JP4877448B2 - 化学機械研磨パッド - Google Patents

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Description

本発明は、化学機械研磨パッドに関する。
近年、半導体装置の形成等において、シリコン基板又はその上に配線や電極等が形成されたシリコン基板(以下、「半導体ウェハ」という。)につき、優れた平坦性を有する表面を形成することができる研磨方法として、化学機械研磨方法(Chemical Mechanical Polishing、一般に「CMP」と略称される。)が注目されている。化学機械研磨方法は化学機械研磨パッドと被研磨面とを摺動させながら、パッド表面に、化学機械研磨用水系分散体(砥粒が分散された水系分散体)を流下させて研磨を行う技術である。この化学機械研磨方法においては、化学機械研磨パッドの性状及び特性等により研磨結果が大きく左右されることが知られており、従来から様々な化学機械研磨パッドが提案されている。
特許文献1、特許文献2および特許文献3には微細な気泡を含有するポリウレタンフォームを化学機械研磨パッドとして用い、このパッドの表面に開する穴(以下、「ポア」という)に化学機械研磨用水系分散体を保持させて研磨を行う化学機械研磨法が提案されている。
また、近年は、発泡体を用いずにポアを形成できる研磨パッドとして、マトリクス樹脂中に水溶性ポリマーを分散させた研磨パッドが提案されている(特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7参照)。この技術は、研磨パッドのマトリクス樹脂中に予め分散された水溶性ポリマーが、研磨時にCMPスラリーまたは水に接触して溶解することにより、ポアを形成するものである。
これら化学機械研磨パッドにおいては、パッドの表面(研磨面)に溝を設けることにより研磨速度及び被研磨物の表面状態を向上しうることが知られている。
ところで、化学機械研磨法により被研磨面の研磨を行う際、ときとして、使用する化学機械研磨用水系分散体中に含有されている砥粒が凝集して粗大粒子となっている場合や、上記研磨面側に溝を切削する際に生じた切削くずが残存している場合がある。このような粗大粒子や切削くず等は化学機械研磨を行うにあたって異物として作用し、被研磨面の表面に、「スクラッチ」と呼ばれる引っ掻き傷状の欠陥を発生する場合があり、改善を求められている。
このような問題を解決するために、特許文献8には、パッド裏面(非研磨面側)に柔軟な緩衝層を積層した複層型パッドが提案されている。しかし、複層型パッドは、上記問題をある程度は改善するものではあるが、抜本的な解決には至っておらず、また、製造工程が煩雑となるためコストの増大や品質管理上の問題が生じることが知られている。
一方、上記問題を解決する目的で、特許文献9には、化学機械研磨パッドの裏面(非研磨面側)に、側面で閉塞乃至はシールされない溝を形成する技術が開示されている。
この技術によると、上記のようなスクラッチの発生は抑制されるものの、研磨後の被研磨面の表面平坦性に劣る場合があり、改善が望まれている。
特開平11−70463号公報 特開平8−216029号公報 特開平8−39423号公報 特表平8−500622号公報 特開2000−34416号公報 特開2000−33552号公報 特開2001−334455号公報 特開2002−36097号公報 特開2001−18165号公報
本発明は、上記の課題を解決するものであり、その目的は、化学機械研磨工程における被研磨面のスクラッチ発生を抑制でき、かつ表面平坦性に優れた被研磨面を与えることができる化学機械研磨パッドを提供することにある。
本発明の他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、
被研磨物を研磨するための面、この面の反対面である非研磨面およびこれらの両面と接続する側面からなり、そして非研磨面上に、その面上に開口するが側面には開口しない、スクラッチの発生を抑制するための凹部のパターンと、
上記パターンを構成しない、非研磨面の中央部に位置する、円形又は多角形状の、スクラッチの発生を抑制するための凹部と
を有することを特徴とする、化学機械研磨に用いるための化学機械研磨パッドによって達成される。
本発明によれば、化学機械研磨工程における被研磨面のスクラッチ発生を抑制でき、かつ表面平坦性に優れた被研磨面を与えることができる化学機械研磨パッドが提供される。
本発明の化学機械研磨パッドは、非研磨面に、パッドの側面に開口しない凹部のパターン(以下、パターン状凹部ということがある)を有するものである。
このようなパターン状凹部は、化学機械研磨工程の際、化学機械研磨パッドと化学機械研磨装置の定盤との間に閉塞された空間を形成する機能を有する。この閉塞された空間により、化学機械研磨パッドと被研磨物との間に、化学機械研磨用水系分散体中の粗大粒子やパッドの切削くず等の異物が入り込んだ場合でも、局所的に発生する過大な圧力を分散することができ、これによりスクラッチの発生が抑制される。また、該空間が閉塞されたものであることにより、化学機械研磨パッドは化学機械研磨装置に装着された状態で程度な弾性を保持することが可能となり、これにより、被研磨面の表面平坦性が得られる。
