本発明の一実施形態を図面に基づいて以下に説明する。まず、本実施形態にかかるトナー循環搬送装置を有する現像装置が備えられている画像形成装置について説明し、トナー循環搬送装置および現像装置について説明する。
(1.画像形成装置A)
図2は、本実施形態にかかる画像形成装置Aの構成を示す説明図である。この画像形成装置Aは、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録媒体)に対して多色および単色の画像を形成するものである。
同図に示すように、画像形成装置Aは、露光ユニット1、現像ユニット2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4、中間転写ベルトユニット8、定着ユニット12、シート搬送路S、給紙トレイ10および排紙トレイ15等を備えている。
画像形成装置Aにおいて扱われるカラー画像の画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。したがって、現像ユニット2(2a,2b,2c,2d)、感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電器5(5a,5b,5c,5d)、クリーナユニット4(4a,4b,4c,3d)は、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれ4個ずつ設けられている。なお、上記a〜dの符号は、aがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに対応し、これら符号にて区別された上記の各手段により、4つの画像ステーションが構成されている。
各画像ステーションにおいて、感光体ドラム3は、画像形成装置Aの上部に配置されている。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。この帯電器5としては、図2に示す接触型のローラ型の他、接触型のブラシ型のもの、あるいはチャージャー型のものなどが使用されることもある。
露光ユニット1には、図2に示すようにレーザ照射部および反射ミラーを備えた、レーザスキャニングユニット(LSU)を用いる手法のほかに、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法もある。露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
各現像ユニット2は、各感光体ドラム3上に形成された静電潜像をK,C,M,Yのトナーにより顕像化するものである。クリーナユニット4は、現像および画像転写工程後に感光体ドラム3の表面に残留しているトナーを除去し、回収するものである。
感光体ドラム3の上方には中間転写ベルトユニット8が配置されている。この中間転写ベルトユニット8は、中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73、および中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
中間転写ローラ6、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73は、中間転写ベルト7を張架し、矢印B方向に回転駆動させるものである。
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構73における中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。この中間転写ローラ6は、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスを与えるものである。
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。中間転写ベルト7上には、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像が順次重ねて転写されることにより、カラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。この中間転写ベルト7は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとして形成され、表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ローラ6は中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状のもの(中間転写ローラ6)を使用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。
