JP2009050773A - クロスフロー型濾過方法およびクロスフロー型濾過器 - Google Patents

クロスフロー型濾過方法およびクロスフロー型濾過器 Download PDF

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Abstract

【課題】濾過精度に優れ、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を大幅に向上させたクロスフロー型濾過方法およびクロスフロー型濾過装置の提供。
【解決手段】ポーラスアルミナメンブレンフィルターを用いたクロスフロー型濾過方法であって、
前記ポーラスアルミナメンブレンフィルターが、アルミニウムの陽極酸化皮膜からなり、規則化度が50%以上であり、空隙率が40%以上であり、かつ、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有し、
前記ポーラスアルミナメンブレンフィルターの膜表面に対して、流れが平行になるように濾過対象流体を供給することにより濾過対象物質を濾過するクロスフロー型濾過方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、クロスフロー型濾過方法およびクロスフロー型濾過器に関する。
近年、精密濾過および限外濾過技術の応用分野が拡大しつつあり、例えば、タンパク質吸着材、浄水、空気清浄、脱臭・脱硝・排ガス装置用構造体、オゾン除去、各種ウイルス除去、クリーンルーム用素材、ガス分離、アルカリ溶出、アスベストのモニタリング、寄生虫の検出、大気中粒子のIR分析、河川・海水中の藻類分析、赤血球の変形テスト、ケモタキシス・培養チャンバー、走査電子顕微鏡、放射性分析、剥離細胞診、蛍光X線等の各種用途においては、分離、精製、回収、濃縮等に精密構造のフィルターが適用されている。
しかしながら、精密濾過および限外濾過においては、精密構造のフィルターを用いて微粒子を分離する場合、濃度分極の影響により堆積層(ケーク層)が生じて透過流体の流れに抵抗が生じ、また、濾過膜の目詰まりにより抵抗が大きくなってしまうという問題があり、その実用化が妨げられていた。
これらの問題を解決する濾過方式として、濾過されるべき全ての流体が濾材とケーク層を通過して流体中に含まれている微粒子を分離するいわゆるデッドエンド型濾過方式が知られている。
しかしながら、このデッドエンド濾過方式においては、流体が通過して懸濁物質を分離するためには、ケーク層により生じた透過流体の抵抗に勝る圧力が必要となる。
そのため、精密濾過あるいは限外濾過においてデッドエンド濾過方式を採用すると、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量(透過流量)が小さくなってしまうという問題があった。
そこで、本出願人は、濾過膜の膜表面に平行に濾過すべき原流体を流し、流体は濾過膜内を通って反対側へ透過するクロスフロー型濾過方式を採用し、流体が流れる側に濾過膜の支持体を設ける等によりケーク層の形成を抑制することで、従来のデッドエンド型濾過方式に比べて膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を向上させる手法を提供している(例えば、特許文献1〜3参照。)。
しかしながら、このクロスフロー型濾過方式においては、膜表面と原流体の流れが平行であるため、濾過精度が低く、また、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を大幅に向上させることは難しく、改善方法が検討されている。
特開平4−145929号公報 特開平4−190834号公報 特開平4−190835号公報
したがって、本発明は、濾過精度に優れ、濾膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を大幅に向上させたクロスフロー型濾過方法およびクロスフロー型濾過装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、アルミニウムの陽極酸化皮膜からなり、規則化度、空隙率および孔径の標準偏差が所定の範囲にあるマイクロポアを有するポーラスアルミナメンブレンフィルターを濾過膜として用いることにより、濾過精度が優れ、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量が大幅に向上することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(i)および(ii)を提供する。
(i)ポーラスアルミナメンブレンフィルターを用いたクロスフロー型濾過方法であって、
上記ポーラスアルミナメンブレンフィルターが、アルミニウムの陽極酸化皮膜からなり、下記式(1)により定義される規則化度が50%以上であり、下記式(2)により定義される空隙率が40%以上であり、かつ、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有し、
上記ポーラスアルミナメンブレンフィルターの膜表面に対して、流れが平行になるように濾過対象流体を供給することにより濾過対象物質を濾過するクロスフロー型濾過方法。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
空 隙 率(%)=C/D×100 (2)
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に上記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる上記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。また、上記式(2)中、Cは、測定範囲における全てのマイクロポアの開口部面積の合計を表し、Dは、測定範囲の面積を表す。
(ii)濾過膜の表面に対して、流れが並行になるように濾過対象流体を供給することにより濾過対象物質を濾過するクロスフロー型濾過器であって、
上記濾過膜が、ポーラスアルミナメンブレンフィルターであり、
上記ポーラスアルミナメンブレンフィルターが、アルミニウムの陽極酸化皮膜からなり、上記式(1)により定義される規則化度が50%以上であり、上記式(2)により定義される空隙率が40%以上であり、かつ、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有するクロスフロー型濾過器。
以下に説明するように、本発明によれば、濾過精度に優れ、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を大幅に向上させたクロスフロー型濾過方法およびクロスフロー型濾過装置を提供することができる。
本発明のクロスフロー型濾過方法は、限外濾過だけでなく、濾過精度の高い精密濾過にも適用することができ、非常に有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のクロスフロー型濾過方法は、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを用いたクロスフロー型濾過方法であって、
上記ポーラスアルミナメンブレンフィルターが、アルミニウムの陽極酸化皮膜からなり、上記式(1)により定義される規則化度が50%以上であり、上記式(2)により定義される空隙率が40%以上であり、かつ、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有し、
上記ポーラスアルミナメンブレンフィルターの膜表面に対して、流れが平行になるように濾過対象流体を供給することにより濾過対象物質を濾過するクロスフロー型濾過方法である。
また、本発明のクロスフロー型濾過器は、濾過対象物質を含有する濾過対象流体を濾過するクロスフロー型濾過器であって、
少なくとも、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを濾過膜として具備し、
上記ポーラスアルミナメンブレンフィルターが、アルミニウムの陽極酸化皮膜からなり、上記式(1)により定義される規則化度が50%以上であり、上記式(2)により定義される空隙率が40%以上であり、かつ、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有するクロスフロー型濾過器である。
次に、本発明のクロスフロー型濾過方法および本発明のクロスフロー型濾過器に用いられるポーラスアルミナメンブレンフィルターについて詳述する。
[ポーラスアルミナメンブレンフィルター]
