JP5551022B2 - 被研磨物のラッピング方法 - Google Patents
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Description
(1)単繊維の平均断面積が0.01〜30μm2の極細長繊維束からなる不織布および高分子弾性体から構成され、
(2)研磨パッドの見掛け密度が0.7〜1.2g/cm3であり、かつ
(3)研磨パッドの研磨面のJIS D硬度が45〜75
また、研磨の際に露出する極細単繊維により、不織布の表面が柔軟になるために、被研磨基材に対する研磨傷が発生しにくくなる。
ポリウレタン系樹脂としては、平均分子量200〜6000の高分子ポリオールと有機ポリイソシアネ−トと、鎖伸長剤とを、所定のモル比で反応させることにより得られる各種のポリウレタン系樹脂が挙げられる。
また、高分子弾性体は、浸透剤、消泡剤、滑剤、撥水剤、撥油剤、増粘剤、増量剤、硬化促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防黴剤、発泡剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、染料、顔料、無機微粒子などをさらに含有してもよい。
このような吸水率を有する高分子弾性体は、高分子弾性体に含まれる樹脂の架橋密度の調整や、樹脂に親水性の官能基を導入すること等により得ることができる。
具体的には、例えば高分子弾性体に含まれる樹脂に、カルボキシル基、スルホン酸基、及び、炭素数3以下のポリアルキレングリコール基からなる群から選ばれる少なくとも1種の親水性基を導入することにより、高分子弾性体の吸水率や親水性を調整することができる。これにより、研磨の際における、研磨パッドの砥粒スラリーに対する濡れ性を向上させることができる。
このような親水性基は高分子弾性体に含まれる樹脂を製造する際のモノマー成分として、親水性基を有するモノマー成分を共重合することにより、樹脂に導入することができる。このような親水性基を有するモノマー成分の共重合割合としては、0.1〜20質量%、更には、0.5〜10質量%であることが、吸水による膨潤軟化を最小限に抑えつつ、吸水率や濡れ性を高めることができる点から好ましい。
本実施形態の研磨パッドは、例えば、
(1)水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸して得られる海島型複合繊維からなる長繊維ウェブを製造するウェブ製造工程、
(2)前記長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成するウェブ絡合工程、
(3)前記ウェブ絡合シートを湿熱収縮させる湿熱収縮処理工程、及び
(5)前記ウェブ絡合シート中の前記水溶性熱可塑性樹脂を熱水中で溶解することにより、極細単繊維からなる極細繊維束を形成する極細繊維形成工程、及び
(6)前記極細繊維形成工程(5)において水溶性熱可塑性樹脂が除去されたウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸及び乾燥凝固させる高分子弾性体充填工程、
を備える研磨パッドの製造方法により得ることができる。であって、
他の一例としては、本実施形態の研磨パッドは、上記の工程(1)〜(3)及び(5)〜(6)に加えて、
(4)前記湿熱収縮処理工程(3)において収縮処理されたウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸及び乾燥凝固させることにより、繊維束を結着させる繊維束結着工程、
を備える研磨パッドの製造方法により得ることができる。
本工程においては、はじめに、水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸して得られる海島型複合繊維からなる長繊維ウェブを製造する。
前記水溶性熱可塑性樹脂としては、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等により、溶解除去または分解除去できる熱可塑性樹脂であって、溶融紡糸が可能な樹脂が好ましく用いられる。このような、水溶性熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂);ポリエチレングリコール及び/又はスルホン酸アルカリ金属塩を共重合成分として含有する変性ポリエステル;ポリエチレンオキシド等が挙げられる。これらの中では、特に、PVA系樹脂が以下の理由により、好ましく用いられる。