上述のように各感光体ドラム3上の静電潜像は各色相に応じたトナーにより顕像化されてそれぞれトナー像となり、これらトナー像は中間転写ベルト7上において積層される。このように、積層されたトナー像は中間転写ベルト7の回転によって、搬送されて来た用紙と中間転写ベルト7との接触位置に移動し、この位置に配置されている転写ローラ11によって用紙上に転写される。この場合、中間転写ベルト7と転写ローラ11は所定ニップで互いに圧接されるとともに、転写ローラ11にはトナー像を用紙に転写させるための電圧が印加される。この電圧は、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧である。
上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方は金属等の硬質材料からなり、他方は弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)からなる。
中間転写ベルト7と感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、および中間転写ベルト7から用紙へのトナー像の転写の際に転写されずに中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去され回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられている。このクリーニングブレードが接触する部分の中間転写ベルト7は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72にて支持されている。
給紙トレイ10は、画像形成に使用するシート、例えば記録用紙を蓄積しておくためのものであり、画像形成部および露光ユニット1の下側に設けられている。一方、画像形成装置Aの上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのものである。
また、画像形成装置Aには、給紙トレイ10のシートおよび手差し給紙トレイ20のシートを転写部(感光体ドラム3と転写ローラ11との対向部)や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るためのシート搬送路Sが設けられている。このシート搬送路Sにおける給紙トレイ10から排紙トレイ15までの部分には、ピックアップローラ16、レジストローラ14、転写ローラ11を備えた転写部、定着ユニット12および搬送ローラ25等が配されている。
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、シート搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10からシートを1枚づつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。レジストローラ14は、シート搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持し、感光体ドラム3上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写部に搬送するものである。
定着ユニット12は、ヒートローラ81および加圧ローラ82等を備え、これらヒートローラ81および加圧ローラ82はシートを挟んで回転する。ヒートローラ81は、所定の定着温度となるように制御部(図示せず)によって制御される。この制御部は温度検出器(図示せず)からの検出信号に基づいてヒートローラ81を制御する。ヒートローラ81は、加圧ローラ82とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写されている各色トナー像を溶融・混合・圧接させ、シートに対して熱定着させる。なお、多色トナー像(各色トナー像)を定着後のシートは、複数の搬送ローラ25によってシート搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態(多色トナー像を下側に向けた状態)にて、排紙トレイ15上に排出される。
次に、シート搬送路Sによるシート搬送動作について説明する。画像形成装置Aには、上記のように、予めシートを収納する給紙トレイ10、および少数枚の印字を行う場合等に使用される手差し給紙トレイ20が配置されている。これら両者には各々前記ピックアップローラ16(16a,16b)が配置され、これらピックアップローラ16はシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する。
