JP2009067689A - グリセリンカーボネートの製造方法 - Google Patents

グリセリンカーボネートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】グリセリンと尿素を原料として、高純度のグリセリンカーボネート、及びグリシドールを高収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】(1)触媒の存在下で、グリセリンと尿素を反応させてグリセリンカーボネートを得る工程1、及び得られたグリセリンカーボネートを薄膜蒸留により精製する工程2を含むグリセリンカーボネートの製造方法、並びに(2)前記方法で得られたグリセリンカーボネートを脱炭酸反応させることによるグリシドールの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高純度のグリセリンカーボネート、及びグリシドールを高収率で製造する方法に関する。
グリセリンカーボネートはポリエステルやポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド等のポリマー合成原料や、界面活性剤・潤滑油等の分野において応用範囲が広く、また脱炭酸反応させることにより容易にグリシドールへと変換することもできる。
グリシドールは、ポリグリセリン、(ポリ)グリセリンエステル、ジヒドロキシプロピルアミン等や、香粧品、洗浄剤、医薬品、塗料、半導体用UV硬化剤等の原料として有用な物質である。
グリセリンカーボネートの製造方法としては、(i)ホスゲンを用いる方法(例えば特許文献1参照)、(ii)ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等とグリセリンとの交換反応によって製造する方法(例えば、特許文献2参照)、(iii)触媒の存在下に、グリセリンを一酸化炭素及び酸素と反応させる方法(例えば、特許文献3参照)、(iv)グリセリンと尿素から製造する方法等が知られている。
このうち、(iv)グリセリンと尿素から製造する方法は、簡便で安価にグリセリンカーボネートを得ることができる点で工業的に有利と思われる。この方法においては、反応は無触媒でも進行するが、硫酸亜鉛や硫酸マンガンのようなルイス酸を触媒として用いるとグリセリンカーボネートが高収率で得られることが知られている(特許文献4参照)。また、触媒及び脱水剤の存在下で反応させることも知られている(特許文献5参照)。
また、グリシドールの製造方法としては、グリセリンカーボネートを無触媒又は硫酸ナトリウム等の中性塩の存在下で脱炭酸する方法(特許文献6及び7参照)等が知られている。しかしながら、特許文献4や特許文献5に開示された製造方法により得られたグリセリンカーボネートを原料としてグリシドールを製造しようとすると、脱炭酸反応が進まずグリシドールはほとんど生成しないか、又は得られるグリシドールの収率が極めて低いことが分かった。
特開平6−9610号公報 特開平6−329663号公報 特開平6−157509号公報 欧州特許出願公開第955298号明細書 特開2000−247967号公報 米国特許第2856413号明細書 特開平6−157509号公報
本発明は、グリセリンと尿素を原料として、高純度のグリセリンカーボネート、及びグリシドールを高収率で製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、グリセリンと尿素を反応させて得たグリセリンカーボネートを薄膜蒸留することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)下記工程1及び2を含むグリセリンカーボネートの製造方法。
工程1:触媒の存在下で、グリセリンと尿素を反応させてグリセリンカーボネートを得る工程
工程2:工程1で得られたグリセリンカーボネートを薄膜蒸留により精製する工程
(2)前記(1)の方法で得られたグリセリンカーボネートを用いて、脱炭酸反応を行うグリシドールの製造方法。
本発明の製造方法によれば、グリセリンと尿素を原料として、高純度のグリセリンカーボネートを高収率で製造することができる。また、この高純度グリセリンカーボネートを用いて、グリシドールを高収率で得ることができる。
(グリセリンカーボネートの製造)
本発明のグリセリンカーボネートの製造方法は、下記工程1及び2を含むことを特徴とする。
工程1:触媒の存在下で、グリセリンと尿素を反応させてグリセリンカーボネートを得る工程
工程2:工程1で得られたグリセリンカーボネートを薄膜蒸留により精製する工程
(工程1)
工程1では、下記の反応式で示されるように、触媒の存在下で、式(1)で表されるグリセリンと、式(2)で表される尿素とを反応させて、グリセリンをカルボニル化することにより、式(3)で表されるグリセリンカーボネートを得る。