PVA系樹脂を水溶性熱可塑性樹脂成分とする海島型複合繊維を用いた場合、極細繊維形成工程(5)においてPVA系樹脂を溶解することにより形成される極細単繊維が大きく捲縮する。このことにより繊維密度が高い不織布が得られる。また、PVA系樹脂を水溶性熱可塑性樹脂成分とする海島型複合繊維を用いた場合、極細繊維形成工程(5)においてPVA系樹脂を溶解させるときに、極細繊維形成工程(5)において形成される極細単繊維や繊維束結着工程(4)において充填される高分子弾性体は実質的に分解または溶解されないので、極細単繊維や高分子弾性体の物性低下が起こりにくい。さらに、環境負荷も小さい。
PVA系樹脂の粘度平均重合度は、200〜500、さらには、230〜470、とくには、250〜450の範囲であることが、安定な海島構造が形成される点、溶融紡糸性に優れた溶融粘度を示す点、及び、溶解時の溶解速度が速い点から好ましい。なお、前記重合度は、JIS−K6726に準じて測定される。
PVA系樹脂のケン化度としては、90〜99.99モル%、さらには93〜99.98モル%、とくには、94〜99.97モル%、殊には、96〜99.96モル%の範囲であることが好ましい。前記ケン化度がこのような範囲である場合には、水溶性に優れ、熱安定性が良好で、溶融紡糸性に優れ、また、生分解性にも優れたPVA系樹脂が得られる。
また、前記PVA系樹脂の融点が、前記非水溶性熱可塑性樹脂の融点に比べて低すぎる場合には、溶融紡糸性が低下する点から好ましくない。このような観点から、PVA系樹脂の融点は、前記非水溶性熱可塑性樹脂の融点に比べて60℃以上低すぎないことが好ましく、30℃以上低すぎないことがより好ましい。
前記非水溶性熱可塑性樹脂としては、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等により、溶解除去または分解除去されない熱可塑性樹脂であって、溶融紡糸が可能な樹脂が好ましく用いられる。
前記非水溶性熱可塑性樹脂は各種添加剤を含有してもよい。前記添加材の具体例としては、例えば、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、滑剤、防汚剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、光沢改良剤、制電剤、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤、無機微粒子等が挙げられる。
前記長繊維ウェブは、例えば、前記水溶性熱可塑性樹脂と前記非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸することにより複合化した後、スパンボンド法により、延伸後、堆積させることにより得られる。このように、スパンボンド法によりウェブを形成することにより、繊維の抜けが少なく、繊維密度が高く、形態安定性が良好な海島型複合繊維からなる長繊維ウェブが得られる。なお、長繊維とは、短繊維を製造するときのような切断工程を経ずに製造された繊維である。
はじめに、水溶性熱可塑性樹脂及び非水溶性熱可塑性樹脂をそれぞれ別々の押出機により溶融混練し、それぞれ異なる紡糸口金から溶融樹脂のストランドを同時に吐出させる。そして、吐出されたストランドを複合ノズルで複合させた後、紡糸ヘッドのノズル孔から吐出させることにより海島型複合繊維を形成する。溶融複合紡糸においては、海島型複合繊維における島数は4〜4000島/繊維、さらには10〜1000島/繊維にすることが、単繊維繊度が小さく、繊維密度の高い繊維束が得られる点から好ましい。
次に、得られた前記長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成するウェブ絡合工程について説明する。
ウェブ絡合シートは、ニードルパンチや高圧水流処理等の公知の不織布製造方法を用いて長繊維ウェブに絡合処理を行うことにより形成される。以下に、代表例として、ニードルパンチによる絡合処理について詳しく説明する。
