JP7137505B2 - 研磨パッド、研磨パッドの製造方法、光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法、及び研磨パッドの評価方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、デバイス表面の仕上げ用研磨パッドとして、スクラッチ等の研磨傷を与えにくい軟質なスウェードパッドが好適に使用されることが開示されている。
前記研磨層は、パルスNMRで得られる自由誘導減衰信号(FID)を最小二乗法によってスピン-スピン緩和時間T2の長い成分から順に差し引き、波形分離することにより、スピン-スピン緩和時間T2の長い方から順に非晶相、界面相、結晶相の3成分に分けた場合において、40℃における界面相の成分の含有割合(Ai40)と40℃における結晶相の成分の含有割合(Ac40)との合計に対する、40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/(Ai40+Ac40))が2~10であり、40℃における非晶相の成分の緩和時間が500~800μsである、前記研磨パッド。
[2] 20℃における非晶相の成分の含有割合(Aa20)に対する40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/Aa20)が1.5~3である、[1]に記載の研磨パッド。
[3] [1]又は[2]に記載の研磨パッドの製造方法であって、湿式成膜法を使用する工程を含む、前記方法。
[4] 光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法であって、[1]又は[2]に記載の研磨パッドを使用する工程を含む、前記方法。
[5] ポリウレタン樹脂を含む研磨層を有する研磨パッドの評価方法であって、
前記研磨層について、パルスNMRで得られる自由誘導減衰信号(FID)を最小二乗法によってスピン-スピン緩和時間T2の長い成分から順に差し引き、波形分離することにより、スピン-スピン緩和時間T2の長い方から順に非晶相、界面相、結晶相の3成分に分けた場合に、40℃における界面相の成分の含有割合(Ai40)と40℃における結晶相の成分の含有割合(Ac40)との合計に対する、40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/(Ai40+Ac40))が2~10であり、40℃における非晶相の緩和時間が500~800μsであるか否かを確認する工程を含む、前記評価方法。
[6] 20℃における非晶相の成分の含有割合(Aa20)に対する40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/Aa20)が1.5~3であるか否かを確認する工程を更に含む、[5]に記載の評価方法。
本発明では、研磨層として、40℃における界面相の成分の含有割合(Ai40)と40℃における結晶相の成分の含有割合(Ac40)との合計に対する、40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/(Ai40+Ac40))が2~10であり、40℃における非晶相の緩和時間が500~800μsであるものを使用する。
Aa40/(Ai40+Ac40)は、研磨中期から後期の研磨面の温度(約40℃)における非晶相の成分の割合に対応しており、非晶相の成分の割合はポリウレタン樹脂における分子鎖が拘束されず動きやすい領域(ソフトセグメント成分)の割合を意味していると考えられる。本発明の研磨パッドにおいては、界面相と結晶相とを合わせた含有割合に対し、非晶相の含有割合が2倍以上大きく、分子鎖が拘束されず動きやすい領域が多くを占めており、分子鎖が拘束されていて動きにくい領域(界面相と結晶相の合計)が全体の33%よりも小さい。そのため、本発明の研磨パッドは、研磨傷を与えることなく研磨が可能になると考えられる。
パルスNMRでは、パルスに対する応答信号を検出することで定量性に優れるFID信号を得ることができる。このため、ポリウレタン樹脂の相分離構造を解析することができる。FID信号の初期値は測定試料中のプロトンの数に比例しており、測定試料に複数の成分があれば、FID信号は各成分の応答信号の和となる。各成分の運動性に差があると、応答信号の減衰の速さが異なりスピン-スピン緩和時間T2が異なるため、これらを分離して各成分の緩和時間T2と成分割合Rとを求めることができる。成分の運動性が小さくなるほど緩和時間T2が短くなり、運動性が大きくなるほど緩和時間T2が長くなる。換言すれば、緩和時間T2が短くなるほど結晶性が大きくなり、緩和時間T2が長くなるほど非晶性が大きくなる。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「A~B」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値であるA及びBを含むものとする。
