上述したような、従来の前記現像剤電界搬送装置において、前記現像剤搬送部材にて、前記現像剤が均一に搬送されないことがあり得る。これは、当該現像剤電界搬送装置における前記ケーシング内にて、前記現像剤が凝集した場合に顕著である。
上述のように、前記ケーシング内にて前記現像剤の凝集が発生した場合、前記現像剤搬送部材に対する前記現像剤の供給量にムラが生じる。すると、当該現像剤搬送部材上にて搬送される前記現像剤の量にもムラが生じ、形成された画像にも濃度ムラが生じる。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、進行波による現像剤の搬送・供給がより均一に行われ得る現像剤供給装置を提供すること、及び、当該現像剤供給装置を備えることで濃度ムラの発生が効果的に抑制され良好な画像が形成可能な画像形成装置を提供することにある。
(1)本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、現像剤供給装置と、を備えている。
前記静電潜像担持体は、潜像形成面を有している。前記潜像形成面は、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成されている。この潜像形成面は、所定の主走査方向と平行に形成されている。前記静電潜像担持体は、前記潜像形成面が前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得るように構成されている。
前記現像剤供給装置は、前記静電潜像担持体と対向するように配置されている。この現像剤供給装置は、現像剤を帯電した状態で前記潜像形成面に供給し得るように構成されている。
具体的には、この現像剤供給装置は、現像剤収容ケーシングと、現像剤搬送体と、複数の搬送電極と、現像剤加振部と、を備えている。
前記現像剤収容ケーシングは、箱状部材である。この現像剤収容ケーシングは、前記現像剤を収容し得るように構成されている。この現像剤収容ケーシングにおける、前記静電潜像担持体と対向する位置には、開口部が形成されている。
前記現像剤搬送体は、前記主走査方向と平行な現像剤搬送面を有している。この現像剤搬送体は、前記開口部を挟んで、前記現像剤搬送面が前記静電潜像担持体と対向するように、前記現像剤収容ケーシング内に配置されている。
複数の前記搬送電極は、前記潜像形成面と対向するように、前記現像剤搬送面に沿って設けられている。これらの搬送電極は、前記副走査方向に沿って配列されている。そして、これらの搬送電極は、進行波状の電圧が印加されることで、前記現像剤を前記現像剤搬送面上にて所定の現像剤搬送方向に搬送し得るように構成されている。
すなわち、前記現像剤搬送体は、複数の前記搬送電極に所定の電圧が印加されることで、前記現像剤搬送面上にて前記現像剤を所定の前記現像剤搬送方向に(前記潜像形成面に向けて、あるいは、前記潜像形成面と当該現像剤搬送面とが対向する位置(現像位置)に向けて)搬送し得るように構成されている。
前記現像剤加振部は、前記現像剤収容ケーシング内に収容された前記現像剤を加振し得るように構成されている。具体的には、当該現像剤加振部は、前記現像剤搬送面上で搬送される前の前記現像剤を加振し得るように構成されている。この現像剤加振部は、例えば、前記現像剤搬送面の前記現像剤搬送方向における最上流部の近傍位置にて、前記現像剤搬送面上で搬送される前の前記現像剤を加振し得るように配置され得る。
ここで、上述の「前記現像剤搬送面の前記現像剤搬送方向における最上流部の近傍位置」とは、前記現像剤加振部が配置されることで、前記現像剤搬送面の前記最上流部と対向する前記現像剤が良好に流動化されるような位置であればよい。
すなわち、前記現像剤加振部による加振により良好に流動化された前記現像剤が前記現像剤搬送面の前記最上流部に接触し得るような位置に、前記現像剤加振部が設けられ得る。
具体的には、例えば、前記現像剤加振部は、前記現像剤搬送面の前記現像剤搬送方向における最上流部に対応する位置に設けられ得る。すなわち、前記現像剤加振部は、水平方向又は垂直方向について、前記現像剤搬送面の前記最上流部と重なる位置に設けられ得る。あるいは、前記現像剤加振部は、前記現像剤搬送面の前記最上流部と対向する位置に設けられ得る。
かかる構成を有する本発明の画像形成装置は、画像形成の際に、以下のように動作する。
前記静電潜像担持体における前記潜像形成面に対して、電位分布による前記静電潜像が形成される。この静電潜像が形成された前記潜像形成面は、前記副走査方向に沿って移動する。
一方、前記現像剤加振部によって、前記現像剤収容ケーシング内に収容された前記現像剤であって、前記現像剤搬送面上で搬送される前のものが、加振される。これにより、当該現像剤が流動化される。すなわち、当該現像剤に、良好な流動性が付与される。
また、前記副走査方向に沿って配列された複数の前記搬送電極に対して、所定の進行波状の電圧が印加される。これにより、前記現像剤搬送体における前記現像剤搬送面の近傍に、所定の電界が形成される。この電界は、前記副走査方向に沿った方向に進行する進行波状の電界として形成される。
そして、上述のようにして良好に流動化された、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤のうち、前記現像剤搬送面の近傍のものは、上述の進行波状の電界によって、当該現像剤搬送面上を、所定の前記現像剤搬送方向に搬送される。この現像剤は、互いに平行な前記潜像形成面と当該現像剤搬送面とが対向する位置(上述の現像位置)まで供給される。
このようにして、前記現像剤供給装置は、前記静電潜像が形成された前記潜像形成面に対して、前記現像剤を、帯電した状態で供給する。これにより、前記静電潜像が、前記現像剤によって現像される(顕像化される)。
かかる構成を備えた本発明の画像形成装置によれば、前記現像剤搬送面上で搬送される前の前記現像剤が、効果的に流動化される。これにより、前記現像剤搬送面上にて、前記現像剤が、可及的に均一に搬送され得る。このとき、当該現像剤に対して、大きな圧縮力やせん断力等のストレスが与えられることが、可及的に抑制され得る。
よって、本発明によれば、進行波による前記現像剤の搬送・供給がより均一に行われ得る。したがって、本発明によれば、濃度ムラの発生が効果的に抑制され良好な画像が形成可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
・前記現像剤加振部が、前記現像剤収容ケーシングの底板に設けられていてもよい。
これによれば、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤が、きわめて簡易な装置構成で良好に流動化され得る。
・前記現像剤加振部が、前記現像剤収容ケーシングの底部における内壁面、及び前記現像剤搬送体から離隔するように、当該現像剤収容ケーシング内に配置されていてもよい。
かかる構成においては、振動している前記現像剤加振部と、前記現像剤収容ケーシング及び前記現像剤搬送体とが、離隔する。よって、前記現像剤加振部によって発せられている振動は、前記現像剤収容ケーシング及び前記現像剤搬送体には、直接伝達されない。
したがって、かかる構成によれば、前記静電潜像担持体における前記潜像形成面と、前記現像剤搬送体における前記現像剤搬送面との、所定の位置関係が、前記現像剤加振部の振動によって変動することが、可及的に抑制され得る。
これにより、前記静電潜像の現像に対する悪影響を可及的に抑制しつつ、前記現像剤を良好に流動化させて前記現像剤搬送面上における前記現像剤の搬送状態を均一化させることができる。
・前記現像剤加振部が、少なくとも前記現像剤収容ケーシングの最低部に対応する位置に設けられていてもよい。
かかる構成の画像形成装置によれば、前記現像剤収容ケーシング内における前記現像剤の収容量が少なくなった場合であっても、当該現像剤収容ケーシングの底部の前記現像剤が良好に加振され得る。これにより、上述のような場合であっても、前記現像剤の前記潜像形成面と対向する位置への搬送が、良好に行われ得る。
したがって、かかる構成によれば、上述のような場合であっても、前記現像剤による良好な画像形成が行われ得る。
(2)本発明の現像剤供給装置は、現像剤担持体における現像剤担持面に対して、現像剤を帯電した状態で所定の現像剤搬送方向に沿って供給し得るように構成されている。ここで、前記現像剤担持面は、所定の主走査方向と平行な面であって、前記現像剤が担持され得る面である。
前記現像剤担持体は、前記現像剤担持面を有するとともに、当該現像剤担持面が前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得るように構成されている。
前記現像剤担持体としては、例えば、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成された潜像形成面を有する静電潜像担持体が用いられ得る。
