JP2009078483A - 呈色性化合物、色素化合物、および画像形成材料 - Google Patents
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Abstract
【構成】 電子受容性の呈色性化合物に結合した直鎖アルキル基の先にアミノ基を有することを特徴とする呈色性化合物であって、直鎖アルキル基の炭素数が3〜6のものからなる呈色性化合物。この呈色性化合物と没食子酸エチルとの化合物からなる色素化合物。この色素化合物は、消去可能な画像形成材料に適している。
【選択図】 なし
Description
この発明の化合物において、前記アルキル基が、炭素数3〜6のアルキル基であることが好ましい。
この発明の前記顕色剤が、没食子酸エステルであることが好ましい。
またこの色素は熱履歴の制御もしくは消去溶媒の接触により画像消去可能な画像形成材料に用いることができる。
以下、これらの発明の実施の形態について順次説明する。
本実施の形態の呈色性化合物は、いわゆるロイコ色素に属する化合物であって、ロイコラクトン環を有する呈色性の電子受容性化合物骨格に、末端にアミノ基を有する直鎖アルキル基を結合したものである。この呈色性化合物は、後述の顕色剤と反応させることによって発色させることができる。
本実施の形態の色素化合物は、前記呈色性化合物と、顕色剤とを反応させて得られるものである。以下、顕色剤について説明する。
本実施の形態の色素化合物は、前述の末端アミノ基置換直鎖アルキル基を有する電子受容性化合物に、顕色剤を作用させることによって得られる。
本実施の形態の顕色剤としては、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、ベンゾフェノン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等が挙げられ、これらを1種または2種以上混合して用いる。この中でも特に好適な材料を具体的に記載すると、没色子酸、及び没色子酸メチル、没色子酸エチル、没色子酸n−プロピル、没色子酸i−プロピル、没色子酸ブチルなど没色子酸エステル、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルなどジヒドロキシ安息香酸及びそのエステル、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノンなどヒドロキシアセトフェノン類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4‘−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4‘−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4‘−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4‘−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどヒドロキシベンゾフェノン類、2,4’−ビフェノール、4,4’−ビフェノールなどビフェノール類、4−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4−[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4‘−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(ベンゼン−1,2,3−トリオール)]、4,4‘−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(1,2−ベンゼンジオール)]、4,4’,4‘’−エチリデントリスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレントリス−p−クレゾールなど多価フェノール類が挙げられる。
これらの中で、特に適している材料は、没食子酸エステル系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系材料であり、さらに、没食子酸エチル、あるいは没食子酸プロピルなどが適している。
この顕色剤は、前記色素化合物に対して、ほぼ当モル分配合することが好ましい。
本実施の形態の画像形成材料は、上記色素化合物に、消色剤、及び必要に応じてさらに他の添加剤を配合したものであり、常温において発色しており、加熱もしくは溶媒で処理することによって消色するものである。以下、これらの材料について説明する。
消色可能な画像形成材料を構成するには、上記色素化合物に、消色剤(消去剤と呼ばれることもある)を添加して形成される。本実施の形態で用いる消色剤は、上記呈色性化合物および顕色剤のいずれか一方と優先的に相溶性を示す材料であり、画像形成材料が高温に加熱された場合、この消色剤が、呈色性化合物もしくは顕色剤と優先的に相溶することによって画像形成材料を無職化するものである。
かかる消色剤としては、ステロール化合物、コール酸、リトコール酸、テストステロン、コルチゾン、ヒドロキシル基含有脂環式化合物などを挙げることが出来る。これらの消色剤(消去剤)としては、例えば特開平10−088046号公報に記載されているものを用いることができる。