Figure 2009067689
グリセリンと尿素との反応は触媒を用いなくても可能であるが、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸マグネシウム等の各種硫酸塩等のルイス酸触媒を用いることが反応を良好に進行させるうえで好ましい。用いる触媒としては、硫酸亜鉛、硫酸マンガン等のルイス酸触媒が好ましい。触媒量は、グリセリン1モルに対し好ましくは0.001〜1モル倍量、より好ましくは0.005〜0.5モル倍量、特に好ましくは0.01〜0.1モル倍量である。
グリセリンと尿素の仕込み比は、グリセリン1モルに対し、尿素を好ましくは0.2〜2.0モル倍量、より好ましくは0.4〜1.8モル倍量、特に好ましくは0.5〜1.5モル倍量で用いる。
反応温度は、好ましくは80〜170℃、より好ましくは90〜150℃、特に好ましくは100〜140℃である。反応圧力は特に限定はないが、好ましくは0.1〜100kPa、より好ましくは1〜50kPa、より好ましくは1.5〜10kPa、特に好ましくは2〜7kPaである。
この反応時にはアンモニアが発生するが、発生するアンモニアを効率良く除去する観点から、窒素を流通させる方法や減圧下で反応させる方法を用いることが好ましい。特に好ましくは、減圧下で窒素を液相中に導入しながら発生するアンモニアを除去しつつグリセリンと尿素を反応させる方法であり、導入する窒素量はアンモニアや余分な水分が除去できるのであれば特に限定されない。
この反応においては、尿素、尿素からアンモニアが脱離して生じるイソシアン酸、及びイソシアン酸とグリセリンとの反応により生じるカルバミン酸エステル等の原料及び中間体が加熱条件下で加水分解され易く、最終的に二酸化炭素とアンモニアに分解され易いためグリセリンカーボネートの収率が低下すると考えられる。また、生成物であるグリセリンカーボネートも加水分解によりグリセリンへ分解される可能性がある。
そのため、これらの副反応を抑制し収率を向上させる観点及び工業生産性の観点から反応系内の含水率を特定範囲に調整し、原料の尿素やイソシアン酸、カルバミン酸エステル等の中間体及び生成物であるグリセリンカーボネートの加水分解を効果的に抑制することが好ましい。反応系内の含水率を好ましくは、0.01〜2重量%、特に好ましくは0.3〜1.0重量%に調整する。反応系内の含水率を0.01重量%未満にすることは工業生産性の観点から不利であり、大きな収率向上も期待できない。
反応系内の含水率を0.01〜2重量%に調整するためには、カーボネート化反応前に予め反応系内の含水率を0.01〜2重量%に調整することが好ましい。より具体的には、グリセリンと尿素を均一に溶解させた後、脱水処理して反応系内の含水率を0.01〜2重量%に調整した後、グリセリンと尿素を反応させることが好ましい。
グリセリンと尿素を均一に溶解させる際の温度は、好ましくは60〜100℃、より好ましくは65〜95℃、特に好ましくは70〜90℃である。この均一溶解時の温度が100℃を超えると、グリセリンと尿素が反応する可能性があるため好ましくない。
脱水処理の圧力は反応系中の水分が除去できれば特に限定はされないが、好ましくは0.13〜13.3kPa、より好ましくは0.7〜10kPa、特に好ましくは2〜10kPaである。
また、脱水処理は窒素等の不活性ガスを液相中に導入し、撹拌しながら行うことが好ましい。
(工程2)
工程2では、工程1で得られたグリセリンカーボネートを薄膜蒸留により精製する。
薄膜蒸留とは、原料の薄膜を形成させ、これを加熱することにより蒸発部と残渣部に分離する操作をいう。この薄膜蒸留でグリセリンカーボネート中に残存する触媒及び副生成物を効果的に低減することができる。
薄膜蒸留以外の方法、例えばバッチ式の単蒸留を用いると、蒸留後半のボトムは特に長時間の熱履歴を受けるために副反応や熱分解反応が起こり、回収率が低下するため好ましくない。これに対して薄膜蒸留においては加熱源との接触時間が短いため、高純度のグリセリンカーボネートを高収率で得ることができる。また、工程1で用いた触媒を効果的に除去することができる。得られた精製グリセリンカーボネートはこれ以上の精製工程を行なうことなくグリシドール製造にそのまま用いることができる。
薄膜蒸留において、薄膜を形成させる方式は特に限定されず加熱面に薄膜状にした被蒸留液を通過させて蒸留する公知の方法を採用できる。例えば、流下式、ワイパー式、回転式、撹拌式、遠心式、上昇液膜式等が挙げられる。なお、気化した水分を速やかに薄膜蒸留装置外に排出できるものが好適である。
流下式とは、装置の蒸発部内壁面に原料を自然流下させて原料薄膜を形成させる方式である。ワイパー式とは、装置の蒸発部内壁面に原料を自然流下させ、更にワイパーブレードを用いてワイピングすることにより原料薄膜を形成させる方式である。回転式とは、回転する円盤表面に原料を伝い流し原料薄膜を形成させる方式である。これらの中では、流下式薄膜蒸留装置だと可動部分が無く構造が簡単で狭い面積で広い表面積が得られるため工業的に有利である。