(片面印字の場合)
給紙トレイ10から搬送されるシートは、シート搬送路S中の搬送ローラ25aによってレジストローラ14まで搬送され、このレジストローラ14によりシートの先端と中間転写ベルト7上の積層されたトナー像の先端とを整合するタイミングで転写部に搬送される。転写部ではシート上にトナー像が転写され、このトナー像は定着ユニット12にてシート上に定着される。その後、シートは、搬送ローラ25bを経て排紙ローラ25cから排紙トレイ15上に排出される。
また、手差し給紙トレイ20から搬送されるシートは、複数の搬送ローラ25(25f,25e,25d)によってレジストローラ14まで搬送される。それ以降は給紙トレイ10から供給されるシートと同様の経過を経て排紙トレイ15に排出される。
(両面印字の場合)
上記のようにして片面印字が終了し定着ユニット12を通過したシートは、後端が排紙ローラ25cにてチャックされる。次に、シートは、排紙ローラ25cが逆回転することによって搬送ローラ25g,25hに導かれ、レジストローラ14を経て裏面印字が行われた後に、排紙トレイ15に排出される。
(2.現像ユニット2の構成)
次に、画像形成装置Aに備えられている現像ユニット2の詳細について説明する。図3は、現像ユニット2を水平方向から見た模式図である。
現像ユニット2は、図3に示すように、トナーホッパー101、トナー移送機構102、現像装置103を備えている。
(2−1.トナーホッパー101の構成)
トナーホッパー101は、現像装置103よりも高所に配されており、未使用トナー(粉体状のトナー)を貯蔵するトナー収容槽である。
また、このトナーホッパー101の底部にはトナー送出口101aが形成されており、トナーホッパー101内におけるトナー送出口101aの近傍にはトナー補給ローラ110が備えられている。このトナー補給ローラ110は、例えばウレタンスポンジなどの多孔質弾性体からなるローラであって、トナーホッパー101内のトナーを少しずつトナー送出口101aへ供給するためのものである。つまり、トナーホッパー101において、トナー補給ローラ110が回転駆動すると、トナーホッパー101内のトナーは、少しずつトナー送出口101aへ搬送される。そして、トナー送出口101aまで搬送されたトナーは、トナー送出口101aおよび開口端200aを介して、トナー移送管200内部に自由落下する。
(2−2.トナー移送機構102の構成)
トナー移送機構102は、トナーホッパー101から現像装置103へトナーを補給するためのものであり、トナー移送管(トナー移送路)200、駆動ベルト201、駆動ローラ202、従動ローラ203a・203bから構成されている。
トナー移送管200は、トナーホッパー(トナー送出側)101のトナーを、現像装置103の現像剤収容槽(トナー受入側)111へ自由落下によって移送し、現像剤収容槽111へトナーを補給するために形成されている経路である。具体的には、このトナー移送管200は、一方の開口端200aがトナーホッパー101のトナー送出口(トナー送出側)101aに対向しており、他方の開口端200bが現像装置103のトナー受入口(トナー受入側)111aに対向するように、トナーホッパー101と現像剤収容槽111とに接続される。これにより、現像装置103における現像剤収容槽111内部とトナーホッパー101内部とは、トナー移送管200を介して互いに連通している。なお、トナー移送管200は、開口端200aから開口端200bへ向けた方向が鉛直方向に平行または略平行になるように、トナーホッパー101と現像剤収容槽111との間に配されている。
駆動ベルト(移送補助部材、循環駆動部材、ベルト部材)201は、従動ローラ203a・203b、駆動ローラ(駆動手段)202の外周に対して張架され、駆動ローラ202の駆動によって循環駆動するベルト部材であり、ベルト表面には凸凹が形成されている。
なお、トナー移送管200の壁面において、鉛直方向に沿って並列する貫通穴200c・200dが形成され、これら貫通穴200c・200dにおいて、各々、従動ローラ203a・203bが配されている。さらに、駆動ローラ202は、トナー移送管200の外部において、両従動ローラ203a・203bと対向するように配置される。
ここで、駆動ローラ202は、その回転軸が鉛直方向と垂直、かつ、周面がトナー移送管200に対向するように配されている。また、従動ローラ203a・203bは、その回転軸が駆動ローラ202の回転軸と平行になるように配されている。