はじめに、長繊維ウェブに針折れ防止油剤、帯電防止油剤、絡合向上油剤などのシリコーン系油剤または鉱物油系油剤を付与する。なお、目付ムラを低減させるために、2枚以上の繊維ウェブを、クロスラッパーにより重ね合わせ、油剤を付与してもよい。
油剤の種類や量、及び、ニードルパンチにおけるニードル形状、ニードル深度、パンチ数などのニードル条件は、ウェブ絡合シートの層間剥離力が高くなるような条件が適宜選択される。バーブ数は針折れが生じない範囲で多いほうが好ましく、具体的には、例えば、1〜9バーブの中から選ばれる。ニードル深度は重ね合わせたウェブ表面までバーブが貫通するような条件、かつ、ウェブ表面にニードルパンチ後の模様が強く出ない範囲で設定することが好ましい。また、ニードルパンチ数はニードル形状、油剤の種類と使用量等により調整されるが、具体的には、500〜5000パンチ/cm2が好ましい。また、絡合処理後の目付量が、絡合処理前の目付量の質量比で1.2倍以上、さらには、1.5倍以上となるように絡合処理することが、繊維密度が高い不織布が得られ、また、繊維の抜けを低減できる点から好ましい。上限は特に限定されないが、処理速度の低下による製造コストの増大を避ける点で4倍以下であることが好ましい。
また、本実施形態の(2)ウェブ絡合工程では、不織布の硬さを調節する目的で、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記のように長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることにより得られた長繊維ウェブ絡合体に、さらに極細単繊維からなる編物または織物(編織物)を重ねて、ニードルパンチング処理および/または高圧水流処理により絡合処理を行ってもよい。即ち、長繊維ウェブ絡合体をウェブ絡合シートとして用いてもよいが、長繊維ウェブ絡合体に編織物が絡合一体化させた積層構造体、例えば、編織物/長繊維ウェブ絡合体、長繊維ウェブ絡合体/編織物/長繊維ウェブ絡合体などの積層構造体をウェブ絡合シートとして用いてもよい。
次に、ウェブ絡合シートを湿熱収縮させることにより、ウェブ絡合シートの繊維密度及び絡合度合いを高めるための湿熱収縮処理工程について説明する。なお、本工程においては、長繊維を含有するウェブ絡合シートを湿熱収縮させることにより、短繊維を含有するウェブ絡合シートを湿熱収縮させる場合に比べて、ウェブ絡合シートを大きく収縮させることができ、そのために、極細単繊維の繊維密度が特に高くなる。
湿熱収縮処理は、スチーム加熱により行うことが好ましい。
なお、面積収縮率(%)は、下記式(1):
(収縮処理前のシート面の面積−収縮処理後のシート面の面積)/収縮処理前のシート面の面積×100・・・(1)、により計算される。前記面積は、シートの表面の面積と裏面の面積の平均面積を意味する。
このように湿熱収縮処理されたウェブ絡合シートは、海島型複合繊維の熱変形温度以上の温度で加熱ロールや加熱プレスすることにより、さらに、繊維密度が高められてもよい。
極細繊維形成工程(5)においてウェブ絡合シートの極細繊維化処理を行う前に、ウェブ絡合シートの形態安定性を高める目的や、得られる研磨パッドの空隙率を低減させることを目的として、必要に応じて、収縮処理されたウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸及び乾燥凝固させることにより、予め、繊維束を結着させておいてもよい。
本工程においては、収縮処理されたウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸させ、乾燥凝固させることにより、ウェブ絡合シートに高分子弾性体を充填する。水性液の状態で高分子弾性体を含浸させ、乾燥凝固または感熱ゲル化凝固させることにより、高分子弾性体を形成することができる。水分散性のポリウレタン系樹脂は、高濃度で粘度が低く、含浸浸透性にも優れているために、高充填しやすい。また、繊維に対する接着性にも優れている。従って、本工程により充填された高分子弾性体は、長繊維の海島型複合繊維を強固に拘束する。
