JP2009078332A - 繊維複合研磨パッド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 研磨層を有する研磨パッドであって、該研磨層が下記(1)〜(2)、
(1)連通孔を主とした空隙を有し、空隙率が5〜45%、
(2)研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、負荷曲線における突出山部の断面積(A1)が5〜150μm・%、および、負荷曲線における突出谷部の断面積(A2)が5〜75μm・%、
を満たす研磨パッド。
【選択図】なし
Description
また、シリコンウエハ、液晶、ハードディスク、ガラスレンズなどにおいても、高集積化、高精度が進められており、研磨パッドに対しても、従来以上の平坦化を可能にしつつ、表面のスクラッチを低減し、研磨レートを高めること、および、研磨での安定性を向上させること、更には、長時間使用可能であることなどの高機能化が要求されている。
等の課題を有しており、市場から要求性能(更なる、平坦化効率の向上、ウエハ表面のスクラッチ低減、研磨での安定性や研磨パッドの寿命の向上等)を満足する不織布タイプの研磨パッドは未だ見出されていない。
また、陸地表面粗さ(Ra)が約0.01μmから約25μmの範囲、最高値対最低値粗さ(Rtm)が約2μmから約40μmの範囲、中心部粗さ深さ(Rk)が約1μmから約10μmの範囲、減少した最高値高さ(Rpk)が約0.1μmから約5μm範囲、減少した最低値高さ(Rvk)が約0.1μmから約10μmの範囲、最高値密度(Rsa)が約0.001から約2.0の範囲である研磨パッドが慣らし運転の前コンディショニング時間を改善することが知られている(特許文献16参照)。また、算術表面粗さ(Ra)が0.1〜15μmであり、10点平均高さ(Rz)が40〜150μmであり、中核粗さ深さ(Rk)が12〜50μmであり、減衰山高さ(Rpk)が7〜40μmである表面からなる化学的機械的研磨パッドが、大口径ウエハを被研磨体として化学的機械的研磨を行った場合、面内均一性及び平坦性に優れた被研磨面を与えうることが知られている(特許文献17参照)。しかしながら、特許文献16または特許文献17の研磨パッドにおいても、従来から用いられている発泡ポリウレタン或いは孔形成ポリウレタンを用いたものであり、これらの方法では前述したように、反応・発泡の均一化が困難である上、得られる発泡ポリウレタンの高硬度化にも限界があることから、被研磨面の平坦性や平坦化効率などの研磨特性が変動しやすいこと、更には、発泡構造が独立孔であるために研磨工程において使用される研磨スラリーや研磨屑がその空隙に侵入して目詰まりしやすく、研磨速度が低下したり、パッド寿命が短いなどの問題を抱えており、今日のデバイスの高集積化、高密度化に伴う微細化への対応には充分とは言い難く、改良の余地があった。
1.研磨層を有する研磨パッドであって、該研磨層が下記(1)〜(2)、
(1)連通孔を主とした空隙を有し、空隙率が5〜45%、
(2)研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、負荷曲線における突出山部の断面積(A1)が5〜150μm・%、および、負荷曲線における突出谷部の断面積(A2)が5〜75μm・%、
を満たす研磨パッドである。
2.研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、十点平均粗さ(Rz)が1〜100μmである上記1に記載の研磨パッドである。
3.研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、山谷平均間隔(Sm)が0.1〜20μmである上記1〜または2に記載の研磨パッドである。
4.50℃の温水で飽和膨潤させた時のJIS−D硬度が35〜70である上記1〜3のいずれか1に記載の研磨パッドである。
5.研磨層が繊維絡合体およびその内部に付与された高分子弾性体から主として構成され、かつ該繊維絡合体が0.01〜30μm2の平均断面積を有する極細繊維から主として構成されている上記1〜4いずれか1に記載の研磨パッドである。
6.研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、表面粗さが、0.01〜30μm2の平均断面積を有する極細繊維によって、主として形成されている請求項1〜5いずれか1項に記載の研磨パッド。
7.繊維絡合体と高分子弾性体の質量比率が90/10〜55/45である上記5または6に記載の研磨パッドである。
8.研磨パッドの研磨層の表面を番手が#50〜600のダイヤモンドトレーサーにてコンディショニングして得られる1〜7のいずれか1に記載の研磨パッド。
9.上記1〜8いずれか1に記載の研磨パッドを用いた化学的機械的研磨用パッドである。
10.上記1〜8いずれか1に記載の研磨パッドを用いたガラス研磨用、金属研磨用のいずれかに用いる研磨パッドである。
11.上記1〜8いずれか1に記載の研磨パッドをシリコンウエハ、半導体ウエハ、半導体デバイス、液晶部材および光学ガラスの表面、裏面および端面のいずれかの研磨に用いる研磨パッドである。
