６Ｃとを備えている。これによれば、前側振動抑制部７６Ａと後側振動抑制部７６Ｂの外側に振動が伝播するのが抑えられ、これらの振動抑制部７６Ａ，７６Ｂ間のトナー搬送体７３の振動条件を、振動体７４の位置に関わらず、常に同一にすることができるので、トナー上面位置をより正確に検知することができる。なお、この振動抑制部材７６は、振動体７４のコア７４Ｃに一体に形成されていてもよい。また、この振動抑制部材７６の材質は、任意であるが、トナー搬送体７３に比べて剛性が高いものが望ましく、質量は大きい程よい。

第１の実施形態では、検知手段の一部品として電流センサＡＳを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば電圧センサであってもよい。なお、この場合は、制御装置８からコイル７４Ｂに供給する交流バイアスを定電流制御すればよい。これによれば、コイル７４Ｂに加わる負荷の変化に応じて、コイル７４Ｂにかかる電圧が変化するので、前記実施形態と同様に、トナー上面位置を検知することができる。また、電流センサや電圧センサは、制御装置８に内蔵されていてもよい。さらに、前記した各実施形態において、検知手段としてはどのようなものを採用してもよく、例えば光センサなどを採用してもよい。

第１の実施形態では、レーザプリンタ１の本体側（詳しくは移動装置７５）にコア７４Ｃを固定してコイル７４Ｂを振動させたが、本発明はこれに限定されず、コイル７４Ｂを本体側に固定してコア７４Ｃを振動させてもよい。
第１の実施形態では、印刷中において振動体７４を常に振動させたが、本発明はこれに限定されず、印刷中においては振動体７４の振動を止めてもよい。この場合、例えば、図７のフローチャートを適宜修正して、図１２に示すようなフローチャートにすることで実現できる。具体的には、図１２に示すように、図７のフローチャートにおける振動停止の処理（Ｓ７）を印刷実行の処理（Ｓ５）の前に移動するとともに、ステップＳ６でＮｏと判断したときに、ステップＳ１に戻るように構成すればよい。

第１の実施形態では、振動体７４が斜め下側にのみ移動する構成としたが、本発明はこれに限定されず、振動体７４を斜め上方に移動させてもよい。具体的には、例えば、トナーＴの補充を検知するセンサを設け、このセンサからの出力値に基づいて振動体７４を最上方の位置まで斜め上方に移動させるようにしてもよい。

前記各実施形態では、振動体７４で振動させる振動領域をトナー取出部ＴＴに設定したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トナー取出部ＴＴから所定距離だけ離した位置で振動させた場合であっても、トナー取出部ＴＴのトナーＴを良好に崩せる場合には、トナー取出部ＴＴから所定距離だけ離した位置に常に位置するように振動領域を移動させてもよい。

前記各実施形態では、供給対象として感光体ドラム３を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば現像ローラなどであってもよい。
前記各実施形態では、振動体としてコイル７４Ｂやコア７４Ｃ等で構成されるものを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばピエゾ素子などであってもよい。

前記各実施形態では、検知手段からの信号に基づいてトナー上面位置を推定したが、本発明はこれに限定されず、例えば、印刷枚数からトナーの残量を推定して、この推定したトナーの残量からトナー上面位置を推定してもよい。また、光学的な方法によって、トナー上面位置を推定してもよい。すなわち、例えば、光センサの発光部からトナーの上面に沿って出射した光を受光部で受光することで、トナーの量に応じて変化する光量に基づいて、トナー上面位置を推定してもよい。

前記各実施形態では、振動体７４で振動させる第２トナー搬送体７３Ｂをカートリッジケース７１の一部として構成したが、本発明はこれに限定されず、カートリッジケース内に配置してもよい。
前記各実施形態では、トナーＴの搬送方向に沿うように、振動体７４を移動または複数の振動体７４を並べたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トナーＴの搬送方向に対して斜めとなる方向に、振動体７４を移動または複数の振動体７４を並べてもよい。

前記各実施形態では、レーザプリンタ１に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記各実施形態では、像担持体として感光体ドラム３を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばベルト状の感光体を採用してもよい。
前記実施形態では、負極性に帯電するトナーＴを採用したが、本発明はこれに限定されず、正極性に帯電するトナーを採用してもよい。なお、この場合は、感光体ドラム等の帯電状態を前記実施形態とは逆にすればよい。