本発明のクロスフロー型濾過方法に用いられるポーラスアルミナメンブレンフィルターは、アルミニウムの陽極酸化皮膜からなり、下記式(1)により定義される規則化度が50%以上であり、下記式(2)により定義される空隙率が40%以上であり、かつ、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有するものである。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
空 隙 率(%)=C/D×100 (2)
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に上記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる上記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。また、上記式(2)中、Cは、測定範囲における全てのマイクロポアの開口部面積の合計を表し、Dは、測定範囲の面積を表す。
ここで、図1は、ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。図1を用いて、上記式(1)をより具体的に説明する。
図1(A)に示されるマイクロポア1は、マイクロポア1の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円3(マイクロポア2に内接している。)を描いた場合に、円3の内部にマイクロポア1以外のマイクロポアの重心を6個含んでいる。したがって、マイクロポア1は、Bに算入される。
図1(B)に示されるマイクロポア4は、マイクロポア4の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円6(マイクロポア5に内接している。)を描いた場合に、円6の内部にマイクロポア4以外のマイクロポアの重心を5個含んでいる。したがって、マイクロポア4は、Bに算入されない。
また、図1(B)に示されるマイクロポア7は、マイクロポア7の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円9(マイクロポア8に内接している。)を描いた場合に、円9の内部にマイクロポア7以外のマイクロポアの重心を7個含んでいる。したがって、マイクロポア7は、Bに算入されない。
また、上記式(2)におけるCは、測定範囲における全てのマイクロポアの開口部面積の合計を表す。
ここで、本発明においては、マイクロポアの開口部面積は、画像解析ソフト等でマイクロポア部分と非マイクロポア部分を観察した写真を2値化し、マイクロポア部の等価円直径を算出する方法から求められる幾何学的面積、即ち、2次元的な平面であると仮定した面積である。
一方、本発明においては、マイクロポアの平均孔径(平均ポア径)および孔径(ポア径)の標準偏差は、表面写真(倍率20000倍)をFE−SEMにより撮影し、1μm×1μmの視野に存在するマイクロポアについて、下記式により求めた値である。
Figure 2009050773
本発明においては、規則化度が50%以上、かつ、空隙率が40%以上のマイクロポアを有するポーラスアルミナメンブレンフィルターを用いることにより、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を大幅に向上させることができる。
また、規則化度は60%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。同様に、空隙率は40%以上であるのが好ましく、55%以上であるのが更に好ましい。
また、本発明においては、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有するポーラスアルミナメンブレンフィルターを用いることにより、濾過精度を向上させることができる。
また、孔径の標準偏差は、平均孔径の7%以内であるのが好ましく、平均孔径の5%以内であるのがより好ましい。
このようなポーラスアルミナメンブレンフィルターの製造方法は特に限定されないが、少なくとも、アルミニウム基板を陽極酸化してマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する陽極酸化処理(以下、「陽極酸化処理(A)」ともいう。)と、上記陽極酸化処理後にアルミニウム基板を除去し、上記酸化皮膜をアルミニウム基板から分離する分離処理(以下、「分離処理(B)」ともいう。)と、上記分離処理により分離された酸化皮膜のマイクロポアを貫通させる貫通化処理(以下、「貫通化処理(C)」ともいう。)と、をこの順に施すことにより形成されるのが好ましい。
また、上記分離処理の後であって上記貫通化処理の前、または、上記貫通化処理の後であって後述する保護処理の前に、任意により、上記陽極酸化処理により形成した酸化皮膜を50℃以上の温度で少なくとも10分間加熱する加熱処理(以下、「加熱処理(D)」ともいう。)を施すこともできる。
更に、上記貫通化処理の後に、酸化皮膜の表面に水和を妨げる保護膜を形成する保護処理(以下、「保護処理(E)」ともいう。)を施すのが更に好ましい。
以下に、アルミニウム基板および各処理について詳述する。
〔アルミニウム基板〕
アルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
本発明においては、アルミニウム基板のうち、後述する陽極酸化処理を施す表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であるのが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上記範囲であると、マイクロポアのポア配列の規則性が十分となる。
また、本発明においては、アルミニウム基板のうち、後述する陽極酸化処理を施す表面は、あらかじめ脱脂処理および鏡面仕上げ処理が施されるのが好ましく、特に、ポア配列の規則性を向上させる観点から、熱処理が施されるのが好ましい。
<熱処理>
熱処理を施す場合は、200〜350℃で30秒〜2分程度施すのが好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム基板を加熱オーブンに入れる方法等が挙げられる。
このような熱処理を施すことにより、後述する陽極酸化処理により生成するマイクロポアの配列の規則性が向上する。
また、熱処理後のアルミニウム基板は、急速に冷却するのが好ましい。冷却する方法としては、例えば、水等に直接投入する方法等が挙げられる。
<脱脂処理>
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶剤等を用いて、アルミニウム基板表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分等を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。
脱脂処理としては、具体的には、例えば、各種アルコール(例えば、メタノール等)、各種ケトン(例えば、メチルエチルケトン等)、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温でアルミニウム基板表面に接触させる方法(有機溶剤法);石けん、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度でアルミニウム基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度でアルミニウム基板表面に30〜80秒間接触させ、その後、水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温でアルミニウム基板表面に30秒間程度接触させつつ、アルミニウム基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温でアルミニウム基板表面に接触させつつ、アルミニウム基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃でアルミニウム基板表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度でアルミニウム基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度でアルミニウム基板表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法);等が挙げられる。
これらのうち、アルミニウム表面の脂分を除去しうる一方で、アルミニウムの溶解がほとんど起こらない観点から、有機溶剤法、界面活性剤法、乳化脱脂法、リン酸塩法が好ましい。
また、脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
<鏡面仕上げ処理>