12.上記1〜8いずれか1に記載の研磨パッドをシリコンウエハ、半導体ウエハ、半導体デバイス、液晶部材および光学ガラスの一次研磨、二次研磨、仕上げ研磨、鏡面研磨のいずれかに用いる研磨パッドである。
従来の独立発泡構造を有する或いは発砲高分子弾性体の研磨パッドは、空隙が独立して存在するためパッド内部の空隙には吸水しづらく、研磨パッド表面のスラリーの保持が不均一となりやすい問題点があった。本発明の研磨パッドは連通孔を主とした空隙を有することで、スラリーの均一保持性や保持量、およびスラリーの更新性を高めることが出来る。更には、独立孔に比べ、研磨過程における表面構造が安定しやすい。連通孔の径としては、円換算での直径が1μm〜100μmの範囲が好ましく、特に1μm〜50μmが、スラリーを均一に保持でき、かつ、研磨層の表面構造が安定することからより好ましい。なお、ここで言う連通孔とは、空隙が連続して存在していることを指す。
但し、連通孔を有する従来からある湿式凝固ポリウレタンスポンジを表面層に配した湿式ポリウレタンスポンジタイプの研磨層は、一般に、空隙率が60〜80%である。しかしながら上記研磨層を用いた研磨パッドは、研磨中に硬度等のパッド特性が変化しやすくなって研磨安定性や研磨寿命が低下しやすくなる。更には、硬さが不足したり表面の凹凸が巨大になって平坦化性能が低下したり、目詰まりによって研磨性能を変化しやすくなる。
また、従来からの繊維と高分子弾性体からなる不織布タイプの研磨パッドは、一般に、太繊維からなる不織布を作成し、それに溶剤系PUを含浸付与した多孔質状ポリウレタン弾性体によって形成されており、シートの空隙率は凡そ60〜80%であることから、研磨過程での表面構造の変化が起き易くなって、研磨安定性や研磨寿命が低下しやすくなる。更には、硬さが不足したり表面の凹凸が巨大になって平坦化性能が低下したり、目詰まりによって研磨性能を変化しやすくなる。
以上の点からも本発明の研磨層は連通孔を主とした空隙を有し、かつ空隙率は5~45%であることの両方を満足することが重要である。
本発明の研磨層は、繊維絡合体およびその内部に付与された高分子弾性体から主として構成されることが好ましい。研磨層の空隙率は5〜45%であることが重要であるが、繊維絡合体と高分子弾性体から主として構成されていると、研磨過程で研磨層表面が磨耗して順次更新されても、表面の凹凸構造が安定化しやすい。また、後述するが、非多孔質状の高分子弾性体を高充填することが好ましい。また、高分子弾性体としては、高濃度でも低粘度であって、高充填しやすいことから、水性樹脂、特には水分散樹脂が好ましく用いられる。
なお、連通孔を主とした空隙(連通孔構造という場合もある)を有する研磨層の空隙率は、研磨層のスラリー保持量に影響を与える。研磨層の吸水率は、空隙率を変更することで調整することが出来、50℃の吸水率(50℃温水で研磨層を飽和膨潤させた状態)としては、5〜45%であることが好ましい。吸水率が5%未満の場合には、研磨時のスラリー保持量が少なくなって、研磨レートが低下し、またスラリーが均一に分布し難くなって研磨均一性が低下しやすい。吸水率が45%を超える場合には、研磨中に硬度等のパッド特性が変化しやすくなって研磨安定性や研磨寿命が低下しやすい。50℃の吸水率としては10〜40%がより好ましい。
また、本発明の研磨層は、50℃の温水で飽和膨潤させた時の50℃における貯蔵弾性率(E‘50℃−Wet)が80〜800MPaであることが好ましく、貯蔵弾性率(E‘50℃−Wet)が80MPa以上の場合には、パッドが変形し難いため平坦性や研磨レートが向上しやすい。また貯蔵弾性率(E‘50℃−Wet)を800MPa以下とすることで、脆くなり難いためスクラッチを抑制しやすくなる。そして100〜600MPaの範囲が特に好ましい。
従来から研磨パッドとして用いられている繊維絡合体と高分子弾性体からなる研磨層は、不織布の構造に起因した連通構造の空隙を有する場合、一般的に、その空隙率は概略50〜80%程度であり、その空隙率が大きいことに起因して吸水率が高く、水浸漬によって弾性率等の物性低下が起こりやすい傾向が有る。特に、極細繊維は太繊維に比べて非常に柔らかい特性を持つために、硬いパッドを得ることは更に困難となり、繊維絡合体と高分子弾性体からなる研磨層の50℃の温水で飽和膨潤させた時のD硬度を35〜70の範囲とすることは容易ではない。
また、図2に示したように、負荷曲線上で負荷長さ率(tp)の値の差が40%になり、且つ切断レベルの差が最小となるような2点(A、B)(ただし、該2点が複数対存在する場合には、負荷長さ率(tp)の値が最小である2点を採用する)を通る直線と、負荷長さ率0%を示す直線、および負荷長さ率100%を示す直線との交点をそれぞれ点Cおよび点Dとし、この点Cを通る切断レベルと負荷曲線との交点を点Eとし、負荷長さ率が0%となる負荷曲線上の点を点Fとし、線分CE、曲線EF、および線分FCで囲まれる面積と三角形CEGの面積が等しくなるような負荷長さ率0%を示す直線上の点Gを求めた際に、点Cと点Gの距離が上記の「突出山部高さ(Rpk)」であり、点Eの負荷長さ率(tp)が上記の「コア部の負荷長さ率(Mr1)」であり、三角形CEGの面積が上記の「突出山部の断面積(A1)」である。
また、点Dを通る切断レベルと負荷曲線との交点を点Hとし、負荷長さ率が100%となる負荷曲線上の点を点Iとした際に、線分DH、線分HI、および線分IDで囲まれる面積が上記の「突出谷部の断面積(A2)」である。
