JP4877448B2 - 化学機械研磨パッド - Google Patents
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Description
また、近年は、発泡体を用いずにポアを形成できる研磨パッドとして、マトリクス樹脂中に水溶性ポリマーを分散させた研磨パッドが提案されている(特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7参照)。この技術は、研磨パッドのマトリクス樹脂中に予め分散された水溶性ポリマーが、研磨時にCMPスラリーまたは水に接触して溶解することにより、ポアを形成するものである。
これら化学機械研磨パッドにおいては、パッドの表面(研磨面)に溝を設けることにより研磨速度及び被研磨物の表面状態を向上しうることが知られている。
このような問題を解決するために、特許文献8には、パッド裏面(非研磨面側)に柔軟な緩衝層を積層した複層型パッドが提案されている。しかし、複層型パッドは、上記問題をある程度は改善するものではあるが、抜本的な解決には至っておらず、また、製造工程が煩雑となるためコストの増大や品質管理上の問題が生じることが知られている。
この技術によると、上記のようなスクラッチの発生は抑制されるものの、研磨後の被研磨面の表面平坦性に劣る場合があり、改善が望まれている。
被研磨物を研磨するための面、この面の反対面である非研磨面およびこれらの両面と接続する側面からなり、そして非研磨面上に、その面上に開口するが側面には開口しない、スクラッチの発生を抑制するための凹部のパターンと、
上記パターンを構成しない、非研磨面の中央部に位置する、円形又は多角形状の、スクラッチの発生を抑制するための凹部と
を有することを特徴とする、化学機械研磨に用いるための化学機械研磨パッドによって達成される。
なお、上記において、「パターン状凹部」とは、凹部がほぼ規則的又はほぼ均一な紋様を形成していることをいう。
凹部の形状が円形状、楕円形状又は多角形状である場合には、複数個の凹部が、例えば格子状紋様の各交点、三角格子状紋様の各交点、ハニカム状紋様の各頂点等に位置することにより、パターン状凹部を形成することができる。凹部が円形状である場合、その直径としては、0.1〜50mmであることが好ましく、0.1〜10mmであることがより好ましく、0.5〜10mmであることが更に好ましい。また、凹部が楕円形状又は多角形状である場合には、その長径は0.1〜50mmであることが好ましく、0.1〜10mmであることがより好ましく、0.5〜10mmであることが更に好ましい。また、凹部の形状が円形状、楕円形状又は多角形状である場合非研磨面に占めるパターン凹部の面積の割合は、5〜80%が好ましく、10〜67%がより好ましく、10〜50%が更に好ましい。
上記すべての場合において、凹部の深さは0.01〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜1.5mmであることがより好ましく、0.1〜1.0mmであることが更に好ましい。
本発明の化学機械研磨パッドの非研磨面に形成されるパターン状凹部は、パッドの側面に開口しないものである。ここで、パターン状凹部の閉止部とパッド側面との最短距離は、0.5mm以上であることが好ましく、0.5〜100mmであることがより好ましく、1.0〜50mmであることが更に好ましい。
化学機械研磨パッドの大きさも特に限定されないが、円盤状の化学機械研磨パッドでは、例えば、直径は150〜1,200mm、特に500〜800mmが好ましく、厚さは1.0〜5.0mm、特に好ましくは1.5〜3.0mmである。
ここで「中央部に位置する」とは、数学的に厳密な意味における中心に位置する場合のみならず、研磨パッドの非研磨面の中心点が上記凹部の範囲内に位置していればよい。
また、凹部の深さとしては、0.01mm〜2.0mmが好ましく、更に0.1mm〜1.5mmが好ましく、特に0.1mm〜1.0mmが好ましい。
上記透光性は必要以上に高い必要はなく、70%以下であってよく、更には65%以下、特に60%以下としても本発明の目的を達成することができる。
例えば、波長633nmの光に対する透過率として好ましくは8〜70%、更に好ましくは10〜65%、特に12〜60%であることが好ましい。
化学機械研磨パッドの備える透光性領域の数は特に限定されず、1ヶ所であっても、2ヶ所以上であってもよい。また、その配置は、上記した位置関係を充足する限り特に限定されない。
