JP2014162044A - 熱転写シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材シート1と、基材シート1の一方の面に染料層3と熱転写性保護層2を面順次に形成されてなる熱転写シート10であって、基材シート1の熱転写性保護層2の形成された面と反対側の面に耐熱滑性層7が形成されてなり、基材シート1は、試験片の長さ10mmに対し、長手方向の荷重下での室温から200℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化が2.5μm未満であり、かつ、前記基材シートは、長手方向の荷重下での室温から250℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化が4μm未満であることにより、上記課題を解決することができた。
【選択図】 図1
Description
そして、染料による熱転写画像上に、保護層を転写する際、同一基材上に染料層と転写性保護層を面順次に形成した熱転写シートを使用して、染料による熱転写の画像形成と、保護層の転写を連続的に行なって、耐久性を高めた印画物を得ることが行われている。
また、上記の熱転写シートのシワが、熱転写性保護層の箇所に生じた場合には、熱転写性保護層の表面における平滑性が乏しく、その熱転写性保護層が転写されると、高光沢な印画物が得られにくく、更に、熱転写性保護層の転写ムラが発生すると、染料層から転写された印画物の耐久性をもたせるという熱転写性保護層の機能を充分発揮できず、印画物の商品価値を低下させてしまう恐れがあった。
図1に本実施形態の熱転写シート10を示す。本実施形態の熱転写シート10は、基材シート1の一方の面に、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3Cの3色の染料層3と、剥離層4と保護層5と接着層6を順次積層した熱転写性保護層2とを面順次に繰り返し設けた熱転写シートである。その基材シート1の他方の面には、耐熱滑性層7を設けている。
(基材シート)
本発明において寸法伸び変化とは、JIS−K−7197に規定された方法に準じて、TMA(熱機械分析)を用いて測定を行い、試験片の長さ10mmに対して、基材シートの長手方向の荷重下での室温T0から測定温度T1までの伸び変化をいい、次式で示される。(以下、「寸法伸び変化」という。)なお、室温とは15℃〜30℃の温度範囲を示す。
(寸法伸び変化)=(測定温度T1における基材シートの長手方向の寸法)−(室温T0における基材シートの長手方向の寸法)
基材シートの長手方向の荷重下での室温から200℃までの雰囲気下における寸法伸び変化が、4μm以上であるか、または、長手方向の荷重下での室温から250℃までの雰囲気下における寸法伸び変化が、4μm以上であると、熱転写時に印字中の熱エネルギーとテンションにより、基材シートのピッチずれやシワが生じる場合があるので好ましくない。
基材シートの長手方向の荷重下での室温から220℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化は、3.0μm未満であることが好ましく、1.0μm未満であることがより好ましい。これによって、熱転写時にピッチずれやシワが発生することを、より効果的に低減することができる。
また、基材シートの長手方向の荷重下での室温から150℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化は、0.5μm未満であることが好ましい。これによって、熱転写シートの製造工程において、基材シート上に染料層、溶融インキ層、熱転写性保護層、または耐熱滑性層を塗布後、120℃〜150℃程度の熱風で乾燥しても、ピッチずれやシワが生じることを防止できる。これによって、熱転写シートの製造工程の歩留まりを改善することができる。
ここで、Ar1、Ar2、Ar3は、例えば一般式化3に示すようなものが用いられ、X、Yは、−O−、−CH2−、−CO−、−SO2−、−S−、−C(CH3)2−などから選ばれるが、これらに限定されるものではない。
基材シートに形成される染料層3は、昇華性染料を含む層である。その昇華型染料としては、従来、公知の熱転写シートに使用されている染料は、いずれも本発明に使用可能であり、特に限定されない。これらの染料としてはジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン系、アセトフェノンアゾメチン,ピラゾロアゾメチン,イミダゾルアゾメチン,ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン,トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、そしてピリドンアゾ,チオフェンアゾ,イソチアゾールアゾ,ピロールアゾ,ピラゾールアゾ,イミダゾールアゾ,チアジアゾールアゾ,トリアゾールアゾ,ジスアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等があげられる。具体的には次のような染料が用いられる。
C.I.ディスパースブルー24,56,14,301,334,165,19,72,87,287,154,26,354