あるいは、前記現像剤担持体としては、例えば、前記副走査方向に沿って搬送される記録媒体(用紙)が用いられ得る。
あるいは、前記現像剤担持体としては、例えば、前記記録媒体や前記静電潜像担持体と対向することで当該記録媒体や当該静電潜像担持体上に前記現像剤を転写し得るように構成・配置された、ローラ、スリーブ、又はベルト状の部材(現像ローラ、現像スリーブ、中間転写ベルト等)が用いられ得る。
本発明の現像剤供給装置は、現像剤収容ケーシングと、現像剤搬送体と、複数の搬送電極と、を備えている。
前記現像剤収容ケーシングは、箱状部材である。この現像剤収容ケーシングは、前記現像剤を収容し得るように構成されている。この現像剤収容ケーシングにおける、前記現像剤担持体と対向する位置には、開口部が形成されている。
前記現像剤搬送体は、前記主走査方向と平行な現像剤搬送面を有している。この現像剤搬送体は、前記開口部を挟んで、前記現像剤搬送面が前記現像剤担持体と対向するように、前記現像剤収容ケーシング内に配置されている。
複数の前記搬送電極は、前記現像剤担持面と対向するように、前記現像剤搬送面に沿って設けられている。これらの搬送電極は、前記副走査方向に沿って配列されている。そして、これらの搬送電極は、進行波状の電圧が印加されることで、前記現像剤を前記現像剤搬送面上にて前記現像剤搬送方向に搬送し得るように構成されている。
すなわち、前記現像剤搬送体は、複数の前記搬送電極に所定の電圧が印加されることで、前記現像剤搬送面上にて前記現像剤を所定の前記現像剤搬送方向に(前記開口部、前記現像剤担持面面、あるいは前記現像剤担持面と当該現像剤搬送面とが対向する位置(現像位置)に向けて)搬送し得るように構成されている。
前記現像剤加振部は、前記現像剤収容ケーシング内に収容された前記現像剤であって、前記現像剤搬送面上で搬送される前のものを、加振し得るように構成されている。この現像剤加振部は、例えば、前記現像剤搬送面の前記現像剤搬送方向における最上流部の近傍位置にて、前記現像剤搬送面上で搬送される前の前記現像剤を加振し得るように配置され得る。
かかる構成を有する本発明の現像剤供給装置においては、前記現像剤加振部によって、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤が加振される。これにより、当該現像剤が流動化され得る。
また、前記副走査方向に沿って配列された複数の前記搬送電極に対して、所定の進行波状の電圧が印加される。これにより、前記現像剤搬送体における前記現像剤搬送面の近傍に、所定の電界が形成される。この電界は、前記副走査方向に沿った方向に進行する進行波状の電界として形成される。
そして、上述のようにして流動化された、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤のうち、前記現像剤搬送面の近傍のものは、上述の進行波状の電界によって、当該現像剤搬送面上を、所定の前記現像剤搬送方向に搬送される。この現像剤は、互いに平行な前記現像剤担持面と当該現像剤搬送面とが対向する位置(上述の現像位置)まで供給される。
このようにして、前記現像剤供給装置は、前記副走査方向に沿って移動する前記現像剤担持面に対して、前記現像剤を、帯電した状態で供給する。これにより、前記現像剤担持面上に、前記現像剤が担持される。
かかる構成を備えた本発明の現像剤供給装置によれば、前記現像剤搬送面上で搬送される前の前記現像剤が、効果的に流動化される。このとき、当該現像剤に対して、大きな圧縮力やせん断力等のストレスが与えられることが、可及的に抑制され得る。
したがって、本発明の現像剤供給装置によれば、進行波による前記現像剤の搬送・供給が、より均一に行われ得る。
・前記現像剤加振部が、前記現像剤収容ケーシングの底板に設けられていてもよい。
これによれば、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤が、きわめて簡易な装置構成で良好に流動化され得る。
・前記現像剤加振部が、前記現像剤収容ケーシングの底部における内壁面、及び前記現像剤搬送体から離隔するように、当該現像剤収容ケーシング内に配置されていてもよい。
かかる構成によれば、前記現像剤担持体における前記現像剤担持面と、前記現像剤搬送体における前記現像剤搬送面との所定の位置関係の、前記現像剤加振部の振動による変動が、可及的に抑制され得る。
よって、当該位置関係の変動によって前記現像剤担持面上への前記現像剤の担持(前記現像剤による現像ないし画像形成)に悪影響が及ぶことが、可及的に抑制され得る。
・前記現像剤加振部が、少なくとも前記現像剤収容ケーシングの最低部に対応する位置に設けられていてもよい。
かかる構成の現像剤供給装置によれば、前記現像剤収容ケーシング内における前記現像剤の収容量が少なくなった場合であっても、当該現像剤収容ケーシングの底部の前記現像剤が良好に加振され得る。これにより、上述のような場合であっても、前記現像剤の前記潜像形成面と対向する位置への搬送が、良好に行われ得る。
(3)本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、現像剤供給装置と、を備えている。前記静電潜像担持体は、上述の(1)と同様に構成及び配置されている。
前記現像剤供給装置は、現像剤を帯電した状態で前記潜像形成面に供給し得るように構成されている。この現像剤供給装置は、現像剤収容ケーシングと、現像剤搬送体と、複数の搬送電極と、現像剤加振部と、を備えていて、前記静電潜像担持体と対向するように配置されている。
前記現像剤収容ケーシングは、箱状部材であって、前記現像剤を収容し得るように構成されている。この現像剤収容ケーシングにおける、前記静電潜像担持体と対向する位置には、開口部が設けられ得る。
前記現像剤搬送体は、前記主走査方向と平行な現像剤搬送面を有している。
前記現像剤搬送体は、例えば、前記開口部を挟んで、前記現像剤搬送面が前記静電潜像担持体と対向するように、前記現像剤収容ケーシング内に配置され得る。あるいは、前記現像剤搬送体は、例えば、前記現像剤収容ケーシングの内壁面であって、前記開口部と隣接する位置及び/又は当該開口部と対向する位置に設けられ得る。
複数の前記搬送電極は、前記現像剤搬送面に沿って設けられている。これらの搬送電極は、前記副走査方向に沿って配列されている。そして、これらの搬送電極は、進行波状の電圧が印加されることで、前記現像剤を前記現像剤搬送面上にて所定の現像剤搬送方向に搬送し得るように構成されている。
すなわち、前記現像剤搬送体は、複数の前記搬送電極に所定の電圧が印加されることで、前記現像剤搬送面上にて前記現像剤を前記現像剤搬送方向に(前記開口部、前記潜像形成面、あるいは前記潜像形成面と当該現像剤搬送面とが対向する位置(現像位置)に向けて)搬送し得るように構成されている。
前記現像剤加振部は、前記現像剤収容ケーシング内に収容された前記現像剤を加振し得るように構成されている。具体的には、当該現像剤加振部は、前記現像剤搬送面上で搬送される前の前記現像剤を加振し得るように構成されている。
前記現像剤加振部は、例えば、前記現像剤搬送面の前記現像剤搬送方向における最上流部の近傍位置に配置され得る。ここで、この「前記現像剤搬送面の前記現像剤搬送方向における最上流部の近傍位置」とは、前記現像剤加振部が配置されることで、前記現像剤搬送面の前記最上流部と対向する前記現像剤が良好に流動化されるような位置である。
具体的には、例えば、前記現像剤加振部は、前記現像剤搬送面の前記現像剤搬送方向における最上流部に対応する位置に設けられ得る。すなわち、前記現像剤加振部は、水平方向又は垂直方向について、前記現像剤搬送面の前記最上流部と重なる位置に設けられ得る。あるいは、前記現像剤加振部は、前記現像剤搬送面の前記最上流部と対向する位置に設けられ得る。
かかる構成を有する本発明の画像形成装置においては、前記現像剤収容ケーシング内に収容された前記現像剤であって、前記現像剤搬送面上で搬送される前のものが、前記現像剤加振部によって加振される。これにより、当該現像剤が流動化される。
また、複数の前記搬送電極に対して、所定の進行波状の電圧が印加される。これにより、前記現像剤搬送体における前記現像剤搬送面の近傍に、前記副走査方向に沿った前記現像剤搬送方向に進行する進行波状の電界が形成される。
そして、上述のようにして良好に流動化された、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤のうち、前記現像剤搬送面の近傍のものは、上述の進行波状の電界によって、当該現像剤搬送面上を、前記現像剤搬送方向に(前記開口部、前記潜像形成面、あるいは前記潜像形成面と当該現像剤搬送面とが対向する位置(現像位置)に向けて)搬送される。
かかる構成を備えた本発明の画像形成装置によれば、前記現像剤搬送面上で搬送される前の前記現像剤が、効果的に流動化される。これにより、前記現像剤搬送面上にて、前記現像剤が、可及的に均一に搬送され得る。このとき、当該現像剤に対して、大きな圧縮力やせん断力等のストレスが与えられることが、可及的に抑制され得る。