なお、上記において、「パターン状凹部」とは、凹部がほぼ規則的又はほぼ均一な紋様を形成していることをいう。
このようなパターン状凹部を形成する個々の凹部の非研磨面上における形状は特に限定されないが、例えば円形状、楕円形状、多角形状、溝状であることができる。
凹部の形状が円形状、楕円形状又は多角形状である場合には、複数個の凹部が、例えば格子状紋様の各交点、三角格子状紋様の各交点、ハニカム状紋様の各頂点等に位置することにより、パターン状凹部を形成することができる。凹部が円形状である場合、その直径としては、0.1〜50mmであることが好ましく、0.1〜10mmであることがより好ましく、0.5〜10mmであることが更に好ましい。また、凹部が楕円形状又は多角形状である場合には、その長径は0.1〜50mmであることが好ましく、0.1〜10mmであることがより好ましく、0.5〜10mmであることが更に好ましい。また、凹部の形状が円形状、楕円形状又は多角形状である場合非研磨面に占めるパターン凹部の面積の割合は、5〜80%が好ましく、10〜67%がより好ましく、10〜50%が更に好ましい。
凹部の形状が溝状である場合、螺旋状の溝、同心円状に配置された複数の溝、格子状に配置された複数の溝、放射状に配置された複数の溝であることにより、パターン状凹部を形成することができる。凹部が溝状である場合、その幅は0.1〜20mmであることが好ましく、0.1〜10mmであることがより好ましい。パターン状凹部が、螺旋状の溝、同心円状に配置された複数の溝又は格子状に配置された複数の溝である場合には、溝のピッチは0.1〜200mmであることが好ましく、0.2〜100mmであることがより好ましく、1〜50mmであることが更に好ましい。また、パターン状凹部が放射状に配置された複数の溝である場合には、一つの溝と、隣接する他の溝とがなす角度は、1〜120°が好ましく、5〜90°がより好ましく、5〜60°が更に好ましい。
上記すべての場合において、凹部の深さは0.01〜2.0mmであることが好ましく、0.1〜1.5mmであることがより好ましく、0.1〜1.0mmであることが更に好ましい。
凹部の断面形状は特に限定されないが、矩形状、台形状(上底又は下底のどちらが大きくてもよい。)、U字形状、V字形状等であることができる。
本発明の化学機械研磨パッドの非研磨面に形成されるパターン状凹部は、パッドの側面に開口しないものである。ここで、パターン状凹部の閉止部とパッド側面との最短距離は、0.5mm以上であることが好ましく、0.5〜100mmであることがより好ましく、1.0〜50mmであることが更に好ましい。
本発明の化学機械研磨パッドの形状は特に限定されないが、例えば、円盤状、多角形柱状等とすることができる。本発明の化学機械研磨パッドを装着して使用する研磨装置に応じて適宜選択することができる。
化学機械研磨パッドの大きさも特に限定されないが、円盤状の化学機械研磨パッドでは、例えば、直径は150〜1,200mm、特に500〜800mmが好ましく、厚さは1.0〜5.0mm、特に好ましくは1.5〜3.0mmである。
また、本発明の化学機械研磨パッドは必要に応じて研磨面上に任意の形状の溝、その他の凹部を備えることができる。溝の形状としては例えば、同心円形状溝、格子溝、螺旋溝、放射状の溝等を挙げることができる。その他の凹部としては、円形や多角形状の凹部を研磨面上に多数設ける場合を挙げることができる。
本発明の化学機械研磨パッドは、更に非研磨面の中央部に、上記パターンを構成しない円形又は多角形状の凹部を有する。この凹部は、上記したパターン状凹部と相俟ってスクラッチの発生をより抑制する機能を発現する。
ここで「中央部に位置する」とは、数学的に厳密な意味における中心に位置する場合のみならず、研磨パッドの非研磨面の中心点が上記凹部の範囲内に位置していればよい。
凹部の形状としては、円形が特に好ましい。凹部の形状が円形である場合、その直径の上限値は、被研磨物の直径例えばウェハの直径の好ましくは100%、さらに好ましくは75%、特に好ましくは50%である。凹部の形状が円形である場合、その直径の下限は、被研磨物のサイズに係わらず好ましくは1mm、さらに好ましくは5mmである。
例えば、被研磨物であるウェハの直径が300mmである場合、凹部が円形の場合の直径としては、1〜300mmが好ましく、更に1〜225mm、特に5〜150mmが好ましい。また、被研磨物であるウェハの直径が200mmである場合、凹部が円形の場合の直径としては、1〜200mmが好ましく、更に1〜150mm、特に5〜100mmが好ましい。
また、凹部の深さとしては、0.01mm〜2.0mmが好ましく、更に0.1mm〜1.5mmが好ましく、特に0.1mm〜1.0mmが好ましい。
本発明の化学機械研磨パッドは、非研磨面から研磨面に光学的に通じる透光性領域を有するものであってもよい。このような透光性領域を具有するパッドとすることにより、光学式終点検出器を有する化学機械研磨装置に装着して使用する際に、光学的に化学機械研磨の終点を検出することが可能になる。なお、ここでいう「透光性を有する」とは、必ずしも光を完全に透過することを意味せず、光学式終点検出器が終点検出のために発する光の一部を透過することができればよく、例えば波長100〜3,000nmの間のいずれかの波長、特に波長400〜800nmの間のいずれかの波長における透過率が8%以上であることが好ましく、10%以上であることがさらに好ましく、12%以上であることが特に好ましい。