C.I.ディスパースレッド135,146,59,1,73,60,167
C.I.ディスパースオレンジ149
C.I.ディスパースバイオレット4,13,26,36,56,31
C.I.ソルベントイエロー56,14,16,29
C.I.ソルベントブルー70,35,63,36,50,49,111,105,97,11
C.I.ソルベントレッド135,81,18,25,19,23,24,143,146,182
C.I.ソルベントバイオレット13
C.I.ソルベントブラック3
C.I.ソルベントグリーン3
基材シートの耐熱滑性層の設けられている面の他方の面に、ブラックなどの色相の溶融インキ層9を設けることもできる。その溶融インキ層は、着色剤とビヒクルで構成でき、更に必要に応じて種々の添加剤を加えたものである。着色剤としては、有機または無機の顔料あるいは染料のうち、記録材料として要求される着色濃度を有し、光、熱、温度等により変褪色しないものが好ましい。また加熱により発色するような物質や、被転写体に塗布されている物質と接触することにより発色するような物質を用いることもできる。そして、着色剤は、ブラックの他にも、シアン、マゼンタ、イエロー等、種々の色の着色剤を使用することができる。
基材シート上に、剥離可能に熱転写性保護層2が形成される。その熱転写性保護層は、サーマルヘッド等の加熱により、熱転写シートから被転写体へ熱転写可能であれば、保護層だけで構成することができる。また、基材シートからの転写性を良くするために、基材シート側から剥離層4、保護層5の順に積層した構成にすることができる。また、熱転写性保護層が被転写体へ転写する際、被転写体への密着性を高めるために、接着層6を保護層5の上に設けることができる。
なかでも、本実施形態では、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等のポリエステル系樹脂を好適に使用することができる。なお、ポリエステル樹脂やポリエステルウレタン樹脂は、他の熱可塑性樹脂との共重合体であってもよい。
保護層は、上記に説明した熱可塑性樹脂を主成分として、基材シート上に設けることができ、保護層を1層のみで構成できるが、2層以上の複数層で形成することができる。その際、複数の保護層は、同一の熱可塑性樹脂を主体に構成した塗布液で形成するか、あるいは異なる熱可塑性樹脂を主体に構成した塗布液で形成することもできる。保護層が3層を有する場合では、例えば2層を同一の熱可塑性樹脂を主体に構成した塗布液で形成し、残りの1層を異なる熱可塑性樹脂を主体に構成した塗布液で形成するか、あるいは3層全て同一の熱可塑性樹脂を主体に構成した塗布液で形成するか、あるいは3層全て異なる熱可塑性樹脂を主体に構成した塗布液で形成することもできる。
本実施形態で得られる熱転写シートでは、熱転写時に熱転写性保護層が基材シートから剥離しやすいように、基材シートと保護層との間に剥離層4を設けることができる。なお、剥離層は、熱転写時に被転写体上に転写される層である。
剥離層の材料としては、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラールなどのビニル共重合体の熱可塑性樹脂や、飽和又は不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂、アミノアルキッド樹脂などの熱硬化型の樹脂、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。また、剥離層には箔切れ性を向上させるために、マイクロシリカやポリエチレンワックスなどのフィラーを含有させることが好ましい。また、剥離層は、1種の樹脂からなるものであってもよく、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。また剥離層は、上記に例示した樹脂に加えイソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成することとしてもよい。
本実施形態においては、必要に応じて剥離層4と基材シート1との間に、さらに離型層8を設けてもよい。離型層は、基材シートと保護層との剥離性が適当でない場合、基材シートと保護層との接着性を調整し、保護層の剥離を良好に行うために設けることができる。このような離型層は、例えば、シリコーンワックス等の各種ワックス類、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、水溶性樹脂、セルロース誘導体樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸系ビニル樹脂、アクリルビニルエーテル系樹脂、無水マレイン酸樹脂等の各種樹脂等やこれらの混合物から構成される。
基材シート側に残るように形成しておくのが望ましい。
本実施形態では、熱転写性保護層が被転写体との十分な接着性を有する場合には、接着層の形成は不要であるが、熱転写性保護層の表面に接着層6を形成し、熱転写性保護層の転写性と、転写後の保護層の画像面に対する密着性を向上させることができ、好ましく行なわれる。この接着層は、従来公知の感熱接着剤がいずれも使用できるが、ガラス転移温度が50℃〜100℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましく、例えば、紫外線吸収性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂などの如く熱時接着性の良好な樹脂から、適当なガラス転移温度を有するものを選択することが好ましい。
