JP2005333121A - 化学機械研磨パッド及びその製造方法並びに化学機械研磨方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大口径ウェハを被研磨体として化学機械研磨を行った場合であっても、面内均一性及び平坦性に優れた被研磨面を与えうる化学機械研磨パッド、その製造法および化学機械研磨方法を提供すること。
【解決手段】研磨面が算術表面粗さ(R)が0.1〜15μmであり、10点平均高さ(R)が40〜150μmであり、中核粗さ深さ(R)が12〜50μmであり、かつ減衰山高さ(Rpk)が7〜40μmである表面からなる化学機械研磨パッド。
【選択図】図3

Description

本発明は、化学機械研磨パッド及びその製造方法並びに化学機械研磨方法に関する。
更に詳しくは、被研磨面を化学機械研磨したときに、面内均一性及び平坦性に優れた被研磨面を与えることができる化学機械研磨パッド及びその製造方法並びに前記化学機械研磨パッドを用いて行う化学機械研磨方法に関する。
半導体製造工程において、高度の平坦性を有するウェハ表面を得ることのできる技術として、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polising、通常、「CMP」と略称される)が採用されている。化学機械研磨は、被研磨面を、化学機械研磨パッドの表面に押し付けた状態で相互に摺動しながら、化学機械研磨パッド表面に、砥粒が分散された水系分散体である化学機械研磨用スラリーを流下させつつ化学機械的に研磨を行う技術である。この化学機械研磨においては、化学機械研磨パッドの性状及び特性が研磨結果を大きく左右することが知られている。
化学機械研磨パッドとしては、多数の微細な空孔を内包するポリウレタンフォーム等の発泡樹脂からなるパッド、非発泡マトリクス中に多数の微細な水溶性粒子を分散させたパッド等が知られている(前者については特許文献1および特許文献2参照。後者については特許文献3、特許文献4および特許文献5参照)。
ところで、近年、半導体製造工程において生産性の向上が要求されてきており、化学機械研磨を要するウェハの口径が大きくなる傾向にある。
このような大口径ウェハに対して、従来知られている方法で化学機械研磨を行うと、化学機械研磨後の被研磨面の面内均一性及び平坦性が不十分である場合があり、問題になっている。
特開平11−70463号公報 特開平8−216029号公報 特開2000−34416号公報 特開2000−33552号公報 特開2001−334455号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、大口径ウェハを被研磨体として化学機械研磨を行った場合であっても、面内均一性及び平坦性に優れた被研磨面を与えうる化学機械研磨パッド及びその製造方法並びに化学機械研磨方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明によると、本発明の上記目的および利点は、第一に、
研磨面と非研磨面を有しそして研磨面が算術表面粗さ(R)が0.1〜15μmであり、10点平均高さ(R)が40〜150μmであり、中核粗さ深さ(R)が12〜50μmであり、かつ減衰山高さ(Rpk)が7〜40μmである表面からなることを特徴とする化学機械研磨パッドによって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第二に、
研磨層を成型し、次いで少なくともその研磨面となるべき面をサンダー処理する工程を含むことを特徴とする上記化学機械研磨パッドの製造方法によって達成される。
更に本発明の上記目的および利点は第三に、
上記化学機械研磨パッドを用いて被研磨体を化学機械研磨することを特徴とする化学機械研磨方法によって達成される。
本発明によると、大口径ウェハを被研磨体として化学機械研磨を行った場合であっても、面内均一性及び平坦性に優れた被研磨面を与えうる化学機械研磨パッド及びその製造方法並びに化学機械研磨方法が提供される。
本発明の化学機械研磨パッドは、研磨面における表面の算術表面粗さ(R)が0.1〜15μmであり、10点平均高さ(R)が40〜150μmであり、中核粗さ深さ(R)が12〜50μmであり、かつ減衰山高さ(Rpk)が7〜40μmである。
これらの値は、パッド面上に設定した複数の測定線のそれぞれについて測定した粗さ曲線から計算される下記の数値の平均値として定義されるものであり、例えば三谷商事(株)発行、「LMマニュアル(アナログ版)、Version 3.62」に記載されている方法により、計算することができる。
算術表面粗さ(R)は、測定長さLの粗さ曲線につき、x軸を粗さ曲線の平均線に平行する方向にとり、y軸を粗さ曲線の縦倍率の方向にとり、測定された粗さ曲線を方程式y=f(x)で表したときに、下記式(1)によって表される値である。
Figure 2005333121
10点平均高さ(R)は、測定長さLの粗さ曲線につき、x軸を粗さ曲線の平均線に平行する方向に取り、y軸を粗さ曲線の縦倍率の方向にとったとき、平均線から縦倍率の方向に測定した最も高い山頂から5番目までの山頂の平均線からの距離をそれぞれP〜Pとし、最も低い谷底から5番目までの谷底の平均線からの距離をそれぞれV〜Vとしたときに、下記式(2)によって表される値である(図1参照。)。
Figure 2005333121
中核粗さ深さ(R)及び減衰山高さ(Rpk)は、測定長さLの粗さ曲線から導かれる負荷曲線によって定義される。
