JP7088647B2 - 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨パッド及び研磨パッドの製造方法に関する。
半導体デバイスの製造において、優れた平坦性を有する表面を形成するための研磨方法として、CMP(Chemical Mechanical Polishing)が広く用いられている。CMPでは、研磨パッドと被研磨面とを摺動させながら、研磨パッドの表面に必要に応じて砥粒成分と酸化剤、キレート剤、酸性又はアルカリ性等の化学成分を含む研磨液を流下させつつ、研磨を行う。
研磨パッドには、求められる研磨特性に応じて種々の材質のものが用いられる。一般に、仕上げ用の研磨パッドには、湿式凝固法で形成された熱可塑性ポリウレタン製の発泡シートが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
特許第5733497号明細書
特許文献1に記載の研磨パッドは、湿式凝固法によって得られたものであるため、マトリックス樹脂中に大小の空隙を有する多孔質構造であることから他の方法により得られる研磨パッドと比べて軟らかく被研磨物面の表面欠陥(具体的には、スクラッチと呼ばれる引っ掻き傷状の表面欠陥)を低減させることができるが、被研磨物面の局所的な平坦性の悪さが問題となる。平坦性の低下には、大別して、ディッシングと呼ばれる主に幅広配線パターンで配線断面が皿状にくぼむ現象に起因するものと、エロージョンと呼ばれる主に微細配線部で銅(Cu)と共に絶縁膜も削れてしまう現象に起因するものとがある。これらの現象による平坦性の低下は、Cu配線の抵抗値の増加につながり、デバイスの信頼性を低下させる。
このような平坦性の低下に対して、湿式凝固法により得られる研磨パッドの硬度を向上させることが考えられる。しかしながら、単に使用する樹脂の100%モジュラスを上げて樹脂の硬さを向上させるのみでは、研磨時のドレス処理や被研磨物の当接でずり応力が働くことにより研磨面の開口が塞がり平滑化しやすいため、スラリー保持性が低下し、硬度の低い従来の湿式研磨パッドよりも研磨レートが低下する。
また、樹脂に架橋構造を導入し硬度を向上させる場合、例えば、イソシアネート基をブロック剤で保護したブロックイソシアネート化合物の導入が知られている。ブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート化合物の1種以上と、活性水素を有する化合物であるブロック化剤の1種以上とを反応して得られるものである。このブロックイソネート化合物は、加熱により、成膜樹脂中に含有されているブロックイソシアネート化合物からブロック化剤が解離して反応性を有するイソシアネート基が再生する。このイソシアネート基がポリウレタン樹脂の末端の活性水素、ウレタン結合やウレア結合を構成する活性水素と反応することでポリウレタン樹脂に架橋結合が形成される。しかし、ブロック化剤を解離する際の加熱条件では、140~180℃の加熱雰囲気下で5~30分間の熱処理を行うため、マトリックス樹脂であるポリウレタン樹脂の弾性が低下し劣化してしまう。さらにまた、ブロック剤として用いられているオキシム類やアルコール類は、加熱によってイソシアネート基が再生する際、脱離したブロック剤が揮散してしまうと、揮発性有機化合物(VOC)となるため、作業環境に悪影響を及ぼすため好ましくない。上記のとおり、従来技術では、ディッシングやエロージョンの悪化が十分に抑制され、安定した研磨レートで研磨加工ができる研磨パッドを得ることができない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ディッシングやエロージョンの悪化が十分に抑制され、安定した研磨レートで研磨加工ができる研磨パッド及び研磨パッドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、所定の硬度を有し、さらに貯蔵弾性率において所定の挙動を示す研磨パッドが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
研磨面を有する樹脂層を備える研磨パッドであって、
前記樹脂層が、湿式凝固を経て形成され、
前記研磨パッドのショアA硬度が、60~90°であり、
動的粘弾性測定装置を用い、試験方向を圧縮モードとし、初期荷重を11gとし、荷重モードを一定荷重とし、歪を0.10%とし、周波数を10Hzとし、30℃から昇温速度3℃/minで150℃まで昇温して温度毎に前記研磨パッドの貯蔵弾性率E’を測定したとき、得られる前記研磨パッドの30℃における貯蔵弾性率E’30が、70℃における貯蔵弾性率E’70よりも小さい、研磨パッド。
[2]
ポリウレタン樹脂と水分散型イソシアネート系架橋剤と溶媒とを含む樹脂溶液を、湿式凝固に供する工程を有する、研磨パッドの製造方法。