よって、本発明によれば、進行波による前記現像剤の搬送・供給がより均一に行われ得る。したがって、本発明によれば、濃度ムラの発生が効果的に抑制され良好な画像が形成可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
・前記現像剤加振部が、前記現像剤収容ケーシングの底板に設けられていてもよい。
これによれば、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤が、きわめて簡易な装置構成で良好に流動化され得る。
・前記現像剤加振部が、前記現像剤収容ケーシングの底部における内壁面、及び前記現像剤搬送体から離隔するように、当該現像剤収容ケーシング内に配置されていてもよい。
かかる構成においては、振動している前記現像剤加振部と、前記現像剤収容ケーシング及び前記現像剤搬送体とが、離隔する。よって、前記現像剤加振部によって発せられている振動は、前記現像剤収容ケーシング及び前記現像剤搬送体には、直接伝達されない。
・前記現像剤加振部が、少なくとも前記現像剤収容ケーシングの最低部に対応する位置に設けられていてもよい。
かかる構成の画像形成装置によれば、前記現像剤収容ケーシング内における前記現像剤の収容量が少なくなった場合であっても、当該現像剤収容ケーシングの底部の前記現像剤が良好に加振され得る。これにより、上述のような場合であっても、前記現像剤の前記潜像形成面と対向する位置への搬送が、良好に行われ得る。
したがって、かかる構成によれば、上述のような場合であっても、前記現像剤による良好な画像形成が行われ得る。
(4)本発明の現像剤供給装置は、現像剤担持体における現像剤担持面に対して、現像剤を帯電した状態で所定の現像剤搬送方向に沿って供給し得るように構成されている。
ここで、前記現像剤担持体は、上述の(2)と同様に構成及び配置されている。また、前記現像剤担持面は、所定の主走査方向と平行な面であって、前記現像剤が担持され得る面である。
本発明の現像剤供給装置は、現像剤収容ケーシングと、現像剤搬送体と、複数の搬送電極と、を備えている。
前記現像剤収容ケーシングは、箱状部材であって、前記現像剤を収容し得るように構成されている。この現像剤収容ケーシングにおける、前記現像剤担持体と対向する位置には、開口部が形成され得る。
前記現像剤搬送体は、前記主走査方向と平行な現像剤搬送面を有している。
前記現像剤搬送体は、例えば、前記開口部を挟んで、前記現像剤搬送面が前記現像剤担持体と対向するように、前記現像剤収容ケーシング内に配置され得る。あるいは、前記現像剤搬送体は、例えば、前記現像剤収容ケーシングの内壁面であって、前記開口部と隣接する位置及び/又は当該開口部と対向する位置に設けられ得る。
複数の前記搬送電極は、前記現像剤搬送面に沿って設けられている。これらの搬送電極は、前記副走査方向に沿って配列されている。そして、これらの搬送電極は、進行波状の電圧が印加されることで、前記現像剤を前記現像剤搬送面上にて前記現像剤搬送方向に搬送し得るように構成されている。
すなわち、前記現像剤搬送体は、複数の前記搬送電極に所定の電圧が印加されることで、前記現像剤搬送面上にて前記現像剤を所定の前記現像剤搬送方向に(前記開口部、あるいは前記現像剤担持面に向けて)搬送し得るように構成されている。
前記現像剤加振部は、前記現像剤収容ケーシング内に収容された前記現像剤であって、前記現像剤搬送面上で搬送される前のものを、加振し得るように構成されている。
前記現像剤加振部は、例えば、前記現像剤搬送面の前記現像剤搬送方向における最上流部の近傍位置に配置され得る。
かかる構成を有する本発明の現像剤供給装置においては、前記現像剤加振部によって、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤が加振される。これにより、当該現像剤が流動化され得る。
また、前記副走査方向に沿って配列された複数の前記搬送電極に対して、所定の進行波状の電圧が印加される。これにより、前記現像剤搬送体における前記現像剤搬送面の近傍に、前記副走査方向に沿った方向に進行する進行波状の電界が形成される。
そして、上述のようにして流動化された、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤のうち、前記現像剤搬送面の近傍のものは、上述の進行波状の電界によって、当該現像剤搬送面上を、所定の前記現像剤搬送方向に(前記開口部、あるいは前記現像剤担持面に向けて)搬送される。
かかる構成を備えた本発明の現像剤供給装置によれば、前記現像剤搬送面上で搬送される前の前記現像剤が、効果的に流動化される。このとき、当該現像剤に対して、大きな圧縮力やせん断力等のストレスが与えられることが、可及的に抑制され得る。
したがって、本発明の現像剤供給装置によれば、進行波による前記現像剤の搬送・供給が、より均一に行われ得る。
・前記現像剤加振部が、前記現像剤収容ケーシングの底板に設けられていてもよい。
これによれば、前記現像剤収容ケーシング内の前記現像剤が、きわめて簡易な装置構成で良好に流動化され得る。
・前記現像剤加振部が、前記現像剤収容ケーシングの底部における内壁面、及び前記現像剤搬送体から離隔するように、当該現像剤収容ケーシング内に配置されていてもよい。
かかる構成によれば、前記現像剤加振部によって発せられている振動が、前記現像剤収容ケーシング及び前記現像剤搬送体に直接伝達されることが、効果的に抑制され得る。
・前記現像剤加振部が、少なくとも前記現像剤収容ケーシングの最低部に対応する位置に設けられていてもよい。
かかる構成の現像剤供給装置によれば、前記現像剤収容ケーシング内における前記現像剤の収容量が少なくなった場合であっても、当該現像剤収容ケーシングの底部の前記現像剤が良好に加振され得る。
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
<レーザープリンタの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用されているレーザープリンタ100の概略構成を示す側断面図である。
ここで、図1においては、画像形成対象である記録媒体としての用紙Pの搬送経路である用紙搬送経路PPが、2点鎖線で示されている。そして、この用紙搬送経路PPの接線方向を、用紙搬送方向と称する。
また、図中x軸方向を、前後方向と称する。この前後方向における、レーザープリンタ100の一端側(図中右側)を、「前」側と称する。これに対し、レーザープリンタ100の前記一端側と反対の他端側(図中左側)を、「後ろ」側と称する。
さらに、レーザープリンタ100の高さ方向(図中y軸方向)、前記用紙搬送方向、及び前記前後方向と直交する方向を、用紙幅方向(図中z軸方向)とする。
<<本体部>>
図1を参照すると、本発明の画像形成装置としてのレーザープリンタ100は、本体ケーシング112を備えている。本体ケーシング112は、レーザープリンタ100の外側カバーを構成する部材である。この本体ケーシング112は、合成樹脂板によって、一体に形成されている。
本体ケーシング112の上部における前側には、スリット状の貫通孔からなる排紙口112aが形成されている。
本体ケーシング112の上部における前側であって、排紙口112aに対応する位置には、排紙トレイ114が装着されている。この排紙トレイ114は、排紙口112aから排出された、画像形成済みの用紙Pを受け止め得るように構成されている。
<<静電潜像形成部>>
本体ケーシング112の内部には、静電潜像形成部120が収容されている。この静電潜像形成部120は、本発明の静電潜像担持体及び現像剤担持体としての感光体ドラム121を備えている。
感光体ドラム121は、略円筒形状の部材であって、その回転中心軸が、前記用紙幅方向と平行となるように配置されている。この感光体ドラム121は、図中時計回りに回転駆動され得るように構成されている。
具体的には、感光体ドラム121は、ドラム本体121aと、感光体層121bと、から構成されている。
ドラム本体121aは、アルミニウム合金等の金属管から構成されている。感光体層121bは、所定の波長の光の照射によって導電性を示す、正帯電性の光導電層から構成されている。この感光体層121bは、ドラム本体121aの外周に形成されている。
感光体ドラム121は、本発明の潜像形成面及び現像剤担持面を構成する像担持面121b1を有している。像担持面121b1は、感光体層121bの周面によって構成されている。
像担持面121b1は、前記用紙幅方向及び後述する前記主走査方向と平行となるように形成されている。この像担持面121b1は、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成されている。
すなわち、感光体ドラム121は、像担持面121b1が前記主走査方向と直交する後述の副走査方向に沿って移動し得るように構成されている。
