JP2011068004A - 保護層転写シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材1の一方の面に保護層3が設けられ、基材の他方の面に背面耐熱層5が設けられ、保護層と被転写体とを重ね合わせ背面耐熱層側からサーマルヘッドによる加熱処理が行われることで、被転写体上に保護層を転写可能な保護層転写シートであって、背面耐熱層には、平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下のタルク6及び平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下のシリコーン樹脂微粒子7の何れか一方または双方が添加されている。
【選択図】図1
Description
基材1は本発明の保護層転写シート10における必須の構成であり、後述する保護層3及び背面耐熱層5を保持するために設けられる。基材1の材料については特に限定されないが、保護層3を被転写体上に転写する際にサーマルヘッドにより加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材1の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2.5〜100μm程度が一般的で、好ましくは1〜10μmである。
図1に示すように基材1の他方の面(図1に示す場合には基材1の下面)には、背面耐熱層5が形成されている。背面耐熱層5は本発明の保護層転写シート10における必須の構成でありサーマルヘッドの滑り性を向上させ、スティッキングの防止のほか、後述するサーマルヘッドに付着したカスを除去するために設けられる。
バインダー樹脂は、耐熱性を有する樹脂であれば特に限定はなく、このようなバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、酢酸セルロース、フッ化ビニリデン樹脂、ナイロン、ポリビニルカルバゾール、塩化ゴム、環化ゴム及びポリビニルアルコールが挙げられる。また、これらの樹脂は、ガラス転移点が60℃以上のもの、またはOH基またはCOOH基を有する熱可塑性樹脂にアミノ基を2個以上有する化合物またはジイソシアネートもしくはトリイソシアネートを加えて若干の架橋硬化を起させたものが好ましい。
上記の熱可塑性樹脂に配合する、熱離型剤または滑剤は、ポリエチレンワックス、パラフィンワックスの様なワックス類、高級脂肪酸のアミド、エステル又は塩類、高級アルコール及びレシチン等のリン酸エステル類のような加熱により溶融してその作用をするものと、フッ素樹脂や無機物質の粉末のように、固体のままで役立つものとがある。尚、これらの滑剤又は熱離型剤に加えて、他の離型剤、例えば、フッ素含有樹脂の粉末、グアナミン樹脂の粉末及び木粉のいずれかを併用することも出来る。
タルク6は、サーマルヘッドに付着したカスを除去する(掻き取る)ために背面耐熱層5に添加される。まず初めに、サーマルヘッド走行中にバインダー樹脂が削られることでサーマルヘッドに付着するカスを、背面耐熱層5に含有されるタルク6(後述のシリコーン樹脂微粒子7)が除去するメカニズムについて説明する。詳細は後述するが、図1に示すように、本願発明の保護層転写シート1を構成する背面耐熱層5には、タルク6(シリコーン樹脂微粒子7)が含有されており、含有されたタルク6(シリコーン樹脂微粒子7)の一部が突出(露出)することにより、背面耐熱層5の表面には凹凸が形成されている。タルク6(シリコーン樹脂微粒子7)は上記バインダー樹脂に対して硬度が高いことから、サーマルヘッドに付着したカスは、サーマルヘッド走行中に背面耐熱層5の表面に形成された凹凸(タルク6、シリコーン樹脂微粒子7)に掻き取られるように除去される。
背面耐熱層5にタルク6に代えて、またはタルク6とともにシリコーン樹脂微粒子7を添加することとしても良い。シリコーン樹脂微粒子7がサーマルヘッドに付着したカスを除去するメカニズムは上述のタルク6と同様であり説明は省略する。
図1に示すように基材1と背面耐熱層5との間にプライマー層4を設けることとしても良い。プライマー層4は、基材1と、背面耐熱層5との密着性を向上させるために設けられる層であり、本発明における任意の層である。プライマー層4として、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
図1に示すように基材1上(図1に示す場合には基材1の上面)には基材1から剥離可能な保護層3が形成されている。保護層3は、本発明の保護層転写シート10における必須の構成であり、被転写体上に保護層3が転写されることにより形成される印画物の耐久性を向上させるとともに、保護層3が転写された印画物に光沢感を付与するために設けられる。