この薄肉部における厚さは特に限定されないが、通常、薄肉部中で最も薄い厚さは0.1〜3.0mmであることが好ましく、0.3〜3mmであることがより好ましい。薄肉部の厚さが0.1mm未満ではこの部分における機械的強度を十分に確保することが困難となる傾向にある。
薄肉部の大きさも特に限定されないが、例えば、円形である場合には直径5〜100mmであることが好ましく、環状である場合にはその幅が5mm以上であることが好ましく、長方形又は楕円形状である場合には長径10〜200mm且つ短径5〜100mmであることが好ましい。
なお、透光性領域とするためこのような薄肉部を化学機械研磨パッドの非研磨面である裏面に形成した場合、本発明の主たる要件である裏面のパターン状凹部のパターン性が、当該領域において破壊されることになるが、それによって本発明の効果が減殺されるものではない。
このうち、前者の素材は、水溶性粒子が研磨時に水系媒体と固形分とを含有するスラリーの水系媒体と接触し、溶解または膨潤して脱離し、そして、脱離により形成されたポアにスラリーを保持できる。一方、後者の素材は、空洞として予め形成されているポアにスラリーを保持できる。
これらの有機材料は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら架橋重合体の含有量は特に限定されないが、非水溶性部分全体の、好ましくは30体積%以上、より好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは70体積%以上であり100体積%であってもよい。非水溶性部分中の架橋重合体の含有量が30体積%未満では十分に架橋重合体を含有する効果を発揮させることができない場合がある。
このような非水溶性部材中に分散する空洞の大きさは、平均値で、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。
従って、使用する非水溶性部分の加工温度により、水溶性粒子の種類を選択することが好ましい。
上記支持層は、化学機械研磨パッドを研磨面の裏面側で支える層である。この支持層の特性は特に限定されないが、パッド本体に比べてより軟質であることが好ましい。より軟質な支持層を備えることにより、パッド本体の厚さが薄い場合例えば、1.0mm以下であっても、研磨時にパッド本体が浮き上がることや、研磨層の表面が湾曲すること等を防止でき、安定して研磨を行うことができる。この支持層の硬度は、パッド本体のショアD硬度の90%以下が好ましく、さらに好ましくは50〜90%であり、特に好ましくは50〜80%であり、就中50〜70%が特に好ましい。
支持層を構成する材料も特に限定されないが、所定の形状および性状への成形が容易であり、適度な弾性等を付与できることなどから有機材料を用いることが好ましい。
上記したような本発明の化学機械研磨パッドは、平坦な被研磨面を与えるとともに、高い研磨速度を与えることができ、かつ十分な寿命を有するものである。
本発明の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨すると、被研磨面のスクラッチ発生を抑制でき、かつ表面平坦性に優れた被研磨面を得ることができる。
(1)化学機械研磨パッドの製造
(1−1)化学機械研磨パッド用組成物の調製
1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、商品名「JSR RB830」)を80体積部(72.2質量部に相当する。)及びβ−シクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所製、商品名「デキシーパールβ−100」、平均粒径20μm)を20体積部(27.2質量部に相当する。)とを、160℃に調温されたルーダーにより60rpmで2分間混練した。次いで、「パークミルD40」(商品名、日本油脂(株)製。ジクミルパーオキシドを40質量%含有する。)を0.722質量部(1,2−ポリブタジエン100質量部あたりのジクミルパーオキシド量に換算して、0.4質量部に相当する。)を加え、更に120℃にて60rpmで2分間混練し、化学機械研磨パッド用組成物のペレットを得た。