高分子弾性体の水性液とは、高分子弾性体を形成する成分を水系媒体に分散させた水性分散液、又は高分子弾性体を形成する成分を水系媒体に溶解した水性溶液である。なお、水性分散液には、懸濁分散液及び乳化分散液が含まれる。特に、耐水性に優れている点から、水性分散液を用いることがより好ましい。
高分子弾性体としては、極細単繊維に対する結着性が高い点から、水素結合性高分子弾性体が好ましい。水素結合性高分子弾性体を形成する樹脂とは、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等のように、水素結合により結晶化あるいは凝集する樹脂である。水素結合性高分子弾性体は、接着性が高く、不織布の形態保持性を向上させ、また、繊維の抜けを抑制する。
以下に、高分子弾性体に含まれる樹脂としてポリウレタン系樹脂を用いる場合について、代表例として詳しく説明する。
高分子弾性体の水性液の固形分濃度としては、15質量%以上、さらには、25質量%以上であることが、空隙率を充分に低下させることができる点から好ましい。
前記ウェブ絡合シートに高分子弾性体の水性液を含浸させる方法としては、例えば、ナイフコーター、バーコーター、又はロールコーターを用いる方法、または、ディッピングする方法等が挙げられる。
そして、高分子弾性体の水性液が含浸されたウェブ絡合シートを乾燥することにより、高分子弾性体を凝固させることができる。乾燥方法としては、50〜200℃の乾燥装置中で熱処理する方法や、赤外線加熱の後に乾燥機中で熱処理する方法等が挙げられる。
次に、水溶性熱可塑性樹脂を熱水中で溶解することにより、極細単繊維からなる極細繊維束を形成する工程である、極細繊維形成工程について説明する。
本工程は、水溶性熱可塑性樹脂を除去することにより極細単繊維からなる極細繊維束を形成する工程である。このとき、前記ウェブ絡合シートの水溶性熱可塑性樹脂が溶解抽出された部分に空隙が形成される。そして、この空隙に、後の高分子弾性体充填工程(6)において、高分子弾性体を充填することにより、極細単繊維が集束される。
極細繊維化処理は、湿熱収縮処理工程(3)を経て得たウェブ絡合シート又は、繊維束結着工程(4)を経て得たウェブ絡合シートと高分子弾性体との複合体を、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等で熱水加熱処理することにより、水溶性熱可塑性樹脂を溶解除去、または、分解除去する処理である。
熱水加熱処理条件の具体例としては、例えば、第1段階として、65〜90℃の熱水中に5〜300秒間浸漬した後、さらに、第2段階として、85〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理することが好ましい。また、溶解効率を高めるために、必要に応じて、ロールでのニップ処理、高圧水流処理、超音波処理、シャワー処理、攪拌処理、揉み処理等を行ってもよい。
本工程においては、海島型複合繊維から水溶性熱可塑性樹脂を溶解して極細単繊維を形成する際に、極細繊維が大きく捲縮される。この捲縮により繊維密度が緻密になるために、高密度の不織布が得られる。
次に、極細単繊維から形成される極細繊維束内部に高分子弾性体を充填することにより、前記極細単繊維を集束するとともに、繊維束同士を結着する工程について説明する。
極細繊維形成工程(5)において、海島型複合繊維に極細繊維化処理を施すことにより、水溶性熱可塑性樹脂が除去されて極細繊維束の内部に空隙が形成される。本工程においては、このような空隙に高分子弾性体を充填することにより、極細単繊維を集束するとともに、研磨パッドの空隙率を低下させることができる。なお、極細単繊維が繊維束を形成している場合には、毛細管現象により高分子弾性体の水性液が含浸されやすいので極細単繊維はより集束されて拘束されやすい。
本工程に用いられる高分子弾性体の水性液は、繊維束結着工程(4)で説明した高分子弾性体の水性液と同様のものが用いられうる。
本工程において極細単繊維から形成される極細繊維束内部に高分子弾性体を充填する方法は、繊維束結着工程(4)で用いられる方法と同様の方法が適用できる。このようにして、研磨パッドが形成される。
そして、本発明では、高分子弾性体を付与する方法として、繊維束結着工程(4)および高分子弾性体充填工程(6)の少なくとも1つの工程を行えばよく、両工程を行うことが、前記したそれぞれの理由から好ましい。