図1に示すように基材1からの保護層3の剥離性を向上させるために、基材1と保護層3との間に離型層2を形成することとしてもよい。なお、離型層は本発明の保護層転写シート10における任意の層である。離型層2を形成する樹脂としては、従来公知の離型性樹脂であれば特に限定されることはなく、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等が挙げられる。また、離型層2は、1種の樹脂からなるものであってもよく、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。また離型層2は、離型性樹脂に加えイソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成することとしてもよい。なお、離型層2は、転写時に被転写体側へ移行してもよく、基材1側に残ることとしてもよい。また離型層2の厚みは0.5〜5μm程度が一般的である。離型層2の形成方法としては、上記樹脂を適当な溶剤により、溶解または分散させて離型層用塗工液を調製し、これを基材1上にグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の従来公知の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
保護層3上(図1に示す場合には保護層3の上面)にヒートシール層を設けてもよい(図示しない)。ヒートシール層は、本発明の保護層転写シート10における任意の層であり保護層3の被転写体に対する密着性を向上させるために設けられる。ヒートシール層を形成する材料については特に限定はなく、従来公知の感熱接着剤等を使用できるが、ガラス転移温度が50〜100℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましく、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂などの如く熱時接着性の良好な樹脂から、屈折率が1.52〜1.59程度のもので、また適当なガラス転移温度を有するものが好ましい。
上記保護層転写シート10の転写に使用可能な被転写体(熱転写受像シート)としては、例えば、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム等の従来公知の材料を挙げることができ、その材料について特に限定されない。
<背面耐熱層用塗工液1>
ポリビニルブチラール樹脂 7部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株))
リン酸エステル 6部
(プライサーフA208N 第一工業製薬(株))
タルク 0.3部
(ミクロエースFG15 日本タルク工業(株)製 平均粒径 1.5μm)
ポリイソシアネート 42部
(バーノックD450 大日本インキ化学工業(株))
ポリビニルブチラール樹脂 7部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株))
リン酸エステル 6部
(プライサーフA208N 第一工業製薬(株))
真球状シリコーン樹脂微粒子 0.3部
(XC99−A8808 株式会社タナック 社 平均粒径 0.7μm)
ポリイソシアネート 42部
(バーノックD450 大日本インキ化学工業(株)製)
ポリビニルブチラール樹脂 4.55部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株))
リン酸エステル 3部
(プライサーフA208N 第一工業製薬(株))
タルク 0.7部
(ミクロエースP−3、日本タルク工業(株)製 平均粒径 5.0μm)
ポリイソシアネート 21部
(バーノックD450 大日本インキ化学工業(株))
ポリアミドイミド樹脂 50部
(HR−15ET 東洋紡績社製)
ポリアミドイミドシリコーン樹脂 50部
(HR−14ET 東洋紡績社製)
ステアリルリン酸亜鉛 10部
(GF−100 日本油脂社製)
ポリエステル樹脂 3部
(バイロン220 東洋紡績社製)
タルク 10部
(ミクロエースP−3、日本タルク工業(株)製 平均粒径 5.0μm)
<保護層用塗工液1>
メタクリル酸メチルとベンゾトリアゾール(反応性紫外線吸収剤)共重合体
(新中村化学工業(株)製バナレジン UVA−73A 固形分(42%))18部
上記共重合体における反応性紫外線吸収剤比率=20%
紫外線吸収剤
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製チヌビン928) 0.5部
光安定剤
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製チヌビン770) 0.5部
酸化防止剤
(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製チバIruganox1076) 0.5部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 4.5部
(ソルバインCNL、日信化学工業(株)製)
紫外線吸収剤 15部
(ST−I UVA 40KT、ダイセル化学工業(株)製)
アクリル樹脂溶液 15部
(LP−45M 昭和インキ工業(株)製、固形分:13%)
ポリエステル樹脂 20部
(バイロン700 東洋紡績(株)社製)
紫外線吸収ポリマー 13.5部
(PUVA−50M−40TM 大塚化学(株)製 40%溶液)
<プライマー層用塗工液>
ポリエステル 16.67部
(商品名 ポリエスター WR−961、日本合成化学社製 固形分30%)
水 41.67部
イソプロピルアルコール 41.67部
