JP2010201854A - 吐出検査装置、流体吐出装置及び吐出検査方法 - Google Patents

吐出検査装置、流体吐出装置及び吐出検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズルからの流体の吐出状態を検査する吐出検査においてノズルでの流体の増粘をより抑制する。
【解決手段】ノズル検査装置50は、ノズル検査で吐出されたインクを受ける第1検査領域52aとその左側に隣接する第1受け領域44とが非接触な状態で印刷可能領域の左端側に配設され、ノズル検査で吐出されたインクを受ける第2検査領域52bとその右側に隣接する第2受け領域46とが非接触な状態で印刷可能領域の右端側に配設されている。そして、第1検査領域52a上へ印刷ヘッド24を移動させ、所定の検査ノズルからインクを吐出させノズル検査を実行すると共に、第1受け領域44に対向するノズル23でフラッシング処理を並行して実行する。また、第2検査領域52b上へ印刷ヘッド24を移動させ、ノズル検査を実行すると共に、第2受け領域46に対向するノズル23でフラッシング処理を並行して実行する。
【選択図】図2

Description

本発明は、吐出検査装置、流体吐出装置及び吐出検査方法に関する。
従来、吐出検査装置としては、フラッシング処理を実行する際に、印刷領域において印刷ヘッドが印刷を実行したあとに調整領域に印刷ヘッドが到達した時点であって印刷ヘッドが調整領域から印刷領域に戻る前に吐出検査を定期フラッシングの前に実行することにより、フラッシングや吐出検査を効率よく実行するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、フラッシング領域に検査領域が設けられており、この検査領域において照射された光が吐出されたインクにより遮られることにより吐出検査を行う。
特開2001−277543号公報
このような特許文献1に記載の装置では、ノズル内のインクの増粘防止のためにフラッシング処理を実行することがある。一方、吐出検査装置としては、ノズルから吐出されたインク滴を検査領域で受けることによりインクが吐出されたか否かの吐出検査を行うものがある。このような装置では、特許文献1のようにフラッシング領域に検査領域が設けられている場合にフラッシング処理を行うと検査領域に影響を与えてしまうため、フラッシング処理と吐出検査とを並行して行うことができなかった。このような吐出検査装置では、吐出検査時にも流体の増粘を抑制したいということがあった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、ノズルからの流体の吐出状態を検査する吐出検査においてノズルでの流体の増粘をより抑制することができる吐出検査装置、流体吐出装置及び吐出検査方法を提供することを主目的とする。
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の吐出検査装置は、
複数のノズルが形成され流体を該ノズルからターゲットに吐出する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドにおける該流体の吐出状態を検査する吐出検査を実行する吐出検査装置であって、
前記複数のノズルのうち所定の検査ノズル群が対向した状態で前記吐出検査を実行し該ノズルから吐出された流体を受ける領域である第1検査領域と、
前記吐出検査時に前記検査ノズル群以外のノズル群が対向可能に、前記第1検査領域と非接触で前記第1検査領域の所定の走査方向の一方側に隣接して配設され、前記ノズルから強制的に前記流体を吐出させる強制吐出処理を実行した際に吐出された前記流体を受ける領域である第1流体受け領域と、
前記第1検査領域及び前記吐出ヘッドの少なくとも一方を前記走査方向に相対的に移動させ、前記第1検査領域に対向して配置された前記検査ノズル群のうちいずれかのノズルから流体を吐出させ、該流体を吐出したときから該流体が前記第1検査領域へ到達したときの間のいずれかで生じる状態変化を検出することにより前記流体の吐出状態を検査する吐出検出制御手段と、
を備えたものである。
この吐出検査装置では、検査ノズル群が対向した状態で吐出検査を実行しこのノズルから吐出された流体を受ける第1検査領域と第1流体受け領域とが非接触な状態で隣接されている。また、第1流体受け領域は、吐出検査時に検査ノズル群以外のノズル群が対向可能となっている。そして、第1検査領域及び吐出ヘッドの少なくとも一方を走査方向に相対的に移動させ、第1検査領域に対向して配置された検査ノズル群のうちいずれかのノズルから流体を吐出させ、この流体を吐出したときからこの流体が検査領域へ到達したときの間のいずれかで生じる状態変化を検出することにより流体の吐出状態を検査する。このように、第1検査領域の隣に配設された第1流体受け領域に対向するノズルから流体を強制的に吐出可能である。したがって、吐出検査においてノズルでの流体の増粘をより抑制することができる。
本発明の吐出検査装置は、前記走査方向の一端側に配設され、前記検査ノズル群が対向した状態で前記吐出検査を実行し該ノズルから吐出された流体を受ける領域である第2検査領域と、前記吐出検査時に前記検査ノズル群以外のノズル群が対向可能に、前記第2検査領域と非接触で前記第2検査領域の前記走査方向の他方側に隣接して配設され、前記強制吐出処理を実行した際に吐出された前記流体を受ける領域である第2流体受け領域と、を備え、前記第1検査領域及び前記第1流体受け領域は、前記第2検査領域及び前記第2流体受け領域に対して、前記流体吐出処理を行う領域である流体吐出処理領域を亘った前記走査方向の他端側に配設されているものとしてもよい。こうすれば、走査方向の一端側と他端側とで吐出検査と強制吐出処理とを並行して実行可能であるため、吐出検査においてノズルでの流体の増粘をより抑制することができると共に、吐出検査と強制吐出処理との実行時間をより短縮することができる。このとき、前記走査方向に前記第1検査領域、前記第1流体受け領域、前記第2流体受け領域、前記第2検査領域の順に配置されているものとしてもよいし、前記走査方向に前記第1流体受け領域、前記第1検査領域、前記第2検査領域、前記第2流体受け領域の順に配置されているものとしてもよい。
第1及び第2検査領域と第1及び第2流体受け領域とを備える態様の本発明の吐出検査装置において、前記第1流体受け領域は、前記走査方向の幅が前記第1検査領域以上に形成されており、前記第2流体受け領域は、前記走査方向の幅が前記第2検査領域以上に形成されているものとしてもよい。こうすれば、より強制吐出処理を吐出検査と並行して実行しやすい。