また、静電潜像形成部120は、スキャナユニット122と帯電器123とを備えている。
スキャナユニット122は、所定のスキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調された前記所定の波長のレーザー光LBを、前記用紙幅方向と平行な主走査方向(図中z軸方向)に沿って走査しつつ、像担持面121b1に照射し得るように構成及び配置されている。
帯電器123は、スキャン位置SPよりも、像担持面121b1の移動方向(感光体ドラム121の回転方向)における上流側に配置されている。この帯電器123は、スキャン位置SPよりも前記方向における上流側の像担持面121b1を一様に正帯電させ得るように構成及び配置されている。
静電潜像形成部120は、帯電器123によって一様に正帯電させられた像担持面121b1に対して、スキャナユニット122によってレーザー光LBを照射することで、電位分布(電荷分布)による静電潜像を像担持面121b1に形成し得るように構成されている。
また、静電潜像形成部120は、静電潜像が形成された像担持面121b1を、副走査方向に沿って移動させ得るように構成されている。
ここで、「副走査方向」とは、前記主走査方向と直交する任意の方向である。通常、前記副走査方向は、鉛直線と交差する方向とされる。典型的には、前記副走査方向は、レーザープリンタ100の前後方向(図中x軸方向)に沿った方向とされることがある。
<<現像装置>>
本体ケーシング112の内部には、本発明の現像剤供給装置を構成する現像装置130が収容されている。現像装置130は、感光体ドラム121と、現像位置DPにて対向するように配置されている。
現像装置130は、微粒子状の乾式現像剤(粉体現像剤)であるトナーTを、その内部に収容しつつ、図中矢印で示されているように、トナー搬送方向TTDに沿って循環させながら搬送し得るように構成されている。
すなわち、本発明の現像剤搬送方向としてのトナー搬送方向TTDとは、側断面視にて略オーバル(長円)形状に形成された、トナーTの現像装置130内の循環搬送経路の、任意の点における接線方向である。
また、現像装置130は、現像位置DPの近傍にて、トナーTを、帯電した状態で、静電潜像が形成された像担持面121b1に供給し得るように、以下のように構成及び配置されている。なお、本実施形態におけるトナーTは、電子写真方式における非磁性1成分現像用のものが用いられている。
図2は、図1に示されている静電潜像形成部120及び現像装置130を拡大した側断面図である。
図1及び図2を参照すると、現像装置130は、スキャン位置SPよりも像担持面121b1の移動方向における下流側の像担持面121b1と対向するように、感光体ドラム121の下方に配置されている。
<<<現像ケーシング>>>
図1及び図2を参照すると、本発明の現像剤収容ケーシングとしての現像ケーシング131は、箱状部材であって、トナーTをその外部に漏らさないように収容し得るように構成されている。
現像ケーシング131の天板を構成するケーシング上面カバー131aにおける後ろ側の部分である、現像部対向板131a1は、側断面視にて略J字状の形状に形成されている。すなわち、現像部対向板131a1は、感光体ドラム121の下方に位置していて略水平に配置された平板部と、その平板部の後端に接続されたハーフパイプ部と、から構成されている。このハーフパイプ部における下端部は、前側かつ下方に下がる勾配の斜面状に形成されている。
現像部対向板131a1は、ケーシング上面カバー131aのその他の部分よりも薄くなっている。すなわち、ケーシング上面カバー131aの内側面であって、現像部対向板131a1に対応する位置には、凹部が形成されている。
現像部対向板131a1における、上述の平板部には、本発明の開口部としての現像開口部131a2が形成されている。この現像開口部131a2は、現像部対向板131a1における、像担持面121b1と対向する位置にて、上述の現像位置DPを囲むように設けられている。
ケーシング底板131bは、現像ケーシング131の底板を構成する平板状の部材である。このケーシング底板131bの、後ろ側の端部は、ケーシング上面カバー131aにおける上述のハーフパイプ部の下端に接続されている。
すなわち、ケーシング底板131bと、ケーシング上面カバー131aとは、現像ケーシング131の後ろ側の端部にて、略U字状に滑らかに接続するように、一体に形成されている。
ケーシング上面カバー131a及びケーシング底板131bの、前記用紙幅方向における両端は、一対のケーシング側板131cによって閉塞されている。また、ケーシング上面カバー131a、ケーシング底板131b、及び一対のケーシング側板131cの、前側の端は、ケーシング前部閉塞板131dによって閉塞されている。
本実施形態において、本発明の現像剤加振部を構成する、ケーシング底板131bは、圧電セラミックスと電極膜との積層体によって形成されている。すなわち、本実施形態においては、本発明の現像剤加振部が、現像ケーシング131における底板を構成するケーシング底板131bに設けられている。
このケーシング底板131bは、図示しない電源装置から出力された交流電圧が印加されることで、振動し得るように構成されている。すなわち、このケーシング底板131bは、現像ケーシング131内に収容されたトナーTを加振し得るように構成されている。
図2を参照すると、本実施形態においては、後述するトナー電界搬送体132に備えられた後述する搬送配線基板133の、トナー搬送方向TTDにおける最上流部(図中左下側の端部)のほぼ真下に、ケーシング底板131bの後ろ側の端部(図中左側の端部)が設けられている。また、ケーシング底板131bの後ろ側の端部は、後述する対向配線基板135のトナー搬送方向TTDにおける最上流部と隣接するように設けられている。
すなわち、本実施形態においては、対向配線基板135及び搬送配線基板133における進行波状の電界によってトナーTがトナー搬送方向TTDに搬送される領域の最上流部の近傍に、ケーシング底板131bの後ろ側の端部(図中左側の端部)が設けられている。
換言すれば、本実施形態においては、対向配線基板135及び搬送配線基板133によってトナーTが搬送される領域における最上流部に対応するように、現像ケーシング131内に収容されたトナーTを加振するためのケーシング底板131bが設けられている。
そして、ケーシング底板131bの後ろ側の端部は、搬送配線基板133(後述するトナー搬送面133b)で搬送される前のトナーTを、振動によって流動化させ得るように設けられている。
また、ケーシング底板131bの後ろ側の端部は、対向配線基板135(後述するトナー搬送面135b)のトナー搬送方向TTDにおける最上流部と対向する位置のトナーTを、振動によって流動化させ得るように設けられている。
さらに、ケーシング底板131bは、現像ケーシング131の内側の空間における底部に貯留されているトナーTのほぼ全体を、振動によって流動化させ得るように構成及び配置されている。
<<<現像剤電界搬送体>>>
図2を参照すると、現像ケーシング131の内側には、本発明の現像剤搬送体を構成するトナー電界搬送体132が収容されている。すなわち、トナー電界搬送体132は、現像ケーシング131によって覆われている。
トナー電界搬送体132は、現像開口部131a2を挟んで、像担持面121b1と対向するように、現像ケーシング131の内側の空間における後ろ側に配置されている。すなわち、感光体ドラム121とトナー電界搬送体132とが、現像開口部131a2を挟んで対向するように、トナー電界搬送体132が設けられている。
トナー電界搬送体132は、現像部対向板131a1と所定の間隙を隔てて対向しつつ、ケーシング底板131bから浮いた状態となるように、その両端が一対のケーシング側板131cによって支持されている。
図3は、図2に示されているトナー電界搬送体132における、現像開口部131a2の近傍の部分を拡大した側断面図である。図2及び図3を参照すると、トナー電界搬送体132は、搬送配線基板133を備えている。搬送配線基板133は、現像開口部131a2を挟んで、像担持面121b1と対向するように配置されている。
図3を参照すると、搬送配線基板133は、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有していて、複数の搬送電極133aを備えている。これらの搬送電極133aは、本発明の現像剤搬送面としてのトナー搬送面133bに沿って配置されている。
ここで、トナー搬送面133bは、搬送配線基板133の図中上側の表面であって、感光体ドラム121と対向する側の表面である。すなわち、搬送電極133aは、トナー搬送面133bの近傍に配置されている。
また、トナー搬送面133bは、搬送配線基板133における、像担持面121b1と対向する表面であって、前記主走査方向(図中z方向)と平行に形成されている。かかるトナー搬送面133bと像担持面121b1とは、現像位置DPにて最も近接するようになっている。