負荷曲線から上記した突出山部の断面積(A1)、突出山部高さ(Rpk)、コア部の負荷長さ率(Mr1)および突出谷部の断面積(A2)を得る方法は、例えば、JISB0601:1994などを参考にすることができる。
突出山部の断面積(A1)が5μm・%未満の場合には、スラリーの均一保持性やスラリーの保持量が低下する。また、研磨パッドと研磨対象物の接触面積が低下することで、研磨レートが低下する。突出山部の断面積(A1)が150μm・%を超える場合には、表面に巨大な凸部が多く存在することに起因して、平坦化性能が低下し、またスクラッチが増大する。
突出谷部の断面積(A2)が5μm・%未満の場合には、スラリーの均一保持性やスラリーの保持量が低下して、研磨レートが低下する。突出谷部の断面積(A2)が75μm・%を超える場合には、巨大な凹部が多数存在することから、平坦化性能が低下し、またスラリーの更新性が悪くなってスクラッチが増大する。突出山部の断面積(A1)は、10〜100μm・%であることが好ましく、更に10〜50μm・%であることがより好ましい。突出谷部の断面積(A2)は、10〜60μm・%であることが好ましく、更に10〜50μm・%であることがより好ましい。本発明の研磨層は、連通孔を主とした特定範囲の空隙率を有することで、更に好ましくは、繊維絡合体およびその内部に付与された高分子弾性体から主として構成された研磨層を有し、0.01〜30μm2の平均断面積を有する極細繊維によって、主として形成された上記表面粗さを有することによって、安定的に、特定範囲の表面構造(A1およびA2)を有しやすくなる。それによって、適度な表面凹凸形状とスラリーの保持性や更新性が一層高まって、研磨レート、研磨均一性、低スクラッチ性などの研磨特性やその安定性が一層良好となる。
本発明の研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、十点平均粗さ(Rz)が1〜100μmであることが好ましい。十点平均粗さ(Rz)とは表面粗さ曲線において、最大高さと最大低さの各10点の絶対値偏差の平均値を表す。十点平均粗さ(Rz)を1μm以上とすることで、研磨レートが向上し、スクラッチの抑制が可能となる。また、十点平均粗さ(Rz)を100μm以下とすることで、表面微細凹凸とし、巨大な凸部を減少することが可能となり、平坦化性が向上し、またスクラッチの発生を抑制し易い。十点平均粗さ(Rz)は5〜80μmがより好ましく、更に5〜50μmの範囲が特に好ましい。十点平均粗さ(Rz)はJIS B0601:1994等に規定される方法に準じて決定される。
なお、山谷平均間隔(Sm)はJIS B0601:1994に規定される方法に準じて決定される。
本発明の研磨パッドは、研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、局部山頂平均間隔(S)が0.01〜6μmを満足することが好ましい。局部山頂平均間隔(S)とは表面粗さ曲線において表面に存在する局部山頂間の平均距離で表す。局部山頂平均間隔(S)を0.01μm以上とすることで、スラリーの流れがスムーズとなり、スラリーの更新性が向上する。また、局部山頂平均間隔(S)を6μm以下とすることで、微細な凹凸が増加することから、スラリーの保持性が向上して、研磨レートや研磨均一性に優れる傾向がある。そして、0.1〜5μmの範囲が特に好ましい。
なお、局部山頂平均間隔(S)はJIS B0601:1994に規定される方法に準じて決定される。
また、研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、1mm2当たりの表面積が10mm2以上であることが好ましい。1mm2当たりの表面積を10mm2以上の場合には、表面の凹凸が増加することから、スラリーの保持性が向上して、研磨レートや研磨均一性に優れる。更に好ましくは、15mm2以上である。そして上記1mm2当たりの表面積は、測定長559μm×745μm当たりの表面粗さ曲線から求められる。
なお、研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、突出山部の断面積(A1)、突出谷部の断面積(A2)、十点平均粗さ(Rz)、山谷平均間隔(Sm)、局部山頂平均間隔(S)および1mm2当たりの表面積を本発明の特定範囲内にするためには特定の繊維構造、不織布構造および高分子弾性体の含浸構造等を後述した方法で製造することで可能となる。
更には、研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、突出山部の断面積(A1)を5〜150μm・%、および、突出谷部の断面積(A2)を5〜75μm・%、を同時に満たすことが難しくなる。特には、不織布の空隙に起因した凹凸が巨大になったり多くなったりして、平坦化性能が低下する場合が有る。また、繊維に起因した表面の凹凸が少ないために研磨時のスラリー保持性が低下して研磨レートが下がる場合がある。