従動ローラ203a・203bおよび駆動ローラ202を以上のように配置すれば、図3に示すように、トナー移送管200の内部において、従動ローラ203a・203bによって駆動ベルト201を鉛直方向に沿って張架させることができる。
トナー移送管200の内部において、この駆動ベルト201が鉛直方向下向き(トナー収容部101から現像装置103へ向けた方向)に移動するように、駆動ローラ202を駆動させると、この駆動ベルト201は、トナー移送管200の内部において、上流側(トナー移送管200におけるトナーホッパー101側)から下流側(トナー移送管200における現像装置103側)へ移動し、トナー移送管200の外部において、下流側から上流側へリターンすることになる。つまり、駆動ベルト201は、従動ローラ203a・203b、駆動ローラ202間を循環駆動することとなる。したがって、自由落下によって移送中のトナーが駆動ベルト201に近接・接触すると、この駆動ベルト201の移動力によって、トナーの移送が補助・促進される。これにより、トナー移送管200において、トナーの滞留を抑制できるため、この滞留が蓄積、肥大することによるトナー移送管200の詰まりを抑制できるようになっている。
(2−3.現像装置103の構成)
現像装置103は、感光体ドラム3と対向するように配置され、感光体ドラム3表面にトナーを供給することにより、感光体ドラム3の表面に形成される静電潜像を顕像化する装置である。
図1および図3に示すように、現像装置103は、現像剤収容槽111、現像ローラ114,ドクターブレード115,搬送スクリュー112a・112b,仕切板111b,メッシュ部材(濾過手段)118a・118bを備えている。図1は、現像剤収容槽111の内部を鉛直方向上部から示した模式図である。なお、現像剤収容槽111,搬送スクリュー112a・112b,仕切板111b,メッシュ部材118a・118bによってトナー循環搬送装置130が構成されている。
現像剤収容槽111は、トナーとキャリアとからなる二成分系の現像剤を収容する槽である。また、図1および図3に示すように、現像剤収容槽111においては、搬送スクリュー112aの上方かつフロント側に、トナー受入口111aが形成されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、搬送スクリュー112aの回転軸方向における一方の端部側をフロント側とし、他方の端部側をリア側とする。
現像ローラ114は、図1に示すように、感光体ドラム3に対向する位置において、感光体ドラム3に近接するように配されているマグネットローラである。なお、現像ローラ114は、感光体ドラム3の回転方向と逆方向に回転駆動するように設定される。この現像ローラ114は、現像剤収容槽111内のトナーを感光体ドラム3に供給するためのものであって、現像ローラ114の外周に近接する位置に層厚規制用のブレード(ドクターブレード)115が配されている。
搬送スクリュー(攪拌ローラ)112a・112bは、図1に示すように、現像剤を攪拌および搬送するための攪拌羽根を有し、モータ等の駆動手段(図示せず)によって回転駆動されるスクリュー形状のローラである。
これら搬送スクリュー112a・112bは、同図に示すように、互いの外周面同士が仕切板111bを介して水平方向に対向するように並列され、互いに逆方向に回転するように設定されている。つまり、搬送スクリュー112a・112bの回転軸は互いに平行であるが、回転方向は各々逆向きとなる。
また、仕切板111bは、搬送スクリュー112a・112b間において、これらスクリュー112a・112bの回転軸方向に平行に延設されている。この仕切板111bによって、現像剤収容槽111内部は、搬送スクリュー112aが配されているスペース(第1搬送路)Cと、搬送スクリュー112bが配されているスペース(第2搬送路)Dとに区画されることとなる。
さらに、仕切板111bは、搬送スクリュー112a・112bの回転軸方向の両端部が現像剤収容槽111の壁面から離間して配置されている。これにより、搬送スクリュー112a・112bの回転軸方向の両端部付近には、スペースCとスペースDとを連通する連通路(導通部)が形成されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、仕切板111bのリア側の端部付近に形成されている連通路を第1導通部a、仕切板111bのフロント側の端部付近に形成されている連通路を第2導通部bとする。
