JP2011042010A - 研磨パッドの表面加工方法およびそれによって得られる研磨パッド - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の起毛層を安定化して製造することが可能となり、得られる研磨パッドはスクラッチの発生が少なく、高い研磨レートを有し、ブラシによるコンディショニングとの組み合せに適する研磨パッドを提供する。
【解決手段】長繊維絡合体と高分子弾性体とから形成された研磨パッドの表面加工方法において、砥粒番手が40番〜80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理を行い、研削処理後の表面が、平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層を形成することを特徴とする研磨パッドの表面加工方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は研磨パッドの表面加工方法に関する。詳しくは、平坦化や鏡面化が行われる各種デバイス、各種基板等の各種製品、例えば、半導体基板、半導体デバイス、化合物半導体デバイス、化合物半導体基板、化合物半導体製品、LED基板、LED製品、シリコンウエハ、ハードディスク基板、ガラス基板、ガラス製品、金属基板、金属製品、プラスチック基板、プラスチック製品、セラミック基板、セラミック製品等を研磨するための研磨パッド及びその製造方法に関する。より詳しくは、ドレッシングブラシを用いて不織布タイプのパッド表面の異物や汚れを取り除きながら、かつ十分な研磨レートを得る研磨パッドを製造するための研磨パッドの表面加工方法およびその表面加工方法によって得られる研磨パッドに関する。
近年、集積回路の高集積化及び多層配線化に伴い、集積回路が形成される半導体ウエハには、高精度の平坦性が求められている。
半導体ウエハを研磨するための研磨法としては、ケミカルメカニカル研磨(CMP)が知られている。CMPは、被研磨基材表面を、砥粒のスラリーを滴下しながら研磨パッドにより研磨する方法である。また、シリコンウエハ、ハードディスク基板等の研磨法としては、研磨効率を重視することから、砥粒のスラリーを、被研磨基材と研磨パッド間に供給する研磨方法が一般的である。
下記特許文献1〜4は、2液硬化型ポリウレタンを発泡成形することによって製造される、独立気泡構造を有する高分子発泡体からなる、CMPに用いられる研磨パッドを開示する。このような研磨パッドは、後述する不織布タイプの研磨パッドに比べて剛性が高いことから、高精度の平坦性が要求される半導体ウエハの研磨などに好ましく用いられている。
独立気泡構造を有する高分子発泡体からなる研磨パッドは、例えば、2液硬化型ポリウレタンを注型発泡成形することにより製造される。このような研磨パッドは比較的高い剛性を有するために、研磨時に、被研磨基材の凸部に対して選択的に荷重が掛かりやすくなり、その結果、研磨レート(研磨速度)が比較的高くなる。しかしながら、凝集した砥粒が研磨面に存在する場合には、凝集した砥粒に対しても荷重が選択的に掛かるために、研磨面に傷(スクラッチ)が付きやすくなる。特に、非特許文献1に記載されているように、スクラッチが付き易い銅配線を有する基材や、界面の接着性が弱い低誘電率材料を研磨する場合には、傷や界面剥離が特に発生しやすくなる。また、注型発泡成形においては、高分子弾性体を均質に発泡させることが難しいために、被研磨基材の平坦性や、研磨時の研磨レートがばらつきやすい。
一方、別タイプの研磨パッドとして、特許文献5〜14は、ポリウレタン樹脂を不織布に含浸させ、湿式凝固させることにより得られる不織布タイプの研磨パッドを開示する。不織布タイプの研磨パッドは柔軟性に優れている。そのために、被研磨基材の研磨面に凝集した砥粒が存在する場合には、研磨パッドが変形することにより、凝集した砥粒に荷重が選択的に掛かることを抑制する。しかしながら、不織布タイプの研磨パッドは、経時的に研磨特性が変化しやすい傾向があり、精密な平坦化加工には使い難い問題点を有する。また、柔軟すぎると、研磨パッドが被研磨基材の表面形状に追従して変形するために、高い平坦化性能(被研磨基材を平坦にする特性)が得られ難い問題や、繊度が2〜10デシテックスと大きいために、局部的な応力集中が避けられない問題を有する。
このような不織布タイプの研磨パッドにおいて、近年、より高い平坦化性能を得ること等を目的とする、極細繊維束から形成される不織布を用いて得られる不織布タイプの研磨パッドが知られている(例えば、下記特許文献15〜18)。具体的には、例えば、特許文献15には、平均繊度が0.0001〜0.01dtexのポリエステル極細繊維束が絡合してなる不織布と、その不織布内部空間に存在するポリウレタンを主成分とした高分子弾性体とから構成されるシート状物からなる研磨パッドが記載されている。このような研磨パッドによれば、従来よりも高精度な研磨加工が実現されることが記載されている。
一方、不織布タイプの研磨パッドは、表面に形成された毛羽内部に砥粒や研磨屑が溜まり易く、長時間使用した場合には、スクラッチが発生したり、研磨レートが変化したりするなどの問題が発生する。これに対して、下記特許文献19にはドレッシングブラシを用いてパッド表面の異物や汚れを取り除く方法が提案されている。しかし、この様な方法によればパッドの目立てが十分に行われないため、十分な研磨レートが得られない問題が発生する。
特開2000−178374号公報 特開2000−248034号公報 特開2001−89548号公報 特開平11−322878号公報 特開2002−9026号公報 特開平11−99479号公報 特開2005−212055号公報 特開平3−234475号公報 特開平10−128674号公報 特開2004−311731号公報 特開平10−225864号公報 特表2005−518286号公報 特開2003−201676号公報 特開2005−334997号公報 特開2007−54910号公報 特開2003−170347号公報 特開2004−130395号公報 特開2002−172555号公報 特開2002−307292号公報 柏木正弘ら、「CMPのサイエンス」、株式会社サイエンスフォーラム、1997年8月20日、p.113〜119
本発明は研磨パッドの初期表面に一定の繊維束の起毛層を形成するパッドの表面加工方法およびその表面加工方法によって得られるパッドを提供することを目的とし、さらにドレッシングブラシを用いてパッド表面の異物や汚れを取り除きながらかつ十分な研磨レートを得ることを目的とする。
本発明者らは、極細繊維からなる繊維絡合体と特定のガラス転移温度、貯蔵弾性率および吸水率を有する高分子弾性体とからなる研磨パッド表面を特定の砥粒番手、加工条件でバフィング研削することにより目的のパッドが得られることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、(1) 長繊維絡合体と高分子弾性体とから形成された研磨パッドの表面加工方法において、砥粒番手が#40番〜#80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理を行い、研削処理後の表面が、平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層を形成することを特徴とする研磨パッドの表面加工方法である。
また、(2) 起毛層の極細繊維束を構成する極細繊維同士が高分子弾性体で実質的に接着して一体化されている(1)の研磨パッドの表面加工方法である。
(3) 研磨パッドの見掛け密度が0.3〜0.8g/cm3であってD硬度が30〜50である(1)または(2)の研磨パッドの表面加工方法。
(4) 長繊維絡合体と高分子弾性体の存在割合が質量比で55/45〜95/5である(1)〜(3)いずれかの表面加工方法。
(5) 高分子弾性体のガラス転移温度が−10℃以下、23℃および50℃における貯蔵弾性率が90〜900MPaならびに50℃で吸水飽和させたときの吸水率が0.2〜5質量%である(1)〜(4)いずれかの研磨パッドの表面加工方法。
(6) 極細繊維の平均繊度が0.01〜0.8dtexである(1)〜(5)いずれかの研磨パッドの表面加工方法。
(7) 前記(1)〜(6)いずれかの研磨パッドの表面加工方法によって平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層が研磨表面に形成された研磨パッド。
(8) 起毛層の極細繊維束を構成する極細繊維同士が高分子弾性体で実質的に接着して一体化されている(7)に記載の研磨パッド。
そして、(9)シリコンウエハの研磨処理方法において、(7)または(8)に記載の研磨パッドの研磨面をドレッシングブラシを用いてコンディショニング処理を行う工程を含むシリコンウエハの研磨処理方法である。
本発明の研磨パッドの表面加工方法により特定の起毛層を安定化して製造することが可能となる。特に長繊維絡合体からなり、高硬度の研磨パッドの表面加工方法に適する。
得られる研磨パッドはシリコンウエハの研磨処理方法において、スクラッチの発生が少なく、高い研磨レートを有し、ブラシによるコンディショニングとの組み合せに適する。
本発明は、研磨パッドの表面加工方法により研磨パッド表面に平均直径5〜40μmの極細繊維束の起毛層が形成されることを第1の特徴とする。極細繊維束の平均直径が5μmに満たない場合は、極細繊維束(以下、単に繊維束と称する場合もある。)の剛性が低くなり砥粒の被研磨物に対する押し込み硬さが低くなるため、研磨レートが低下する。繊維束の平均直径が40μmを超える場合は、繊維束の剛性が高くなりすぎてスクラッチが発生しやすくなる。研磨レートが良好でスクラッチの発生を抑制する観点から、繊維束の平均直径は10〜30μmの範囲が好ましく、15〜30μmの範囲がより好ましい。また、繊維束を構成する繊維の本数は、耐スクラッチ性と研磨レートともに優れることから4〜4000本が好ましく、10〜1000本がより好ましい。
また、本発明は、研磨パッドの表面加工方法により研磨パッド表面に平均起毛長50〜300μmの極細繊維束の起毛層が形成されることを第2の特徴とする。繊維束の平均起毛長が50μmに満たない場合は、研磨に用いるスラリーが十分に保持されないため研磨レートが低下する。また、極細繊維束の平均起毛長が300μmを超える場合は、研磨処理時において、ドレッシングブラシを用いての異物、汚れおよび砥粒の洗浄・除去効果が低下してスクラッチが発生し易くなる。そして、研磨レートが良好でスクラッチの発生を抑制する観点から、極細繊維束の平均起毛長は50〜250μmの範囲が好ましく、50〜100μmの範囲がより好ましい。
また、本発明は、研磨パッドの表面加工方法に用いる砥粒を含むシートの砥粒番手が、#40番〜#80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理を行うことを第3の特徴とする。砥粒の番手が#80番手を超える場合は、研削力が弱くなるため、研磨パッド表面に繊維束が形成され難くなり、平均直径5〜40μm、平均起毛長が50〜300μmの繊維束の起毛層が得られ難く、研磨に用いるスラリーが十分に保持されないため研磨レートが低下する。なお、上記起毛層を形成することができれば、目の粗い番手からなる砥粒を用いても良いが、最も粗い砥粒の番手は♯40である。研磨レートが良好となりうる前記起毛層形成の砥粒番手は、♯60(番)〜♯80(番)の範囲が好ましい。(なお、砥粒番手はJIS R6001に準じる。)
