JP2009078544A - 液体吐出装置およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク消費量の増加を抑制する。
【解決手段】前回クリーニングが実行されてから所定時間T1refが経過したときには(S110)、インクカートリッジとヘッドとを接続するインク供給針のフィルタ室内の流速を速めてフィルタ室内の気泡がフィルタに押し潰されるよう最大周波数の駆動周波数で検査対象のノズル列の全ノズルを駆動すると共にノズル不良が発生したか否かを判定するノズル検査をノズル不良が発生するまで所定時間間隔T2ref(例えば1週間毎など)で繰り返し実行し(S120〜S160,S200)、ノズル不良が発生したときにフィルタ室内の気泡を外部へ排出するためのクリーニングを実行する(S170)。これにより、ノズル検査に比してインクを大量に消費するクリーニングの実行頻度を減らすことができる。この結果、インク消費量の増加を抑制することができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、ターゲットに液体を吐出する液体吐出装置およびその制御方法に関する。
従来、液体吐出装置としては、例えば、インクジェット式記録装置として構成され、先端部がインクカートリッジに挿入されると共に基端部がヘッドに至るインク流路に連通された中空状のインク供給針を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このインク供給針の内部通路にはフィルタが配置されたフィルタ室が形成されており、インクカートリッジからのインクはフィルタを介してヘッド側に供給されるようになっている。したがって、インクカートリッジ内に含まれる気泡やその他の異物はフィルタによってフィルタ室内にトラップされることになる。
特開2007−125775号公報
ところで、フィルタ室にトラップされている気泡は、時間の経過と共に大きく成長し、フィルタ室を閉塞させてインクの吐出不良を引き起こすおそれがあるため、通常、気泡が大きく成長する前にインク流路内のインクを吸引してフィルタ室内の気泡をフィルタを通過させて排出するクリーニング処理が行なわれる。この際、フィルタ室内の気泡を排出するためには、フィルタ室からヘッドに至るインク流路内のほぼすべてのインクを吸引する必要から、大量のインクを消費する。したがって、こうしたクリーニング処理が無駄に行なわれることのないよう、その実行タイミングをより適切なものとすることが求められる。
本発明の液体吐出装置およびその制御方法は、ヘッドをクリーニングするタイミングをより適切なものとして液体消費量を抑制することを主目的とする。
本発明の液体吐出装置およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の液体吐出装置は、
ターゲットに液体を吐出する液体吐出装置であって、
液体を貯留する液体貯留部と、液体を吐出するノズル列と、前記液体貯留部に貯留されている液体を前記ノズル列に供給する液体供給路とが形成されたヘッドと、
所定のタイミングをもって前記ターゲットに液体を吐出するときの前記液体供給路の流速よりも速い検査用流速となるよう該液体供給路の流速を調節して前記ノズル列からの液体の吐出状態を検出する吐出状態検査を実行する吐出状態検査手段と、
前記吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されたときには前記ヘッドのクリーニングを実行し、前記吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されなかったときには前記ヘッドのクリーニングを実行しないクリーニング実行手段と
を備えることを要旨とする。
この本発明の液体吐出装置では、所定のタイミングをもってターゲットに液体を吐出するときの液体供給路の流速よりも速い検査用流速となるよう液体供給路の流速を調節してノズル列からの液体の吐出状態を検出する吐出状態検査を実行し、ノズル列からの液体の吐出不良が検出されたときにはヘッドのクリーニングを実行し、ノズル列からの液体の吐出不良が検出されなかったときにはヘッドのクリーニングを実行しない。一般に、ノズル列の吐出状態の検出に使用される液体の消費量は、液体供給路内のクリーニングに使用される液体の消費量に比して少ないから、ノズル列の吐出状態を検出してノズル列に吐出不良がないかを確認した上でヘッドのクリーニングを実行することにより、クリーニングの実行頻度を少なくし、全体として液体消費量を抑制することができる。ここで、検査用流速として液体供給路の流速をターゲットに液体を吐出するときの液体供給路の流速よりも速い流速に制御してノズル列の吐出状態の検出するのは、例えば、液体供給路内に含まれる気泡がある程度の大きさにまで成長していると、液体供給路の流速が速くなるほど気泡が押し潰されて変形し、変形した気泡により液体供給路を閉塞して吐出不良を生じさせるため、これを検出することにより液体供給路内の気泡の成長の程度を判定することができることに基づく。ここで、「液体供給路」は、液体貯留部に貯留されている液体をフィルタを介してノズル列に供給するものとすることもできる。また、「クリーニング実行手段」は、液体供給路内の気泡がノズル列から排出されるようヘッドをクリーニングする手段であるものとすることもできる。また、本発明の液体吐出装置は、ターゲットに液体を吐出することにより該ターゲットにドットを形成するものが含まれる。
こうした本発明の液体吐出装置において、前記吐出状態検査手段は、所定の大きさの気泡が前記液体供給路内を閉塞する時間に亘って前記検査用流速で該液体供給路の流速を制御して前記吐出状態検査を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、液体の吐出状態を精度良く検査することができる。
また、本発明の液体吐出装置において、前記吐出状態検査手段は、前記ターゲットに液体を吐出するときよりも高周波数域の駆動周波数をもって前記ヘッドを駆動制御して前記吐出状態検査を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に液体供給路の流速を検査用流速とすることができる。
さらに、本発明の液体吐出装置において、前記吐出状態検査手段は、前記ノズル列の略全数から液体が吐出されるよう前記ヘッドを駆動制御して前記吐出状態検査を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に液体供給路の流速を検査用流速とすることができる。
また、本発明の液体吐出装置において、前記吐出状態検査手段は、前記ターゲットに液体を吐出するときよりも速く前記ノズル列から液体が吐出されるよう前記ヘッドを駆動制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に液体供給路の流速を検査用流速とすることができる。この場合、ヘッドに印加する駆動電圧をターゲットに液体を吐出するときよりも高くするものとすることもできる。
また、本発明の液体吐出装置において、前記吐出状態検査手段は、前記液体供給路の上流側から液体を加圧することにより前記検査用流速となるよう該液体供給路の流速を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に液体供給路の流速を検査用流速とすることができる。
また、本発明の液体吐出装置において、前記吐出状態検査手段は、前記ノズル列の吐出口を封止して減圧することにより前記検査用流速となるよう該液体供給路の流速を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より確実に液体供給路の流速を検査用流速とすることができる。
また、本発明の液体吐出装置において、前記吐出状態検査手段は、前記所定のタイミングとして、前記クリーニング実行手段により前回クリーニングが実行されてから第1の所定時間が経過したときに前記吐出状態検査を実行し、該検査により吐出不良が検出されなかったときには該吐出不良が検出されるまで前記第1の所定時間よりも短い第2の所定時間が経過する毎に前記吐出状態検査を実行する手段であるものとすることもできる。この場合、前記第1の所定時間は、前記液体供給路内の気泡が最も速く成長する条件下での該気泡の成長速度に基づいて設定されてなるものとすることもできる。こうすれば、如何なる条件下で液体吐出装置が使用されるものとしても液体供給路内の気泡が液体供給路を閉塞する程に成長する前に対処することができる。
