JP2011042010A - 研磨パッドの表面加工方法およびそれによって得られる研磨パッド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】長繊維絡合体と高分子弾性体とから形成された研磨パッドの表面加工方法において、砥粒番手が40番〜80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理を行い、研削処理後の表面が、平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層を形成することを特徴とする研磨パッドの表面加工方法。
【選択図】 なし
Description
すなわち、本発明は、(1) 長繊維絡合体と高分子弾性体とから形成された研磨パッドの表面加工方法において、砥粒番手が#40番〜#80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理を行い、研削処理後の表面が、平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層を形成することを特徴とする研磨パッドの表面加工方法である。
得られる研磨パッドはシリコンウエハの研磨処理方法において、スクラッチの発生が少なく、高い研磨レートを有し、ブラシによるコンディショニングとの組み合せに適する。
また、本発明は、研磨パッドの表面加工方法により研磨パッド表面に平均起毛長50〜300μmの極細繊維束の起毛層が形成されることを第2の特徴とする。繊維束の平均起毛長が50μmに満たない場合は、研磨に用いるスラリーが十分に保持されないため研磨レートが低下する。また、極細繊維束の平均起毛長が300μmを超える場合は、研磨処理時において、ドレッシングブラシを用いての異物、汚れおよび砥粒の洗浄・除去効果が低下してスクラッチが発生し易くなる。そして、研磨レートが良好でスクラッチの発生を抑制する観点から、極細繊維束の平均起毛長は50〜250μmの範囲が好ましく、50〜100μmの範囲がより好ましい。
また、本発明は、研磨パッドの表面加工方法に用いる砥粒を含むシートの砥粒番手が、#40番〜#80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理を行うことを第3の特徴とする。砥粒の番手が#80番手を超える場合は、研削力が弱くなるため、研磨パッド表面に繊維束が形成され難くなり、平均直径5〜40μm、平均起毛長が50〜300μmの繊維束の起毛層が得られ難く、研磨に用いるスラリーが十分に保持されないため研磨レートが低下する。なお、上記起毛層を形成することができれば、目の粗い番手からなる砥粒を用いても良いが、最も粗い砥粒の番手は♯40である。研磨レートが良好となりうる前記起毛層形成の砥粒番手は、♯60(番)〜♯80(番)の範囲が好ましい。(なお、砥粒番手はJIS R6001に準じる。)
高分子弾性体の貯蔵弾性率は高分子弾性体の組成、つまり高分子弾性体を構成する硬質成分と軟質成分各々の弾性率およびその質量比率に依存するため、上記範囲の貯蔵弾性率とするためには、硬質成分と軟質成分の組成およびその質量比率を選択することが必要である。例えば、高分子弾性体としてポリウレタン系樹脂を用いる場合には、23℃および50℃の範囲における貯蔵弾性率を90〜900MPaの範囲とするために、ガラス転移温度が−10℃以下、好ましくは−20℃以下のポリオールを選択することが好ましい。
例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などのポリエーテル系ポリオールおよびその共重合体;ポリブチレンセバケートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンセバケート)ジオール、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステル系ポリオールおよびその共重合体;ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、などのポリカーボネート系ポリオールおよびその共重合体;ポリエステルカーボネートポリオール等が挙げられる。また、上記したポリオールの他にも、共重合することによって、ガラス転移温度を−10℃以下にしたポリオールも例示できる。
軟質成分としては、ポリウレタンの弾性率を高めやすいことから、特に分岐を有するポリカーボネートポリオール;ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、或いは、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリノナンメチレンカーボネートジオール、ポリシクロヘキサンカーボネートなどのポリカーボネート系ポリオールを共重合するポリカーボネートポリオール等で代表されるポリカーボネート系ポリオールが好ましい。
研磨スラリー保持性、研磨中の経時安定性の良好な観点から、0.5〜3質量%の範囲がより好ましい。
なお、高分子弾性体の吸水率とは、詳細は後述するが、乾燥処理した高分子弾性体フィルムを室温の水に浸漬して飽和膨潤させたときの吸水率である。また、2種以上の高分子弾性体を含有する場合には各高分子弾性体の吸水率に質量分率を乗じた値の和として理論上算出される。