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂を含む研磨層を有する研磨パッドであって、前記研磨層は、パルスNMRで得られる自由誘導減衰信号(FID)を最小二乗法によってスピン-スピン緩和時間T2の長い成分から順に差し引き、波形分離することにより、スピン-スピン緩和時間T2の長い方から順に非晶相、界面相、結晶相の3成分に分けた場合において、40℃における界面相の成分の含有割合(Ai40)と40℃における結晶相の成分の含有割合(Ac40)との合計に対する、40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/(Ai40+Ac40))が2~10であり、40℃における非晶相の成分の緩和時間が500~800μsである。
Aa40/(Ai40+Ac40)は、2~10であり、6~9.5が好ましく、7~9がより好ましい。40℃における非晶相の成分の緩和時間は、500~800μsであり、620~780μsが好ましく、650~750μsがより好ましい。Aa40/(Ai40+Ac40)及び40℃における非晶相の成分の緩和時間が上記数値範囲内にあると、ディッシングやエロージョンを抑制し、さらに研磨傷の発生を抑制できる研磨パッドが得られる。
研磨層に含まれるポリウレタン樹脂の100%樹脂モジュラスは、1~7MPaが好ましく、1.5~6MPaがより好ましい。ポリウレタン樹脂の100%樹脂モジュラスは、樹脂の硬さを表す指標であり、無発泡の樹脂シートを100%伸ばしたとき(元の長さの2倍に伸ばしたとき)に掛かる荷重を断面積で割った値である。100%樹脂モジュラスは、樹脂溶液を薄く引き延ばし熱風乾燥し、200μm程度の厚みの乾式フィルムを作製後、しばらく養生したのち、測定部の全長90mm、両端部幅20mm、つかみ具間距離50mm、平行部幅10mm、厚さ200μmのダンベル状に試料を打ち抜き、測定試料を万能材料試験機テンシロン(株式会社エイ・アンド・デイ製テンシロン万能試験機「RTC-1210」)を用いて、20℃(±2℃)、湿度65%(±5%)の雰囲気下で、引っ張り速度100mm/分で引っ張り、100%伸長時(2倍延伸時)の張力を試料の初期断面積で割ることにより求める。なお、樹脂モジュラスの測定は、ポリウレタン発泡シートをN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)で溶解し、低濃度のポリウレタン樹脂DMF溶液を得たのち、キャスト法によりDMFを気化させ無発泡の樹脂シートを形成することで測定することもできる。
研磨層に含まれるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、100000~200000が好ましく、110000~160000がより好ましく、120000~140000が最も好ましい。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、後述する方法によりゲル浸透クロマトグラフィーにより測定することができる。
Aa40/Aa20が上記数値範囲内にあることにより、研磨初期における低温時(約20℃)には、界面相の成分の割合が多く、分子鎖が拘束された領域が大きい。これにより研磨パッドの弾性が向上し立ち上がり性向上に寄与すると考えられる。また、研磨中期から後期において研磨パッドの温度が上昇すると(約40℃)、非晶相の成分割合が十分に大きくなるため、研磨傷を低減できると考えられる。
20℃における非晶相の成分の緩和時間は、800~1300μsが好ましく、900~1250μsがより好ましく、1000~1200μsが最も好ましい。20℃における界面相の成分の緩和時間は、100~300μsが好ましく、150~280μsがより好ましく、180~250μsが最も好ましい。20℃における結晶相の成分の緩和時間は、10~30μsが好ましく、15~28μsがより好ましく、18~25μsが最も好ましい。
40℃における界面相の成分の緩和時間は、10~50μsが好ましく、15~40μsがより好ましく、20~35μsが最も好ましい。40℃における結晶相の成分の緩和時間は、5~30μsが好ましく、10~25μsがより好ましく、15~20μsが最も好ましい。
本発明の研磨パッドのポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリオール、ポリアミンなどの硬化剤を反応させて得られ、鎖延長剤を使用することもできる。結晶相(ハードセグメント)はイソシアネート化合物及び鎖延長剤に由来する構造単位から構成され、非晶相(ソフトセグメント)は比較的自由度が高い脂肪族有機基を有するポリオールやジアミンに由来する構造単位から構成される。
ポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などが挙げられる。これらのポリエーテルジオールは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステルジオールとしては、例えば、ジカルボン酸またはそのエステル、無水物等のエステル形成性誘導体と低分子ジオールとを直接エステル化反応またはエステル交換反応させることにより製造できる。