また、本発明の液体吐出装置において、前記所定のタイミングとは異なるタイミングをもって前記検査用流速よりも遅い第2の検査用流速となるよう前記液体供給路の流速を制御して前記ノズル列からの液体の吐出状態を検査する第2の吐出状態検査手段と、前記第2の吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されたときには前記クリーニング実行手段よりも少ない液体の消費を伴って前記ヘッドのクリーニングを実行し、前記吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されなかったときには前記ヘッドのクリーニングを実行しない第2のクリーニング実行手段と、を備えるものとすることもできる。こうすれば、ノズル列の吐出口付近と液体供給路内の各々を効果的なタイミングでクリーニングすることができる。
また、本発明の液体吐出装置において、前記ヘッドは、各色の液体を貯留する複数の液体貯留部と、各色の液体を吐出する複数のノズル列と、前記複数の液体貯留部に貯留されている液体を対応するノズル列に供給する複数の液体供給路とが形成され、前記吐出状態検査手段は、前記複数のノズル列毎に異なるタイミングをもって前記吐出状態検査を実行する手段であり、前記クリーニング実行手段は、前記吐出状態検査手段により吐出不良が検出されたノズル列に対して前記クリーニングを実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、吐出状態検査が長時間に亘って連続して実行されるのを抑制することができる。
或いは、本発明の液体吐出装置において、前記ヘッドは、各色の液体を貯留する複数の液体貯留部と、各色の液体を吐出する複数のノズル列と、前記複数の液体貯留部に貯留されている液体を対応するノズル列に供給する複数の液体供給路とが形成され、前記吐出状態検査手段は、前記複数のノズル列のうち所定のノズル列からの液体の吐出状態を検出する手段であり、前記クリーニング実行手段は、前記吐出状態検査手段により前記所定のノズル列の吐出不良が検出されたとき、前記複数のノズル列のすべてに対して前記クリーニングを実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、複数のノズル列のすべての吐出状態検査を行なう必要がないから、吐出状態検査に使用される液体の消費量をより少なくすることができる。このように所定のノズル列のみの吐出状態検査をもって複数のノズル列のすべてに対してクリーニングを実行するのは、液体供給路内の気泡の成長速度は各色毎でそれ程変わらないとの判断に基づく。この態様の本発明の液体吐出装置において、前記吐出状態検査手段は、前記所定のノズル列として前記複数のノズル列のうち各々対応する液体貯留部に貯留されている液体の残量が最も多いノズル列を用いて前記吐出状態検査を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、複数の液体貯留部毎の液体残量のバラツキを抑制することができる。
また、本発明の液体吐出装置において、前記ヘッドが所定位置にあるときに前記ノズル列から吐出された液体を受ける液体受け手段と、前記液体受け手段と前記ヘッドとの間に電位差を付与する電位差付与手段と、前記液体受け手段または前記ヘッドの電気的状態の変化を検出する電気的変化検出手段と、を備え、前記吐出状態検査手段は、前記液体受け手段と前記ヘッドとの間に電位差が付与されるよう電位差付与手段を制御し、該電位差が付与されている状態で前記ノズル列から液体が吐出されるよう前記ヘッドを駆動制御すると共に前記電気的変化検出手段により検出される前記液体受け手段または前記ヘッドの電気的状態の変化に基づいて前記ノズル列の吐出状態を検出する手段であるものとすることもできる。液体受け手段またはヘッドの電気的状態の変化は、ノズル列から吐出される液体の量に応じて大小するから、ノズル列の各ノズル1つずつ液体を吐出してその吐出状態を検出するものに比して、吐出状態検査をより容易に行なうことができる。
本発明の液体吐出装置の制御方法は、
液体を貯留する液体貯留部と液体を吐出するノズル列と前記液体貯留部に貯留されている液体を前記ノズル列に供給する液体供給路とが形成されたヘッドと、を備え、ターゲットに液体を吐出する液体吐出装置の制御方法であって、
(a)所定のタイミングをもって前記ターゲットに液体を吐出するときの前記液体供給路の流速よりも速い検査用流速となるよう該液体供給路の流速を制御して前記ノズル列からの液体の吐出状態を検出する吐出状態検査を実行し、
(b)前記ステップ(a)により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されたときには前記ヘッドのクリーニングを実行し、前記吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されなかったときには前記ヘッドのクリーニングを実行しない
ことを特徴とする。
この本発明の液体吐出装置の制御方法によれば、所定のタイミングをもってターゲットに液体を吐出するときの液体供給路の流速よりも速い検査用流速となるよう液体供給路の流速を制御してノズル列からの液体の吐出状態を検出する吐出状態検査を実行し、ノズル列からの液体の吐出不良が検出されたときにはヘッドのクリーニングを実行し、ノズル列からの液体の吐出不良が検出されなかったときにはヘッドのクリーニングを実行しない。一般に、ノズル列の吐出状態の検出に使用される液体の消費量は、液体供給路内のクリーニングに使用される液体の消費量に比して少ないから、ノズル列の吐出状態を検出してノズル列に吐出不良がないかを確認した上でヘッドのクリーニングを実行することにより、クリーニングの実行頻度を少なくし、全体として液体消費量を抑制することができる。ここで、検査用流速として液体供給路の流速をターゲットに液体を吐出するときの液体供給路の流速よりも速い流速に制御してノズル列の吐出状態の検出するのは、例えば、液体供給路内に含まれる気泡がある程度の大きさにまで成長していると、液体供給路の流速が速くなるほど気泡が押し潰されて変形し、変形した気泡により液体供給路を閉塞して吐出不良を生じさせるため、これを検出することにより液体供給路内の気泡の成長の程度を判定することができることに基づく。ここで、「液体供給路」は、液体貯留部に貯留されている液体をフィルタを介してノズル列に供給するものとすることもできる。また、「ステップ(b)」は、液体供給路内の気泡がノズル列から排出されるようヘッドをクリーニングするステップであるものとすることもできる。
次に本発明を具現化した一実施形態について説明する。図1は本実施形態であるインクジェットプリンタ20の構成の概略を示す構成図、図2はキャリッジ22を背面下側から見たときの斜視図、図3はキャリッジ22の左側面図(破断面図であり円内は部分拡大断面図)、図4はインク供給針90の断面構成を示す断面構成図、図5は印刷ヘッド24の電気的接続を表す説明図、図6は紙送り機構31の説明図、図7はノズル検査装置50の構成の概略を示す構成図である。
本実施形態のインクジェットプリンタ20は、図1に示すように、プラテン44上を奥から手前へと搬送される記録紙Sにインク滴を吐出して印刷を行うプリンタ機構21と、駆動モータ33により駆動される紙送りローラ35を含む紙送り機構31と、プラテン44の右端近傍に形成されたキャッピング部材41と、印刷ヘッド24をキャッピング部材41により封止した状態で印刷ヘッド24のノズルプレート27からインク滴が正常に吐出されるか否かを検査するノズル検査装置50(図7参照)と、印刷ヘッド24をキャッピング部材41により封止した状態で印刷ヘッド24内のインクを吸引する吸引ポンプ45(図7参照)と、インクジェットプリンタ20全体をコントロールするコントローラ70とを備えている。
プリンタ機構21は、キャリッジベルト32によりガイド28に沿って左右に往復動するキャリッジ22と、このキャリッジ22に搭載されイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ26と、インクカートリッジ26から供給された各インクをノズルプレート27から吐出させる印刷ヘッド24とを備えている。