本発明によれば、ディッシングやエロージョンの悪化が十分に抑制され、安定した研磨レートで研磨加工ができる研磨パッド及び研磨パッドの製造方法を提供することが可能となる。
実施例1及び比較例1に係る研磨パッドを貯蔵弾性率測定に供した結果を対比して示すグラフである。 研磨後の実施例1の研磨パッド表面を200倍に拡大した電子顕微鏡写真である。 研磨後の比較例1の研磨パッド表面を200倍に拡大した電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態のみに限定されない。
[研磨パッド]
本実施形態の研磨パッドは、被研磨物を研磨するための研磨面を有する樹脂層を備える研磨パッドであって、前記樹脂層が、湿式凝固を経て形成され、前記研磨パッドのショアA硬度が、60~90°であり、動的粘弾性測定装置を用い、試験方向を圧縮モードとし、初期荷重を11gとし、荷重モードを一定荷重とし、歪を0.10%とし、周波数を10Hzとし、30℃から昇温速度3℃/minで150℃まで昇温して温度毎に前記研磨パッドの貯蔵弾性率E’を測定したとき、得られる前記研磨パッドの30℃における貯蔵弾性率E’30が、70℃における貯蔵弾性率E’70よりも小さい。
本実施形態の研磨パッドが、ディッシングやエロージョンの悪化が十分に抑制され、安定した研磨レートで研磨加工ができる理由としては、以下に説明する内容に限定する趣旨ではないが、次のとおりと推察される。
通常、湿式凝固に使用される熱可塑性樹脂は、温度が高くなると樹脂組成物の流動性が高くなり、弾性が低下し、さらに圧力が加わると、樹脂組成物が塑性変形し、引き伸ばされた樹脂が元に戻らなくなる傾向にある。特に、研磨時には研磨圧をかけながら研磨加工を続けるため、研磨表面の開口付近の樹脂が伸ばされ、研磨時の摩擦熱により弾性が低下し、伸ばされた樹脂が戻らなくなる傾向が顕著となる。特に、湿式凝固法による硬度の大きい研磨パッドでは、塑性変形した樹脂がその後の研磨でもちぎれることなく存在しやすく、研磨表面の開口を塞ぎ表面を平滑化させる結果、スラリーの保持性が低下して研磨レートが低下する。
一方、本実施形態の研磨パッドは、40~70℃の研磨温度に対して、貯蔵弾性率が低下せず、加えた変位を取り除いたときに元の形へ戻ることのできる弾性を保持している。そのため、樹脂が伸ばされても元に戻ることができ、研磨表面の開口を維持することができる。したがって研磨レートの低下を抑制できる。この70℃までの温度上昇に伴う貯蔵弾性率の上昇は、架橋反応が進むことによるものではなく、架橋反応後の不均一な分子配向が温度上昇により緩和されることによるものではないかと考えられる。また、ショアA硬度が60~90°と高いため、ディッシングやエロージョン特性も向上させることができる。
上記のようにして測定される30℃と70℃における貯蔵弾性率を比較したとき、本実施形態の研磨パッドにおいては、30℃における貯蔵弾性率E’30が、70℃における貯蔵弾性率E’70よりも小さい。このような関係は、貯蔵弾性率の比(E’70/E’30)で評価することができ、好ましくは1.1~2.5であり、より好ましくは1.2~2.0である。
貯蔵弾性率は、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。また、以下に限定されないが、後述する好ましい製造方法に基づいて研磨パッドを製造することにより、30℃における貯蔵弾性率E’30を、70℃における貯蔵弾性率E’70よりも小さくすることができる。
研磨パッドのショアA硬度は、被研磨物(以下、単に「ワーク」ともいう。)との良好な追従性を確保する観点及び研磨パッドの変形防止の観点から、60°~90°であり、65~85°であるとより好ましい。ショアA硬度は、バネを介して厚さ4.5mm以上の試験片(研磨パッドが4.5mm未満の厚さである場合は、厚さが4.5mm以上になるまで研磨パッドを重ねて試験片を得る。)の表面に押針(測定子)を押し付け30秒後の押針の押し込み深さから求められる。これを3回行って相加平均からショアA硬度が求められる。ショアA硬度は、例えば、後述の好ましい製造方法において、樹脂モジュラスの高い樹脂を使用する、厚みを薄くする、発泡の大きさを小さくする等で圧縮しにくくすることにより、高くなる傾向にある。
本実施形態の研磨パッドは、湿式凝固を経て形成される樹脂層を備える。湿式凝固とは、樹脂溶液を、樹脂に対して貧溶媒である凝固液に浸漬することで樹脂を凝固再生させる方法である。湿式凝固により形成される樹脂層は、通常、特有のスキン層と、当該スキン層に接する発泡層とを有している。スキン層は緻密な皮膜層として形成されている。発泡層は、スキン層近傍に位置する小発泡に加えて、当該小発泡よりも大きな大発泡を有している。この大発泡は、樹脂層の厚み方向に縦長となりスキン層とは逆側で丸みを帯びた円錐状(断面縦長の三角状)に形成された発泡であって、樹脂層の上部から下部(基材と接する側)に向けて孔径が漸増する構造を有する。