第1及び第2検査領域と第1及び第2流体受け領域とを備える態様の本発明の吐出検査装置において、前記吐出ヘッドは、前記ノズル群として前記複数のノズルのうち前記走査方向に直交する方向に配列した複数のノズル列が形成されており、前記第1検査領域は、前記複数のノズル列のうち所定数のノズル列が対向可能である幅に形成され、前記第1流体受け領域は、前記複数のノズル列のうち残りのノズル列が対向可能である幅に形成され、前記第2検査領域は、前記残りのノズル列が対向可能である幅に形成され、前記第2流体受け領域は、前記所定数のノズル列が対向可能である幅に形成されているものとしてもよい。こうすれば、走査方向の一端側で吐出検査を行うノズル列が他端側で強制吐出処理を行い、走査方向の一端側で強制吐出処理を行うノズル列が他端側で吐出検査を行うことが可能であるため、流体の増粘を抑制しつつより効率よく吐出検査を行うことができる。このとき、所定数のノズル列は、前記複数のノズル列のうち半分であるものとしてもよい。
第1及び第2検査領域と第1及び第2流体受け領域とを備える態様の本発明の吐出検査装置において、前記吐出検出制御手段は、前記走査方向の一端側で前記吐出検査を行うと共に前記強制吐出処理を並行して行い、前記走査方向の他端側へ前記吐出ヘッドと前記第1及び第2検査領域とが相対的に移動する際に前記流体吐出処理を実行するか、前記走査方向の他端側で前記吐出検査を行うと共に前記強制吐出処理を並行して行い、前記走査方向の一端側へ前記吐出ヘッドと前記第1及び第2検査領域とが相対的に移動する際に前記流体吐出処理を実行するかのうち少なくとも一方を実行するよう前記ノズルから前記流体を吐出させるものとしてもよい。こうすれば、流体吐出処理を実行しているときに走査方向の一端側と他端側とで吐出検査と強制吐出処理とを並行して実行するため、吐出検査と強制吐出処理と流体吐出処理との処理をより一層効率よく実行することができる。
本発明の吐出検査装置において、前記吐出検出制御手段は、前記検査ノズル群が前記第1検査領域に対向した状態で該検査ノズル群のうちいずれかのノズルから前記流体を吐出させると共に、前記検査ノズル群以外のノズルのうち前記第1流体受け領域に対向しているノズルから前記流体を強制的に吐出させ、前記検査ノズル群が前記第2検査領域に対向した状態で該検査ノズル群のうちいずれかのノズルから前記流体を吐出させると共に、前記検査ノズル群以外のノズルのうち前記第2流体受け領域に対向しているノズルから前記流体を強制的に吐出させるものとしてもよい。
なお、前記吐出検出制御手段は、前記吐出ヘッドと前記第1及び第2検査領域との間に電位差を設け、前記吐出ヘッドからの流体の吐出に伴い生じる電気的変化を検出することにより前記吐出検査を実行するものとしてもよい。こうすれば、検査領域に流体が到達し流体の吐出に伴い生じる電気的変化を検出するため、比較的容易に吐出検査を行うことができる。
本発明の流体吐出装置は、上述したいずれか1つに記載の吐出検査装置と、前記流体を吐出する吐出ヘッドと、を備えたものである。本発明の吐出検査装置は、吐出検査においてノズルでの流体の増粘をより抑制することができるため、これを備える流体吐出装置も同様の効果を奏する。
本発明の吐出検査装置の制御方法は、
複数のノズルが形成され流体を該ノズルからターゲットに吐出する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドにおける該流体の吐出状態を検査する吐出検査を実行し、前記複数のノズルのうち所定の検査ノズル群が対向した状態で前記吐出検査を実行し該ノズルから吐出された流体を受ける領域である第1検査領域と、前記吐出検査時に前記検査ノズル群以外のノズル群が対向可能に、前記第1検査領域と非接触で前記第1検査領域の所定の走査方向の一方側に隣接して配設され、前記ノズルから強制的に前記流体を吐出させる強制吐出処理を実行した際に吐出された前記流体を受ける領域である第1流体受け領域と、を備える吐出検査装置の制御方法であって、
前記第1検査領域及び前記吐出ヘッドの少なくとも一方を前記走査方向に相対的に移動させ、前記第1検査領域に対向して配置された前記検査ノズル群のうちいずれかのノズルから流体を吐出させ、該流体を吐出したときから該流体が前記第1検査領域へ到達したときの間のいずれかで生じる状態変化を検出することにより前記流体の吐出状態を検査すると共に、前記検査ノズル群以外のノズルのうち前記第1流体受け領域に対向しているノズルから前記流体を吐出させるステップ、
を含むものである。
この吐出検査方法では、上述した吐出検査装置と同様に、吐出検査においてノズルでの流体の増粘をより抑制することができる。なお、この吐出検査方法において、上述した吐出検査装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した吐出検査装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
本発明のプログラムは、上述した吐出検査方法の各ステップを1又は複数のコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピューターに実行させるか又は複数のコンピューターに各ステップを分担して実行させれば、上述した吐出検査方法の各ステップが実行されるため、吐出検査方法と同様の作用効果が得られる。
プリンター20の構成の概略の一例を示す構成図。 ノズル検査装置50の構成の斜視図。 印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャート。 ノズル検査・フラッシング処理ルーチンの一例を示すフローチャート。 ノズル検査・フラッシング処理の経過の説明図。 別のノズル検査装置50Bの説明図。 別のノズル検査装置50Cの説明図。 別のノズル検査装置150の説明図。
次に本発明を具現化した一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態であるプリンター20の構成の概略の一例を示す構成図であり、図2は、ノズル検査装置50の構成の斜視図である。本実施形態のプリンター20は、図1に示すように、流体としてのインクをターゲットとしての記録紙Sに吐出する印刷ヘッド24を備えた印刷機構21と、記録紙Sを搬送する紙送り機構30と、印刷ヘッド24の封止及びクリーニングを実行するキャッピング装置40と、インクを強制的に吐出する際に利用されるフラッシング部42と、印刷ヘッド24からインクが吐出されているか否かのノズル検査を実行するノズル検査装置50と、プリンター20全体をコントロールするコントローラー70とを備えている。
