JP2013075488A - 熱転写シートの製造方法、及び熱転写シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の何れか一方又は双方が有する水酸基と、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基とのモル当量比(―NCO/−OH)が0.1以上0.3未満となるように、(A)ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の何れか一方又は双方と、(B)イソシアネート系硬化剤と、(C)滑剤成分と、を含有する背面層用塗工液を用いて、基材1の一方の面に背面層5を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明の製造方法、及び本発明の熱転写シートに用いられる基材の材料については特に限定されないが、サーマルヘッドにより加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2.5〜100μm程度が一般的で、好ましくは1〜10μmである。
本発明の製造方法において、背面層は、ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の何れか一方又は双方が有する水酸基と、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基とのモル当量比(―NCO/−OH)が0.1以上0.3未満となるように、(A)ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の何れか一方又は双方と、(B)イソシアネート系硬化剤と、(C)滑剤成分と、を含有する背面層用塗工液を、基材上に塗布・乾燥することで形成される。以下、背面層用塗工液に含有される各成分について具体的に説明する。
背面層用塗工液に含有されるバインダー樹脂であるポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂は、水酸基価が9質量%以上25質量%以下であることが好ましい。当該範囲内とすることで、耐熱性をさらに向上させることができるとともに、背面層用塗工液の調製に用いられる酢酸エチルやトルエン等の溶剤に容易に溶解させることができる。このような水酸基価のポリビニルアセタール樹脂としては、積水化学株式会社製のエスレックBX−L、BX−1、BX−5、KS−1、KS−3、KS−5、KSー10等が挙げられる。また、このようなポリビニルブチラール樹脂としては、エスレックBM−5、BM−S、BH−3、BH−S等が挙げられる。なお、本明細書中、「水酸基価」とは、樹脂ポリマー中の、水酸基を有するモノマー成分の割合を意味するものであり、樹脂ポリマー全体の質量に対する水酸基を有するモノマー成分の質量の割合(質量%)として算出される値である。
背面層用塗工液に含有されるイソシアネート系硬化剤は、上記したポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂を、その水酸基を利用して架橋させ、背面層の塗膜強度または耐熱性を向上させるものである。イソシアネート系硬化剤としてはポリイソシアネート樹脂を好ましく使用することができる。ポリイソシアネート樹脂としては、従来種々のものが知られているが、そのうち芳香族系イソシアネートのアダクト体を使用することが望ましい。芳香族系ポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、trans−シクロヘキサン、1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェートがあげられ、特に2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、又は、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物が好ましい。
背面層用塗工液中には滑剤成分が含有される。滑剤成分は背面層の滑り性を向上させる機能を有するものである。
また、基材1と背面層5との間にプライマー層(図示しない)を設けることとしても良い。プライマー層は、基材と、背面層との密着性を向上させるために設けられる層であり、任意の層である。プライマー層として、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
図1に示す形態では、基材の背面層が設けられた面とは異なる面上(図1に示す場合には基材の上面)には基材から剥離可能な転写性保護層3が形成されている。転写性保護層3は印画物の耐久性を向上させるとともに、該転写性保護層3が転写された印画物に光沢感を付与するために設けられる。なお、転写性保護層3は本発明の熱転写シートにおける任意の構成である。
図2に示す形態では、基材の背面層が設けられた面とは異なる面上(図1に示す場合には基材の上面)には色材層4が形成されている。
図1に示すように基材1と転写性保護層3との間に離型層2を形成することとしてもよい。なお、離型層は本発明の熱転写シート10における任意の層である。離型層2を形成する樹脂としては、従来公知の離型性樹脂であれば特に限定されることはなく、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等が挙げられる。また、離型層2は、1種の樹脂からなるものであってもよく、2種以上の樹脂からなるものであってもよい。また離型層2は、離型性樹脂に加えイソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成することとしてもよい。なお、離型層2は、転写時に被転写体側へ移行してもよく、基材側に残ることとしてもよい。また離型層2の厚みは0.5〜5μm程度が一般的である。離型層2の形成方法としては、上記樹脂を適当な溶剤により、溶解または分散させて離型層用塗工液を調製し、これを基材上にグラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の従来公知の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
転写性保護層3上にヒートシール層を設けてもよい(図示しない)。ヒートシール層は、本発明の熱転写シート10における任意の層であり転写性保護層3の被転写体に対する密着性を向上させるために設けられる。ヒートシール層を形成する材料については特に限定はなく、従来公知の感熱接着剤等を使用できるが、ガラス転移温度が50〜100℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましく、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂などの如く熱接着性の良好な樹脂から、屈折率が1.52〜1.59程度のもので、また適当なガラス転移温度を有するものが好ましい。