上述した各発泡は、網目状に連通しており、本実施形態における樹脂層は、大小発泡が連続状に形成された連続発泡構造を有するものといえる。
本実施形態の研磨パッドは、湿式凝固により形成される樹脂層において、スキン層側をバフ処理したものであってもよく、スキン層と反対側をバフ処理したものであってもよく、両面がバフ処理されたものであってもよい。本実施形態の研磨パッドは、上記バフ処理の後、あるいは上記バフ処理を行わず、さらに溝加工を施したものであってもよい。溝加工では、樹脂層の研磨面となる側に、切削加工又はエンボス加工を施して溝を形成する。溝の断面形状は特に限定されず、円弧状であってもよく、U字状、V字状、矩形状、台形状及びその他の多角形状であってもよく、これら2種以上の形状の組み合わせであってもよい。また、溝パターンも特に制限されず、例えば、格子状、放射状、同心円状及び渦巻状、並びにこれらのうち2種以上の組み合わせであってもよい。更にまた、溝の深さ及び幅、並びに隣り合う溝の間隔(ピッチ)は特に限定されないが、研磨パッドの機械的強度、及び被研磨物と当接する研磨面の面積を確保する観点、並びに、スラリーを研磨パッドの全面により効率的且つ確実に行き渡らせると共に系外に排出する観点から、深さは樹脂層厚みの50~85%であると好ましく、幅は0.5~5.0mmであると好ましく、間隔は2.0~20mmであると好ましい。深さ、幅及び間隔が上記の範囲内であれば、研磨屑をより円滑に排出できるため、スクラッチの発生を一層抑えることができる。
研磨パッドの圧縮率は、ワークとの良好な追従性を確保する観点及び研磨パッドの変形防止の観点から、2~10%であると好ましく、2.5~8%であるとより好ましい。圧縮率は日本工業規格(JIS L 1021)に準拠して、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を用いて求められる。具体的には、初荷重で30秒間加圧した後の厚さt0を測定し、次に最終荷重の下で5分間放置後の厚さt1を測定する。これらから、圧縮率を下記式により算出する。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とする。
圧縮率(%)=(t0-t1)/t0×100
圧縮率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、例えば、ポリウレタン中に存在するウレタン結合およびウレア結合の比率を高めたり、ポリウレタンが発泡体である場合にはその気孔率を上げたりすることにより、高くなる傾向にある。
研磨パッドの圧縮弾性率は、ワークとの良好な密着性を確保する観点及び研磨パッドの変形防止の観点から、60~90%であると好ましく、65~85%であるとより好ましい。圧縮弾性率は、日本工業規格(JIS L 1021)に準拠し、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることができる。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終荷重を30秒間かけた後の厚さt1を測定する。次に、厚さt1の状態から全ての荷重を除き、5分間放置(無荷重状態とした)後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt0’を測定する。これらから、圧縮弾性率を下記式により算出する。このとき、初荷重は100g/cm2、最終荷重は1120g/cm2とする。
圧縮弾性率(%)=100×(t0’-t1)/(t0-t1
圧縮弾性率は、例えば、後述の好ましい製造方法において、添加剤の量を調整することにより、高くすることができる。
研磨パッドの密度は、研磨パッドの永久歪みを抑制する観点及びワークとの接触面積の増大による作用点の圧力低下を抑制する観点から、0.4~0.65g/cm3であると好ましく、0.45~0.60g/cm3であるとより好ましい。なお、研磨パッドを構成するポリウレタン樹脂シートの密度は、0.20~0.45g/cm3であると好ましく、0.25~0.40g/cm3であると好ましい。密度は、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。具体的には、試料片の質量を自動天秤で測定後、下記式により密度を算出し、3枚の試料片の相加平均を求める。
密度(g/cm3)=質量(g)/(10(cm)×10(cm)×試料片の厚さ(cm))