上記透光性は必要以上に高い必要はなく、70%以下であってよく、更には65%以下、特に60%以下としても本発明の目的を達成することができる。
例えば、波長633nmの光に対する透過率として好ましくは8〜70%、更に好ましくは10〜65%、特に12〜60%であることが好ましい。
透光性領域の位置は、本発明の化学機械研磨パッドが装着され且つ使用される化学機械研磨装置が有する光学式終点検出器の位置に適合すべきであるが、例えば中央部以外の部分とすることができ、化学機械研磨パッドの中心から50〜400mmの範囲内(特に50〜250mmの範囲内)に透光性領域の中心又は重心があることが好ましい。
この透光性領域の平面形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、扇形(円形又は環形を所定角度分切り取った形状)、多角形(正方形、長方形及び台形等)及び環形等とすることができる。
化学機械研磨パッドの備える透光性領域の数は特に限定されず、1ヶ所であっても、2ヶ所以上であってもよい。また、その配置は、上記した位置関係を充足する限り特に限定されない。
上記透光性領域を形成するには、どのような方法によってもよいが、化学機械研磨パッドの裏面の一部を薄肉化して上記透光性を有する領域とすることが好ましい。ここで、薄肉部とは、化学機械研磨パッドの最大厚さよりも薄く成形された部位をいう。この薄肉部の平面形状は上記した透光性領域の平面形状に相当する形状とするのが好ましい。また、薄肉部の断面形状は、例えば、多角形(四角形、五角形等)、ドーム形もしくはその他の形状とすることができる。
この薄肉部における厚さは特に限定されないが、通常、薄肉部中で最も薄い厚さは0.1〜3.0mmであることが好ましく、0.3〜3mmであることがより好ましい。薄肉部の厚さが0.1mm未満ではこの部分における機械的強度を十分に確保することが困難となる傾向にある。
薄肉部の大きさも特に限定されないが、例えば、円形である場合には直径5〜100mmであることが好ましく、環状である場合にはその幅が5mm以上であることが好ましく、長方形又は楕円形状である場合には長径10〜200mm且つ短径5〜100mmであることが好ましい。
なお、透光性領域とするためこのような薄肉部を化学機械研磨パッドの非研磨面である裏面に形成した場合、本発明の主たる要件である裏面のパターン状凹部のパターン性が、当該領域において破壊されることになるが、それによって本発明の効果が減殺されるものではない。
本発明の化学機械研磨パッドは、上記の要件を備えている限り、化学機械研磨パッドとしての機能を発揮できるものであればどのような素材から構成されていてもよい。化学機械研磨パッドとしての機能の中でも、特に、化学機械研磨時にスラリーを保持し、研磨屑を一時的に滞留させる等の機能を有するポアが研磨時までに形成されていることが好ましい。このため、水溶性粒子とその水溶性粒子が分散された非水溶性部分からなる素材か、又は、空洞と空洞が分散された非水溶性部材からなる素材、例えば発泡体等を備えることが好ましい。
このうち、前者の素材は、水溶性粒子が研磨時に水系媒体と固形分とを含有するスラリーの水系媒体と接触し、溶解または膨潤して脱離し、そして、脱離により形成されたポアにスラリーを保持できる。一方、後者の素材は、空洞として予め形成されているポアにスラリーを保持できる。
上記「非水溶性部分」を構成する材料は特に限定されないが、所定の形状および性状への成形が容易であり、適度な硬度や、適度な弾性等を付与できることなどから、有機材料が好ましく用いられる。有機材料としては、例えば熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム(架橋ゴム)および硬化樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等、熱、光等により硬化された樹脂)等を単独または組み合わせて用いることができる。
このうち、熱可塑性樹脂としては、例えば1,2−ポリブタジエン樹脂、ポリエチレンの如きポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂例えば(メタ)アクリレート系樹脂等、ビニルエステル樹脂(アクリル樹脂を除く)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等を挙げることができる。
