JP4800799B2 - 微細構造体の製造方法および微細構造体 - Google Patents

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本発明は、微細構造体およびその製造方法に関する。
金属および半導体の薄膜、細線、ドット等の技術領域では、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて自由電子の動きが閉じ込められることにより、電気的、光学的および化学的に特異な現象が見られることが知られている。このような現象は「量子力学的サイズ効果(量子サイズ効果)」と呼ばれている。このような特異な現象を応用した機能性材料の研究開発が、現在、盛んに行なわれている。具体的には、数百nmより微細な構造を有する材料が、「微細構造体」または「ナノ構造体」と称されており、材料開発の対象の一つとされている。
こうした微細構造体の作製方法としては、例えば、フォトリソグラフィ、電子線露光、X線露光等の微細パターン形成技術を初めとする半導体加工技術によって直接的にナノ構造体を作製する方法が挙げられる。
中でも、規則的な微細構造を有する微細構造体を作製する方法についての研究が注目され、多く行われている。
例えば、自己規制的に規則的な構造が形成される方法として、電解液中でアルミニウムに陽極酸化処理を施して得られる陽極酸化アルミナ膜(陽極酸化皮膜)が挙げられる。陽極酸化皮膜には、数nm程度から数百nm程度の直径を有する複数の微細孔(マイクロポア)が規則的に形成されることが知られている。この陽極酸化皮膜の自己規則化を用い、完全に規則的な配列を得ると、理論的には、マイクロポアを中心に底面が正六角形である六角柱のセルが形成され、隣接するマイクロポアを結ぶ線が正三角形を成すことが知られている。
このようなマイクロポアを有する陽極酸化皮膜の用途例としては、光機能性ナノデバイス、磁気デバイス、発光担体、触媒担持体等が知られている。例えば、特許文献1には、ポアを金属で封孔し局在プラズモン共鳴を発生させてラマン分光分析用装置へ応用する旨が記載されている。
このようなマイクロポアを形成させる陽極酸化処理の前には、陽極酸化処理のマイクロポアの生成の起点となる窪みを形成させておく方法が知られている。このような窪みを形成させることにより、マイクロポアの配列およびポア径のばらつきを所望の範囲に制御することが容易となる。
窪みを形成させる一般的な方法として、陽極酸化皮膜の自己規則性を利用した自己規則化法が知られている。これは陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。
この自己規則化法は、特許文献1に記載されているように、一度陽極酸化処理した後、リン酸および6価クロム酸の混合水溶液への浸せき処理を施し、再度陽極酸化処理を順に行うのが一般的であるが、6価クロム酸は毒性の高い物質であり、より安全性の高い方法が望まれていた。
特開2005−307341号公報
したがって、本発明は、毒性の高い6価クロム酸化合物を用いずに、規則的な配列の窪みを有する構造体を得ることができる構造体の製造方法およびそれにより得られる構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、リン酸および6価クロム酸の混合水溶液の代わりに、特定の化合物を含有し、クロム酸化合物を含有せず、かつ、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しないアルミナ溶解液を用いることにより、毒性の高い6価クロム酸化合物を用いずに、規則的な配列の窪みを有する構造体を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(i)〜(iii)を提供する。
(i)アルミニウム基板と、前記アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有するアルミニウム部材に、少なくとも、
ロム酸化合物を含有せず、かつ、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しないアルミナ溶解液としてリン酸および硝酸の混合水溶液を用いて脱膜させる、脱膜処理と、
陽極酸化処理と
をこの順に施して、表面にマイクロポアを有する微細構造体を得る、微細構造体の製造方法。
ii)上記(i)に記載の微細構造体の製造方法により得られる微細構造体。
iii)マイクロポアについて下記式(1)により定義される規則化度が50%以上である、上記(ii)に記載の微細構造体。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
本発明の微細構造体の製造方法によれば、毒性の高い6価クロム酸化合物を用いずに、規則的な配列の窪みを有する微細構造体を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の微細構造体の製造方法は、
アルミニウム基板と、前記アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有するアルミニウム部材に、少なくとも、
ロム酸化合物を含有せず、かつ、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しないアルミナ溶解液としてリン酸および硝酸の混合水溶液を用いて脱膜させる、脱膜処理と、
陽極酸化処理と
をこの順に施して、表面にマイクロポアを有する微細構造体を得る、微細構造体の製造方法である。
<アルミニウム部材>
本発明に用いられるアルミニウム部材は、アルミニウム基板と、前記アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有する。このアルミニウム部材は、アルミニウム基板の少なくとも一方の表面に陽極酸化処理を施して得ることができる。
<アルミニウム基板>
アルミニウム基板は、特に限定されず、例えば、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板が挙げられる。
アルミニウム基板のうち、陽極酸化処理により陽極酸化皮膜を設ける表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であるのが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上記範囲であると、ポア配列の規則性が十分となる。
アルミニウム基板の表面は、あらかじめ脱脂処理および鏡面仕上げ処理を施されるのが好ましい。
また、本発明により得られる微細構造体を、光透過性を利用する用途に用いる場合は、あらかじめアルミニウム基板が熱処理を施されるのが好ましい。熱処理により、ポア配列の規則性が高い領域が広くなる。