負荷曲線は、縦軸を切断レベル、横軸を負荷長さ率としてグラフ化した曲線をいう。ここで、切断レベルとは、粗さ曲線を上記算術表面粗さ(R)におけるのと同様の方程式y=f(x)で表したときの特定のyの値をいう。また、負荷長さ率とは、ある切断レベルで粗さ曲線を切断したときの切断部分長さの測定長さLに対する百分率である。ただし、負荷長さ率は、切断レベルが粗さ曲線の最も高い山頂にあるときに0%とし、最も低い谷底にあるときに100%とするものとする(図2参照。)。
中核粗さ深さ(R)は、上記で定義される負荷曲線上において、負荷長さ率の値の差が40%となり、かつ負荷曲線上の切断レベルの差が最小となるような2点A及びBをとり、直線ABを両方向に延長したときに、負荷長さ率=0%を表す線との交点をC点とし、負荷長さ率=100%を表す線との交点をD点としたときのC点とD点の切断レベルの差をいう(図3参照。)。
減衰山高さ(Rpk)は、上記中核粗さ深さ(R)の定義におけるC点を通る切断レベルと負荷曲線の交点をH点とし、負荷曲線と負荷長さ率=0%を表す線との交点をI点とし、そして線分CH、線分CI及び曲線HIで囲まれる面積と、三角形CHJの面積が等しくなるように負荷長さ率=0%を表す直線上にJ点をとったときの、C点とJ点の切断レベルの差をいう(図4参照。なお、図4中「A1」は線分CH、線分CI及び曲線HIで囲まれる面積即ち三角形CHJの面積である)。
上記算術表面粗さ(R)、10点平均高さ(R)、中核粗さ深さ(R)及び減衰山高さ(Rpk)を測定するための複数の測定線は、パッド上に以下のように設定される。
まず、複数の測定線の中心点を次のように設定する。測定線の中心点は、パッド研磨面の端部の任意の一点から他の一点に向かってその長さが最大となるように仮想直線を引き(パッド研磨面が円形の場合には、上記仮想直線はパッド面を形成する円の直径となる。)、該仮想直線の中心から両側にそれぞれ仮想直線の長さの5%の範囲及び両端からそれぞれ仮想直線の長さの5%の範囲を除き、上記仮想直線上に略均等に10乃至50点設定される。測定線の中心点の数は好ましくは25乃至50点である。
ここで、本発明の化学機械研磨パッドの研磨面には、後述のとおり、溝が形成されていてもよいが、その場合の測定線の中心点は、後述するように設定される測定線の全部が研磨面上の溝以外の部分になるように設定されるべきである。研磨面に形成されている溝の形状によっては、前期仮想直線上に均等間隔で10乃至50点の測定点が設定できない場合があるが、そのときには、略均等となるように設定した点のうち、測定線の一部が溝部にかかるような点を除いて上記点数を確保すれば足りる。次いで、これら複数の点を設定するために想定された仮想直線に直交し、かつ「測定線の中心点」を通過する直線を想定し、これを測定線とすることができる。測定線の長さとしては、上記測定線の中心点を中心として、1〜15mm程度とすることができる。
なお、上記粗さ曲線は、市販の表面粗さ計を使用して測定することができる。
本発明の化学機械研磨パッドについて、このようにして測定される、研磨面表面の算術表面粗さ(R)は、0.1〜15μmである。この値は好ましくは0.1〜12μmである。また、10点平均高さ(R)は40〜150μmである。40〜130μmであることが好ましい。中核粗さ深さ(R)は12〜50μmである。12〜45μmであることが好ましい。減衰山高さ(Rpk)は、7〜40μmである。7〜30μmであることが好ましい。
これらの値をこの範囲に設定した化学機械研磨パッドを使用することにより、化学機械研磨工程を行った場合、優れた面内均一性及び平坦性の被研磨面を得ることができる。この効果は、特に大口径ウェハを化学機械研磨する場合に顕著に現れる。
本発明の化学機械研磨パッドは、好ましくはその厚さ分布が50μm以下である。化学機械研磨パッドの厚さ分布を50μm以下とすることで、本発明の効果が更に有利に発揮されることとなる。この値は更に好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは30μm以下である。化学機械研磨パッドの厚さ分布をこの範囲とすることで、大口径ウェハを被研磨体として化学機械研磨を行った場合であっても、面内均一性及び平坦性に優れた被研磨面を得ることができる。
ここで、厚さ分布とは、パッド面に設定した複数の測定点について厚さを測定し、下記の計算式により計算することができる。

厚さ分布 = (厚さの測定値の最大値)−(厚さの測定値の最小値)

測定点は、パッド研磨面の端部の任意の一点から他の一点に向かってその長さが最大となるように仮想直線を引き(パッド研磨面が円形の場合には、上記仮想直線はパッド面を形成する円の直径となる。)、該仮想直線の中心から両側にそれぞれ仮想直線の長さの5%の範囲及び両端からそれぞれ仮想直線の長さの5%の範囲を除き、上記仮想直線上に略均等に10乃至50点設定される。測定点の数は好ましくは25乃至50点である。
ここで、本発明の化学機械研磨パッドの研磨面には、後述のとおり、溝が形成されていてもよいが、その場合の測定点は、研磨面上の溝以外の部分に設定されるべきである。研磨面に形成されている溝の形状によっては、前期仮想直線上に均等間隔で10乃至50点の測定点が設定できない場合があるが、そのときには、略均等となるように設定した点のうち、溝部にある点を除いて上記測定点数を確保すれば足りる。
各測定点における厚さは、化学機械研磨パッドを水平面上に置き、測定点と水平面との距離を測定することによって知ることができる。測定点と水平面との距離の測定には、接触式の距離測定装置を使用することができる。その市販品としては、例えば、「マニュアル三次元測定機」((株)ミツトヨ製)等を挙げることができる。