エラストマーとしては、例えば1,2−ポリブタジエンの如きジエンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー(TPO)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、その水素添加ブロック共重合体(SEBS)の如きスチレン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)、ポリアミドエラストマー(TPAE)の如き熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂エラストマー、フッ素樹脂エラストマー等を挙げることができる。ゴムとしては、例えばブタジエンゴム(高シスブタジエンゴム、低シスブタジエンゴム等)、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴムの如き共役ジエンゴム、アクロルニトリル−ブタジエンゴムの如きニトリルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムの如きエチレン−α−オレフィンゴムおよびブチルゴムや、シリコーンゴム、フッ素ゴムの如きその他のゴムを挙げることができる。
硬化樹脂としては、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン−ウレア樹脂、ウレア樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂等を挙げることができる。
また、これらの有機材料は、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基等により変性されたものであってもよい。変性により、後述する水溶性粒子や、スラリーとの親和性を調節することができる。
これらの有機材料は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、これらの有機材料は、その一部または全部が架橋された架橋重合体でもよく、非架橋重合体でもよい。従って、非水溶性部分は、架橋重合体のみからなってもよく、架橋重合体と非架橋重合体との混合物であってもよく、非架橋重合体のみからなってもよい。しかし、架橋重合体のみからなるか、または架橋重合体と非架橋重合体との混合物からなることが好ましい。架橋重合体を含有することにより、非水溶性部分に弾性回復力が付与され、研磨時に化学機械研磨パッドにかかるずり応力による変位を小さく抑えることができる。また、研磨時およびドレッシング時に非水溶性部分が過度に引き延ばされ塑性変形してポアが埋まること、さらには、化学機械研磨パッド表面が過度に毛羽立つこと等を効果的に抑制できる。従って、ドレッシング時にもポアが効率よく形成され、研磨時のスラリーの保持性の低下が防止でき、さらには、毛羽立ちが少なく研磨平坦性を阻害しない。なお、上記架橋を行う方法は特に限定されず、例えば有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物等を用いた化学架橋、電子線照射等による放射線架橋などにより行うことができる。
この架橋重合体としては、上記有機材料の中でも架橋ゴム、硬化樹脂、架橋された熱可塑性樹脂および架橋されたエラストマー等を用いることができる。さらに、これらの中でも、多くのスラリー中に含有される強酸や強アルカリに対して安定であり、且つ吸水による軟化が少ないことから架橋熱可塑性樹脂および/または架橋エラストマーが好ましい。また、架橋熱可塑性樹脂および架橋エラストマーのうちでも、有機過酸化物を用いて架橋されたものが特に好ましく、さらには、架橋1,2−ポリブタジエンがより好ましい。
これら架橋重合体の含有量は特に限定されないが、非水溶性部分全体の、好ましくは30体積%以上、より好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは70体積%以上であり100体積%であってもよい。非水溶性部分中の架橋重合体の含有量が30体積%未満では十分に架橋重合体を含有する効果を発揮させることができない場合がある。
架橋重合体を含有する非水溶性部分は、JIS K 6251に準じて非水溶性部分からなる試験片を80℃において破断させた場合に、破断後に残留する伸び(以下、単に「破断残留伸び」という)を100%以下とすることができる。即ち、破断した後の標線間合計距離が破断前の標線間距離の2倍以下となる。この破断残留伸びは、好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下、とりわけ好ましくは5%以下であり、通常0%以上であることがより好ましい。破断残留伸びが100%を超えると、研磨時および面更新時に化学機械研磨パッド表面から掻き取られたまたは引き延ばされた微細片がポアを塞ぎ易くなる傾向にあり好ましくない。この「破断残留伸び」とは、JIS K 6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準じて、試験片形状ダンベル状3号形、引張速度500mm/分、試験温度80℃で引張試験において試験片を破断させた場合に、破断して分割された試験片の各々の標線から破断部までの合計距離から、試験前の標線間距離を差し引いた伸びである。また、実際の研磨においては摺動により発熱するため、上記のとおり、温度80℃において試験は行われる。