印刷機構21は、キャリッジベルト32によりキャリッジ軸28に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ22と、各色のインクに圧力をかけノズル23から流体としてのインク滴を吐出する印刷ヘッド24と、各色のインクを収容しこの収容したインクを印刷ヘッド24へ供給するインクカートリッジ26と、を備えている。キャリッジ22は、筐体39の右側に取り付けられたキャリッジモーター34aと筐体39の左側に取り付けられた従動ローラー34bとの間に架設されたキャリッジベルト32がキャリッジモーター34aによって駆動されるのに伴って移動する。印刷ヘッド24は、キャリッジ22の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により印刷ヘッド24の下面に設けられたノズル23から各色のインクを吐出するものである。この印刷ヘッド24には、図2に示すように、複数のノズル23のうちキャリッジ移動方向(主走査方向)に直交する方向に配列した複数のノズル列43K,43C,43M,43Yが図中左側から順に形成されている。ここでは、各色に対し、2列のノズル列43K,43C,43M,43Yが形成されている。なお、説明の便宜のため、以下、これらノズル列43K,43C,43M,43Yをノズル列43と総称する。キャリッジ22の裏側には、キャリッジ22の位置を検出するリニア式エンコーダー25が配置されており、このリニア式エンコーダー25を用いてキャリッジ22のポジションが管理可能となっている。インクカートリッジ26は、キャリッジ22に装着され、溶媒に着色剤としての顔料や染料を含有したシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)などの印刷用に用いる各色のインクを個別に収容している。
紙送り機構30は、図1に示すように、駆動モーター33により駆動されプラテン29上を図中奥から手前へと記録紙Sを搬送する紙送りローラー35や、図示しないトレイに載置された記録紙Sをプラテン29へ給紙する図示しない給紙ローラー、プラテン29でインクを吐出された記録紙Sを図示しない排紙トレイへ搬送する図示しない排紙ローラーなどを備えている。
キャッピング装置40は、キャリッジ22の初期位置(ホームポジション)に配設されており、その開口縁にはシリコンゴムなどの絶縁体からなるシーリング部材が設けられている。このキャッピング装置40は、印刷ヘッド24と当接した封止状態で図示しないポンプにより負圧を発生させることにより、ノズル23内のインクを強制的に吸い出すクリーニング処理を実行可能である。
ノズル検査装置50は、図2に示すように、印刷ヘッド24のノズル23からインクが吐出されたか否かを検出する吐出検出部51と、複数のノズル23のうち、ノズル検査時にこのノズル検査を行うノズル列(検査ノズル列とも称する)が対向した状態でノズル検査を実行しこのノズル23から吐出されたインク滴を受けることが可能な検査領域52と、を備えている。なお、ここでは、第1検査領域52a及び第2検査領域52bを総称して検査領域52と称するものとする。吐出検出部51は、検査領域52を所定電位とすることにより印刷ヘッド24と検査領域52との間に所定の電位差を発生させる電圧印加回路53と、検査領域52での電圧変化を検出する電圧検出回路54とを備えている。電圧印加回路53は、検査領域52の電極部材57,57に接続されており、プリンター20の内部で引き回される数ボルトの電気配線の電圧を図示しない昇圧回路を介して数十〜数百ボルトに昇圧し、この昇圧後の直流電圧Ve(例えば400V)を抵抗素子R1(例えば1MΩ)及びスイッチSWを介して検査領域52に印加する回路である。電圧検出回路54は、検査領域52の電極部材57,57に接続され、インクが到達した際に生じる検査領域52での電圧変化を検出するものであり、印刷ヘッド24の電圧信号を積分して出力する積分回路54aと、この積分回路54aから出力された信号を反転増幅して出力する反転増幅回路54bと、この反転増幅回路54bから出力された信号をA/D変換してコントローラー70へ出力するA/D変換回路54cとを備えている。積分回路54aは、1つのインク滴の飛翔・到達による電圧変化が微弱なことから、同一のノズル23から吐出される複数のインク滴の飛翔・到達による電圧変化を積分することにより大きな電圧変化として出力するものである。反転増幅回路54bは、電圧変化の正負を反転させると共に回路構成によって決まる所定の増幅率で積分回路から出力された信号を増幅して出力するものである。A/D変換回路54cは、反転増幅回路54bから出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換してコントローラー70に出力するものである。
検査領域52は、印刷ヘッド24の走査方向の図1の左端側に配設され検査ノズル列のノズル23から吐出されたインク滴を受ける領域である第1検査領域52aと、印刷ヘッド24の走査方向の図1の右端側に配設され検査ノズル列のノズル23から吐出されたインク滴をを受ける領域である第2検査領域52bと、が含まれている。第1検査領域52aと第2検査領域52bとは、インクを記録紙Sへ吐出する印刷処理を実行する領域である印刷可能領域をまたいで走査方向の両側に設けられている。第1検査領域52aは、フラッシング部42の第1受け領域44の隣に、絶縁材の壁部45により区切られてこの領域とは非接触状態となるように配設されている。第2検査領域52bは、フラッシング部42の第2受け領域46の隣に、絶縁材の壁部47により区切られてこの領域とは非接触状態となるように配設されている。この第1検査領域52a及び第2検査領域52bは、特定のインク色が吐出される2列に併設されたノズル列43(ノズル列43K,43C,43M,43Y)の2色分と対向可能且つこれらから吐出されたインク滴が到達可能な幅に形成されている。この検査領域52は、ノズル列方向へ長い矩形状の領域として形成され、最上面に配設された金属(例えばステンレス)からなるメッシュ状の電極部材57と、その下面側に配設されインク滴の吸収性の高いインク吸収体48とにより構成されている。なお、電極部材57と同電位になるものであれば、電極部材57の上面にもインクの透過性及び導電性を有するようなインク吸収体を配設してもよい。
