JP2009073150A - 保護層付き熱転写シート、および印画物 - Google Patents

保護層付き熱転写シート、および印画物 Download PDF

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Abstract

【課題】印画物上に形成される保護層表面を印画画像に応じて光沢調整可能にすることで印画画像を高品位化させ、耐久性の面でも従来からの単調な保護層と大差ない印画物を得ることが可能な光沢調整層を有する保護層付き熱転写シート、および印画物を提供する。
【解決手段】基材シートの一方の面に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色、またはブラック(BK)を含む4色の熱転写性インク層と、熱転写性保護層を長手方向へ面順次に設けた保護層付き熱転写シートにおいて、前記熱転写性保護層の長手方向後方に、非熱転写性の粗面化された光沢調整層を設けることを特徴とする保護層付き熱転写シート。インク層による画像記録に引き続いて、均一に保護層が形成された後、光沢調整層を該保護層に密着させ、画像情報に基づくサーマルヘッド加熱で保護層を不均一に軟化させて光沢調整層表面の形状を不均一に転写した印画物。
【選択図】図1

Description

本発明は、保護層付き熱転写シートに関し、より詳しくは、熱転写法により得られる保護層付き印画物の保護層表面の光沢を調整可能な保護層付き熱転写シート、および画像情報に基づき保護層表面の光沢が調整された印画物に関する。
一般に、熱転写シートは、サーマルリボンと呼ばれ、熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材の一方の面に熱転写層、その基材の他方の面にバックコート層(耐熱滑性層)を設けたものである。ここで熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)させ、被転写体に転写するものである。
現在、熱転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便に形成できるため、身分証明書などのカード類をはじめアミューズメント用出力物等広く利用されている。そういった用途の多様化と共に、得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年ではインク層により形成した画像上に保護層を転写する印画物がかなり普及してきている。
保護層付き印画物の形成にあたっては、インク層を形成する熱転写シートと保護層を形成する熱転写シートが別に各々存在する場合と、同一のシート上にインク層に連続して保護層を形成した保護層付き熱転写シートを使用する場合とがあるが、何れの場合にも画像形成後の保護層表面は、基材表面、もしくは保護層の剥離のために設けられた離型層表面形状の影響から、一般には単調なグロス調となり、印画画像によっては品位が低下することから、単調なグロス調以外も再現可能な熱転写シートが要望されている。
そうした要望に対して、特許文献1には、複数種類の凹凸パターンを予め記憶させておいて、必要に応じて特定の凹凸パターンを選択して、その選択された凹凸パターンに対応した信号を呼び出してサーマルヘッドの加熱パターンを変更させることにより、保護層の転写膜厚そのものに凹凸を付与する印画方法ならびに、その印画方法に使用可能なインクリボンが開示されている。これはエネルギーコントロールによって、保護層の転写膜厚を変化させることで、表面をマット処理して視覚的な効果を狙った記録方法である。
また、特許文献2には、「イエローインク層、マゼンタインク層、シアンインク層、耐光性オーバーコート材層、網目状の凹凸を有するコーティング材層、を長尺方向に繰り返して形成されている絹目調印字用リボン」が開示されている。これは、耐光性オーバーコート材層を形成したのち、さらにその上に網目状の凹凸を有するコーティング材層を熱転写することで、耐光性オーバーコート材層の表面光沢を調整するものである。
また、特許文献3には、「イエローインク層、マゼンタインク層、シアンインク層、耐光性オーバーコート材層、ランダム形状の微細な凹凸を有するコーティング材層、を長尺方向に繰り返して形成されている非光沢印字用リボン」が開示されている。これは、耐光性オーバーコート材層を形成したのち、さらにその上にランダム形状の微細な凹凸を有するコーティング材層を熱転写することで、耐光性オーバーコート材層の表面光沢を調整するものである。
また、特許文献4には、「基材シートの一方の面の少なくとも一部に、離型層、保護層および必要に応じて接着剤層がこの記載の順序に積層され、離型層が樹脂とフィラーを含
有し、離型層の表面が粗面化されている保護層熱転写シート」が開示されている。これは、フィラーを含有して粗面化された離型層の表面形状を転写するものである。
また、特許文献5には、「各基本色のインク層とOP(オーバーコート層)とを有するインクリボンにおいて、OPが、プリント面に異なる質感を与える2種類以上のOPで構成されたインクリボン」が開示されている。これは、図柄に応じて、複数存在する質感の異なる0Pすなわち保護層OPを使い分けるというものである。