本実施形態における樹脂層を構成する樹脂は、湿式凝固に用いられ得るものであれば特に限定されず、例えば、ポリウレタン樹脂が挙げられ、従来の研磨パッドの樹脂シート部分に用いられるものであってもよい。これらの中では、本実施形態の目的を一層有効且つ確実に奏する観点から、ポリウレタン樹脂が好ましく、マトリックス樹脂がポリウレタン樹脂を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことが更に好ましく、95質量%以上含むことが特に好ましい。ポリウレタン樹脂の種類に特に制限はなく、種々のポリウレタン樹脂の中から使用目的に応じて選択すればよい。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、又はそれらの共重合系、混合系の樹脂を用いることができる。ポリエステル系の樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコールやブチレングリコール等とアジピン酸等とのポリエステルポリオールと、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート等のジイソシアネートとの重合物が挙げられる。ポリエーテル系の樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。ポリカーボネート系の樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ポリカーボネートポリオールと、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート等のイソシアネートとの重合物が挙げられる。これらの樹脂は、DIC(株)製の商品名「クリスボン」や、三洋化成工業(株)製の商品名「サンプレン」、大日精化工業(株)製の商品名「レザミン」など、市場で入手可能な樹脂を用いてもよく、所望の特性を有する樹脂を自ら製造してもよい。樹脂の100%モジュラスは、10MPa~60MPaであると好ましく、20MPa~55MPaであるとより好ましい。樹脂の100%モジュラスは、その樹脂からなるシートを100%伸ばしたとき、すなわち元の長さの2倍に伸ばしたとき、に掛かる荷重を単位面積で割った値である。
本実施形態における樹脂層は、水分散型イソシアネート系架橋剤を含むことが好ましい。本実施形態における水分散型イソシアネート系架橋剤は、分子中に親水基とイソシアネート基を複数個有する化合物であり、水で分散させることができ、また、水中でも安定して長時間イソシアネート基を保持することができる。本実施形態において、水と相溶性のあるN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等を溶媒とする非水系ポリウレタン樹脂溶液を湿式凝固に用いる場合、当該樹脂溶液中に、水分散型イソシアネート系架橋剤を好ましく分散させることができ、湿式凝固再生中、凝固液の水と穏やかに反応が進み、通常の湿式成膜における乾燥工程で水を揮発させることによりイソシアネート基を外部の樹脂等と反応させることができるものと考えられる。すなわち、ブロックイソシアネートを用いた場合のような、高温での熱処理を必要としないため、マトリックス樹脂の劣化を抑制しつつ、研磨パッドの剛性を向上させることができるものと考えられる。ただし、上述した作用機構に限定する趣旨ではなく、本実施形態において、樹脂層が水分散型イソシアネート系架橋剤を含んでいれば、所望の効果が一層高まる傾向にある。
水分散型イソシアネート系架橋剤は、水中ではイソシアネート基を内包した状態で分散させることにより活性なイソシアネート基を安定に保持し、水を揮発させることによりイソシアネート基を外部の樹脂等と反応させることができるものであれば特に限定されないが、ノニオン型及び/又はイオン型界面活性剤等により変性処理された水分散性を有するポリイソシアネート化合物が好ましい。イソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イシホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等を挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートが破断強度に優れるという点において好ましい。水分散性を有するポリイソシアネート化合物は前記イソシアネート化合物に、従来公知の手法により親水基を導入したものであり、例えば、界面活性能を有するノニオン性基及びイソシアネート反応性基(水酸基等)を含有するビニル系重合体とポリイソシアネート化合物との反応生成物、ジアルカノールアミンとを反応させることにより得られる反応生成物、イセチオン酸アミン塩等のスルホン酸基とイソシアネート反応基を有する化合物とポリイソシアネート化合物の反応生成物を含有するポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
