以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
<レーザープリンタの構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置としてのレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。
レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送し得るように構成されている。
本発明の供給対象としての感光体ドラム3の周面には、静電潜像担持面LSが形成されている。静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面として形成されている。この静電潜像担持面LSは、電位分布による静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応した位置にて本発明の現像剤としてのトナーT(図2参照)を担持するように構成されている。
感光体ドラム3は、前記主走査方向と平行な中心軸Cを中心として、図中矢印で示されている方向(図1における時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。すなわち、静電潜像担持面LSが、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得るように、感光体ドラム3が構成されている。
帯電器4は、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像担持面LSを一様に正帯電させ得るように構成されている。
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調されたレーザービームLBを生成するように構成されている。すなわち、スキャナーユニット5は、画素の有無によって発光のON/OFFが制御された、所定の波長帯域のレーザービームLBを生成するように構成されている。
また、スキャナーユニット5は、生成されたレーザービームLBを、静電潜像担持面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させる(露光する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、帯電器4よりも、感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:図中時計回り)における下流側の位置に設けられている。
さらに、スキャナーユニット5は、静電潜像担持面LS上にてレーザービームLBが結像される位置を、前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ことで、静電潜像担持面LS上に静電潜像を形成し得るように構成されている。
本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置6は、感光体ドラム3と対向するように、感光体ドラム3の下方に配置されている。トナー供給装置6は、現像位置DPにて、トナーを帯電した状態で静電潜像担持面LSに供給し得るように構成されている。ここで、現像位置DPとは、トナー供給装置6が静電潜像担持面LSと対向する位置である。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。
レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出し得るように構成されている。
転写ローラ22は、感光体ドラム3の外周面である静電潜像担持面LSと、転写位置TPにて、用紙Pを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ22は、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。
転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ22と感光体ドラム3との間で、静電潜像担持面LS上に付着したトナー(現像剤)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
<<トナー供給装置>>
図2は、図1に示されているトナー供給装置6を拡大した一部分解側断面図である。図2を参照すると、トナー供給装置6は、帯電したトナーTを、電界によりトナー搬送経路TTPに沿って搬送しつつ、感光体ドラム3に対して供給するように構成されている。
トナー供給装置6のケーシング60は、その主要部分(全体における大部分という意味であって、重要部分という意味ではない。)が側断面視にてほぼ長円状に形成された箱状部材であって、その長手方向が上下方向(図中y軸方向)と平行となるように配置されている。ケーシング60の内部には、粉末状の乾式現像剤としてのトナーTが収容されている。なお、本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色トナーである。