<熱処理>
熱処理を施す場合は、200〜350℃で30秒〜2分程度施すのが好ましい。これにより、後述する陽極酸化処理により生成するマイクロポアの配列の規則性が向上する。
熱処理後のアルミニウム基板は、急速に冷却するのが好ましい。冷却する方法としては、例えば、水等に直接投入する方法が挙げられる。
<脱脂処理>
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶剤等を用いて、アルミニウム表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分等を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。
脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
中でも、以下の各方法が好適に例示される。
アルコール(例えば、メタノール)、ケトン、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温でアルミニウム表面に接触させる方法(有機溶剤法);石けん、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度でアルミニウム表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度でアルミニウム表面に30〜80秒間接触させ、その後、水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温でアルミニウム表面に30秒間程度接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温でアルミニウム表面に接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃でアルミニウム表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法)。
脱脂処理は、アルミニウム表面の脂分を除去しうる一方で、アルミニウムの溶解がほとんど起こらない方法が好ましい。この点で、有機溶剤法、界面活性剤法、乳化脱脂法、リン酸塩法が好ましい。
<鏡面仕上げ処理>
鏡面仕上げ処理は、アルミニウム基板の表面の凹凸をなくして、電着法等による粒子形成処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。アルミニウム部材の表面の凹凸としては、例えば、アルミニウム部材が圧延を経て製造されたものである場合における、圧延時に発生した圧延筋が挙げられる。
本発明において、鏡面仕上げ処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
機械研磨としては、例えば、各種市販の研磨布で研磨する方法、市販の各種研磨剤(例えば、ダイヤ、アルミナ)とバフとを組み合わせた方法が挙げられる。具体的には、研磨剤を用いる方法を、用いる研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行う方法が好適に例示される。この場合、最終的に用いる研磨剤としては、#1500のものが好ましい。これにより、光沢度を50%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに50%以上)とすることができる。
化学研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法が挙げられる。
また、リン酸−硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好適に挙げられる。中でも、リン酸−硝酸法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
電解研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法が挙げられる。
また、米国特許第2708655号明細書に記載されている方法が好適に挙げられる。
また、「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p.32−38に記載されている方法も好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
これらの方法は、適宜組み合わせて用いることができる。例えば、研磨剤を用いる方法を、用いる研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行い、その後、電解研磨を施す方法が好適に挙げられる。
鏡面仕上げ処理により、例えば、平均表面粗さRa0.1μm以下、光沢度50%以上の表面を得ることができる。平均表面粗さRaは、0.03μm以下であるのが好ましく、0.02μm以下であるのがより好ましい。また、光沢度は70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741−1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG−1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で、測定する。
<陽極酸化処理>
陽極酸化処理としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、後述する自己規則化法を用いるのが好ましい。
自己規則化法は、陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させる。
この方法においては、ポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のポア径を得ることができる。
陽極酸化処理をする際の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化処理を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため、好ましい。そのようなかくはん装置としては、例えば、AS ONE社製のマグネティックスターラーHS−50Dが挙げられる。