また、図1に示すように、第1導通部aおよび第2導通部bには、仕切板111bと現像剤収容槽111の側壁面にかけてメッシュ部材118a,118bが備えられている。メッシュ部材(網目状部材)118a,118bは、ステンレスからなる線状の部材を網目状に編み合わせたものであり、仕切板111bと略平行に設けられている。本実施形態では、50メッシュ〜100メッシュ(1インチあたりの開口部数が50〜100)であって、JIS−B8356に規定された濾過精度(JIS−B8356に規定された方法によりメッシュ部材118a・118bにグラスビーズを透過させたときに95%以上補足される最小グラスビーズ粒径)が250μm〜500μmのメッシュ部材118a・118bを用いている。したがって、トナーおよびキャリアは、メッシュ部材118a・118bを水平方向に通過し、第1導通部aと第2導通部bとの間を移動できるようになっている。なお、メッシュ部材118a・118bは、トナーの凝集をほぐすことができるものであればよく、上記の構成に限るものではない。例えば、他の材質からなるものを用いてもよい。また、編み方についても特に限定されない。また、板状または膜状の部材にエッチング等により多数の孔を設けた多孔部材(濾過手段)を用いてもよい。
図4(a)はメッシュ部材118a・118bおよびその周辺を鉛直方向上方から見た模式図であり、図4(b)はメッシュ部材118a・118bおよびその周辺の水平方向から見た模式図である。
この図に示すように、現像剤収容槽111および仕切板111bには、断面がコの字型の切り欠き部(支持部)133が設けられており、この切り欠き部133に、緩衝材132、ピエゾ素子(圧電振動子、圧電体)121、メッシュ部材118a・118b、緩衝材132を重ね合わせて挟み込むことで、メッシュ部材118a・118bが支持されている。つまり、切り欠き部133内において、メッシュ部材118a・118bの端部にピエゾ素子131が当接するように配置され、このメッシュ部材118a・118bとピエゾ素子131とにそれぞれ一方の面が当接し、他方の面が切り欠き部133に当接するように緩衝材132・132が配置されている。なお、ピエゾ素子131は、メッシュ部材118a・118bに貼り付けられていてもよい。
ピエゾ素子131には、電源(図示せず)からACバイアス電圧が供給されるようになっている。これにより、ピエゾ素子131が伸縮を繰り返し、メッシュ部材118a・118bが振動するようになっている。なお、本実施形態では、メッシュ部材118a・118bが厚さ方向に振動するようになっているが、これに限るものではなく、例えばメッシュ部材118a・118bの面内方向(厚さ方向に垂直な方向)に振動させてもよい。
また、メッシュ部材118a・118bは、切り欠き部133において緩衝材132、ピエゾ素子121、緩衝材132に支持されることにより、このメッシュ部材118a・118bの面内方向(メッシュ部材118a・118bを外側に引き伸ばす方向)に張力を付与された状態で振動するようになっている。これにより、ピエゾ素子131による振動を、メッシュ部材118a・118bの中心部分(現像剤収容槽111の側壁・底面および仕切板111bから遠い位置)まで伝達できる。すなわち、メッシュ部材118a・118bの全体に振動を伝達させることができる。なお、メッシュ部材118a・118bの外縁部(あるいはその一部)を取り囲む枠部材(支持部材)を設け、この枠部材にメッシュ部材118a・118bを固定するとともに、この枠部材をピエゾ素子131および緩衝材132・132とともに切り欠き部133に挿入して挟み込むことで、メッシュ部材118a・118bに張力を付与してもよい。
(3.現像装置103の機能)
現像装置103の現像剤収容槽111において、搬送スクリュー112a・112bは駆動手段(図示せず)によって回転駆動され、図1に示す矢印方向に現像剤を循環搬送している。具体的には、スペースCにおいて、現像剤は、搬送スクリュー112aによって、フロント側からリア側へ攪拌されながら搬送されている。そして、スペースCのリア側まで搬送された現像剤は、第1導通部aを通過してスペースDへ搬送される。また、スペースDにおいて、現像剤は、搬送スクリュー112bによって、リア側からフロント側へ攪拌されながら搬送されている。そして、スペースDのフロント側まで搬送された現像剤は、第2導通部bを通過してスペースCに搬送される。このようにして、現像剤は、現像剤収容槽111内部において、攪拌されながらスペースC,Dを循環移動している。
このような攪拌および循環移動によって、現像剤収容槽111に収容されている現像剤は均一に分散される。また、この攪拌によって、トナー粒子とキャリア粒子とが擦れあって静電気が生じ(摩擦による静電気の発生)、現像剤におけるトナーは帯電してキャリアに付着する。