水分散型イソシアネート系架橋剤は、市販品として入手することもでき、その具体例としては、以下に限定されないが、日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:アクアネート100、アクアネート110、アクアネート200、アクアネート210など;住化バイエルウレタン(株)製、商品名:バイヒジュールTPLS-2032、SUB-イソシアネートL801など;三井武田ケミカル(株)製、商品名:タケネートWD-720、タケネートWD-725、タケネートWD-220など;大日精化工業(株)製、商品名:レザミンD-56、旭化成ケミカルズ(株)製商品名:デュラネートWT20-100、デュラネートWT30-100、デュラネートWB40-100等を挙げることができる。
[研磨パッドの製造方法]
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、上述した本実施形態の研磨パッドの構成が得られる方法である限り、特に限定されるものではない。以下、本実施形態の研磨パッドの好適な製造方法を例示する。
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、樹脂と水分散型イソシアネート系架橋剤と溶媒とを含む樹脂溶液を、湿式凝固に供する工程を有することが好ましい。より詳細には、湿式樹脂と水分散型イソシアネート系架橋剤と溶媒とを含む樹脂溶液を調製する工程と、当該樹脂溶液を湿式凝固に供する工程と、を有するものとすることができる。
湿式樹脂及び水分散型イソシアネート系架橋剤としては、先に例示したものの中から1種を単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。湿式凝固のための樹脂溶液を調製するための溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。
上記のように、水分散型イソシアネート系架橋剤を用いて湿式凝固を行うため、後述する湿式凝固再生中、凝固液の水と穏やかに反応が進み、通常の湿式成膜における乾燥工程で水を揮発させることによりイソシアネート基を外部の樹脂等と反応させることができるものと考えられる。すなわち、ブロックイソシアネート架橋剤を用いて研磨パッドを得る従来技術においては、熱処理することによってブロック剤が解離し、活性イソシアネート基が再生され、硬化・架橋反応が起こるが、熱処理によりポリウレタン樹脂が劣化し弾性が低下してしまうため、30℃における貯蔵弾性率E’30を70℃における貯蔵弾性率E’70よりも小さくすることができないのに対し、本実施形態では、架橋反応に高温での熱処理を必要としないため、マトリックス樹脂の劣化を抑制しつつ、研磨パッドの剛性を向上させることができ、30℃における貯蔵弾性率E’30を70℃における貯蔵弾性率E’70よりも小さくできるものと考えられる。本実施形態において、水分散型イソシアネート系架橋剤の使用量は、樹脂100部に対して、0.1部~10.0部が好ましく、より好ましくは1.0部~5.0部である。
樹脂溶液を湿式凝固に供する工程においては、まず、樹脂溶液を常温下でナイフコータ等の塗布装置により帯状の成膜基材にシート状に均一な厚さとなるように塗布する。このとき、ナイフコータ等と成膜基材との間隙(クリアランス)を調整することで、樹脂溶液の塗布厚さ(塗布量)を調整する。成膜基材としては、PET製フィルムを用いることができるが、布帛や不織布等を用いることもできる。
樹脂溶液を塗布した後、凝固再生を行う。すなわち、成膜基材に塗布された樹脂溶液を、樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする凝固液(水系凝固液)に連続的に案内する。凝固液には、樹脂の凝固再生速度を調整するために、樹脂溶液に用いた有機溶媒やそれ以外の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよい。凝固液中で樹脂溶液が凝固すると、連続発泡構造を有するシート状のポリウレタン樹脂が再生する。凝固液中では、まず、樹脂溶液と凝固液との界面にスキン層をなす皮膜が形成され、皮膜の直近の樹脂中に小発泡が形成される。その後、樹脂溶液中の有機溶媒の凝固液中への拡散と、樹脂中への水の浸入との協調現象、すなわち、溶媒置換によりポリウレタン樹脂の再生が進行する。再生したポリウレタン樹脂では凝集力が大きくなるために皮膜表面で急速に樹脂溶液の凝固が進行し、内部の樹脂量が減少する。そして、表面に形成された緻密気孔の被膜により樹脂溶液中の有機溶媒の凝固液中への拡散が抑制され、内部にセルが形成される。このとき、成膜基材のPET製フィルムが水を浸透させないため、樹脂溶液の表面側(スキン層側)で脱溶媒が生じて成膜基材側が表面側より大きなセル(大発泡)が形成される。また、樹脂溶液中の有機溶媒が樹脂溶液から脱溶媒し有機溶媒と凝固液(水)とが置換することで、スキン層表面の直近に形成された微多孔のうちの一部が拡径されてチャネルが形成され、ポリウレタン樹脂中に微多孔が形成される。溶媒置換に伴い、スキン層と、発泡層における大小発泡が網目状に連通する。