搬送電極133aは、厚さが数十μm程度の銅箔からなる。この搬送電極133aは、前記主走査方向と平行な(前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。複数の搬送電極133aは、互いに平行に配置されている。
そして、これらの搬送電極133aは、トナー搬送方向TTDに沿って(前記副走査方向に沿って)配列されている。
前記副走査方向に沿って多数配列された各搬送電極133aは、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極133a,電源回路VBに接続された搬送電極133a,電源回路VCに接続された搬送電極133a,電源回路VDに接続された搬送電極133a,電源回路VAに接続された搬送電極133a,電源回路VBに接続された搬送電極133a・・・が、前記副走査方向に沿って順に配列されている。
搬送配線基板133は、また、搬送電極支持基板133cと、搬送電極コーティング層133dと、を備えている。
搬送電極支持基板133cは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極支持基板133cの上側表面上に、搬送電極133aが設けられている。
搬送電極支持基板133cにおける、搬送電極133aが形成されている上側表面上には、搬送電極コーティング層133dが設けられている。搬送電極コーティング層133dは、搬送電極133aを覆うように設けられている。この搬送電極コーティング層133dは、搬送電極支持基板133c及び搬送電極133aを覆うことで、トナー搬送面133bを平滑な面に形成するように設けられている。
図2及び図3を参照すると、トナー電界搬送体132は、搬送基板支持部材134を備えている。搬送基板支持部材134は、搬送配線基板133を下側から支持するように設けられている。
図2を参照すると、搬送基板支持部材134の、後ろ側の端部は、現像ケーシング131におけるケーシング上面カバー131aに沿って下方に屈曲するように形成されている。搬送基板支持部材134の、前側の端部も、後ろ側の端部と同様の形状で、下方に屈曲するように形成されている。搬送基板支持部材134の、上述の両端部の間の部分は、略平板状に形成されている。すなわち、搬送基板支持部材134は、側方視にて逆U字状に形成されている。
図4は、図3に示されている電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形を示したグラフである。図4に示されているように、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧を発生させるように構成されている。
ここで、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形は、位相が90°ずつ異なっている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるように、各電源回路VAないしVDが図示しない制御回路によって制御されている。
図2及び図3を参照すると、トナー電界搬送体132は、搬送配線基板133における各搬送電極133aに対して、図4に示されているような搬送電圧が印加されて、トナー搬送方向TTDに沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
図1及び図2を参照すると、ケーシング上面カバー131aの内側面であって、現像部対向板131a1に対応する位置に形成された、上述の凹部には、対向配線基板135が装着されている。すなわち、対向配線基板135は、トナー搬送面133bと所定の空隙を挟んで対向するように、現像開口部131a2が形成された現像部対向板131a1の内壁面によって支持されている。
対向配線基板135は、上述の搬送配線基板133と同様の構成を有している。
すなわち、図3を参照すると、対向電極135aは、厚さが数十μm程度の銅箔からなる。この対向電極135aは、前記主走査方向と平行な(前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。複数の対向電極135aは、互いに平行に配置されている。
そして、これらの対向電極135aは、所定のトナー搬送方向TTDに沿って(前記副走査方向に沿って)配列されている。また、各対向電極135aは、3本置きに同一の電源回路に接続されている。
対向配線基板135は、また、対向電極支持基板135cと、対向電極コーティング層135dと、を備えている。
対向電極支持基板135cは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。この対向電極支持基板135cの図中下側表面上に、対向電極135aが設けられている。
対向電極支持基板135cにおける、対向電極135aが形成されている下側表面上には、対向電極コーティング層135dが設けられている。
対向電極コーティング層135dは、対向電極135aを覆うように設けられている。この対向電極コーティング層135dは、対向電極支持基板135c及び対向電極135aを覆うことで、トナー搬送面135bを平滑な面に形成するように設けられている。
対向配線基板135は、上述の搬送配線基板133と同様に、複数の対向電極135aに対して所定の電圧が印加されて、トナー搬送方向TTDに沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
<<転写部>>
再び図1を参照すると、転写部140は、感光体ドラム121と現像装置130とが対向する位置よりも、感光体ドラム121の回転方向における下流側の位置の、像担持面121b1と対向するように設けられている。
転写部140は、ローラ状の部材であって、金属製の回転中心軸141と、当該回転中心軸141の周囲に設けられた半導電性ゴム層142とから構成されている。
回転中心軸141は、前記主走査方向(図中z軸方向)と平行に配置されている。この回転中心軸141には、高圧電源が接続されている。半導電性ゴム層142は、合成ゴムにカーボンブラック等を練り込むことで、半導電性を示すように構成されている。
転写部140は、感光体ドラム121におけるドラム本体121aとの間で所定の転写電圧が印加されつつ、図中反時計回りに回転駆動されることで、像担持面121b1上に担持されたトナーTを用紙P上に転写させ得るように構成されている。
<<給紙カセット>>
給紙カセット150は、現像装置130の下方に配置されている。
給紙カセットケース151は、給紙カセット150のケーシングを構成する箱状の部材であって、上方に開口するように形成されている。この給紙カセットケース151は、その内側に、最大A4サイズ(幅210mm×長さ297mm)のシート状の用紙Pを、積層状態にて多数収容し得るように構成されている。
給紙カセットケース151内には、用紙押圧板153が配置されている。用紙押圧板153は、その前側の端部を中心として、後ろ側の端部が図中上下方向に沿って揺動し得るように、給紙カセットケース151によって支持されている。用紙押圧板153の後ろ側の端部は、図示しないバネによって、上方に付勢されている。
<<用紙搬送部>>
本体ケーシング112の内部には、用紙搬送部160が収容されている。用紙搬送部160は、転写部140と像担持面121b1とが最近接状態で対向する転写位置TPに用紙Pを供給し得るように構成されている。この用紙搬送部160は、給紙ローラ161と、用紙ガイド163と、用紙搬送ガイドローラ165と、から構成されている。
給紙ローラ161は、前記主走査方向と平行な回転中心軸と、その周囲のゴム層とから構成されている。給紙ローラ161は、給紙カセットケース151内の用紙押圧板153上に載置された用紙Pの、前記用紙搬送方向における最先端部と対向するように配置されている。用紙ガイド163及び用紙搬送ガイドローラ165は、給紙ローラ161によって送り出された用紙Pを転写位置TPまで案内し得るように構成されている。
<<定着部>>
本体ケーシング112の内部には、定着部170が収容されている。定着部170は、転写位置TPよりも前記用紙搬送方向における下流側の位置に配置されている。
定着部170は、転写位置TPを経てトナーTが付着した用紙Pを加圧しつつ加熱することで、当該用紙P上に形成されたトナーTによる像を、当該用紙P上に定着させ得るように構成されている。この定着部170は、加熱ローラ172と、加圧ローラ173と、を備えている。
加熱ローラ172は、表面が離型処理された金属製の円筒と、その円筒内に収容されたハロゲンランプとから構成されている。加圧ローラ173は、金属製の回転中心軸と、その回転中心軸の周囲に設けられたシリコンゴム製のゴム層と、から構成されている。加熱ローラ172と加圧ローラ173とは、所定の圧力をもって互いに押圧しあうように配置されている。