本実施形態の熱転写シートは基材シートの裏面に耐熱滑性層を設けることができる。基材シートの裏面に設けられている耐熱滑性層は、サーマルヘッド等の加熱デバイスと基材シートとの熱融着を防止し、走行を滑らかに行う目的で設けられる。
耐熱滑性層を形成する樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
被転写体上には、上述した本発明に係る転写シートを構成する転写層が転写され、その結果、耐久性、光沢性に優れた熱転写画像を有する印画物が得られる。
本発明の熱転写シートが適用される被転写体は特に限定されず、例えば天然繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフィルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれのものでもよい。
(実施例1)
基材シート1として厚さ4μmの芳香族ポリアミドフィルム(東レ株式会社製 ミクトロン)を用い、その基材シートの一方の面に、下記組成の耐熱滑性層形成用塗布液を用いて、バーコーター法で、乾燥後1.0g/m2の厚さになるように塗布、乾燥して耐熱滑性層を形成した。
モル当量比(―NCO/−OH);0.21
・ポリビニルアセタール樹脂 60.6部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 8.4部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株))
・シリコーン樹脂微粒子(粒子径;4μm 多角形状) 1部
(トスパール240 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
<イエロー染料層用塗布液>
・分散染料(ホロンブリリアントイエロー−S−6GL) 5.5部
・バインダー樹脂 4.5部
(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製)
・リン酸エステル系界面活性剤 0.1部
(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
・分散染料(MSレッドG) 1.5部
・分散染料(マクロレックスレッドバイオレットR) 2.0部
・バインダー樹脂 4.5部
(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製)
・リン酸エステル系界面活性剤 0.1部
(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
・分散染料(カヤセットブルー714) 4.5部
・バインダー樹脂 4.5部
(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製)
・リン酸エステル系界面活性剤 0.1部
(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<剥離層用塗布液>
・ポリメチルメタクリレート樹脂 20部
(ダイヤナールBR−87、三菱レイヨン(株)製)
・トルエン 40部
・メチルエチルケトン 40部
<保護層形成用塗布液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 100部
(ソルバインCNL 日信化学工業(株)製)
・トルエン 200部
・メチルエチルケトン 200部
実施例1で用意した耐熱滑性層の設けられた厚さ4μmの芳香族ポリアミドフィルム(東レ株式会社製 ミクトロン)の基材シートを用い、その基材シートの耐熱滑性層を設けた面と反対側に、実施例1で使用したイエロー、マゼンタ、シアンの各染料層用塗布液を用いて、それぞれ固形分換算で1.0g/m2の割合で図2に示す配置で、バーコーター法で塗布、乾燥して、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層を形成した。さらに、下記組成のブラック溶融インキ層形成用塗布液を用いて、固形分換算で3.0g/m2の厚さで、図2に示す配置で、バーコーター法で塗布、乾燥して、ブラック溶融インキ層を形成した。
・アクリル−塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂 20部
・カーボンブラック 10部
・トルエン 35部
・メチルエチルケトン 35部
上記の剥離層の上に、実施例1で使用した保護層形成用塗布液を用いて、固形分換算で2.0g/m2の厚さで、図2に示す配置で、バーコーター法で塗布、乾燥して、保護層を形成して、実施例2の熱転写シートを作製した。