このような吸水率を有する高分子弾性体は、高分子弾性体を構成する高分子の組成、架橋密度を調整、親水性の官能基の導入およびその量を選択すること等により達成することができる。
例えば高分子弾性体に、カルボキシル基、スルホン酸基および炭素数3以下のポリアルキレングリコール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基を導入することにより、吸水率や親水性を調整することができる。これにより、研磨の際における、研磨パッドの砥粒スラリーに対する濡れ性を向上させることができる。このような親水性基は高分子弾性体を製造する際のモノマー成分として、親水性基を有するモノマー成分を共重合することにより、高分子弾性体に導入することができる。このような親水性基を有するモノマー成分の共重合割合としては、0.1〜10質量%、更には、0.5〜5質量%であることが、吸水による膨潤軟化を最小限に抑えつつ、吸水率や濡れ性を高めることができる点から好ましい。
高分子弾性体は、それぞれ単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ポリウレタン系樹脂が、極細繊維を集束したり、繊維束同士を結着したりするための接着性に優れており、また、研磨パッドの硬度を高め、研磨での経時的安定性に優れている点から好ましい。また、カルボキシル基、スルホン酸基、及び、炭素数3以下のポリアルキレングリコール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有するポリウレタン系樹脂が、研磨パッドの剛性、濡れ性および研磨の際の経時的安定性が高い点から好ましい。
上記範囲とするには、前述の貯蔵弾性率の範囲にするための軟質成分や硬質成分を適宜調整することで達成可能である。
例えば、高分子弾性体としてポリウレタン系樹脂を用いる場合には、−10℃以下のガラス転移温度を有する軟質成分(ポリオール成分)を用いてポリウレタンのガラス転移温度を−10℃とし、硬質成分(イソシアネート成分や鎖伸張剤成分)としては、脂環式ジイソシアネートや芳香族ジイソシアネートと、で代表される短鎖ポリオール、短鎖ポリアミン等の組み合せからなる凝集性が高く弾性率の高い硬質成分を選択し、軟質成分の比率を40〜65質量%、より好ましくは45〜60質量%である。また、軟質成分としては、ポリウレタンの弾性率を高めやすいことから、軟質成分としてはポリカーボネート系ポリオールが好ましい。
高分子弾性体としては、研磨パッドの性能や製造性等の調節のために、2種以上の高分子弾性体を含有しても良いが、その場合の高分子弾性体の23℃〜50℃における貯蔵弾性率は、各高分子弾性体の貯蔵弾性率に質量分率を乗じた値の和として理論上算出する。
本発明の高分子弾性体としては、極細繊維に対する集束性、極細繊維束を拘束結着性が高い点から、水素結合性高分子弾性体が好ましい。水素結合性高分子弾性体を形成する樹脂とは、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等のように、水素結合により結晶化あるいは凝集する高分子弾性体である。水素結合性高分子弾性体は、接着性が高く、繊維束の拘束性を高め、また繊維の抜けを抑制する。
ポリウレタン系樹脂としては、平均分子量200〜6000の高分子ポリオールと有機ポリイソシアネ−トと、鎖伸長剤とを、所定のモル比で反応させることにより得られる各種のポリウレタン系樹脂が挙げられる。
前記高分子ポリオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などのポリエーテル系ポリオールおよびその共重合体;ポリブチレンアジペートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンセバケート)ジオール、イソフタル酸共重合ポリオール、テレフタル酸共重合ポリオール、シクロヘキサノール共重合ポリオール、ポリカプロラクトンジオールなどのポリエステル系ポリオールおよびその共重合体;ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、ポリノナンメチレンカーボネートジオール、ポリシクロヘキサンカーボネートなどのポリカーボネート系ポリオールおよびその共重合体;ポリエステルカーボネートポリオール等が挙げられる。また、必要に応じて、トリメチロールプロパン等の3官能アルコールやペンタエリスリトール等の4官能アルコールなどの多官能アルコール、又は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の短鎖アルコールを併用してもよい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、脂環式ポリカーボネート系ポリオール、直鎖状ポリカーボネート系ポリオール等のポリカーボネート系ポリオールをポリオール成分全量の60〜100質量%を含有する、特には、融点が0℃以下である非晶性ポリカーボネート系ポリオールを、ポリオール成分全量の60〜100質量%を含有することが、研磨で用いるスラリーに対する耐性が高いことから研磨中の経時的な安定性が良好なこと、及び吸水性や貯蔵弾性率を本発明の範囲としやすいこと等から好ましい。