キャリッジ22は、メカフレーム80の右側に取り付けられたキャリッジモータ34aとメカフレーム80の左側に取り付けられた従動ローラ34bとの間に架設されたキャリッジベルト32がキャリッジモータ34aによって駆動されるのに伴って移動する。このキャリッジ22の背面には、図2に示すように、フォトディテクタ62を搭載したエンコーダ用基板64が取り付けられている。このフォトディテクタ62は、エンコーダ用基板64上の配線を束ねたコネクタ部66に差し込まれたフラットケーブル82を介して、メカフレーム80の裏面に取り付けられたメイン基板84(図1参照)上のコントローラ70と信号のやり取りを行う。また、フォトディテクタ62は、キャリッジベルト32と平行となるようにメカフレーム80上に張設されたリニアスケール68の目盛りを光学的に読み取って得たポジション信号をコントローラ70へ出力する。そして、コントローラ70は、このポジション信号に基づいてキャリッジ22がキャリッジ移動方向(主走査方向)のどこに位置しているかを認識する。なお、フォトディテクタ62とリニアスケール68とがリニアエンコーダを構成する。
インクカートリッジ26は、図示しないが、溶媒としての水に着色剤としての染料又は顔料を含有したシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)などの印刷に用いる記録用液体としてのインクを各々収納する容器として構成されており、キャリッジ22に着脱可能に装着されている。このインクカートリッジ26は、図3に示すように各インクごとにインク供給口26aを有し、キャリッジ22に設けられたインク供給針90がインク供給口26aに差し込まれることによりキャリッジ22の下面に形成された印刷ヘッド24へインクを供給可能となる。また、インクカートリッジ26の側面には、インク残量などの情報を記憶する集積回路基板26bが取り付けられ、この集積回路基板26bは図示しない接続端子を介してエンコーダ用基板64に電気的に接続され、エンコーダ用基板64を経由してメイン基板84上のコントローラ70との間で信号のやり取りを行う。
印刷ヘッド24は、図3に示すように、複数のノズル23が穿設されたステンレス製のノズルプレート27と、このノズルプレート27に形成されたノズル23に連通するインク室29が形成されたキャビティプレート25と、インク室29の上壁をなすセラミック製(例えばジルコニアセラミック製)の振動板85に貼り付けられた圧電素子48と、この圧電素子48を駆動するマスク回路47(図4参照)等が設けられたヘッド駆動用基板30とを備えている。インク室29には、インクカートリッジ26のインク供給口26aからインク供給針90を介してインクが供給されるようになっている。
インク供給針90は、先端がインクカートリッジ26のインク供給口26aに接続されると共に基端がインク室29へ連通するインク流路98に接続された内部通路92を有する中空の部材として構成されている。このインク供給針90は、基端部にはフィルタ94が取り付けられたフィルタ室96が形成されており、インクカートリッジ26(インク供給口26a)からのインクはフィルタ94を介してインク室29に供給されるようになっている。この際、インクに含まれる気泡や異物はフィルタ94によってトラップされ、フィルタ室96に蓄積される。フィルタ室96は、フィルタ94によってトラップされる気泡や異物を十分に蓄積できるように基端に近いほど径が大きくなるよう略円錐状の内部空間として形成されている。なお、フィルタ94としては、例えば、金属や合成樹脂の繊維を綾織にした布材や金属繊維を焼結した不織布、エッチングにより金属箔に微小通孔を形成した板材などが用いられる。
ノズルプレート27には、図5に示すように、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のインクを吐出する複数のノズル23を配列したノズル列43が設けられている。なお、ここでは、すべてのノズルをノズル23と総称し、すべてのノズル列をノズル列43と総称し、シアンのノズル及びノズル列をノズル23C及びノズル列43C、マゼンタのノズル及びノズル列をノズル23M及びノズル列43M、イエローのノズル及びノズル列をノズル23Y及びノズル列43Y、ブラックのノズル及びノズル列をノズル23K及びノズル列43Kと称する。以下ノズル23Kを用いて説明する。この印刷ヘッド24では、180個のノズル23Kを記録紙Sの搬送方向に沿って配列してノズル列43Kを構成している。各ノズル23Kには、インク滴を吐出するための駆動素子として圧電素子48が設けられており、この圧電素子48に電圧をかけることによりこの圧電素子48を変形させてインクを加圧しノズル23Kから吐出する。図3の円内には、変形前の圧電素子48を実線で示し、変形後の圧電素子48を点線で示した。この図に示すように、変形後の圧電素子48はインク室29の上壁を押し下げることによりインクを加圧する。
ヘッド駆動用基板30は、図5に示すように圧電素子48へ電圧を印加するマスク回路47が搭載されている。このヘッド駆動用基板30は、図示しないコネクタ部を介してフラットケーブル82(図1参照)に接続されており、フラットケーブル82を介してメイン基板84上のコントローラ70と信号のやり取りを行う。マスク回路47は、各ノズル23Kをそれぞれ駆動する圧電素子48に対応して設けられている。このマスク回路47には、メイン基板84上のヘッド駆動波形生成回路86で生成された原信号ODRVや印刷信号PRTnが入力される。なお、印刷信号PRTnの末尾のnはノズル列に含まれるノズルを特定するための番号であり、本実施形態ではノズル列は180個のノズルからなるため、nは1から180のいずれかの整数値となる。この原信号ODRVは、一画素分の区間内(キャリッジ22が一画素の間隔を横切る時間内)において、図5に示すように、第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とからなっている。この3つのパルスP1〜P3を繰り返し単位とする原信号ODRVを、本実施形態では1画素区間と称する。マスク回路47は、原信号ODRVや印刷信号PRTnが入力されると、これらの信号に基づいて第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とのうち必要なパルスを駆動信号DRVn(nの意味するところは印刷信号PRTnのnと同じ)としてノズル23Kの圧電素子48に向けて出力する。具体的には、マスク回路47から圧電素子48に第1パルスP1のみが出力されると、ノズル23Kから1ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには小さいサイズのドット(小ドット)が形成される。また、第1パルスP1と第2パルスP2とが圧電素子48に出力されると、ノズル23Kから2ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには中サイズのドット(中ドット)が形成される。また、第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3とが圧電素子48に出力されると、ノズル23Kから3ショットのインク滴が吐出され、記録紙Sには大きいサイズのドット(大ドット)が形成される。このように、インクジェットプリンタ20では、一画素区間において吐出されるインク量を調整することにより3種類のサイズのドットを形成することが可能である。なお、他の色のノズル23C,23M,23Yやノズル列43C,43M,43Yについても上記ノズル23Kやノズル列43Kと同様である。また、印刷ヘッド24は、ここでは圧電素子48を変形させてインクを加圧する方式を採用しているが、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。
紙送り機構31は、図6に示すように、給紙トレイ38に載置された記録紙Sを挿入する記録紙挿入口39と、給紙トレイ38に載置された記録紙Sを印刷ヘッド24に供給する給紙ローラ36と、印刷ヘッド24へ記録紙Sやロール紙を搬送する紙送りローラ35と、印刷後の記録紙Sを排紙する排紙ローラ37とを備えている。給紙ローラ36、紙送りローラ35及び排紙ローラ37は、図示しないギヤ機構を介して駆動モータ33(図1参照)により駆動される。なお、給紙ローラ36の回転駆動力と図示しない分離パッドの摩擦抵抗とによって、複数の記録紙Sが一度に給紙されることを防いでいる。図1において、記録紙Sの搬送方向は奥側から手前に向かう方向であり、印刷ヘッド24と共に移動するキャリッジ22の移動方向は記録紙Sの搬送方向と直交する方向(主走査方向)である。