また、本発明は、砥粒を含むシートと研磨パッドの応力やシートの回転数にもよるが、研磨パッドの表面加工方法における研削速度が、2〜10m/分の加工速度で研磨されることが好ましい。加工速度が2m/分に満たない場合は、研磨パッドへの研削力が強くなるため、平均直径5〜40μmの繊維束が形成されるものの、繊維束の平均起毛長が300μmを超え、ドレッシングブラシを用いての異物や砥粒の洗浄・除去効果が低下してスクラッチが発生し易くなり、加工速度が10m/分を超える場合は、研削力が弱くなるため、起毛層が形成され難くなり、平均直径5〜40μm、平均起毛長が50〜300μmの繊維束の起毛層が得られず、研磨に用いるスラリーが十分に保持されないため研磨レートが低下する。研磨レートが良好でスクラッチの発生を抑制する観点から、研削速度は3〜8m/分の範囲がより好ましい。
また、本発明の研磨パッドは、起毛層の極細繊維束を構成する極細繊維同士が高分子弾性体で実質的に接着して一体化されていることが好ましい。極細繊維同士が実質的に接着していることで、研磨パッドの耐久性(磨耗性)が良好となり、また、適度な剛性の研磨パッドとなり、そのために、表面形状によって影響を受け難く変形し難いために、高い平坦化性能得られる。また、繊維絡合体の繊維結着性が適度で、バフィング等の研削での表面研削性(起毛性)が向上し、研磨に用いるスラリーが十分に保持され易くなり研磨レートが向上する。
また、本発明の研磨パッドの見掛け密度は0.3〜0.8g/cm3であることが好ましい。研磨パッドの見掛け密度が0.3g/cm3以上場合は、研磨パッドの耐久性(磨耗性)が良好であり、研磨パッドの見掛け密度が0.8g/cm3以下の場合は、繊維絡合体の繊維結着性が適度で、バフィング等の研削での表面研削性(起毛性)が向上し、研磨に用いるスラリーが十分に保持され易くなり研磨レートが向上する。研磨レートが良好で研磨パッドの耐久性確保の観点から、研磨パッドの見掛け密度が0.4〜0.7g/cm3の範囲がより好ましく、0.45〜0.65g/cm3の範囲が特に好ましい。
また、本発明の研磨パッドのD硬度は30〜50であることが好ましい。研磨パッドのD硬度が30以上の場合は、適度剛性の研磨パッドとなり、そのために、表面形状によって影響を受け難く変形し難いために、高い平坦化性能得られる。研磨パッドのD硬度が50以下の場合は、繊維絡合体の繊維結着性が適度で、バフィング等の研削での表面研削性(起毛性)が向上し、研磨に用いるスラリーが十分に保持され易くなり研磨レートが向上する。研磨レートが良好で研磨での平坦化性能を有する観点から、研磨パッドのD硬度が31〜49の範囲がより好ましく、33〜47の範囲が特に好ましい。
また、本発明の研磨パッドを形成する長繊維絡合体と高分子弾性体の存在割合は質量比で55/45〜95/5であることが好ましい。繊維絡合体の質量比率が55以下の場合は、柔らかく剛性が低い研磨パッドしか得られず、そのために、表面形状に追従して変形するために、高い平坦化性能が充分に得られない。長繊維絡合体の質量比率が95以上の場合には、繊維束の内部における高分子弾性体の拘束力(結着力)が維持され、起毛層が形成され難いため、研磨中の目詰まり(焼け)が生じる。研磨パッドの剛性向上、研磨パッドの目詰まりを抑制する観点から、60/40〜90/10の範囲がより好ましく、70/30〜90/10の範囲が特に好ましい。
また、本発明の研磨パッドを構成する高分子弾性体のガラス転移温度が、−10℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が−10℃を超える場合には、高分子弾性体が脆くなり高分子弾性体が研磨中に脱落しやすくなって、スクラッチが発生しやすくなる。また、高分子弾性体による極細繊維の結着力が弱くなり、研磨中の経時的な安定性が悪化しやすい。好ましくは、−15℃以下である。下限については特に限定されないが、入手性などから−100℃程度以上が好ましい。なお、ガラス転移温度は、動的粘弾性測定における引張モードでの損失弾性率のピーク温度から算出される。ガラス転移温度は、高分子弾性体のα分散のピーク温度、に依存することから高分子弾性体のガラス転移温度を−10℃以下とするためには、高分子弾性体を構成する成分を適宜選択することが必要である。例えば、高分子弾性体としてポリウレタン系樹脂を用いる場合には、ガラス転移温度を−10℃以下とするためには、軟質成分となるポリオールの組成や硬質成分と軟質成分の比率を選択する。具体的には、ガラス転移温度が−10℃以下、好ましくは−20℃以下のポリオールを選択し、ポリウレタン中のポリオール成分の質量比率を30質量%以上、好ましくは40質量%以上の構成とする。
また、本発明の研磨パッドを形成する高分子弾性体は23℃および50℃における貯蔵弾性率が90〜900MPaであることが好ましい。一般的なポリウレタンの23℃および50℃の貯蔵弾性率は90MPa未満であるが、23℃および50℃の範囲における貯蔵弾性率が90MPa未満の場合には、研磨中に或はコンディショニング時に繊維束を拘束している高分子弾性体が変形しやすくなって研磨でのパッド剛性が不足して平坦化性が低下する。また、高分子弾性体が研磨中にスラリー等によって膨潤しやすくなって経時的安定性が低下する傾向となる。23℃から50℃の範囲における貯蔵弾性率が900MPaを超える場合には、高分子弾性体が脆くなって高分子弾性体が研磨中に脱落しやすくなって、スクラッチが発生しやすくなる。また、極細繊維の結着力が低下し、研磨中の経時的な安定性が悪化しやすい。好ましくは23℃および50℃の範囲における貯蔵弾性率が200〜800MPaである。
高分子弾性体の貯蔵弾性率は高分子弾性体の組成、つまり高分子弾性体を構成する硬質成分と軟質成分各々の弾性率およびその質量比率に依存するため、上記範囲の貯蔵弾性率とするためには、硬質成分と軟質成分の組成およびその質量比率を選択することが必要である。例えば、高分子弾性体としてポリウレタン系樹脂を用いる場合には、23℃および50℃の範囲における貯蔵弾性率を90〜900MPaの範囲とするために、ガラス転移温度が−10℃以下、好ましくは−20℃以下のポリオールを選択することが好ましい。
例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などのポリエーテル系ポリオールおよびその共重合体;ポリブチレンセバケートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンセバケート)ジオール、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステル系ポリオールおよびその共重合体;ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、などのポリカーボネート系ポリオールおよびその共重合体;ポリエステルカーボネートポリオール等が挙げられる。また、上記したポリオールの他にも、共重合することによって、ガラス転移温度を−10℃以下にしたポリオールも例示できる。
−10℃以下のガラス転移温度を有する軟質成分(ポリオール成分)を用いてポリウレタンのガラス転移温度を−10℃とし、硬質成分(イソシアネート成分や鎖伸張剤成分)としては、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートで代表される脂環式ジイソシアネートや2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートポリウレタンで代表される芳香族ジイソシアネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;トリメチロールプロパンなどのトリオール類;ペンタエリスリトールなどのペンタオール類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類で代表される短鎖ポリオール、 ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;ジエチレントリアミンなどのトリアミン類;トリエチレンテトラミンなどのテトラミン類で代表される短鎖ポリアミン等の組み合せからなる凝集性が高く弾性率の高い硬質成分を選択する。そして、軟質成分の比率を40〜65質量%とすることが好ましく、45〜60質量%がより好ましい。軟質成分の量が40質量%未満では、23℃および50℃の範囲における貯蔵弾性率の温度依存性が高くなり、90〜900MPaの範囲となり難い。逆に、軟質成分の量が65質量%を超えると、貯蔵弾性率が90MPa未満となりやすい。
軟質成分としては、ポリウレタンの弾性率を高めやすいことから、特に分岐を有するポリカーボネートポリオール;ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、或いは、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリノナンメチレンカーボネートジオール、ポリシクロヘキサンカーボネートなどのポリカーボネート系ポリオールを共重合するポリカーボネートポリオール等で代表されるポリカーボネート系ポリオールが好ましい。
また、本発明の研磨パッドを形成する高分子弾性体は50℃で吸水飽和させたときの吸水率は0.2〜5質量%であることが好ましい。吸水率が0.2質量%未満の場合には、研磨スラリーを保液しづらくなって、研磨効率や研磨均一性が低下しやすい。5質量%を超える場合には、繊維束を拘束している高分子弾性体が吸水軟化することに起因して研磨中の経時的変化が大きくなりやすい。
研磨スラリー保持性、研磨中の経時安定性の良好な観点から、0.5〜3質量%の範囲がより好ましい。
また、高分子弾性体の吸水率がこのような範囲である場合には、研磨の際に研磨パッドに対する砥粒スラリーの高い濡れ性が維持されるとともに、剛性が経時的に低下することをより抑制することができる。これにより、高い研磨レートや、研磨均一性や研磨安定性を維持することができる。
なお、高分子弾性体の吸水率とは、詳細は後述するが、乾燥処理した高分子弾性体フィルムを室温の水に浸漬して飽和膨潤させたときの吸水率である。また、2種以上の高分子弾性体を含有する場合には各高分子弾性体の吸水率に質量分率を乗じた値の和として理論上算出される。
このような吸水率を有する高分子弾性体は、高分子弾性体を構成する高分子の組成、架橋密度を調整、親水性の官能基の導入およびその量を選択すること等により達成することができる。
例えば高分子弾性体に、カルボキシル基、スルホン酸基および炭素数3以下のポリアルキレングリコール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基を導入することにより、吸水率や親水性を調整することができる。これにより、研磨の際における、研磨パッドの砥粒スラリーに対する濡れ性を向上させることができる。このような親水性基は高分子弾性体を製造する際のモノマー成分として、親水性基を有するモノマー成分を共重合することにより、高分子弾性体に導入することができる。このような親水性基を有するモノマー成分の共重合割合としては、0.1〜10質量%、更には、0.5〜5質量%であることが、吸水による膨潤軟化を最小限に抑えつつ、吸水率や濡れ性を高めることができる点から好ましい。