具体的には、分岐を有するポリカーボネートポリオール;ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、或いは、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチル−1.8−オクタメチレンカーボネート)ジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリノナンメチレンカーボネートジオール、ポリシクロヘキサンカーボネートなどのポリカーボネート系ポリオールを共重合するポリカーボネートポリオールが例示できる。
また、炭素数5以下、特には炭素数3以下のポリアルキレングリコール基を含有するポリウレタン樹脂は、水に対する濡れ性がとくに良好になる点から0.1〜10質量%程度用いることも好ましい。
また、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)吉草酸などのカルボキシル基含有ジオール等を併用して、ポリウレタン系弾性体の骨格にカルボキシル基などのイオン性基を導入することにより、水に対する濡れ性をさらに向上させることが出来る。
前記モノマー単位が有する官能基と架橋剤の官能基との組み合せとしては、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とシクロカーボネート基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボニル基とヒドラジン誘導体又はヒドラジド誘導体などが挙げられる。これらの中では、カルボキシル基を有するモノマー単位とオキサゾリン基、カルボジイミド基またはエポキシ基を有する架橋剤との組み合せ、水酸基またはアミノ基を有するモノマー単位とブロックイソシアネート基を有する架橋剤との組み合せ、およびカルボニル基を有するモノマー単位とヒドラジン誘導体またはヒドラジド誘導体との組み合せが、架橋形成が容易であり、得られる研磨パッドの剛性や耐磨耗性が優れる点から、特に好ましい。なお、架橋構造は、繊維絡合体にポリウレタン樹脂を付与した後の熱処理工程において形成することが、高分子弾性体の水性液の安定性を維持する点から好ましい。これらの中でも、架橋性能や水性液のポットライフ性が優れ、また安全面でも問題のないカルボジイミド基および/またはオキサゾリン基が特に好ましい。カルボジイミド基を有する架橋剤としては、例えば日清紡績株式会社製「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトV−02」などの水分散カルボジイミド系化合物を挙げることができる。また、オキサゾリン基を有する架橋剤としては、例えば日本触媒株式会社製「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスWS−500」などの水分散オキサゾリン系化合物を挙げることができる。架橋剤の配合量としては、ポリウレタン樹脂に対して、架橋剤の有効成分が1〜20質量%であることが好ましく、1.5〜10質量%であることがより好ましい。
本発明の研磨パッドにおいては、繊維束を形成する極細繊維は、高分子弾性体により集束されている。このように、極細繊維が集束されていることにより、研磨パッドの剛性が高くなる。極細繊維が集束されていない場合には、極細繊維それぞれが動き易くなることから、研磨パッドが柔軟性を帯びるために、高い平坦化性能が得られ難くなる。また、繊維の抜けが多くなり、抜けた繊維に砥粒が凝集しやすくなり、それによりスクラッチが発生しやすくなる。ここで、極細繊維が集束されているとは、繊維束内部に存在する極細繊維の大部分が、繊維束内部に存在する高分子弾性体により接着され拘束されている状態を意味する。
極細繊維の集束・拘束状態および繊維束同士の結着状態は研磨パッドの断面の電子顕微鏡写真により確認することができる。
極細繊維を集束している高分子弾性体および極細繊維束同士を結着している高分子弾性体は非多孔質状であることが好ましい。なお、非多孔質状とは、多孔質状、または、スポンジ状(以下、単に、多孔質状とも言う)の高分子弾性体が有するような空隙(独立気泡)を実質的に有さない状態を意味する。具体的には、例えば、溶剤系ポリウレタンを凝固させて得られるような、微細な気泡を多数有する高分子弾性体ではないことを意味する。集束または結着している高分子弾性体が非多孔質状である場合には、研磨安定性が高くなり、また、研磨時のスラリー屑やパッド屑が空隙に堆積しにくくなるために、摩耗しにくく、また、研磨時のスラリー屑やパッド屑が空隙に堆積しにくくなるために、高い研磨レートを長時間維持することができる。更に、極細繊維に対する接着強度が高くなるために、繊維の抜けに起因するスクラッチの発生を抑制することができる。さらに、より高い剛性が得られるために、平坦化性能に優れた研磨パッドが得られる。