上記色素を用いた消去可能トナーにおいては、必要に応じて、定着性を制御するためのワックス類などを配合してもよい。本発明に用いるワックス類としては、高級アルコール、高級ケトン、高級脂肪族エステルからなる成分で構成されていることが好ましく、酸価で規定するならば10以下が好ましい。また、これらは、重量平均分子量が102〜104のものが好ましく用いられる。このような範囲であるならば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリブチレン、低分子量ポリアルカンなどを用いることもできる。これらの添加量は0.5〜10重量部が好ましく用いられる。
上記本実施の形態の画像形成材料は、様々な形態で使用することができる。たとえば、サーマルプリンターのインク;インクジェットプリンターのインク;コピー機(PPC)、レーザービームプリンター、ファックスなどのトナー;スクリーン印刷や活字印刷などの印刷インク;ボールペンや万年筆などの筆記用具のインクとして用いることができる。サーマルプリンターのインクは、呈色性化合物、顕色剤、消色剤、ワックスなどを混合してプラスチックシートに塗布して使用される。インクジェットプリンターのインクは、呈色性化合物、顕色剤、消色剤などを溶媒に分散させて使用される。トナーは、呈色性化合物、顕色剤、消色剤、バインダーなどを含む組成物を粉砕することにより調製される。この場合、代表的なバインダーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂などが挙げられる。
この画像形成材料で形成した画像は、加熱することによって消色することができ、画像を形成した紙の再利用を可能にする。
アルキル直鎖の先端にアミノ基を有する呈色性化合物を、下記化学式2で示す方法により合成した。
得られた化合物は、元素分析の結果、C32H38N4O3の分子式を有するものであり、その分子量は526.68の淡黄色の粉末であった。
この化合物について、LC−MS分析(液体クロマトグラフィーマススペクトル分析)、及びIR(赤外吸収スペクトル)、NMRスペクトルで分析した。その結果、LC−MS分析では、親ピークが527であった。また、IR分析では、3420cm−1(ブロードNH2)、1757cm−1(C=O:ロイコラクトン環のカルボニル)などの特徴のあるピークが検出された。
また、NMR分析の結果は以下の通りであった。
1H-NMR TMS基準 ppm
1.1 (m, 2H x 2, −OCH2−CH 2−CH 2−CH2−NH2)
1.1 (t, 3H x 2, J=7.0Hz)
1.2 (t, 3H x2, J=7.0Hz) :インドール環のN−エチル基に由来
2.4 (s, 3H) :インドール環のメチル基に由来
3.1 (q, 2H x2, J=7.0Hz) : ジエチルアミノ基に由来
3.2 (m, 2H x2, インドール環 N−CH 2、 CH 2−NH2)
2.2 (s, 3H, CH3)
4.1(q, 2H,O−CH2)
6.1−8.8(s, d, dd, mなどCH= x10)
13C{1H}
NMR TMS基準 ppm
11.2, 12.3, 14.7 = CH3 x4 内1本が等価
24.9, 25.5, 36.9, 43.5, 66.8, 67.0 = CH2 x7 内1本が等価
91.4 ラクトン環の4級炭素
95.9〜168.2 芳香環の炭素は19。内3級炭素x10, 4級炭素x9
95.9, 102.6, 108.9, 118.7, 120.1, 121.1,
123.3, 131.4, 133.4, 154.1 : 3級炭素
108.9, 111.7, 119.2, 125.9, 134.1, 134.9,
149.7, 158.4, 168.2 : 4級炭素
172.7
ラクトン環のC=O炭素
7-[2-(4-Amino-butoxy)-4-diethylamino-phenyl]-7-(1-ethyl-2-methyl-1H-indol-3yl)-7H-furo[3,4-b]pyridin-5-oneであることが確認できた。
この色素の系に、5%のアセトンを加えると同様に消色した。アセトン含有率と吸光度の関係を測定した。その結果を、図1に示す。
上記実施例において、直鎖アルキル基の先端に導入したアミノ基に代えて、水酸基を有する呈色性化合物を、下記化学式4に示す方法により合成した。
得られた化合物は、元素分析の結果、分子式がC32H37N3O4であり、分子量が527.67の白色粉末であった。
その結果、LC−MS分析では、親ピークが528であった。また、IR分析の結果、3438cm−1(ブロードOH)、1759cm−1(C=O:ロイコラクトン環のカルボニル)などの特徴のあるピークが検出された。
また、NMR分析の結果は以下の通りであった。
1H-NMR TMS基準 ppm
1.04〜1.09 (m, 4H, −OCH2−CH 2−CH 2−CH2−OH)
1.06 (t, 6H , J=7.0Hz, CH2 x2 : ジエチルアミノ基)
1.2 (t, 3H, J=7.0Hz, CH3)
1.2 (t, 3H x2, J=7.0Hz) :インドール環のN−エチル基に由来
2.4 (s, 3H) :インドール環のメチル基に由来
3.1 (q, 2H x2, J=7.0Hz) : ジエチルアミノ基に由来
3.2 〜3.3(m, 2H , インドール環 N−CH 2、 CH 2−NH2)
3.6 (m, 2H, CH2OH)
4.1 (m, 3H,O−CH2, OH)
6.1−8.8(s, d, dd, mなどCH= x10)
13C{1H}
NMR TMS基準 ppm
12.3, 12.3, 14.7 = CH3 x3内1本が等価