WO97/39898号公報 特開平11−240254号公報 特開平11−314445号公報 特開2004−122756号公報 特開2007−1129号公報
上記した従来の方法では、本発明者らが意図する、対象とする画像情報に対応した表面光沢を有する印画物を得ることは困難である。特許文献1の方法では、予め記憶されたパターに基づき、サーマルヘッドに付与するエネルギーをコントロールすることで、保護層自体が凝集破壊して凹凸に転写される。このため、保護層表面にザラツキが発生しやすい。また、特許文献2または3の方法では、いずれも耐光性オーバーコートの上に、予め用意された、絹目調またはランダム形状の微細な凹凸パターンを転写するもので、画像に対応した表現はできない。また、特許文献4の方法では、予め作成された転写シートの剥離面形状で保護層の表面形状が画一的に決まってしまう。さらに、特許文献5の方法では、保護層の数に準ずるコントロール以外は不可能であり、かつ印画物上での保護層間の継ぎ目の影響から、物性的な問題が起きやすい。
本発明は上述した従来技術の問題点を鑑みてなされたもので、印画物上に形成される保護層表面を印画画像に応じて光沢調整可能にすることで印画画像を高品位化させ、しかも、耐久性の面でも従来からの単調な保護層と大差ない印画物を得ることが可能な光沢調整層を有する保護層付き熱転写シート、および印画物を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、基材シートの一方の面に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色、またはブラック(BK)を含む4色の熱転写性インク層と、熱転写性保護層を長手方向へ面順次に設けた保護層付き熱転写シートにおいて、前記熱転写性保護層の長手方向後方に、非熱転写性の粗面化された光沢調整層を設けることを特徴とする保護層付き熱転写シートである。
また本発明の請求項2に係る発明は、前記光沢調整層が、フィラーを含有し、且つフィラーの粒子径が前記光沢調整層の膜厚以上であることを特徴とする請求項1に記載の保護層付き熱転写シートである。
また本発明の請求項3に係る発明は、前記フィラーの形状が、真球状であることを特徴とする請求項2に記載の保護層付き熱転写シートである。
また本発明の請求項4に係る発明は、前記光沢調整層が、JIS Z8741に準ずる入射角60°における光沢度が、10%未満であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の保護層付き熱転写シートである。
また本発明の請求項5に係る発明は、前記熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバイン
ダとからなる昇華熱転写層であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の保護層付き熱転写シートである。
また本発明の請求項6に係る発明は、前記熱転写性インク層が、染料および/または顔料とバインダとからなる溶融熱転写層であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の保護層付き熱転写シートである。
次に、本発明の請求項7に係る発明は、基材シートの一方の面に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色、またはブラック(BK)を含む4色の熱転写性インク層と、熱転写性保護層、非熱転写性の粗面化された光沢調整層を長手方向へ面順次に設けた保護層付き熱転写シートより得られる印画物において、
インク層による画像記録に引き続いて、均一に保護層が形成された後、光沢調整層を該保護層に密着させ、画像情報に基づくサーマルヘッド加熱で保護層を不均一に軟化させて光沢調整層表面の形状を不均一に転写することで、画像情報に基づき保護層表面の光沢が調整されたことを特徴とする印画物である。
また本発明の請求項8に係る発明は、前記熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華熱転写層であることを特徴とする請求項7に記載の印画物である。
また本発明の請求項9に係る発明は、前記熱転写性インク層が、染料および/または顔料とバインダとからなる溶融熱転写層であることを特徴とする請求項7に記載の印画物である。
本発明の保護層付き転写シートを用いることで、印画物上に形成される保護層表面を、画一的ではなく印画画像に応じて光沢調整することが可能になる。このことで、転写法を用いても、表現力が大幅に拡大して、印画画像を高品位化させることができる。また、耐久性の面でも従来からの単調な保護層を有する転写物と、物性に大差ない印画物を得ることが可能となる。
以下に、本発明の保護層付き転写シート、および印画物を、一実施形態に基づいて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明による熱転写シートの構成例を示す断面図であり、熱転写型のプリンタで使用される熱転写シートの例を示している。