前記繊維の中でも、ガラス転移温度(Tg)が50℃以上、さらには60℃以上であって、吸水率が0.2〜2質量%以下の熱可塑性樹脂からなる繊維が好ましい。前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度がこのような範囲である場合には、より高い剛性を維持することができるために平坦化性能がさらに高くなり、また、研磨の際においても、剛性が経時的に低下することがなく、研磨安定性や研磨均一性に優れた研磨パッドが得られる。ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、工業的な製造上、300℃以下、さらには、150℃以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET、(Tg77℃、吸水率1質量%)、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(Tg67〜77℃、吸水率1質量%)、スルホイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート(Tg67〜77℃、吸水率1〜3質量%)、ポリブチレンナフタレート(Tg85℃、吸水率1質量%)、ポリエチレンナフタレート(Tg124℃、吸水率1質量%)等から形成される芳香族ポリエステル系繊維;テレフタル酸とノナンジオールとメチルオクタンジオール共重合ポリアミド(Tg125〜140℃、吸水率1〜3質量%)等から形成される半芳香族ポリアミド系繊維等が挙げられる。特に、PETおよびイソフタル酸変性PET等の変性PETは、後述する海島型複合繊維からなるウェブ絡合シートから極細繊維を形成する湿熱処理工程において大幅に捲縮するために、緻密で高密度の繊維絡合体を形成することができること、研磨シートの剛性を高めやすいこと、及び、研磨の際に水分による経時変化を発生しにくいこと、等の点からも好ましい。
次に、本発明の研磨パッドの製造方法の一例について詳しく説明する。
本工程においては、はじめに、水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸して得られる海島型複合繊維からなる長繊維ウェブを製造する。
ついて詳しく説明するが、海島型繊維の代わりに多層積層型断面繊維等の公知の極細繊維
発生型繊維を用いてもよい。
PVA系樹脂のケン化度としては、90〜99.99モル%、さらには93〜99.98モル%、とくには、94〜99.97モル%、殊には、96〜99.96モル%の範囲であることが好ましい。前記ケン化度がこのような範囲である場合には、水溶性に優れ、熱安定性が良好で、溶融紡糸性に優れ、また、生分解性にも優れたPVA系樹脂が得られる。
また、前記PVA系樹脂の融点が、前記非水溶性熱可塑性樹脂の融点に比べて低すぎる場合には、溶融紡糸性が低下する点から好ましくない。このような観点から、PVA系樹脂の融点は、前記非水溶性熱可塑性樹脂の融点に比べて60℃以上、さらには、30℃以上低すぎないことが好ましい。
前記非水溶性熱可塑性樹脂としては、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等により、溶解除去または分解除去されない熱可塑性樹脂であって、溶融紡糸が可能な樹脂が好ましく用いられる。
前記非水溶性熱可塑性樹脂の具体例としては、上述した、研磨パッドを構成する極細繊維を形成するために用いられる、各種熱可塑性樹脂が用いられうる。
海島型複合繊維の製造においては、水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とがそれぞれ溶融紡糸され、複合化される。水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂との質量比としては、5/95〜50/50、さらには、10/90〜40/60の範囲であることが好ましい。水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂との質量比がこのような範囲である場合には、高密度の繊維絡合体が得られ、また、極細繊維の形成性にも優れる。
はじめに、水溶性熱可塑性樹脂及び非水溶性熱可塑性樹脂をそれぞれ別々の押出機により溶融混練し、それぞれ異なる紡糸口金から溶融樹脂のストランドを同時に吐出させる。そして、吐出されたストランドを複合ノズルで複合させた後、紡糸ヘッドのノズル孔から吐出させることにより海島型複合繊維を形成する。溶融複合紡糸においては、海島型複合繊維における島数は4〜4000島/繊維、さらには10〜1000島/繊維にすることが、単繊維繊度が小さく、繊維密度の高い繊維束が得られる点から好ましい。
前記海島型複合繊維は冷却装置で冷却された後、エアジェット・ノズルなどの吸引装置を用いて目的の繊度となるように1000〜6000m/分の引き取り速度に相当する速度の高速気流により延伸される。その後、延伸された複合繊維を移動式の捕集面の上に堆積することにより長繊維ウェブが形成される。なお、このとき、必要に応じて堆積された長繊維ウェブを、部分的に圧着してもよい。繊維ウェブの目付量は、20〜500g/m2の範囲であることが均一な繊維絡合体が得られ、また、工業性の点から好ましい。
次に、得られた前記長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成するウェブ絡合工程について説明する。