鏡面仕上げ処理は、アルミニウム基板の表面の凹凸、例えば、アルミニウム基板の圧延時に発生した圧延筋等をなくして、電着法等による封孔処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。
本発明において、鏡面仕上げ処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
機械研磨としては、例えば、各種市販の研磨布で研磨する方法、市販の各種研磨剤(例えば、ダイヤ、アルミナ)とバフとを組み合わせた方法等が挙げられる。具体的には、研磨剤を用いる場合、使用する研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行う方法が好適に例示される。この場合、最終的に用いる研磨剤としては、#1500のものが好ましい。これにより、光沢度を50%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに50%以上)とすることができる。
化学研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法等が挙げられる。
また、リン酸−硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好適に挙げられる。中でも、リン酸−硝酸法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
電解研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法;米国特許第2708655号明細書に記載されている方法;「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p.32−38に記載されている方法;等が好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
これらの方法は、適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更する機械研磨を施し、その後、電解研磨を施す方法が好適に挙げられる。
鏡面仕上げ処理により、例えば、平均表面粗さRa0.1μm以下、光沢度50%以上の表面を得ることができる。平均表面粗さRaは、0.03μm以下であるのが好ましく、0.02μm以下であるのがより好ましい。また、光沢度は70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741−1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG−1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で、測定する。
〔陽極酸化処理(A)〕
陽極酸化処理(A)は、アルミニウム基板を陽極酸化することにより、該アルミニウム基板表面にマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理である。
陽極酸化処理としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、後述する自己規則化法を用いるのが好ましい。
自己規則化法は、陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させる。
この方法においては、ポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のポア径を得ることができる。
自己規則化法によりマイクロポアを形成するには、後述する陽極酸化処理(a−1)を実施すればよいが、好ましくは、後述する陽極酸化処理(a−1)、脱膜処理(a−2)および再陽極酸化処理(a−3)をこの順に実施する方法により形成するのが好ましい。
<陽極酸化処理(a−1)>
陽極酸化処理をする際の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化処理を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。特に、かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため、好ましい。このようなかくはん装置としては、例えば、「マグネティックスターラーHS−50D(AS ONE製)」等が挙げられる。
陽極酸化処理(a−1)は、例えば、酸濃度0.01〜5mol/Lの溶液中で、アルミニウム基板を陽極として通電する方法を用いることができる。
陽極酸化処理(a−1)に用いられる溶液としては、酸溶液であることが好ましく、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理(a−1)の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度0.01〜5mol/L、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜300V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.05〜3mol/L、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度0.1〜1mol/L、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理(a−1)の処理時間は、0.5分〜16時間であるのが好ましく、1分〜12時間であるのがより好ましく、2分〜8時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理(a−1)は、一定電圧下で行う以外に、電圧を断続的または連続的に変化させる方法も用いることができる。この場合は電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
本発明においては、このような陽極酸化処理(a−1)により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、0.1〜2000μmであるのが好ましく、1〜1000μmであるのがより好ましく、10〜500μmであるのが更に好ましい。
また、本発明においては、このような陽極酸化処理(a−1)により形成されるマイクロポアのポア径は、0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
また、マイクロポアの平均ポア密度は、50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
更に、マイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。
ここで、マイクロポアの占める面積率は、アルミニウム表面の面積に対するマイクロポアの開口部の面積の合計の割合で定義される。
<脱膜処理(a−2)>
脱膜処理(a−2)は、上記陽極酸化処理(a−1)によりアルミニウム基板表面に形成した陽極酸化皮膜を溶解させて除去する処理である。
上記陽極酸化処理(a−1)によりアルミニウム基板表面に陽極酸化皮膜を形成した後、後述する加熱処理(D)または分離処理(B)を直ちに施してもよいが、上記陽極酸化処理(a−1)の後、更に脱膜処理(a−2)および後述する再陽極酸化処理(a−3)をこの順で施した後に、後述する加熱処理(D)または分離処理(B)を施すのが好ましい。
陽極酸化皮膜は、アルミニウム基板に近くなるほど規則性が高くなっているので、この脱膜処理(a−2)により、一度陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に残存した陽極酸化皮膜の底部分を表面に露出させて、規則的な窪みを得ることができる。したがって、脱膜処理(a−2)では、アルミニウムは溶解させず、アルミナ(酸化アルミニウム)からなる陽極酸化皮膜のみを溶解させる。
アルミナ溶解液は、クロム化合物、硝酸、リン酸、ジルコニウム系化合物、チタン系化合物、リチウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、ケイフッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、マンガン化合物、モリブデン化合物、マグネシウム化合物、バリウム化合物およびハロゲン単体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有した水溶液が好ましい。