また、第1導通部aおよび第2導通部bには、メッシュ部材118a・118bが備えられているので、第1搬送路および第2搬送路を循環移動する現像剤がメッシュ部材118a・118bを通過することになる。これにより、トナーがメッシュ部材118a・118bによってほぐされ、細かく分散させられる。
なお、キャリアに付着したトナーは、スペースDにおいて、キャリアごと現像ローラ114表面に引きつけられる。さらに、キャリアごと現像ローラ114に引きつけられたトナーは、現像ローラ114と感光体ドラム3との近接位置(現像領域)まで搬送される。そして、この現像領域において、現像ローラ114上のトナーは、感光体ドラム3へ供給される。現像装置103は、以上のようにして、感光体ドラム3に対してトナーを供給することとなる。
以上のように、本実施形態にかかる現像装置103は、水平方向に隣接するスペース(第1搬送路)Cとスペース(第2搬送路)Dとを有し、トナーおよびキャリアからなる二成分現像剤(現像剤)をスペースCおよびスペースDで循環搬送するトナー循環搬送装置であって、第1導通部aおよび第2導通部bにそれぞれメッシュ部材118a・118bを備えたトナー循環搬送装置130を備えている。
これにより、トナー受入口111aからスペースCのフロント側に供給されたトナーは、現像剤収容槽111内のトナーおよびキャリアとともに搬送スクリュー112aの回転によってスペースCのリア側へ搬送される。そして、スペースCのリア側に搬送された現像剤は、第1導通部aに設けられたメッシュ部材118aを通過してスペースDへ搬送される。したがって、メッシュ部材118aを通過させることにより、トナーの凝集をほぐす(凝集を解消する)ことができる。
さらに、スペースDのリア側に搬送された現像剤は、搬送スクリュー112bの回転によってスペースDのフロント側へ搬送される。そして、スペースDのフロント側に搬送された現像剤は、第2導通部bに設けられたメッシュ部材118bを通過してスペースCへ搬送される。したがって、メッシュ部材118bを通過させることにより、トナーの凝集をほぐす(凝集を解消する)ことができる。
また、本実施形態では、メッシュ部材118a・118b(あるいはメッシュ部材118a・118bを支持する支持部材)に当接するようにピエゾ素子131が設けられており、このピエゾ素子131に交流電圧を印加することにより、メッシュ部材118a・118bが振動するようになっている。これにより、現像剤がメッシュ部材118a・118bで目詰まりやブロッキングを起こすことを防止し、トナーの凝集を効率的にほぐすことができる。
なお、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電振動子)121に交流電圧を印加することでメッシュ部材118a・118bを振動(加振)させているが、メッシュ部材118a・118bを振動させるための手段はこれに限るものではない。例えば、アクチュエータ等によってメッシュ部材118a・118b(あるいはメッシュ部材118a・118bを支持する支持部材)を機械的に振動させてもよい。あるいは、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やBiTiO3などの圧電振動子(電歪振動子)に対して直流バイアス電圧に交流電圧を重畳させた電圧を印加することでメッシュ部材118a・118b(あるいはメッシュ部材118a・118bを支持する支持部材)を振動させてもよい。また、フェライト,ニッケル,鉄等の磁歪振動子にコイルを巻きつけ、このコイルに交流電圧を印加することでメッシュ部材118a・118b(あるいはメッシュ部材118a・118bを支持する支持部材)を振動させてもよい。
ここで、メッシュ部材118a・118bの振動周波数は、超音波領域の周波数であることが好ましい(超音波振動)。これにより、トナーの目詰まりをより効果的に防止できる。なお、上記した圧電振動子、磁歪振動子のいずれかを用いた構成により、超音波振動を容易に実現できる。また、圧電振動子、磁歪振動子のいずれかを用いて振動させる場合、アクチュエータ等によって機械的に振動させる構成よりも振幅が小さいのでトナーの飛散を防止できる。また、圧電振動子、磁歪振動子のいずれかを用いて振動させる場合、機械的な磨耗がないので振動手段を長寿命化できる。
また、メッシュ部材118a・118bは、各メッシュ部材の面内方向(各メッシュ部材を引き伸ばす方向)に張力を付与された状態で加振される。これにより、メッシュ部材118a・118bの全体に振動を伝達することができる。したがって、目詰まりやブロッキングを確実に防止できる。