上記「水溶性粒子」は、研磨パッド中において水系分散体であるスラリーと接触することにより非水溶性部分から脱離する粒子である。この脱離は、スラリー中に含有される水等との接触により溶解することで生じてもよく、この水等を含有して膨潤し、ゲル状となることで生じるものであってもよい。さらに、この溶解または膨潤は水によるものばかりでなく、メタノール等のアルコール系溶剤を含有する水系混合媒体との接触によるものであってもよい。
この水溶性粒子は、ポアを形成する効果以外にも、化学機械研磨パッド中においては、化学機械研磨パッドの押し込み硬さを大きくする効果を有する。例えば、水溶性粒子を含有することにより本発明の研磨パッドのショアD硬度を、好ましくは35以上、より好ましくは50〜90、さらに好ましくは60〜85そして通常100以下にすることができる。ショアD硬度が35を超えると、被研磨体に負荷できる圧力を大きくでき、これに伴い研磨速度を向上させることができる。さらに加えて、高い研磨平坦性が得られる。従って、この水溶性粒子は、化学機械研磨パッドにおいて十分な押し込み硬さを確保できる中実体であることが特に好ましい。
この水溶性粒子を構成する材料は特に限定されないが、例えば、有機水溶性粒子および無機水溶性粒子を挙げることができる。有機水溶性粒子の素材としては、例えば糖類(でんぷん、デキストリンおよびシクロデキストリンの如き多糖類、乳糖、マンニット等)、セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等)、蛋白質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性の感光性樹脂、スルホン化ポリイソプレン、スルホン化ポリイソプレン共重合体等を挙げることができる。さらに、無機水溶性粒子の素材としては、例えば酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、硝酸マグネシウム等を挙げることができる。これらの水溶性粒子は、上記各素材を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、所定の素材からなる1種の水溶性粒子であってもよく、異なる素材からなる2種以上の水溶性粒子であってもよい。
また、水溶性粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。ポアの大きさは、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。水溶性粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、形成されるポアの大きさが使用する砥粒より小さくなるためスラリーを十分に保持できる研磨パッドが得難くなる傾向にある。一方、500μmを超えると、形成されるポアの大きさが過大となり得られる研磨パッドの機械的強度および研磨速度が低下する傾向にある。
この水溶性粒子の含有量は、非水溶性マトリックスと水溶性粒子との合計を100体積%とした場合に、水溶性粒子は、好ましくは10〜90体積%、より好ましくは15〜60体積%、さらに好ましくは20〜40体積%、である。水溶性粒子の含有量が10体積%未満であると、得られる研磨パッドにおいてポアが十分に形成されず研磨速度が低下する傾向にある。一方、90体積%を超えて水溶性粒子を含有する場合は、得られる研磨パッドにおいて研磨パッド内部に存在する水溶性粒子が膨潤または溶解することを十分に防止でき難くなる傾向にあり、研磨パッドの硬度および機械的強度を適正な値に保持し難くなる。
また、水溶性粒子は、研磨パッド内において表層に露出した場合にのみ水に溶解し、研磨パッド内部では吸湿してさらには膨潤しないことが好ましい。このため水溶性粒子は最外部の少なくとも一部に吸湿を抑制する外殻を備えることができる。この外殻は水溶性粒子に物理的に吸着していても、水溶性粒子と化学結合していても、さらにはこの両方により水溶性粒子に接していてもよい。このような外殻を形成する材料としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリシリケート等を挙げることができる。なお、この外殻は水溶性粒子の一部のみに形成されていても十分に上記効果を得ることができる。
上記非水溶性部材は、水溶性粒子との親和性並びに非水溶性部材中における水溶性粒子の分散性を制御するため、相溶化剤を含有することができる。相溶化剤としては、例えば酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、オキサゾリン基およびアミノ基等により変性された重合体、ブロック共重合体、並びにランダム共重合体、さらに、種々のノニオン系界面活性剤、カップリング剤等を挙げることができる。
一方、後者の空洞が分散して形成された非水溶性部材(発泡体等)を備える化学機械研磨パッドを構成する非水溶性部材としては、例えば、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリビニルアセテート等を挙げることができる。
このような非水溶性部材中に分散する空洞の大きさは、平均値で、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。