また、極細繊維絡合体の空隙充填率が90%を越える場合には、工業的にシート内部へ高分子弾性体を付与することが難しくなることから、繊維が素抜けやすくなり、研磨時の安定性が低下し、脱落した繊維に砥粒が凝集した場合にはスクラッチの原因となる場合が有る。また、極細繊維絡合体の空隙充填率を35〜90%とするためには、具体的には、詳細は後述するが、繊維長10cm以上の極細長繊維束からなる繊維絡合体を使用することが好ましく、該繊維絡合体が高絡合状態または高収縮状態、さらには表面を加圧加熱処理とすることで達成することが出来る。なお、従来から提案されている研磨層としては、一般に、太繊維からなる不織布を用いており、また、提案されている不織布の空隙充填率は凡そ10〜30%(空隙率70%〜90%)であり、本発明の研磨層の空隙充填率が高いこと、即ち研磨層の空隙率が低いことが理解できる。
ガラス転移温度を50℃以上とすることで、或いは、吸水率を4%以下とすることで、50℃の温水で飽和膨潤させた時の50℃におけるD硬度を35〜70の範囲とし易い傾向がある。また、極細繊維絡合体は、同様の理由から、公定水分率を1.5%以下の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。なお、公定水分率とは、20℃、相対湿度65%における吸水率であり、例えば、綿;8.5%、レーヨン;11%、アセテート;6.5%、ナイロン6;2%、ポリエステル;0.4%、アクリル;2%などである。そして、上記吸水率は、水中に3日間飽和膨潤させた直後の吸水率である。
極細繊維成分を構成するポリマーの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度が77℃であり、吸水率が1%)、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度が67〜77℃であり、吸水率が1%)、スルホイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度が67〜77℃であり、吸水率が1〜4%)、ポリブチレンナフタレート(ガラス転移温度が85℃であり、吸水率が1%)、ポリエチレンナフタレート(ガラス転移温度が124℃であり、吸水率が1%)等の芳香族ポリエステル類およびその共重合体;およびテレフタル酸とノナンジオールとメチルオクタンジオール共重合ナイロン(ガラス転移温度が125〜140℃、吸水率が1〜4%)などの半芳香族ナイロンが挙げられる。これらのポリマーは単独で、または、二種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレートが、紡糸性などの製造性に優れ、得られる繊維複合研磨パッドの硬さ、耐水性、耐磨耗性を高めやすい等の点からも、好適である。また、PETおよびイソフタル酸変性PET等の変性樹脂は、長繊維絡合体の熱水処理時における収縮特性が良好で繊維絡合体の空隙充填率を高めやすい(研磨層の空隙率を45%以下にしやすい)ことから好ましく用いられる。
なお、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で、ガラス転移温度が50℃未満および/または吸水率が4%を超える熱可塑性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート共重合体等の芳香族ポリエステルや脂肪族ポリエステルおよびその共重合体;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ナイロンおよびその共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類;エチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール;ポリウレタン系、ナイロン系エラストマーやポリエステル系エラストマーなどを併用しても構わない。なお、吸水率やガラス転移温度は測定方法によって多少異なる場合がある。
(1)極細繊維発生型繊維が水溶液による抽出除去処理時に収縮し、形成された極細繊維が捲縮して不織布が嵩高く緻密になることから、均一で高密度な極細繊維絡合体を得やすく、従って研磨層の空隙率を5〜45%となるように緻密な極細繊維絡合体を構成しやすい。
(2)抽出除去処理時に、極細繊維形成ポリマーや高分子弾性体の分解反応が実質的に起こらないために極細繊維および高分子弾性体の物性低下が起こりにくいことから、研磨層の研磨安定性に優れる。
(3)環境負荷が小さい。
ことから、好ましく用いられる。
前記PVA樹脂は、ホモPVAであっても共重合単位を導入した変性PVAであってもよいが、溶融紡糸性、水溶性、繊維物性の観点からは、変性PVAを用いることが好ましい。共重合単量体の種類としては、共重合性、溶融紡糸性および繊維の水溶性の観点からエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数4以下のα−オレフィン類;および、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類が好ましい。PVA樹脂中の共重合単位含有量は、1〜20モル%が好ましく、4〜15モル%がより好ましく、6〜13モル%がさらに好ましい。さらに、共重合単位がエチレンであると繊維物性が高くなるので、エチレン変性PVAが特に好ましい。エチレン変性PVA中のエチレン単位含有量は、好ましくは4〜15モル%、より好ましくは6〜13モル%である。