凝固浴から取り出されたポリウレタン樹脂シートから、成膜用基材を剥離した後、洗浄、乾燥させ、溶媒を除去することで、所望とする物性を有するポリウレタン樹脂シートが得られる。得られたポリウレタン樹脂シートは、本実施形態における樹脂層を備えている。このポリウレタン樹脂シートは、必要に応じて研削処理に供することができる。すなわち、得られたポリウレタン樹脂シートのスキン層側にバフ処理により厚みを均一化し発泡を開口させる研削処理を施すことができる。さらに、必要に応じてポリウレタン樹脂シートに溝加工を施すことができる。
バフ処理工程では、乾燥後のポリウレタン樹脂シートのスキン層側にバフ処理を施す。すなわち、スキン層と反対側の面に、表面が略平坦な圧接用治具の表面を圧接し、スキン層側をバフ処理する。上述の例においては、連続的に製造された成膜樹脂が帯状のため、スキン層と反対側の面に圧接ローラを圧接しながら、スキン層側を連続的にバフ処理する。これにより、スキン層が除去され、ポリウレタン樹脂シートに開口が形成される。本実施形態の研磨パッドが、本実施形態における樹脂層に加えて、樹脂あるいは不織布からなる基材や中間層等の他の層を有するものである場合には、樹脂層にこれらの他の層が接合される。接合には、アクリル系接着剤等の感圧型接着剤を使用することができる。
溝加工工程では、ポリウレタン樹脂シートの開口面に、切削加工、あるいはエンボス加工により溝を形成する。まず、ポリウレタン樹脂シートのバフ処理面と反対側に両面テープを貼り、平坦表面を有する台上に、台の平坦表面と両面テープの剥離紙とが対向するようにして載置する。切削加工の場合、ドリル刃や円板刃をポリウレタン樹脂シート表面に対して平行に相対的に回転させながら、所望の溝パターンになるように移動させて溝を形成させる。エンボス加工の場合、エンボスパターンに合わせた凸部を有する金型を加熱しておく。次いで、加熱した金型を台上に載置したポリウレタン樹脂シート開口面側に当接し押圧する。これにより、ポリウレタン樹脂シートの研磨面にエンボス溝が形成される。エンボス加工では、通常、マトリックス樹脂の融点をTm(℃)、ガラス転移温度をTg(℃)としたときに、エンボス金型を温度(Tm±50)℃ないし(Tg+100~Tg+200)℃の近傍まで加熱し、一定圧力で一定時間プレスすることで、研磨面に凹凸を付与する。好ましくは、エンボス金型を100~180℃の温度に加熱し、2.0~10.0MPaの圧力で60~300秒間プレスする。こうして、研磨パッド用ポリウレタン樹脂シートが得られる。
上述のようにして得られた研磨パッドは、その後、必要に応じて、円形等の所望の形状、寸法に裁断されてもよく、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を施されてもよい。
得られた研磨パッドは、その表面が研磨面となるが、その研磨パッドを用いてワークを研磨する場合、予め、研磨パッドの研磨面とは反対側の面に、研磨機の研磨定盤に研磨パッドを貼着するための両面テープ(粘着層及び剥離紙を備えるもの)や基材を貼り合わせてもよい。
[研磨パッドの用途]
本実施形態の研磨パッドは、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、半導体、ハードディスク用基板、半導体用シリコンウェハ、液晶ディスプレイ用ガラス基板、サファイヤや窒化ガリウムを始めとする難削材等の研磨に特に好適に用いられる。ただし、本実施形態の研磨パッドの用途はそれらに限定されない。
以下、実施例によって本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリウレタンとして、100%モジュラスが47MPaのポリエーテル系ポリウレタンを用い、当該ポリウレタンをN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解して30%ポリウレタンDMF溶液を得た。100質量部のポリウレタンDMF溶液をDMF17質量部と酢酸エチル17質量部の混合溶液に溶解し、さらにノニオン系界面活性剤を1質量部、疎水性添加剤を3質量部、セルロースアセテートブチレートを5質量部、水分散型イソシアネート系架橋剤であるデュラネートWT20-100を3質量部添加して、均一に混合して、ポリウレタン溶液を調製した。このとき、セルロースアセテートブチレートは固体であるため、均一に混合させるために予め少量の粘度調整用のDMFで溶解して添加した。