ウェブ絡合シートは、ニードルパンチや高圧水流処理等の公知の不織布製造方法を用いて長繊維ウェブに絡合処理を行うことにより形成される。以下に、代表例として、ニードルパンチによる絡合処理について詳しく説明する。
はじめに、長繊維ウェブに針折れ防止油剤、帯電防止油剤、絡合向上油剤などのシリコーン系油剤または鉱物油系油剤を付与する。なお、目付ムラを低減させるために、2枚以上の繊維ウェブを、クロスラッパーにより重ね合わせ、油剤を付与してもよい。
その後、例えば、ニードルパンチにより三次元的に繊維を絡合させる絡合処理を行う。
ニードルパンチ処理を行うことにより、繊維密度が高く、繊維の抜けを起こしにくいウェブ絡合シートが得られる。なお、ウェブ絡合シートの目付量は、目的とする研磨パッドの厚さ等に応じて適宜選択されるが、具体的には、例えば、100〜1500g/m2の範囲であることが取扱い性に優れる点から好ましい。
ウェブ絡合シートの層間剥離力は、2kg/2.5cm以上、さらには、4kg/2.5cm以上であることが、形態保持性が良好で、且つ、繊維の抜けが少なく、繊維密度が高い繊維絡合体が得られる点から好ましい。なお、層間剥離力は、三次元絡合の度合いの目安になる。層間剥離力が小さすぎる場合には、繊維絡合体の繊維密度が充分に高くない。また、絡合不織布の層間剥離力の上限は特に限定されないが、絡合処理効率の点から30kg/2.5cm以下であることが好ましい。
また、研磨パッドの硬さを調節する目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記のようにして得られた不織布であるウェブ絡合シートに、さらに極細繊維からなる編物または織物(編織物)を重ねて、ニードルパンチング処理および/または高圧水流処理により絡合処理を行うことにより、編織物が絡合一体化された絡合不織布、例えば、編織物/絡合不織布、絡合不織布/編織物/絡合不織布などの積層構造体をウェブ絡合シートとして用いてもよい。
また、前記編織物を形成する海島型複合繊維の除去成分の具体例としては、例えば、ポリスチレンおよびその共重合体、ポリエチレン、PVA系樹脂、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等が挙げられる。これらの中では、溶解除去する際に大きな収縮を生じる点からPVA系樹脂が好ましく用いられる。
次に、ウェブ絡合シートを湿熱収縮させることにより、ウェブ絡合シートの繊維密度及び絡合度合いを高めるための湿熱収縮処理工程について説明する。なお、本工程においては、長繊維を含有するウェブ絡合シートを湿熱収縮させることにより、短繊維を含有するウェブ絡合シートを湿熱収縮させる場合に比べて、ウェブ絡合シートを大きく収縮させることができ、そのために、極細繊維の繊維密度が特に高くなる。湿熱収縮処理は、スチーム加熱により行うことが好ましい。
スチーム加熱条件としては、雰囲気温度が60〜130℃の範囲で、相対湿度75%以上、さらには相対湿度90%以上で、60〜600秒間加熱処理することが好ましい。このような加熱条件の場合には、ウェブ絡合シートを高収縮率で収縮させることができるので好ましい。なお、相対湿度が低すぎる場合には、繊維に接触した水分が速やかに乾燥することにより、収縮が不充分になる傾向がある。
なお、面積収縮率(%)は、下記式(1):
(収縮処理前のシート面の面積−収縮処理後のシート面の面積)/収縮処理前のシート面の面積×100・・・(1)、により計算される。前記面積は、シートの表面の面積と裏面の面積の平均面積を意味する。
このように湿熱収縮処理されたウェブ絡合シートは、海島型複合繊維の熱変形温度以上の温度で加熱ロールや加熱プレスすることにより、さらに、繊維密度が高められてもよい。
また、湿熱収縮処理前後におけるウェブ絡合シートの目付量の変化としては、収縮処理後の目付量が、収縮処理前の目付量に比べて、1.2倍(質量比)以上、さらには、1.5倍以上で、4倍以下、さらには3倍以下であることが好ましい。
ウェブ絡合シートの極細繊維化処理を行う前に、ウェブ絡合シートの形態安定性を高める目的や、得られる研磨パッドの空隙率を低減させることを目的として、必要に応じて、収縮処理されたウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸及び乾燥凝固させることにより、予め、繊維束を結着させておいてもよい。
本工程においては、収縮処理されたウェブ絡合シートに前記高分子弾性体の水性液を含浸させ、乾燥凝固させることにより、ウェブ絡合シートに高分子弾性体を充填する。水性液の状態で高分子弾性体を含浸させ、乾燥凝固させることにより、高分子弾性体を形成することができる。高分子弾性体の水性液は、高濃度で粘度が低く、含浸浸透性にも優れているために、高充填しやすい。また、繊維に対する接着性にも優れている。従って、本工程により充填された高分子弾性体は、長繊維の海島型複合繊維を強固に拘束する。
高分子弾性体の水性液とは、高分子弾性体を形成する成分を水系媒体に溶解した水性溶液、又は、高分子弾性体を形成する成分を水系媒体に分散させた水性分散液である。なお、水性分散液には、懸濁分散液及び乳化分散液が含まれる。特に、耐水性に優れている点から、水性分散液を用いることがより好ましい。