繊維ウェブは、公知の方法で製造することができ、特に限定はしないが、溶融紡糸と直結したいわゆるスパンボンド法によって製造された長繊維ウェブであることが、繊維の素抜けが少なく形態安定性が良好なことから研磨安定性に優れる点、および絡合性や収縮性が向上しすく、繊維絡合体の空隙率を低下させやすいこと等の点で好ましい。本発明において、長繊維ウェブを構成する長繊維とは、短繊維のように意図的に切断されていない繊維をいう。例えば、極細化する前の長繊維の繊維長は10mm以上が好ましい。技術的に製造可能で、かつ、物理的に切れない限り、数m、数百m、数kmの繊維長も含まれる。
スパンボンド法により繊維ウェブを製造するには、例えば、PVA樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂(極細繊維成分を構成するポリマー)とをそれぞれ別の押し出し機で溶融混練し、溶融した樹脂流を、複合ノズルを経て紡糸ヘッドに導きノズル孔から吐出する。吐出した複合長繊維を冷却装置により冷却した後、エアジェット・ノズル等の吸引装置を用いて目的の繊度となるように1000〜6000m/分の引き取り速度に相当する速度の高速気流により牽引細化させ、移動式の捕集面の上に堆積させる。必要に応じて堆積した長繊維を部分的に圧着して極細繊維発生型繊維からなる長繊維ウェブが得られる。繊維ウェブの目付は20〜500g/m2の範囲が繊維絡合体の均一性や工業的な取扱性の面から好ましい。
[(収縮処理前の面積−収縮処理後の面積)/収縮処理前の面積]×100%
で表される面積収縮率が35%以上、収縮処理後の目付けが、収縮処理前の目付けの1.2倍(質量比)になるまで行うのが好ましい。収縮の限度や工程性等を考慮すると、面積収縮率の上限は80%以下、目付の上限は4倍以下であることが好ましい。収縮を高めるには、公知の方法を用いれば良いが、極細繊維発生型繊維を構成する除去可能成分に共重合熱可塑性ポリマーを用いる方法、紡糸条件や延伸条件を適宜選択する方法などが挙げられる。特に、極細繊維発生型繊維の除去可能成分としてPVA樹脂を用いること、および、スパンボンド法で得られた長繊維ウェブを用いることが、高収縮を得やすいので好ましい。
さらに、収縮処理後の絡合不織布を構成する繊維の軟化点温度以上の温度で加熱ロールや加熱雰囲気下で加熱プレスすると、極細繊維絡合体の空隙充填率を35〜90%、研磨層の空隙率を5〜35%とすることが容易となる点で好ましい。
極細単繊維の平均断面積は、走査型電子顕微鏡で研磨パッドの断面および表面を観察する方法などで確認できる。
また、本発明の高分子弾性体は、実質的に架橋構造を有することが好ましい。架橋構造を有していない場合には、研磨中にパッドが変形して平坦化性能が低下し、経時的に変形して平坦化性能や研磨レート、研磨均一性が変動しやすい。
また、高分子弾性体の極細繊維への固着を均一にする目的で、高分子弾性体のマイグレーションを防止あるいは制御しても良い。マイグレーションの防止あるいは制御は、水分散体中の高分子弾性体の粒径を調整すること;高分子弾性体のイオン性基の種類や量を調整すること;1価または2価のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、ノニオン系乳化剤、会合型水溶性増粘剤、水溶性シリコーン系化合物などの会合型感熱ゲル化剤、または、水溶性ポリウレタン系化合物を併用することによって、40〜100℃程度での水分散安定性を低下させる方法により行うことができる。特に、高分子弾性体に、ノニオン系乳化剤および/または会合型水溶性増粘剤を含有させることが好ましい例として挙げられる。必要に応じて、高分子弾性体が表面に偏在するようにマイグレーションさせても構わない。
極細化された後の繊維絡合体に前記高分子弾性体を公知の方法で含浸付与することで、上記極細繊維束同士および極細繊維束内部の極細単繊維に接着させることができるが、特に、接着性を高め上記D硬度とすることができること、および研磨層の空隙率を5〜45%の範囲とすることが容易なことから、溶剤系の高分子弾性体に比べて高濃度な含浸付与(空隙率の低減)が可能な水系の高分子弾性体を付与することが好ましく、繊維絡合体を極細化した後、高分子弾性体を付与することが好ましく、更には、極細繊維化前の繊維絡合体で前記高分子弾性体を付与した後に繊維絡合体を極細化した後、再度、前記高分子弾性体を付与することが好ましい。高分子弾性体が繊維に接着しているとは、高分子弾性体と極細繊維が接着している部分を必ず有することを意味し、高分子弾性体が部分的に極細繊維に接着し、高分子弾性体と極細繊維との間に部分的に空間が形成されていてもよい。なお、高分子弾性体と繊維との接着性については、得られる研磨層の断面写真などによって確認することができる。
本発明の研磨パッドは、上記した研磨層1層のみからなる単層型研磨パッドであっても良い。この場合の研磨層(研磨パッド)の厚さとしては、0.8〜4.0mmの範囲であることが、研磨性能の安定性やパッドの製造コスト等の点で好ましい。
本発明の研磨層表面の十点平均粗さ(Rz)を1〜100μmとするためには、さらに山谷平均間隔(Sm)を0.1〜20μmとするためには、上記繊維絡合体を高絡合処理および高収縮処理した後に高分子弾性体を繊維束内部も含め高充填する方法を用い、更には、繊維絡合体と高分子弾性体の質量比率を90/10〜55/45として、極細繊維によって主として凹凸を形成することが好適である。