ポリエステルジオールを構成するジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、2-メチルコハク酸、2-メチルアジピン酸、3-メチルアジピン酸、3-メチルペンタン二酸、2-メチルオクタン二酸、3,8-ジメチルデカン二酸、3,7-ジメチルデカン二酸等の炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;等が挙げられる。これらのジカルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステルジオールを構成する低分子ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール;等が挙げられる。これらの低分子ジオールは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。低分子ジオールの炭素数としては、例えば、6以上12以下が挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、添加剤を含むことができる。添加剤は、好ましくは、成膜助剤、発泡抑制助剤からなる群より選択される。
成膜助剤としては、疎水性活性剤等が挙げられる。疎水性活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコンなどのノニオン系界面活性剤や、アルキルカルボン酸などのアニオン系界面活性剤が挙げられる。
発泡抑制助剤としては、親水性活性剤等が挙げられる。親水性活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤やセルロースエステルが挙げられる。
成膜助剤を添加剤として添加する場合には、0.2~10質量%であることが好ましい。発泡抑制助剤を添加剤として添加する場合には、0.2~10質量%であることが好ましい。
ポリウレタン樹脂は、上述したポリウレタン樹脂組成物を重合させることにより製造できる。すなわち、有機溶剤中で前記重合反応を行う方法等が挙げられる。
上記の反応条件で得られたポリウレタン樹脂は、DMFなどの溶媒に混合してから、図2に示すような成膜装置に供給され、ポリウレタンシートに成形される。
本発明の研磨パッドの製造方法は、上述の研磨パッドの製造方法であって、湿式成膜法を使用する工程を含む。
図3に本発明の研磨パッドの一例の断面図を示す。本発明の研磨パッド1は湿式成膜法により製造された軟質プラスチックフォームとしてのポリウレタンシート2を有している。ポリウレタンシート2は、研磨面P側が、ポリウレタンシート2の厚さ(図3の縦方向の長さ)がほぼ一様となるようにバフ処理されている(詳細後述)。
本発明の光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法は、上述の研磨パッドを使用する工程を含む。
被研磨物の研磨加工を行うときは、例えば、図4に示すように、片面研磨機70を使用する。片面研磨機70は、上側に被研磨物を押圧する加圧定盤72、下側に回転可能な回転定盤71を有している。加圧定盤72の下面及び回転定盤71の上面は、いずれも平坦に形成されている。加圧定盤72の下面にはバックパッド75が貼付されており、回転定盤71の上面には被研磨物を研磨する研磨パッド1が貼付されている。バックパッド75の表面にはガラスエポキシ製、ベークライト製等のテンプレートが貼付されており、テンプレートの略中央部には被研磨物78を挿入可能な開口が形成されている。テンプレートの開口部で露出したバックパッド75に適量の水を含ませて被研磨物78を押し付けることで、被研磨物78が水の表面張力及びポリウレタン樹脂の粘着性でバックパッド75に保持される。加圧定盤72で被研磨物78を加圧しながら回転定盤71を回転させることで、被研磨物78の下面(加工表面)が研磨パッド1で研磨加工される。
本発明の研磨パッドの評価方法は、ポリウレタン樹脂を含む研磨層を有する研磨パッドの評価方法であって、前記研磨層について、パルスNMRで得られる自由誘導減衰信号(FID)を最小二乗法によってスピン-スピン緩和時間T2の長い成分から順に差し引き、波形分離することにより、スピン-スピン緩和時間T2の長い方から順に非晶相、界面相、結晶相の3成分に分けた場合に、40℃における界面相の成分の含有割合(Ai40)と40℃における結晶相の成分の含有割合(Ac40)との合計に対する、40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/(Ai40+Ac40))が2~10であり、40℃における非晶相の緩和時間が500~800μsであるか否かを確認する工程を含む。