本発明の化学機械研磨パッドの形状は特に限定されない。例えば、円盤状、ベルト状、ローラー状等とすることができる。研磨装置に応じて適宜選択することが好ましい。また、使用前における化学機械研磨パッドの大きさも特に限定されない。円盤状の化学機械研磨パッドでは、直径は、例えば0.5〜500cm、好ましくは1.0〜250cm、更に好ましくは20〜200cmである。厚みは、例えば0.1mmを超え且つ100mm以下、好ましくは特に1〜10mmとすることができる。
本発明の化学機械研磨パッドは、その研磨面に任意の形状の溝又は凹部を備えることができる。この溝又は凹部は、化学機械研磨の際に供給される化学機械研磨用水系分散体を保持し、被研磨体の被研磨面に均一に分配する機能を有し、また化学機械研磨により生じた摩耗屑や研磨廃液等の廃棄物を一時的に滞留させ、かつ当該廃棄物を外部へ排出する経路ともなる。
上記溝の形状は特に限定されないが、例えば円形状、格子状、放射状等を挙げることができる。上記凹部の形状としては、円形状、多角形状等を挙げることができる。また、溝又は凹部の断面形状は特に限定されない。例えば、矩形状、台形状、U字形状、V字形状等であることができる。
これら溝又は凹部は一本又は一個でもよく、多数本又は多数個でもよい。
上記溝又は凹部の大きさは特に限定されない。溝の幅又は凹部の最短径は、例えば0.1mm以上であることができ、更に0.1〜0.5mmとすることができ、特に0.2〜3.0mmとすることができる。溝又は凹部の深さは、例えば0.1mm以上であることができ、更に0.1〜2.5mmであることができ、特に0.2〜2.0mmであることができる。
上記溝又は凹部の内面の表面粗さは、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることが更に好ましい。溝又は凹部の内面の表面粗さをこの範囲の値とすることにより、当該パッドを用いて化学機械研磨を行った場合、被研磨体の被研磨面上にスクラッチが生成するのを低減できるとともに、研磨速度の向上及び研磨用パッドの寿命の向上にも資する。ここで、溝又は凹部の内面の表面粗さを上記範囲とすることによる研磨速度の向上は、化学機械研磨用水系分散体を被研磨面に分配する機能がよりよく行われるためと推察される。また、溝又は凹部の内面の表面粗さを上記範囲とすることによる研磨用パッドの寿命の向上は、化学機械研磨時の発生する廃棄物の排出機能がより効率よく行われるようになるためと推察される。
上記表面粗さは、例えば光学式表面粗さ測定装置、接触式表面粗さ測定装置等を使用して測定することができる。上記光学式表面粗さ測定装置としては例えば三次元表面構造解析顕微鏡、走査型レーザー顕微鏡、電子線表面形態解析装置等を挙げることができる。上記接触式表面粗さ測定装置としては例えば触針式表面粗さ計等を挙げることができる。
本発明の化学機械研磨パッドは、更に、非研磨面側(パッドの裏側)に溝又は凹部を有するものであってもよい。
この溝又は凹部は、化学機械研磨工程において、被研磨面の表面欠陥の発生の抑制に資する。この凹部は、研磨用パッドと被研磨体との間に化学機械研磨用水系分散体中に存在することがある粗大粒子や、化学機械研磨パッドの製造工程に由来する切削屑等の異物が侵入したような場合でも、局所的に発生する過大な圧力を緩和する機能を有し、これにより、被研磨面の表面欠陥を低減させる作用をするものと推察される。
上記溝又は凹部の形状は特に限定されない。溝の形状は、例えば螺旋状、環状、格子状等であることができ、凹部の形状は、例えば円形状、多角形状等であることができる。
溝又は凹部の大きさは任意に設定することができる。凹部が円形状である場合には、例えば直径1〜300mmであることができ、更に5〜200mmであることができ、特に10〜150mmであることができる。溝が螺旋状、環状又は格子状である場合の幅は、例えば0.1〜20mmであることができ、更に0.1〜10mmであることができる。上記溝又は凹部の深さは、その形状にかかわらず、例えば0.01〜2.0mmであることができ、更に0.1〜1.5mmであることができ、特に0.1〜1.0mmであることができる。
これら溝又は凹部は一個のみ形成されていても、二個以上形成されていてもよい。
本発明の化学機械研磨パッドは、上記のとおり厚さ分布が50μm以下であり、任意に研磨面及び/又は非研磨面に溝又は凹部を有するものである。その製造方法は問わないが、例えば以下の工程を含む方法により製造することができる。
(1)化学機械研磨パッド用組成物を準備する工程
(2)上記化学機械研磨パッド用組成物を用いて、研磨層を成型する工程および
(3)上記研磨層の少なくとも研磨面となるべき面をサンダー処理する工程
以下、各工程について詳述する。
(1)化学機械研磨パッド用組成物を準備する工程
本発明の化学機械研磨パッドは、本発明の目的を達することができる限りどのような素材から構成されていてもよい。化学機械研磨パッドとしての機能のうち、特に、化学機械研磨時に化学機械研磨用水系分散体を保持し、研磨屑を一時的に滞留させる等の機能を有するポアが研磨時までに形成されていることが好ましい。このため、水溶性粒子と水溶性粒子が分散された非水溶性マトリックスからなる素材か、又は、空洞と空洞が分散された非水溶性マトリクス材からなる素材、例えば発泡体等を備えることが好ましい。
このうち、前者の素材は、水溶性粒子が研磨時に水系媒体と固形分とを含有するスラリーの水系媒体と接触し、溶解又は膨潤して脱離し、そして、脱離により形成されたポアにスラリーを保持できる。一方、後者の素材は、空洞として予め形成されているポアにスラリーを保持できる。