また、研磨対象となる物品の表面、裏面、端面のいずれかに用いても良い。更には、シリコンウエハ研磨用、半導体ウエハ研磨用、半導体デバイス研磨用、液晶部材研磨用、光学ガラス研磨用の一次研磨、二次研磨(調整研磨)、仕上げ研磨、鏡面研磨のいずれかに用いても良い。
そして、本発明の研磨パッドはコンディショニング後、研磨途中および研磨後(例えば24時間処理後あるいは300回研磨後)の表面状態が変化しにくく、研磨処理安定性に優れる。
上記のダイヤモンドドレッサーの番手が#50未満である場合には、本発明で規定する研磨表面を有する研磨層が得られにくくなり場合が有り、また#600を超える場合には、コンディショニングに時間がかかる傾向がある。ダイヤモンドドレッサーの番手としては、より好ましくは#100〜#400の範囲である。上記のコンディショニングの方法については特に制限はなく、従来よりCMP用研磨パッドをコンディショニングする際に採用される装置や条件を適用することがでる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、研磨層一層から研磨パッドは構成しており、また、実施例に記載した研磨パッド用シートおよび研磨パッドの物性評価は次の方法で実施した。なお、ことわりのない限り、比率は質量比率を指す。
(1)極細繊維絡合体および研磨パッドの空隙充填率、空隙率
酸化オスミウムで染色した研磨パッドの厚さ方向と平行な任意の断面を走査型電子顕微鏡(100〜300倍)で観察し、一定面積内に存在する極細繊維絡合体および研磨パッドの面積を画像処理して、極細繊維絡合体および研磨パッドの空隙充填率、或いは空隙率を算出した。また、極細繊維絡合体および研磨パッドの空隙充填率、或いは空隙率は、構成する繊維と高分子弾性体などの見掛け密度と質量比率から、面積比率を算出して、極細繊維絡合体および研磨パッドの各々について空隙充填率を求めることも出来る。なお、厚さ方向と平行な方向および厚さ方向に垂直な方向に偏らないように10以上の断面を観察し、その平均値を算出した。
(2)極細繊維への高分子弾性体の接着状態
酸化オスミウムで染色した繊維複合研磨パッドの任意断面を走査型電子顕微鏡(倍率100〜300倍)で10ケ所以上観察し、高分子弾性体の極細繊維束同士および極細繊維束内の極細単繊維への固着状態を評価した。
(3)見掛け密度
JIS K 7112に準拠して、研磨パッドの見掛け密度を測定した。
(4)熱可塑性樹脂のガラス転移温度
示差走査熱量計(TA3000、メトラー社製)を用いて、窒素中、樹脂を昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その後昇温速度10℃/分で100℃まで降温した後、再度、昇温速度10℃/分で300℃まで昇温した過程での偏曲温度からガラス転移温度を求めた。
(5)50℃の温水で膨潤させた後のD硬度
研磨パッドを縦4cm×横10cm程度に切り抜き、50℃温水中でディップ−ニップを3回繰り返した後、50℃温水に3日間浸漬した後、50℃温水から取り出した直後に最表面の余分な水滴等をJKワイパー150−S(株式会社クレシア製)にて拭き取った後のものを50℃の温水で飽和膨潤させたサンプル(以下、水膨潤サンプルという場合がある)のD硬度(D50℃−WET)をJIS K 7215に準じて同様にして測定した。
(6)研磨パッドの50℃の温水で飽和膨潤させた後の吸水率
研磨パッドを縦4cm×横10cm程度に切り抜き、20℃、65%RHの条件下に3日間放置したものを乾燥サンプルとし、50℃温水中でディップ−ニップを3回繰り返した後、50℃温水に3日間浸漬した後、50℃温水から取り出した直後に最表面の余分な水滴等をJKワイパー150−S(株式会社クレシア製)にて拭き取った後のものを50℃の温水で飽和膨潤させたサンプル(以下、水膨潤サンプルという場合がある)とした。乾燥サンプルと水膨潤サンプルの質量を測定し、下記式に従って吸水率を求めた。
吸水率(%)=((水膨潤サンプルの質量−乾燥サンプルの質量)/乾燥サンプルの質量)×100
(7)研磨パッドの表面状態
以下の実施例または比較例において得られた研磨パッドをCMP研磨装置(株式会社野村製作所製「PP0−60S」)に設置し、三菱マテリアル株式会社製ダイヤモンドドレッサー「MEC325L」(番手:#325)を用いて、圧力177kPa、ドレッサー回転数110回転/分の条件で蒸留水を120mL/分の速度で流しながら18分間研磨パッド表面(溝を形成した面)を研削してコンディショニングを行った後の研磨パッドを研磨装置から取り外して室温で乾燥した後、キーエンス社製カラーレーザー顕微鏡「VK−8500」を用いて、X,Y方向の分解能が倍率400倍、スポット径2.59μm、Z方向の分解能が0.01μmにて、研磨表面から評価長さ0.5mmの粗さ曲線を得た。得られた曲線から、負荷曲線における突出山部の断面積(A1)、負荷曲線における突出谷部の断面積(A2)、十点平均粗さ(Rz)、局部山頂平均間隔(S)、山谷平均間隔(Sm)、1mm2当たりの表面積を求めた。なお、偏らないように10以上の表面を観察し、その平均値を算出した。
(8)表面における極細単繊維の平均断面積