得られた研磨パッドは、必要に応じて、成形処理、平坦化処理、起毛処理、積層処理、及び表面処理等の後加工処理が施されてもよい。
前記成形処理、及び平坦化処理は、得られた研磨パッドを研削により所定の厚みに熱プレス成形したり、所定の外形に切断したりする加工である。研磨パッドとしては、厚み0.5〜3mm程度に研削加工されたものであることが好ましい。
前記積層処理とは、得られた研磨パッドを基材に張り合わせて積層化することにより剛性を調整する処理である。例えば、研磨パッドを硬度の低い弾性体シートと積層することにより、被研磨面のグローバル平坦性(非研磨基材全体の平坦性)をさらに向上させることができる。なお、積層の際の接着は、溶融接着でも、接着剤や粘着剤を介した接着であってもよい。前記基材の具体例としては、例えば、ポリウレタン等からなる弾性スポンジ体;ポリウレタンを含浸した不織布(例えば、ニッタ・ハース(株)製の商品名Suba400);天然ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴムなどのゴムやポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーからなる弾性樹脂フィルム;発泡プラスチック;編物、織物等のシート状基材が挙げられる。
また、前記表面処理は、砥粒スラリーの保持性や排出性を調整するために研磨パッド表面に、格子状、同心円状、渦巻き状等の溝や孔を形成する処理である。
また、砥粒スラリーは、必要に応じて、砥粒に塩基、酸、界面活性剤などの成分を含有した砥粒組成物からなるものでもよい。また、本実施形態の研磨方法では、CMPを行うに際し、必要に応じ、研磨スラリーと共に、潤滑油、冷却剤などを供給してもよい。
砥粒スラリーにおける砥粒の含有量は、研磨パッドに対して、あまりに少ないと研磨レートが低下する傾向があり、反対にあまりに多いと砥粒の分散安定性が低下する傾向がありコスト高にもなることから、研磨パッドに対して0.001質量%〜25質量%であることが好ましく、0.005質量%〜15質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜13質量%であることがさらに好ましい。
ラッピング装置は、特に限定せず、公知の装置およびラッピング条件を適宜使用可能であり、被研磨物を押し付けながら相対運動させることが好ましい。押付け時の荷重は0.08kg/cm2以上がラッピング均一性の点で好ましく、0.1kg/cm2以上がより好ましく、0.15kg/cm2以上がさらに好ましい。上限は特に限定しないが、研磨傷を発生させ難い点で、5kg/cm2以下が好ましく、1kg/cm2以下がより好ましい。
水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂という)と、変性度6モル%のイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレ−ト(以下、変性PETという:Tg77℃、吸水率1質量%、公定水分率0.4質量%)とを25:75(質量比)の割合で溶融複合紡糸用口金から吐出することにより、海島型複合繊維を形成した。なお、溶融複合紡糸用口金は、島数が25島/繊維で、口金温度は260℃であった。そして、エジェクター圧力を紡糸速度4000m/minとなるように調整して、平均繊度2.0dtexの長繊維をネット上に捕集することにより、目付量30g/m2のスパンボンドシート(長繊維ウェブ)が得られた。
得られたスパンボンドシートをクロスラッピングにより16枚重ねて、総目付が480g/m2の重ね合わせウェブを作製した。そして、得られた重ね合わせウェブに、針折れ防止油剤をスプレーした。次に、バーブ数1個でニードル番手42番のニードル針、及びバーブ数6個でニードル番手42番のニードル針を用いて、重ね合わせウェブを1800パンチ/cm2でニードルパンチ処理して絡合させることにより、ウェブ絡合シートを得た。得られたウェブ絡合シートの目付量は740g/m2、層間剥離力は10.0kg/2.5cmであった。また、ニードルパンチ処理による面積収縮率は35%であった。