発明の熱転写シート(10)は、図1に示すように、基材(11)の一方の面にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色(またはブラック(BK)を含む4色)の熱転写性インク層(12)、保護層(13)、光沢調整層(14)を長手方向へ面順次に設け、基材(11)の他方の面に耐熱滑性層(15)を設けた構造を有するものである。
まず、基材としては、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求される。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体として使用可能である。中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮すると2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、その厚さは、操作性、加工性を考
慮し、2〜50μmの範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2〜9μm程度のものが好ましい。
次に、熱転写性インク層には、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華熱転写層と、染料および/または顔料とバインダとからなる溶融熱転写層がある。
昇華熱転写層形成用インクは、例えば、熱昇華性染料、バインダ、溶剤などを配合して調製し、この転写層のインク塗布量は、1μm程度(乾燥厚)が適当である。
また、溶融熱転写層形成用インクは、例えば、染料および/または顔料、バインダ、溶剤などを配合して調製し、この場合の塗布量は、0.5〜1μm程度(乾燥厚)が適当である。
昇華熱転写層形成用インクに用いられる熱昇華性染料としては、昇華性分散染料が好ましい。一例を挙げると、イエロー成分としては、ソルベントイエロー56,16,30,93,33、ディスパースイエロー201,231,33等が挙げられる。マゼンタ成分としては、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースバイオレット26、C.I.ソルベントレッド27、あるいはC.I.ソルベントレッド19等が挙げられる。シアン成分としては、C.I.ディスパースブルー354、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー36、あるいはC.I.ディスパースブルー24等が挙げられる。墨の染料としては、上記の各染料を組み合わせて調色するのが一般的である。
昇華熱転写層形成用インクのバインダとしては、特に限定されるものではないが、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等である。中でも、ポリビニルブチラール、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂が好適である。
ここで、昇華熱転写層形成用インク層中の染料とバインダとの割合は、染料/バインダ=10/100から300/100が好ましい。これは、染料/バインダの割合が、10/100を下回ると、染料が少な過ぎて発色感度が不十分となり良好な熱転写画像が得られず、また、この割合が300/100を越えると、バインダに対する染料の溶解性が極端に低下するために、熱転写シートとなった際にインク層の保存安定性が悪くなって染料が析出し易くなってしまうためである。
溶融熱転写層形成用インクに用いられる染料としては、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメタン系、キサンテン系、アキサジン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、アゾ系、スピロジピラン系、イソドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンダクタム系、アントラキノン系等の一般に使用されている感熱転写性染料を広く使用することができる。また、顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料を使用することができる。一例を挙げると、カーボンブラック、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系等の顔料が挙げられる。
溶融熱転写層形成用インクのバインダとしては、熱溶融性以外特に限定されるものではない。一例を挙げると、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルア
セタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類である。中でも、ポリエステル、エポキシ樹脂が好適である。
ここで、溶融熱転写層形成用インク層中の染料および/または顔料(以下、色剤成分と記載することもある)とバインダとの割合は、色剤成分/バインダ=5/100から200/100が好ましい。これは、色剤/バインダの割合が、5/100を下回ると、色剤が少な過ぎて良好な熱転写画像が得られず、また、この割合が200/100を越えると、溶融熱転写層の凝集力が極端に低下するために熱転写シートとなった際にインク層の保存安定性が悪くなってしまうためである。