加熱ローラ172及び加圧ローラ173は、用紙Pを加圧及び加熱しつつ、排紙口112aに向けて当該用紙Pを送出し得るように構成及び配置されている。
<レーザープリンタによる画像形成動作の概略>
以下、上述の構成を備えたレーザープリンタ100による画像形成動作の概略について、各図面を参照しつつ説明する。
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、用紙押圧板153上に積載された用紙Pが、当該用紙押圧板153によって、給紙ローラ161に向かって上方に付勢される。これにより、用紙押圧板153上に積載された最上位の用紙Pが、給紙ローラ161の周面と接触する。
給紙ローラ161が図中時計回りに回転駆動されることで、用紙Pの用紙搬送方向における先端が用紙ガイド163に向けて送られる。そして、当該用紙ガイド163、及び用紙搬送ガイドローラ165によって、用紙Pが転写位置TPまで給送される。
<<像担持面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム121の周面である像担持面121b1上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム121の像担持面121b1は、まず、帯電器123によって、正極性に一様に帯電される。
図3を参照すると、帯電器123によって帯電された像担持面121b1は、感光体ドラム121の図中時計回りの回転により、スキャナユニット122と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、前記副走査方向に沿って移動する。
このスキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザー光LBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、像担持面121b1に照射される。このレーザー光LBの変調状態に応じて、像担持面121b1上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、像担持面121b1上に、正電荷の画像状分布による静電潜像LIが形成される。
像担持面121b1に形成された静電潜像LIは、感光体ドラム121の図中時計回りの回転により、現像位置DPに向かって移動する。
<<<トナーの流動化>>>
図2を参照すると、ケーシング底板131bに対して、図示しない電源装置から所定の交流電圧が出力されることで、当該ケーシング底板131bが振動する。
このケーシング底板131bの振動により、現像ケーシング131内に貯留されているトナーTが加振される。この加振されたトナーTは、液体の如く流動化する。このような、現像ケーシング131の下部にて流動化しているトナーTの集合体を、以下、「トナー溜まり」と称する。
<<<帯電トナーの搬送>>>
図2を参照すると、対向配線基板135に対する所定の(図4に示されているものと同様の)電圧の印加により、当該対向配線基板135上には、所定の進行波状の電界が形成される。
すると、上述のトナー溜まりにおける後ろ側の端部の、充分に流動化されたトナーT(対向配線基板135および搬送配線基板133上で搬送される前のトナーT)は、当該進行波状の電界により、対向配線基板135のトナー搬送方向TTDにおける最上流部(図中左下側)から、搬送配線基板133の後ろ側の端部と対向配線基板135とが対向する位置まで、斜面状のトナー搬送面135bを上るように搬送される。
もっとも、当該最上流部がトナーT(トナー溜まり)で覆われている場合には、搬送配線基板133がトナーT(トナー溜まり)から露出した位置から搬送が開始される。
搬送配線基板133と対向配線基板135との間のトナーTは、搬送配線基板133におけるトナー搬送面133b、及び対向配線基板135におけるトナー搬送面135bにて発生している進行波状の電界により、現像位置DP(現像開口部131a2)に向かって搬送される。
現像位置DPを経たトナーTは、トナー搬送面133bにおける最も前側の端部から、下方に落下することで、上述のトナー溜まりに還流する。
なお、対向配線基板135によるトナーTの搬送動作は、搬送配線基板133によるトナーTの搬送動作と同様である。よって、以下に、搬送配線基板133によるトナーTの搬送動作について詳述する。
図5は、図3に示されている搬送配線基板133におけるトナー搬送面133bの周辺を拡大して示す側断面図である。なお、図3において、電源回路VAと接続されている搬送電極133aは、図5において、搬送電極133aAと示されている。搬送電極133aBないし搬送電極133aDも同様である。
図4及び図5を参照すると、図4における時点t1においては、図5の(A)に示されているように、搬送電極133aAと搬送電極133aBとの間の位置であるAB間位置にて、トナー搬送方向TTDと逆向き(図5におけるxと反対の方向)の電界EF1が形成される。
一方、搬送電極133aCと搬送電極133aDとの間の位置であるCD間位置には、トナー搬送方向TTDと同じ向き(図5におけるx方向)の電界EF2が形成される。
また、搬送電極133aBと搬送電極133aCとの間の位置であるBC間位置、及び搬送電極133aDと搬送電極133aAとの間の位置であるDA間位置には、トナー搬送方向TTDに沿った方向の電界が形成されない。
すなわち、時点t1においては、前記AB間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと逆向きの静電力を受ける。また、前記BC間位置及び前記DA間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDに沿った方向の静電力をほとんど受けない。また、前記CD間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと同じ向きの静電力を受ける。
よって、時点t1においては、正帯電のトナーTは、前記DA間位置に集められる。
同様に、時点t2においては、正帯電のトナーTは、前記AB間位置に集められる。次いで、時点t3になると、正帯電のトナーTは、前記BC間位置に集められる。
このように、トナーTが集められる領域が、時間の経過に伴い、トナー搬送面133bに沿ってトナー搬送方向TTDに移動していく。
<<<静電潜像の現像>>>
図3を参照すると、上述のようにして、正帯電のトナーTが、現像位置DPに供給される。
この現像位置DPの近傍にて、像担持面121b1上であって、静電潜像LIにおける正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。すなわち、感光体ドラム121の像担持面121b1上の静電潜像LIがトナーTにより現像される。そして、トナーTによる像が、当該像担持面121b1上に担持される。
<<像担持面上から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム121の像担持面121b1上に担持されたトナーTによる像は、当該像担持面121b1が図中時計回りに回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナーTによる像が、像担持面121b1から用紙P上に転写される。
<<定着・排紙>>
転写位置TPにてトナーTによる像を転写された用紙Pは、用紙搬送経路PPに沿って定着部170に送られる。
そして、この用紙Pは、加熱ローラ172と加圧ローラ173との間で挟まれることで加圧されつつ加熱される。これにより、用紙Pの表面上に、トナーTによる像が定着される。その後、用紙Pは、排紙口112aに送られ、当該排紙口112aを介して排紙トレイ114上に排出される。
<実施形態の構成による作用・効果>
本実施形態の構成においては、ケーシング底板131bを振動させることで、トナー搬送面133b上で搬送される前の、現像ケーシング131内のトナーTが加振される。これにより、当該トナーTが流動化される。このときに、トナーTに与えられる圧縮力やせん断力等のストレスは、きわめて小さい。
よって、かかる構成によれば、現像ケーシング131内にて、トナー搬送面133b上で搬送される前のトナーTが、より良好に流動化される。これにより、トナー搬送面133bに対してトナーTがより均一に供給され得る。そして、トナー搬送面133b上にて、トナーTがより均一に搬送され得る。
このように、本実施形態の構成によれば、進行波電界によるトナー搬送面133b上のトナーTの搬送、及び現像位置DPへのトナーTの供給が、より均一に行われ得る。したがって、濃度ムラの発生が効果的に抑制され良好な画像形成が可能になる。