具体的なクロム化合物としては、例えば、酸化クロム(III)、無水クロム(VI)酸等が挙げられる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、フッ化ジルコンアンモニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウムが挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、硫化チタンが挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、フッ化リチウム、塩化リチウムが挙げられる。
セリウム塩としては、例えば、フッ化セリウム、塩化セリウムが挙げられる。
マグネシウム塩としては、例えば、硫化マグネシウムが挙げられる。
マンガン化合物としては、例えば、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カルシウムが挙げられる。
モリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸ナトリウムが挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、フッ化マグネシウム・五水和物が挙げられる。
バリウム化合物としては、例えば、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウム、塩素酸バリウム、塩化バリウム、フッ化バリウム、ヨウ化バリウム、乳酸バリウム、シュウ酸バリウム、過塩素酸バリウム、セレン酸バリウム、亜セレン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、亜硫酸バリウム、チタン酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウム、あるいはこれらの水和物等が挙げられる。上記バリウム化合物の中でも、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウムが好ましく、酸化バリウムが特に好ましい。
ハロゲン単体としては、例えば、塩素、フッ素、臭素が挙げられる。
中でも、上記アルミナ溶解液が、酸を含有する水溶液であるのが好ましく、酸として、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、2種以上の酸の混合物であってもよい。
酸濃度としては、0.01mol/L以上であるのが好ましく、0.05mol/L以上であるのがより好ましく、0.1mol/L以上であるのが更に好ましい。上限は特にないが、一般的には10mol/L以下であるのが好ましく、5mol/L以下であるのがより好ましい。不要に高い濃度は経済的でないし、より高いとアルミニウム基板が溶解するおそれがある。
アルミナ溶解液は、−10℃以上であるのが好ましく、−5℃以上であるのがより好ましく、0℃以上であるのが更に好ましい。なお、沸騰したアルミナ溶解液を用いて処理すると、規則化の起点が破壊され、乱れるので、沸騰させないで用いるのが好ましい。
アルミナ溶解液は、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しない。ここで、アルミナ溶解液は、アルミニウムを実質的に溶解させなければよく、わずかに溶解させるものであってもよい。
脱膜処理(a−2)は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を上述したアルミナ溶解液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
浸せき法は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を上述したアルミナ溶解液に浸せきさせる処理である。浸せき処理の際にかくはんを行うと、ムラのない処理が行われるため、好ましい。
浸せき処理の時間は、10分以上であるのが好ましく、1時間以上であるのがより好ましく、3時間以上、5時間以上であるのが更に好ましい。
<再陽極酸化処理(a−3)>
上記脱膜処理(a−2)により陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に規則的な窪みを形成した後、再び陽極酸化処理を施すことで、マイクロポアの規則化度がより高い陽極酸化皮膜を形成することができる。
再陽極酸化処理(a−3)は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した陽極酸化処理(a−1)と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
また、再陽極酸化処理(a−3)を低温で行うと、マイクロポアの配列が規則的になり、また、ポア径が均一になる。
一方、再陽極酸化処理(a−3)を比較的高温で行うことにより、マイクロポアの配列を乱し、また、ポア径のばらつきを所定の範囲にすることができる。また、処理時間によっても、ポア径のばらつきを制御することができる。
本発明においては、このような再陽極酸化処理(a−3)により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、0.1〜1000μmであるのが好ましく、1〜500μmであるのがより好ましく、10〜500μmであるのが更に好ましい。
また、本発明においては、このような陽極酸化処理(a−3)により形成される陽極酸化皮膜のマイクロポアのポア径は0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
平均ポア密度は50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
本発明においては、上述した陽極酸化処理(a−1)および脱膜処理(a−2)に代えて、例えば、物理的方法、粒子線法、ブロックコポリマー法、レジストパターン・露光・エッチング法等により、上述した再陽極酸化処理(a−3)によるマイクロポア生成の起点となる窪みを形成させてもよい。
<物理的方法>
例えば、インプリント法(突起を有する基板またはロールをアルミニウム板に圧接し、凹部を形成する、転写法、プレスパターニング法)を用いる方法が挙げられる。具体的には、複数の突起を表面に有する基板をアルミニウム表面に押し付けて窪みを形成させる方法が挙げられる。例えば、特開平10−121292号公報に記載されている方法を用いることができる。
また、アルミニウム表面にポリスチレン球を稠密状態で配列させ、その上からSiO2を蒸着した後、ポリスチレン球を除去し、蒸着されたSiO2をマスクとして基板をエッチングして窪みを形成させる方法も挙げられる。
<粒子線法>
粒子線法は、アルミニウム表面に粒子線を照射して窪みを形成させる方法である。粒子線法は、窪みの位置を自由に制御することができるという利点を有する。
粒子線としては、例えば、荷電粒子ビーム、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)、電子ビームが挙げられる。
粒子線法としては、例えば、特開2001−105400号公報に記載されている方法を用いることもできる。
<ブロックコポリマー法>
ブロックコポリマー法は、アルミニウム表面にブロックコポリマー層を形成させ、熱アニールによりブロックコポリマー層に海島構造を形成させた後、島部分を除去して窪みを形成させる方法である。
ブロックコポリマー法としては、例えば、特開2003−129288号公報に記載されている方法を用いることができる。
<レジストパターン・露光・エッチング法>
レジストパターン・露光・エッチング法は、フォトリソグラフィあるいは電子ビームリソグラフィ法によりアルミニウム板表面のレジストに露光および現像を施し、レジストパターンを形成した後これをエッチングする。レジストを設け、エッチングしてアルミニウム表面まで貫通した窪みを形成させる方法である。
また、本発明においては、上記陽極酸化処理(A)として、下記(1)〜(4)の工程をこの順に施すことにより、アルミニウム基板表面にマイクロポアを有する酸化皮膜を形成してもよい。
(1)アルミニウム基板の表面を陽極酸化して、アルミニウム基板の表面にマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する工程
(2)酸またはアルカリを用いて、上記陽極酸化皮膜を部分的に溶解させる工程
(3)陽極酸化処理を実施して上記マイクロポアを深さ方向に成長させる工程
(4)上記マイクロポアの断面形状の変曲点よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する工程
<工程(1)>
工程(1)では、アルミニウム基板の少なくとも一方の表面を陽極酸化処理して、該アルミニウム基板の表面にマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する。
工程(1)は、上記陽極酸化処理(a−1)と同様の手順で実施することができる。