次に、保護層(13)としては、熱転写性カラーインク層により被転写体上に形成された画像への紫外線等からの耐久性が要求されると同時に、熱転写法というプロセスにより被転写体上に形成される必要がある。保護層は、一般的には、紫外線吸収等の保護層としての本来的な性能と同時に被転写体への接着性を兼ね備える接着層、その下層に基材から熱転写時に容易に剥離するための剥離層といった複数の層の積層体から形成されることが一般的である。
保護層を形成する接着層形成用インクは、例えば、紫外線吸収剤等の機能性添加剤、バインダ、溶剤などを配合して調製し、この接着層のインク塗布量は、1〜5μm程度(乾燥厚)が適当である。
接着層形成用インクに用いる機能性添加剤の一例を挙げると、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ベンゾエート、トリアジン系に代表される紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系に代表される光安定剤、ヒンダードフェノール系に代表される酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等を挙げることができる。また、バインダとしては、熱溶融性以外特に限定されるものではないが、一例を挙げると、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類である。中でも、アクリル系樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂が好適である。
保護層を形成する剥離層形成用インクは、例えば、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、バインダ、溶剤などを配合して調製し、この剥離層のインク塗布量は、0.3〜3μm程度(乾燥厚)が適当である。
剥離層形成用インクに用いる機能性添加剤の一例を挙げると、シリコーンオイル、リン酸エステル系に代表される離型剤、ワックス、樹脂フィラーに代表される滑り剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等を挙げることができる。また
、バインダとしては、熱溶融性以外特に限定されるものではないが、一例を挙げると、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルガム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリ塩素化オレフィン等の天然樹脂や合成ゴムの誘導体、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワックス類である。中でも、アクリル系樹脂、セルロース誘導体が好適である。
次に、本発明に欠かすことのできない、非熱転写性の光沢調整層(14)に関して説明する。光沢調整層は、被転写体上にカラーインク層により画像を形成されたのち、画像全面に均一に保護層が形成された後、被転写体上の保護層表面と対向させ、画像情報に応じたサーマルヘッドからの熱により保護層表面を軟化させ、画像情報に応じた凹凸を保護層表面に付与するための層である。このため、サーマルヘッドからの熱により加熱されても非転写性でなければならず、且つ光沢調整層表面は粗面化されていなければならない。
光沢調整層形成用インクは、例えば、粗面化を容易にするフィラー、反応性バインダ、硬化剤、溶剤などを配合して調製し、この光沢調整層のインク塗布量は、0.5〜2μm程度(乾燥厚)が比較的好ましいものである。インク塗布量が0.5μm未満では、保護層表面に十分な凹凸を付与することが難しくなるのに加え、フィラーの内填によって粗面化されている場合、フィラーの脱落の危険性が大きくなるためである。逆に2μmより多い場合では、保護層表面に凹凸を付与する際、必要なエネルギーが多くなってしまうため、エコロジーの観点から好ましくないためである。
まず、光沢調整層の粗面化の方法に関して説明する。粗面化の方法としては概ね二通りの方法が考えられ、フィラーの内填による方法と、光沢調整層を形成するバインダの層自体を凹凸に形成し粗面化してしまう方法がある。
フィラーの内填による粗面化の方法としては、光沢調整層形成用インクを、フィラー、反応性バインダ、硬化剤、溶剤などを配合して調製し、塗布、形成する方法である。フィラーの一例を挙げると、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリコーンパウダー、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、サチンホワイト、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト、水酸化マグネシウム等の無機フィラー、アクリル系プラスチックピグメント、スチレン系プラスチックピグメント、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機フィラーである。中でも、シリコーンパウダーのような形状が真球状のものが、光沢調整層を容易に均一に粗面化できる点で好適である。また、フィラーの粒子径を光沢調整層の膜厚以上にすることで、光沢調整層を容易に均一に粗面化できる点で好適である。