前記乳化又は懸濁に用いられる界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などのノニオン性界面活性剤などが挙げられる。また、反応性を有する、いわゆる反応性界面活性剤を用いてもよい。また、界面活性剤の曇点を適宜選ぶことにより、ポリウレタン樹脂に感熱ゲル化性を付与することもできる。ただし、多量に界面活性剤を用いた場合には、研磨性能やその経時安定性へ悪影響を与える場合も有る為、必要最小限とするのが好ましい。
高分子弾性体は、研磨スラリーの濡れ性が良好なことから、水性ポリウレタンが好ましく、該水性ポリウレタンが0.01〜0.2μmの平均粒径を有することが好ましい。平均粒径を0.01μm以上とすることで、耐水性が十分となり、研磨中の経時的な安定性に優れる。平均粒径を0.2μm以下とすることで、繊維束の集束力が向上することで、平坦化性の向上や、研磨中のパッド寿命が長くなり、また経時的安定性に優れる。
高分子弾性体の水性液の固形分濃度としては、10質量%以上、さらには、15質量%以上であることが、空隙率を充分に低下させることができる点から好ましい。
前記ウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸させる方法としては、例えば、ナイフコーター、バーコーター、又はロールコーターを用いる方法、または、ディッピングする方法等が挙げられる。
そして、高分子弾性体の水性液が含浸されたウェブ絡合シートを乾燥することにより、高分子弾性体を凝固させることができる。乾燥方法としては、50〜200℃の乾燥装置中で熱処理する方法や、赤外線加熱の後に乾燥機中で熱処理する方法等が挙げられる。
なお、前記ウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸させた後、乾燥する場合、該水性液がウェブ絡合シートの表層に移行(マイグレーション)することにより、均一な充填状態が得られないことがある。このような場合には、水性液の高分子弾性体の粒径を調整すること;高分子弾性体のイオン性基の種類や量を調整すること、あるいは、pH等によってその安定性を調整すること;1価または2価のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、ノニオン系乳化剤、会合型水溶性増粘剤、水溶性シリコーン系化合物などの会合型感熱ゲル化剤、水溶性ポリウレタン系化合物、または熱によってpHを変化させる有機物や無機物などを併用すること等により、40〜100℃程度における水分散安定性を低下させること;等によりマイグレーションを抑制することができる。なお、必要に応じて、高分子弾性体が表面に偏在するようにマイグレーションさせてもよい。
次に、水溶性熱可塑性樹脂を熱水中で溶解することにより、極細繊維を形成する工程である、極細繊維形成工程について説明する。
本工程は、水溶性熱可塑性樹脂を除去することにより極細繊維を形成する工程である。このとき、前記ウェブ絡合シートの水溶性熱可塑性樹脂が溶解抽出された部分に空隙が形成される。そして、この空隙に、後の高分子弾性体充填工程において、高分子弾性体を充填することにより、極細繊維が集束される。また極細繊維束が拘束される。
極細繊維化処理は、ウェブ絡合シート又は、ウェブ絡合シートと高分子弾性体との複合体を、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等で熱水加熱処理することにより、水溶性熱可塑性樹脂を溶解除去、または、分解除去する処理である。
熱水加熱処理条件の具体例としては、例えば、第1段階として、65〜90℃の熱水中に5〜300秒間浸漬した後、さらに、第2段階として、85〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理することが好ましい。また、溶解効率を高めるために、必要に応じて、ロールでのニップ処理、高圧水流処理、超音波処理、シャワー処理、攪拌処理、揉み処理等を行ってもよい。
本工程においては、海島型複合繊維から水溶性熱可塑性樹脂を溶解して極細繊維を形成する際に、極細繊維が大きく捲縮される。この捲縮により繊維密度が緻密になるために、高密度の繊維絡合体が得られる。
次に、極細繊維から形成される極細繊維束内部に高分子弾性体を充填することにより、後工程において研削処理を行って形成される起毛層の極細繊維束を構成する極細繊維同士が高分子弾性体で実質的に接着して一体化される。そして、前記極細繊維を集束するとともに、極細繊維束を拘束し、かつ極細繊維束同士を結着する工程について説明する。
極細繊維形成工程(5)において、海島型複合繊維に極細繊維化処理を施すことにより、水溶性熱可塑性樹脂が除去されて極細繊維束の内部に空隙が形成される。本工程においては、このような空隙に高分子弾性体を充填することにより、極細繊維を集束するとともに、極細繊維束を拘束し、かつ極細繊維束同士を結着することで、研磨パッドの空隙率を低下させることができる。なお、極細繊維が繊維束を形成している場合には、毛細管現象により高分子弾性体の水性液が含浸されやすいので極細繊維はより集束され極細繊維束は拘束されやすい。