図2は、本発明で用いるポーラスアルミナメンブレンフィルターを説明するための、アルミニウム基板および該アルミニウム基板上に形成される陽極酸化皮膜の模式的な端面図である。
図2(A)は、工程(1)により、アルミニウム基板12a表面に、マイクロポア16aを有する陽極酸化皮膜14aが形成された状態を示している。
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)で形成した陽極酸化皮膜を、酸またはアルカリを用いて、部分的に溶解させる。
ここで、陽極酸化皮膜を部分的に溶解させるとは、工程(1)で形成した陽極酸化皮膜を完全に溶解させるのではなく、図2(B)に示されるように、アルミニウム基板12a上に、マイクロポア16bを有する陽極酸化皮膜14bが残存するように、図2(A)に示す陽極酸化皮膜14aの表面およびマイクロポア16aの内部を部分的に溶解させることを示す。
また、陽極酸化皮膜の溶解量は、陽極酸化皮膜全体の0.001〜50質量%であるのが好ましく、0.005〜30質量%であるのがより好ましく、0.01〜15質量%であるのが更に好ましい。溶解量が上記範囲であると、陽極酸化皮膜の表面の配列が不規則な部分を溶解させて、マイクロポアの配列の規則性を高くすることができるとともに、マイクロポアの底部分に陽極酸化皮膜を残存させて、工程(3)で実施する陽極酸化処理の起点を残すことができる。
工程(2)は、アルミニウム基板上に形成された陽極酸化皮膜を酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
工程(2)に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は0.01〜1mol/Lであるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜60℃であるのが好ましい。
工程(2)にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.01〜1mol/Lであるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、0.5mol/L、40℃のリン酸水溶液、0.05mol/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.05mol/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
<工程(3)>
工程(3)では、工程(2)で陽極酸化皮膜が部分的に溶解されたアルミニウム基板に対して、再び陽極酸化処理を実施してマイクロポアを深さ方向に成長させる。
図2(C)に示されるように、工程(3)の陽極酸化処理により、図2(B)に示されるアルミニウム基板12aの酸化反応が進行し、アルミニウム基板12b上に、マイクロポア16bよりも深さ方向に成長したマイクロポア16cを有する陽極酸化皮膜14cが形成される。
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した陽極酸化処理(a−1)と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
上述した電圧を断続的に変化させる方法においては、電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、後に電着処理を行う場合に、均一化することができる。
陽極酸化皮膜の厚さの増加量は、0.1〜100μmであるのが好ましく、0.5〜50μmであるのがより好ましい。増加量が上記範囲であると、ポアの配列の規則性をより高くすることができる。
<工程(4)>
工程(4)では、図2(C)に示されるマイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する。自己規則化法により形成されるマイクロポアは、図2(C)に示されるように、マイクロポア16cの上部を除いて、断面形状が略直管形状になる。言い換えると、マイクロポア16cの上部には、該マイクロポア16cの残りの部分とは断面形状が異なる部分(異形部分)20が存在する。工程(4)では、このようなマイクロポア16c上部に存在する異形部分20を解消するため、マイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する。
ここで、変曲点30とは、マイクロポア16cの断面形状がなす主たる形状(ここでは、略直管形状)に対して、著しく形状が変化する部分を指し、別の言い方をすると、マイクロポア16cの断面形状において、主たる形状(略直管形状)に対して、形状の連続性が失われる部分を指す。
マイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去することにより、図2(D)に示されるように、マイクロポア16d全体が略直管形状となる。
工程(4)では、工程(3)実施後の陽極酸化皮膜14cを断面方向からFE−SEMを撮影することによって、マイクロポア16cの断面形状の変曲点30を特定し、該変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去してもよい。
ただし、マイクロポアに異形部分が生じるのは、主として、工程(1)のように、アルミニウム基板12a上に新たに陽極酸化皮膜14aを形成した場合である。したがって、マイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去して、マイクロポア16c上部の異形部分20を解消するには、工程(1)で形成された陽極酸化皮膜を工程(4)で除去すればよい。
なお、後述するように、工程(3)および工程(4)を2回以上繰り返す場合、工程(4)実施後の陽極酸化皮膜14dでは、異形部分30が解消されて、マイクロポア16dの断面形状全体が略直管形状となるので、工程(4)に続いて実施する工程(3)(以下、本段落においては「工程(3′)」という。)で形成されるマイクロポア上部には新たに異形部分が生じる。したがって、工程(3′)に続いて実施する工程(4)(以下、本段落においては「工程(4′)」という。)では、工程(3′)で形成されたマイクロポア上部に新たに生じた異形部分を除去する必要がある。このため、工程(4′)では、工程(3′)で形成されるマイクロポアの変曲点よりも上方の陽極酸化被膜を除去する必要がある。
工程(4)で、マイクロポア16cの断面形状の変曲点よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する処理としては、例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨等の研磨処理であってもよい。ただし、工程(2)のように、酸またはアルカリを用いて、陽極酸化皮膜を溶解させる処理であることが好ましい。この場合、図2(D)に示されるように、図2(C)に示される陽極酸化皮膜14cよりも厚さが小さい陽極酸化皮膜14dが形成される。
工程(4)で、酸またはアルカリを用いて、陽極酸化皮膜を部分的に溶解させる場合、陽極酸化皮膜の溶解量は、陽極酸化皮膜の溶解量は、特に限定されず、陽極酸化皮膜全体の0.01〜30質量%であるのが好ましく、0.1〜15質量%であるのがより好ましい。溶解量が上記範囲であると、陽極酸化皮膜の表面の配列が不規則な部分を溶解させて、マイクロポアの配列の規則性を高くすることができる。また、工程(3)および工程(4)を2回以上繰り返して実施する場合、次に実施する工程(3)での陽極酸化処理の起点を残すことができる。
上記工程(3)および上記工程(4)は、2回繰り返して行うのが、ポアの配列の規則性が高くなるため好ましく、3回以上繰り返して行うのがより好ましく、4回以上繰り返して行うのが更に好ましい。
上記工程を2回以上繰り返して行う場合、各回の工程(3)および工程(4)の条件はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。規則化度向上性の観点から、工程(3)は、各回ごとに電圧を変えて実施することが好ましい。この場合、徐々に高電圧の条件に変えていくのが、規則化度向上性の観点から、より好ましい。
図2(D)に示す状態において、平均ポア密度が50〜1500個/μm2であるのが好ましく、マイクロポアの占める面積率が20〜50%であるのが好ましい。
図3は、上記陽極酸化処理(A)後の状態を示した部分断面図である。図3に示すように、アルミニウム基板12表面には、マイクロポア16を有する陽極酸化皮膜14が形成されている。
〔分離処理(B)〕
分離処理(B)は、上記陽極酸化処理(A)後にアルミニウム基板を除去し、酸化皮膜をアルミニウム基板から分離する処理である。