キャッピング部材41は、プラテン44の印刷可能領域から図1中右側に外れた位置に設けられ、略直方体で上部が開口した筐体であり、開口縁にはシリコンゴムなどの絶縁体からなるシーリング部材41aが形成されている。このキャッピング部材41は、印刷休止中などにノズル23が乾燥するのを防止するためにノズル23を封止する際に利用される他、ノズル詰まりの有無を検査する際、印刷ヘッド24をクリーニングする際にも利用される。キャッピング部材41には、吸引ポンプ45と大気開放弁46とが別々に接続されており、印刷ヘッド24をクリーニングする際には、ノズル23を封止した状態で大気開放弁46を閉弁すると共に吸引ポンプ45を作動することによりキャッピング部材41の内部空間に負圧を発生させてノズル23内のインクを強制的に吸い出す。印刷ヘッド24のクリーニングとしては、比較的少量(例えば、0.1gや0.2gなど)のインクを吸引してノズル23の開口部分の目詰まり解消あるいは予防するためのクリーニングと、比較的大量(例えば、2gや3g,4gなど)のインクを吸引してインク供給針90のフィルタ室96にトラップされている気泡をフィルタ94を通過させて外部へ排出することによりフィルタ室96の気泡によって内部流路92が閉塞されるのを解消あるいは予防するクリーニングとがある。なお、キャッピング部材41によるノズル23の封止の解除は、吸引ポンプ45を停止すると共に大気開放弁46を開弁することにより行なわれる。なお、吸引ポンプ45や大気開放弁46には伸縮性のあるチューブが接続されている。キャッピング部材41の内部には、インク滴が直接着弾する上側インク吸収体55と、この上側インク吸収体55に着弾したあと下方に透過してきたインク滴を吸収する下側インク吸収体56と、上側インク吸収体55と下側インク吸収体56との間に配置されたメッシュ状の電極部材57とが配置されている。上側インク吸収体55は、電極部材57と略同電位となるように導電性のスポンジによって形成され、その表面が検査領域52となっている。このスポンジは、着弾したインク滴が速やかに下方に移動可能な透過性の高いものであり、ここではエステル系ウレタンスポンジ(商品名:エバーライトSK−E,ブリジストン(株)製)が用いられている。キャリッジ22が図1にてガイド28の最右端(ホームポジション)に移動するとキャッピング部材昇降機構100が作動してキャッピング部材41がシーリング部材41aを介してノズルプレート27に当接するが、このとき上側インク吸収体55はノズルプレート27と僅かな隙間をもって対向した状態となる。下側インク吸収体56は、上側インク吸収体55に比べてインクの保持力が高いものであり、フェルトなどの不織布によって作製されており、ここでは不織布(商品名:キノクロス,王子キノクロス(株)製)が用いられている。電極部材57は、ステンレス(例えばSUS)製の金属からなる格子状のメッシュとして形成されている。このため、上側インク吸収体55に一旦吸収されたインクは格子状の電極部材57の隙間を通って下側インク吸収体56に吸収・保持される。この電極部材57は、メカフレーム80(図1参照)を介してグランドに接地されている。ここでは、電極部材57は、導電性を有する上側インク吸収体55と接触しているため、上側インク吸収体55の表面すなわち検査領域52も電極部材57と同様、グランドに接地されている。
ノズル検査装置50は、図7に示すように、本実施形態では電圧印加回路53と電圧検出回路54とで構成されている。電圧印加回路53は、インクジェットプリンタ20の内部で引き回される数ボルトの電気配線の電圧を図示しない昇圧回路を介して数十〜数百ボルトに昇圧し、この昇圧後の直流電圧VeをスイッチSWを介して印刷ヘッド24のノズルプレート27に印加する回路である。電圧検出回路54は、ノズルプレート27の電圧変化を検出するように接続され、ノズルプレート27の電圧信号を積分し反転増幅したあとの信号をA/D変換してコントローラ70へ出力するように構成されている。なお、電圧検出回路54や図示しない昇圧回路はヘッド駆動用基板30に搭載されている。
コントローラ70は、図1に示すように、メカフレーム80の裏面に取り付けられたメイン基板84上に設けられ、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM73と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM74と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリ75と、外部機器との情報のやり取りを行うインタフェース(I/F)79と、図示しない入出力ポートとを備えている。なお、ROM73には、後述するメインルーチンやノズル検査ルーチンなどの各処理プログラムが記憶されている。また、RAM74には、印刷バッファ領域が設けられており、この印刷バッファ領域にユーザPC110からI/F79を介して送られてきた印刷データが記憶される。このコントローラ70には、ノズル検査装置50の電圧検出回路54から出力された電圧信号や、フォトディテクタ62からのキャリッジ22のポジション信号などが図示しない入力ポートを介して入力されるほか、ユーザPC110から出力された印刷ジョブなどがI/F79を介して入力される。また、コントローラ70からは、印刷ヘッド24(マスク回路47や圧電素子48を含む)への制御信号やスイッチSWへの切替信号、ヘッド駆動波形生成回路86への制御信号、駆動モータ33への制御信号、キャリッジモータ34aへの駆動信号などが図示しない出力ポートを介して出力されるほか、ユーザPC110への印刷ステータス情報などがI/F79を介して出力される。
次に、こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンタ20の動作、特に、インク供給針90のフィルタ室96に蓄積された気泡を外部に排出するための動作について説明する。図8は、コントローラ70のCPU72により実行されるメインルーチンのフローチャートである。このメインルーチンは、インクジェットプリンタ20の電源がオンされたあと所定時間間隔毎に(例えば、数msecや数十msec毎など)繰り返し実行される。
メインルーチンが実行されると、CPU72は、まず、タイマ値T1,T2を入力し(ステップS100)、入力したタイマ値T1が閾値T1ref以上か否かを判定する(ステップS110)。ここで、タイマ値T1は、後述する印刷ヘッド24のクリーニングが実行されたときに値0にリセットされるタイマである。なお、タイマ値T2については後述する。また、閾値T1refは、本実施形態では、後述するノズル検査を実行するタイミングを定めるものであり、例えば、1ヶ月などのように設定されている。タイマ値T1が閾値T1ref未満のときには、フィルタ室96内の気泡の成長度合いは小さいと判断し、何もせずに本ルーチンを終了する。
一方、タイマ値T1が閾値T1ref以上のときには、検査要求フラグFを調べ(ステップS120)、検査要求フラグFが値0のときには、検査要求フラグFに値1を設定すると共に(ステップS130)、ノズル検査ルーチンを実行する(ステップS150)。ここで、図8のメインルーチンの説明を中断し、ノズル検査ルーチンについての詳細を説明する。図9は、コントローラ70により実行されるノズル検査ルーチンの一例を示すフローチャートである。ノズル検査ルーチンが実行されると、コントローラ70のCPU72は、まず、キャリッジモータ34aを駆動してキャリッジ22をホームポジションに移動する(ステップS210)。キャリッジ22がホームポジションに移動されると、キャッピング部材昇降機構100が作動してキャッピング部材41を上昇させ、キャッピング部材41と印刷ヘッド24のノズルプレート27とがシーリング部材41aを介して接触した状態となる。このとき、ノズルプレート27とキャッピング部材41内の検査領域52とは互いに向かい合い数mm程度に接近した状態となる。続いて、各ノズル列43に対応するインクカートリッジ26のインク残量Ac,Am,Ay,Akを入力し(ステップS220)、入力したインク残量Ac,Am,Ay,Akのうち残量が最も多いインクカートリッジ26に対応するノズル列43を検査対象に設定し(ステップS230)、駆動周波数を最大周波数に設定し(ステップS240)、設定した駆動周波数をもって原信号ODRVを生成すると共に第1パルスP1と第2パルスP2と第3のパルスP3の3つのパルスの駆動信号DRVnが圧電素子48に出力されて検査対象のノズル列43の全ノズル23から一原信号ODRVあたりに3ショット(最大ショット数)のインク滴が吐出されるよう印刷信号PRTnを出力する処理を所定時間に亘って行なう(ステップS250,S260)。