ケーシング60は、フロントパネル60bと、リアパネル60aと、底板60cと、天板60dと、一対の側壁60eと、補助タンク60fと、から構成されている。このケーシング60は、合成樹脂によって一体に形成されている。
リアパネル60aは、主走査方向及び高さ方向と平行な平板状の部材であって、水平面に対して直交するように立設されている。リアパネル60aは、上端部がその他の部分よりも薄く形成されている。
フロントパネル60bは、リアパネル60aと平行な平板状の部材であって、リアパネル60aの上端部と同じ厚さに形成されている。フロントパネル60b及びリアパネル60aは、それぞれの上端縁が主走査方向に平行で同じ高さになるように、互いに対向して設けられている。
底板60cは、主走査方向と平行な中心軸線を有する半円筒状の部材であって、リアパネル60a及びフロントパネル60bのそれぞれの下端部と接続されている。この底板60cにおける、リアパネル60aとの接続部以外の部分は、フロントパネル60bと同じ厚さに形成されている。
天板60dは、主走査方向と平行な中心軸線を有する薄肉半円筒状の部材であって、リアパネル60a及びフロントパネル60bのそれぞれの上端縁と接続されている。この天板60dは、リアパネル60aの上述の上端部、及びフロントパネル60bと同じ厚さに形成されている。
また、天板60dの頂部であって、感光体ドラム3と対向する位置に、トナー供給用開口部60d1が形成されている。すなわち、トナー供給用開口部60d1は、感光体ドラム3に向けて上方に開口するように設けられている。
フロントパネル60b、リアパネル60a、底板60c、及び天板60dによって形成された、側断面視にて略長円状の合成樹脂フレームの側方を塞ぐように、一対の側壁60eが設けられている。そして、ケーシング60、フロントパネル60b、リアパネル60a、底板60c、天板60d、及び一対の側壁60eによって囲まれた空間における底部に、本体側トナー貯留室60gが形成されている。本発明の現像剤貯留部としての本体側トナー貯留室60gは、トナー供給用開口部60d1よりも下方にて、トナーTを所定量貯留し得るようになっている。
ケーシング60の下端部であって、本体側トナー貯留室60gの側方には、補助タンク60fが設けられている。補助タンク60fは、リアパネル60a側にて、本体側トナー貯留室60gと隣接するように配置されている。
補助タンク60fは、主走査方向に長手方向を有する箱状部材であって、その主走査方向における幅がケーシング60の主走査方向における幅と同一になるように形成されている。本実施形態においては、補助タンク60fの下半分は上方に開口する薄肉半円筒状に形成されていて、上半分は下方に開口する側断面視逆U字状に形成されている。そして、補助タンク60fの内部の空間(特に上述の半円筒状の下半分に対応する部分)によって、トナー量調整室60hが形成されている。
リアパネル60aの最下端部には、貫通孔である連通孔60kが形成されている。連通孔60kは、本体側トナー貯留室60gの頂部とトナー量調整室60hとを連通させるように設けられている。本実施形態においては、この連通孔60kは、本体側トナー貯留室60g及びトナー量調整室60hの主走査方向におけるほぼ全幅分にわたって連続して形成されている。すなわち、連通孔60kは、後述する現像ローラ62の、主走査方向(すなわち本体側トナー貯留室60gの幅方向)における全長にわたって形成されている。
リアパネル60aの下端部であって、連通孔60kの上方には、貫通孔であるトナー補充口60mが形成されている。本実施形態においては、このトナー補充口60mもまた、リアパネル60aの主走査方向におけるほぼ全幅分にわたって連続して形成されている。
リアパネル60a側にてケーシング60に隣接するように、トナー投入状態制御部61が設けられている。トナー投入状態制御部61は、ケーシング60の上述の主要部分(すなわちトナー搬送経路TTPを形成する部分)に対するトナーTの投入状態を制御するように構成されている。
トナー投入状態制御部61は、トナー投入部61aを備えている。トナー投入部61aは、連通孔60kの上方にて、本体側トナー貯留室60g内にトナーTを投入するように構成されている。本実施形態においては、トナー投入部61aは、本体側トナー貯留室60gの主走査方向(すなわち本体側トナー貯留室60gの幅方向)における全長にわたって均一にトナーTを投入するように構成されている。
具体的には、トナー投入部61aは、投入部ケース61a1と、その内部に収容された投入スクリュー61a2と、を備えている。投入部ケース61a1は、トナータンクを構成する箱状部材であって、その内部にはトナーTが比較的多量に収容(貯留)されている。投入部ケース61a1の下端部は、トナー補充口60mを塞ぐように、リアパネル60aに装着されている。
リアパネル60aに装着された、投入部ケース61a1の下端部の内側の空間には、投入スクリュー61a2が収容されている。投入スクリュー61a2は、円筒状のシャフトと、そのシャフトの外周に形成されたらせん状の羽と、から構成されている。また、投入部ケース61a1の下端部には、投入用開口部61a3が形成されている。投入用開口部61a3は、トナー補充口60mと連通するように、当該トナー補充口60mの主走査方向における全長にわたって連続して形成されている。