フラッシング部42は、図1,2に示すように、ノズル23でのインクの増粘を防止するためなどにノズル23から強制的にインクを吐出するフラッシング処理時にこのインク滴を受ける領域である第1受け領域44と、第2受け領域46とにより構成されている。なお、ここでは、第1受け領域44及び第2受け領域46を総称してフラッシング部42と称するものとする。第1受け領域44と第2受け領域46とは、インクを記録紙Sへ吐出する印刷処理を実行する領域である印刷可能領域をまたいで走査方向の両側に設けられている。第1受け領域44は、ノズル検査時に検査ノズル列以外のノズル列が対向可能に、第1検査領域52aと非接触で、この第1検査領域52aの図2の左側(走査方向の一方側)に隣接して配設されている。第1受け領域44は、第1検査領域52aに対向した所定数のノズル列43(2色4列)以外のノズル列43すべて(2色4列)と対向可能且つこれらから吐出されたインク滴が到達可能な幅に形成されている。ここでは、第1検査領域52aにノズル列43M,43Yが対向すると、第1受け領域44にノズル列43K,43Cが対向するよう構成されている。また、第2受け領域46は、ノズル検査時に検査ノズル列以外のノズル列が対向可能に、第2検査領域52bと非接触で、この第2検査領域52bの図2の右側(走査方向の他方側)に隣接して配設されている。第2受け領域46は、第2検査領域52bに対向した所定数のノズル列43(2色4列)以外のノズル列43すべて(2色4列)と対向可能且つこれらから吐出されたインク滴が到達可能な幅に形成されている。ここでは、第2検査領域52bにノズル列43K,43Cが対向すると、第1受け領域44にノズル列43M,43Yが対向するよう構成されている。この第1受け領域44及び第2受け領域46は、走査方向の幅が第1検査領域52a及び第2検査領域52bと同じに形成されている。
コントローラー70は、図1に示すように、CPU72を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュROM73と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM74と、ユーザーパソコン(PC)12などの外部機器とデータのやりとりを行うインターフェイス(I/F)79とを備えている。フラッシュROM73には、印刷処理ルーチンやノズル検査・フラッシング処理ルーチンなどの各処理プログラムが記憶されている。RAM74には、印刷バッファ領域が設けられており、この領域にユーザーパソコン(PC)12などの外部機器からI/F79を介して送られてきた印刷ジョブなどが格納される。このコントローラー70には、ノズル検査装置50の電圧検出回路54から出力された電圧信号などが図示しない入力ポートを介して入力されているほか、外部機器(ユーザーPC12など)から出力された印刷ジョブなどがI/F79を介して入力される。また、コントローラー70からは、印刷ヘッド24への制御信号やノズル検査装置50への制御信号、駆動モーター33への駆動信号、キャリッジモーター34aへの駆動信号などが図示しない出力ポートを介して出力される。
次に、ノズル検査装置50の動作について、特に、印刷処理を行いながらノズル23からインクが吐出されたか否かを検査する処理について説明する。図3は、コントローラー70のCPU72により実行される印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図4は、ノズル検査・フラッシング処理ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図5は、ノズル検査・フラッシング処理の経過の説明図である。印刷処理ルーチンは、フラッシュROM73に記憶され、繰り返し実行される。ここでは、キャリッジ22を記録紙Sの左右端の往復移動中に記録紙Sへインクを吐出するいわゆる双方向印刷処理を実行する場合について説明する。このルーチンが開始されると、CPU72は、まず、印刷待ち状態の印刷ジョブが存在するか否かを判定する(ステップS100)。ユーザーPC12から受信した印刷ジョブは、RAM74に形成された印刷バッファ領域に格納されて印刷待ち状態の印刷ジョブとなるため、印刷ジョブを受信したときに印刷中の場合だけでなく直ちに印刷可能な場合であっても一旦印刷待ち状態の印刷ジョブとなる。そして、ステップS100で印刷待ち状態の印刷ジョブが存在しないときには、そのままこのメインルーチンを終了する。一方、印刷待ち状態の印刷ジョブがあるときには、CPU72は、電圧印加回路53のスイッチSWを入れて印刷ヘッド24と検査領域52との間に所定の電位差を発生させる(ステップS110)。すると、ノズル23内のインクが帯電する。
次に、CPU72は、図示しない給紙ローラーを駆動して記録紙Sを印刷可能領域へ搬送する給紙処理を実行し(ステップS120)、記録紙Sが印刷可能領域に配置されると、印刷ヘッド24を移動させながら印刷ジョブに含まれる印刷データに基づいてインクを記録紙Sに吐出させる(ステップS130)。最初のパスでは、初期位置であるキャッピング装置40側から第1受け領域44側へキャリッジモーター34aの駆動により印刷ヘッド24を移動しながらインクを吐出し、記録紙S上へ画像を形成する。ここで、「パス」とは、印刷ヘッド24が図1でのプラテン29上にある記録紙Sの一端側(例えば第2受け領域46側)から他端側(第1受け領域44側)まで1回移動する動作のことをいう。
次に、CPU72は、印刷ヘッド24の往路・復路の切替タイミングであるか否かを判定する(ステップS140)。この判定は、リニア式エンコーダー25の値に基づいて、印刷ヘッド24が第1受け領域44上に至ったか否かを判定することにより行うことができる。往路・復路の切替タイミングでないときには、CPU72は、ステップS130の処理を繰り返し実行する。即ち、印刷ヘッド24を移動させながら印刷データに基づいてインクを記録紙Sへ吐出させる処理を行う(後述する図5の中段参照)。一方、往路・復路の切替タイミングであるとき、即ち印刷ヘッド24がフラッシング部42や検査領域52の配設された端部に至ったときには、CPU72は、ノズル検査・フラッシング処理を実行する(ステップS150)。このノズル検査・フラッシング処理は、印刷ヘッド24が端部にいる所定時間(例えば数百μ秒など)の間に特定の検査ノズルの吐出検査とフラッシング部42に対向しているノズルのフラッシング処理とを並行して行う処理である。
図4は、ノズル検査・フラッシング処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンが実行されると、CPU72は、検査を実行するのが第1検査領域52aであるか第2検査領域52bであるかを、リニア式エンコーダー25の値に基づいて判定する(ステップS300)。第1検査領域52a側であるときには、第1検査領域52aに対向するノズル23のうち前回のノズル検査を行ったノズルに基づいて検査対象ノズルを設定する(ステップS310)。検査対象ノズルの設定は、例えば、第1検査領域52aでは、ノズル列43Yのノズル番号の小さなものから順に、ノズル列43Yが検査終了した後はノズル列43Mのノズル番号の小さなものから順に行うことができる。また、初期値をノズル番号「1」とし、前回のノズル検査を行ったノズル23の次のノズル番号のノズルを検査対象ノズルに設定するものとする。一方、検査を実行するのが第2検査領域52b側であるときには、第2検査領域52bに対向するノズル23のうち前回のノズル検査を行ったノズルに基づいて検査対象ノズルを設定する(ステップS320)。検査対象ノズルの設定は、第1検査領域52aと同様に、例えば、第2検査領域52bでは、ノズル列43Cのノズル番号の小さなものから順に、ノズル列43Cが検査終了した後はノズル列43Kのノズル番号の小さなものから順に行うことができる。