厚さ9μmの芳香族ポリアミドフィルム(東レ株式会社製 ミクトロン)の基材シートを用い、その基材シートの一方の面に、実施例1で用意した耐熱滑性層を設けた。その基材シートの耐熱滑性層を設けた面と反対側に、実施例1で使用したイエロー、マゼンタ、シアンの各染料層用塗布液を用いて、それぞれ固形分換算で1.0g/m2の割合で図1に示す配置で、バーコーター法で塗布、乾燥して、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層を形成した。
上記の基材シートの耐熱滑性層を設けた面と反対側に、実施例1で使用した剥離層用塗布液を用いて、固形分換算で1.0g/m2の厚さで、図1に示す配置で、バーコーター法で塗布、乾燥して、剥離層を形成した。
上記の剥離層の上に、実施例1で使用した保護層形成用塗布液を用いて、固形分換算で2.0g/m2の厚さで、図1に示す配置で、バーコーター法で塗布、乾燥して、保護層を形成して、実施例2の熱転写シートを作製した。
厚さ9μmの芳香族ポリアミドフィルム(東レ株式会社製 ミクトロン)の基材シートを用い、その基材シートの一方の面に、実施例2で用意した耐熱滑性層を設けた。その基材シートの耐熱滑性層を設けた面と反対側に、実施例2で使用したイエロー、マゼンタ、シアンの各染料層用塗布液と、ブラック溶融インキ層形成用塗布液を用いて、それぞれ固形分換算で1.0g/m2の割合で図2に示す配置で、バーコーター法で塗布、乾燥して、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層およびブラック溶融インキ層を形成した。
上記の基材シートの耐熱滑性層を設けた面と反対側に、実施例1で使用した剥離層用塗布液を用いて、固形分換算で1.0g/m2の厚さで、図2に示す配置で、バーコーター法で塗布、乾燥して、剥離層を形成した。
上記の剥離層の上に、実施例1で使用した保護層形成用塗布液を用いて、固形分換算で2.0g/m2の厚さで、図2に示す配置で、バーコーター法で塗布、乾燥して、保護層を形成して、実施例2の熱転写シートを作製した。
基材シート1を厚さ4.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 製品名、ルミラー)に変更した以外は、全て実施例1と同様にして、比較例1の熱転写シートを得た。
基材シート1を厚さ4.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 製品名、ルミラー)に変更した以外は、全て実施例2と同様にして、比較例2の熱転写シートを得た。
市販のサーマルヘッドを搭載したデジタルフォトプリンターCX(シチズンシステムズ株式会社製)によって、下記の熱転写受像シートと、上記の実施例及び比較例の熱転写シートを用いて、その熱転写受像シートに、ベタ部分と非印画部分を含むテストパターンで、熱転写の画像を形成して、各印画物を作製した。
コート紙(三菱製紙株式会社製パールコートN:157.0g/m2)の一方の面上に35μmの多孔質ポリプロピレンフィルム(トヨパールSS 東洋紡績(株)製)を、また、当該コート紙の他方の面上に50μmの白色ポリエチレンテレフタレート(ルミラーE63S 東レ(株)製)を、それぞれ下記組成の接着層用塗布液(乾燥後の塗布量:4g/m2)を用いて貼合した支持体を作成した。次いで、支持体の多孔質ポリプロピレンフィルムの面に、下記組成のプライマー層用塗布液を、バーコーターにより乾燥時塗布量2.0g/m2となるように塗布、乾燥(130℃、1分)してプライマー層を形成した。次いで、プライマー層上に、下記組成の受容層用塗布液1をバーコーターにより、乾燥時の塗布量が3.0g/m2となるように塗布、乾燥(130℃、1分)して受容層を形成した。また、支持体の受容層が設けられている面とは反対の面に、下記組成の裏面層用塗布液をバーコーターにより、塗布量2.0g/m2(乾燥後)となるように塗布、乾燥(110℃、1分)して裏面層を形成することで、熱転写受像シートを作製した。
・ウレタン樹脂 30部
(タケラックA−969V 三井武田ケミカル(株)製)
・イソシアネート 10部
(タケネートA−5 三井武田ケミカル(株)製)
・酢酸エチル 60部
・ポリエステル樹脂 50部
(ポリエスターWR−905 日本合成化学工業(株)製)
・酸化チタン 20部
(TCA888 (株)トーケムプロダクツ製)
・蛍光増白剤 1.2部
(ユビテックスBAC チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製)
・水/イソプロピルアルコール=1/1 28.8部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合 20部
(ソルバインCN 日信化学工業(株))
・側鎖型/エポキシ・アラルキル変性シリコーンオイル 1部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・両末端型/カルビノール変性シリコーンオイル 0.2部
(X−22−160AS 信越化学工業(株))
・トルエン 80部
・メチルエチルケトン 80部
・ポリビニルブチラール樹脂 10部
(♯3000−1 電気化学工業(株)製)
・キレート剤 4.3部
(テンカレート TP110)
・ナイロン12フィラー 2部
(NW330 神東塗料(株)製)
・トルエン/イソプロピルアルコール 83.7部