このポリウレタン溶液を、PET製の成膜基材にナイフコータを用いて塗布厚みが0.8mmとなるように塗布した。
次いで、得られた塗膜を成膜用基材と共に、室温の凝固浴に浸漬し、ポリウレタンを凝固再生してポリウレタン樹脂シートを得た。ここで、凝固液としては水を用いた。ポリウレタン樹脂シートを凝固浴から取り出し、成膜用基材を剥離した後、洗浄、乾燥させ、溶媒であるDMFを除去した。その後、ポリウレタン樹脂シートを乾燥させつつ巻き取った。
この後、ポリウレタン樹脂シートの表面をバフ掛けし、厚み0.73mmのポリウレタン樹脂シートを得た。バフ処理面と反対面側に厚み0.188μmのPET製の樹脂基材を接着剤で貼りあわせ、さらに樹脂基材のポリウレタン樹脂シートが貼りあわされていない面側に両面テープを接着させた。ポリウレタン樹脂シートの表面側から表面をエンボス加工し、表面に溝幅を1mm、溝間隔を4mm、溝深さを0.45mmとした断面矩形状で格子パターンの溝を設け、厚さ0.92mmの研磨パッドを製造した。
(比較例1)
水分散型イソシアネート系架橋剤を使用しないことを除き、実施例1と同様にして研磨パッドを製造した。研磨パッドの厚みは1.22mmであった。
(比較例2)
湿式凝固法により得られる研磨パッドとして市販されているPOLITEX(登録商標;Dow Electronic Materials社製)エンボスパッドを使用した。研磨パッドの厚みは1.56mmであった。
上述のようにして得られた各実施例及び比較例の研磨パッドについて、下記のとおりに物性を測定した。それらの結果を表1~2に示す。
[貯蔵弾性率]
得られた研磨パッドの中心付近から試験片(エンボス溝で囲まれたランド1つ分の面積3mm×3mm)を切り出し、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、RSA III」)を用いて下記条件で貯蔵弾性率(E’)を測定し、30℃と70℃における貯蔵弾性率を比較した。
(測定条件)
試験方向:圧縮モード
初期荷重:11g
荷重モード:一定荷重
歪:0.10%
周波数:10Hz
温度:30℃から昇温速度3℃/minで150℃まで昇温
図1に示すように、実施例1は測定開始から70℃まで貯蔵弾性率が低下しなかった。比較例1は測定開始から加熱に伴い貯蔵弾性率が低下し続けた。詳細な数値について、表1に示す。なお、比較例2も、比較例1と同様の挙動を示した。すなわち、比較例2も、E’(30℃)>E’(70℃)の関係となった。
Figure 0007088647000001
[ショアA硬度]
研磨パッドのショアA硬度は、次のようにして測定した。
まず、研磨パッドを10cm×10cmの大きさに切り出し、研磨パッドの両面テープより剥離紙を剥離して、厚さが4.5mm以上になるまで研磨パッドを重ね、厚さ4.5mm以上の試験片を得た。この試験片の表面(エンボス溝で囲まれたランド中心部分)にバネを介して押針(測定子)を押し付け、30秒後の押針の押し込み深さをA型硬度計(日本工業規格、JIS K 7311)により測定した。これを3回行って相加平均から研磨パッドのショアA硬度を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0007088647000002
次いで、研磨パッドを使用して研磨試験を行い、研磨レートの安定性、ディッシングとエロージョンを評価した。それらの結果を表3に示す。
<研磨レート安定性評価>
研磨パッドを用いて、30枚のウエハを下記条件Aにて研磨し、研磨枚数1、5,10,15,20,25,30枚目の研磨レートより、研磨レートの最大値、最小値、平均値から下記式により研磨レート安定性を評価した。研磨レート安定性の数値は小さいほど安定性が高いことを示す。
研磨レート(Å/分)は、研磨試験前後のウエハ上のTEOS膜について、121箇所の厚さ測定結果から、各点において研磨された厚さを研磨時間で除することにより求めた。なお、厚さ測定は、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、型番「ASET-F5x」)のDBSモードにて測定した。
研磨レート安定性(%)=(研磨レート最大値-研磨レート最小値)/研磨レート平均値×100
(研磨条件A)
使用研磨機:EBARA F-REX300
研磨圧力:2.5psi
研磨剤:Cabot社製、型番「SS-25」、2倍希釈
ドレッサー:3M社製ダイヤモンドドレッサー、型番「A188」
パッド・ブレークイン条件:30N×30分、ドレッサー回転数54rpm、定盤回転数80rpm、超純水供給量500mL/分
コンディショニング:Ex-situ、30N、4スキャン、16秒
研磨:定盤回転数70rpm、研磨ヘッド回転数71rpm、研磨スラリー流量200mL/分
研磨時間:60秒
<ディッシング評価>