以下の実施例または比較例において得られた研磨後の研磨パッドを研磨装置から取り外して室温で乾燥した後、酸化オスミウムで染色した研磨パッドの研磨層表面を走査型電子顕微鏡(100〜300倍)で観察し、極細単繊維の断面積を求めた。なお、偏らないように10以上の断面を観察し、その平均値を算出し平均断面積を求めた。
(1)研磨レートおよび研磨均一性の評価
研磨前後のシリコンウエハの膜厚を、ウエハ面内で49点測定し、各点での膜厚を測定してそれらの平均値をもって研磨レート(nm/分)を求めた。49点の研磨レートの平均値を研磨レート(R)とし、また、49点の研磨レートの標準偏差(σ)を求め、下式(式1)により求めた不均一性から、研磨均一性を評価した。
不均一性(%)=(σ/R)×100 (式1)
なお、不均一性の値が小さいほど、研磨均一性に優れていることを示す。
また、銅プレートまたはベアシリコンウエハについても、同様にして評価した。
(2)研磨安定性および研磨寿命の評価
上記した(1)の研磨レートと研磨均一性評価後に、25℃で研磨パッドを湿潤状態で24時間放置し、その後、再度シーズニングを行い、研磨レートと研磨均一性を評価した(24時間放置後の研磨レート、研磨均一性)。その後引き続き、連続してシーズニングと研磨を交互に繰り返し、300回研磨した時の研磨レートと研磨均一性を評価した(300回連続研磨後の研磨レート、研磨均一性)。
(3)スクラッチ数の評価
研磨した研磨物について、KLA−Tencor社製「Surfscan SP1」を用いて、研磨後の研磨物表面に存在する0.16μm以上の大きさの傷の数を測定することにより求めた。
得られた研磨パッドは、D硬度(D50℃−Dry)が62であり、
また、高分子弾性体が極細繊維束同士の一部および極細繊維束内部の極細単繊維同士の一部を互いに非多孔質上に接着しており、そして、該研磨パッドの吸水率は20%、50℃の温水で飽和膨潤させた時のD硬度(D50℃−WET)は60であった。また圧縮率と圧縮回復率はそれぞれ6%と93%であった。
次に、プラテン回転数50回転/分、ヘッド回転数49回転/分、研磨圧力35kPaの条件において、キャボット社製研磨スラリーSS12を120ml/分の速度で供給しつつ酸化膜表面を有する直径6インチのシリコンウエハを100秒間研磨した。研磨後のシリコンウエハ表面の研磨レートと研磨均一性を評価した(初期の研磨レート、研磨均一性、スクラッチ)。また、その後、25℃で研磨パッドを湿潤状態で24時間放置した後に、再度シーズニングを行い、酸化膜表面を有する直径6インチのシリコンウエハを100秒間研磨した時の研磨レートと研磨均一性を評価した(24時間放置後の研磨レート、研磨均一性、スクラッチ)。その後引き続き、連続してシーズニングと研磨を交互に繰り返し、300回研磨した時の研磨レートと研磨均一性を評価した(300回研磨後の研磨レート、研磨均一性、スクラッチ)。結果を表1に示した。
研磨後の研磨パッドを研磨装置から取り外して室温で乾燥した後、研磨パッドを構成する極細単繊維の平均断面積が7.0μm2、極細繊維束が研磨パッドの厚さ方向と平行な任意の表面において、1750本/mm2の密度で存在し、研磨パッドの空隙率が28%(極細繊維絡合体の空隙充填率は47%)で連通孔構造を有するものであった。
また、研磨パッドの表面から得られる表面粗さ曲線において、突出山部の断面積(A1)は15μm・%、突出谷部の断面積(A2)は30μm・%、十点平均粗さ(Rz)は30μm、局部山頂平均間隔(S)が3.5μm、山谷平均間隔(Sm)が17μmであった。
繊維を1.5デシテックスのポリエステル系繊維とし、極細繊維化工程を行わない以外は実施例1と同様にして繊維複合研磨パッドを作成した。
実施例1と同様に研磨性能を評価した結果を表1、表2に示すが、研磨レートやスクラッチに劣る傾向であった。また、繊度が大きいことから高性能な平坦化は困難なことが懸念される。
研磨パッドの空隙率は35%、繊維絡合体の平均断面積が330μm2、50℃の温水で飽和膨潤させた時のD硬度がD62であった。また、突出山部の断面積(A1)は90μm・%、突出谷部の断面積(A2)は95μm・%、十点平均粗さ(Rz)は110μm、局部山頂平均間隔(S)が3.7μm、山谷平均間隔(Sm)が15μmであった。
繊維複合研磨パッドの研磨に用いるスラリーを、昭和電工製研磨スラリーGPL−C1010(セリア系スラリー)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。研磨性能を評価した結果を表1に示した。
繊維複合研磨パッドの研磨に用いる酸化膜表面を有するシリコンウエハを銅プレートに変更し、研磨に用いるスラリーをフジミインコーポレーテッド製PL7101(35%過酸化水素水混合量=スラリー1000gあたり30cc)、スラリー流量を200ml/分に変更した以外は、実施例1と同様に行った。研磨性能を評価した結果を表1に示した。
繊維複合研磨パッドの研磨に用いる酸化膜表面を有するシリコンウエハをベアシリコンウエハに変更した以外は、実施例1と同様に行った。研磨性能を評価した結果を表1に示した。