ここで、印刷中では、原信号ODRVはキャリッジ22の主走査方向の移動に伴って画素位置に合わせて生成されるから、原信号ODRVを生成する間隔としてはキャリッジ22の移動速度や印刷解像度による制約を受け、若干の間隔を空けて設定される。一方、ノズル検査ルーチンでは、こうしたキャリッジ22の移動速度や印刷解像度の制約を受けないから、原信号ODRVを生成するヘッド駆動波形生成回路86の回路上の制約や印刷ヘッド24の吐出特性から可能な限りの最小の間隔とする。即ち、原信号ODRVの生成の周波数を可能な最大周波数とするのである。これにより、短時間でノズル列43の全ノズル23から多数のインク滴を吐出することが可能となる。また、第1パルスP1と第2パルスP2と第3のパルスP3の3つのパルスの駆動信号DRVnが圧電素子48に出力されるよう印刷信号PRTnを出力するから、一原信号ODRVあたりのインク滴のショット数を最大とすることができ、これによっても、短時間でノズル列43の全ノズル23から多数のインク滴を吐出することが可能となる。なお、上述した最大周波数は、前者の意味で用いているが、原信号ODRVに含まれるインク滴を吐出するためのパルスの全てを用いて一原信号ODRVあたりのインク滴のショット数を最大とする意味として用いるものとしてもよい。この場合、原信号ODRVの生成の間隔は印刷中と同一とするものとしても構わない。また、波形が異なる複数種の原信号ODRVを生成可能なタイプのインクジェットプリンタでは、複数種の原信号ODRVからインク滴の吐出量が最大となる原信号ODRVを選択して用いるものとしてもよい。すなわち、圧電素子48に印加するパルス(電圧)のうち最も振幅の大きいものを選択するのである。これによっても、ノズル列43からのインク滴の吐出速度を速めることができる。こうしたノズル検査ルーチンでノズル列43の全ノズル23を駆動した際のインク消費量は比較的少量(例えば、0.1gや0.2gなど)である。図10に、駆動周波数を最大として検査対象のノズル列42の全ノズルを駆動した際に、インク供給針90のフィルタ室96に蓄積されている気泡が変形する様子を示す。図示するように、ノズル列43のいずれのノズル23も駆動していないときにはインク供給針90のフィルタ室96内の気泡は球形となっている(図10(a)参照)。この状態から駆動周波数を最大として検査対象のノズル列43の全ノズル23を駆動すると、これに伴ってインク流路92を流れるインクの流速が速くなり、気泡はフィルタ94に押し潰される(図10(b)参照)。この気泡が所定サイズを超えているときには、変形した気泡によってインク供給針90の内部通路92が閉塞されるため、インクカートリッジ26からのインクが各ノズル23のインク室29に供給されなくなり、ノズル列43のほぼすべてのノズル23からインク滴が吐出されなくなる(図10(c)参照)。したがって、ノズル列43からのインク滴の吐出の有無を検出することにより、フィルタ室96内の気泡の成長の度合いを調べることができる。なお、全ノズル23の駆動を停止すると、変形していた気泡は元の形(球形)に戻る。ここで、所定時間は、フィルタ室96内の気泡のサイズが大きい場合に、全ノズル23の駆動を開始してから気泡の変形によってインク供給針90の内部通路92を閉塞してノズル23からインク滴が吐出されなくなるまでの時間であり、予め実験的に定めたものを用いるものとした。
そして、検査対象のノズル列43のノズル23を駆動して(ステップS265)、電圧検出回路54からの出力信号波形の出力レベルVoutを入力し(ステップS270)、入力した出力レベルVoutと閾値Vrefとを比較し(ステップS280)、出力レベルVoutが閾値Verf以上のときにはノズル列23にノズル不良は発生していないと判定して(ステップS290)、本ルーチンを終了し、出力レベルVoutが閾値Vref未満のときにはノズル列23のすべて又は一部にノズル不良が発生したと判定して(ステップS300)、本ルーチンを終了する。ここで、図7に示すように、印刷ヘッド24のノズルプレート27は電圧印加回路53によって電圧が印加されているから、ノズル23からは帯電したインク滴が吐出され、この帯電したインク滴が飛翔して検査領域52に着弾する際にノズルプレート27上で電気的状態に変化が生じ、電圧検出回路54により出力信号波形として検出される。この出力信号波形の振幅は、飛翔するインク滴の有無や大きさに依存し、ノズル23が詰まってインク滴が飛翔しなかったりインク滴が所定の大きさよりも小さかったりしたときには、通常時に比べて小さくなるか略ゼロになる。したがって、出力信号波形の振幅すなわち出力レベルVoutを検出することによりこの出力レベルVoutに基づいてノズル23の詰まりの有無を判定することができる。出力信号波形の振幅は、1ショット分のインク滴の吐出では微弱であるが、ノズル列43の全ノズル23を第1〜第3パルスP1〜P3で同時に駆動するから、全ノズル23からインク滴が吐出されれば、電圧検出回路54からは十分大きな振幅の出力信号波形を得ることができる。一方、ノズル列43の全ノズル23はインク供給針90の内部通路92を介してインクの供給を受けるから、前述したノズル検査によって変形した気泡により内部通路92が閉塞されると、基本的には、全ノズル23にノズル不良が発生し、電圧検出回路54により検出される出力信号波形の振幅としては略ゼロになると考えられる。したがって、閾値Vrefは、これらを区別できるように定めるものとすればよい。なお、ステップS265では、全ノズル23についてを駆動するものとしてもよいし、一部のノズル23についてのみ駆動するものとしてもよい。この場合、駆動するノズル23の数に応じて閾値Vrefを定めるものとすればよい。また、ノズル23の駆動周波数についてもステップS240のように最大周波数とする必要はなく、印字中と同様の駆動周波数を用いるものとしてもよい。以上、ノズル検査ルーチンについて説明した。
図8のメインルーチンのステップS150に戻って、こうしてノズル検査ルーチンを実行し、ノズル不良が発生したと判定されたときには(ステップS160)、インク供給針90のフィルタ室96内の気泡は印刷中に内部通路92を閉塞するおそれがありこの気泡を外部へ排出する必要があると判断し、ヘッドクリーニングを実行し(ステップS170)、クリーニングを実行した後に、タイマ値T1を値0にリセットすると共に(ステップS180)、検査要求フラグFを値0に設定して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。クリーニングは、キャッピング部材41で印刷ヘッド24を封止した状態で大気開放弁46を閉弁すると共に吸引ポンプ45を作動することにより行なわれる。これにより、フィルタ室96内の気泡はフィルタ94を通過して外部へ排出されることになる。ただし、こうしたクリーニングの実行に伴うインク消費量は、前述したノズル検査ルーチンの実行に伴うインク消費量に比して極めて多くなる(例えば2gや3g,4gなど)。クリーニングの実行は、検査対象のノズル列43にノズル不良が発生したときにも全ノズル列43に対して行なわれる。これは、各色毎のフィルタ室96内の気泡はいずれも均一の速度で成長していると考えられることに基づく。勿論、検査対象のノズル列43に限定してクリーニングを実行するものとしてもよい。この場合、ノズル列43毎に印刷ヘッド24を封止できるようキャッピング部材41を構成するものとすればよい。