アジピン酸及び1,4-ブタンジオールを構成単位とするポリオールを反応させて得られるポリエステルジオールと、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを縮合して得られたポリエステル系ポリウレタン樹脂(以下「ポリウレタン樹脂(1)」)を準備した。ポリウレタン樹脂(1)の100%樹脂モジュラスは6.0MPa、重量平均分子量は137900であった。
なお、本実施例において、100%樹脂モジュラスは、無発泡の樹脂シートを100%伸ばしたとき(元の長さの2倍に伸ばしたとき)に掛かる荷重を断面積で割った値を意味する。100%樹脂モジュラスは、樹脂溶液を薄く引き延ばし熱風乾燥し、200μm程度の厚みの乾式フィルムを作製後、しばらく養生したのち、全長90mm、両端部幅20mm、つかみ具間距離50mm、平行部幅10mm、厚さ200μmのダンベル状に試料を打ち抜き、測定試料を万能材料試験機テンシロン(株式会社エイ・アンド・デイ製テンシロン万能試験機「RTC-1210」)の上下エアチャックにはさみ、20℃(±2℃)、湿度65%(±5%)の雰囲気下で、引っ張り速度100mm/分で引っ張り、100%伸長時(2倍延伸時)の張力を試料の初期断面積で割ることにより求めた。
また、本実施例において、重量平均分子量は後述する測定条件でGPCにより測定されたものを意味する。
次に、成膜用基材として、PETフィルムを用意し、そこに、上記樹脂含有溶液を、ナイフコータを用いて1.0mmの厚みで塗布し、凝固浴(凝固液:水)に浸漬し、上記樹脂含有溶液を凝固させた後、洗浄・乾燥させた後にPETフィルムから剥離して樹脂フィルム(厚み1.0mm)を得た。得られた樹脂フィルムの表面に形成されたスキン層側に研削処理を施した(研削量:200μm)。その後、樹脂フィルムの一部を格子状の金型でエンボス加工を行い、研磨パッドを得た。
100%樹脂モジュラスが4.0MPa、重量平均分子量が132800であり、アジピン酸及び1,4-ブタンジオールを構成単位とするポリオールを反応させて得られるポリエステルジオールと、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを縮合して得られたポリエステル系ポリウレタン樹脂(以下「ポリウレタン樹脂(2)」)を準備した。
上記のポリウレタン樹脂をDMFに溶解させ、ポリウレタン樹脂(2)の濃度が30%であるDMF溶液を得た。得られたポリウレタンDMF溶液100質量部に、DMF50質量部、添加剤としてポリエーテル変性シリコーン5質量部、アセチルブチルセルロース1質量部、ノニオン系界面活性剤1質量部、セルロースエステル1質量部を添加して混合することにより、樹脂含有溶液を得た。
以降、実施例1と同様にして樹脂フィルムを作成し、研磨パッドを得た。
実施例1のポリウレタン樹脂(1)に代えて、アジピン酸及び1,4-ブタンジオールを構成単位とするポリオールを反応させて得られるポリエステルジオールと、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを縮合して得られたポリエステル系ポリウレタン樹脂(以下「ポリウレタン樹脂(3)」)を準備した。ポリウレタン樹脂(3)の100%樹脂モジュラスは8.5MPa、重量平均分子量は137700であった。
以降、実施例1と同様にして樹脂フィルムを作成し、研磨パッドを得た。
実施例1及び2並びに比較例1それぞれの研磨パッドについて、以下のGPC測定及びパルスNMRの測定を行った。また、実施例1及び2並びに比較例1それぞれの研磨パッドについて、研磨試験を行い、研磨選択性及び研磨傷による評価を行った。
実施例1及び2並びに比較例1で得られたそれぞれの研磨パッドから、研磨層のポリウレタン樹脂を0.05g切り取り、DMF4.95gに溶解し1%ポリウレタンDMF溶液を調整し、静置後、試験管ミキサーにより50℃で14時間振とうした。振とう後、上澄み0.5gを測り取りDMF2gと混合し、0.2%ポリウレタンDMF溶液とした後、0.45μmフィルターにて濾過し、測定試料とした。得られた測定試料を以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定した。標準試料としてポリエチレングリコールオキシド (アジレント・テクノロジー株式会社製 EasiVial PEG/PEO)を用いて検量線を作成した。
(測定条件)
カラム:Ohpak KB-805HQ(排除限界2000000)
移動相:5mM LiBr/DMF
流速:0.75ml/min(21kg/cm2)
オーブン:60℃
検出器:RI
試料量:30μl
実施例1及び2並びに比較例1それぞれの研磨パッドは、以下の条件でパルスNMRにより構造解析を行った。