本実施形態の構成においては、現像ケーシング131内にてトナーTを加振するための構成が、少なくとも、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部の近傍位置に設けられている。
かかる構成によれば、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部の近傍のトナーTが、良好に流動化される。これにより、当該最上流部に対して、良好に流動化されたトナーTが供給される。したがって、トナー搬送面133b上におけるトナーTの搬送が、可及的に均一に行われ得る。
本実施形態の構成においては、現像ケーシング131内にてトナーTを加振するための構成が、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部の近傍位置のみならず、現像ケーシング131内にてトナーTが収容され得る空間のほぼ全体に対応している。
かかる構成によれば、現像ケーシング131内のトナーTのほぼ全量が、振動によって良好に流動化される。よって、現像ケーシング131内のトナーTが、偏りなく、トナー搬送面133b上での搬送に供される。
したがって、一部のトナーTのみが頻繁にトナー搬送面133b上にて搬送されることによる、当該一部のトナーTの劣化が、可及的に抑制され得る。
本実施形態の構成においては、現像ケーシング131内にてトナーTを加振するための構成が、当該現像ケーシング131の底板を構成するケーシング底板131bによって形成されている。
よって、本実施形態においては、現像ケーシング131内のトナーTが、きわめて簡易な装置構成で良好に流動化され得る。
本実施形態の構成においては、現像ケーシング131内にてトナーTを加振するための構成が、現像ケーシング131の最低部に対応する位置に設けられている。
かかる構成によれば、現像ケーシング131内におけるトナーTの収容量が少なくなった場合であっても、当該現像ケーシング131の底部のトナーTが良好に加振され得る。これにより、上述のような場合であっても、トナーTの現像位置DPへの搬送が、良好に行われ得る。
したがって、かかる構成によれば、現像ケーシング131内におけるトナーTの収容量が少なくなった場合であっても、トナーTによる良好な画像形成が行われ得る。
本実施形態の構成においては、現像ケーシング131内のトナーTを加振するための構成(ケーシング底板131b)が、対向配線基板135のトナー搬送方向TTDにおける最上流部と隣接している。
かかる構成によれば、進行波状の電界を用いた対向配線基板135によるトナーTの搬送の初期段階にて、トナーTの搬送状態のよりいっそうの均一化が達成され得る。
さらに、本実施形態の構成においては、現像ケーシング131内のトナーTを加振するための構成が、進行波状の電界を用いた搬送配線基板133及び対向配線基板135によるトナーTの搬送の最上流部と隣接している。
かかる構成によれば、進行波状の電界によるトナーTの搬送の初期段階にて、トナーTの搬送状態のよりいっそうの均一化が達成され得る。
<変形例の例示>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた、本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が付されているものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態や、下記の変形例の記載に基づいて、限定解釈されてはならない。
このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
(1)本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式の画像形成装置(例えば、感光体を用いないトナージェット方式及びイオンフロー方式の画像形成装置等)に対しても、好適に適用され得る。
(2)トナー電界搬送体132、搬送配線基板133、及び対向配線基板135の構成も、上述の実施形態にて示されているものに全く限定されない。
例えば、搬送電極133aは、搬送電極支持基板133cの表面から突出しないように、搬送電極支持基板133cに埋め込まれ得る。また、搬送電極コーティング層133dは省略され得る。あるいは、搬送電極133aは、搬送基板支持部材134上に直接形成され得る。
対向電極135aも、例えば、対向電極支持基板135cの表面から突出しないように、対向電極支持基板135cに埋め込まれ得る。また、対向電極コーティング層135dは省略され得る。あるいは、対向電極135aは、現像ケーシング131の内壁面上に直接形成され得る。
また、搬送電極133aや、対向電極135aの、長手方向は、上述の実施形態のように前記主走査方向と平行であってもよいし、前記主走査方向と交差するようになっていてもよい。搬送電極133aや、対向電極135aの、配列方向も、上述の実施形態のように平面視にて前記副走査方向と平行であってもよいし、平面視にて前記副走査方向と交差する方向であってもよい。
搬送電極133a及び対向電極135aの形状や、電気的接続構成も、特に限定はない。例えば、搬送電極133a及び対向電極135aは、上述の実施形態のような直線状ではなく、V字状、円弧状、波状、ギザギザ状等、様々な形状に形成され得る。
各電極間の接続も、上述の実施形態のような3つ置きでなく、1つ置き、2つ置き等、様々な状態とされ得る。この場合、対応する電源回路も4種類ではなく、各電圧波形の位相ずれも、180°、120°等に適宜変更され得る。さらに、電圧波形も、矩形波、正弦波等、様々なものが用いられ得る。
(3)上述の実施形態に開示されているような、ケーシング底板131bの全体が振動する構成に、本発明は限定されない。
例えば、少なくとも、トナー電界搬送体132と対向する位置に、トナーTを加振するための部分(本発明の現像剤加振部)が設けられていてもよい。
図6は、図2に示されている現像装置130の一つの変形例の構成を示す側断面図である。
図6を参照すると、本変形例においては、ケーシング上面カバー131a(現像部対向板131a1)の後ろ側の端部である、上述のハーフパイプ部が、略半円筒状に形成されている。
また、ケーシング底板131bの後ろ側の部分であって、トナー電界搬送体132と対向する位置に、本発明の現像剤加振部としての加振部131b1が形成されている。この加振部131b1は、上述の実施形態と同様に、圧電セラミックスから構成されている。
本変形例においては、加振部131b1の前側の端部は、トナー電界搬送体132の前側の端部に対応するように設けられている。また、加振部131b1の後ろ側の端部は、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部から若干離間した位置に設けられている。
加振部131b1の前後方向における長さは、トナー電界搬送体132とほぼ同等となるように設定されている。すなわち、加振部131b1は、トナー電界搬送体132の下方に設けられている。
ケーシング底板131bの前側の部分であって、加振部131b1以外の部分には、非加振部131b2が設けられている。
かかる構成によれば、トナー電界搬送体132の近傍位置のトナーTが、加振部131b1によって加振される。これにより、トナー搬送面133b上で搬送される前のトナーTが、当該加振部131b1による加振によって、良好に流動化する。よって、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部に対して、良好に流動化されたトナーTが供給され得る。したがって、トナー搬送面133b上のトナーTの搬送状態が、良好に均一化され得る。
図7及び図8は、図2に示されている現像装置130の他の変形例の構成を示す側断面図である。
図7を参照すると、本変形例においては、図2に示されている上述の実施形態の構成と同様に、ケーシング上面カバー131aにおける後ろ側の下端部が、側断面視にて、ケーシング底板131bの後ろ側の端部に向けて前側かつ下方に下がる勾配の斜面状に形成されている。
また、加振部131b1は、このケーシング上面カバー131aにおける後ろ側の下端部と接続するように、ケーシング底板131bの最後端部に設けられている。
また、図8を参照すると、本変形例においては、ケーシング上面カバー131aにおける後ろ側の下端部が、側断面視にて、ケーシング底板131bの後ろ側の端部に向けて後ろ側かつ下方に下がる勾配の斜面状に形成されている。加振部131b1は、上述と同様に、ケーシング上面カバー131aにおける後ろ側の下端部と接続するように、ケーシング底板131bの最後端部に設けられている。
すなわち、図7及び図8を参照すると、これらの変形例においては、加振部131b1は、トナー電界搬送体132(搬送配線基板133)のトナー搬送方向TTDにおける最上流部の近傍位置(図中左下端部)にのみ設けられている。具体的には、加振部131b1は、トナー電界搬送体132(搬送配線基板133)のトナー搬送方向TTDにおける最上流部の直下に設けられている。