本発明の第１の実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を示す側面図である。 トナー供給装置の構造を示す断面図である。 トナー搬送体を示す平面図（ａ）と、断面図（ｂ）である。 各給電部から出力される電圧の波形を示す図である。 振動体を示す正面図（ａ）と、断面図（ｂ）である。 トナーの搬送状態を示す断面図であり、時刻ｔ１のときの状態を示す断面図（ａ）と、時刻ｔ２のときの状態を示す断面図（ｂ）と、時刻ｔ３のときの状態を示す断面図（ｃ）である。 制御装置の動作を示すフローチャートである。 振動体がトナー上面位置に位置している状態を示す断面図（ａ）と、図８（ａ）の状態からトナーの上面が下がった状態を示す断面図（ｂ）と、トナー上面位置に振動体が移動する状態を示す断面図（ｃ）である。 第２の実施形態に係るトナー供給装置の構造を示す断面図である。 第２の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。 振動体に振動抑制部材を設けた形態を示す断面図である。 第１の実施形態に係る制御装置による他の制御方法を示すフローチャートである。

符号の説明

１ レーザプリンタ
３ 感光体ドラム
７ トナー供給装置
８ 制御装置
７１ カートリッジケース
７１Ａ 供給口
７３ トナー搬送体
７３Ａ 第１トナー搬送体
７３Ｂ 第２トナー搬送体
７４ 振動体
７４Ａ 梁状部材
７４Ｂ コイル
７４Ｃ コア
７５ 移動装置
７３２ 搬送電極
ＡＳ 電流センサ
Ｃ１ 外側コア部
Ｃ２ 内側コア部
Ｃ３ 永久磁石部
Ｔ トナー
ＴＦ 上面
ＴＴ トナー取出部

Claims (9)

1. 現像剤像を担持する像担持体と、
   現像剤を収容し、前記像担持体に対向する位置で開口する供給口を有した現像剤ケースと、
   複数の搬送電極を備え、これらの搬送電極で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内に収容された現像剤を前記像担持体に向けて搬送する現像剤搬送体と、
   前記現像剤搬送体を振動させる振動体と、
   前記振動体によって振動される振動領域を、前記現像剤ケース内の現像剤の量に応じて、前記現像剤搬送体に沿って移動させる振動領域移動手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
2. 前記振動領域移動手段は、
   前記振動体を前記現像剤搬送体に沿って移動させる移動装置と、
   前記現像剤ケース内の現像剤の量に応じて前記移動装置を制御することで、前記振動体を前記現像剤搬送体における前記現像剤の上面に相当する位置に移動させる制御装置と、を備えることを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。
3. 前記振動体は、前記現像剤搬送体に沿って複数並べられ、
   前記振動領域移動手段は、
   前記現像剤ケース内の現像剤の量に応じて前記複数の振動体に対して選択的に信号を出力することで、前記現像剤搬送体における前記現像剤の上面に相当する位置にある振動体を振動させる制御装置であることを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。
4. 前記制御装置は、前記現像剤ケース内の現像剤の上面位置を検知する検知手段からの信号に基づいて制御を行うことを特徴とする請求項２または請求項３に記載の画像形成装置。
5. 前記振動体は、
   永久磁石と、通電により磁力を発生するコイルと、を備え、前記コイルを通電させることで、前記永久磁石または前記コイルを振動させるように構成され、
   前記検知手段は、
   前記コイルと、前記コイルを流れる電流を検知する電流センサまたは前記コイルにかかる電圧を検知する電圧センサと、を備えて構成されていることを特徴とする請求項４に記載の画像形成装置。
6. 前記振動体の移動方向前方側および移動方向後方側において、前記現像剤搬送体と接触して前記現像剤搬送体の振動を抑える振動抑制部を設けたことを特徴とする請求項２に記載の画像形成装置。
7. 前記現像剤搬送体は、前記現像剤ケースの一部の壁を構成することを特徴とする請求項１〜請求項６のいずれか１項に記載の画像形成装置。
8. 帯電した現像剤を所定の供給対象に供給する現像剤搬送装置において、
   前記現像剤を収容し、前記供給対象に対向する位置で開口する供給口を有した現像剤ケースと、
   複数の搬送電極を備え、これらの搬送電極で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内に収容された現像剤を前記供給対象に向けて搬送する現像剤搬送体と、
   前記現像剤搬送体を振動させる振動体と、
   前記振動体を前記現像剤搬送体に沿って移動させる移動装置と、を備えたことを特徴とする現像剤搬送装置。
9. 帯電した現像剤を所定の供給対象に供給する現像剤搬送装置において、
   前記現像剤を収容し、前記供給対象に対向する位置で開口する供給口を有した現像剤ケースと、
   複数の搬送電極を備え、これらの搬送電極で進行波状の電界を形成することで、前記現像剤ケース内に収容された現像剤を前記供給対象に向けて搬送する現像剤搬送体と、
   前記現像剤搬送体を振動させ、前記現像剤搬送体に沿って並べられる複数の振動体と、を備えたことを特徴とする現像剤搬送装置。
   
   
   
   
   
   
   

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