高分子弾性体は、それぞれ単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ポリウレタン系樹脂が、極細繊維を集束したり、繊維束同士を結着したりするための接着性に優れており、また、研磨パッドの硬度を高め、研磨での経時的安定性に優れている点から好ましい。また、カルボキシル基、スルホン酸基、及び、炭素数3以下のポリアルキレングリコール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有するポリウレタン系樹脂が、研磨パッドの剛性、濡れ性および研磨の際の経時的安定性が高い点から好ましい。
さらに本発明の高分子弾性体は、23℃における貯蔵弾性率と50℃における貯蔵弾性率の比(23℃における貯蔵弾性率/50℃における貯蔵弾性率)が4以下であることが好ましい。23℃における貯蔵弾性率と50℃における貯蔵弾性率の比(23℃における貯蔵弾性率/50℃における貯蔵弾性率)を4以下とすることで、研磨中の温度変化が起こる場合にも貯蔵弾性率の変化が起こりにくいことから、研磨中の経時的な安定性が向上する。特に、23℃における貯蔵弾性率と50℃における貯蔵弾性率の比(23℃における貯蔵弾性率/50℃における貯蔵弾性率)が3以下であることが好ましい。また下限値については、特に限定しないが、研磨中の温度による貯蔵弾性率変化が起こりにくい点で1/3以上が好ましい。
上記範囲とするには、前述の貯蔵弾性率の範囲にするための軟質成分や硬質成分を適宜調整することで達成可能である。
例えば、高分子弾性体としてポリウレタン系樹脂を用いる場合には、−10℃以下のガラス転移温度を有する軟質成分(ポリオール成分)を用いてポリウレタンのガラス転移温度を−10℃とし、硬質成分(イソシアネート成分や鎖伸張剤成分)としては、脂環式ジイソシアネートや芳香族ジイソシアネートと、で代表される短鎖ポリオール、短鎖ポリアミン等の組み合せからなる凝集性が高く弾性率の高い硬質成分を選択し、軟質成分の比率を40〜65質量%、より好ましくは45〜60質量%である。また、軟質成分としては、ポリウレタンの弾性率を高めやすいことから、軟質成分としてはポリカーボネート系ポリオールが好ましい。
高分子弾性体としては、研磨パッドの性能や製造性等の調節のために、2種以上の高分子弾性体を含有しても良いが、その場合の高分子弾性体の23℃〜50℃における貯蔵弾性率は、各高分子弾性体の貯蔵弾性率に質量分率を乗じた値の和として理論上算出する。
前記、高分子弾性体がポリウレタン系樹脂である場合には、カルボキシル基の具体例としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸などのカルボキシル基含有ジオール等を併用して、ポリウレタン系弾性体の骨格にカルボキシル基を導入することが出来る。炭素数3以下のポリアルキレングリコール基の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびその共重合体が例示できる。カルボキシル基、スルホン酸基、及び、炭素数3以下のポリアルキレングリコール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有するポリウレタン系樹脂は、濡れ性が向上する長所があるものの吸水率が高くなる傾向があり、一般に、吸水率は5〜15質量%である。本発明の0.2〜5質量%の吸水率とするためには、カルボキシル基、スルホン酸基および炭素数3以下のポリアルキレングリコール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基の量を、0.1〜10質量%、更には、0.5〜5質量%とすること、更には、ポリオールとして、吸水性の低い成分、例えば、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンセバケート)ジオールなどのポリエステル系ポリオールおよびその共重合体;ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリノナンメチレンカーボネートジオール、ポリシクロヘキサンカーボネートなどのポリカーボネート系ポリオールを共重合するポリカーボネートポリオール等を用いることが好ましい例として挙げられる。
本発明に用いるポリウレタン系樹脂の硬質成分(イソシアネート成分や鎖伸張剤成分)としては、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートで代表される脂環式ジイソシアネートや 2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートで代表される芳香族ジイソシアネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;トリメチロールプロパンなどのトリオール類;ペンタエリスリトールなどのペンタオール類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類で代表される短鎖ポリオール、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;ジエチレントリアミンなどのトリアミン類;トリエチレンテトラミンなどのテトラミン類で代表される短鎖ポリアミン等の組み合せからなる凝集性が高い硬質成分を選択する。そして、軟質成分の比率は65質量%以下、より好ましくは60質量%以下とする。軟質成分の量が65質量%を超えると、吸水率が高くなりやすい。そして高分子弾性体が水性ポリウレタンの場合、0.2〜5質量%の吸水率とするには、該水性ポリウレタンが0.01〜0.2μmの平均粒径を有することが好ましい。0.01μm以下或いは0.2μm以上の場合には、吸水率が5質量%を超えやすい。
本発明において用いられる高分子弾性体の具体例としては、上記したガラス転移温度、貯蔵弾性率、吸水率を満足すれば、特に限定することはないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン系樹脂、(メタ)アクリル酸系エステル−(水添)イソプレン系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−水添イソプレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、及び、ポリエステル系樹脂等からなる弾性体が挙げられる。
本発明の高分子弾性体としては、極細繊維に対する集束性、極細繊維束を拘束結着性が高い点から、水素結合性高分子弾性体が好ましい。水素結合性高分子弾性体を形成する樹脂とは、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等のように、水素結合により結晶化あるいは凝集する高分子弾性体である。水素結合性高分子弾性体は、接着性が高く、繊維束の拘束性を高め、また繊維の抜けを抑制する。
以下に、高分子弾性体としてポリウレタン系樹脂を用いる場合について、代表例として詳しく説明する。
ポリウレタン系樹脂としては、平均分子量200〜6000の高分子ポリオールと有機ポリイソシアネ−トと、鎖伸長剤とを、所定のモル比で反応させることにより得られる各種のポリウレタン系樹脂が挙げられる。
前記高分子ポリオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などのポリエーテル系ポリオールおよびその共重合体;ポリブチレンアジペートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンセバケート)ジオール、イソフタル酸共重合ポリオール、テレフタル酸共重合ポリオール、シクロヘキサノール共重合ポリオール、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステル系ポリオールおよびその共重合体;ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、ポリノナンメチレンカーボネートジオール、ポリシクロヘキサンカーボネートなどのポリカーボネート系ポリオールおよびその共重合体;ポリエステルカーボネートポリオール等が挙げられる。また、必要に応じて、トリメチロールプロパン等の3官能アルコールやペンタエリスリトール等の4官能アルコールなどの多官能アルコール、又は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の短鎖アルコールを併用してもよい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、脂環式ポリカーボネート系ポリオール、直鎖状ポリカーボネート系ポリオール等のポリカーボネート系ポリオールをポリオール成分全量の60〜100質量%を含有する、特には、融点が0℃以下である非晶性ポリカーボネート系ポリオールを、ポリオール成分全量の60〜100質量%を含有することが、研磨で用いるスラリーに対する耐性が高いことから研磨中の経時的な安定性が良好なこと、及び吸水性や貯蔵弾性率を本発明の範囲としやすいこと等から好ましい。具体的には、分岐を有するポリカーボネートポリオール;ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、或いは、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリノナンメチレンカーボネートジオール、ポリシクロヘキサンカーボネートなどのポリカーボネート系ポリオールを共重合するポリカーボネートポリオールが例示できる。
また、炭素数5以下、特には炭素数3以下のポリアルキレングリコール基を含有するポリウレタン樹脂は、水に対する濡れ性がとくに良好になる点から0.1〜10質量%程度用いることも好ましい。
前記有機ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネート等の無黄変型ジイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートポリウレタン等の芳香族ジイソシアネート、等が挙げられる。また、必要に応じて、3官能イソシアネートや4官能イソシアネートなどの多官能イソシアネートを併用してもよい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが、極細繊維に対する接着性が高く、極細繊維の集束力が向上すること、また、硬度が高い研磨パッドが得られる点から好ましい。
前記鎖伸長剤の具体例としては、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;ジエチレントリアミンなどのトリアミン類;トリエチレンテトラミンなどのテトラミン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類;トリメチロールプロパンなどのトリオール類;ペンタエリスリトールなどのペンタオール類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンおよびその誘導体、エチレントリアミンなどのトリアミンの中から2種以上組み合わせて用いることが、繊維への接着性が高く、また、硬度が高い研磨パッドが得られる点から好ましい。また、鎖伸長反応時に、鎖伸長剤とともに、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどのモノアミン類;4−アミノブタン酸、6−アミノヘキサン酸などのカルボキシル基含有モノアミン化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのモノオール類を併用してもよい。