このペレットを、下盤の一部に鏡面の凸部(長径59mm×短径21mm×高さ0.6mm、円形であるパッド概形の中心から100mmのところに凸部の中心が位置し、凸部の中心を通り、長径を構成する辺と平行な直線が、円形であるパッド概形の直径方向と平行である。)を有する金型内において170℃にて18分間加熱し、架橋させて直径600mm、厚さ2.5mm、裏面(非研磨面)の一部が薄肉化された円盤状の成形体を得た。この薄肉部は、化学機械研磨パッドを光学式検出器付きの化学機械研磨装置に装着した際に、終点検出用の光が通過するための透光性領域に相当する。
次いで、市販の切削加工機を用いて、上記成形体の研磨面側に幅が0.5mm、ピッチが2.0mm、深さが1.0mmの同心円状の溝(断面形状は矩形である。)を形成した。
ここで非研磨面側に形成した凹部の概略図を図1に示す。
(2−1)シリカを砥粒として含有する化学機械研磨用水系分散体を使用して、PETEOS膜を研磨した例
上記で製造した化学機械研磨パッドを、化学機械研磨装置「EPO112」((株)荏原製作所製)の定盤上に接着テープ面で接着して装着し、パターンなしPETEOS膜(テトラエチルオルトシリケートを原料として、促進条件としてプラズマを利用して化学気相成長法により製膜した酸化シリコン膜である。)を表面に有する直径200mmのウェハを被研磨体として、以下の条件で化学機械研磨した。
化学機械研磨用水系分散体:CMS−1101(商品名、JSR(株)製。シリカを砥粒として含有する。)をイオン交換水にて3倍に希釈したもの。
水系分散体供給量:200mL/分
定盤回転数:70rpm
ヘッド回転数:63rpm
ヘッド押しつけ圧:4psi
研磨時間:2分
上記の化学機械研磨において、研磨速度は200nm/分であり、面内均一性は1.2%であり、スクラッチ数はウェハ全面あたり3個であった。
ウェハの端部から10mm内側に入った点から直径方向に3.75mm間隔でとった49点につき、光学式膜厚計により研磨前後の膜厚を測定し、これら49点における研磨前後の膜厚差の平均値を研磨速度とし、これら49点における膜厚差を下記式にしたがって計算した結果を面内均一性とした。
面内均一性=(膜厚差の標準偏差)÷(膜厚差の平均値)×100(%)
また、スクラッチは研磨後のウェハ被研磨面の全面につき、ウェハ欠陥検査装置(KLA−Tencor社製、型式「KLA2351」)を使用して、生成したスクラッチの全数を計測した。
上記(1)と同様にして製造した化学機械研磨パッドを、化学機械研磨装置「EPO112」((株)荏原製作所製)の定盤上に接着テープ面で接着して装着し、パターンなしPETEOS膜を表面に有する直径200mmのウェハを被研磨体として、以下の条件で化学機械研磨した。
水系分散体供給量:150mL/分
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:70rpm
ヘッド押しつけ圧:3psi
研磨時間:1分
上記の化学機械研磨において、上記(2−1)と同様にして研磨速度、面内均一性及びウェハ全面あたりのスクラッチ数を測定したところ、それぞれ170nm/分、1.4%及び2個であった。
上記(1)と同様にして製造した化学機械研磨パッドを同心円状の溝に沿って直径508mmに切り出したものを、光学式終点検出器付き化学機械研磨装置「Mirra/Mesa」(Applied Materials社製)の定盤上に接着テープ面で接着して装着し、Sematech800BDM001(商品名、International SEMATECH製。シリコン基板上にシリコンカーバイド層を形成し、その上に配線となるべき箇所以外の部分に低誘電率の絶縁膜Black Diamond(商品名、Applied Materials社製)の層を形成し、更にその上にバリアメタルとしてのタンタル及び配線材料としての銅をこの順で堆積したテスト用ウェハである。)を被研磨体として、以下の条件で2段階で化学機械研磨した。
化学機械研磨用水系分散体:iCue5003(商品名、Cabot Microelectronics社製。シリカを砥粒として含有する。)及び30質量%過酸化水素水を体積比で11:1にて混合したもの。
水系分散体供給量:300mL/分
定盤回転数:120rpm
ヘッド回転数:35rpm
ヘッド押しつけ圧
リテーナーリング圧:5.5psi
メンブレン圧:3.0psi
インナーチューブ圧:0.0psi
化学機械研磨用水系分散体:CMS−8301(商品名、JSR(株)製。)に、30質量%過酸化水素水を1質量%加えたもの。
水系分散体供給量:200mL/分
定盤回転数:60rpm
ヘッド回転数:54rpm
ヘッド押しつけ圧
リテーナーリング圧:5.5psi
メンブレン圧:3.0psi
インナーチューブ圧:0.0psi
研磨時間:100秒