また、本実施形態では、メッシュ部材118a・118bとして、濾過精度が250μm〜500μmのものを用いている。メッシュ部材118a・118bの濾過精度はこれに限るものではないが、トナー粒径またはキャリア粒径のうちの大きい方に対して3倍以上であり、かつトナー粒径の20倍以下であることが好ましい。メッシュ部材の濾過精度が通過させようとする物質の粒径に対して3倍未満の場合、目詰まりやブロッキングを起こしやすくなる。一方で、濾過精度が粗すぎるとトナーの凝集を適切にほぐすことができなくなる。そこで、濾過精度が上記の範囲であるメッシュ部材118a・118bを用いることにより、目詰まり等を抑制するとともに、トナーの凝集を適切にほぐすことができる。なお、目詰まり等をより確実に防止するためには、濾過精度がトナー粒径またはキャリア粒径のうちの大きい方に対して5倍以上であることがより好ましい。
また、メッシュ部材118a・118bの濾過精度は互いに異なっていてもよい。例えば、トナー受入口111aから供給されたトナーは、メッシュ部材118aを通過することによってほぐされるので、それよりも搬送方向下流側に配置されるメッシュ部材118bではメッシュ部材118aよりも目詰まりやブロッキングが起こりにくい。このため、メッシュ部材118bの濾過精度を、メッシュ部材118aよりも細かくしてもよい。これにより、目詰まりを防止しつつ、トナーの凝集をより効率的にほぐすことができる。
また、本実施形態では、第1導通部aおよび第2導通部bの両方にメッシュ部材を備えているが、必ずしも両方に備えている必要はなく、少なくとも一方の導通部にメッシュ部材を備えていればよい。第1導通部aにメッシュ部材118aを備えることにより、トナー受入口111aから供給されたトナーの凝集を、現像処理に用いられる前にほぐすことができる。また、第2導通部bにメッシュ部材118bを備えることにより、現像ローラ114によって感光体ドラム3との対向部に搬送された後、現像剤収容槽111に回収されたトナーの凝集をほぐすことができる。
なお、本実施形態では、二成分系の現像剤を格納した現像装置を想定しているが、現像剤は必ずしも二成分系である必要はなく、トナーのみからなる一成分系の現像剤や磁性トナーのみからなる現像剤を用いてもよい。ただし、一成分系の現像剤や磁性トナーからなる現像剤を用いる場合、現像装置103における現像ローラ114をマグネットローラではなく、導電性の弾性体ローラに設計変更する必要がある。また、一成分系の現像剤を用いる場合、現像剤収容槽111内に備えるメッシュ部材118a・118bにおいて目詰まりが生じることがなく、また現像剤の凝集を適切にほぐすことができるように、この一成分系の現像剤の粒径に対して3倍以上20倍以下の濾過精度を有するメッシュ部材118a・118bを用いることが好ましい。また、目詰まり等をより確実に防止するためには、濾過精度が一成分系の現像剤の粒径に対して5倍以上20倍以下のメッシュ部材118a・118bを用いることがより好ましい。
(4.変形例)
また、本実施形態では、現像装置103の現像剤収容槽111内にトナー循環搬送装置130を設ける構成について説明したが、本発明は、トナーを複数の搬送経路で循環搬送する構成であれば適用できる。例えば、トナーホッパーにトナー循環搬送装置を設けてもよい。
図5は、トナー循環搬送装置130aを備えたトナーホッパー(トナー供給装置)101Aを有する現像ユニット2Aの縦断面図である。この図に示すように、現像ユニット2Aは、トナーホッパー101に代えてトナーホッパー101Aを備えている点が、図3に示した現像ユニット2と異なっている。現像ユニット2Aにおけるそれ以外の構成は現像ユニット2と同様である。
この図に示すように、トナーホッパー101Aは、トナー収容槽121、搬送スクリュー122a・122b,仕切板121b,メッシュ部材128a・128bを備えている。なお、トナー収容槽121,搬送スクリュー122a・122b,仕切板121b,メッシュ部材128a・128bによってトナー循環搬送装置130aが構成されている。
トナー収容槽121は、トナーを収容する槽であり、搬送スクリュー122aの下方かつフロント側には、トナー送出口101aが形成されている。また、このトナー収容槽121には、トナーカートリッジ(図示せず)からトナーが適宜補充されるようになっている。なお、図6に示すように、搬送スクリュー112aの回転軸方向における一方の端部側をフロント側とし、他方の端部側をリア側とする。図6は、トナー循環搬送装置130aを鉛直方向上方から見た断面図である。
搬送スクリュー(攪拌ローラ)122a・122bは、図6に示すように、トナー攪拌および搬送するための攪拌羽根を有し、モータ等の駆動手段(図示せず)によって回転駆動されるスクリュー形状のローラである。