また、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸などのカルボキシル基含有ジオール等を併用して、ポリウレタン系弾性体の骨格にカルボキシル基などのイオン性基を導入することにより、水に対する濡れ性をさらに向上させることが出来る。
また、高分子弾性体の吸水率や貯蔵弾性率を制御するために、ポリウレタンを形成するモノマー単位が有する官能基と反応し得る官能基を分子内に2個以上含有する架橋剤や、ポリイソシアネート系化合物、多官能ブロックイソシアネート系化合物等の自己架橋性の化合物を添加することにより、架橋構造を形成することも好ましい。
前記モノマー単位が有する官能基と架橋剤の官能基との組み合せとしては、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とシクロカーボネート基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボニル基とヒドラジン誘導体又はヒドラジド誘導体などが挙げられる。これらの中では、カルボキシル基を有するモノマー単位とオキサゾリン基、カルボジイミド基またはエポキシ基を有する架橋剤との組み合せ、水酸基またはアミノ基を有するモノマー単位とブロックイソシアネート基を有する架橋剤との組み合せ、およびカルボニル基を有するモノマー単位とヒドラジン誘導体またはヒドラジド誘導体との組み合せが、架橋形成が容易であり、得られる研磨パッドの剛性や耐磨耗性が優れる点から、特に好ましい。なお、架橋構造は、繊維絡合体にポリウレタン樹脂を付与した後の熱処理工程において形成することが、高分子弾性体の水性液の安定性を維持する点から好ましい。これらの中でも、架橋性能や水性液のポットライフ性が優れ、また安全面でも問題のないカルボジイミド基および/またはオキサゾリン基が特に好ましい。カルボジイミド基を有する架橋剤としては、例えば日清紡績株式会社製「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトV−02」などの水分散カルボジイミド系化合物を挙げることができる。また、オキサゾリン基を有する架橋剤としては、例えば日本触媒株式会社製「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスWS−500」などの水分散オキサゾリン系化合物を挙げることができる。架橋剤の配合量としては、ポリウレタン樹脂に対して、架橋剤の有効成分が1〜20質量%であることが好ましく、1.5〜10質量%であることがより好ましい。
また、極細繊維との接着性を高め繊維束の剛性を高めることや、ガラス転移温度を−10℃以下とすること、23℃および50℃における貯蔵弾性率を90〜900MPaの範囲とすること、50℃で吸水飽和させたときの吸水率を0.2〜5質量%とすること、等の調整がし易いことから、ポリウレタン樹脂中のポリオール成分の含有率としては、65質量%以下、さらには、60質量%以下であることが好ましい。また、40質量%以上、さらには、45質量%以上であることが適度な弾性を付与することによりスクラッチの発生を抑制することができる点から好ましい。
また、ポリウレタン系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲内で、浸透剤、消泡剤、滑剤、撥水剤、撥油剤、増粘剤、増量剤、硬化促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防黴剤、発泡剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、染料、顔料、無機微粒子などをさらに含有してもよい。
また、高分子弾性体は、研磨スラリーの濡れ性が良好なことから、水性ポリウレタンが好ましく、該水性ポリウレタンが0.01〜0.2μmの平均粒径を有することが好ましい。平均粒径が0.01μm以上の場合には、耐水性が良好であり、研磨中の経時的な安定性に優れる。平均粒径が0.2μm以下の場合には、繊維束の拘束力が向上し、平坦化性に優れ、研磨中のパッド寿命が長くなり経時的な安定性に優れる。また、上記した粒径を調整するには、例えば、高分子弾性体がカルボキシル基、スルホン酸基、及び、炭素数3以下のポリアルキレングリコール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基を含有することが好ましい。
また、本発明は、研磨パッドを形成する繊維絡合体の平均繊度が、0.01〜0.8dtexであることを特徴とする。極細繊維の平均繊度が0.01dtex未満の場合には、研磨パッドの表面近傍の極細繊維束が充分に分繊せず、その結果、砥粒スラリーの保持力が低下し、研磨効率や研磨均一性が低下しやすくなる。極細繊維の平均繊度が0.8dtexを超える場合には、研磨パッドの表面が粗くなりすぎて研磨レートが低下し、また、極細繊維による研磨での応力が大きくなって、スクラッチが発生しやすくなる。スラリーの保持性が良好で、研磨でのスクラッチ低減の観点から、平均繊度が0.03〜0.7dtexの範囲が好ましく、0.05〜0.5dtexの範囲がより好ましい。
繊維束の平均長さは、特に限定されないが、100mm以上、さらには、200mm以上であることが、極細繊維の繊維密度を容易に高めることができる点、研磨パッドの剛性を容易に高めることができる点および繊維の抜けを抑制できる点から好ましい。前記繊維束の長さが短すぎる場合には、極細繊維の高密度化が困難で、また、充分に高い剛性が得られず、さらに、研磨中に極細繊維が抜けやすくなる傾向がある。上限は、特に限定されず、例えば、後述するスパンボンド法により製造された不織布に由来する繊維絡合体を含有する場合には、物理的に切れていない限り、数m、数百m、数kmあるいはそれ以上の繊維長が含まれてもよい。
本発明の研磨パッドは、前記繊維絡合体に高分子弾性体が充填されて複合化された構造を有する。
本発明の研磨パッドにおいては、繊維束を形成する極細繊維は、高分子弾性体により集束されている。このように、極細繊維が集束されていることにより、研磨パッドの剛性が高くなる。極細繊維が集束されていない場合には、極細繊維それぞれが動き易くなることから、研磨パッドが柔軟性を帯びるために、高い平坦化性能が得られ難くなる。また、繊維の抜けが多くなり、抜けた繊維に砥粒が凝集しやすくなり、それによりスクラッチが発生しやすくなる。ここで、極細繊維が集束されているとは、繊維束内部に存在する極細繊維の大部分が、繊維束内部に存在する高分子弾性体により接着され拘束されている状態を意味する。
また、複数の繊維束同士は、繊維束の外側に存在する高分子弾性体により結着されて、塊(バルク)状に存在していることが好ましい。このように、繊維束同士が結着されることにより、研磨パッドの形態安定性が向上して、研磨安定性が向上する。
極細繊維の集束・拘束状態および繊維束同士の結着状態は研磨パッドの断面の電子顕微鏡写真により確認することができる。
極細繊維を集束している高分子弾性体および極細繊維束同士を結着している高分子弾性体は非多孔質状であることが好ましい。なお、非多孔質状とは、多孔質状、または、スポンジ状(以下、単に、多孔質状とも言う)の高分子弾性体が有するような空隙(独立気泡)を実質的に有さない状態を意味する。具体的には、例えば、溶剤系ポリウレタンを凝固させて得られるような、微細な気泡を多数有する高分子弾性体ではないことを意味する。集束または結着している高分子弾性体が非多孔質状である場合には、研磨安定性が高くなり、また、研磨時のスラリー屑やパッド屑が空隙に堆積しにくくなるために、摩耗しにくく、また、研磨時のスラリー屑やパッド屑が空隙に堆積しにくくなるために、高い研磨レートを長時間維持することができる。更に、極細繊維に対する接着強度が高くなるために、繊維の抜けに起因するスクラッチの発生を抑制することができる。さらに、より高い剛性が得られるために、平坦化性能に優れた研磨パッドが得られる。
本発明の研磨パッドを構成する極細繊維の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、スルホイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等から形成される芳香族ポリエステル繊維;ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート共重合体等から形成される脂肪族ポリエステル繊維;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6−12等から形成されるポリアミド繊維;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、塩素系ポリオレフィンなどのポリオレフィン繊維;エチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール等から形成される変性ポリビニルアルコール繊維;およびポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどのエラストマー等から形成されるエラストマー繊維等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記繊維の中でも、ガラス転移温度(T)が50℃以上、さらには60℃以上であって、吸水率が0.2〜2質量%以下の熱可塑性樹脂からなる繊維が好ましい。前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度がこのような範囲である場合には、より高い剛性を維持することができるために平坦化性能がさらに高くなり、また、研磨の際においても、剛性が経時的に低下することがなく、研磨安定性や研磨均一性に優れた研磨パッドが得られる。ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、工業的な製造上、300℃以下、さらには、150℃以下であることが好ましい。