一方、ノズル検査ルーチンでノズル不良が発生していないと判定されたときには(ステップS160)、インク供給針90のフィルタ室96内の気泡は印刷中に内部通路92を閉塞するおそれがある程には成長していないからクリーニングの必要はないと判断し、タイマ値T2をリセットして(ステップS200)、本ルーチンを終了する。この場合、次回以降にメインルーチンが実行されたときに、ステップS110でタイマ値T1は閾値T1ref以上と判定され、ステップS120で検査要求フラグFは値1と判定されるから、次に、タイマ値T2と閾値T2refとを比較し(ステップS140)、タイマ値T2が閾値T2ref以上のときにはインク供給針90のフィルタ室96内の気泡の成長度合いを調べるために再び図9のノズル検査ルーチンを実行し(ステップS150)、ノズル不良が発生したときにはフィルタ室96内で成長した気泡を排出するためのクリーニングを実行してタイマ値T1をリセットすると共に検査要求フラグFを値0に設定し(ステップS170〜S190)、ノズル不良が発生していないときにはタイマ値T2をリセットして(ステップS200)、本ルーチンを終了する。ここで、閾値T2refは、ノズル検査ルーチンの実行時間間隔を定めるものであり、例えば、1週間おきなどのように設定されている。このように、前回クリーニングが実行されてから閾値T1refに相当する時間(例えば1ヶ月)が経過すると、まず、閾値T2refの相当する時間間隔(例えば1週間おきなど)で図9のノズル検査ルーチンを実行してインク供給針90のフィルタ室96内の気泡の成長の度合いを確認し、ノズル不良が発生したときに気泡が十分成長していると判断してその気泡を外部へ排出するためのクリーニングを実行する。図11に、フィルタ室96内の気泡サイズの時間変化の様子を示す。なお、図11中、「V1」は印字のためにノズル列43を通常駆動したときにノズル不良が発生する気泡のサイズを示し、「V2」は図9のノズル検査ルーチンによりノズル列43を最大周波数で駆動したときにノズル不良が発生する気泡のサイズを示す。また、「t5」はクリーニングが実行された時刻を示す。図示するように、フィルタ室96内の気泡のサイズは時間の経過と共に徐々に大きくなる。フィルタ室96内の気泡のサイズVと経過時間Tとの関係を次式(1)に示す。式(1)中の「Vo」はクリーニングの実行直後における気泡の初期状態のサイズを示し、「K」は気泡の成長速度を示す。ここで、気泡の成長速度は、インクジェットプリンタ20の使用環境によって大きく変動し、例えば、高温時は低温時に比して速くなる。このため、ノズル検査ルーチンを実行しないときには、インクジェットプリンタ20が如何なる使用環境に置かれても、即ち最速の成長速度で気泡が成長してもその気泡によってインク供給針90の内部通路92を閉塞することがないよう早めのタイミングでクリーニングを実行する必要があるが、この場合、クリーニングの実行頻度が多くなり、インク消費量が増大してしまう。そこで、インク消費量がクリーニングに比して極めて少ないノズル検査ルーチンを実行してフィルタ室96内の気泡の成長度合いを確認しながらクリーニングを実行することにより、インクを大量に消費するクリーニングの実行頻度を減らし、全体のインク消費量が増加するのを抑制しているのである。具体的には、印字中にノズル不良が発生しないようにするためには気泡がサイズV1に成長する前にクリーニングを実行しなければならず、最速の成長速度で気泡が成長する場合すなわち高温時には、気泡が初期サイズV0からサイズV2に成長するまでの所要時間は閾値T1refであり、気泡がサイズV2からサイズV1に成長するまでの所要時間は閾値T2refである。従って、この場合、前回クリーニングを実行してからの経過時間が閾値T1refとなったときにクリーニングを行なえばよい。一方、常温時や低温時には、高温時に比して気泡の成長速度は遅いから、前回クリーニングを実行してからの経過時間が閾値T1refを超えても気泡はノズル検査ルーチンによりノズル不良を引き起こす程のサイズV2には成長しておらず、クリーニングを実行を閾値T1ref以降に遅らせることができる。このとき、閾値T2refは、最速の成長速度で気泡が成長した場合に気泡がサイズV2からサイズV1に成長するまでの所要時間として定めているから、ノズル検査ルーチンを閾値T2refの時間間隔で実行(時刻t1,t2,t3,t4,t5で実行)はすることにより、ノズル検査ルーチンでノズル不良が発見されなければそこから閾値T2refまでの期間内は印字中にノズル不良が発生することはない。即ち、閾値T2refは、印字中にノズル不良を発生させないためのマージン期間として考えることができる。図11の例では、前回クリーニングが実行されてからの経過時間が閾値T1refを超えて閾値T2refの時間間隔で5回に亘ってノズル検査ルーチンを実行したときにノズル不良が発生し、クリーニングが実行されている。このように、上述した閾値T1refや閾値T2ref,サイズV1,V2,ノズル検査ルーチンにおけるノズル列43の駆動方法の各パラメータを実験的に定めることにより、インクが無駄に消費されることがないように最適なタイミングでクリーニングを行なうことができるのである。なお、上述した各パラメータの設定の方法としては、先に閾値T1refを定めた上でこれに適合する閾値T2refやサイズV2などを定めたり、先に閾値T2refを定めた上でこれに適合する閾値T1refやサイズV2を定めるなど種々の手法を採用し得る。
V=Vo+K・T (1)
ステップS110でタイマ値T1が所定時間T1ref未満と判定されたり、ステップS140でタイマ値T2が所定時間T2ref未満と判定されたときには、第2検査タイミングが到来しているか否かを判定し(ステップS202)、第2検査タイミングが到来していないときにはそのまま本ルーチンを終了し、第2検査タイミングが到来しているときには第2ノズル検査ルーチンを実行する(ステップS204)。ここで、第2ノズル検査の実行タイミングとしては、印刷ジョブを受け付けたときや、1ページの印刷が完了したとき、所定ページ数の印刷が完了したときなどとすることができる。第2ノズル検査ルーチンとしては、ノズル列43の各ノズル23の開口部分に目詰まりが生じていないかを検査するものであり、例えば、キャリッジ22をホームポジション(検査領域52)に移動させ、電圧印加回路53によってノズルプレート27に電圧を印加すると共にキャッピング部材41の検査領域52を接地した状態で検査対象のノズル列43の各ノズル23から個別にインク滴を吐出することにより検査領域52で生じる電気的状態の変化を電圧検出回路54により検出することによりノズル23の吐出不良を個別に検査することにより行なう。このときのノズル23の駆動周波数は、印字中のものと同様の駆動周波数が用いられる。従って、インク供給針90の内部通路92を流れるインクの流速は、図9のノズル検査ルーチンにおいて内部通路92を流れるインクの流速よりも遅いものとなる。第2ノズル検査の結果、全ノズル23が正常のときには(ステップS206)、何もせずに本ルーチンを終了し、いずれかのノズル23に吐出不良があるときには(ステップS206)、前述したように比較的少量のインクを吸引してノズル23の開口部分の目詰まりを解消するためのクリーニング(第2クリーニング)を実行して(ステップS208)、本ルーチンを終了する。
図12にクリーニングの実行タイミングを示すタイムチャートを示す。図示するように、実施例では、前回クリーニングを実行してから所定時間T1refが経過すると、まず、ノズル不良が発生するまでノズル検査ルーチンを所定時間間隔T2refで実行し、ノズル不良が発生すると、インク供給針90のフィルタ室96内の気泡が内部通路92を閉塞するおそれがある程に成長していると判断し、クリーニングを実行する。したがって、クリーニングの実行頻度としては、所定時間T1refにノズル検査ルーチンでノズル不良が発生するまでの時間を加えた時間間隔となる。図12の例では、所定時間T1refが経過した後、所定時間T2refの間隔でノズル検査ルーチンを4回実行したときにノズル不良が発生してクリーニングを実行している。一方、比較例では、フィルタ室96内の気泡の状態を把握できないため、前回クリーニングを実行してから所定時間T1refの間隔で再度クリーニングを実行する。このように、実施例では、比較例と比べて、クリーニングの実行頻度を少なくすることができることがわかる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の印刷ヘッド24が「ヘッド」に相当し、ノズル検査装置50や図9のノズル検査ルーチンを実行するコントローラ70などが「吐出状態検査手段」に相当し、キャッピング部材41や吸引ポンプ45,図8のメインルーチンのステップS180を実行するコントローラ70などが「クリーニング実行手段」に相当する。なお、本実施形態では、インクジェットプリンタ20の動作を説明することにより本発明の液体吐出装置の制御方法の一例も明らかにしている。
以上詳述したインクジェットプリンタ20によれば、前回クリーニングが実行されてから所定時間T1ref(例えば1ヶ月など)が経過したときには、インク供給針90のフィルタ室96内の流速を速めて気泡がフィルタ94に押し潰されるよう最大周波数の駆動周波数で検査対象のノズル列43の全ノズル23を駆動すると共にノズル23に不良が発生したか否かを判定するノズル検査をノズル不良が発生するまで所定時間T2refの間隔(例えば1週間毎など)で繰り返し実行し、ノズル検査においてノズル不良が発生したときにインク供給針90のフィルタ室96内の気泡を外部へ排出するためのクリーニングを実行するから、ノズル検査に比してインクを極めて大量に消費するクリーニングの実行頻度を減らすことができる。この結果、全体のインク消費量の増加を抑制することができる。しかも、ノズル検査では、各色インクのうちインク残量が最も多いインクに対応するノズル列43を検査対象とするから、各色毎のインク残量のバラツキを抑制することができる。さらに、ノズル検査は、電圧印加回路53によってノズルプレート27に電圧を印加すると共にキャッピング部材41の検査領域52を接地し、その状態でノズル列43からインク滴を吐出することにより検査領域52で生じる電気的状態の変化を電圧検出回路54により検出して行なうから、ノズル列43の全ノズル23からインク滴を一度に吐出するものであっても比較的容易に吐出不良を検出することができる。