上記で作製された実施例と比較例の各熱転写シートについて、JIS−K−7197に規定された方法に準じて、使用した基材シートの長手方向の荷重下での室温から昇温した測定温度までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化を下記の条件で測定した。
測定装置:(株)セイコーインスツルメント製「TMA/SS100」
試験片寸法:幅5mm、長さ10mm
温度条件:5℃/分で23℃から各測定温度に昇温し、5分間保持
荷重条件:49mN一定
上記で得られた実施例1〜4、比較例1、2の印画物における黒ベタ印画部分と白ベタ印画部分をそれぞれ光沢度計(日本電色株式会社製 Gloss Meter VG2000)を用いて、測定入射角20°にて、測定方向MD(主走査方向)およびTD(副走査方向)の条件で測定した。なお、印画環境は、常温、常湿である。但し、測定結果を以下の基準で評価を行った。
2・・・光沢度が70以上
1・・・光沢度が70未満
実施例1〜4、及び比較例1、2の熱転写シートを上記熱転写受像シートと組み合わせ、以下の印画条件にて印画した。このときの印画物を目視にて確認し、以下の評価基準に基づいて、印画物濃淡ムラの評価行った。
・発熱体平均抵抗値:5045Ω
・主走査方向印字密度:300dpi
・副主走査方向印字密度:300dpi
・印加電圧:25(V)
・1ライン周期:1.0(msec/line)
・印字開始温度:27(℃)
・印加パルス(階調制御方法):1ライン周期を255に等分割したパルス長さをもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンタを用い、1ライン周期当りのパルス数0から255個までを18ステップに分割した。これにより、18段階に異なるエネルギーを与えることができる。
3:印画物の180階調部分が均一となっている。印画物の濃淡ムラがない。
2:印画物の180階調部分にわずかに濃淡ムラがある。
1:印画物の180階調部分に激しい濃淡ムラがある。
上記の通り、実施例1〜2の熱転写シートは、使用した基材シートの長手方向の荷重下での室温から200℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化が、2.5μm未満であって、長手方向の荷重下での室温から250℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化が4μm未満であり、印画後の巻取りボビンに巻上げられた熱転写シートにシワが生じておらず、良好であった。さらに、実施例1〜4の熱転写シートにより形成した印画物は、染料層から転写された印画物の耐久性をもたせるという熱転写性保護層の機能を充分発揮できると共に、濃淡ムラがなく、高光沢な印画物が得られ、印画物の画質に優れるものであった。それに対し、比較例1〜2の熱転写シートは、使用した基材シートの長手方向の荷重下での室温から200℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化が上記の範囲外であり、基材シートの長手方向の荷重下での室温から250℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化が大きく、測定不能であった。その結果、比較例1〜2の熱転写シートは、印画後の巻取りボビンに巻上げられた熱転写シートにシワが生じた。さらに、比較例1〜2の熱転写シートにより形成した印画物は、濃度ムラがあり、印画物の光沢度及び画質とも劣る結果であった。
2 熱転写性保護層
3 染料層
3Y イエロー染料層
3M マゼンタ染料層
3C シアン染料層
4 剥離層
5 保護層
6 接着層
7 耐熱滑性層
8 離型層
9 溶融インキ層
10 熱転写シート
11 プライマー層
Claims (2)
- 基材シートと、
前記基材シートの一方の面に染料層と熱転写性保護層を面順次に形成されてなる熱転写シートであって、
かつ、前記基材シートの前記熱転写性保護層の形成された面と反対側の面に耐熱滑性層が形成されてなり、
かつ、前記基材シートは、試験片の長さ10mmに対し、長手方向の荷重下での室温から200℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化が2.5μm未満であり、
かつ、前記基材シートは、長手方向の荷重下での室温から250℃までの雰囲気下における温度に対する寸法伸び変化が4μm未満であることを特徴とする熱転写シート。 - 前記基材シートが、芳香族系ポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013033300A JP2014162044A (ja) | 2013-02-22 | 2013-02-22 | 熱転写シート |
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---|---|---|---|
JP2013033300A JP2014162044A (ja) | 2013-02-22 | 2013-02-22 | 熱転写シート |
Publications (1)
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