24.8, 28.5, 36.9, 43.5, 60.1, 67.1 = CH2 x7 内1本が等価
91.4 ラクトン環の4級炭素
95.8〜168.2 芳香環の炭素は19。内3級炭素x10, 4級炭素x9
95.8, 102.6, 108.9, 118.7, 120.1, 121.1,
123.2, 131.4, 133.4, 154.0 : 3級炭素
108.9, 111].7, 119.2, 125.9, 134.1, 134.9,
149.7, 158.4, 168.2 : 4級炭素
172.8
ラクトン環のC=O炭素
7-[4-Diethylamino-2-(4-hydroxy-butoxy)-phenyl]-7-(1-ethyl-2-methyl-1H-indol-3yl)-7H-furo[3,4-b]pyridin-5-oneであることが確認できた。
上記実施例1と同様にして、下記表1に示すように、直鎖アルキル基の炭素数を変更して合成した呈色性化合物、比較のためのヒドロキシアルキル基含有化合物を合成しその特性を評価した。また併せて直鎖アルキル基を持たないロイコ色素化合物について特性の評価を行った。
表1において、各種ロイコ色素を「CnNH2」のように略すことがある。これは、電子受容性の呈色性化合物に、炭素数nの直鎖アルキル基が結合しており、その末端にアミノ基が結合していることを表している。また、「BlueC5OH」は、下記化学式5のロイコ色素化合物の骨格に炭素数の直鎖アルキル基が結合しており、その末端に水酸基が結合していることを表している。
上記の結果から、炭素数5のアルキル基を有する化合物が、EG結晶を溶解させる際に有利な長さであると推定できる。
上記C4の色素[MW.526.68]を46.65g、顕色剤EG(没食子酸エチル)[MW:198.17]を22g、ポリスチレンブタジエン共重合樹脂を997g、電荷調整剤としてLR147(日本カーリット)、ポリプロピレンワックス55gを混合し、ニーダーで混錬した。混錬物を冷却し、粗粉砕後、ジェットミルで微粉砕し、分級して10ミクロン前後の青色粉体である画像形成材料を得た。粉体濃度をミノルタの色彩色差計で測定したところ0.85であり十分な濃度を示した。この粉体をアセトンにつけると消色したので、消去可能なトナーとして使用できることが確認できた。粉体濃度は予想より小さかった。
前記実施例1で得られた呈色性化合物を用いて、発色の温度依存性を調べた。図4は没食子酸エチル(Ethyl Gallate、EG)と2,4-Dhydroxybenzophenon(DHBP) の2つの顕色剤を用いて発色させることによって、アミノ基の直鎖の長さを変えたロイコ色素による発色の温度依存性を測定した。
この結果より、いずれの顕色剤を用いた場合でも、温度上昇で急速に消色したが、EGを用いた場合のほうが、20K(ケルビン)ほど、高温領域でも発色することが明かとなった。
この結果から、EGの場合には直鎖の長さで炭素数5のものが、炭素数4もしくは炭素数6のものより発色していることから適度な長さが必要であり、顕色剤の構造の異なるDHBPの場合には炭素数4のものと、炭素数5のものがほぼ同じということから、直鎖アミノ基は発色において重要な役割を果たしていることが推定される。ロイコ色素の発色ではフェノール性水酸基がロイコラクトン環のCOに接近し、水素結合すると考えられ、色素と顕色剤との間で、少なくとも二箇所の相互作用があることが判明した。
前記数種類の新規ロイコ色素で最も発色したC5NH2を用いて、今度は顕色剤を変えてトルエン単独溶媒中で評価した。用いた顕色剤は下記に示すベンゾエイト系で、3,4,5−位にOH基があるのがEGである。EGのみ1桁少ない濃度で実施してこの値になることから性能の差が極めて大きいことが定量的に分かる。ロイコ色素の発色率は非線形の濃度依存性があるので複雑だが、発色しにくかった2,6−位や4−位の顕色剤は濃度を大きくしてもあまり発色しなかった。このグラフ上では4−の場合に4倍量も入れて測定している。2,6−は10倍量(0.1mol/l)入れても発色しなかった。
2,6−ジヒドロキシエチルベンゾエイト
2,4−ジヒドロキシエチルベンゾエイト
3,5−ジヒドロキシエチルベンゾエイト
4−ヒドロキシエチルベンゾエイト
3,4−ジヒドロキシエチルベンゾエイト
3,4,6−トリヒドロキシエチルベンゾエイト
3,4−ジヒドロキシエチルベンゾエイトを用いた色素の濃度と発色の関係を調べた。その結果を図5に示す。
実施例1の色素化合物において、顕色剤である没食子酸エチルに代えて、没食子酸プロピルを用いて色素化合物を形成した。
その結果、濃度1x10−3mol/lで、25℃で吸光度が1.32であることが確認された。これはEGに比較しても良い結果であった。
Claims (5)
- 末端アミノ置換直鎖アルキル基を有する電子受容性の呈色性化合物であることを特徴とする呈色性化合物。
- 前記アルキル基が、炭素数3〜6のアルキル基であることを特徴とする請求項1記載の呈色性化合物。
- 末端アミノ置換直鎖アルキル基を有する電子受容性の呈色性化合物と、顕色剤との反応物であることを特徴とする色素化合物。
- 前記顕色剤が、没食子酸エステルであることを特徴とする請求項3記載の色素化合物。
- 末端アミノ置換基直鎖アルキル基を有する電子受容性の呈色性化合物と顕色剤との反応物と、前記顕色剤を捕捉することのできる消色剤とを含むことを特徴とする画像形成材料。
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