また、本発明の極細繊維を構成する熱可塑性樹脂は、50℃で飽和吸水させたときの吸水率が0.2〜2質量%であることが好ましい。吸水率を0.2質量%以上にすることで、研磨スラリーが保液しやすくなり、研磨効率や研磨均一性が向上しやすい。2質量%以下の場合には、研磨パッドが砥粒スラリーを吸収し過ぎないことにより、剛性の経時的な低下がより抑制される。このような場合には、平坦化性能の経時的な低下が抑制され、また、研磨レートや研磨均一性が変動しにくい研磨パッドが得られる。吸水性に加えて、入手性や製造性が良好なことから、本発明の極細繊維を構成する熱可塑性樹脂はポリエステル系ポリマー、特には、芳香族成分を原料の1成分に用いた半芳香族ポリエステル系ポリマーが好ましい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET、(T77℃、吸水率1質量%)、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(T67〜77℃、吸水率1質量%)、スルホイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(T67〜77℃、吸水率1〜3質量%)、ポリブチレンナフタレート(T85℃、吸水率1質量%)、ポリエチレンナフタレート(T124℃、吸水率1質量%)等から形成される芳香族ポリエステル系繊維;テレフタル酸とノナンジオールとメチルオクタンジオール共重合ポリアミド(T125〜140℃、吸水率1〜3質量%)等から形成される半芳香族ポリアミド系繊維等が挙げられる。特に、PETおよびイソフタル酸変性PET等の変性PETは、後述する海島型複合繊維からなるウェブ絡合シートから極細繊維を形成する湿熱処理工程において大幅に捲縮するために、緻密で高密度の繊維絡合体を形成することができること、研磨シートの剛性を高めやすいこと、及び、研磨の際に水分による経時変化を発生しにくいこと、等の点からも好ましい。
[研磨パッドの製造方法]
次に、本発明の研磨パッドの製造方法の一例について詳しく説明する。
本発明の研磨パッドは、例えば、水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸して得られる海島型複合繊維からなる長繊維ウェブを製造するウェブ製造工程と、前記長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成するウェブ絡合工程と、前記ウェブ絡合シートを湿熱収縮させることにより、面積収縮率が30%以上になるように収縮させる湿熱収縮処理工程と、前記ウェブ絡合シート中の前記水溶性熱可塑性樹脂を熱水中で溶解することにより、極細繊維からなる繊維絡合体を形成する繊維絡合体形成工程と、前記繊維絡合体に高分子弾性体の水性液を含浸及び乾燥凝固させる高分子弾性体充填工程、とを備えるような研磨パッドの製造方法により得ることができる。
前記製造方法においては、長繊維を含有するウェブ絡合シートを湿熱収縮させる工程を経ることにより、短繊維を含有するウェブ絡合シートを湿熱収縮させる場合に比べて、ウェブ絡合シートを大きく収縮させることができ、そのために、極細繊維の繊維密度が緻密になる。そして、ウェブ絡合シートの水溶性熱可塑性樹脂を溶解抽出することにより、極細繊維束からなる繊維絡合体が形成される。このとき、水溶性熱可塑性樹脂が溶解抽出された部分に空隙が形成される。そして、この空隙に高分子弾性体の水性液を含浸及び乾燥凝固させることにより、極細繊維束を構成する極細繊維が集束されるとともに、極細繊維束同士も集束される。このようにして、繊維密度が高く、空隙率が低く、極細繊維が集束された剛性が高い研磨パッドが得られる。
以下に各工程について、詳しく説明する。
(1)ウェブ製造工程
本工程においては、はじめに、水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸して得られる海島型複合繊維からなる長繊維ウェブを製造する。
前記海島型複合繊維は、水溶性熱可塑性樹脂と、前記水溶性熱可塑性樹脂と相溶性が低い非水溶性熱可塑性樹脂とをそれぞれ溶融紡糸した後、複合化させることにより得られる。そして、このような海島型複合繊維から水溶性熱可塑性樹脂を溶解除去または分解除去することにより、極細繊維が形成される。海島型複合繊維の太さは、工業性の観点から、0.5〜3デシテックスであることが好ましい。
なお、本発明においては、極細繊維を形成するための複合繊維として海島型複合繊維に
ついて詳しく説明するが、海島型繊維の代わりに多層積層型断面繊維等の公知の極細繊維
発生型繊維を用いてもよい。
前記水溶性熱可塑性樹脂としては、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等により、溶解除去または分解除去できる熱可塑性樹脂であって、溶融紡糸が可能な樹脂が好ましく用いられる。このような、水溶性熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂);ポリエチレングリコール及び/又はスルホン酸アルカリ金属塩を共重合成分として含有する変性ポリエステル;ポリエチレンオキシド等が挙げられる。これらの中では、特に、PVA系樹脂が以下の理由により、好ましく用いられる。
PVA系樹脂を水溶性熱可塑性樹脂成分とする海島型複合繊維を用いた場合、PVA系樹脂を溶解することにより形成される極細繊維が大きく捲縮する。このことにより繊維密度が高い繊維絡合体が得られる。また、PVA系樹脂を水溶性熱可塑性樹脂成分とする海島型複合繊維を用いた場合、PVA系樹脂を溶解させるときに、形成される極細繊維や高分子弾性体は実質的に分解または溶解されないので、極細繊維や高分子弾性体の物性低下が起こりにくい。さらに、環境負荷も小さい。
PVA系樹脂は、ビニルエステル単位を主体とする共重合体をケン化することにより得られる。ビニルエステル単位を形成するためのビニル単量体の具体例としては、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、及び、バーサティック酸ビニル等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、酢酸ビニルが工業性の点から好ましい。
PVA系樹脂は、ビニルエステル単位のみからなるホモPVAであっても、ビニルエステル単位以外の共重合単量体単位を構成単位として含有する変性PVAであってもよい。溶融紡糸性、水溶性、繊維物性を制御できる点から、変性PVAがより好ましい。ビニルエステル単位以外の共重合単量体単位の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどの炭素数4以下のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類等が挙げられる。ビニルエステル単位以外の共重合単量体単位の含有割合としては、1〜20モル%、さらには、4〜15モル%とくには、6〜13モル%の範囲であることが好ましい。これらの中ではエチレン単位を4〜15モル%、さらには、6〜13モル%含有するエチレン変性PVAが海島型複合繊維の物性が高くなる点から好ましい。
PVA系樹脂の粘度平均重合度は、200〜500、さらには、230〜470、とくには、250〜450の範囲であることが、安定な海島構造が形成される点、溶融紡糸性に優れた溶融粘度を示す点、及び、溶解時の溶解速度が速い点から好ましい。なお、前記重合度は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVA樹脂を再ケン化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により求められる。
粘度平均重合度P=([η]×103/8.29)(1/0.62)
PVA系樹脂のケン化度としては、90〜99.99モル%、さらには93〜99.98モル%、とくには、94〜99.97モル%、殊には、96〜99.96モル%の範囲であることが好ましい。前記ケン化度がこのような範囲である場合には、水溶性に優れ、熱安定性が良好で、溶融紡糸性に優れ、また、生分解性にも優れたPVA系樹脂が得られる。
前記PVA系樹脂の融点としては、160〜250℃、さらには170〜227℃、特には175〜224℃、殊には180〜220℃の範囲であることが、機械的特性及び熱安定性に優れる点、及び溶融紡糸性に優れる点から好ましい。なお、前記PVA系樹脂の融点が高すぎる場合には、融点と分解温度が近づくために、溶融紡糸の際に分解を生じることにより、溶融紡糸性が低下する傾向がある。
また、前記PVA系樹脂の融点が、前記非水溶性熱可塑性樹脂の融点に比べて低すぎる場合には、溶融紡糸性が低下する点から好ましくない。このような観点から、PVA系樹脂の融点は、前記非水溶性熱可塑性樹脂の融点に比べて60℃以上、さらには、30℃以上低すぎないことが好ましい。
前記非水溶性熱可塑性樹脂としては、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等により、溶解除去または分解除去されない熱可塑性樹脂であって、溶融紡糸が可能な樹脂が好ましく用いられる。
前記非水溶性熱可塑性樹脂の具体例としては、上述した、研磨パッドを構成する極細繊維を形成するために用いられる、各種熱可塑性樹脂が用いられうる。
前記非水溶性熱可塑性樹脂は各種添加剤を含有してもよい。前記添加材の具体例としては、例えば、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、滑剤、防汚剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、光沢改良剤、制電剤、抗菌剤、防ダニ剤、無機微粒子等が挙げられる。
次に、前記水溶性熱可塑性樹脂と前記非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸して海島型複合繊維を形成し、得られた海島型複合繊維から長繊維ウェブを形成する方法について、詳しく説明する。
前記長繊維ウェブは、例えば、前記水溶性熱可塑性樹脂と前記非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸することにより複合化した後、スパンボンド法により、延伸後、堆積させることにより得られる。このように、スパンボンド法によりウェブを形成することにより、繊維の抜けが少なく、繊維密度が高く、形態安定性が良好な海島型複合繊維からなる長繊維ウェブが得られる。なお、長繊維とは、短繊維を製造するときのような切断工程を経ずに製造された繊維である。
海島型複合繊維の製造においては、水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とがそれぞれ溶融紡糸され、複合化される。水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂との質量比としては、5/95〜50/50、さらには、10/90〜40/60の範囲であることが好ましい。水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂との質量比がこのような範囲である場合には、高密度の繊維絡合体が得られ、また、極細繊維の形成性にも優れる。
水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸により複合化した後、スパンボンド法により、長繊維ウェブを形成する方法について、以下に詳しく説明する。
はじめに、水溶性熱可塑性樹脂及び非水溶性熱可塑性樹脂をそれぞれ別々の押出機により溶融混練し、それぞれ異なる紡糸口金から溶融樹脂のストランドを同時に吐出させる。そして、吐出されたストランドを複合ノズルで複合させた後、紡糸ヘッドのノズル孔から吐出させることにより海島型複合繊維を形成する。溶融複合紡糸においては、海島型複合繊維における島数は4〜4000島/繊維、さらには10〜1000島/繊維にすることが、単繊維繊度が小さく、繊維密度の高い繊維束が得られる点から好ましい。