上記熱転写シート10の転写に使用可能な被転写体(熱転写受像シート)としては、例えば、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム等の従来公知の材料を挙げることができ、その材料について特に限定されない。
(実施例1)
基材として厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液1を乾燥時0.5g/m2になるように塗布し、背面層を形成した。次いで、前記基材の背面層を設けた側とは反対の面に、下記組成のイエロー染料層塗工液(Y)、マゼンタ染料層塗工液(M)、およびシアン染料層塗工液(C)を、グラビア印刷機により、各層の乾燥塗布量が0.6g/m2になるように塗布、乾燥してこの順に面順次に繰返して形成し、実施例1の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);0.11
・ポリビニルブチラール樹脂(水酸基価19質量%) 58.5部
(エスレックBM−2 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 6.5部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
・分散染料(ディスパースイエロー231) 2.5部
・分散染料(下記化学式で示されるイエロー染料A) 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
・分散染料(MSレッドG) 1.5部
・分散染料(マクロレックスレッドバイオレットR) 2.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5、積水化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
・分散染料(ソルベントブルー63) 2.5部
・分散染料(ディスパースブルー354) 2.5部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.5部
(KS−5、積水化学工業(株)製) 4.5部
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液2に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);0.21
・ポリビニルブチラール樹脂(水酸基価19質量%) 53.3部
(エスレックBM−2 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 11.7部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液3に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);0.26
・ポリビニルブチラール樹脂(水酸基価19質量%) 51.0部
(エスレックBM−2 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 14.0部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液4に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例4の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);0.10
・ポリビニルアセタール樹脂(水酸基価12質量%) 60.8部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 4.2部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液5に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例5の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);0.21
・ポリビニルアセタール樹脂(水酸基価12質量%) 57.0部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 8.0部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液6に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例6の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);0.26
・ポリビニルアセタール樹脂(水酸基価12質量%) 55.4部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 9.6部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液7に変更した以外はすべて実施例1と同様にして実施例7の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);0.10
・ポリビニルアセタール樹脂(水酸基価12質量%) 60.8部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 4.2部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 7.5部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 7.5部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・リン酸エステル 5.0部
(プライサーフA208N 第一製薬工業(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Aに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);なし
・ポリビニルブチラール樹脂(水酸基価19質量%) 65.0部
(エスレックBM−2 積水化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Bに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例2の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);1.05