光沢調整層形成用インクを形成する反応性バインダの一例を挙げると、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステ
ル共重合体等の合成樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース誘導体等の熱反応性樹脂、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルメタクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレート等のアクリル酸或いはメタクリル酸エステル等のラジカル反応性樹脂であるが、特に限定されるものではない。また、硬化剤の一例を挙げると、バインダとして熱反応性樹脂を使用した場合には、イソシアネート類、エポキシ類を樹脂に応じて選択でき、ラジカル反応性樹脂を使用した場合には、電離放射線硬化型の場合、特に必要はないが、紫外線硬化型の場合、公知の開始剤を選択する必要がある。
次に、フィラーを内填しない場合の粗面化の方法としては、光沢調整層形成用インクを、反応性バインダ、硬化剤、溶剤などを配合して調製し、塗布後に粗面化形状を形成させた状態で造膜形成する方法である。塗布後に、レンチキュラーレンズ形状等の凹凸表面を有するロール等を押圧させることが一般的ではあるが、特に限定されるものではない。また、反応性バインダ、硬化剤とも前記フィラーを内填する場合と同種のものを選択可能である。中でも、本方式では、造膜スピードの点から、反応性バインダとしてラジカル反応性樹脂類が好適である。
なお、光沢調整層の粗面化状態に関しては、特に限定されるものではないが、JIS Z8741に準ずる入射角60°における光沢度が、10%未満が好ましく、より好ましくは3%未満である。保護層表面の光沢調整実施にあたっては、光沢調整層の表面状態、保護層表面の熱的挙動、サーマルヘッドからの印加エネルギー及び印加圧、印画スピード等、他にも様々な要因が関係してくるため一概には限定できないが、光沢度が10%未満であれば通常の市販プリンタで十分実用可能であり、さらに光沢度を3%未満と限定することで、高速タイプと呼ばれる業務用のプリンタでも実用可能となるため、より好適である。
次に、耐熱滑性層(15)は、本発明の熱転写シートをサーマルヘッドを加熱手段として用いる場合、概ね必要とされるものであり、特に限定されるものではないが、熱転写シートの基材、およびサーマルヘッドの加熱量に応じて適宜選択することができる。
耐熱滑性層形成用インクは、例えば、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、バインダ、硬化剤、溶剤などを配合して調製し、この耐熱滑性層のインク塗布量は、0.1〜2μm程度(乾燥厚)が適当である。
耐熱滑性層の一例を挙げると、アクリルオリゴマーの紫外線硬化物、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド等の合成樹脂に、シリコーンオイルなどの離型剤を添加したものやシリコーンを共重合したものを挙げることができる。また、必要に応じてフィラーを添加しても問題なく、添加するフィラーの一例としては、シリコーンパウダー、シリカ及び各種レジンパウダーを挙げることができる。
なお、熱転写シートは、グラビアコート法、スロットコート法といった公知の塗り分け可能な方法により、基材シートへ各層形成用インクを塗布、形成することで容易に得ることができる。
次に、得られた熱転写シートを用いて、画像情報に基づき耐熱滑性層面からサーマルヘッドにて保護層付き印画物を形成したのち、光沢調整層と保護層付き印画物を重ね合わせ、さらに、画像情報に基づき耐熱滑性層面からサーマルヘッドにて加熱することで、保護層表面の軟化の度合いと光沢調整層の表面性から、容易に保護層表面を画像情報に基づき光沢調整された印画物を得ることができる。
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
まず、以下に、本発明の各実施例および各比較例に用いた材料を示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
<基材シート>
ポリエステルフィルム:厚さ4.5μm
<昇華熱転写形成用イエローインク>(以下SY塗液とする)
C.I.ソルベントイエロー93 3.0部
C.I.ソルベントイエロー16 1.0部
フェノキシ樹脂 4.9部
シリコーン変性樹脂 0.1部
テトラヒドロフラン 60.0部
トルエン 31.0部
<昇華熱転写形成用マゼンタインク>(以下SM塗液とする)
C.I.ディスパースレッド60 1.5部
C.I.ディスパースバイオレット26 1.5部
フェノキシ樹脂 4.9部
シリコーン変性樹脂 0.1部
テトラヒドロフラン 60.0部
トルエン 31.0部