アルミニウム基板の除去は、図3に示す状態からアルミニウム基板12を溶解して除去する。図4は、分離処理(B)後の状態を示した部分断面図であり、マイクロポア16を有する陽極酸化皮膜14からなる微細構造体が示されている。
したがって、アルミニウム除去処理には、アルミナは溶解せず、アルミニウムを溶解する処理液を用いる。
処理液としては、アルミナは溶解せず、アルミニウムを溶解する液であれば特に限定されないが、例えば、塩化水銀、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水、塩酸/塩化銅混合物等の水溶液等が挙げられる。
濃度としては、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましい。
処理温度としては、−10℃〜80℃が好ましく、0℃〜60℃が好ましい。
アルミニウム除去処理は、上述した処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒〜5時間が好ましく、1分〜3時間がより好ましい。
アルミニウム除去処理後の陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜1000μmであるのが好ましく、10〜500μmであるのが更に好ましい。
アルミニウム除去処理後、後述する貫通化処理(C)を行う前に、陽極酸化皮膜14を水洗処理するのが好ましい。水和によるマイクロポア16のポア径の変化を抑制するため、水洗処理は30℃以下で実施することが好ましい。
〔貫通化処理(C)〕
貫通化処理(C)は、上記分離処理(B)により分離された酸化皮膜または上記分離処理(B)の後に後述する加熱処理(D)を施した場合は加熱処理(D)後の酸化皮膜のマイクロポアを貫通させる処理である。
貫通化処理(C)では、図4に示すマイクロポア16を有する陽極酸化皮膜14を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきさせることにより、陽極酸化皮膜14を部分的に溶解させる。これにより、マイクロポア16底部の陽極酸化皮膜14が除去され、マイクロポア16が貫通する(マイクロポア貫通孔18が形成される)。図5は、貫通化処理(C)後の状態を示した部分断面斜視図であり、マイクロポア貫通孔18を有する陽極酸化皮膜14からなる微細構造体が示されている。
図5では、陽極酸化皮膜14に存在する全てのマイクロポアがマイクロポア貫通孔18となっているが、貫通化処理(C)により、陽極酸化皮膜に存在する全てのマイクロポアが貫通しなくてもよい。ただし、貫通化処理(C)により、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのうち70%が貫通することが好ましい。
貫通化処理(C)に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜40℃であるのが好ましい。
貫通化処理(C)にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
貫通化処理(C)後の陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜1000μmであるのが好ましく、10〜500μmであるのが更に好ましい。
貫通化処理(C)後、陽極酸化皮膜14を水洗処理する。水和によるマイクロポア貫通孔18のポア径の変化を抑制するため、水洗処理は30℃以下で実施することが好ましい。
〔加熱処理(D)〕
加熱処理(D)は、上記分離処理(B)の後であって上記貫通化処理(C)の前、または、上記貫通化処理(C)の後であって後述する保護処理(E)の前に、上記陽極酸化処理(A)により形成された陽極酸化皮膜を50℃以上の温度で少なくとも10分間加熱する処理である。
本発明者らは、鋭意検討した結果、陽極酸化処理で使用した電解液や、脱膜処理に使用したアルミナ溶解液、更には後述するアルミニウム基板の除去やマイクロポアの貫通化処理で使用する処理液由来の酸イオン(例えば、電解液として硫酸を使用した場合、SO4 2-)が、陽極酸化皮膜中に残留することが、陽極酸化皮膜の耐酸性および耐アルカリ性を悪化させていることを見出した。
陽極酸化皮膜を加熱することにより、陽極酸化皮膜中に残留している酸イオンが除去され、陽極酸化皮膜の耐酸性および耐アルカリ性が向上する。なお、陽極酸化皮膜中に残留する酸イオンは、陽極酸化皮膜中に残存する水分に溶け込んだ状態となっており、陽極酸化皮膜を加熱すると、陽極酸化皮膜中に残存する水分の蒸発とともに酸イオンが除去されると考えられる。
加熱温度が50℃未満だと、陽極酸化皮膜中に残留している酸イオンを除去する作用を十分発揮することができない。
加熱温度は150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、400℃以上であることが更に好ましい。
加熱時間が10分未満だと、陽極酸化皮膜中に残留している酸イオンを除去する作用を十分発揮することができない。
加熱時間は15分間以上が好ましく、30分間以上がより好ましく、1時間以上が更に好ましい。
10時間以上加熱しても、陽極酸化皮膜中に残留している酸イオンを除去する作用にもはや寄与せず、歩留まりやエネルギー効率の観点から好ましくない。
加熱後の陽極酸化皮膜は、急速に冷却するのが好ましい。
本発明においては、加熱処理(D)は、得られるポーラスアルミナメンブレンフィルターを所望の形状に変形させる観点から、荷重をかけながら陽極酸化皮膜を加熱する方法であってもよい。例えば、平坦なフィルタを形成するためには、平坦なプレス板等で挟みこみながら荷重をかけて加熱処理を施すと、より平坦性の高い平膜フィルターを作成することができる。
〔保護処理(E)〕
保護処理(E)は、上記貫通化処理(C)の後または上記加熱処理(D)を上記貫通化処理(C)後に施した場合は上記加熱処理(D)の後に、酸化皮膜の表面に水和を妨げる保護膜を形成する処理である。
保護処理(E)では、図5に示すマイクロポア貫通孔18を有する陽極酸化皮膜14からなるポーラスアルミナメンブレンフィルターに対して、マイクロポア貫通孔18の内部を含めた陽極酸化皮膜14の表面全域にわたって、該陽極酸化皮膜の水和を妨げる保護膜を形成する。
保護膜としては、Zr元素およびSi元素からなる群から選択される少なくとも1つを含有する無機保護膜、又は、水不溶性ポリマーを含有する有機保護膜が挙げられる。
<無機保護膜>
Zr元素を有する保護膜の形成としては、特に限定されないが、例えば、ジルコニウム化合物が溶解している水溶液に直接浸せきして処理する方法が一般的であり、保護膜の強固性/安定性の観点からリン化合物をあわせて溶解させた水溶液を用いることが好ましい。
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カルシウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド等が使用でき、特にフッ化ジルコン酸ナトリウムが好ましい。また濃度としては、保護膜厚の均一性の観点から、0.01〜10wt%が好ましく、0.05〜5wt%がより好ましい。
リン化合物としては、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシウム等が使用でき、特にリン酸水素ナトリウムが好ましい。また濃度としては、保護膜厚の均一性の観点から、0.1〜20wt%が好ましく、0.5〜10wt%がより好ましい。
また、形成される保護膜の陽極酸化皮膜の水和を妨げる機能が向上することから、浸せき処理の際、ジルコニウム化合物が溶解している水溶液にタンニン酸を含めることが好ましい。この場合、水溶液中におけるタンニン酸の濃度は、0.05〜10wt%であることが好ましく、0.1〜5wt%がより好ましい。
また処理温度としては、0〜120℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。
Si元素を有する保護膜の形成としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩が溶解している水溶液に直接浸せきして処理する方法が一般的である。
アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、ケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す)と濃度によって保護膜厚の調節が可能である。ここでMとしては、特にナトリウム、カリウムが好適に用いられる。
モル比としては、〔SiO2〕/〔M2O〕が0.1〜5.0が好ましく、0.5〜3.0がより好ましい。また、SiO2の含有量としては、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
<有機保護膜>