すなわち、トナー投入部61aは、投入スクリュー61a2が回転駆動されることで、投入用開口部61a3及びトナー補充口60mを介して本体側トナー貯留室60g内にトナーTを少量ずつ投入するように構成されている。
トナー量調整室60hの底部と投入部ケース61a1の上部とは、トナー輸送手段61bによって接続されている。トナー輸送手段61bは、フレキシブルチューブと、このチューブの内部に設けられた螺旋状コイルばねからなるオーガと、を備えていて、トナー量調整室60hの底部から投入部ケース61a1の上部へトナーTを輸送するように構成されている。
ケーシング60の内側には、上述の現像ローラ62が収容されている。現像ローラ62は、円柱面状の周面であるトナー担持面62aを有していて主走査方向と平行な軸を中心として回転駆動されるローラ状の部材であって、ケーシング60によって、回動可能に支持されている。
現像ローラ62は、トナー供給用開口部60d1にて感光体ドラム3と対向するように設けられている。すなわち、現像ローラ62におけるトナー担持面62aが現像位置DPにて感光体ドラム3における静電潜像担持面LSと近接し所定間隔(500μm程度)のギャップを介して対向するように、ケーシング60及び現像ローラ62が配置されている。
ケーシング60の内部には、トナー搬送経路TTPに沿って、搬送基板63が設けられている。搬送基板63は、ケーシング60の内壁面に固定されている。本実施形態においては、搬送基板63は、底部搬送基板63aと、上方搬送基板63bと、回収基板63cと、を備えている。なお、搬送基板63(底部搬送基板63a、上方搬送基板63b、及び回収基板63c)の内部構成の詳細については後述する。
底部搬送基板63aは、本体側トナー貯留室60gの底面を構成するように、ケーシング60の内側の空間における底部に配置されている。すなわち、底部搬送基板63aは、底板60cの内壁面にて支持されている。また、底部搬送基板63aは、上方搬送基板63bの下端部と滑らかに接続されている。この底部搬送基板63aは、本体側トナー貯留室60g内のトナーTを、上方搬送基板63bの下端部に向けて搬送するように、当該下端部と接続されている。
上方搬送基板63bは、フロントパネル60b及び天板60dの内壁面にて支持されている。この上方搬送基板63bは、底部搬送基板63aから受け渡されたトナーTを、上方の現像ローラ62及び現像位置DPに向けてトナー搬送方向TTDに搬送するように構成されている。
本実施形態においては、上方搬送基板63bの上端部は、現像ローラ62の中心よりも上方まで、具体的には、トナー供給用開口部60d1に達する位置まで設けられている。この上端部は、現像ローラ62における円柱面状のトナー担持面62aと一定間隔(300μm程度)のギャップを隔てて対向するように、凹状の曲面状に屈曲されている。また、上方搬送基板63bのその他の部分は、平板状に形成されていて、トナーTを垂直上方に搬送するように立設されている。
回収基板63cは、天板60dのトナー供給用開口部60d1よりもリア側(図中右側)の部分及びリアパネル60aの上端部における、内壁面にて支持されている。すなわち、回収基板63cは、上方搬送基板63bの上端部と対向するように、連通孔60kの上方に設けられている。本実施形態においては、回収基板63cのトナー搬送方向TTDにおける終端部は、現像ローラ62の下端に対応する位置に設けられている。
回収基板63cは、現像位置DPにて消費されなかったトナーTを現像ローラ62から回収するとともに、この回収されたトナーTを下方の本体側トナー貯留室60gに向けて搬送するように構成されている。具体的には、回収基板63cの上半分の部分は、現像ローラ62と一定間隔(現像位置DPにおける感光体ドラム3と現像ローラ62とのギャップの間隔よりも狭い間隔:300μm程度)のギャップを隔てて対向するように、凹状の曲面状に屈曲されている。また、回収基板63cの下半分の部分は、トナーTを垂直下方に搬送するように設けられている。
搬送基板63における底部搬送基板63a及び上方搬送基板63bは、搬送電源回路64と電気的に接続されている。回収基板63cは、回収電源回路65と電気的に接続されている。現像ローラ62は、現像バイアス電源回路66と電気的に接続されている。
搬送電源回路64、回収電源回路65、及び現像バイアス電源回路66は、トナーTをトナー搬送経路TTPに沿ってトナー搬送方向TTDに循環させる(本体側トナー貯留室60g内のトナーTを現像ローラ62に一旦担持させつつ現像位置DPまで供給し、現像位置DPにて静電潜像担持面LS上の静電潜像をトナーTにより良好に現像するとともに、現像位置DPにて消費されなかったトナーTを現像ローラ62から回収して下方の本体側トナー貯留室60gに還流させる)ために必要な電圧を出力するようになっている。
ケーシング60の内側の空間内における底部には、バイアス印加対向部材67が収容されている。本実施形態においては、バイアス印加対向部材67は、円柱状のローラ部材であって、両側壁60eによって回転自在に支持されている。このバイアス印加対向部材67は、トナーTの電界搬送中に、図中矢印で示されている方向(トナー搬送方向TTDに沿った方向)に回転駆動されるようになっている。