前記海島型複合繊維は冷却装置で冷却された後、エアジェット・ノズルなどの吸引装置を用いて目的の繊度となるように1000〜6000m/分の引き取り速度に相当する速度の高速気流により延伸される。その後、延伸された複合繊維を移動式の捕集面の上に堆積することにより長繊維ウェブが形成される。なお、このとき、必要に応じて堆積された長繊維ウェブを、部分的に圧着してもよい。繊維ウェブの目付量は、20〜500g/mの範囲であることが均一な繊維絡合体が得られ、また、工業性の点から好ましい。
(2)ウェブ絡合工程
次に、得られた前記長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成するウェブ絡合工程について説明する。
ウェブ絡合シートは、ニードルパンチや高圧水流処理等の公知の不織布製造方法を用いて長繊維ウェブに絡合処理を行うことにより形成される。以下に、代表例として、ニードルパンチによる絡合処理について詳しく説明する。
はじめに、長繊維ウェブに針折れ防止油剤、帯電防止油剤、絡合向上油剤などのシリコーン系油剤または鉱物油系油剤を付与する。なお、目付ムラを低減させるために、2枚以上の繊維ウェブを、クロスラッパーにより重ね合わせ、油剤を付与してもよい。
その後、例えば、ニードルパンチにより三次元的に繊維を絡合させる絡合処理を行う。
ニードルパンチ処理を行うことにより、繊維密度が高く、繊維の抜けを起こしにくいウェブ絡合シートが得られる。なお、ウェブ絡合シートの目付量は、目的とする研磨パッドの厚さ等に応じて適宜選択されるが、具体的には、例えば、100〜1500g/mの範囲であることが取扱い性に優れる点から好ましい。
油剤の種類や量、及び、ニードルパンチにおけるニードル形状、ニードル深度、パンチ数などのニードル条件は、ウェブ絡合シートの層間剥離力が高くなるような条件が適宜選択される。バーブ数は針折れが生じない範囲で多いほうが好ましく、具体的には、例えば、1〜9バーブの中から選ばれる。ニードル深度は重ね合わせたウェブ表面までバーブが貫通するような条件、かつ、ウェブ表面にニードルパンチ後の模様が強くでない範囲で設定することが好ましい。また、ニードルパンチ数はニードル形状、油剤の種類と使用量等により調整されるが、具体的には、500〜5000パンチ/cmが好ましい。また、絡合処理後の目付量が、絡合処理前の目付量の質量比で1.2倍以上、さらには、1.5倍以上となるように絡合処理することが、繊維密度が高い繊維絡合体が得られ、また、繊維の抜けを低減できる点から好ましい。上限は特に限定されないが、処理速度の低下による製造コストの増大を避ける点で4倍以下であることが好ましい。
ウェブ絡合シートの層間剥離力は、2kg/2.5cm以上、さらには、4kg/2.5cm以上であることが、形態保持性が良好で、且つ、繊維の抜けが少なく、繊維密度が高い繊維絡合体が得られる点から好ましい。なお、層間剥離力は、三次元絡合の度合いの目安になる。層間剥離力が小さすぎる場合には、繊維絡合体の繊維密度が充分に高くない。また、絡合不織布の層間剥離力の上限は特に限定されないが、絡合処理効率の点から30kg/2.5cm以下であることが好ましい。
また、研磨パッドの硬さを調節する目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記のようにして得られた不織布であるウェブ絡合シートに、さらに極細繊維からなる編物または織物(編織物)を重ねて、ニードルパンチング処理および/または高圧水流処理により絡合処理を行うことにより、編織物が絡合一体化された絡合不織布、例えば、編織物/絡合不織布、絡合不織布/編織物/絡合不織布などの積層構造体をウェブ絡合シートとして用いてもよい。
前記編織物を構成する極細繊維は、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエステルエラストマー等から形成されるポリエステル系繊維;ポリアミド6、ポリアミド66、芳香族ポリアミド、ポリアミドエラストマー等から形成されるポリアミド系繊維;ウレタン系ポリマー、オレフィン系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー等からなる繊維が好ましく用いられる。これらの中では、PET、PBT、ポリアミド6、ポリアミド66等から形成される繊維が、工業性の点から好ましい。
また、前記編織物を形成する海島型複合繊維の除去成分の具体例としては、例えば、ポリスチレンおよびその共重合体、ポリエチレン、PVA系樹脂、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等が挙げられる。これらの中では、溶解除去する際に大きな収縮を生じる点からPVA系樹脂が好ましく用いられる。
(3)湿熱収縮処理工程
次に、ウェブ絡合シートを湿熱収縮させることにより、ウェブ絡合シートの繊維密度及び絡合度合いを高めるための湿熱収縮処理工程について説明する。なお、本工程においては、長繊維を含有するウェブ絡合シートを湿熱収縮させることにより、短繊維を含有するウェブ絡合シートを湿熱収縮させる場合に比べて、ウェブ絡合シートを大きく収縮させることができ、そのために、極細繊維の繊維密度が特に高くなる。湿熱収縮処理は、スチーム加熱により行うことが好ましい。
スチーム加熱条件としては、雰囲気温度が60〜130℃の範囲で、相対湿度75%以上、さらには相対湿度90%以上で、60〜600秒間加熱処理することが好ましい。このような加熱条件の場合には、ウェブ絡合シートを高収縮率で収縮させることができるので好ましい。なお、相対湿度が低すぎる場合には、繊維に接触した水分が速やかに乾燥することにより、収縮が不充分になる傾向がある。
湿熱収縮処理は、前記ウェブ絡合シートを面積収縮率が35%以上、さらには、40%以上になるように収縮させることが好ましい。このように高い収縮率で収縮させることにより、高い繊維密度が得られる。前記面積収縮率の上限は特に限定されないが、収縮の限度や処理効率の点から80%以下程度であることが好ましい。
なお、面積収縮率(%)は、下記式(1):
(収縮処理前のシート面の面積−収縮処理後のシート面の面積)/収縮処理前のシート面の面積×100・・・(1)、により計算される。前記面積は、シートの表面の面積と裏面の面積の平均面積を意味する。
このように湿熱収縮処理されたウェブ絡合シートは、海島型複合繊維の熱変形温度以上の温度で加熱ロールや加熱プレスすることにより、さらに、繊維密度が高められてもよい。
また、湿熱収縮処理前後におけるウェブ絡合シートの目付量の変化としては、収縮処理後の目付量が、収縮処理前の目付量に比べて、1.2倍(質量比)以上、さらには、1.5倍以上で、4倍以下、さらには3倍以下であることが好ましい。
(4)繊維束結着工程
ウェブ絡合シートの極細繊維化処理を行う前に、ウェブ絡合シートの形態安定性を高める目的や、得られる研磨パッドの空隙率を低減させることを目的として、必要に応じて、収縮処理されたウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸及び乾燥凝固させることにより、予め、繊維束を結着させておいてもよい。
本工程においては、収縮処理されたウェブ絡合シートに前記高分子弾性体の水性液を含浸させ、乾燥凝固させることにより、ウェブ絡合シートに高分子弾性体を充填する。水性液の状態で高分子弾性体を含浸させ、乾燥凝固させることにより、高分子弾性体を形成することができる。高分子弾性体の水性液は、高濃度で粘度が低く、含浸浸透性にも優れているために、高充填しやすい。また、繊維に対する接着性にも優れている。従って、本工程により充填された高分子弾性体は、長繊維の海島型複合繊維を強固に拘束する。
高分子弾性体の水性液とは、高分子弾性体を形成する成分を水系媒体に溶解した水性溶液、又は、高分子弾性体を形成する成分を水系媒体に分散させた水性分散液である。なお、水性分散液には、懸濁分散液及び乳化分散液が含まれる。特に、耐水性に優れている点から、水性分散液を用いることがより好ましい。
ポリウレタン系樹脂を水性溶液または水性分散液にする方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基などの親水性基を有するモノマー単位を含有させることにより、水性媒体に対する分散性をポリウレタン樹脂に付与する方法、または、ポリウレタン樹脂に界面活性剤を添加して、乳化又は懸濁させる方法が挙げられる。また、このような水性の高分子弾性体は水に対する濡れ性に優れていることにより、砥粒を均一且つ多量に保持する特性に優れている。
前記乳化又は懸濁に用いられる界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのノニオン性界面活性剤などが挙げられる。また、反応性を有する、いわゆる反応性界面活性剤を用いてもよい。また、界面活性剤の曇点を適宜選ぶことにより、ポリウレタン樹脂に感熱ゲル化性を付与することもできる。ただし、多量に界面活性剤を用いた場合には、研磨性能やその経時安定性へ悪影響を与える場合も有る為、必要最小限とするのが好ましい。
高分子弾性体は、研磨スラリーの濡れ性が良好なことから、水性ポリウレタンが好ましく、該水性ポリウレタンが0.01〜0.2μmの平均粒径を有することが好ましい。平均粒径を0.01μm以上とすることで、耐水性が十分となり、研磨中の経時的な安定性に優れる。平均粒径を0.2μm以下とすることで、繊維束の集束力が向上することで、平坦化性の向上や、研磨中のパッド寿命が長くなり、また経時的安定性に優れる。
本工程においては、高分子弾性体を形成するために、従来一般的に用いられている高分子弾性体の有機溶媒溶液を用いる代わりに、高分子弾性体の水性液を用いることが好ましい。このように高分子弾性体の水性液を用いることにより、より高い濃度で高分子弾性体を含有する樹脂液を含浸させることができる。そして、これにより、得られる研磨パッドの空隙率を充分に低下させることができる。
高分子弾性体の水性液の固形分濃度としては、10質量%以上、さらには、15質量%以上であることが、空隙率を充分に低下させることができる点から好ましい。
前記ウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸させる方法としては、例えば、ナイフコーター、バーコーター、又はロールコーターを用いる方法、または、ディッピングする方法等が挙げられる。
そして、高分子弾性体の水性液が含浸されたウェブ絡合シートを乾燥することにより、高分子弾性体を凝固させることができる。乾燥方法としては、50〜200℃の乾燥装置中で熱処理する方法や、赤外線加熱の後に乾燥機中で熱処理する方法等が挙げられる。
なお、前記ウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸させた後、乾燥する場合、該水性液がウェブ絡合シートの表層に移行(マイグレーション)することにより、均一な充填状態が得られないことがある。このような場合には、水性液の高分子弾性体の粒径を調整すること;高分子弾性体のイオン性基の種類や量を調整すること、あるいは、pH等によってその安定性を調整すること;1価または2価のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、ノニオン系乳化剤、会合型水溶性増粘剤、水溶性シリコーン系化合物などの会合型感熱ゲル化剤、水溶性ポリウレタン系化合物、または熱によってpHを変化させる有機物や無機物などを併用すること等により、40〜100℃程度における水分散安定性を低下させること;等によりマイグレーションを抑制することができる。なお、必要に応じて、高分子弾性体が表面に偏在するようにマイグレーションさせてもよい。