本発明の化学機械研磨パッドは、上記した材料の他、砥粒、酸化剤、アルカリ金属の水酸化物、酸、pH調節剤、界面活性剤又はスクラッチ防止剤等を任意的に含有することができる。ただし、これらのうち、砥粒及び酸化剤は含有しない方が好ましい。
本発明の化学機械研磨パッドの製造方法は特に限定されず、化学機械研磨パッドの有する凹部の形成方法も特に限定されない。例えば、後に化学機械研磨パッドとなる化学機械研磨パッド用組成物を予め準備し、この組成物を所望形の概形に成形した後、切削加工により凹部を形成することができる。さらに、凹部となるパターンが形成された金型を用いて化学機械研磨パッド用組成物を金型成形することにより、化学機械研磨パッドの概形と共に凹部を同時に形成することができる。
化学機械研磨パッド用組成物を得る方法は特に限定されない。例えば、所定の有機材料等の必要な材料を混練機等により混練して得ることができる。混練機としては従来より公知のものを用いることができる。例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機(単軸、多軸)等の混練機を挙げることができる。
さらに、水溶性粒子を含有する化学機械研磨パッドを得るための水溶性粒子を含有する化学機械研磨パッド用組成物は、例えば、非水溶性部分、水溶性粒子およびその他の添加剤等を混練して得ることができる。但し、通常、混練時には加工し易いように加熱して混練されるが、この時の温度において水溶性粒子は固体であることが好ましい。固体であることにより、非水溶性部分との相溶性の大きさに関わらず水溶性粒子を前記の好ましい平均粒径で分散させることができる。
従って、使用する非水溶性部分の加工温度により、水溶性粒子の種類を選択することが好ましい。
本発明の化学機械研磨パッドは、上記のようなパッドの非研磨面上に支持層を備える多層型パッドであることもできる。
上記支持層は、化学機械研磨パッドを研磨面の裏面側で支える層である。この支持層の特性は特に限定されないが、パッド本体に比べてより軟質であることが好ましい。より軟質な支持層を備えることにより、パッド本体の厚さが薄い場合例えば、1.0mm以下であっても、研磨時にパッド本体が浮き上がることや、研磨層の表面が湾曲すること等を防止でき、安定して研磨を行うことができる。この支持層の硬度は、パッド本体のショアD硬度の90%以下が好ましく、さらに好ましくは50〜90%であり、特に好ましくは50〜80%であり、就中50〜70%が特に好ましい。
また、支持層は、多孔質体(発泡体)であっても、非多孔質体であってもよい。さらに、その平面形状は特に限定されず、研磨層と同じであっても異なっていてもよい。この支持層の平面形状としては、例えば、円形、多角形(四角形等)などとすることができる。また、その厚さも特に限定されないが、例えば、0.1〜5mmが好ましく、さらに好ましくは0.5〜2mmとすることができる。
支持層を構成する材料も特に限定されないが、所定の形状および性状への成形が容易であり、適度な弾性等を付与できることなどから有機材料を用いることが好ましい。
上記したような本発明の化学機械研磨パッドは、平坦な被研磨面を与えるとともに、高い研磨速度を与えることができ、かつ十分な寿命を有するものである。
本発明の化学機械研磨パッドは、市販の研磨装置に装着し、公知の方法により化学機械研磨工程に使用することができる。
本発明の化学機械研磨パッドを用いて化学機械研磨すると、被研磨面のスクラッチ発生を抑制でき、かつ表面平坦性に優れた被研磨面を得ることができる。
実施例1
(1)化学機械研磨パッドの製造
(1−1)化学機械研磨パッド用組成物の調製
1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、商品名「JSR RB830」)を80体積部(72.2質量部に相当する。)及びβ−シクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所製、商品名「デキシーパールβ−100」、平均粒径20μm)を20体積部(27.2質量部に相当する。)とを、160℃に調温されたルーダーにより60rpmで2分間混練した。次いで、「パークミルD40」(商品名、日本油脂(株)製。ジクミルパーオキシドを40質量%含有する。)を0.722質量部(1,2−ポリブタジエン100質量部あたりのジクミルパーオキシド量に換算して、0.4質量部に相当する。)を加え、更に120℃にて60rpmで2分間混練し、化学機械研磨パッド用組成物のペレットを得た。
(1−2)パッド概形の製造
このペレットを、下盤の一部に鏡面の凸部(長径59mm×短径21mm×高さ0.6mm、円形であるパッド概形の中心から100mmのところに凸部の中心が位置し、凸部の中心を通り、長径を構成する辺と平行な直線が、円形であるパッド概形の直径方向と平行である。)を有する金型内において170℃にて18分間加熱し、架橋させて直径600mm、厚さ2.5mm、裏面(非研磨面)の一部が薄肉化された円盤状の成形体を得た。この薄肉部は、化学機械研磨パッドを光学式検出器付きの化学機械研磨装置に装着した際に、終点検出用の光が通過するための透光性領域に相当する。