薄膜蒸留装置には、蒸留を目的とするものと濃縮を目的とするものの2つのタイプがあるが、蒸発部内壁面で原料薄膜を形成し加熱することで蒸発部と残渣部に分離するという原理は同じであるので、いずれのタイプの装置も使用することができる。
薄膜蒸留は大気圧下で行うこともできるが、グリセリンカーボネートの蒸気圧が2kPaで200℃程度であることから、好ましくは0.01〜1kPa、より好ましくは0.06〜0.7kPaの減圧下で行うことが望ましい。薄膜蒸留を減圧下で行い蒸発温度を低下させることにより、グリセリンカーボネートの熱分解を抑制し精製グリセリンカーボネートを高収率で得ることができる。
薄膜蒸留時の薄膜温度は特に制限はないが、好ましくは130〜200℃、より好ましくは140〜190℃、特に好ましくは150〜185℃である。蒸留温度がこの範囲内であれば、熱分解等の副反応を抑制しつつ不純物を効果的に除去することができる。
薄膜蒸留装置への原料供給速度は、薄膜温度、装置内圧、装置のサイズや仕様等を考慮して適宜調整することができる。
薄膜蒸留の際には蒸留安定剤を添加することもできる。用いることのできる蒸留安定剤としては、2−t−ブチルハイドロキノン等のキノン化合物、p−第3級ブチルカテコール等のフェノール化合物、2,4−ジニトロ−1−ナフトール等のニトロ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。
薄膜蒸留の後に必要に応じて更に吸着剤処理、ろ過等を行うことができる。
(グリシドールの製造)
本発明は、上記の方法で得られたグリセリンカーボネートを脱炭酸反応させることによりグリシドールを製造する方法をも提供する。
本発明においては、グリセリンと尿素を反応させて得たグリセリンカーボネートを薄膜蒸留しているので、高純度のグリセリンカーボネートが得られている。この高純度グリセリンカーボネートを出発原料とするので、化学的に不安定なグリシドールを高収率で得ることができる。この反応は、下記の反応式で示されるように、式(3)で表されるグリセリンカーボネートから脱炭酸して、式(4)で表されるグリシドールを得る反応である。
Figure 2009067689
グリセリンカーボネートから脱炭酸反応によりグリシドールを得る反応においては、化学的に不安定なグリシドール同士、又はグリシドールと原料であるグリセリンカーボネート、及びグリセリンカーボネート同士の縮合反応を抑制するため、反応系を低濃度化する観点から活性水素を有しない溶媒を用いることが好ましい。ポリオール等の活性水素を有する溶媒はグリシドールと反応し収率を低下させるおそれがあるので、これらの溶媒を用いないか、又は仮に用いる場合には必要最小限の量とすることがより好ましい。
活性水素を有しない溶媒としては、エーテル系溶媒、飽和炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン含有炭化水素系溶媒、窒素含有炭化水素系溶媒等の炭化水素系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒等が挙げられるが、溶媒とグリセリンカーボネート又はグリシドールとの反応を低減させるためにはエーテル系溶媒、飽和炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン含有炭化水素系溶媒を用いるのが好ましい。
エーテル系溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロピラン、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、ポリメチレングリコールジメチルエーテル、ポリメチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。ポリアルキレングリコールジアルキルエーテルの質量平均分子量に特に制限はないが、通常100〜2000、好ましくは150〜1500、より好ましくは200〜1000の範囲である。
飽和炭化水素系溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の他、流動パラフィンが挙げられる。用いる流動パラフィンに制限は特になく常温で液体であればよい。
芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
また、ハロゲン含有炭化水素系溶媒としては、パークレン、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