研磨後のウェハ被研磨面の全面につき、ウェハ欠陥検査装置(KLA−Tencor社製、型式「KLA2351」)を使用して、生成したスクラッチを計測したところ、銅配線上に7個、低誘電率の絶縁膜上に3個であった。
実施例1の(1)化学機械研磨パッドの製造と同様にして化学機械研磨パッドを製造し、その非研磨面側(裏面側)に、該研磨パッドと同じ平面形状及び同じ厚さの発泡ポリウレタンからなる支持層を、研磨パッドと同じ平面形状の両面テープで固定した。更に、該支持層の裏面に、研磨パッドと同じ平面形状の両面テープを貼付した。次いで、パッド裏面に接着された両面テープ、支持層及び支持層裏面に接着された両面テープにつき、パッドの透光性領域を覆う部分を切り抜くことにより、支持層付きの化学機械研磨パッドを製造した。
このようにして製造した支持層付き化学機械研磨パッドを使用した以外は実施例1と同様にして化学機械研磨性能の評価を行った。結果は表1に示す。
実施例1の(1−1)化学機械研磨パッド用組成物の調製及び(1−2)パッド概形の製造と同様に実施し、円盤状の成型体を得た。
次いで、市販の切削加工機を用いて、上記成形体の研磨面側にのみ幅が0.5mm、ピッチが2.0mm、深さが1.0mmの同心円状の溝(断面形状は矩形である。)を形成した。
更に、非研磨面側に、該パッドと同じ平面形状の両面接着テープを貼付し、終点検出用の薄肉化部分(透光性領域)を覆う両面接着テープを切り取って除くことにより、非研磨面側に凹部を有さない化学機械研磨パッドを製造した。
この化学機械研磨パッドを使用した以外は実施例1と同様にして化学機械研磨性能の評価を行った。結果は表1に示す。
実施例1の(1−1)化学機械研磨パッド用組成物の調製及び(1−2)パッド概形の製造と同様に実施し、円盤状の成型体を得た。
次いで、市販の切削加工機を用いて、上記成形体の研磨面側に幅が0.5mm、ピッチが2.0mm、深さが1.0mmの同心円状の溝(断面形状は矩形である。)を形成した。また、この成型体の非研磨面側の全面(ただし、透光性領域に相当する部分を除く。)に幅1.0mm、深さ0.5mm、ピッチ20mmの格子状の溝(断面形状は矩形である。)を形成した。ここで形成した格子状溝はパッドの端部にまで達するものである。
更に、非研磨面側に、該パッドと同じ平面形状の両面接着テープを貼付し、終点検出用の薄肉化部分(透光性領域)を覆う両面接着テープを切り取って除いた。
ここで非研磨面側に形成した凹部の概略図を図4に示す。
このようにして製造した化学機械研磨パッドを使用した以外は実施例1と同様にして化学機械研磨性能の評価を行った。結果は表1に示す。
化学機械研磨パッドとして、Rohm and Haas Electronic Materials社製の化学機械研磨パッド「IC1000」(単層型のもの。)を使用した以外は実施例1と同様にして化学機械研磨性能の評価を行った。ただし、この化学機械研磨パッドは光学式終点検出器の検出光を通すための透光部を持たないため、(2−3)銅及び低誘電率の絶縁膜からなるパターンの研磨における第1段階の研磨は、光学式終点検出器を使用せず、研磨時間を120秒とした。結果は表1に示す。
Claims (5)
- 被研磨物を研磨するための面、この面の反対面である非研磨面およびこれらの両面と接続する側面からなり、そして非研磨面上に、その面上に開口するが側面には開口しない、スクラッチの発生を抑制するための凹部のパターンと、
上記パターンを構成しない、非研磨面の中央部に位置する、円形又は多角形状の、スクラッチの発生を抑制するための凹部と
を有することを特徴とする、化学機械研磨に用いるための化学機械研磨パッド。
- 上記パターンを形成する凹部の非研磨面上における形状が、円形状、楕円形状、多角形状又は溝状である請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
- 非研磨面の中央部以外の部分に、透光性の高い領域をさらに有する請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
- 透光性の高い領域が、非研磨面の中央部以外の部分に形成された凹部である、請求項3に記載の化学機械研磨パッド。
- 非水溶性材料と、該非水溶性材料中に分散された水溶性粒子からなる請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
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