実施例1及び2並びに比較例1それぞれの研磨パッドを用い、CMP評価用テストパターンウエハの研磨を以下の条件で実施した。CMP評価用テストパターンウエハは、シリコンウェハに酸化膜(厚み:100Å)、及びSiNストッパー膜(厚み:1500Å)を順次膜付けした後トレンチを形成し、その上にTEOS(Tetro Ethyl Ortho Silicate)膜(厚み:6000Å)が成膜されたものであり、SiNが露出するまで硬質研磨パッドによりTEOS膜を除去したものを使用した。部分的にSiNが露出された部分が形成され、それによりTEOS/SiNの幅がそれぞれ10μm/90μmであるパターンが形成されている。ウェハ上に形成されたSiNとTEOSとからなる上記パターン面を研磨し、SiNが500Å除去された時点で研磨を終了し段差性能を評価した。研磨終了後のパターンの部分を、接触式段差計で走査して、トレンチ部中央のTEOS厚みの減少量であるディッシング量(R1)を算出することにより、段差性能の評価を行った。ディッシングは分離領域の両端に存在するストッパー膜であるSiN膜がTEOS膜よりも研磨されにくいため研磨パッドに撓みが生じ、分離領域のTEOS膜を研磨してしまうために生じるもので、トレンチ部の中央が薄くなってしまう現象をいう。R1の値が大きい程、ディッシング性能は悪化し、R1が200Å以下であると、ディッシングを抑制できるといえる。
<研磨条件>
使用研磨機:(株)荏原製作所製、商品名「F-REX300」
研磨速度(定盤回転数):70rpm
加工圧力:176g/cm2
スラリ流量:200mL/min
ドレッサ:3M社製ダイヤモンドドレッサー、型番「A188」
コンディショニング:Ex-situ、30N,4スキャン
研磨時間:SiNが500Å研磨されるまで
被研磨物:TEOS膜/SiN膜付き パターンウェハ
研磨スラリー:Cabot社製 品番:SS-25・2倍希釈(SS25原液:純水=1:1の混合液を使用)
研磨傷については、上記(研磨選択性)における研磨により得られた、研磨処理枚数が10枚目、20枚目、30枚目のTEOS部の表面を表面検査装置(KLAテンコール社製、Surfscan SP2XP)の高感度測定モードにて測定し、基板表面全体のTEOSにおける90nm以上の研磨傷の数(個)をカウントした。
研磨傷の数がTEOS部に関しては30個以下であると研磨傷が少なく良好であるといえる。
また、実施例1及び2の研磨パッドは、TEOS部分に対する研磨傷の発生を抑制することができることがわかった。実施例1及び2の研磨パッドにおいては、20℃における非晶相の成分の含有割合(Aa20)に対する40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/Aa20)の値が大きく、研磨後期に相当する40℃において非晶成分が比較的多く分子鎖が拘束されず動きやすい領域が多くを占めていること、及び、約20℃で行われるドレス時には非晶成分が減じることで樹脂脂の千切れやすさが向上して研磨面へのドレスがかかりやすくなることにより、研磨傷の発生を抑制することができたと考えられる。
Claims (6)
- ポリウレタン樹脂を含む研磨層を有する研磨パッドであって、
前記研磨層は、パルスNMRで得られる自由誘導減衰信号(FID)を最小二乗法によってスピン-スピン緩和時間T2の長い成分から順に差し引き、波形分離することにより、スピン-スピン緩和時間T2の長い方から順に非晶相、界面相、結晶相の3成分に分けた場合において、40℃における界面相の成分の含有割合(Ai40)と40℃における結晶相の成分の含有割合(Ac40)との合計に対する、40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/(Ai40+Ac40))が2~10であり、40℃における非晶相の成分の緩和時間が500~800μsである、前記研磨パッド。 - 20℃における非晶相の成分の含有割合(Aa20)に対する40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/Aa20)が1.5~3である、請求項1に記載の研磨パッド。
- 請求項1又は2に記載の研磨パッドの製造方法であって、湿式成膜法を使用する工程を含む、前記方法。
- 光学材料又は半導体材料の表面を研磨する方法であって、請求項1又は2に記載の研磨パッドを使用する工程を含む、前記方法。
- ポリウレタン樹脂を含む研磨層を有する研磨パッドの評価方法であって、
前記研磨層について、パルスNMRで得られる自由誘導減衰信号(FID)を最小二乗法によってスピン-スピン緩和時間T2の長い成分から順に差し引き、波形分離することにより、スピン-スピン緩和時間T2の長い方から順に非晶相、界面相、結晶相の3成分に分けた場合に、40℃における界面相の成分の含有割合(Ai40)と40℃における結晶相の成分の含有割合(Ac40)との合計に対する、40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/(Ai40+Ac40))が2~10であり、40℃における非晶相の緩和時間が500~800μsであるか否かを確認する工程を含む、前記評価方法。 - 20℃における非晶相の成分の含有割合(Aa20)に対する40℃における非晶相の成分の含有割合(Aa40)の比(Aa40/Aa20)が1.5~3であるか否かを確認する工程を更に含む、請求項5に記載の評価方法。
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