検査対象である検査対象ノズルを設定したあと、CPU72は、この検査対象のノズル23と、検査領域52に対向していないすべてのノズル23からインクを吐出させる(ステップS330)。図5の上段に示すように、例えば、印刷ヘッド24が第1検査領域52a及び第1受け領域44に対向しているときには、ノズル列43M,43Yのいずれか1つのノズル23のノズル検査を行うと共に、ノズル列43K,43Cのすべてのノズル23のフラッシング処理を行う。このため、ノズル検査を行わないノズル23内でインクが増粘してしまうのを抑制可能である。また、ノズル検査とフラッシング処理とを別々に行うものに比して処理効率がよい。
ここで、ノズル検査の原理について説明する。ノズル23内にインクを含む印刷ヘッド24をグランドに接地し、検査領域52に電圧を印加した状態でインク滴をノズル23から吐出させる実験を実際に行ったところ、インク滴の吐出に伴い検査領域52での出力信号波形がサインカーブとして表れた。このような出力信号波形が得られる原理は、帯電したインク滴が検査領域52に接近するのに伴って静電誘導により誘導電流が流れたことに起因すると考えられる。また、検査領域52での出力信号波形の振幅は、印刷ヘッド24から検査領域52までの距離に依存したほか、飛翔するインク滴の有無やその大きさにも依存した。このため、ノズル23が詰まってインク滴が所定の大きさより小さかったりインク滴が飛翔しなかったりしたときには、出力信号波形の振幅が通常時に比べて小さくなるか略ゼロになるから、出力信号波形の振幅に基づいてノズル23の詰まりの有無を判定することができる(図2の吹出参照)。本実施形態では、インク滴が所定の大きさであっても1ショット分のインク滴による出力信号波形の振幅が微弱なことから、大ドットを吐出する操作を8回行い(検査吐出量とも称する)、より多くの量のインク滴を吐出するようにした。これにより、出力信号は8回分のインク滴による積分値となるため、電圧検出回路54からは十分大きな出力信号波形が得られた。なお、検査吐出量は、検査精度を確保可能な吐出数となるよう任意に設定することができる。
続いて、CPU72は、電圧検出回路54で検出された信号波形の振幅すなわち出力電圧Vopを入力し、この入力した出力電圧Vopが閾値Vthr以上か否かを判定する(ステップS340)。この閾値Vthrは、検査吐出量のインクが正常に吐出されたときの出力信号波形の出力電圧Vop(ピーク値)が超えるように、また検査吐出量のインクが正常に吐出されなかったときにはノイズ等によって超えてしまうことのないように、経験的に定められた値である。ステップS340で出力電圧Vopが閾値Vthr未満だったときには、今回のノズル23に詰まりなどの吐出不良が生じているとみなし、そのノズル23を特定する情報(例えばどのノズル列の何番目のノズルかを示す情報)をRAM74の所定領域に記憶する(ステップS350)。
ステップS350のあと又はステップS340で出力電圧Vopが閾値Vthr以上のとき(つまり今回のノズル23が正常だったとき)、CPU72は、検査終了タイミングであるか否かを判定し(ステップS360)、検査終了タイミングであるときにはそのままこのルーチンを終了する。一方、検査終了タイミングでないときには、検査対象となるノズルを更新し(ステップS370)、ステップS330以降の処理を実行する。即ち、フラッシング処理を継続しながら検査対象ノズルを変更してノズル検査を実行する。ここで、検査終了タイミングは、例えば印刷ヘッド24の往路・復路切替に要する時間(印刷ヘッド24が検査領域52及びフラッシング部42に対向している期間)が経過したタイミングとしてもよいし、所定のノズル数(例えば10個など)のノズル検査が実行可能な時間が経過したタイミングとしてもよい。前者では、印刷処理時間をより短くすることができ、後者では、ノズル検査をより確実に実行することができる。このルーチンを実行することにより、RAM74の所定領域には、印刷ヘッド24に配列された全ノズル23のうち吐出不良が発生しているノズル23がある場合にはそのノズル23を特定する情報が記憶され、吐出不良が発生しているノズル23がない場合には何も記憶されない。
さて、印刷処理ルーチンのステップS150でノズル検査・フラッシング処理ルーチンを実行したあと、CPU72は、印刷処理を実行すべき次のパスの印刷データがあるか否かを、印刷データの内容に基づいて判定する(ステップS160)。印刷すべき次パスのデータがあるときには、紙送りローラー35を回転駆動し記録紙Sを所定量だけ搬送する搬送処理を実行し(ステップS170)、ステップS130以降の処理を実行する。図5の下段に示すように、復路側においてステップS140で往路・復路切替タイミングであると判定されると印刷ヘッド24と第2検査領域52b及び第2受け領域46とが対向するため、ノズル列43K,43Cのいずれかのノズル23でノズル検査を実行すると共に、ノズル列43M,43Yのすべてのノズル23でフラッシング処理を行う。このように、一端側でノズル検査を実行するノズルは他端側でフラッシング処理を行い、一端側でフラッシング処理を実行するノズルは他端側でノズル検査を行うのである。
ステップS160で、印刷すべき次パスのデータがないときには、CPU72は、図示しない排紙ローラーを回転駆動し記録紙Sを排紙トレイに排出する排紙処理を実行し(ステップS180)、印刷すべき次のページがあるか否かを印刷データに基づいて判定する(ステップS190)。印刷すべき次のページがあるときには、ステップS120以降の処理を実行し、印刷すべき次のページがないときには、電圧印加回路53のスイッチSWをオフし(ステップS200)、この印刷処理ルーチンを終了する。なお、吐出不良ノズルの情報がRAM74に記憶されているときには、CPU72は、印刷処理の途中で又は印刷処理のあと、例えば、キャッピング装置40で吸引してノズル23のノズル詰まりを解消するなどの処理を行う。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の第1検査領域52aが本発明の第1検査領域に相当し、第2検査領域52bが第2検査領域に相当し、第1受け領域44が第1流体受け領域に相当し、第2受け領域46が第2流体受け領域に相当し、コントローラー70が吐出検出制御手段に相当する。また、インクが本発明の流体に相当し、記録紙Sがターゲットに相当し、ノズル検査が吐出検査に相当し、フラッシング処理が強制吐出処理に相当する。なお、本実施形態では、ノズル検査装置50の動作を説明することにより本発明の吐出検査方法の一例も明らかにしている。