上記「非水溶性マトリックス」を構成する材料は特に限定されないが、所定の形状及び性状への成形が容易であり、適度な硬度や、適度な弾性等を付与できることなどから、有機材料が好ましく用いられる。有機材料としては、例えば熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム例えば架橋ゴム及び硬化樹脂例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等、熱、光等により硬化された樹脂等を単独又は組み合わせて用いることができる。
このうち、熱可塑性樹脂としては、例えば1,2−ポリブタジエン樹脂、ポリエチレンの如きポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂例えば(メタ)アクリレート系樹脂等、ビニルエステル樹脂(アクリル樹脂を除く)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等を挙げることができる。
エラストマーとしては、例えば1,2−ポリブタジエンの如きジエンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー(TPO)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、その水素添加ブロック共重合体(SEBS)の如きスチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、ポリアミドエラストマー(TPAE)の如き熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂エラストマー、フッ素樹脂エラストマー等を挙げることができる。ゴムとしては、例えばブタジエンゴム、例えば高シスブタジエンゴム、低シスブタジエンゴム等、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴムの如き共役ジエンゴム、アクロルニトリル−ブタジエンゴムの如きニトリルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムの如きエチレン−α−オレフィンゴム及びブチルゴムや、シリコーンゴム、フッ素ゴムの如きその他のゴムを挙げることができる。
硬化樹脂としては、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン−ウレア樹脂、ウレア樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂等を挙げることができる。
また、これらの有機材料は、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基等により変性されたものであってもよい。変性により、後述する水溶性粒子や、スラリーとの親和性を調節することができる。
これらの有機材料は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、これらの有機材料は、その一部又は全部が架橋された架橋重合体でもよく、非架橋重合体でもよい。従って、非水溶性マトリックスは、架橋重合体のみからなってもよく、架橋重合体と非架橋重合体との混合物であってもよく、非架橋重合体のみからなってもよい。しかし、架橋重合体のみからなるか、又は架橋重合体と非架橋重合体との混合物からなることが好ましい。架橋重合体を含有することにより、非水溶性マトリックスに弾性回復力が付与され、研磨時に化学機械研磨パッドにかかるずり応力による変位を小さく抑えることができる。また、研磨時及びドレッシング時に非水溶性マトリックスが過度に引き延ばされ塑性変形してポアが埋まること、更には、化学機械研磨パッド表面が過度に毛羽立つこと等を効果的に抑制できる。従って、ドレッシング時にもポアが効率よく形成され、研磨時のスラリーの保持性の低下が防止でき、更には、毛羽立ちが少なく研磨平坦性を阻害しない。なお、上記架橋を行う方法は特に限定されず、例えば有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物等を用いた化学架橋、電子線照射等による放射線架橋などにより行うことができる。
この架橋重合体としては、上記有機材料の中でも架橋ゴム、硬化樹脂、架橋された熱可塑性樹脂及び架橋されたエラストマー等を用いることができる。更に、これらの中でも、多くのスラリー中に含有される強酸や強アルカリに対して安定であり、且つ吸水による軟化が少ないことから架橋熱可塑性樹脂及び/又は架橋エラストマーが好ましい。また、架橋熱可塑性樹脂及び架橋エラストマーのうちでも、有機過酸化物を用いて架橋されたものが特に好ましく、更には、架橋1,2−ポリブタジエンがより好ましい。
これら架橋重合体の含有量は特に限定されないが、非水溶性マトリックス全体の、好ましくは30体積%以上、より好ましくは50体積%以上、更に好ましくは70体積%以上であり100体積%であってもよい。非水溶性マトリックス中の架橋重合体の含有量が30体積%未満では十分に架橋重合体を含有する効果を発揮させることができない場合がある。