<昇華熱転写形成用シアンインク>(以下SC塗液とする)
C.I.ソルベントブルー63 1.5部
C.I.ソルベントブルー36 1.5部
フェノキシ樹脂 4.9部
シリコーン変性樹脂 0.1部
テトラヒドロフラン 60.0部
トルエン 31.0部
<溶融熱転写形成用イエローインク>(以下TY塗液とする)
ジスアゾイエロー 9.0部
シリカ 1.0部
エポキシ樹脂 10.0部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<溶融熱転写形成用マゼンタインク>(以下TM塗液とする)
カーミン6B 9.0部
シリカ 1.0部
エポキシ樹脂 10.0部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<溶融熱転写形成用シアンインク>(以下TC塗液とする)
フタロシアニンブルー 9.0部
シリカ 1.0部
エポキシ樹脂 10.0部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<剥離層形成用インク>
アクリル樹脂 18.0部
ポリエステル樹脂 1.0部
ポリエチレンパウダー 1.0部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<接着層形成用インク>
アクリル樹脂 10.0部
ポリエステル樹脂 5.0部
エポキシ樹脂 5.0部
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤 5.0部
トルエン 35.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<光沢調整層形成用インク−1>
ウレタンアクリレート 50.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 30.0部
シリコーンオイル 2.0部
メチルアルコール 18.0部
<光沢調整層形成用インク−2>
反応性ポリエステル樹脂 10.0部
シリコーン樹脂 10.0部
トリレンジイソシアネート 5.0部
触媒(スズ) 微量
シリカ(粒子径2.0μm;不定形) 1.0部
トルエン 39.0部
メチルエチルケトン 35.0部
<光沢調整層形成用インク−3>
反応性ポリエステル樹脂 10.0部
シリコーン樹脂 10.0部
トリレンジイソシアネート 5.0部
触媒(スズ) 微量
シリカ(粒子径2.0μm;不定形) 4.0部
トルエン 36.0部
メチルエチルケトン 35.0部
<光沢調整層形成用インク−4>
反応性ポリエステル樹脂 10.0部
シリコーン樹脂 10.0部
トリレンジイソシアネート 5.0部
触媒(スズ) 微量
シリコーンパウダー(粒子径1.2μm;真球状) 1.4部
トルエン 38.6部
メチルエチルケトン 35.0部
<光沢調整層形成用インク−5>
反応性ポリエステル樹脂 10.0部
シリコーン樹脂 10.0部
トリレンジイソシアネート 5.0部
触媒(スズ) 微量
シリコーンパウダー(粒子径1.2μm;真球状) 5.2部
トルエン 35.8部
メチルエチルケトン 34.0部
<光沢調整層形成用インク−6>
ポリエステル樹脂 10.0部
エポキシ樹脂 10.0部
シリコーンパウダー(粒子径1.2μm;真球状) 5.0部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 35.0部
<光沢調整層形成用インク−7>
反応性ポリエステル樹脂 10.0部
シリコーン樹脂 10.0部
トリレンジイソシアネート 5.0部
触媒(スズ) 微量
シリコーンパウダー(粒子径0.5μm;真球状) 0.2部
トルエン 39.8部
メチルエチルケトン 35.0部
<離型層形成用インク>
シリコーン樹脂 24.0部
スルホン酸ベンゼン 1.0部
シリコーンパウダー(粒子径1.2μm) 5.0部
トルエン 35.0部
メチルエチルケトン 35.0部
<耐熱滑性層形成用インク>
エポキシアクリレート 45.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 20.0部
開始剤 1.0部
シリコーンオイル 6.0部
シリカ 3.0部
メチルアルコール 25.0部
<被転写基材>
発泡ポリエステルフィルム:厚さ188μm
<昇華熱転写用受像層形成インク>
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 20.0部
シリコーンオイル 0.5部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 39.5部
<溶融熱転写用受像層形成インク>
ポリエステル樹脂 10.0部
エポキシ樹脂 10.0部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
<実施例1>