バイアス印加対向部材67の中心軸67aは、本体側トナー貯留室60g内のトナーTのレベル(図中TL1:底板60cと補助タンク60fの底部との接合部の高さにより規定される)よりも高い位置に設けられている。具体的には、この中心軸67aは、上方搬送基板63bの下端部と対向する位置に設けられている。
本実施形態においては、バイアス印加対向部材67は、その円柱面状の外周面の略下半分が、上方搬送基板63bの下端部及び底部搬送基板63aと0.3mm程度のギャップを隔てて対向するように設けられている。すなわち、バイアス印加対向部材67は、その円柱面状の外周面の略上半分が、上方搬送基板63bの下端部(本体側トナー貯留室60g内のトナーTのレベルよりも上方)にて当該上方搬送基板63bと最近接するように配置されている。
バイアス印加対向部材67の中心軸67aは、搬送均一化用バイアス電源回路68と電気的に接続されている。搬送均一化用バイアス電源回路68は、上方搬送基板63bの下端部(トナー搬送方向TTDにおける最上流部)にてトナーTの搬送状態を均一化させるための交流バイアス電圧を、バイアス印加対向部材67に出力するようになっている。この交流バイアス電圧には、バイアス印加対向部材67の外周面と搬送基板63とが最近接している領域のトナー搬送方向TTDにおける最下流端(終端)にてトナーTが搬送基板63(すなわち上方搬送基板63bの下端部)側に移動するようなオフセットが設定されている。
<<<搬送基板>>>
図3は、図2に示されている搬送基板63を拡大した側断面図である。
図3を参照すると、搬送基板63は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送基板63は、搬送電極631と、搬送電極支持フィルム632と、搬送電極コーティング層633と、搬送電極オーバーコーティング層634と、から構成されている。
搬送電極631(なお、底部搬送基板63aにおける搬送電極631を底部搬送電極631a、上方搬送基板63bにおける搬送電極631を垂直搬送電極631b、回収基板63cにおける搬送電極631を回収電極631cと称する。)は、前記主走査方向と平行な(すなわち前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンであって、厚さが数十μm程度の銅箔によって形成されている。複数の搬送電極631は、トナー搬送経路TTPに沿って配列されていて、互いに平行に配置されている。
トナー搬送経路TTPに沿って多数配列された各搬送電極631は、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631,電源回路VDに接続された搬送電極631,電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631・・・が、トナー搬送経路TTPに沿って順に配列されている(なお、これらの電源回路VAないしVDは、図2における搬送電源回路64や回収電源回路65の構成要素である。)。
ここで、図4は、図3に示されている各電源回路VAないしVDの出力波形の一例を示すグラフである。本実施形態においては、図4に示されているように、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧を出力し得るように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。
このように、搬送基板63は、各搬送電極631に対して上述のような駆動電圧が印加されて、トナー搬送経路TTPに沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
複数の搬送電極631は、搬送電極支持フィルム632の表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム632は、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。搬送電極コーティング層633は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層633は、搬送電極支持フィルム632における搬送電極631が設けられている表面、及び搬送電極631を覆うように設けられている。
搬送電極コーティング層633の上には、搬送電極オーバーコーティング層634(なお、底部搬送基板63aにおける搬送電極オーバーコーティング層634を底部オーバーコーティング層634a、上方搬送基板63bにおける搬送電極オーバーコーティング層634を供給オーバーコーティング層634b、回収基板63cにおける搬送電極オーバーコーティング層634を回収オーバーコーティング層634cと称する。)が設けられている。すなわち、上述の搬送電極コーティング層633は、搬送電極オーバーコーティング層634と搬送電極631との間に形成されている。搬送電極オーバーコーティング層634の表面は、トナーTがスムーズに搬送され得るように、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
本実施形態においては、供給オーバーコーティング層634b及び回収オーバーコーティング層634cは、同一の材料(ポリエステル)によって形成されている。そして、この材料としては、トナーの帯電量を適正値にする摩擦帯電材料であって、摩擦帯電列における位置が、底部オーバーコーティング層634aを構成する材料(ポイリミド)よりも、プラス側すなわちトナーTの帯電極性と同極性側となるものが用いられている。