以上詳述した本実施形態のノズル検査装置50では、ノズル検査で吐出されたインクを受ける第1検査領域52aとその左側に隣接する第1受け領域44とが非接触な状態で印刷可能領域の左端側に配設されている。この第1受け領域44は、ノズル検査時に検査ノズル列以外のノズル列43が対向可能となっている。また、ノズル検査で吐出されたインクを受ける第2検査領域52bとその右側に隣接する第2受け領域46とが非接触な状態で印刷可能領域の右端側に配設されている。この第2受け領域46は、ノズル検査時に検査ノズル列以外のノズル列43が対向可能となっている。そして、第1検査領域52a又は第2検査領域52b上へ印刷ヘッド24を移動させ、第1検査領域52a又は第2検査領域52bに対向して配置された検査ノズル列のうちいずれかのノズル23からインクを吐出させ、このインクの吐出に伴って生じる電気的変化を検出することによりインクの吐出状態を検査する。このとき、第1受け領域44又は第2受け領域46に対向したノズル列43でフラッシング処理を実行する。このように、走査方向の一端側と他端側とでノズル検査とフラッシング処理とを並行して実行可能であるため、ノズル検査においてノズル23でのインクの増粘をより抑制することができる。また、例えばノズル列43全体でフラッシング処理を行ったあとにノズル列43Yから順番にノズル列43Kまでフラッシング処理を行わずにノズル検査を行うものに比してノズル検査とフラッシング処理との実行時間をより短縮することができる。
また、第1受け領域44は、走査方向の幅が第1検査領域52aと同じであり、第2受け領域46は、走査方向の幅が第2検査領域52bと同じであるため、よりフラッシング処理をノズル検査と並行して実行しやすい。この第1検査領域52a、第2検査領域52b、第1受け領域44及び第2受け領域46は、複数のノズル列43のうち半数のノズル列43が対向可能である幅に形成されているため、走査方向の一端側でノズル検査を行うノズル列が他端側でフラッシング処理を行い、走査方向の一端側でフラッシング処理を行うノズル列が他端側でノズル検査を行うことが可能であり、インクの増粘を抑制しつつより効率よくノズル検査を行うことができる。更に、双方向印刷の実行中に一端側(第2検査領域52b側)と他端側(第1検査領域52a側)とでノズル検査とフラッシング処理とを並行して実行するため、より一層効率よくノズル検査とフラッシング処理と印刷処理との処理を行うと共に処理時間の短縮も図ることができる。更にまた、ノズル検査装置50は、印刷ヘッド24と検査領域52との間に電位差を設け、印刷ヘッド24からのインクの吐出に伴い生じる電気的変化を電圧検出回路54で検出するため、比較的容易にノズル検査を行うことができる。そしてまた、プリンター20では、ノズル23の吐出不良をより抑制したいことから、本発明のノズル検査装置50をプリンター20へ適用する意義が高い。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、最初の検査対象ノズル列であるノズル列43Yをフラッシング処理せずにノズル検査を実行するものとしたが、第1検査領域52a、第2検査領域52b、第1受け領域44及び第2受け領域46のいずれかの領域でフラッシング処理したのちにノズル検査を実行するものとしてもよい。こうすれば、ノズル検査の前にノズル23をフラッシング処理するため、より確実にノズル検査を実行することができる。
上述した実施形態では、走査方向に図1の左側から第1受け領域44、第1検査領域52a、第2検査領域52b、第2受け領域46の順に配置されているものとしたが、走査方向に図1の左側から第1検査領域52a、第1受け領域44、第2受け領域46、第2検査領域52bの順に配置されているものとしてもよい。
上述した実施形態では、第1検査領域52a、第1受け領域44、第2検査領域52b及び第2受け領域46は、複数のうち半数のノズル列43が対向可能な幅に形成されているものとしたが、ノズル列43のうち半数が対向可能な幅でないものとしてもよい。例えば、第1検査領域52aが複数のノズル列43のうち所定数のノズル列が対向可能である幅に形成され、第1受け領域44が残りのノズル列43が対向可能である幅に形成されており、第2検査領域52bが残りのノズル列43が対向可能である幅に形成され第2受け領域46が所定数のノズル列が対向可能である幅に形成されているものとしてもよい。こうすれば、走査方向の一端側でノズル検査を行うノズル列43が他端側でフラッシング処理を行い、走査方向の一端側でフラッシング処理を行うノズル列43が他端側でノズル検査を行うことが可能であるため、インクの増粘を抑制しつつより効率よくノズル検査を行うことができる。
上述した実施形態では、印刷ヘッド24が左右の走査方向へ移動する際に印刷処理を行う双方向印刷の実行中に一端側と他端側とでノズル検査とフラッシング処理とを行うものとしたが、走査方向の一端側(例えば第2検査領域52b、第2受け領域46側)でノズル検査を行うと共にフラッシング処理を並行して行い走査方向の他端側へ印刷ヘッド24を移動させる際にだけ印刷処理を実行するものとしてもよいし、走査方向の他端側(例えば第1検査領域52a、第1受け領域44側)でノズル検査を行うと共にフラッシング処理を並行して行い走査方向の一端側へ印刷ヘッド24を移動させる際に印刷処理を実行するものとしてもよい。
上述した実施形態では、第1検査領域52a、第2検査領域52bは、2色4列分のノズル列43が対向可能な幅に形成されているものとしたが、検査領域52の隣にインクの受け領域が形成されこの受け領域にもインクが到達可能であれば、特に大きさは限定されない。例えば、図6に示すように、1色2列分のノズル列43が対向可能な幅に形成された検査領域52と、2色4列分のノズル列43が対向可能な幅に形成されたフラッシング部42とを備えたノズル検査装置50Bとしてもよい。図6は、別のノズル検査装置50Bの説明図である。このノズル検査装置50Bでは、検査ノズル列が検査領域52に対向したときにフラッシング部42に検査ノズル列以外のすべてのノズル23は対向しないサイズに各受け領域が形成されている。この場合は、ノズル列43Yが検査中にはノズル列43M,43Cがフラッシング処理を行い(図6上段)、ノズル列43Mが検査中にはノズル列43C,43Kがフラッシング処理を行い、ノズル列43Cがノズル検査中にはノズル列43M,43Yがフラッシング処理を行い、ノズル列43Kがノズル検査中にはノズル列43C,43Mがフラッシング処理を行うことができる(図6下段)。こうしても、ノズル検査とフラッシング処理とを並行して処理可能であるため、ノズル検査においてノズル23でのインクの増粘をより抑制することができる。あるいは、検査領域52は、1色2列分のノズル列43が対向できる幅に形成されているものとしたが、ノズル列43の1列分の大きさに形成されているものとしてもよい。このとき、ノズル列43同士の間隔に入る壁部45、47を設けて各領域を非接触なものとする必要がある。