グラビアコート法により、基材シートの一方の面に、耐熱滑性層形成用インクを用いて、耐熱滑性層を乾燥厚0.8μmで形成した後、他方の面に、SY塗液、SM塗液、SC塗液を用いて、昇華熱転写層を各乾燥厚1.0μmで面順次に形成した。その後引き続いて、剥離層形成用インクを用いて、剥離層を乾燥厚0.8μmで面順次に形成した後、剥離層上に、接着層形成用インクを用いて、接着層を乾燥厚2.0μmで形成して保護層を形成した。さらに引き続いて、光沢調整層形成用インク−1と半径5μmからなるレンチキュラーロールを用いて、電離放射線照射により、光沢調整層を平均乾燥厚6.0μmで面順次に形成することで、光沢調整層の表面光沢度7.8%の実施例1の熱転写シートを得た。なお、光沢度はJIS Z8741に準ずる入射角60°における測定値で、以下の実施例、比較例の光沢度も同様の測定法で得られた値である。
<実施例2>
グラビアコート法により、基材シートの一方の面に、耐熱滑性層形成用インクを用いて、耐熱滑性層を乾燥厚0.8μmで形成した後、他方の面に、SY塗液、SM塗液、SC
塗液を用いて、昇華熱転写層を各乾燥厚1.0μmで面順次に形成した。その後引き続いて、剥離層形成用インクを用いて、剥離層を乾燥厚0.8μmで面順次に形成した後、剥離層上に、接着層形成用インクを用いて、接着層を乾燥厚2.0μmで形成して保護層を形成した。さらに引き続いて、光沢調整層形成用インク−2を用いて、光沢調整層を平均乾燥厚1.0μmで面順次に形成することで、光沢調整層の表面光沢度6.9%の実施例2の熱転写シートを得た。
<実施例3>
前記実施例2の光沢調整層形成用インク−2に代えて、光沢調整層形成用インク−4を用いることで、光沢調整層の表面光沢度7.2%の実施例3の熱転写シートを得た。
<実施例4>
前記実施例2の光沢調整層形成用インク−2に代えて、光沢調整層形成用インク−3を用いることで、光沢調整層の表面光沢度1.9%の実施例4の熱転写シートを得た。
<実施例5>
グラビアコート法により、基材シートの一方の面に、耐熱滑性層形成用インクを用いて、耐熱滑性層を乾燥厚0.8μmで形成した後、他方の面に、TY塗液、TM塗液、TC塗液を用いて、溶融熱転写層を各乾燥厚0.7μmで面順次に形成した。その後き続いて、剥離層形成用インクを用いて、剥離層を乾燥厚0.8μmで面順次に形成した後、剥離層上に、接着層形成用インクを用いて、接着層を乾燥厚2.0μmで形成して保護層を形成した。さらに引き続いて、光沢調整層形成用インク−4を用いて、光沢調整層を平均乾燥厚1.0μmで面順次に形成することで、光沢調整層の表面光沢度7.2%の実施例5の熱転写シートを得た。
<実施例6>
前記実施例2の光沢調整層形成用インク−2に代えて、光沢調整層形成用インク−5を用いることで、光沢調整層の表面光沢度2.6%の実施例6の熱転写シートを得た。
<比較例1>
グラビアコート法により、基材シートの一方の面に、耐熱滑性層形成用インクを用いて、耐熱滑性層を乾燥厚0.8μmで形成した後、他方の面に、SY塗液、SM塗液、SC塗液を用いて、昇華熱転写層を各乾燥厚1.0μmで面順次に形成した。その後引き続いて、剥離層形成用インクを用いて、剥離層を乾燥厚0.8μmで面順次に形成した後、剥離層上に、接着層形成用インクを用いて、接着層を乾燥厚2.0μmで形成して保護層を形成することで、比較例1の熱転写シートを得た。
<比較例2>
前記実施例2の光沢調整層形成用インク−2に代えて、光沢調整層形成用インク−6を用いることで、光沢調整層の表面光沢度2.5%の比較例2の熱転写シートを得た。
<比較例3>
前記実施例2の光沢調整層形成用インク−2に代えて、光沢調整層形成用インク−7を用いることで、光沢調整層の表面光沢度84.0%の比較例3の熱転写シートを得た。
<比較例4>
グラビアコート法により、基材シートの一方の面に、耐熱滑性層形成用インクを用いて、耐熱滑性層を乾燥厚0.8μmで形成した後、他方の面に、SY塗液、SM塗液、SC塗液を用いて、昇華熱転写層を各乾燥厚1.0μmで面順次に形成した。その後引き続いて、離型層形成用インクを用いて、離型層を平均乾燥厚1.0μmで面順次に形成した後
、離型層上に、剥離層形成用インクを用いて、剥離層を乾燥厚0.8μmで形成した後、剥離層上に、接着層形成用インクを用いて、接着層を乾燥厚2.0μmで形成することで保護層を形成し、比較例4の熱転写シートを得た。なお、分色により確認の結果、離型層表面光沢度は実施例6と同じく2.6%であった。
<被転写体の作製>
グラビアコート法により、被転写基材の一方の面に、昇華熱転写用受像層形成用インクを用いて、昇華熱転写用受像層を乾燥厚5.0μmで形成することで、昇華熱転写用の被転写体Sを、同様に、溶融熱転写用受像層形成用インクを用いて、溶融熱転写用受像層を乾燥厚2.0μmで形成することで、溶融熱転写用の被転写体Tを作製した。
<印画物評価>
実施例1〜4及び6、比較例1〜4の熱転写シートに関しては、被転写体Sを用い、実施例5の熱転写シートに関しては、被転写体Tを用いて、サーマルシミュレーターにより、表1に示す条件で、ISO SCID画像の印画を行い、各々の印画物を得た。また印画物評価を行うにあたって、同様の画像を使用し、表面性が光沢タイプと絹目タイプの2種のデジタル銀塩法による印画物も準備した。
Figure 2009073150
得られた印画物に関して、蛍光灯環境下(一般的な室内を想定)における目視評価の結果と、実用性という面から、各々の低速印画物の印画面同士を重ね合わせ、ほぼ荷重のない状態で10回擦り合わせた後の各々の印画物の状態を目視評価した結果を、表2に示す。