架橋重合体を含有する非水溶性マトリックスは、JIS K 6251に準じて非水溶性マトリックスからなる試験片を80℃において破断させた場合に、破断後に残留する伸び(以下、単に「破断残留伸び」という)が100%以下であるものとすることができる。即ち、破断した後の標線間合計距離が破断前の標線間距離の2倍以下となる。この破断残留伸びは、好ましくは30%以下、更に好ましくは10%以下、とりわけ好ましくは5%以下であり、通常0%以上であることがより好ましい。破断残留伸びが100%を超えると、研磨時及び面更新時に化学機械研磨パッド表面から掻き取られた又は引き延ばされた微細片がポアを塞ぎ易くなる傾向にあり好ましくない。この「破断残留伸び」とは、JIS K 6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準じて、試験片形状ダンベル状3号形、引張速度500mm/分、試験温度80℃で引張試験において試験片を破断させた場合に、破断して分割された試験片の各々の標線から破断部までの合計距離から、試験前の標線間距離を差し引いた伸びである。また、実際の研磨においては摺動により発熱するため温度80℃における試験である。
上記「水溶性粒子」は、化学機械研磨パッド中において水系分散体であるスラリーと接触することにより非水溶性マトリックスから脱離する粒子である。この脱離は、スラリー中に含有される水等との接触により溶解することで生じてもよく、この水等を含有して膨潤し、ゲル状となることで生じるものであってもよい。更に、この溶解又は膨潤は水によるものばかりでなく、メタノール等のアルコール系溶剤を含有する水系混合媒体との接触によるものであってもよい。
この水溶性粒子は、ポアを形成する効果以外にも、化学機械研磨パッド中においては、化学機械研磨パッドの押し込み硬さを大きくする効果を有する。例えば、水溶性粒子を含有することにより本発明の化学機械研磨パッドのショアD硬度を、好ましくは35以上、より好ましくは50〜90、更に好ましくは60〜85そして通常100以下にすることができる。ショアD硬度が35を超えると、被研磨体に負荷できる圧力を大きくでき、これに伴い研磨速度を向上させることができる。更に加えて、高い研磨平坦性が得られる。従って、この水溶性粒子は、化学機械研磨パッドにおいて十分な押し込み硬さを確保できる中実体であることが特に好ましい。
この水溶性粒子を構成する材料は特に限定されない。例えば、有機水溶性粒子及び無機水溶性粒子を挙げることができる。有機水溶性粒子の素材としては、例えば糖類、例えばでんぷん、デキストリン及びシクロデキストリンの如き多糖類、乳糖、マンニット等、セルロース類、例えばヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等、蛋白質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性の感光性樹脂、スルホン化ポリイソプレン、スルホン化ポリイソプレン共重合体等を挙げることができる。更に、無機水溶性粒子の素材としては、例えば酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、硝酸マグネシウム等を挙げることができる。これらの水溶性粒子は、上記各素材を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、所定の素材からなる1種の水溶性粒子であってもよく、異なる素材からなる2種以上の水溶性粒子であってもよい。
また、水溶性粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。ポアの大きさは、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。水溶性粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、形成されるポアの大きさが使用する砥粒より小さくなるためスラリーを十分に保持できる化学機械研磨パッドが得難くなる傾向にある。一方、500μmを超えると、形成されるポアの大きさが過大となり得られる化学機械研磨パッドの機械的強度及び研磨速度が低下する傾向にある。
この水溶性粒子の含有量は、非水溶性マトリックスと水溶性粒子との合計を100体積%とした場合に、水溶性粒子は、好ましくは1〜90体積%、より好ましくは1〜60体積%、更に好ましくは2〜40体積%、である。水溶性粒子の含有量が1体積%未満であると、得られる化学機械研磨パッドにおいてポアが十分に形成されず研磨速度が低下する傾向にある。一方、90体積%を超えて水溶性粒子を含有する場合は、得られる化学機械研磨パッドにおいて化学機械研磨パッド内部に存在する水溶性粒子が膨潤又は溶解することを十分に防止でき難くなる傾向にあり、化学機械研磨パッドの硬度及び機械的強度を適正な値に保持し難くなる。
また、水溶性粒子は、化学機械研磨パッド内において表層に露出した場合にのみ水に溶解し、化学機械研磨パッド内部では吸湿して更には膨潤しないことが好ましい。このため水溶性粒子は最外部の少なくとも一部に吸湿を抑制する外殻を備えることができる。この外殻は水溶性粒子に物理的に吸着していても、水溶性粒子と化学結合していても、更にはこの両方により水溶性粒子に接していてもよい。このような外殻を形成する材料としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリシリケート等を挙げることができる。なお、この外殻は水溶性粒子の一部のみに形成されていても十分に上記効果を得ることができる。
上記非水溶性マトリックスは、水溶性粒子との親和性並びに非水溶性マトリックス中における水溶性粒子の分散性を制御するため、相溶化剤を含有することができる。相溶化剤としては、例えば酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、オキサゾリン基及びアミノ基等により変性された重合体、ブロック共重合体、並びにランダム共重合体、更に、種々のノニオン系界面活性剤、カップリング剤等を挙げることができる。