陽極酸化処理は、例えば、酸濃度1〜10質量%の溶液中で、アルミニウム基板を陽極として通電する方法を用いることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、酸溶液であることが好ましく、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度0.1〜20質量%、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜300V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.5〜15質量%、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度1〜10質量%、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜300μmであるのが好ましく、5〜150μmであるのがより好ましく、10〜100μmであるのが更に好ましい。
陽極酸化処理の処理時間は、0.5分〜16時間であるのが好ましく、1分〜12時間であるのがより好ましく、2分〜8時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理は、一定電圧下で行う以外に、電圧を断続的または連続的に変化させる方法も用いることができる。この場合は電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、後に電着処理を行う場合に、均一化することができる。
平均ポア密度は50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
マイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。なお、マイクロポアの占める面積率は、アルミニウム表面の面積に対するマイクロポアの開口部の面積の合計の割合で定義される。
<脱膜処理>
脱膜処理は、クロム酸化合物を含有せず、かつ、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しないアルミナ溶解液としてリン酸および硝酸の混合水溶液を用いる。
アルミニウム部材の陽極酸化皮膜は、アルミニウム基板に近くなるほど規則性が高くなっているので、この脱膜処理により、一度陽極酸化処理を除去して、アルミニウム基板の表面に残存した陽極酸化皮膜の底部分を表面に露出させて、規則的な窪みを得る。したがって、脱膜処理は、アルミニウムは溶解させず、アルミナ(酸化アルミニウム)からなる陽極酸化皮膜のみを溶解させる。
アルミナ溶解液は、リン酸および硝酸の混合水溶液であり、クロム酸化合物を含有しない。
ン酸と硝酸の混合比(リン酸/硝酸)は、1/99〜95/5であるのが好ましく、5/95〜90/10であるのがより好ましく、10/90〜80/20であるのが更に好ましい。
混合水溶液の濃度は、リン酸の濃度と硝酸の濃度との合計が、0.01mol/L以上であるのが好ましく、0.05mol/L以上であるのがより好ましく、0.1mol/L以上であるのが更に好ましい。
アルミナ溶解液は、−5℃以上であるのが好ましく、0℃以上であるのがより好ましく、20℃以上であるのが更に好ましい。なお、沸騰したアルミナ溶解液を用いて処理すると、規則化の起点が破壊され、乱れるので、沸騰させないで用いるのが好ましい。
アルミナ溶解液は、クロム酸化合物を含有しない。したがって、本発明の微細構造体の製造方法は、安全性が高い。
アルミナ溶解液は、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しない。ここで、アルミナ溶解液は、アルミニウムを実質的に溶解させなければよく、わずかに溶解させるものであってもよい。
脱膜処理は、アルミニウム部材を上述したアルミナ溶解液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
浸せき法は、アルミニウム部材を上述したアルミナ溶解液に浸せきさせる処理である。浸せき処理の際にかくはんを行うと、ムラのない処理が行われるため、好ましい。
浸せき処理の時間は、10分以上であるのが好ましく、1時間以上であるのがより好ましく、3時間以上であるのが更に好ましい。
<陽極酸化処理>
陽極酸化処理は、上述した脱膜処理の後に行われる。これにより、脱膜されたアルミニウム部材に、陽極酸化皮膜を形成させ、本発明の微細構造体を得ることができる。
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した自己規則化法と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
上述した電圧を断続的に変化させる方法においては、電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、後に電着処理を行う場合に、均一化することができる。
陽極酸化皮膜を低温で行うと、マイクロポアの配列が規則的になり、また、ポア径が均一になる。
本発明においては、陽極酸化処理を比較的高温で行うことにより、マイクロポアの配列を乱し、また、ポア径のばらつきを所定の範囲にすることが容易となる。また、処理時間によっても、ポア径のばらつきを制御することができる。
陽極酸化皮膜の膜厚は、ポア径の0.5〜10倍であるのが好ましく、1〜8倍であるのがより好ましく、1〜5倍が更に好ましい。
<微細構造体>
上述した本発明の微細構造体の製造方法により、本発明の微細構造体が得られる。
本発明の微細構造体は、平均ポア密度が50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
また、本発明の微細構造体は、マイクロポアの占める面積率が20〜50%であるのが好ましい。
更に、本発明の微細構造体は、マイクロポアについて下記式(1)により定義される規則化度が50%以上であるのが好ましい。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
図1は、ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。図1を用いて、上記式(1)をより具体的に説明する。
図1(A)に示されるマイクロポア1は、マイクロポア1の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円3(マイクロポア2に内接している。)を描いた場合に、円3の内部にマイクロポア1以外のマイクロポアの重心を6個含んでいる。したがって、マイクロポア1は、Bに算入される。
図1(B)に示されるマイクロポア4は、マイクロポア4の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円6(マイクロポア5に内接している。)を描いた場合に、円6の内部にマイクロポア4以外のマイクロポアの重心を5個含んでいる。したがって、マイクロポア4は、Bに算入されない。また、図4(B)に示されるマイクロポア7は、マイクロポア7の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円9(マイクロポア8に内接している。)を描いた場合に、円9の内部にマイクロポア7以外のマイクロポアの重心を7個含んでいる。したがって、マイクロポア7は、Bに算入されない。