<離型層用塗工液>
シリコーン変性アクリル樹脂) 16部
(セルトップ226、ダイセル化学工業(株)製
シリコーン変性アクリル樹脂 8部
(セルトップ227、ダイセル化学工業(株)製)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 2.4部
(ソルバインA、日信化学工業(株)製)
硬化触媒 4.5部
(セルトップCAT−A、ダイセル化学工業(株)製
紫外線吸収剤 0.05部
(ユビテックスOB、日本チバガイギー(株)製)
トルエン 9.8部
メチルエチルケトン 9.8部
基材として厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、該基材の一方の面に上記の離型層用塗工液をグラビアコート法にて塗工し、厚さ1.0μmの離型層を形成した。次いで、該離型層上に上記の保護層用塗工液1をグラビアコート法にて塗工し、厚さ1.0μmの保護層3を形成した。また、基材の他方の面には、上記のプライマー層用塗工液をグラビアコート法にて塗工し、厚さ0.2μmのプライマー層4を形成した。次いで、プライマー層上に上記の背面耐熱層用塗工液1をグラビアコート法にて塗工し、厚さ0.4μmの背面耐熱層を形成して実施例1の保護層転写シートを得た。
保護層用塗工液1を保護層用塗工液2に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の保護層転写シートを得た。
背面耐熱層用塗工液1を背面耐熱層用塗工液2に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3の保護層転写シートを得た。
背面耐熱層用塗工液1を背面耐熱層用塗工液2に、保護層用塗工液1を保護層用塗工液2に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例4の保護層転写シートを得た。
背面耐熱層用塗工液1を背面耐熱層用塗工液3に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の保護層転写シートを得た。
背面耐熱層用塗工液1を背面耐熱層用塗工液4に、保護層用塗工液1を保護層用塗工液3に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2の保護層転写シートを得た。
三菱電機社製昇華型プリンターCP9000を用い、専用受像紙シートに黒ベタ印画した。
サーマルヘッドへのカス付着試験は、保護層転写後のサーマルヘッドへのカス付着の有無を目視により行った。ここで、サーマルヘッドへのカス付着が殆どないものを○、カス付着があるものを×とした。
シワ評価試験は、転写後の保護層の表面にシワが生じているか否かを目視により行った。ここで、保護層表面にシワが生じていないものを○、シワが生じているものを×とした。評価結果を表1に示す。
次に、以下の測定条件にて光沢度試験を行った。光沢度の評価は、
測定入射角20度:走査方向における光沢度が60以上、副走査方向における光沢度が50以上
測定入射角45度:走査方向における光沢度が90以上、副走査方向における光沢度が80以上であるものを○、それ以外のものを×とした。光沢度の評価結果を光沢度の測定結果と併せて表1に示す。
測定機:日本電色(株)製 光沢度計 Gloss meter VG2000
測定入射角:20度、45度
測定方向:走査方向、副走査方向
2…離型層
3…保護層
4…プライマー層
5…背面耐熱層
6…タルク
7…シリコーン樹脂微粒子
10…保護層転写シート
Claims (5)
- 基材の一方の面に保護層が設けられ、基材の他方の面に背面耐熱層が設けられ、保護層と被転写体とを重ね合わせ背面耐熱層側からサーマルヘッドによる加熱処理が行われることで、被転写体上に保護層を転写可能な保護層転写シートであって、
前記背面耐熱層には、平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下のタルク及び平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下のシリコーン樹脂微粒子の何れか一方または双方が添加されていることを特徴とする保護層転写シート。 - 前記タルクは、前記背面耐熱層の固形成分に対して0.1重量%以上2.0重量%以下の範囲で添加されてなることを特徴とする請求項1に記載の保護層転写シート。
- 前記シリコーン樹脂微粒子は、前記背面耐熱層の固形成分に対して0.1重量%以上2.0重量%以下の範囲で添加されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の保護層転写シート。
- 前記背面耐熱層の塗工量が0.1g/m2以上2.0g/m2以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の保護層転写シート。
- 前記保護層には、平均粒径が0.1μm以上3.0μm以下のシリコンフィラーが添加されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の保護層転写シート。
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