・ポリビニルブチラール樹脂(水酸基価19質量%) 31.0部
(エスレックBM−2 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 34.0部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Cに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例3の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);なし
・ポリビニルアセタール樹脂(水酸基価12質量%) 65.0部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
背面層用塗工液1を下記組成の背面層用塗工液Dに変更した以外はすべて実施例1と同様にして比較例4の熱転写シートを得た。
モル当量比(―NCO/−OH);1.05
・ポリビニルアセタール樹脂(水酸基価12質量%) 38.4部
(エスレックKS−1 積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート(NCO=17.3質量%) 26.6部
(バーノックD750 大日本インキ化学工業(株)製)
・ステアリルリン酸亜鉛 10.0部
(LBT−1830精製 堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10.0部
(SZ−PF 堺化学工業(株)製)
・フィラー 5.0部
(MICRO ACE P−3 日本タルク工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10.0部
(ポリワックス3000 東洋アドレ(株)製)
・メチルエチルケトン 200部
・トルエン 100部
滑り性の評価にあたり、実施例1〜7、及び比較例1〜4の熱転写シートを、三菱電機社製昇華型プリンタ(CP9800D)用熱転写受像シートと組み合わせ、以下の印画条件にて、最高印画階調値のベタパターン(高濃度部)、及び128/255階調(グレー)のベタパターン(中間濃度部)の印画を行い、その時の動摩擦係数を測定し、以下の評価基準に基づいて滑り性の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、印画及び動摩擦係数の測定には、特開2003−300338号公報に記載されている摩擦力測定機能付熱転写プリンタを使用した。
・サーマルヘッド;ヘッド抵抗値5020Ω、解像度300dpi(dots per inch)(東芝ホクト電子社製)
・ライン速度;1ms/Line、(用紙搬送方向の解像度は、300lpi(line per inch))
・パルスデューティ;90%
・印加電力;32V
・印圧;40N
・印画画像;幅1600ピクセル×長さ1090ピクセルのサイズで、階調0〜255のグラデーション画像(1ピクセルは、1ドットに相当)
○・・・動摩擦係数が0.4未満
△・・・動摩擦係数が0.4以上0.5未満
×・・・動摩擦係数が0.5以上
また、上記の条件で、階調値を5刻みに変更してベタパターンを印画し、シワやスティッキング、背面層のかき取られ等の不具合が発生するよりも1つ弱いエネルギーを最高印画階調値とし、各熱転写シートの耐熱性を評価した。なお、印画データの階調値は、255階調が100%ベタに相当するものとし、印画時の階調値を255で割った割合が最大印加エネルギーに対するそのパターンの印加エネルギーである(例えば、印画時の階調値が210階調であれば、210/255=0.823、即ち、82%ベタということとなる)。従って、最高印画階調値が高いほど、高い印加エネルギーに耐えられる、すなわち耐熱性が高いといえる。
実施例1〜7、比較例1〜4の熱転写シートを、三菱電機社製昇華型プリンタ(CP9800D)用熱転写受像シートと組み合わせ、上記印画条件にて0階調、128階調、255階調の印画を、印画メートル数400m、800m、及び1200mでそれぞれ行った。このときのサーマルヘッドに付着する印画カスの状態を目視にて確認し、以下の評価基準に基づいて印画カスの評価を行った。評価結果を表2に示す。
○・・・発熱体周辺部にカスが溜まらない
△・・・発熱体周辺部にカスが溜まっているが、印画物に濃淡ムラがない。
×・・・発熱体周辺部にカスが溜まっており、印画物に濃淡ムラが発生している。
なお、評価が○である場合には、印画物に色抜けが生じる虞が殆どなく良好な印画物を得ることができる。
実施例1〜7、及び比較例1〜4の熱転写シートを、三菱電機社製昇華型プリンタ(CP9800D)用熱転写受像シートと組み合わせ、上記印画条件にて255階調の印画を、印画メートル数20mで行った。なお、印画は、0℃環境下にて行った。印画後の印画物を目視にて確認し、以下の評価基準により印画キズの評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
○・・・印画キズの発生がない。
△・・・印画キズの発生はあるが、増加傾向はない。
×・・・印画キズが発生し、印画枚数を重ねると印画キズの発生本数が増加する。
2…離型層
3…転写性保護層
4…色材層
5…背面層
10…熱転写シート
Claims (2)
- 基材の一方の面に背面層を形成する熱転写シートの製造方法において、
前記背面層を、
ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の何れか一方又は双方が有する水酸基と、イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基とのモル当量比(―NCO/−OH)が0.1以上0.3未満となるように、
(A)前記ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の何れか一方又は双方と、(B)前記イソシアネート系硬化剤と、(C)滑剤成分と、
を含有する背面層用塗工液を用いて形成することを特徴とする熱転写シートの製造方法。 - 基材の一方の面に背面層を備える熱転写シートであって、
前記背面層は、ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の何れか一方又は双方をイソシアネート系硬化剤によって硬化せしめた硬化型樹脂と、滑剤成分を含有し、
前記ポリビニルブチラール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂の何れか一方又は双方が有する水酸基と、前記イソシアネート系硬化剤が有するイソシアネート基とのモル当量比(―NCO/−OH)が0.1以上0.3未満であることを特徴とする熱転写シート。
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