本実施形態では、図9のノズル検査ルーチンで駆動周波数を最大として検査対象のノズル列43の全ノズル23を駆動してそのインク滴の吐出状態を調べるものとしたが、インク供給針90のフィルタ室96内の気泡をフィルタ94に押し潰すことができればよいから、場合によっては最大周波数よりも若干低い駆動周波数でノズル23を駆動するものとしてもよいし、検査対象のノズル列43のうちの一部のノズルを駆動しないものとしてもよい。
本実施形態では、図9のノズル検査ルーチンで駆動周波数を最大として検査対象のノズル列43の全ノズル23を駆動することによりノズル23からのインク滴の吐出状態を検査するものとしたが、検査対象のノズル列43に対応するインク供給針90の内部通路92を図示しないポンプを用いて上流側から加圧した後に検査対象のノズル列43の全ノズル23または一部のノズル23を駆動することによりノズル23からのインク滴の吐出状態を検査するものとしてもよいし、検査対象のノズル列43をキャッピング部材41で封止して大気開放弁46を閉弁すると共に吸引ポンプ45を駆動することにより密閉空間内を減圧した後にキャッピング部材41の封止を解除して検査対象のノズル列43の全ノズル23または一部のノズル23を駆動することによりノズル23からのインク滴の吐出状態を検査するものとしてもよい。これらの場合でも、印字中に比してインク供給針90の内部通路92の流速を速めることができ、フィルタ室96内の気泡をフィルタ94に押し潰すことができるから、本実施形態と同様のノズル検査を実行することができる。なお、前者の加圧の大きさや加圧時間,後者の減圧の大きさや減圧時間は、インク供給針90の内部通路92の流速を速めて気泡を押し潰すことができる程度となるように実験的に定めることができる。
本実施形態では、図9のノズル検査ルーチンにおいて各色のノズル列43のうちインク残量が最も多いノズル列を検査対象としてノズル検査を実行するものとしたが、これに限定されるものではなく、インク残量に関係なく特定のノズル列43(例えば、ブラックKなど)を検査対象としてノズル検査を実行するものとしてもよいし、全ノズル列43を検査対象としてノズル検査を実行しノズル不良が発見されたノズル列に対してのみクリーニングを実行するものとしてもよい。後者の場合、全ノズル列43を同じタイミングで検査するものとしてもよいし、異なるタイミングで検査するものとしてもよい。例えば、1週間の間隔をもってタイミングをズラしてノズル検査を実行するものとしても構わない。
本実施形態では、図9のノズル検査ルーチンを所定時間間隔T2refで実行するものとしたが、所定時間間隔T2refで実行するものに限定されるものではなく、例えば、印刷が指示されたときに印刷の開始に先だって実行するものとしてもよい。また、本実施形態では、図9のノズル検査ルーチンを前回クリーニングを実行してから所定時間T1refが経過したときや前回ノズル検査ルーチンを実行(ノズル不良発生せず)してから所定時間T2refが経過したときに直ちに今回のノズル検査ルーチンを実行するものとしたが、直ちに実行するものに限定されるものではなく、例えば、印刷が指示されるのを待って印刷の開始に先だって実行するなどとしても構わない。
本実施形態では、印刷ヘッド24のノズルプレート27とキャッピング部材41とをシーリング部材41aを介して接触させた状態でインクをキャッピング部材41内の検査領域52に着弾させてノズル検査を行うようにしたが、検査領域52をキャッピング部材41以外の箇所に設けてもよい。例えば、図1においてプラテン44の左端又は右端に別途検査領域を設けてもよい。あるいは、プラテン44の印刷可能領域を外れた左端にフラッシング領域を形成し、このフラッシング領域を検査領域と兼用してもよい。なお、フラッシング領域は、ノズル23の先端でインクが乾燥して固化するのを防止するために定期的又は所定のタイミングで印刷データとは無関係にインク滴を吐出させる、いわゆるフラッシング動作を行うときに利用される。
本実施形態では、印刷ヘッド24に電圧を印加し検査領域52をグランド電位に接地するようにしたが、印刷ヘッド24をグランド電位に接地し検査領域52に電圧を印加してもよい。但し、検査領域52をキャッピング部材41の内部ではなくオープンな箇所に設けた場合には、検査領域の周辺に溜まったインク堆積物により電流がリークして印刷ヘッド24と検査領域との間に十分な大きさの電位差が発生しないおそれがあるのに対して、印刷ヘッド24に電圧を印加し検査領域をグランド電位に接地する場合にはそのようなおそれがない。
本実施形態では、上側インク吸収体55を導電性を有するスポンジで作製したが、導電性を有さないスポンジで作製したものをインク吐出検査前に水又はインクで濡らして導電性を有するようにしてもよい。また、上側インク吸収体55を省略するものとしても差し支えない。
本実施形態では、電圧検出回路54を印刷ヘッド24側の電気的状態の変化を検出するようにしたが、検査領域52側の電気的状態の変化を検出するようにしてもよい。
本実施形態では、ノズル検査を、電圧印加回路53によってノズルプレート27に電圧を印加すると共にキャッピング部材41の検査領域52を接地し、その状態でノズル列43からインク滴を吐出することにより検査領域52で生じる電気的状態の変化を電圧検出回路54により検出して行なうものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、レーザーがノズル列43からのインク滴の飛翔経路を横切るよう受光素子と発光素子とを配置して発光素子から出力されたレーザーが受光素子に入力されるか否かによりノズル検査を行なうものとしたり、記録紙Sを搬送すると共に検査対象のノズル列43からインク滴を吐出して検査用のマークを印刷すると共に印刷したマークをフォトセンサで読み取ることによりノズル検査を行なうものとしてもよい。前者の場合でも、後者の場合でも、印字中のノズル23の制御よりもインク供給針90の内部通路92の流速が速まるようノズル23を駆動制御(最大周波数で駆動制御)した後に印字中と同様の制御によりノズル列43のノズル23を駆動することによりノズル23からインク滴が正常に吐出されたか否かを判定するものとしてもよいし、印字中のノズル23の制御よりもインク供給針90の内部通路92の流速が速まるようノズル23を駆動制御すると共にこの駆動制御を継続しながらノズル23からインク滴が正常に吐出されたか否かを判定するものとしてもよい。
本実施形態では、インクジェットプリンタとして主走査方向の印刷ヘッド24の移動を伴ってインク滴を記録紙Sに吐出するものに適用して説明したが、記録紙Sの幅の分だけノズルが配列されたいわゆるラインヘッドを備えるインクジェットプリンタに適用するものとしてもよい。
本実施形態では、本発明のインクジェット記録装置の一例としてインクジェットプリンタを示したが、本発明はインクジェット記録方式を採用した装置であれば特に限定されるものではなく、例えばファクシミリ装置や複合機などのOA機器のほか、カラーフィルタ等のデバイスを製造するための製造装置などに適用してもよい。
上述した実施形態では、本発明の液体吐出装置をインクジェットプリンタ20に具体化した例を示したが、インク以外の他の液体(機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)やジェルのような流状体も含む)などを吐出する液体吐出装置に具体化してもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ及びカラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を溶解した液体を吐出する液体吐出装置、同材料を分散した液状体を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置としてもよい。また、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流体吐出装置としてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることは勿論である。