(5)極細繊維形成工程
次に、水溶性熱可塑性樹脂を熱水中で溶解することにより、極細繊維を形成する工程である、極細繊維形成工程について説明する。
本工程は、水溶性熱可塑性樹脂を除去することにより極細繊維を形成する工程である。このとき、前記ウェブ絡合シートの水溶性熱可塑性樹脂が溶解抽出された部分に空隙が形成される。そして、この空隙に、後の高分子弾性体充填工程において、高分子弾性体を充填することにより、極細繊維が集束される。また極細繊維束が拘束される。
極細繊維化処理は、ウェブ絡合シート又は、ウェブ絡合シートと高分子弾性体との複合体を、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等で熱水加熱処理することにより、水溶性熱可塑性樹脂を溶解除去、または、分解除去する処理である。
熱水加熱処理条件の具体例としては、例えば、第1段階として、65〜90℃の熱水中に5〜300秒間浸漬した後、さらに、第2段階として、85〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理することが好ましい。また、溶解効率を高めるために、必要に応じて、ロールでのニップ処理、高圧水流処理、超音波処理、シャワー処理、攪拌処理、揉み処理等を行ってもよい。
本工程においては、海島型複合繊維から水溶性熱可塑性樹脂を溶解して極細繊維を形成する際に、極細繊維が大きく捲縮される。この捲縮により繊維密度が緻密になるために、高密度の繊維絡合体が得られる。
(6)高分子弾性体充填工程
次に、極細繊維から形成される極細繊維束内部に高分子弾性体を充填することにより、後工程において研削処理を行って形成される起毛層の極細繊維束を構成する極細繊維同士が高分子弾性体で実質的に接着して一体化される。そして、前記極細繊維を集束するとともに、極細繊維束を拘束し、かつ極細繊維束同士を結着する工程について説明する。
極細繊維形成工程(5)において、海島型複合繊維に極細繊維化処理を施すことにより、水溶性熱可塑性樹脂が除去されて極細繊維束の内部に空隙が形成される。本工程においては、このような空隙に高分子弾性体を充填することにより、極細繊維を集束するとともに、極細繊維束を拘束し、かつ極細繊維束同士を結着することで、研磨パッドの空隙率を低下させることができる。なお、極細繊維が繊維束を形成している場合には、毛細管現象により高分子弾性体の水性液が含浸されやすいので極細繊維はより集束され極細繊維束は拘束されやすい。
本工程に用いられる高分子弾性体の水性液は、繊維束結着工程(4)で説明した高分子弾性体の水性液と同様のものが用いられうる。
本工程において極細繊維から形成される極細繊維束内部に高分子弾性体を充填する方法は、繊維束結着工程(4)で用いられる方法と同様の方法が適用できる。このようにして、研磨パッド(以下、研磨パッド前駆体と称する場合もある。)が形成される。
(7)研磨パッド(前駆体)の起毛処理工程
得られた研磨パッド前駆体は必要に応じて、平坦化処理、成形処理、積層処理、表面処理または洗浄処理等の後加工処理が施されてもよい。
前記平坦化処理は、得られた研磨パッド(前駆体)を所定の厚みに熱プレス成形したり、サンドペーパー、針布、ダイヤモンド等により表面に機械的な摩擦力や研磨力を与えて、研磨パッドの厚みを合わせの処理の加工処理である。研磨パッドとしては、厚み0.5〜3mm程度に加工されたものであることが好ましい。
次に、得られた研磨パッドを起毛処理して起毛層を形成する。そして研磨時の経時的な安定性を有するための均一な起毛状態とするために研磨パッドの起毛処理面において押圧をかけることが好ましい。また、起毛処理自体の方法としては、前記砥粒番手が#40番〜#80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理する。この研削処理を行うことで、前記した研磨パッド(前駆体)の表面に平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層を形成しやすい。
砥粒を含むシートは、特に番手が前記範囲内であれば限定することはないが、サンドペーパーがシートの適度なクッション性と硬度を有する点で好ましく用いられる。
起毛処理の具体的方法として、前記研磨パッド(前駆体)の表面に平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層を最も効果的、効率的に形成しやすい点で、コンタクトタイプのバフィング機による連続起毛処理方法が挙げられる。コンタクトタイプのバフィング処理とは、高速で回転するエンドレスのサンドペーパーを研磨パッドの表面に接触させて研削処理と起毛処理とを一度に実施可能な方法の1つであり、サンドペーパーとシート状物表面との接触面が、サンドペーパーの回転軸に平行な線状となる方法である。他にも、サンドペーパーとシート状物表面との接触面積をより広くとることのできるエメリータイプのバフィング処理や、これらの方法を組み合わせたようなタイプのバフィング機などが適宜使用できる。そして、前記した砥粒番手、処理速度および処理方法以外にもサンドペーパーの回転数や回転方向、押込み率等を適宜変更することで起毛条件を調節することは可能である。
そして、得られた繊維束によって、被研磨基材との接触面積が大きくなるとともに、濡れ性が高くなるこで、研磨レートが向上する。
本発明の研磨パッドは、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、半導体ウエハ、半導体デバイス、液晶部材、光学素子、水晶、光学基板、電子回路基板、電子回路マスク基板、多層配線基板、ハードディスク、MEMS(マイクロ−エレクトロ−メカニカルシステムズ)基材等の研磨に好ましく用いられる。
半導体ウエハや半導体デバイスの具体例としては、例えば、シリコン、酸化シリコン、酸化フッ化シリコン、有機ポリマーなどの絶縁膜;銅、アルミニウム、タングステンなどの配線材金属膜;タンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタンなどのバリアメタル膜を表面に有する基材が挙げられる。
研磨においては、一次研磨、二次研磨(調整研磨)、仕上げ研磨、鏡面研磨等何れの研磨にも用いられる。また、研磨部分としては、基材の表面、裏面、端面のいずれであってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[評価方法]
(1)起毛層を構成する極細繊維束の平均直径、平均起毛長および繊維絡合体の平均繊度の測定方法
表面バフィング研削後の研磨パッドをカッター刃を用いて厚み方向に切断することにより、厚み方向の切断面を形成した。そして、得られた切断面を酸化オスミウムで染色した。そして、前記切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で100〜1000倍で観察し、その画像を撮影した。そして、得られた画像からランダムに選択した100個の断面積を平均した値を平均断面積とし、繊維を形成する樹脂の密度とから平均直径、平均繊度を算出した。また、ランダムに選択した100個の切断面に観察された起毛層における極細繊維束の長さを平均して平均起毛長とした。
また、得られた画像を観察し、繊維束の外周を構成する極細繊維のみならず、内部の極細繊維同士が高分子弾性体によって接着一体化されている状態を「集束」、繊維束の内部に高分子弾性体が存在していないか、あるいは、わずかしか存在しておらず、極細繊維同士が殆ど接着一体化されていない状態を「無」と判断した。
(2)バフィング研削試験
繊維絡合体と高分子弾性体から形成された研磨パッド前駆体として縦40cm×横30cmのサンプルを作成した。そして、コンタクトタイプのバフィング研削機(TS150型上面1連式ワイドベルトサンダー、アミテック株式会社製)を用いて、研削加工砥粒番手♯80〜♯100、研削加工速度3〜15m/分で、表面のバフィング研削を行った。
(3)研磨パッドの見掛け密度、D硬度の測定方法
繊維絡合体と高分子弾性体から形成された研磨パッド前駆体の表面のバフィング研削を行い、縦20cm×横5cmのサンプルを作成した。そして、見掛け密度は、上記サンプルの長さ、質量を測定し、厚みを厚み計「ピーコック」(株式会社尾崎製作所社製)を用いて測定して算出した。D硬度は、定圧荷重器にアスカーゴム硬度計D型(高分子計器株式会社製)、荷重5kgを取り付けて測定を行った(JIS K 6253準拠)。
(4)高分子弾性体のガラス転移温度測定方法
研磨パッドを構成する高分子弾性体を縦4cm×横0.5cm×厚み400μm±100μmのフィルムを作成した。そして、サンプル厚みをマイクロメーターで測定後、動的粘弾性測定装置(DVEレオスペクトラー、(株)レオロジー社製)を用いて、周波数11Hz、昇温速度3℃/分での条件で動的粘弾性の測定を行い、損失弾性率の主分散ピーク温度をガラス転移温度とした。
なお、2種の高分子弾性体を用いる場合は、それぞれ別々にサンプルを作成し測定し、質量比率に乗じた和を高分子弾性体のガラス転移温度とした。
(5)高分子弾性体の23℃および50℃における貯蔵弾性率測定方法
研磨パッドを構成する高分子弾性体を縦4cm×横0.5cm×厚み400μm±100μmのフィルムサンプルを作成した。そして、サンプル厚みをマイクロメーターで測定後、動的粘弾性測定装置(DVEレオスペクトラー、(株)レオロジー社製)を用いて、周波数11Hz、昇温速度3℃/分での条件で23℃および50℃における動的粘弾性率を測定し、貯蔵弾性率を算出した。
なお、2種の高分子弾性体を用いる場合は、それぞれ別々にサンプルを作成し測定し、質量比率に乗じた和を高分子弾性体の貯蔵弾性率とした。
(6)高分子弾性体の吸水率測定方法
高分子弾性体を50℃で乾燥して得られた厚さ200μmのフィルムを、130℃で30分間熱処理した後、20℃、65%RHの条件下に3日間放置したものを乾燥サンプルとし、50℃の水に乾燥サンプルを2日間浸漬した。そして50℃の水から取り出した直後、フィルムの最表面の余分な水滴等をJKワイパー150−S(株式会社クレシア製)にて拭き取った後のものを水膨潤サンプルとした。乾燥サンプルと水膨潤サンプルの質量を測定し、下記式に従って吸水率を求めた。
吸水率(%)=[(水膨潤サンプルの質量−乾燥サンプルの質量)/乾燥サンプルの質量]×100
なお、2種の高分子弾性体を用いる場合は、それぞれ別々にサンプルを作成し測定し、質量比率に乗じた和を高分子弾性体の吸水率とした。
(7)研磨パッドの研磨性能評価
円形状研磨パッドの裏面に粘着テープを貼り付けた後、CMP研磨装置(株式会社野村製作所製「PP0−60S」)に装着した。そして、ナイロンブラシを用いて、圧力20kPa、ブラシ回転数100回転/分の条件で、蒸留水を500mL/分の速度で流しながら1分間研磨パッド表面を研削することによりコンディショニング(シーズニング)を行った。