本工程に用いられる高分子弾性体の水性液は、繊維束結着工程(4)で説明した高分子弾性体の水性液と同様のものが用いられうる。
本工程において極細繊維から形成される極細繊維束内部に高分子弾性体を充填する方法は、繊維束結着工程(4)で用いられる方法と同様の方法が適用できる。このようにして、研磨パッド(以下、研磨パッド前駆体と称する場合もある。)が形成される。
得られた研磨パッド前駆体は必要に応じて、平坦化処理、成形処理、積層処理、表面処理または洗浄処理等の後加工処理が施されてもよい。
次に、得られた研磨パッドを起毛処理して起毛層を形成する。そして研磨時の経時的な安定性を有するための均一な起毛状態とするために研磨パッドの起毛処理面において押圧をかけることが好ましい。また、起毛処理自体の方法としては、前記砥粒番手が#40番〜#80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理する。この研削処理を行うことで、前記した研磨パッド(前駆体)の表面に平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層を形成しやすい。
砥粒を含むシートは、特に番手が前記範囲内であれば限定することはないが、サンドペーパーがシートの適度なクッション性と硬度を有する点で好ましく用いられる。
そして、得られた繊維束によって、被研磨基材との接触面積が大きくなるとともに、濡れ性が高くなるこで、研磨レートが向上する。
半導体ウエハや半導体デバイスの具体例としては、例えば、シリコン、酸化シリコン、酸化フッ化シリコン、有機ポリマーなどの絶縁膜;銅、アルミニウム、タングステンなどの配線材金属膜;タンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタンなどのバリアメタル膜を表面に有する基材が挙げられる。
研磨においては、一次研磨、二次研磨(調整研磨)、仕上げ研磨、鏡面研磨等何れの研磨にも用いられる。また、研磨部分としては、基材の表面、裏面、端面のいずれであってもよい。
(1)起毛層を構成する極細繊維束の平均直径、平均起毛長および繊維絡合体の平均繊度の測定方法
表面バフィング研削後の研磨パッドをカッター刃を用いて厚み方向に切断することにより、厚み方向の切断面を形成した。そして、得られた切断面を酸化オスミウムで染色した。そして、前記切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で100〜1000倍で観察し、その画像を撮影した。そして、得られた画像からランダムに選択した100個の断面積を平均した値を平均断面積とし、繊維を形成する樹脂の密度とから平均直径、平均繊度を算出した。また、ランダムに選択した100個の切断面に観察された起毛層における極細繊維束の長さを平均して平均起毛長とした。
また、得られた画像を観察し、繊維束の外周を構成する極細繊維のみならず、内部の極細繊維同士が高分子弾性体によって接着一体化されている状態を「集束」、繊維束の内部に高分子弾性体が存在していないか、あるいは、わずかしか存在しておらず、極細繊維同士が殆ど接着一体化されていない状態を「無」と判断した。
繊維絡合体と高分子弾性体から形成された研磨パッド前駆体として縦40cm×横30cmのサンプルを作成した。そして、コンタクトタイプのバフィング研削機(TS150型上面1連式ワイドベルトサンダー、アミテック株式会社製)を用いて、研削加工砥粒番手♯80〜♯100、研削加工速度3〜15m/分で、表面のバフィング研削を行った。
繊維絡合体と高分子弾性体から形成された研磨パッド前駆体の表面のバフィング研削を行い、縦20cm×横5cmのサンプルを作成した。そして、見掛け密度は、上記サンプルの長さ、質量を測定し、厚みを厚み計「ピーコック」(株式会社尾崎製作所社製)を用いて測定して算出した。D硬度は、定圧荷重器にアスカーゴム硬度計D型(高分子計器株式会社製)、荷重5kgを取り付けて測定を行った(JIS K 6253準拠)。
研磨パッドを構成する高分子弾性体を縦4cm×横0.5cm×厚み400μm±100μmのフィルムを作成した。そして、サンプル厚みをマイクロメーターで測定後、動的粘弾性測定装置(DVEレオスペクトラー、(株)レオロジー社製)を用いて、周波数11Hz、昇温速度3℃/分での条件で動的粘弾性の測定を行い、損失弾性率の主分散ピーク温度をガラス転移温度とした。
なお、2種の高分子弾性体を用いる場合は、それぞれ別々にサンプルを作成し測定し、質量比率に乗じた和を高分子弾性体のガラス転移温度とした。
研磨パッドを構成する高分子弾性体を縦4cm×横0.5cm×厚み400μm±100μmのフィルムサンプルを作成した。そして、サンプル厚みをマイクロメーターで測定後、動的粘弾性測定装置(DVEレオスペクトラー、(株)レオロジー社製)を用いて、周波数11Hz、昇温速度3℃/分での条件で23℃および50℃における動的粘弾性率を測定し、貯蔵弾性率を算出した。
なお、2種の高分子弾性体を用いる場合は、それぞれ別々にサンプルを作成し測定し、質量比率に乗じた和を高分子弾性体の貯蔵弾性率とした。