本実施形態のインクジェットプリンタ20の構成の概略を示す構成図。 キャリッジ22を背面下側から見たときの斜視図。 キャリッジ22の左側面図(破断面図であり円内は部分拡大断面図)。 インク供給針90の断面構成を示す断面構成図。 印刷ヘッド24の電気的接続を表す説明図。 紙送り機構31の説明図。 ノズル検査装置50の構成の概略を示す構成図。 メインルーチンのフローチャート。 ノズル検査ルーチンのフローチャート。 気泡が変形する様子を示す説明図。 気泡サイズと経過時間との関係を示す説明図。 ヘッドクリーニングの実行タイミングを示すタイムチャート。
符号の説明
20 インクジェットプリンタ、21 プリンタ機構、22 キャリッジ、23,23Y,23M,23C,23K ノズル、24 印刷ヘッド、25 キャビティプレート、26 インクカートリッジ、26a インク供給孔、26b 集積回路基板、27 ノズルプレート、28 ガイド、29 インク室、30 ヘッド駆動用基板、31 紙送り機構、32 キャリッジベルト、33 駆動モータ、34a キャリッジモータ、34b 従動ローラ、35 紙送りローラ、36 給紙ローラ、37 排紙ローラ、38 給紙トレイ、39 記録紙挿入口、41 キャッピング部材、41a シーリング部材、43,43Y,43M,43C,43K ノズル列、44 プラテン、45 吸引ポンプ、46 大気開放弁、47 マスク回路、48 圧電素子、50 ノズル検査装置、52 検査領域、53 電圧印加回路、54 電圧検出回路、55 上側インク吸収体、56 下側インク吸収体、57 電極部材、62 フォトディテクタ、64 エンコーダ用基板、66 コネクタ部、68 リニアスケール、70 コントローラ、72 CPU、73 ROM、74 RAM、75 フラッシュメモリ、79 インタフェース(I/F)、80 メカフレーム、82 フラットケーブル、84 メイン基板、85 振動板、86 ヘッド駆動波形生成回路、90 インク供給針、92 内部通路、94 フィルタ、96 フィルタ室、98 インク流路、100 キャッピング部材昇降機構、110 ユーザPC。

Claims (13)

  1. ターゲットに液体を吐出する液体吐出装置であって、
    液体を貯留する液体貯留部と、液体を吐出するノズル列と、前記液体貯留部に貯留されている液体を前記ノズル列に供給する液体供給路とが形成されたヘッドと、
    所定のタイミングをもって前記ターゲットに液体を吐出するときの前記液体供給路の流速よりも速い検査用流速となるよう該液体供給路の流速を制御して前記ノズル列からの液体の吐出状態を検出する吐出状態検査を実行する吐出状態検査手段と、
    前記吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されたときには前記ヘッドのクリーニングを実行し、前記吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されなかったときには前記ヘッドのクリーニングを実行しないクリーニング実行手段と
    を備える液体吐出装置。
  2. 前記吐出状態検査手段は、所定の大きさの気泡が前記液体供給路内を閉塞する時間に亘って前記検査用流速で該液体供給路の流速を制御して前記吐出状態検査を実行する手段である請求項1記載の液体吐出装置。
  3. 前記吐出状態検査手段は、前記ターゲットに液体を吐出するときよりも高周波数域の駆動周波数をもって前記ヘッドを駆動制御して前記吐出状態検査を実行する手段である請求項1または2記載の液体吐出装置。
  4. 前記吐出状態検査手段は、前記ノズル列の略全数から液体が吐出されるよう前記ヘッドを駆動制御して前記吐出状態検査を実行する手段である請求項1ないし3いずれか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記吐出状態検査手段は、前記ターゲットに液体を吐出するときよりも速く前記ノズル列から液体が吐出されるよう前記ヘッドを駆動制御する手段である請求項1ないし4いずれか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記吐出状態検査手段は、前記液体供給路の上流側から液体を加圧することにより前記検査用流速となるよう該液体供給路の流速を制御する手段である請求項1または2記載の液体吐出装置。
  7. 前記吐出状態検査手段は、前記ノズル列の吐出口を封止して減圧することにより前記検査用流速となるよう該液体供給路の流速を制御する手段である請求項1または2記載の液体吐出装置。
  8. 前記吐出状態検査手段は、前記所定のタイミングとして、前記クリーニング実行手段により前回クリーニングが実行されてから第1の所定時間が経過したときに前記吐出状態検査を実行し、該検査により吐出不良が検出されなかったときには該吐出不良が検出されるまで前記第1の所定時間よりも短い第2の所定時間が経過する毎に前記吐出状態検査を実行する手段である請求項1ないし7いずれか1項に記載の液体吐出装置。
  9. 前記第1の所定時間は、前記液体供給路内の気泡が最も速く成長する条件下での該気泡の成長速度に基づいて設定されてなる請求項8記載の液体吐出装置。
  10. 請求項1ないし9いずれか1項に記載の液体吐出装置であって、
    前記所定のタイミングとは異なるタイミングをもって前記検査用流速よりも遅い第2の検査用流速となるよう前記液体供給路の流速を制御して前記ノズル列からの液体の吐出状態を検査する第2の吐出状態検査手段と、
    前記第2の吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されたときには前記クリーニング実行手段よりも少ない液体の消費を伴って前記ヘッドのクリーニングを実行し、前記吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されなかったときには前記ヘッドのクリーニングを実行しない第2のクリーニング実行手段と、
    を備える液体吐出装置。
  11. 請求項1ないし10いずれか1項に記載の液体吐出装置であって、
    前記ヘッドは、各色の液体を貯留する複数の液体貯留部と、各色の液体を吐出する複数のノズル列と、前記複数の液体貯留部に貯留されている液体を対応するノズル列に供給する複数の液体供給路とが形成され、
    前記吐出状態検査手段は、前記複数のノズル列毎に異なるタイミングをもって前記吐出状態検査を実行する手段であり、
    前記クリーニング実行手段は、前記吐出状態検査手段により吐出不良が検出されたノズル列に対して前記クリーニングを実行する手段である
    液体吐出装置。
  12. 請求項1ないし10いずれか1項に記載の液体吐出装置であって、
    前記ヘッドは、各色の液体を貯留する複数の液体貯留部と、各色の液体を吐出する複数のノズル列と、前記複数の液体貯留部に貯留されている液体を対応するノズル列に供給する複数の液体供給路とが形成され、
    前記吐出状態検査手段は、前記複数のノズル列のうち所定のノズル列からの液体の吐出状態を検出する手段であり、
    前記クリーニング実行手段は、前記吐出状態検査手段により前記所定のノズル列の吐出不良が検出されたとき、前記複数のノズル列のすべてに対して前記クリーニングを実行す
    る手段である
    液体吐出装置。
  13. 液体を貯留する液体貯留部と液体を吐出するノズル列と前記液体貯留部に貯留されている液体を前記ノズル列に供給する液体供給路とが形成されたヘッドと、を備え、ターゲットに液体を吐出する液体吐出装置の制御方法であって、
    (a)所定のタイミングをもって前記ターゲットに液体を吐出するときの前記液体供給路の流速よりも速い検査用流速となるよう該液体供給路の流速を制御して前記ノズル列からの液体の吐出状態を検出する吐出状態検査を実行し、
    (b)前記ステップ(a)により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されたときには前記ヘッドのクリーニングを実行し、前記吐出状態検査手段により前記ノズル列からの液体の吐出不良が検出されなかったときには前記ヘッドのクリーニングを実行しない
    液体吐出装置の制御方法。
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