一方、後者の空洞が分散して形成された非水溶性マトリクス材(発泡体等)を備える化学機械研磨パッドを構成する非水溶性マトリックス材としては、例えば、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリビニルアセテート等を挙げることができる。
このような非水溶性マトリックス材中に分散する空洞の大きさは、平均値で、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。
なお、空洞が分散して形成された非水溶性マトリクス材、例えば発泡体等を備える化学機械研磨パッドは、空洞の大きさによっては、本発明の化学機械研磨パッドが備えるべき好ましい要件たるパッド表面の算術表面粗さ(R)、10点平均高さ(R)、中核粗さ深さ(R)、及び減衰山高さ(Rpk)の規定を満たし得ない場合があるため、本発明の化学機械研磨パッドは、水溶性粒子と水溶性粒子が分散された非水溶性マトリックスからなる素材から形成された研磨層を備えることが好ましい。
上記のような材料から化学機械研磨パッド用組成物を得る方法は特に限定されない。例えば、所定の有機材料等の必要な材料を混練機等により混練して得ることができる。混練機としては従来より公知のものを用いることができる。例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機(単軸、多軸)等の混練機を挙げることができる。
更に、水溶性粒子を含有する化学機械研磨パッドを得るための水溶性粒子を含有する化学機械研磨パッド用組成物は、例えば、非水溶性マトリックス、水溶性粒子及びその他の添加剤等を混練して得ることができる。但し、通常、混練時には加工し易いように加熱して混練されるが、この時の温度において水溶性粒子は固体であることが好ましい。固体であることにより、非水溶性マトリックスとの相溶性の大きさに関わらず水溶性粒子を前記の好ましい平均粒径で分散させることができる。従って、この場合には、使用する非水溶性マトリックスの加工温度により、水溶性粒子の種類を選択することが好ましい。
(2)上記化学機械研磨パッド用組成物を用いて、研磨層を成型する工程
本発明の化学機械研磨パッドとなるべき研磨層の製造方法は特に限定されない。例えば、予め研磨層となる化学機械研磨パッド用組成物を準備し、この組成物を所望形の概形に成形することにより、研磨層を製造することができる。このとき、研磨層の表面及び/又は裏面に形成される溝及び/又は凹部となるべきパターンが形成された金型を用いて化学機械研磨パッド用組成物を金型成形することにより、研磨層の概形と共に溝及び/又は凹部を同時に形成することができる。金型成形により溝及び/又は凹部を形成すると、工程が簡略化できるとともに、溝及び又は凹部の内面の表面粗さを20μm以下にすることが容易にできる利点を有する。
なお、このような研磨層の表面及び/又は裏面の溝及び/又は凹部は、これらを有しない研磨層を製造した後に、切削加工、ザグリ加工等によって形成することもできる。溝及び/又は凹部を切削加工、ザグリ加工等によって形成する場合には、溝及び/又は凹部の形成工程は次に述べる(3)サンダー処理工程の前に行ってもよく、(3)サンダー処理工程の後に行ってもよい。
(3)上記研磨層の少なくとも研磨面となるべき面をサンダー処理する工程
次に、上記の如くして成型した研磨層の、少なくとも研磨面となるべき面がサンダー処理される。
ここで、サンダー処理とは、サンドペーパによる研磨処理をいう。サンドペーパは、シート状、帯状又はベルト状の紙又は布からなる基体に、接着剤により砥粒を植え付けたヤスリをいう。砥粒を構成する材料としては、例えば天然鉱物の微細な結晶、人造無機化合物の微粒を挙げることができる。天然鉱物としては例えばエメリー、ガーネット等を、人造無機化合物としては例えば酸化アルミニウム、炭化ケイ素等を、それぞれ挙げることができる。
上記サンダー処理に使用する砥粒サイズは、20〜200μmであることが好ましく、25〜150μmであることが更に好ましい。サンドペーパの粒度メッシュは、#80〜#600であることが好ましく、#120〜#400であることが更に好ましい。
サンダー処理に際しては、上記研磨層の研磨面よりも大きな幅を有するサンドペーパを使用することが好ましい。
上記サンダー処理は、上記研磨層を研磨面となるべき面を上にして水平面上に固定し、研磨面の全面がサンドペーパに接するようにして、研磨面とサンドペーパの相対速度が好ましくは0.1〜100m/分、更に好ましくは0.5〜50m/分となるよう、サンドペーパを運動させて行うことができる。この運動は、研磨層の研磨面とサンドペーパの接触部を基準として、回転運動であってもよく、直線運動であってもよい。
サンダー処理によって削り込む量すなわち除去される研磨層の厚さは0.05〜3.0mmであることが好ましく、0.1〜2.0mmであることが更に好ましい。
サンダー処理は、一種類の粒度メッシュのサンドペーパのみを使用して行ってもよく、異なる粒度メッシュのサンドペーパをそれぞれ使用して多段階で行うこともできる。このうち、異なる粒度メッシュのサンドペーパをそれぞれ使用して多段階で行うサンダー処理が好ましい。段階の数としては、2〜10段階であることが好ましく、3〜6段階であることが更に好ましい。各段階で削り込む量すなわち除去される研磨層の厚さは、好ましくは0.01〜1.5mmであり、更に好ましくは0.1〜1.0mmである。なお、サンダー処理を、異なる粒度メッシュのサンドペーパをそれぞれ使用して多段階で行う場合には、粗い粒度メッシュのサンドペーパを用いる段階から、順次細かい粒度メッシュのサンドペーパを用いる段階へと進むことが好ましい。