(1−3)化学機械研磨パッドの製造
次いで、市販の切削加工機を用いて、上記成形体の研磨面側に幅が0.5mm、ピッチが2.0mm、深さが1.0mmの同心円状の溝(断面形状は矩形である。)を形成した。
更に、市販の切削加工機を用いて、非研磨面側に幅が1.0mm、ピッチが2.0mm、深さが0.5mmの同心円状の溝(断面形状は矩形である。)を形成した(ただし、上記透光性領域に相当する部分には溝は形成しなかった。)。更に非研磨面の中心部に直径100mm、深さ0.5mmの円形の凹部を形成し、その後、非研磨面側に、該パッドと同じ平面形状の両面接着テープを貼付し、終点検出用の薄肉化部分(透光性領域)を覆う両面テープを切り取って除いた。
ここで非研磨面側に形成した凹部の概略図を図1に示す。
(2)化学機械研磨性能の評価
(2−1)シリカを砥粒として含有する化学機械研磨用水系分散体を使用して、PETEOS膜を研磨した例
上記で製造した化学機械研磨パッドを、化学機械研磨装置「EPO112」((株)荏原製作所製)の定盤上に接着テープ面で接着して装着し、パターンなしPETEOS膜(テトラエチルオルトシリケートを原料として、促進条件としてプラズマを利用して化学気相成長法により製膜した酸化シリコン膜である。)を表面に有する直径200mmのウェハを被研磨体として、以下の条件で化学機械研磨した。
化学機械研磨用水系分散体:CMS−1101(商品名、JSR(株)製。シリカを砥粒として含有する。)をイオン交換水にて3倍に希釈したもの。
水系分散体供給量:200mL/分
定盤回転数:70rpm
ヘッド回転数:63rpm
ヘッド押しつけ圧:4psi
研磨時間:2分
上記の化学機械研磨において、研磨速度は200nm/分であり、面内均一性は1.2%であり、スクラッチ数はウェハ全面あたり3個であった。
なお、上記の研磨速度、面内均一性及びスクラッチ数は以下のようにして測定した。
ウェハの端部から10mm内側に入った点から直径方向に3.75mm間隔でとった49点につき、光学式膜厚計により研磨前後の膜厚を測定し、これら49点における研磨前後の膜厚差の平均値を研磨速度とし、これら49点における膜厚差を下記式にしたがって計算した結果を面内均一性とした。
面内均一性=(膜厚差の標準偏差)÷(膜厚差の平均値)×100(%)
また、スクラッチは研磨後のウェハ被研磨面の全面につき、ウェハ欠陥検査装置(KLA−Tencor社製、型式「KLA2351」)を使用して、生成したスクラッチの全数を計測した。
(2−2)セリアを砥粒として含有する化学機械研磨用水系分散体を使用して、PETEOS膜を研磨した例
上記(1)と同様にして製造した化学機械研磨パッドを、化学機械研磨装置「EPO112」((株)荏原製作所製)の定盤上に接着テープ面で接着して装着し、パターンなしPETEOS膜を表面に有する直径200mmのウェハを被研磨体として、以下の条件で化学機械研磨した。
化学機械研磨用水系分散体:セリアとポリアクリル酸アンモニウムをそれぞれ1質量%含む水系分散体
水系分散体供給量:150mL/分
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:70rpm
ヘッド押しつけ圧:3psi
研磨時間:1分
上記の化学機械研磨において、上記(2−1)と同様にして研磨速度、面内均一性及びウェハ全面あたりのスクラッチ数を測定したところ、それぞれ170nm/分、1.4%及び2個であった。
(2−3)銅及び低誘電率の絶縁膜からなるパターンを有するウェハを研磨した例
上記(1)と同様にして製造した化学機械研磨パッドを同心円状の溝に沿って直径508mmに切り出したものを、光学式終点検出器付き化学機械研磨装置「Mirra/Mesa」(Applied Materials社製)の定盤上に接着テープ面で接着して装着し、Sematech800BDM001(商品名、International SEMATECH製。シリコン基板上にシリコンカーバイド層を形成し、その上に配線となるべき箇所以外の部分に低誘電率の絶縁膜Black Diamond(商品名、Applied Materials社製)の層を形成し、更にその上にバリアメタルとしてのタンタル及び配線材料としての銅をこの順で堆積したテスト用ウェハである。)を被研磨体として、以下の条件で2段階で化学機械研磨した。
なお、第1段階研磨の研磨時間は、化学機械研磨装置の光学式終点検出器によってレーザ−光の反射率をモニターし、研磨開始から反射率の変わりきった時点(すなわち、バリアメタルが露出した時点)までにかかった時間の1.2倍とした。
第1段階研磨の条件
化学機械研磨用水系分散体:iCue5003(商品名、Cabot Microelectronics社製。シリカを砥粒として含有する。)及び30質量%過酸化水素水を体積比で11:1にて混合したもの。
水系分散体供給量:300mL/分
定盤回転数:120rpm
ヘッド回転数:35rpm
ヘッド押しつけ圧
リテーナーリング圧:5.5psi
メンブレン圧:3.0psi
インナーチューブ圧:0.0psi
第二段階研磨の条件
化学機械研磨用水系分散体:CMS−8301(商品名、JSR(株)製。)に、30質量%過酸化水素水を1質量%加えたもの。