また、図8においては、加振部131b1は、水平方向について、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部と重なる位置に設けられている。
さらに、図8においては、加振部131b1は、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部と対向し得るように設けられている。
かかる構成においては、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部に対応する位置のトナーTが良好に流動化される。この良好に流動化されたトナーTが、トナー搬送面133bの前記最上流部に供給される。これにより、トナー搬送面133bの前記最上流部における、トナーTの搬送状態が、均一化され得る。したがって、トナー搬送面133b上におけるトナーTの搬送、及び現像位置DPに対するトナーTの供給が、よりいっそうムラなく均一に行われ得る。
なお、図6ないし図8を参照すると、加振部131b1は、対向配線基板135(トナー搬送面135b)のトナー搬送方向TTDにおける最上流部にのみ対応して(近接ないし隣接して)設けられていてもよい。すなわち、トナー電界搬送体132(トナー搬送面133b)から離隔した位置(例えばトナー電界搬送体132及びトナー搬送面133bと対角位置)に設けられる一方、対向配線基板135(トナー搬送面135b)に対応するように設けられていてもよい。
(4)図6に示されているように、現像ケーシング131内には、攪拌部材としてのアジテータ137が設けられていてもよい。このアジテータ137は、現像ケーシング131内にて、回転可能に支持されている。
かかる構成においては、アジテータ137を激しく回転させなくても、現像ケーシング131内のトナーTの流動化が良好に行われ得る。
このアジテータ137は、好適には、図6に示されているように、ケーシング底板131bが非加振部131b2を有している場合に、当該非加振部131b2に対応して設けられ得る。
かかる構成によれば、加振部131b1の上のトナー溜まりの量が少なくなってきた場合に、アジテータ137を回転駆動させることで、当該トナー溜まりへトナーTを少量ずつ追加することができる。よって、現像ケーシング131内に連続的に貯留されている余剰分のトナーTが攪拌されることで当該トナーTが劣化することが、可及的に抑制され得る。
なお、当該余剰分のトナーTをより多くすることで、メンテナンス頻度を少なくするために、現像ケーシング131が、前後方向について、トナー電界搬送体132よりも充分長く(例えば2倍以上に)形成され得る。この場合、アジテータ137は複数配置され得る。
図6の構成においては、上流側アジテータ137aと、第1中間アジテータ137bと、第2中間アジテータ137cと、下流側アジテータ137dと、の4本のアジテータ137が設けられている。
かかる構成においては、現像ケーシング131内のトナーTの消耗度合いに応じて、上流側アジテータ137a、第1中間アジテータ137b、第2中間アジテータ137c、及び下流側アジテータ137dの駆動状態が適宜制御され得る。
例えば、トナーTの消耗度合いが小さい場合、上流側アジテータ137aと、第1中間アジテータ137bと、第2中間アジテータ137cとが常時停止され、下流側アジテータ137dのみがトナー溜まりの減少度合いに応じて適宜回転駆動される。
現像ケーシング131内のトナーTの消耗度合いが進むにつれて、トナー溜まりが減少した際に回転駆動されるアジテータ137が増加する。すなわち、回転駆動されるアジテータ137が、第2中間アジテータ137c及び下流側アジテータ137dとなり、次いで第1中間アジテータ137b、第2中間アジテータ137c、及び下流側アジテータ137dとなり、最後にはすべてのアジテータ137が回転駆動される。
(5)アジテータ等の攪拌部材は、図6に示されているように、トナー電界搬送体132とは異なる位置に設けられていてもよいし、トナー電界搬送体132に対応する位置(トナー電界搬送体132の下方)にも設けられていてもよい。
また、図7に示されているように、トナー電界搬送体132とは異なる位置に設けられたアジテータ137とは別に、当該アジテータ137よりも小さなサブアジテータ138が、トナー電界搬送体132に対応する位置(トナー電界搬送体132の下方)に設けられていてもよい。
この場合、サブアジテータ138は、トナー搬送方向TTDにおける下流側のトナー電界搬送体132の下方に設けられることが好適である。
これにより、トナー搬送方向TTDにおける下流側のトナー電界搬送体132からトナーTが還流してきた部分が、良好に攪拌される。そして、この部分のトナーTが、対向配線基板135のトナー搬送方向TTDにおける最上流部(図中下端部)まで良好に供給され得る。
また、サブアジテータ138は、図7に示されているように、複数設けられていてもよい。
図7の構成においては、上流側サブアジテータ138aと、中間サブアジテータ138bと、下流側サブアジテータ138cと、の3本のサブアジテータ138が設けられている。これら複数のサブアジテータ138も、上述の例と同様に、トナー溜まりの減少度合いに応じて、適宜回転駆動され得る。
さらに、図7に示されているように、ケーシング底板131bにおける加振部131b1が、トナー電界搬送体132のトナー搬送方向TTDにおける上流側の部分のみに形成されている場合、非加振部131b2におけるトナー電界搬送体132の下方の部分に(複数の)サブアジテータ138が設けられ、且つ非加振部131b2におけるトナー電界搬送体132と対応しない部分に(複数の)アジテータ137が設けられ得る。
かかる構成によれば、現像ケーシング131内のトナーTの量、及び上述のトナー溜まりの量に応じて、アジテータ137及びサブアジテータ138の回転駆動がきめ細かに制御されることで、トナー電界搬送体132に対するトナーTの供給状態がより最適化され得る。
(7)ケーシング底板131b(加振部131b1)の材質は、圧電セラミックスに限定されない。例えば、圧電性を示す合成樹脂等も好適に用いられ得る。
(8)対向配線基板135は、部分的に、あるいは全体的に、省略され得る。図8は、かかる変形例(あるいは図7に示されている変形例の現像装置130のさらなる変形例)の構成を示す側断面図に対応するものである。
この場合、図8に示されているように、トナー電界搬送体132(搬送配線基板133)のトナー搬送方向TTDにおける最上流側の端部(図中左下端部)が、ほぼ常時トナー溜まり中に浸漬され得るような位置まで、下方に延びるように設けられていることが好適である。
(9)本発明の現像剤搬送体は、トナー電界搬送体132に限定解釈されるべきではない。すなわち、例えば、現像装置130の構成によっては、対向配線基板135が本発明の現像剤搬送体に該当し得る。
(10)図9は、図2に示されている現像装置130の他の変形例の構成を示す側断面図である。
図9に示されているように、図示しない電源装置から出力された交流電圧が印加されることで、振動し得るように構成された振動部材である振動板139が、現像ケーシング131内に配置されていてもよい。この振動板139は、現像ケーシング131の底部における内壁面(対向配線基板135におけるトナー搬送面135b)及びトナー電界搬送体132から離隔するように配置されている。
ここで、図9に示されているように、振動板139の後ろ側の端部(図中左側の端部)は、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部の近傍位置に設けられていてもよい。すなわち、振動板139の後ろ側の端部は、トナー搬送面133bのトナー搬送方向TTDにおける最上流部に対応する位置に設けられていてもよい。
また、図9に示されているように、振動板139は、ケーシング底板131b(本変形例の場合は現像剤加振部を構成しない)の前記前後方向における後ろ側の一部分(略半分)に対応するように設けられていてもよい。
かかる構成においては、振動している振動板139と、現像ケーシング131及びトナー電界搬送体132とが、離隔している。よって、振動板139によって発せられている振動は、現像ケーシング131及びトナー電界搬送体132には、直接伝達されない。
したがって、かかる構成によれば、現像位置DPにおける、像担持面121b1とトナー搬送面133bとの所定の位置関係が振動板139との振動によって変動することが、可及的に抑制され得る。これにより、トナー搬送面133b上におけるトナーの搬送状態を均一化させるにあたり、静電潜像の現像に対する悪影響が可及的に抑制され得る。
(11)その他、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されているものは、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。