これらの活性水素を有しない溶媒の中では、反応系を低濃度化して縮合反応を抑制する観点から、エーテル系溶媒、及び飽和炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒等の炭化水素系溶剤が好ましい。これらの中でも、ポリアルキレングリコールジメチルエーテル及び流動パラフィンがより好ましく、より具体的には、質量平均分子量が100〜2000、好ましくは150〜1500、より好ましくは200〜1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル又は流動パラフィンが特に好ましい。
これらの溶媒は1種単独で、又は2種以上を混合しても用いることができる。
活性水素を有しない溶媒中の水分は、原料であるグリセリンカーボネート及びグリシドールの加水分解を引き起こすおそれがあるため、用いる溶媒は予め脱水し精製したものを用いることが好ましい。脱水方法は特に限定されないが、例えば金属水素化物等の乾燥剤を用いる等の常法により脱水乾燥することができる。
用いる溶媒の量は、原料のグリセリンカーボネート100gに対して、好ましくは1g〜200g、より好ましくは20g〜100gが適当である。
(脱炭酸反応の条件)
グリセリンカーボネートの脱炭酸反応は、触媒を用いなくても可能であるが、反応を良好に進行せしめるうえで触媒を用いることが好ましい。触媒としては、無水硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩等の中性塩が好ましい。また、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸マグネシウム等の塩基性塩を触媒として使用することもできるが、反応系内での重合が起こって収率が低下し易いため、これらの塩基性塩を全く用いないか、又は仮に用いる場合には必要最小限の量とすることがより好ましい。
アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩等の中性塩等の触媒を使用する場合は、その触媒量は、グリセリンカーボネート1モルに対し、好ましくは0.01〜10モル倍量、より好ましくは0.02〜8モル倍量、特に好ましくは0.02〜5モル倍量である。
脱炭酸反応の温度は、好ましくは155〜280℃、より好ましくは165〜250℃である。反応圧力は特に限定はないが、好ましくは2.5〜10kPa、より好ましくは2.7〜6.7kPaである。
反応時間は、仕込んだ原料や溶媒の量、反応温度、反応圧力等により異なるが、通常0.5〜100時間、好ましくは2〜10時間である。
化学的に不安定なグリシドール同士、又はグリシドールと原料であるグリセリンカーボネート及びグリセリンカーボネート同士の縮合反応を低減させるため、グリセリンカーボネートは反応系に滴下することが好ましい。滴下速度は反応温度、反応圧力等により異なるが、生成するグリシドールが反応系中に滞留せず一定に留出する速度であればよい。
また、生成したグリシドールを反応系外へ効率的に留出させるため、液相中に窒素を導入してもよい。窒素の導入量は反応温度、反応圧力等により異なるが、生成するグリシドールが反応系中に滞留せず一定に留出する速度であればよく、かつ用いる溶媒が留出しなければよい。
実施例1
(グリセリンカーボネートの製造)
1000mlの四つ口フラスコに、グリセリン 301.05g(3.27mol)、尿素 235.25g(3.91mol)を秤量し、メカニカルスターラー・窒素導入管・気体排気口を取付けた後、20分間かけて80℃ まで昇温して均一に溶解させた。昇温後、系内圧力を2.7〜4.0kPaにして脱水処理を行った。その際、反応混合溶液中に窒素を145ml/minで吹き込むことで反応系中の水分を効率よく除去するようにした。脱水処理後の反応溶液中の含水率を下記に方法で測定した結果、0.33重量%であった。
その後、硫酸亜鉛(無水物)20.74g(0.13mol)を投入して30分間かけて130℃まで昇温した。昇温後、系内圧力を2.7〜4.0kPaにして反応を10時間行った。その際、反応混合溶液中に窒素を145ml/minで吹き込むことで生成するアンモニアを効率よく除去するようにした。反応終了後常圧に戻して放冷し、401.93gの反応物を得た。
下記の条件でガスクロマトグラフィー分析した結果、グリセリン10.47g(転化率96%、重量組成3重量%)、グリセリンカーボネート337.51g(反応収率90%、重量組成84重量%)を得た。また、得られたグリセリンカーボネートを下記の条件でイオンクロマトグラフィー分析した結果、硫酸イオン含有量は6900質量ppmであった。
含水率の測定方法
平沼産業(株)製、水分測定装置「AQV−5」シリーズを用いた。試料は測定前に80℃に加熱して均一溶解させ、脱水処理したメタノール及びクロロホルムを重量比1:1で混合した溶媒に溶解させて測定を行った。
ガスクロマトグラフィー分析条件