上記サンダー処理は、例えばサンドブラスト装置、ベルト研磨装置、バレル研磨機、パフ研磨機、リング型研磨機、電解研磨装置、電解と粒研磨装置等を使用して行うことができる。これらのうち、ベルト研磨装置を使用することが好ましい。ベルト研磨装置の市販品としては、例えばアミテック(株)製TS130D型研磨機、(株)菊川鉄工所製T−142DG型ワイドベルトサンダー、(株)名南製作所(Meinan Machinery Works,Inc.)製ワイドベルトサンダー等を挙げることができる。
このようなサンダー処理を施すことにより、厚さ分布が50μm以下であり、研磨面における表面の算術表面粗さ(R)が0.1〜15μmであり、10点平均高さ(R)が40〜150μmであり、中核粗さ深さ(R)が12〜50μmであり、かつ減衰山高さ(Rpk)が7〜40μmであるような化学機械研磨パッドを容易に得ることができる。
次に本発明の化学機械研磨方法について説明する。
本発明の化学機械研磨方法は、上記した本発明の化学機械研磨パッドを、市販の研磨装置に装着して使用する他は、公知の化学機械研磨方法により実施することができる。
その場合の被研磨面の種類は問わないが、例えば配線材料たる金属膜、バリアメタル膜、絶縁膜等を挙げることができる。上記金属膜を構成する材料としては、例えば、タングステン、アルミニウム、銅及びこれらの金属のうち少なくとも1種を含有する合金等をあげることができる。上記バリアメタル膜としては、例えばタンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタン等を挙げることができる。絶縁層を構成する材料としては、例えば酸化シリコン等を挙げることができる。使用する化学機械研磨用水系分散体の種類は、被研磨面の種類や化学機械研磨の目的等に応じて、適宜選択されるべきである。
本発明の化学機械研磨方法の被研磨物としては、特に、上記したような材料の少なくとも1種を被研磨面に有する半導体ウェハであることが好ましい。半導体ウェハのサイズは問わないが、大口径の半導体ウェハを化学機械研磨する場合に、本発明の化学機械研磨方法の利点が顕著に表れる。ここで、大口径の半導体ウェハとは、8インチを超える直径を有する半導体ウェハを意味し、好ましくは10インチ以上の直径を有する半導体ウェハである。
以上のとおり、本発明の化学機械研磨パッドは、表面粗さを一定範囲内とすることにより、ウェハ研磨時の安定性が増す利点を有する。すなわち、従来知られている研磨パッドでは、新品のパッドを研磨装置に装着はじめてウェハ研磨を行う前に、初期ドレッシング(break-in dressing)が必要であるが、上記表面粗さとすることにより、初期ドレッシングを行わない、ないしは従来よりも短時間の初期ドレッシングによって、装着後最初のウェハから安定した研磨性能を示すこととなる。
実施例1
1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、品名「JSR RB830」)98体積%と、水溶性物質としてβ−シクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所製、品名「デキシーパールβ−100」)2体積%とを、155℃に加熱されたルーダーにて混練した。その後、パークミルD40(商品名、日本油脂(株)製。ジクミルパーオキサイドを40質量%含有する。)を、1,2−ポリブタジエンの量を100質量部として換算した1.0質量部(純ジクミルパーオキサイドに換算して、0.4質量部に相当する。)を添加して更に混練した後、プレス金型内にて170℃で18分間架橋成形し、直径810cm、厚さ3.3mmの円盤形状の成形体を得た。この成形体を、ワイドベルトサンダー機器((株)名南製作所製)の挿入口にセットし、0.1m/秒の速さで動かしながら、粒度メッシュ#120、#150、#220、#320のサンドペーパー(ノバッテク社製)を順次用いて、ローラを500rpmで回転させながら各メッシュにつき0.04mmずつ成型体表面を研削することによりサンダー処理を行い、平均厚さ2.5mm、厚み分布20μm、算術表面粗さ(R)が4.4μm、10点平均高さ(R)が125μm、中核粗さ深さ(R)が16μm、減衰山高さ(Rpk)が14μmを有する成形体を得た。
なお、上記サンダー処理において、成型体とサンドペーパの接触面における成型体とサンドペーパの相対速度は、5m/分であった。
上記厚さ分布は、成型体の研磨面となるべき面の直径方向に、中心から両側にそれぞれ40mmの範囲及び両端からそれぞれ40mmの範囲を除いて均等にとった33点について、「マニュアル三次元測定機」((株)ミツトヨ製)により測定した厚さから、下記の計算式により算出した。

厚さ分布 = (厚さの測定値の最大値)−(厚さの測定値の最小値)
また、算術表面粗さ(R)、10点平均高さ(R)、中核粗さ深さ(R)及び減衰山高さ(Rpk)は、成型体の研磨面となるべき面の直径方向に、両端からそれぞれ40mmの範囲を除いて均等にとった10点をそれぞれ中心とし、パッドの直径方向に直交する10本の測定線(測定長さ10mm)について、「1LM21P」(レーザーテック社製)によりそれぞれ測定した粗さ曲線から算出したものの平均値である。
次いで、この成形体の面のうち、サンダー処理を施した面に、切削加工機((株)加藤機械製)を用いて、幅0.5mm、ピッチ2mm、深さ1.0mmの同心円状の溝を形成し、化学機械研磨パッドを製造した。なお、ここで形成した溝の内面の表面粗さは、6μmであった。
この化学機械研磨パッドをアプライドマテリアル製化学機械研磨装置「Applied Reflexion」に装着し、以下の条件で脱イオン水を供給しつつ、初期ドレッシングを行った。
定盤回転数:120rpm
脱イオン水供給量:100mL/分
研磨時間:600秒