有機保護膜としては、水不溶性ポリマーが溶解している有機溶剤に、直接浸せきしたのち、加熱処理により溶剤のみを揮発させる方法が好ましい。
水不溶性ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリサルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、セロハン等が挙げられる。
また、有機溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、等が挙げられる。濃度としては、0.1〜50wt%が好ましく、1〜30wt%がより好ましい。
また、溶剤揮発時の加熱温度としては、30〜300℃が好ましく、50〜200℃がより好ましい。
保護処理後において、保護膜の膜厚は、1〜50nmであるのが好ましく、5〜25nmであるのが更に好ましい。
[クロスフロー型濾過方式への適用]
本発明のクロスフロー型濾過方法は、上記で詳述したポーラスアルミナメンブレンフィルターの膜表面に対して、流れが平行になるように濾過対象流体を供給することにより濾過対象物質を濾過する方法である。
また、本発明のクロスフロー型濾過器は、上記で詳述したポーラスアルミナメンブレンフィルターを濾過膜として具備する濾過装置である。
ここで、ポーラスアルミナメンブレンフィルターは、一般的に知られているクロスフロー型濾過装置の濾過膜として適宜に取り付けることができる。
例えば、実開昭56−129599号、特開昭59−209612号、特開昭59−209613号、特開平2−21929号、特開平3−89908号、特開平3−98608号、特開平3−135405号、特開平4−145929号、特開平4−150930号、特開平4−190834号、特開平4−190835号、特開平4−293521号、特開平4−293522号、特開平4−298224号、実開昭62−190621号、特開平5−146645号、特開平5−279012号、特開平6−190247号、特開平6−218249号、特開平7−60029号、特開平7−185273号、特開平9−136020号、特開2000−157842号、特開2002−11332号、特開2003−225661号、特表昭62−502314号、特表平8−512244号、特表2000−504275号、特表2000−513580号、特表2002−518169号、特表2002−537104号、特表2003−508194号、特表2003−519004号、特表2003−519005号、特表2003−535582号、特表2004−522569号、特表2004−522569号、特表2005−511282号、特表2005−511282号、特表2006−525120号等の各公報に記載のクロスフロー型の濾過方法や濾過装置に適用することができる。
具体的には、本発明のクロスフロー型濾過器の実施態様の一例を示す断面概念図である図6を用いて説明する。
即ち、本発明のクロスフロー型濾過器40は、濾過膜41として上記で詳述したポーラスアルミナメンブレンフィルター具備するものであり、濾過膜41の膜表面に対して、流れが平行になるように矢印42方向に濾過対象流体を供給することにより、濾過対象物質43を濾過し、透過液を回収するものである。
本発明においては、規則化度が50%以上、かつ、空隙率が40%以上のマイクロポアを有するポーラスアルミナメンブレンフィルターを濾過膜として用いるため、上述したように、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を大幅に向上させることができる。これは、濾過対象物が膜表面に付着しにくくケーク層が形成しにくいためであると推定している。
また、本発明においては、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有するポーラスアルミナメンブレンフィルターを濾過膜として用いるため、上述したように、濾過精度も向上させることができる。これは、形成されるマイクロポア径が均一に揃うことで、濾過対象物のサイズ分画を精密に行えるためであると考えられる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
1.ポーラスアルミナメンブレンフィルターの作製
(1)電解研磨処理
高純度アルミニウム基板(住友軽金属社製、純度99.99質量%、厚さ0.4mm)を、47mmφの大きさで陽極酸化処理できるようカットし、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
<電解研磨液組成>
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
(2)陽極酸化処理
上記で得られた電解研磨処理後のサンプルに、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で1時間陽極酸化処理を施した。更に陽極酸化処理後のサンプルに、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬して脱膜処理を施した。この陽極酸化処理の電解液、電圧および液温度の条件を第1表に示す。
これらの処理をこの順に4回繰り返した後、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で5時間再陽極酸化処理を施し、更に、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬させて脱膜処理を施すことにより、アルミニウム基板12表面に、マイクロポア16が直管状で且つハニカム状に配列された陽極酸化皮膜14を形成させた(図2(D)、図3参照。)。
なお、陽極酸化処理および再陽極酸化処理ともに、陰極はステンレス電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、冷却装置としては、NeoCool BD36(ヤマト科学社製)を用い、かくはん加温装置として、ペアスターラー PS−100(EYELA社製)を用いた。電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
(3)分離処理
上記で得られた陽極酸化処理後のサンプルを、20質量%塩酸、および、0.1mol/L塩化第二銅の混合水溶液を用いて、25℃、20分間浸漬させることにより、アルミニウム基板12を溶解して除去し、マイクロポア16を有する陽極酸化皮膜14からなる微細構造体を作製した(図4参照。)。
(4)貫通化処理
上記で得られた微細構造体を、0.10mol/L塩化カリウム水溶液に25℃下で2分間浸漬させた後、マイクロポアを貫通化する面に、0.10mol/L水酸化カリウムを20℃下で10分間接触させることにより、マイクロポア貫通孔16を有する陽極酸化皮膜12からなる微細構造体を作製した(図5参照。)。
(5)加熱処理
上記で得られた微細構造体を、温度400℃の条件下で1時間加熱処理を施すことにより、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
2.ポーラスアルミナメンブレンフィルターの形状解析
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターの表面写真(倍率20000倍)をFE−SEMにより撮影し、1μm×1μmの視野に存在する全てのマイクロポアについて、平均孔径および孔径の標準偏差を下記式により算出し、単位面積あたりの開口率を求めた。その結果、平均孔径は38nm、標準偏差は2.7nmであり、孔径の標準偏差は平均孔径の7.1%であった。この結果を第2表に示す。
Figure 2009050773
同様に、測定範囲である1μm×1μmの視野に存在する全てのマイクロポアについて、下記式(1)で定義される規則化度および下記式(2)により定義される空隙率を求めた。その結果、規則化度は90%であり、空隙率は72%であった。この結果を第2表に示す。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
空 隙 率(%)=C/D×100 (2)
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に上記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる上記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。また、上記式(2)中、Cは、測定範囲における全てのマイクロポアの開口部面積の合計を表し、Dは、測定範囲の面積を表す。
3.濾過処理
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターを用いて、クロスフロー方式の濾過処理を行った。