上述した実施形態では、第1検査領域52aと第1受け領域44とが非接触で隣接し、第2検査領域52bと第2受け領域46とが非接触で隣接するものとしたが、図7に示すように、第1検査領域52aの両隣にインク受け領域を備え、第2検査領域52bの両隣にインク領域を備えるノズル検査装置50Cとしてもよい。図7は、他のノズル検査装置50Cの説明図である。こうすれば、一端側又は他端側のインク受け領域のいずれか一方を用いてノズル検査とフラッシング処理とを並行して実行可能であるため、自由度をより向上することができる。
上述した実施形態では、印刷ヘッド24が往路・復路で移動するたびにノズル検査とフラッシング処理を行うものとしたが、例えば、所定のパス数を移動したあとにノズル検査とフラッシング処理を行うものとしてもよいし、所定の印刷枚数を印刷したあとにノズル検査とフラッシング処理を行うものとしてもよい。こうすれば、印刷処理の時間をより短縮することができる。
上述した実施形態では、ノズル検査装置50は、検査領域52に電圧を印加することにより印刷ヘッド24と検査領域52との間に電位差を生じさせるものとしたが、検査領域52をグランドに接続し、印刷ヘッド24に電圧を印加することにより印刷ヘッド24と検査領域52との間に電位差を生じさせるものとしてもよい。こうしても、インク滴が印刷ヘッド24から吐出される際に電圧検出回路54で波形を検出することができる。また、上述した実施形態では、電圧検出回路54を検査領域52に接続してインク滴の吐出に伴う電気的変化を検出するものとしたが、電圧検出回路54を印刷ヘッド24に接続し、キャッピング装置40の電極部材57をグランドに接続してインク滴の吐出に伴う電気的変化を検出するものとしてもよい。また、この実施形態の場合に、グランドに接続する側の電極の電位はグランドに限らず、電圧印加回路53の電圧と異なる電位であって、この電圧印加回路53の電圧との間に所定の電位差を与える電位であればよい。こうしても、インク滴が印刷ヘッド24から吐出される際に電圧検出回路54で波形を検出することができる。なお、印刷ヘッド24において所定の電位を与える電極は、ノズルプレートやヘッド内の電極など、印刷ヘッド24内のインクと導通してインクに電位を与えることが可能な電極であればよい。なお、図2のように、電圧印加回路53と電圧検出回路54を共に、検査領域52に接続するか、上記のように共に印刷ヘッド24に接続するか、のいずれかの実施形態に限らず、電圧印加回路53と電圧検出回路54とを、印刷ヘッド24と検査領域52のいずれかに別々に接続するものとしてもよい。これらの4通りのいずれの形態を採用してもインク滴が印刷ヘッド24から吐出される際に電圧検出回路54で波形を検出することができることが確認されている。
上述した実施形態では、検査領域52にインクが到達し、インク滴を吐出した際の電気的変化を電圧検出回路54で検出するノズル検査装置50としたが、印刷ヘッド24からのインク吐出が自動で検出可能であれば特に限定されない。例えば、図8に示すように、印刷ヘッド24から吐出されたインクが通過する位置の近傍に設けられた検出部材157、を備え、検出部材157の近傍を吐出されたインクが通過する際に生じる電気的変化を検出し、その検出結果によりインクの吐出状態を検出するノズル検査装置150としてもよい。図8は、ノズル検査装置150の構成の概略を示す説明図である。こうすれば、検出部材157の近傍をインクが通過する際に生じる電気的変化を検出するため、比較的容易にノズル検査を行うことができる。なお、検出部材157は、インクの通過に伴う電気的変化を検出可能なものとすれば、電極板としてもよいし、電気線としてもよい。あるいは、検査領域52にインクが到達する際に生じる振動(状態変化)を検出することによりノズル検査を行うものとしてもよい。
上述した実施形態では、検査領域52やフラッシング部42はプラテン29上に配設されているものとしたが、特にこれに限定されず、例えば、キャッピング装置40の内部に検査領域52及びフラッシング部42が設けられているものとしてもよい。
上述した実施形態では、印刷ヘッド24は、圧電素子に電圧を印加し、この圧電素子を変形させてインクを加圧する方式としたが、発熱抵抗体(例えばヒーターなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。また、インクカートリッジ26は、4色のインクを収容するものとしたが、1色以上の任意の色数を収容するものとしてもよい。また、インクカートリッジ26は、往復動するキャリッジ22に搭載したいわゆるオンキャリッジの構成としたが、筐体39に装着されチューブにより印刷ヘッド24へインク等を供給するいわゆるオフキャリッジの構成としてもよい。また、キャリッジ移動方向に移動するキャリッジ22を備えた印刷機構21としたが、記録紙Sの幅方向に各色のノズル列を設けたいわゆるラインインクジェットヘッドを備えたものとしてもよい。ラインインクジェットヘッドは、ノズル列が長いため、本発明を適用する意義が高い。また、検査領域52、第1受け領域44及び第2受け領域46が固定され、キャリッジ22が走査方向へ移動するものとしたが、キャリッジ22を固定して検査領域52、第1受け領域44及び第2受け領域46が走査方向へ移動するものとしてもよいし、その両方が相対的に移動するものとしてもよい。
上述した実施形態では、本発明の流体吐出装置をプリンター20に具体化した例を示したが、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体などを吐出する流体吐出装置に具体化してもよいし、流体として吐出可能な固体を吐出する流体吐出装置に具体化してもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を溶解した液体を吐出する液体吐出装置、同材料を分散した液状体を吐出する液状体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置としてもよい。また、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を吐出する粉体吐出式記録装置としてもよい。
上述した実施形態では、プリンター20を本発明の流体吐出装置として説明したが、原稿を読み取り可能なスキャナーユニットを備えたマルチファンクションプリンターや、FAX機能を有するFAX装置としてもよい。更にまた、プリンター20の態様で説明したが、ノズル検査装置50の態様としてもよいし、ノズル検査装置の制御方法の態様としてもよいし、このノズル検査装置の制御方法を実行するプログラムとしてもよい。