これら搬送スクリュー122a・122bは、同図に示すように、互いの外周面同士が仕切板121bを介して水平方向に対向するように並列され、互いに逆方向に回転するように設定されている。つまり、搬送スクリュー122a・122bの回転軸は互いに平行であるが、回転方向は各々逆向きとなる。
また、仕切板121bは、搬送スクリュー122a・122b間において、これらスクリュー122a・122bの回転軸方向に平行に延設されている。この仕切板121bによって、トナー収容槽121内部は、搬送スクリュー122aが配されているスペース(第1搬送路)Eと、搬送スクリュー122bが配されているスペース(第2搬送路)Fとに区画されることとなる。
さらに、仕切板121bは、搬送スクリュー122a・122bの回転軸方向の両端部がトナー収容槽121の壁面から離間して配置されている。これにより、搬送スクリュー122a・122bの回転軸方向の両端部付近には、スペースEとスペースFとを連通する連通路(導通部)が形成されている。なお、以下の説明では、図6に示すように、仕切板121bのリア側の端部付近に形成されている連通路を第1導通部c、仕切板121bのフロント側の端部付近に形成されている連通路を第2導通部dとする。
また、図6に示すように、第1導通部cおよび第2導通部dには、仕切板121bとトナー収容槽121の側壁面にかけてメッシュ部材128a,128bが備えられている。
メッシュ部材128a・128bとしては、上記したメッシュ部材118a・118bと同様の部材を用いることができる。ただし、目詰まり等を抑制するとともに、トナーの凝集を適切にほぐすためには、メッシュ部材128a・128bの濾過精度は、トナー粒径に対して3倍以上20倍以下であることが好ましい。つまり、上記したメッシュ部材118a・118bは二成分系の現像剤を収容する現像剤収容槽111内に備えられため、トナーとキャリアとを通過させる必要があるので、トナー粒径またはキャリア粒径のうちの大きい方に対して3倍以上のものを用いていたが、メッシュ部材128a・128bはトナーが通過できればよいので、濾過精度がトナー粒径に対して3倍以上のものを用いればよい。なお、目詰まり等をより確実に防止するためには、濾過精度がトナーの粒径に対して5倍以上20倍以下のメッシュ部材128a・128bを用いることがより好ましい。
なお、メッシュ部材128a・128bは、現像剤収容槽111に備えられるメッシュ部材118a・118bと同様、ピエゾ素子および緩衝材とともにトナー収容槽121の側壁および底部に設けられた切り欠き部に挟み込まれて面内方向(メッシュ部材128a・128bを外側に引き伸ばす方向)に張力を付与された状態で支持される。また、上記のピエゾ素子には、交流電源(図示せず)からACバイアス電圧を供給されるようになっている。これにより、ピエゾ素子が伸縮を繰り返し、メッシュ部材128a・128bが振動するようになっている。
上記構成のトナーホッパー101Aでは、トナー収容槽121の上部のトナーが、スペースE内におけるトナー送出口101aが設けられている領域よりもリア側(トナー搬送方向下流側)の領域に落下する。そして、スペースEに落下したトナーは、搬送スクリュー122aの回転によってスペースEにおけるリア側の端部付近へ搬送される。そして、スペースEの端部付近のトナーは、第1導通部cに設けられたメッシュ部材128aを通過してスペースFのリア側の端部付近へ搬送される。したがって、メッシュ部材128aを通過することによってトナーの凝集がほぐされる。
さらに、スペースFに搬送されたトナーは、搬送スクリュー122bの回転によってスペースFのフロント側の端部付近へ搬送される。そして、スペースFのフロント側の端部付近に搬送されたトナーは、第2導通部dに設けられたメッシュ部材128bを通過してスペースEへ搬送される。したがって、メッシュ部材128bを通過することにより、トナーの凝集がほぐされる。その後、メッシュ部材128bを通過してスペースEに搬送されたトナーの一部はトナー送出口101aからトナー移送管200を介して現像装置103に供給され、メッシュ部材128bを通過してスペースEに搬送されたトナーの残りは搬送スクリュー122aによって再びスペースEおよびスペースFを循環搬送される。
なお、図5の構成では、トナー循環装置を現像装置103およびトナーホッパー101Aの両方に備えているが、これに限らず、例えばトナーホッパー101Aのみにトナー循環装置を設けてもよい。また、ここではトナーホッパーにトナー循環搬送装置を設ける構成について説明したが、例えば画像形成装置に対して交換可能に備えられるトナーカートリッジに循環搬送装置を備えてもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。