ダイヤモンドドレッサー「MEC325L」(番手:#325)を、「MEC200L」(番手:#200)に変更した以外は実施例1と同様に行った。研磨パッドの表面から得られる表面粗さ曲線において、突出山部の断面積(A1)は12μm・%、突出谷部の断面積(A2)は33μm・%、十点平均粗さ(Rz)は25μm、局部山頂平均間隔(S)が3.5μm、山谷平均間隔(Sm)が14μmであった。研磨性能を評価した結果を表1に示した。
高分子弾性体を極細繊維化後に含浸する以外は、実施例1と同様に行った。繊維絡合体と高分子弾性体の質量比率を80/20であり、研磨パッドの表面から得られる表面粗さ曲線において、突出山部の断面積(A1)は30μm・%、突出谷部の断面積(A2)は40μm・%、十点平均粗さ(Rz)は60μm、局部山頂平均間隔(S)が3.2μm、山谷平均間隔(Sm)が13μmであった。また、極細繊維束が研磨パッドの厚さ方向と平行な任意の表面において、1350本/mm2の密度で存在し、研磨パッドの空隙率が40%で連通孔構造を有するものであった。また、高分子弾性体が極細繊維束同士の一部および極細繊維束内部の極細単繊維同士の一部を互いに非多孔質状に接着していた。
該研磨パッドの吸水率は32%、50℃の温水で飽和膨潤させた時のD硬度(D50℃−WET)はD50であった。研磨性能を評価した結果を表1に示した。
極細繊維化後に含浸する高分子弾性体を、水分散型のカルボキシル基を含有し架橋構造を有する無黄変型のポリヘキサンカーボネート系ポリウレタン弾性体にカルボジイミド系架橋剤を3部添加したポリウレタンに変更した以外は実施例1と同様に行った。研磨パッドの表面から得られる表面粗さ曲線において、突出山部の断面積(A1)は60μm・%、突出谷部の断面積(A2)は60μm・%、十点平均粗さ(Rz)は80μm、局部山頂平均間隔(S)が3.0μm、山谷平均間隔(Sm)が12μmであった。研磨性能を評価した結果を表1に示した。
<繊維絡合体の見掛け密度の変更>
長繊維絡合不織布の面積収縮率を行わず見掛け密度0.35g/cm3の繊維絡合体を用いた以外は実施例1と同様に行い、繊維絡合体と高分子弾性体の質量比率が50/50で見掛け比重が0.55g/cm3、空隙率が55%(繊維絡合体の空隙充填率は20%)、50℃の温水で飽和膨潤させた時のD硬度がD30の研磨パッドを得た。研磨パッドの表面から得られる表面粗さ曲線において、突出山部の断面積(A1)は180μm・%、突出谷部の断面積(A2)は120μm・%、十点平均粗さ(Rz)は120μm、局部山頂平均間隔(S)が4.5μm、山谷平均間隔(Sm)が22μmであった。研磨性能を評価した結果を表1に示した。
以下追加しました。
Claims (12)
- 研磨層を有する研磨パッドであって、該研磨層が下記(1)〜(2)、
(1)連通孔を主とした空隙を有し、空隙率が5〜45%、
(2)研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、負荷曲線における突出山部の断面積(A1)が5〜150μm・%、および、負荷曲線における突出谷部の断面積(A2)が5〜75μm・%、
を満たす研磨パッド。 - 研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、十点平均粗さ(Rz)が1〜100μmである請求項1に記載の研磨パッド。
- 研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、山谷平均間隔(Sm)が0.1〜20μmである請求項1または2に記載の研磨パッド。
- 50℃の温水で飽和膨潤させた時のJIS−D硬度が35〜70である請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨パッド。
- 研磨層が繊維絡合体およびその内部に付与された高分子弾性体から主として構成され、かつ該繊維絡合体が0.01〜30μm2の平均断面積を有する極細繊維から主として構成されている請求項1〜4いずれか1項に記載の研磨パッド。
- 研磨層の表面から得られる表面粗さ曲線において、表面粗さが、0.01〜30μm2の平均断面積を有する極細繊維によって、主として形成されている請求項1〜5いずれか1項に記載の研磨パッド。
- 繊維絡合体と高分子弾性体の質量比率が90/10〜55/45である請求項5または6に記載の研磨パッド。
- 研磨パッドの研磨層の表面を番手が#50〜600のダイヤモンドトレーサーにてコンディショニングして得られる請求項1〜7に記載の研磨パッド。
- 請求項1〜8いずれか1項に記載の研磨パッドを用いた化学的機械的研磨用パッド。
- 請求項1〜8いずれか1項に記載の研磨パッドを用いたガラス研磨用、金属研磨用のいずれかに用いる研磨パッド。
- 請求項1〜8いずれか1項に記載の研磨パッドをシリコンウエハ、半導体ウエハ、半導体デバイス、液晶部材および光学ガラスの表面、裏面および端面のいずれかの研磨に用いる研磨パッド。
- 請求項1〜8いずれか1項に記載の研磨パッドをシリコンウエハ、半導体ウエハ、半導体デバイス、液晶部材および光学ガラスの一次研磨、二次研磨、仕上げ研磨、鏡面研磨のいずれかに用いる研磨パッド。
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JP5143518B2 (ja) | 2013-02-13 |
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