Figure 2009073150
なお、印画物の目視評価は、印画画像の中の物体の表面等、光沢があった方が画像として高品位と思えるところや、逆に物体の影等、光沢がない方が画像として高品位と思えるところを目視観察して◎〜×の評価を行った。また、擦り後の印画物状態評価は、変化ないものを○とし、保護層の脱落と考えられる表面に粉が発生した状態で、しかも表面に変化が確認されたものを×とした。
表2に示す結果から、実施例1〜6は、印画物上に形成される保護層表面を印画画像に応じて光沢調整可能であり、その結果印画画像を高品位化させ、しかも、耐久性の面でも従来からの単調な保護層と大差ない印画物を得ることが可能な光沢調整層を有する保護層付き熱転写シートであり、その熱転写シートから得られる高品位な印画物であることが明らとなった。
また、実施例2より、光沢調整層にフィラーを含有させ粗面化させることで、実施例1のフィラーを含有させない場合より塗工乾燥厚を薄くできる点でコスト的に優位である。
また、実施例2と実施例3の比較から、真球状のフィラーを用いる方が、より画像に応じた良好な光沢差を得られることが解る。
また、実施例2と実施例4、あるいは実施例3と実施例6の比較から、JIS Z8741に準ずる入射角60°における光沢度を、3%未満とした光沢調整層を設けることで、より画像に応じた良好な光沢差を得られることが解る。
また、実施例3と実施例5の結果から、熱転写性インク層が、昇華熱転写層、溶融熱転写層のいずれでも問題ないことが解る。
これに対して、比較例1は、従来からの保護層付き熱転写シートの構成であり、印画画像の保護層表面は単調な光沢面となり、画像に応じた光沢差を得られることができないことが解る。
また、比較例2は、画像に応じた良好な光沢差を得られることができるが、耐久性の面で大きな問題を抱えることが解る。
また、比較例3は、光沢調整層が粗面化されていない場合には、画像に応じた光沢差を得られることができないことが解る。
また、比較例4は、光沢差のある保護層表面が形成できるものの、画像に応じて調整されているわけではないため、画像に応じた光沢差を得られることができないことが解る。
本発明による熱転写シートの構成例を示す断面図である。
符号の説明
(10)・・・熱転写シート (11)・・・基材
(12)・・・熱転写性インク層 (13)・・・保護層
(14)・・・光沢調整層 (15)・・・耐熱滑性層

Claims (9)

  1. 基材シートの一方の面に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色、またはブラック(BK)を含む4色の熱転写性インク層と、熱転写性保護層を長手方向へ面順次に設けた保護層付き熱転写シートにおいて、
    前記熱転写性保護層の長手方向後方に、非熱転写性の粗面化された光沢調整層を設けることを特徴とする保護層付き熱転写シート。
  2. 前記光沢調整層が、フィラーを含有し、且つフィラーの粒子径が前記光沢調整層の膜厚以上であることを特徴とする請求項1に記載の保護層付き熱転写シート。
  3. 前記フィラーの形状が、真球状であることを特徴とする請求項2に記載の保護層付き熱転写シート。
  4. 前記光沢調整層が、JIS Z8741に準ずる入射角60°における光沢度が、10%未満であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の保護層付き熱転写シート。
  5. 前記熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華熱転写層であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の保護層付き熱転写シート。
  6. 前記熱転写性インク層が、染料および/または顔料とバインダとからなる溶融熱転写層であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の保護層付き熱転写シート。
  7. 基材シートの一方の面に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色、またはブラック(BK)を含む4色の熱転写性インク層と、熱転写性保護層、非熱転写性の粗面化された光沢調整層を長手方向へ面順次に設けた保護層付き熱転写シートより得られる印画物において、
    インク層による画像記録に引き続いて、均一に保護層が形成された後、光沢調整層を該保護層に密着させ、画像情報に基づくサーマルヘッド加熱で保護層を不均一に軟化させて光沢調整層表面の形状を不均一に転写することで、画像情報に基づき保護層表面の光沢が調整されたことを特徴とする印画物。
  8. 前記熱転写性インク層が、熱昇華性染料とバインダとからなる昇華熱転写層であることを特徴とする請求項7に記載の印画物。
  9. 前記熱転写性インク層が、染料および/または顔料とバインダとからなる溶融熱転写層であることを特徴とする請求項7に記載の印画物。
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