研磨パッドを用いて、銅パターンウエハ(ATDF754マスク、研磨前の銅膜厚700nm、トレンチ深さ300nm、絶縁材料TEOS)を下記条件Bにて研磨処理し銅配線幅Lと絶縁膜幅Sを有するパターン(L/S)がL/S=100μm/100μm、L/S=50μm/50μmを接触式段差計(ケーエルエー・テンコール製P-16)で走査して、絶縁膜部の膜厚と配線部の膜厚との差を測定し、その絶対値をディッシング量とした。ディッシング量は数値が小さいほど平坦性が高く好ましいことを示す。
<エロージョン評価>
研磨パッドを用いて、銅パターンウエハ(ATDF754マスク、研磨前の銅膜厚700nm、トレンチ深さ300nm、絶縁材料TEOS)を下記条件Bにて研磨処理し銅配線幅Lと絶縁膜幅Sを有するパターン(L/S)がL/S=1μm/1μm、L/S=0.25μm/0.25μmを接触式段差計(ケーエルエー・テンコール製P-16)で走査して、絶縁膜部の膜厚と配線部の膜厚との差を測定し、その絶対値をエロージョン量とした。エロージョン量は数値が小さいほど平坦性が高く好ましいことを示す。
(研磨条件B)
使用研磨機:EBARA F-REX300
研磨圧力:2.5psi
研磨剤:Planar社製、型番「BSL8176C」
ドレッサー:3M社製ダイヤモンドドレッサー、型番「A188」
パッドブレイク 30N×30分、ダイヤモンドドレッサー54rpm、定盤回転数80rpm、超純水200mL/min
コンディショニング:Ex-situ、30N、4スキャン、16秒
研磨:定盤回転数70rpm、ヘッド回転数71rpm、スラリー流量200mL/min
研磨時間:約60秒
Figure 0007088647000003
研磨レート安定性について、比較例1は1枚目から5枚目の研磨で大きく研磨レートが低下し、その後も徐々に低下した。研磨面を確認すると表面開口が閉塞しており、スラリー保持性が低下したことで研磨レートが低下したと考えられる。
比較例2では研磨開始から終了まで研磨レートが上がり続け、安定しなかった。研磨熱によりパッドの弾性が低下し、研磨面へのパッド追従性が上がったためと考えられる。
実施例1は研磨初期から研磨レートの変動が小さく研磨安定性が良好であった。実施例1の研磨パッドは、研磨熱により弾性が低下せず、開口が塞がれず安定的にスラリーを保持できたためと考えられる。
ディッシング、エロージョンについて、比較例2は硬度が低く、段差への追従性が大きいためディッシング、エロージョンとも劣る結果となった。水分散型イソシアネート系架橋剤を用いずに研磨パッドを作製した比較例1も同様に劣る結果となった。実施例1は硬度が大きく、ディッシング、エロージョンの段差の解消性に優れていた。
上記のとおり、実施例1の研磨パッドは、研磨レートが安定しており、ディッシング、エロージョンともに比較例1~2と比べて良好であった。
なお、上記の研磨を行った後の研磨パッド表面をSEMで観察したところ、その表面状態には明確な違いがみられた。実施例1の研磨パッド表面のSEM写真を図2に、比較例1の研磨パッド表面のSEM写真を図3に、それぞれ示す。研磨後の比較例1の研磨パッド表面は、開口が塞がり、スラリーの保持が難しくなっている。これに対して、実施例1の研磨パッドは研磨後も開口が塞がっておらず、スラリーの保持性に問題はないことがわかる。
本発明の研磨パッドは、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、ハードディスク用基板、半導体用シリコンウェハ、半導体デバイス、液晶ディスプレイ用ガラス基板、サファイヤや窒化ガリウムを始めとする難削材等の研磨に好適に用いられる。したがって、かかる用途に産業上の利用可能性がある。

Claims (2)

  1. 研磨面を有する樹脂層を備える研磨パッドであって、
    前記樹脂層が、湿式凝固を経て形成され、
    前記樹脂層が、ポリウレタン樹脂と水分散型イソシアネート系架橋剤との反応生成物を含み、
    前記研磨パッドのショアA硬度が、60~90°であり、
    動的粘弾性測定装置を用い、試験方向を圧縮モードとし、初期荷重を11gとし、荷重モードを一定荷重とし、歪を0.10%とし、周波数を10Hzとし、30℃から昇温速度3℃/minで150℃まで昇温して温度毎に前記研磨パッドの貯蔵弾性率E’を測定したとき、得られる前記研磨パッドの30℃における貯蔵弾性率E’30が、70℃における貯蔵弾性率E’70よりも小さい、研磨パッド。
  2. ポリウレタン樹脂と水分散型イソシアネート系架橋剤と溶媒とを含む樹脂溶液を、湿式凝固に供する工程を有し、
    前記工程において、架橋反応のための熱処理を行わない、
    研磨パッドの製造方法。
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