水系分散体供給量:200mL/分
定盤回転数:60rpm
ヘッド回転数:54rpm
ヘッド押しつけ圧
リテーナーリング圧:5.5psi
メンブレン圧:3.0psi
インナーチューブ圧:0.0psi
研磨時間:100秒
研磨後のウェハ被研磨面の全面につき、ウェハ欠陥検査装置(KLA−Tencor社製、型式「KLA2351」)を使用して、生成したスクラッチを計測したところ、銅配線上に7個、低誘電率の絶縁膜上に3個であった。
実施例2
実施例1の(1)化学機械研磨パッドの製造と同様にして化学機械研磨パッドを製造し、その非研磨面側(裏面側)に、該研磨パッドと同じ平面形状及び同じ厚さの発泡ポリウレタンからなる支持層を、研磨パッドと同じ平面形状の両面テープで固定した。更に、該支持層の裏面に、研磨パッドと同じ平面形状の両面テープを貼付した。次いで、パッド裏面に接着された両面テープ、支持層及び支持層裏面に接着された両面テープにつき、パッドの透光性領域を覆う部分を切り抜くことにより、支持層付きの化学機械研磨パッドを製造した。
このようにして製造した支持層付き化学機械研磨パッドを使用した以外は実施例1と同様にして化学機械研磨性能の評価を行った。結果は表1に示す。
比較例1
実施例1の(1−1)化学機械研磨パッド用組成物の調製及び(1−2)パッド概形の製造と同様に実施し、円盤状の成型体を得た。
次いで、市販の切削加工機を用いて、上記成形体の研磨面側にのみ幅が0.5mm、ピッチが2.0mm、深さが1.0mmの同心円状の溝(断面形状は矩形である。)を形成した。
更に、非研磨面側に、該パッドと同じ平面形状の両面接着テープを貼付し、終点検出用の薄肉化部分(透光性領域)を覆う両面接着テープを切り取って除くことにより、非研磨面側に凹部を有さない化学機械研磨パッドを製造した。
この化学機械研磨パッドを使用した以外は実施例1と同様にして化学機械研磨性能の評価を行った。結果は表1に示す。
比較例2
実施例1の(1−1)化学機械研磨パッド用組成物の調製及び(1−2)パッド概形の製造と同様に実施し、円盤状の成型体を得た。
次いで、市販の切削加工機を用いて、上記成形体の研磨面側に幅が0.5mm、ピッチが2.0mm、深さが1.0mmの同心円状の溝(断面形状は矩形である。)を形成した。また、この成型体の非研磨面側の全面(ただし、透光性領域に相当する部分を除く。)に幅1.0mm、深さ0.5mm、ピッチ20mmの格子状の溝(断面形状は矩形である。)を形成した。ここで形成した格子状溝はパッドの端部にまで達するものである。
更に、非研磨面側に、該パッドと同じ平面形状の両面接着テープを貼付し、終点検出用の薄肉化部分(透光性領域)を覆う両面接着テープを切り取って除いた。
ここで非研磨面側に形成した凹部の概略図を図4に示す。
このようにして製造した化学機械研磨パッドを使用した以外は実施例1と同様にして化学機械研磨性能の評価を行った。結果は表1に示す。
比較例3
化学機械研磨パッドとして、Rohm and Haas Electronic Materials社製の化学機械研磨パッド「IC1000」(単層型のもの。)を使用した以外は実施例1と同様にして化学機械研磨性能の評価を行った。ただし、この化学機械研磨パッドは光学式終点検出器の検出光を通すための透光部を持たないため、(2−3)銅及び低誘電率の絶縁膜からなるパターンの研磨における第1段階の研磨は、光学式終点検出器を使用せず、研磨時間を120秒とした。結果は表1に示す。
Figure 0004877448
実施例1で製造した化学機械研磨パッドの裏面の凹部の概略図である。 実施例3で製造した化学機械研磨パッドの裏面の凹部の概略図である。 学機械研磨パッドの裏面の凹部の概略図(参考図)である。 比較例2で製造した化学機械研磨パッドの裏面の凹部の概略図である。

Claims (5)

  1. 被研磨物を研磨するための面、この面の反対面である非研磨面およびこれらの両面と接続する側面からなり、そして非研磨面上に、その面上に開口するが側面には開口しない、スクラッチの発生を抑制するための凹部のパターンと、
    上記パターンを構成しない、非研磨面の中央部に位置する、円形又は多角形状の、スクラッチの発生を抑制するための凹部と
    を有することを特徴とする、化学機械研磨に用いるための化学機械研磨パッド。
  2. 上記パターンを形成する凹部の非研磨面上における形状が、円形状、楕円形状、多角形状又は溝状である請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  3. 非研磨面の中央部以外の部分に、透光性の高い領域をさらに有する請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  4. 透光性の高い領域が、非研磨面の中央部以外の部分に形成された凹部である、請求項に記載の化学機械研磨パッド。
  5. 非水溶性材料と、該非水溶性材料中に分散された水溶性粒子からなる請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
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