具体的には、撹拌型ウルトラホルダー(UHP−43K、東洋濾紙社製)に、得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターを設置し、100nmポリスチレン粒子1%水溶液(標準粒子:3100個/mL、株式会社テックジャム社製)を用いて、吸引圧0.5MPaの条件下で、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量(L/cm2Hr)を測定した。その結果を第2表に示す。
また、濾過処理の濾過精度を評価するため、20nm径のポリスチレン粒子(3020A、NISTトレーサブル製)水溶液および60nm径のポリスチレン粒子(3060A、NISTトレーサブル製)水溶液を1:1で混合した混合液を50cc調製し、得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターで濾過し、濾過後の各粒子の存在頻度を粒度分布計(LB−500、HORIBA製)で測定した。その結果を第2表に示す。
ここで、60nm径の粒子と20nm径の粒子を正確に分離できているほど濾過精度が高いことを表す。
(実施例2)
陽極酸化処理で使用する電解液を0.50mol/Lシュウ酸の電解液とし、電圧を40Vとした以外は、実施例1と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(実施例3)
陽極酸化処理および脱膜処理をこの順に3回繰り返した後に再陽極酸化処理を施した以外は、実施例1と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(実施例4)
陽極酸化処理および脱膜処理をこの順に2回繰り返した後に再陽極酸化処理を施した以外は、実施例1と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(実施例5)
陽極酸化処理および脱膜処理をこの順に1回施した後に再陽極酸化処理を施した以外は、実施例1と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(実施例6)
陽極酸化処理の電圧を20Vとした以外は、実施例1と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(実施例7)
陽極酸化処理の電圧を23Vとした以外は、実施例1と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(実施例8)
陽極酸化処理の液温度を10℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(実施例9)
陽極酸化処理の液温度を5℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(比較例1)
実施例1で得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターを用いて、いわゆるデッドエンド方式の濾過処理を0.5MPaの吸引圧で行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。その結果を第2表に示す。
(比較例2)
ポーラスアルミナメンブレンフィルターとして、ミクロフィルター(47mmφAnodisc、公称平均孔径:0.02μm、ワットマン社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、吸引圧0.5MPaによるクロスフロー型の濾過処理を行った。その結果を第2表に示す。
使用したミクロフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(比較例3)
ポーラスアルミナメンブレンフィルターとして、ミクロフィルター(47mmφIsopore、公称平均孔径:0.02μm、ワットマン社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、吸引圧0.5MPaによるクロスフロー型の濾過処理を行った。その結果を第2表に示す。
使用したミクロフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(比較例4)
陽極酸化処理および脱膜処理をこの順に1回施した後に再陽極酸化処理を施した以外は、実施例7と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(比較例5)
陽極酸化処理および脱膜処理をこの順に1回施した後に再陽極酸化処理を施した以外は、実施例6と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
(比較例6)
陽極酸化処理の電圧を16Vとし、液温度を10℃とした以外は、実施例1と同様の方法により、ポーラスアルミナメンブレンフィルターを得た。
得られたポーラスアルミナメンブレンフィルターについて、実施例1と同様の形状解析を行い、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を測定した。これらの結果を第2表に示す。
Figure 2009050773
Figure 2009050773
第2表に示すように、規則化度および空隙率ならびに孔径の標準偏差のいずれか1つ以上が所定の範囲から外れるポーラスアルミナメンブレンフィルター(比較例2〜6)をクロスフロー型の濾過膜に使用した場合と比べて、規則化度および空隙率ならびに孔径の標準偏差のいずれもが所定の範囲にあるポーラスアルミナメンブレンフィルター(実施例1〜9)をクロスフロー型の濾過膜として使用した方が、濾過精度が高く、かつ、膜面積に対する単位時間当たりの濾過量を大幅に向上することが分かった。
図1は、ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。 図2は、本発明で用いるポーラスアルミナメンブレンフィルターを説明するための、アルミニウム基板および該アルミニウム基板上に形成される陽極酸化皮膜の模式的な端面図である。 図3は、陽極酸化処理(A)後の状態を示した部分断面図である。 図4は、分離処理(B)後の状態を示した部分断面図である。 図5は、貫通化処理(C)後の状態を示した部分断面図である。 図6は、本発明のクロスフロー型濾過器の実施態様の一例を示す断面概念図である。
符号の説明
1、2、4、5、7、8 マイクロポア
3、6、9 円
12、12a、12b、 アルミニウム基板
14、14a、14b、14c、14d 陽極酸化皮膜
16、16a、16b、16c、16d マイクロポア
18:マイクロポア貫通孔
20 異形部分
30 変曲点
40 クロスフロー型濾過器
41 濾過膜
42 矢印
43 濾過対象物質
44 ケーク層

Claims (2)

  1. ポーラスアルミナメンブレンフィルターを用いたクロスフロー型濾過方法であって、
    前記ポーラスアルミナメンブレンフィルターが、アルミニウムの陽極酸化皮膜からなり、下記式(1)により定義される規則化度が50%以上であり、下記式(2)により定義される空隙率が40%以上であり、かつ、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有し、
    前記ポーラスアルミナメンブレンフィルターの膜表面に対して、流れが平行になるように濾過対象流体を供給することにより濾過対象物質を濾過するクロスフロー型濾過方法。
    規則化度(%)=B/A×100 (1)
    空 隙 率(%)=C/D×100 (2)
    前記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。また、前記式(2)中、Cは、測定範囲における全てのマイクロポアの開口部面積の合計を表し、Dは、測定範囲の面積を表す。
  2. 濾過膜の表面に対して、流れが並行になるように濾過対象流体を供給することにより濾過対象物質を濾過するクロスフロー型濾過器であって、
    前記濾過膜が、ポーラスアルミナメンブレンフィルターであり、
    前記ポーラスアルミナメンブレンフィルターが、アルミニウムの陽極酸化皮膜からなり、下記式(1)により定義される規則化度が50%以上であり、下記式(2)により定義される空隙率が40%以上であり、かつ、孔径の標準偏差が平均孔径の10%以内であるマイクロポアを有するクロスフロー型濾過器。
    規則化度(%)=B/A×100 (1)
    空 隙 率(%)=C/D×100 (2)
    前記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。また、前記式(2)中、Cは、測定範囲における全てのマイクロポアの開口部面積の合計を表し、Dは、測定範囲の面積を表す。
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