高分子弾性体を50℃で乾燥して得られた厚さ200μmのフィルムを、130℃で30分間熱処理した後、20℃、65%RHの条件下に3日間放置したものを乾燥サンプルとし、50℃の水に乾燥サンプルを2日間浸漬した。そして50℃の水から取り出した直後、フィルムの最表面の余分な水滴等をJKワイパー150−S(株式会社クレシア製)にて拭き取った後のものを水膨潤サンプルとした。乾燥サンプルと水膨潤サンプルの質量を測定し、下記式に従って吸水率を求めた。
なお、2種の高分子弾性体を用いる場合は、それぞれ別々にサンプルを作成し測定し、質量比率に乗じた和を高分子弾性体の吸水率とした。
円形状研磨パッドの裏面に粘着テープを貼り付けた後、CMP研磨装置(株式会社野村製作所製「PP0−60S」)に装着した。そして、ナイロンブラシを用いて、圧力20kPa、ブラシ回転数100回転/分の条件で、蒸留水を500mL/分の速度で流しながら1分間研磨パッド表面を研削することによりコンディショニング(シーズニング)を行った。
水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂という)と、変性度6モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ−ト(50℃で吸水飽和させたときの吸水率1質量%、ガラス転移温度77℃)(以下、変性PETという)とを20:80(質量比)の割合で溶融複合紡糸用口金から吐出することにより、海島型複合繊維を形成した。なお、溶融複合紡糸用口金は、島数が50島/繊維で、口金温度は260℃であった。そして、エジェクター圧力を紡糸速度4000m/分となるように調整して、平均繊度2.0dtexの長繊維をネット上に捕集することにより、目付量40g/m2のスパンボンドシート(長繊維ウェブ)が得られた。
した。このときの面積収縮率は40%であった。そして、140℃のオーブン中で乾燥させた後、140℃で熱プレスすることにより、目付量1280g/m2、見掛け密度0.56g/cm3、厚み2.3mmのウェブ絡合シートを得た。
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯80番のサンドペーパーで研削速度3m/分で行った。
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯60番のサンドペーパーで研削速度8m/分で行った。
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯100番のサンドペーパーで研削速度3m/分で行った。
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯100番のサンドペーパーで研削速度15m/分で行った。
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯80番のサンドペーパーで研削速度1m/分で行った。
前記参考例1の研磨パッド前駆体のバフィング研削処理を砥粒番手♯80番のサンドペーパーで研削速度15m/分で行った。
Claims (9)
- 長繊維絡合体と高分子弾性体とから形成された研磨パッドの表面加工方法において、砥粒番手が#40番〜#80番の砥粒を含むシートを用いて研削処理を行い、研削処理後の表面が、平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層を形成することを特徴とする研磨パッドの表面加工方法。
- 起毛層の極細繊維束を構成する極細繊維同士が高分子弾性体で実質的に接着して一体化されている請求項1に記載の研磨パッドの表面加工方法。
- 研磨パッドの見掛け密度が0.3〜0.8g/cm3であってD硬度が30〜50である請求項1または2に記載の研磨パッドの表面加工方法。
- 長繊維絡合体と高分子弾性体の存在割合が質量比で55/45〜95/5である請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面加工方法。
- 高分子弾性体のガラス転移温度が−10℃以下、23℃および50℃における貯蔵弾性率が90〜900MPaならびに50℃で吸水飽和させたときの吸水率が0.2〜5質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッドの表面加工方法。
- 極細繊維の平均繊度が0.01〜0.8dtexである請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨パッドの表面加工方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨パッドの表面加工方法によって平均直径5〜40μm、平均起毛長50〜300μmの極細繊維束からなる起毛層が研磨表面に形成された研磨パッド。
- 起毛層の極細繊維束を構成する極細繊維同士が高分子弾性体で実質的に接着して一体化されている請求項7に記載の研磨パッド。
- シリコンウエハの研磨処理方法において、請求項7または8に記載の研磨パッドの研磨面をドレッシングブラシを用いてコンディショニング処理を行う工程を含むシリコンウエハの研磨処理方法。
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