次いで、12インチPETEOS膜付きウェハを被研磨体として以下の条件にて化学機械研磨を行った。なお、PETEOS膜とは、テトラエチルシリケート(TEOS)を原料として、促進条件としてプラズマを利用して化学気相成長法で成膜した酸化ケイ素膜である。
定盤回転数:120rpm
研磨ヘッド回転数:36rpm
研磨圧力:
Retainer Ring圧=7.5psi
Zone 1の圧力=6.0psi
Zone 2の圧力=3.0psi
Zone 3の圧力=3.5psi
水系分散体供給量:300mL/分
研磨時間:60秒
化学機械研磨用水系分散体:CMS1101(JSR(株)製)
上記被研磨体である12インチPETEOS膜付きウェハにつき、直径方向に、両端からそれぞれ5mmの範囲を除いて均等にとった33点について化学機械研磨前後のPETEOS膜の厚さを測定した。この測定結果から、下記式により、研磨速度及び面内均一性を計算した。

研磨量 = 研磨前の膜厚−研磨後の膜厚
研磨速度 = Σ(研磨量)/研磨時間
面内均一性 =(研磨量の標準偏差÷研磨量の平均値)×100(%)
結果を表1に示す。面内均一性が3%以下のとき、面内均一性は良好であるといえる。
実施例2
実施例1において、1,2−ポリブタジエンの使用量を80体積%とし、β−シクロデキストリンの使用量を20体積%とし、パークミルD40の使用量を、1,2−ポリブタジエンの量を100質量部として換算した0.8質量部(純ジクミルパーオキサイドに換算して、0.32質量部に相当する。)とした他は実施例1と同様にして、平均厚さ2.5mm、厚さ分布20μm、算術表面粗さ(R)が3.4μm、10点平均高さ(R)が108μm、中核粗さ深さ(R)が18μm、減衰山高さ(Rpk)が16μmを有する成形体を得た。
次いでこの成形体の面のうち、サンダー処理を施した面に、実施例1と同様にして、幅0.5mm、ピッチ2mm、深さ1.0mm、内面の表面粗さ5μmの同心円状の溝を形成し、化学機械研磨パッドを製造した。
この化学機械研磨パッドを使用して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、1,2−ポリブタジエンの使用量を64体積%とし、スチレン−ブタジエンブロック重合体(JSR(株)製、TR2827)を16体積%使用し、β−シクロデキストリンの使用量を20体積%とした他は実施例1と同様にして、平均厚さ2.5mm、厚さ分布25μm、算術表面粗さ(R)が3.8μm、10点平均高さ(R)が115μm、中核粗さ深さ(R)が15μm、減衰山高さ(Rpk)が14μmを有する成形体を得た。
次いでこの成形体の面のうち、サンダー処理を施した面に、実施例1と同様にして、幅0.5mm、ピッチ2mm、深さ1.0mm、内面の表面粗さ4.5μmの同心円状の溝を形成し、化学機械研磨パッドを製造した。
この化学機械研磨パッドを使用して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、平均厚みが2.5mmとなる金型を用いて成形し、サンダー処理を実施しなかった以外は実施例1と同様に実施し、平均厚さ2.5mm、厚さ分布70μm、算術表面粗さ(R)が1.5μm、10点平均高さ(R)が25μm、中核粗さ深さ(R)が8μm、減衰山高さ(Rpk)が6μmを有する成形体を得た。
次いでこの成形体の研磨面とするべき面に、実施例1と同様にして、幅0.5mm、ピッチ2mm、深さ1.0mm、内面の表面粗さ5.5μmの同心円状の溝を形成し、化学機械研磨パッドを製造した。
この化学機械研磨パッドを使用して、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2005333121
実施例4
実施例1において、初期ドレッシングを行わなかった以外は、実施例1と同様にして12インチPETEOS膜付きウェハの化学機械研磨を行った。引き続いて順次12インチPETEOS膜付きウェハの化学機械研磨を行い、合計10枚のウェハの化学機械研磨を連続して行った。各ウェハの研磨速度を表2に示した。
比較例2
実施例4において、化学機械研磨パッドとして比較例1と同様にして製造した化学機械研磨パッドを使用した他は、実施例4と同様にして10枚のウェハの化学機械研磨を連続して行った。各ウェハの研磨速度を表2に示した。
Figure 2005333121
10点平均高さ(R)の定義を示す説明図である。 負荷曲線の定義を示す説明図である。 中核粗さ深さ(R)の定義を示す説明図である。 減衰山高さ(Rpk)の定義を示す説明図である。

Claims (4)

  1. 研磨面と非研磨面を有し、そして研磨面が算術表面粗さ(R)が0.1〜15μmであり、10点平均高さ(R)が40〜150μmであり、中核粗さ深さ(R)が12〜50μmであり、かつ減衰山高さ(Rpk)が7〜40μmである表面からなることを特徴とする、化学機械研磨パッド。
  2. 厚さ分布が50μm以下である請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  3. 研磨層を成型し、次いで少なくともその研磨面となるべき面をサンダー処理する工程を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の化学機械研磨パッドの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の化学機械研磨パッドを用いて被研磨体を化学機械研磨することを特徴とする、化学機械研磨方法。
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