<レーザープリンタの動作説明>
以下、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作の概要を、実施形態の構成による作用・効果とともに、図面を適宜参照しつつ説明する。
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない前記給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
<<潜像形成面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である静電潜像担持面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム3の静電潜像担持面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。
帯電器4によって帯電された静電潜像担持面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、前記副走査方向に沿って移動する。
このスキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、静電潜像担持面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像が形成される。
静電潜像担持面LSに形成された静電潜像は、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、トナー供給装置6と対向する現像位置DPに向かって移動する。
<<<帯電トナーの搬送・供給>>>
図2及び図3を参照すると、ケーシング60内に貯留されているトナーTは、底部搬送基板63aにおける底部オーバーコーティング層634aとの接触や摩擦等により帯電する。底部搬送基板63aにおける底部オーバーコーティング層634aと接触あるいは近接している、帯電したトナーTは、底部搬送電極631aに対する印加電圧によって発生する電界により、トナー搬送方向TTDに搬送され、上方搬送基板63bに受け渡される。
上方搬送基板63bは、その下端部にて底部搬送基板63aから受け渡されたトナーTを、垂直上方に搬送する。このとき、上方搬送基板63bにおける供給オーバーコーティング層634bは、底部搬送基板63aにおける底部オーバーコーティング層634aとは異なり、搬送中の正帯電のトナーTをさらに正帯電にする機能が低い。よって、垂直搬送基板上を搬送中の前記現像剤の帯電状態の変化が、可及的に抑制され得る。
ここで、底部搬送基板63aから受け渡されたトナーTには、帯電状態が不良なもの(逆極性すなわち負極性に帯電したものや無帯電のものなど)が混入している。もっとも、本実施形態の構成においては、これらの帯電不良なトナーTは、上方搬送基板63bの下端部にて垂直上方に搬送される際に、下方に落下し、本体側トナー貯留室60g内へ還流する。
上方搬送基板63bの下端部にて垂直上方に搬送されはじめたトナーTは、バイアス印加対向部材67に対する交流バイアス電圧の印加に伴って発生する電界の作用を受ける(このときトナーTやその集合体がバイアス印加対向部材67と衝突することがあり得る)。かかる作用により、トナーTの搬送状態が均一化される。具体的には、例えば、トナーTの集合体が、ほぐされる。
上述のようにして、正帯電のトナーTが、均一に搬送されつつ、現像位置DPに供給される。この現像位置DPの近傍にて、静電潜像担持面LSに形成された静電潜像が、トナーTによって現像される。すなわち、静電潜像担持面LS上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、静電潜像担持面LS上に担持される。
現像位置DPを通過した(現像位置DPにて消費されなかった)トナー担持面62a上のトナーTは、上述の回収バイアスの作用で、回収基板63c側に移行する。すなわち、かかるトナーは、回収基板63cによってトナー担持面62aから回収される。
トナー担持面62aから回収基板63c側に移行したトナーTは、回収電極631cに対する印加電圧によって発生する電界により、下方の本体側トナー貯留室60gに向けて搬送される。
回収基板63cの下端部にて、トナーTは、垂直下方に搬送される。このとき、トナーTには、重力と同方向の慣性が作用する。そして、回収基板63cの下端部よりも下方においては、トナーTは、重力と、この重力と同方向の慣性の作用で、本体側トナー貯留室60gに落下する。よって、回収基板63cが本体側トナー貯留室60gに達するまで設けられていなくても、トナーTが本体側トナー貯留室60gに良好に還流する。
上述のように、本実施形態の構成においては、バイアス印加対向部材67は、トナー搬送経路TTPの最上流側のごく一部分にて、搬送基板63と対向するように配置されている。換言すれば、バイアス印加対向部材67は、上方搬送基板63bの下端部と対向するように配置されている。