次に、高分子弾性体を形成するための第1の樹脂であるポリウレタン樹脂A(ポリカーボネート系ポリオールと、炭素数2〜3のポリアルキレングリコールと、炭素数4のポリアルキレングリコールとを、6:0.5:3.5(モル比)で混合したポリカーボネート/ポリエーテル(6/4)系ポリオールをポリオール成分とする無黄変型ポリウレタン樹脂である。ポリウレタン樹脂Aの吸水率は5質量%、150℃における貯蔵弾性率[E(150℃、dry)]は60MPaである。)の水性分散液(固形分濃度25質量%)を熱プレス後のウェブ絡合シートに水性分散液の固形分付着量はウェブ絡合シートの質量に対して12%となるように含浸し、水性分散液が含浸されたウェブ絡合シートを90℃、50%RH雰囲気下で乾燥凝固処理し、さらに、140℃で乾燥処理した。得られたウェブ絡合シートを構成する海島型複合繊維はポリウレタン樹脂Aによって予め結着したものであった。
次にポリウレタン樹脂Aが結着したウェブ絡合シートを高圧水流処理及びニップ処理しながら95℃の熱水中に10分間浸漬することによりPVA系樹脂を溶解除去し、さらに、乾燥することにより、極細繊維束がポリウレタン樹脂Aによって結着された不織布を得た。
海島型複合繊維の製造において、PVA系樹脂と変性PETの比率を25:75とする代わりに、15:85とし、また、第1の樹脂(ポリウレタン樹脂A)の水性分散液、及び第2の樹脂(ポリウレタン樹脂B)の水性分散液固形分濃度をそれぞれ50質量%とした以外は、実施例12と同様にして研磨パッドを得た。得られた研磨パッドは、目付量1900g/m2、見掛け密度1.12g/cm3、厚み1.7m、研磨パッド充填率90%、不織布とポリウレタン弾性体との質量比率は58/42であった。得られた研磨パッドを後述する評価方法により評価した。結果を表1に示す。
第2の樹脂(ポリウレタン樹脂B)の水性分散液固形分濃度を10%に変更した以外は、実施例1と同様に研磨パッドを製造した。得られた研磨パッドは、目付量1120g/m2、見掛け密度0.80g/cm3、厚み1.4m、研磨パッド充填率62%、不織布とポリウレタン弾性体との質量比率は78/22であった。得られた研磨パッドを後述する評価方法により評価した。結果を表1に示す。
海島型複合繊維を形成するために、島数25島/繊維の溶融複合紡糸用口金を用いる代わりに、島数5島/繊維の溶融複合紡糸用口金を用いた以外は実施例2と同様にして研磨パッドを得た。得られた研磨パッドは、目付量1580g/m2、見掛け密度0.88g/cm3、厚み1.8m、SEMによる観察から、表面の繊維密度は700本/mm2であった。得られた研磨パッドを後述する評価方法により評価した。結果を表1に示す。
PVA系樹脂と変性PETとを40:60(質量比)の割合で溶融複合紡糸用口金から吐出することにより、海島型複合繊維を形成した。そして得られた海島型複合繊維を延伸及び捲縮した後、カットすることにより、繊度6dtex、繊維長51mmの短繊維を得た。得られた短繊維をカード及びクロスラッパーすることにより、目付量30g/m2の短繊維ウェブが得られた。
実施例1の海島型複合繊維からなるスパンボンドシートを用いる代わりに、平均繊度0.2dtexのPET長単繊維をネット上に捕集して得られた目付量30g/m2のスパンボンドシートを用い、PVA系樹脂の溶解除去工程を省略した以外は、実施例1と同様にして研磨パッドを得た。SEMによる断面観察から、得られた研磨パッドの極細単繊維は、繊維束を形成していなかった。得られた研磨パッドを後述する評価方法により評価した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして製造された、熱プレスされたウェブ絡合シートに、ポリウレタン樹脂Aの水性分散液(固形分濃度40質量%)を含浸させた。このとき水分散液の固形分付着量はウェブ絡合シートの質量に対して、30質量%であった。そして、水分散液が含浸されたウェブ絡合シートを90℃、50%RH雰囲気で凝固処理し、さらに、140℃で乾燥処理した。そして、バフィング処理を行って表面と裏面とを平坦化した。次に、ポリウレタン樹脂Aが充填されたウェブ絡合シートを95℃の熱水中に10分間浸漬してPVA系樹脂を溶解除去し、さらに、乾燥することにより研磨パッドを得た。得られた研磨パッドを後述する評価方法により評価した。結果を表1に示す。