ヒューレット・パッカード社製HP−6850シリーズを用いた。
カラム:Agilent19091J−433E(HP−5 5%Phenyl Methyl Siloxane、キャピラリー30.0m×250μm×0.25μm
Inlet:270℃
Detector:300℃
Oven:50℃(2min)300℃(10℃/min) 300℃(5min)
イオンクロマトグラフィー分析条件
DIONEX社製イオンクロマトグラフィー「DX320」シリーズを用いた。
カラム:Ion Pac AS11−HC(本体カラム、DIONEX社製)とIon Pac AG11−HC(ガードカラム、DIONEX社製)を直列に接続した。
溶離液:10−50(25min)mM KOH(EG−40使用)
流量:1.5mL/min
サプレッサー:ASRS−URTRA(200mA)
カラム温度:35℃
検出器:電気伝導度
(グリセリンカーボネートの薄膜蒸留)
上記で得られたグリセリンカーボネートを、薄膜蒸留装置(神鋼バンテック(株)製、型番:2−03型、伝熱面積:0.03m2)を用いて、170℃、0.4kPa、供給速度90g/hの条件で薄膜蒸留し、得られた残渣を再び、170℃、0.4kPa、供給速度120g/hの条件で薄膜蒸留して精製した。また、反応液中に含有する不溶固体はろ別し、339.00gの均一溶液を用いて薄膜蒸留を行った。
ガスクロマトグラフィー分析の結果、薄膜蒸留前の反応液中にはグリセリン8.83g(重量組成3重量%)、グリセリンカーボネート293.22g(重量組成86重量%)含有されていたが、薄膜蒸留の結果、精製グリセリンカーボネート276.59gを得た。また、イオンクロマトグラフィー分析の結果、硫酸イオン含有量は13重量ppmであった。また、ガスクロマトグラフィー分析の結果、精製グリセリンカーボネート中にはグリセリン10.77g(重量組成4重量%)、グリセリンカーボネート265.00g(重量組成96重量%)が含有されていた。
実施例2
(グリシドールの製造)
分留塔・リービッヒ冷却管・窒素導入管を取付けた300mlの四つ口フラスコに無水硫酸ナトリウム19.98g(0.14mol)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(平均分子量500)100.28gを入れ、6.7kPaで徐々に200℃まで昇温した。また、分留塔を100℃に保温した。昇温終了後、実施例1で得られたグリセリンカーボネート210.33g を4時間かけて滴下した。滴下終了後、2.7kPaで2時間熟成を行った。グリセリンカーボネートの滴下及び滴下後の熟成中は窒素を50ml/minで液相中に導入した。その結果、グリシドール101.51g(単離収率80%、純度98%)を得た。
比較例1
実施例1において、薄膜蒸留の代わりに下記条件で単蒸留して精製した以外は実施例1と同様の操作を行った。グリセリンカーボネートの製造についてはガスクロマトグラフィー分析の結果、グリセリン転化率96%、反応収率90%(グリセリン基準)でグリセリンカーボネートを得た。
重量組成として、グリセリンカーボネートは84重量%、グリセリンは3重量%であった。また、得られたグリセリンカーボネートをイオンクロマトグラフィー分析した結果、硫酸イオンが5300重量ppm含有されていた。
得られたグリセリンカーボネート中に含まれるに不溶固体はろ別し、298.39gの均一溶液を用いて、180℃、0.3kPaで、窒素を液相中に20ml/minで吹込みつつ単蒸留を行った。
単蒸留の結果、精製グリセリンカーボネート179.34gを得た。イオンクロマトグラフィー分析の結果、硫酸イオン含有量は10重量ppm以下であった。また、ガスクロマトグラフィー分析の結果、精製グリセリンカーボネート中にはグリセリン45.68g(重量組成25重量%)、グリセリンカーボネート133.66g(重量組成74重量%)が含有されていた。

Claims (5)

  1. 下記工程1及び2を含むグリセリンカーボネートの製造方法。
    工程1:触媒の存在下で、グリセリンと尿素を反応させてグリセリンカーボネートを得る工程
    工程2:工程1で得られたグリセリンカーボネートを薄膜蒸留により精製する工程
  2. 触媒が弱酸性を呈する塩である、請求項1に記載のグリセリンカーボネートの製造方法。
  3. 薄膜蒸留を130〜200℃で行う、請求項1又は2に記載のグリセリンカーボネートの製造方法。
  4. 薄膜蒸留を0.01〜1kPaで行う、請求項1〜3のいずれかに記載のグリセリンカーボネートの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の方法で得られたグリセリンカーボネートを脱炭酸反応させることによるグリシドールの製造方法。
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