このため、トナーTの搬送の阻害を可及的に抑制しつつ、その搬送状態が均一化される。具体的には、搬送基板63とバイアス印加対向部材67との間にトナーTが詰まることが、可及的に抑制される。また、バイアス印加対向部材67に対する交流バイアス電圧の印加に伴って発生する電界の作用で、搬送基板63によるトナーTの電界搬送が乱されることが、可及的に抑制される。
ここで、本体側トナー貯留室60g内のトナーTのレベル(図中TL1)を一定に保持する動作について説明する(このレベルTL1の変動は、上方搬送基板63bの下端部におけるトナー選別動作や、バイアス印加対向部材67によるトナー搬送状態均一化動作に影響を与えるからである。)。かかる動作は、トナー投入部61aによって本体側トナー貯留室60g内にトナーTを投入しつつ、連通孔60k及びトナー量調整室60hによって本体側トナー貯留室60g内のトナーTの貯留量を調整することによって行われる。
具体的には、トナー投入部61aによるトナーTの投入量が充分多くされる。これとともに、トナー量調整室60h内のトナーTのレベル(図中TL2)が連通孔60kの下端(本体側トナー貯留室60gとトナー量調整室60hとの間に形成された尾根状の凸部の上端)よりも常時低くなるように、トナー輸送手段61bの駆動状態が制御される。
すなわち、トナー投入部61aによるトナーTの投入量よりも、トナー輸送手段61bによるトナー量調整室60hからのトナーTの排出量の方が多くなるように、トナー投入部61a及びトナー輸送手段61bの駆動量が制御される。これにより、トナー量調整室60h内のトナーTのレベル(図中TL2)が、本体側トナー貯留室60g内のトナーTのレベル(図中TL1)よりも、常時低くなる。
このとき、本体側トナー貯留室60g内のトナーTは、バイアス印加対向部材67の回転によって良好に流動化され、あたかも液体であるかのような挙動を示す。したがって、連通孔60kを介して、本体側トナー貯留室60g内からトナー量調整室60hへトナーTがスムーズに溢れ出る。これにより、本体側トナー貯留室60g内のトナーTのレベル(図中TL1)が、連通孔60kの下端付近にて、ほぼ一定に保持される。すなわち、本体側トナー貯留室60g内のトナーTの貯留量が、良好に調整される。
<<潜像形成面から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の静電潜像担持面LS上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面LSが図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、静電潜像担持面LSから用紙P上に転写される。
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
(a)本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。また、露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
(b)上方搬送基板63bの主要部(上述の上端部以外の平板状の部分)は、実質的に上下方向に沿って立設していればよく、多少傾いていてもよい。同様に、回収基板63cも、多少傾いていてもよい。
(c)回収基板63cのトナー搬送方向TTDにおける終端部(すなわち下端部)は、トナー補充口60mまで設けられていてもよい。
(d)搬送基板63の構成も、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、搬送電極オーバーコーティング層634は省略され得る(この場合、上述の実施形態における搬送電極オーバーコーティング層634の材料選択と同様に、搬送電極コーティング層633の材料選択が行われる。)。あるいは、搬送電極631が搬送電極支持フィルム632内に埋め込まれることで、搬送電極コーティング層633及び搬送電極オーバーコーティング層634の双方が省略され得る。
(e)図5は、図2に示されているトナー供給装置6の一変形例の概略構成を示す側断面図である。図5に示されているように、バイアス印加対向部材67は、平板状に構成されていてもよい。この平板状のバイアス印加対向部材67は、本体側トナー貯留室60gに貯留されているトナーTよりも上方に設けられている。
平板状のバイアス印加対向部材67は、上方搬送基板63bの下端部よりもやや上方に設けられ得る。この場合、上述のような上方搬送基板63bの下端部におけるトナー選別動作を経て、薄層化されつつ上方に搬送中のトナーTが、バイアス印加対向部材67と対向する。これにより、トナー搬送状態の均一化が、よりいっそう良好に行われ得る。
また、かかる構成においては、ケーシング60の内側の空間内における底部には、アジテータ69が収容されていてもよい。この場合、アジテータ69は、その回転羽根69aの先端が搬送基板63の表面と摺動するように構成されている。アジテータ69は、主走査方向と平行な回転中心軸を中心として所定方向(図中反時計回り)に回動されることで、本体側トナー貯留室60g内のトナーTを攪拌して流動化させるとともに、当該本体側トナー貯留室60gから溢れ出たトナーTをトナー量調整室60h側に送出するようになっている。
(f)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。