次に、プラテン回転数50回転/分、ヘッド回転数49回転/分、研磨圧力35kPaの条件において、キャボット社製砥粒スラリーSS25を2倍希釈し、120ml/分の速度で供給しながら、酸化膜表面を有する直径6インチのシリコンウエハを100秒間研磨した。そして、研磨後の酸化膜表面を有するシリコンウエハ面内の任意49点の厚みを測定し、各点における研磨された厚みを研磨時間で除することにより、研磨レート(nm/分)を求めた。そして、49点の研磨レートの平均値を研磨レート(R)を求めた。
そして、下式により研磨レート安定性を評価した。
研磨レート安定性(%)=(研磨レート最大値−研磨レート最小値)/研磨レート平均値×100
次に、前記研磨した研磨パッドを湿潤状態で25℃にて24時間放置し、その後、コンディショニングと研磨とを交互に300回繰り返し、300回目の研磨時の研磨レート(R)および研磨レート安定性を求めた。
また、各研磨後の酸化膜を有するシリコンウエハの表面に存在する0.16μm以上の大きさの傷の数をウエハ表面検査装置Surfscan SP1(KLA−Tencor社製)を用いて、測定することにより、スクラッチ性を評価した。
[参考例1]
水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂という)と、変性度6モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ−ト(50℃で吸水飽和させたときの吸水率1質量%、ガラス転移温度77℃)(以下、変性PETという)とを20:80(質量比)の割合で溶融複合紡糸用口金から吐出することにより、海島型複合繊維を形成した。なお、溶融複合紡糸用口金は、島数が50島/繊維で、口金温度は260℃であった。そして、エジェクター圧力を紡糸速度4000m/分となるように調整して、平均繊度2.0dtexの長繊維をネット上に捕集することにより、目付量40g/mのスパンボンドシート(長繊維ウェブ)が得られた。
得られたスパンボンドシートをクロスラッピングにより12枚重ねて、総目付が480g/mの重ね合わせウェブを作成した。そして、重ね合わせたウェブに、針折れ防止油剤をスプレーした。次に、バーブ数1個でニードル番手42番のニードル針、及びバーブ数6個でニードル番手42番のニードル針を用いて、重ね合わせウェブを1800パンチ/cmでニードルパンチ処理して絡合させることにより、ウェブ絡合シートを得た。得られたウェブ絡合シートの目付量は750g/mであった。また、ニードルパンチ処理による面積収縮率は35%であった。
次に、得られたウェブ絡合シートを70℃、90%RHの条件で90秒間スチーム処理
した。このときの面積収縮率は40%であった。そして、140℃のオーブン中で乾燥させた後、140℃で熱プレスすることにより、目付量1280g/m、見掛け密度0.56g/cm、厚み2.3mmのウェブ絡合シートを得た。
次に、熱プレスされたウェブ絡合シートに、第1のポリウレタン弾性体として、ポリウレタン弾性体Aの水性分散液(固形分濃度20質量%)を含浸させた。なお、ポリウレタン弾性体Aは、非晶性ポリカーボネート系ポリオール(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネートとヘキサメチレンカーボネートからなる共重合ポリオール)と、炭素数2〜3のポリアルキレングリコールを、99.7:0.3(モル比)し、カルボキシル基含有モノマー(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を重量比で1.5wt%含有した軟質(ポリオール)成分を55質量%、硬質成分として、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび短鎖ポリアミン、短鎖ポリオールを重合させた非晶性ポリカーボネート系無黄変型ポリウレタン樹脂である。ポリウレタン弾性体Aの吸水率は3質量%、23℃における貯蔵弾性率は300MPa、50℃における貯蔵弾性率は150MPa、ガラス転移温度は−20℃、水分散液の平均粒径は0.03μmである。このとき水性分散液の固形分付着量はウェブ絡合シートの質量に対して、10%であった。そして、水性分散液が含浸されたウェブ絡合シートを90℃、50%RH雰囲気下で乾燥凝固処理し、さらに、140℃で乾燥処理した。そして、それを140℃で熱プレスすることにより、目付量1340g/m、見掛け密度0.69g/cm、厚み1.95mmのシートを得た。
次に、ポリウレタン弾性体Aが充填されたウェブ絡合シートをニップ処理、及び高圧水流処理しながら95℃の熱水中に10分間浸漬することによりPVA系樹脂を溶解除去し、さらに、乾燥することにより、極細繊維の平均繊度が0.05dtex、目付量1050g/m、見掛け密度0.57g/cm、厚み1.85mmである、ポリウレタン弾性体Aと繊維絡合体との複合体を得た。
そして、前記複合体に、第2のポリウレタン弾性体として、ポリウレタン弾性体B(固形分濃度30質量%)の水性分散液を含浸させた。なお、ポリウレタン弾性体Bは非晶性ポリカーボネート系ポリオール(ヘキサメチレンカーボネートとペンタメチレンカーボネートからなる共重合ポリオール)と炭素数2〜3のポリアルキレングリコールとを99.9:0.1(モル比)で混合した混合物にカルボキシル基含有モノマー(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、を1.5質量%含有する軟質成分を50質量%、硬質成分として、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートと短鎖アミンと短鎖ジオール重合させたポリカーボネート系無黄変型ポリウレタン樹脂100質量部にカルボジイミド系架橋剤5質量部を添加して、熱処理することにより架橋構造を形成させたポリウレタン樹脂である。ポリウレタン弾性体Bの吸水率は2質量%、23℃における貯蔵弾性率は450MPa、50℃における貯蔵弾性率は300MPa、ガラス転移温度は−25℃、水分散液の平均粒径は0.05μmであった。このとき水性分散液の固形分付着量は前記複合体の質量に対して、15質量%であった。次に、水性分散液が含浸された前記複合体を90℃、50%RH雰囲気下で凝固処理し、さらに、140℃で乾燥処理した。そして、それを140℃で熱プレスすることにより、研磨パッドが得られた。得られた研磨パッド前駆体は、目付量1170g/m、見掛け密度0.60g/cm、厚さ1.95mmであった。
得られた研磨パッド前駆体の詳細を表1に示す。
Figure 2011042010
得られた研磨パッド前駆体を、表面平坦化のためのバフィング研削加工を下記実施例および比較例の条件で行い、目付量1000g/m、見掛け密度0.61g/cm、厚さ1.65mmの研磨パッドを得た。
さらに、直径51cmの円形状に切断され、表面に幅2.0mm、深さ1.0mmの溝を格子状に15.0mm間隔で形成することにより、円形状の研磨パッドが得られた。繊維絡合体とポリウレタン弾性体との質量比率は77/23であり、高分子弾性体Aと高分子弾性体Bの比率は40/60であった。得られた研磨パッドを前記評価方法により評価した。
[実施例1]
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯80番のサンドペーパーで研削速度3m/分で行った。
[実施例2]
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯60番のサンドペーパーで研削速度8m/分で行った。
[比較例1]
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯100番のサンドペーパーで研削速度3m/分で行った。
[比較例2]
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯100番のサンドペーパーで研削速度15m/分で行った。
[比較例3]
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯80番のサンドペーパーで研削速度1m/分で行った。
[比較例4]
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯80番のサンドペーパーで研削速度15m/分で行った。
Figure 2011042010
表2から明らかな様に、本発明による実施例1は、研磨レートが高くかつ安定しており、スクラッチが少ないことが判る。それに対して、比較例に例示された様に、本発明の範囲に属さない場合には、研磨レートが低いか、研磨レートが安定しないか、スクラッチが多いことが明らかである。
本発明に関わる研磨パッドは、平坦化や鏡面化が行われる各種デバイス、各種基板等の各種製品、例えば、半導体基板、半導体デバイス、化合物半導体デバイス、化合物半導体基板、化合物半導体製品、LED基板、LED製品、シリコンウエハ、ハードディスク基板、ガラス基板、ガラス製品、金属基板、金属製品、プラスチック基板、プラスチック製品、セラミック基板、セラミック製品等を研磨するための研磨パッドとして用いることができる。

Claims (9)

  1. 長繊維絡合体と高分子弾性体とから形成された研磨パッドの表面加工方法において、砥粒番手が#40番〜#80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理を行い、研削処理後の表面が、平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層を形成することを特徴とする研磨パッドの表面加工方法。
  2. 起毛層の極細繊維束を構成する極細繊維同士が高分子弾性体で実質的に接着して一体化されている請求項1に記載の研磨パッドの表面加工方法。
  3. 研磨パッドの見掛け密度が0.3〜0.8g/cm3であってD硬度が30〜50である請求項1または2に記載の研磨パッドの表面加工方法。
  4. 長繊維絡合体と高分子弾性体の存在割合が質量比で55/45〜95/5である請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面加工方法。
  5. 高分子弾性体のガラス転移温度が−10℃以下、23℃および50℃における貯蔵弾性率が90〜900MPaならびに50℃で吸水飽和させたときの吸水率が0.2〜5質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッドの表面加工方法。
  6. 極細繊維の平均繊度が0.01〜0.8dtexである請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨パッドの表面加工方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨パッドの表面加工方法によって平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層が研磨表面に形成された研磨パッド。
  8. 起毛層の極細繊維束を構成する極細繊維同士が高分子弾性体で実質的に接着して一体化されている請求項7に記載の研磨パッド。
  9. シリコンウエハの研磨処理方法において、請求項7または8に記載の研磨パッドの研磨面をドレッシングブラシを用いてコンディショニング処理を行う工程を含むシリコンウエハの研磨処理方法。
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