12 ユーザーPC、20 プリンター、21 印刷機構、22 キャリッジ、23 ノズル、24 印刷ヘッド、25 リニア式エンコーダー、26 インクカートリッジ、28 キャリッジ軸、29 プラテン、30 紙送り機構、32 キャリッジベルト、33 駆動モーター、34a キャリッジモーター、34b 従動ローラー、35 紙送りローラー、39 筐体、40 キャッピング装置、42 フラッシング部、43,43K,43C,43M,43Y ノズル列、44 第1受け領域、45,47 壁部、46 第2受け領域、48 インク吸収体、50,50B,50C,150 ノズル検査装置、51 吐出検出部、52 検査領域、52a 第1検査領域、52b 第2検査領域、53 電圧印加回路、54 電圧検出回路、54a 積分回路、54b 反転増幅回路、54c A/D変換回路、57 電極部材、70 コントローラー、72 CPU、73 フラッシュROM、74 RAM、79 インターフェイス(I/F)、157 検出部材、S 記録紙、SW スイッチ。

Claims (8)

  1. 複数のノズルが形成され流体を該ノズルからターゲットに吐出する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドにおける該流体の吐出状態を検査する吐出検査を実行する吐出検査装置であって、
    前記複数のノズルのうち所定の検査ノズル群が対向した状態で前記吐出検査を実行し該ノズルから吐出された流体を受ける領域である第1検査領域と、
    前記吐出検査時に前記検査ノズル群以外のノズル群が対向可能に、前記第1検査領域と非接触で前記第1検査領域の所定の走査方向の一方側に隣接して配設され、前記ノズルから強制的に前記流体を吐出させる強制吐出処理を実行した際に吐出された前記流体を受ける領域である第1流体受け領域と、
    前記第1検査領域及び前記吐出ヘッドの少なくとも一方を前記走査方向に相対的に移動させ、前記第1検査領域に対向して配置された前記検査ノズル群のうちいずれかのノズルから流体を吐出させ、該流体を吐出したときから該流体が前記第1検査領域へ到達したときの間のいずれかで生じる状態変化を検出することにより前記流体の吐出状態を検査する吐出検出制御手段と、
    を備えた吐出検査装置。
  2. 請求項1に記載の吐出検査装置であって、
    前記走査方向の一端側に配設され、前記検査ノズル群が対向した状態で前記吐出検査を実行し該ノズルから吐出された流体を受ける領域である第2検査領域と、
    前記吐出検査時に前記検査ノズル群以外のノズル群が対向可能に、前記第2検査領域と非接触で前記第2検査領域の前記走査方向の他方側に隣接して配設され、前記強制吐出処理を実行した際に吐出された前記流体を受ける領域である第2流体受け領域と、を備え、
    前記第1検査領域及び前記第1流体受け領域は、前記第2検査領域及び前記第2流体受け領域に対して、前記流体吐出処理を行う領域である流体吐出処理領域を亘った前記走査方向の他端側に配設されている、吐出検査装置。
  3. 前記第1流体受け領域は、前記走査方向の幅が前記第1検査領域以上に形成されており、
    前記第2流体受け領域は、前記走査方向の幅が前記第2検査領域以上に形成されている、請求項2に記載の吐出検査装置。
  4. 前記吐出ヘッドは、前記ノズル群として前記複数のノズルのうち前記走査方向に直交する方向に配列した複数のノズル列が形成されており、
    前記第1検査領域は、前記複数のノズル列のうち所定数のノズル列が対向可能である幅に形成され、
    前記第1流体受け領域は、前記複数のノズル列のうち残りのノズル列が対向可能である幅に形成され、
    前記第2検査領域は、前記残りのノズル列が対向可能である幅に形成され、
    前記第2流体受け領域は、前記所定数のノズル列が対向可能である幅に形成されている、請求項2又は3に記載の吐出検査装置。
  5. 前記吐出検出制御手段は、前記走査方向の一端側で前記吐出検査を行うと共に前記強制吐出処理を並行して行い、前記走査方向の他端側へ前記吐出ヘッドと前記第1及び第2検査領域とが相対的に移動する際に前記流体吐出処理を実行するか、前記走査方向の他端側で前記吐出検査を行うと共に前記強制吐出処理を並行して行い、前記走査方向の一端側へ前記吐出ヘッドと前記第1及び第2検査領域とが相対的に移動する際に前記流体吐出処理を実行するかのうち少なくとも一方を実行するよう前記ノズルから前記流体を吐出させる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の吐出検査装置。
  6. 前記吐出検出制御手段は、前記検査ノズル群が前記第1検査領域に対向した状態で該検査ノズル群のうちいずれかのノズルから前記流体を吐出させると共に、前記検査ノズル群以外のノズルのうち前記第1流体受け領域に対向しているノズルから前記流体を強制的に吐出させ、前記検査ノズル群が前記第2検査領域に対向した状態で該検査ノズル群のうちいずれかのノズルから前記流体を吐出させると共に、前記検査ノズル群以外のノズルのうち前記第2流体受け領域に対向しているノズルから前記流体を強制的に吐出させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吐出検査装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の吐出検査装置と、
    前記流体を吐出する吐出ヘッドと、
    を備えた流体吐出装置。
  8. 複数のノズルが形成され流体を該ノズルからターゲットに吐出する流体吐出処理を実行する吐出ヘッドにおける該流体の吐出状態を検査する吐出検査を実行し、前記複数のノズルのうち所定の検査ノズル群が対向した状態で前記吐出検査を実行し該ノズルから吐出された流体を受ける領域である第1検査領域と、前記吐出検査時に前記検査ノズル群以外のノズル群が対向可能に、前記第1検査領域と非接触で前記第1検査領域の所定の走査方向の一方側に隣接して配設され、前記ノズルから強制的に前記流体を吐出させる強制吐出処理を実行した際に吐出された前記流体を受ける領域である第1流体受け領域と、を備える吐出検査装置の制御方法であって、
    前記第1検査領域及び前記吐出ヘッドの少なくとも一方を前記走査方向に相対的に移動させ、前記第1検査領域に対向して配置された前記検査ノズル群のうちいずれかのノズルから流体を吐出させ、該流体を吐出したときから該流体が前記第1検査領域へ到達したときの間のいずれかで生じる状態変化を検出することにより前記流体の吐出状態を検査すると共に、前記検査ノズル群以外のノズルのうち前記第1流体受け領域に対向しているノズルから前記流体を吐出させるステップ、
    を含む吐出検査方法。
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