実施例1の海島型複合繊維からなるスパンボンドシートを用いる代わりに、平均繊度2dtexのPET長繊維をネット上に捕集して得られたスパンボンドシートを用い、PVA系樹脂の溶解除去工程を省略した以外は、実施例1と同様にして研磨パッドを得た。得られた研磨パッドを後述する評価方法により評価した。結果を表1に示す。
レーヨン織布の片面に粘着加工を施した日本エンギス社製ポリシングクロス(HYPREZ:415)を用いて評価した。結果を表1に示す
研磨定盤に研磨パッドを貼り付けず、ウエハをそのまま研磨した。
得られた研磨パッドは以下の評価方法により評価した。
(1)極細単繊維の平均断面積
得られた不織布をカッター刃を用い厚み方向に切断することにより、厚み方向の切断面を形成した。そして、得られた切断面を酸化オスミウムで染色した。そして、前記切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)の倍率500〜1000倍で観察し、その画像を撮影した。そして、得られた画像から切断面に存在する極細単繊維の断面積を求めた。ランダムに選択した100個の断面積を平均した値を平均断面積とした。
JIS K7112に準じて、得られた不織布の見掛け密度を測定した。
不織布の23℃におけるJIS−D硬度をJIS K7311に準じて測定した。
不織布を、JIS L1096の8.17.3C(テーバー形式)に準じ、摩耗輪をH−22、荷重500g、1000回にて摩耗減量を測定した。
150mg/1000回を上回る摩耗減量の場合は×、それ以下を○と判定した。
円形状不織布の裏面に粘着テープを貼り付けた後、CMP研磨装置(株式会社エム・エー・ティー社製「BC−15」)に装着した。そして、50ccの水を定量スプレーで噴霧し、不織布表面を水分で濡れた状態にした。次いで、多結晶ダイヤモンド砥粒水分散液(Komet社1-W2-PC-STD)の平均粒径1.0μm:光子相関法で求めた自己相関関数よりキュムラント法で平均粒子径を求めた。)を1cc/min.で追加噴霧し、SiCウエハ(Tanke Blue社製2インチ、厚み0.4mm)を研磨ヘッドに装着し15分間ラッピングした。このときの荷重は0.15(kgf / cm2)でプラテン回転数:40(rpm)、ウエハ回転数39(rpm)とした。研磨レートは研磨前後の重量を測定してその重量減量により研磨レートに換えた。
研磨レートが30mg/hr未満の場合、ラッピング効率が著しく低下する為判定を×とし、それ以上であれば○と判定した。
また、研磨傷については、倍率を200倍に設定したScalar社製デジタルマイクロスコープによってウエハ表面を観察し、無傷なものを○、若干傷(ウエハ上に5本以下)が確認できるものを△、多数傷が確認できるものを×(ウエハ上に6本以上)として評価した。
Claims (5)
- 金属製ラッピング用定盤上に下記(1)〜(3)を満足する研磨パッドを貼り付け、被研磨物と該研磨パッドの間に研磨用砥粒を供給してラッピングすることを特徴とする被研磨物のラッピング方法。
(1)単繊維の平均断面積が0.01〜30μm2の極細長繊維束からなる不織布および高分子弾性体から構成され、
(2)研磨パッドの見掛け密度が0.7〜1.2g/cm3であり、かつ
(3)研磨パッドの研磨面のJIS D硬度が45〜75 - 不織布と高分子弾性体との質量比率が、90/10から55/45である請求項1記載の被研磨物のラッピング方法。
- 高分子弾性体が、ポリウレタン樹脂組成物である請求項1または2記載の被研磨物のラッピング方法。
- 高分子弾性体が、水分散性ポリウレタン樹脂組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の被研磨物のラッピング方法。
- 不織布を構成する極細長繊維束がポリアミド、ポリエステル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびアクリル繊維からなる少なくとも一種から選ばれる請求項1〜4のいずれか1項に記載の被研磨物のラッピング方法。
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