<ポアワイド処理>
本発明の微細構造体には、用途に応じて、ポアワイド処理を施すことができる。
ポアワイド処理は、本陽極酸化処理後、アルミニウム部材を酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきさせることにより、陽極酸化皮膜を溶解させ、マイクロポアのポア径を拡大する処理である。
これにより、マイクロポアの配列の規則性およびポア径のばらつきを制御することが容易となる。また、陽極酸化皮膜のマイクロポアの底部分のバリヤー皮膜を溶解させることにより、マイクロポア内部に選択的に電着させることおよびポア径のばらつきをやや大きくすることが可能となる。
ポアワイド処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜40℃であるのが好ましい。
ポアワイド処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜60分であるのが好ましく、10〜50分であるのがより好ましく、15〜30分であるのが更に好ましい。
<その他の処理>
また、必要に応じて、その他の処理を施すことができる。
例えば、本発明の微細構造体を試料台にして、水溶液を垂らして膜状にしたい場合には、水との接触角を小さくするために、親水化処理を施してもよい。親水化処理は、従来公知の方法により施すことができる。
また、本発明の微細構造体を試料台にして、酸で変性し、または分解されるタンパク質を対象とする場合には、陽極酸化処理またはポアワイド処理に用いられ、アルミニウム表面に残留している酸を中和するために、中和処理を施してもよい。中和処理は、従来公知の方法により施すことができる。
また、本発明の微細構造体は、用途に応じて、アルミニウム基板を除去することもできる。
アルミニウム基板を除去する方法は、特に限定されないが、例えば、アルミナが難溶または不溶であり、アルミニウムが可溶である溶剤に浸せきさせる方法が好ましい。
溶剤の種類としては、臭素、ヨウ素等のハロゲン溶剤;希硫酸、リン酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の酸性溶剤;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ性溶剤が好適に例示される。中でも、臭素、ヨウ素が好ましい。
本発明の微細構造体は、用途に応じて、陽極酸化皮膜のマイクロポアに触媒を担持することもできる。
触媒は、触媒機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
AlCl3、AlBr3、Al23、SiO2、SiO2−Al23、Siゼオライト、SiO2−NiO、活性炭、PbO/Al23、LaCoO3、H3PO4、H427、Bi23−MoO3、Sb25、SbO5−Fe23、SnO2−Sb25、Cu、CuO2−Cr23、Cu−Cr23−ZnO、Cu/SiO2、CuCl2、Ag/α−Al23、Au、ZnO、ZnO−Cr23、ZnCl2、ZnO−Al23−CaO、TiO2、TiCl4・Al(C253、Pt/TiO2、V25、V25−P25、V25/TiO2、Cr23、Cr23/Al23、MoO3、MoO3−SnO2、Co・Mo/Al23、Ni・Mo/Al23、MoS2、Mo−Bi−O、MoO3−Fe23、H3PMo1240、WO3、H3PW1240、MnO2、Fe−K2O−Al23、Fe23−Cr23、Fe23−Cr23−K2O、Fe23、Co、Co/活性炭、Co34、Coカルボニル錯体、Ni、RaneyNi、Ni/担体、修飾Ni、Pt、Pt/Al23、Pt−Rh−Pd/担体、Pd、Pd/SiO2、Pd/Al23、PdCl2−CuCl2、Re、Re−Pt/Al23、Re27/Al23、Ru、Ru/Al23、Rh、Rh錯体。
担持の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、電着法;触媒粒子の分散液を、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム部材に塗布し乾燥させる方法が好適に挙げられる。触媒は、単一粒子または凝集体であるのが好ましい。
電着法は、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、金電着法の場合、1g/LのHAuCl4と7g/LのH2SO4を含有する30℃の分散液に、アルミニウム部材を浸せきさせ、11Vの定電圧(スライダックで調整)で、5〜6分間電着処理する方法が挙げられる。
電着法としては、現代化学,1997年1月号,p.51−54に銅、スズおよびニッケルを用いた例が詳細に記載されており、この方法を用いることもできる。
触媒粒子を用いる方法に用いられる分散液は、従来公知の方法により得ることができる。例えば、低真空蒸発法による微粒子の作製方法、触媒塩の水溶液を還元する触媒コロイド作製方法により得ることができる。
触媒コロイド粒子は、平均粒径が1〜200nmであるのが好ましく、1〜100nmであるのがより好ましく、2〜80nmであるのが更に好ましい。
分散液に用いられる分散媒としては、水が好適に用いられる。また、水と混合しうる溶剤、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアルコールと、水との混合溶媒も用いることができる。
触媒コロイド粒子を用いる方法において、塗布方法は特に限定されず、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、浸せき塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等が挙げられる。
触媒コロイド粒子を用いる方法に用いられる分散液としては、例えば、金コロイド粒子の分散液、銀コロイド粒子の分散液が好適に用いられる。
金コロイド粒子の分散液としては、例えば、特開平2001−89140号公報および特開平11−80647号公報に記載されているものを用いることができる。また、市販品を用いることもできる。
銀コロイド粒子の分散液は、陽極酸化皮膜から溶出する酸によって影響を受けない点で、銀とパラジウムの合金の粒子を含有するのが好ましい。この場合、パラジウムの含有量は、5〜30質量%であるのが好ましい。
分散液を塗布した後、水等の溶媒を用いて適宜洗浄する。これにより、マイクロポアに担持された触媒粒子のみ陽極酸化皮膜に残存し、マイクロポアに充填されなかった触媒粒子は除去される。
担持処理後の触媒の付着量は、10〜1000mg/m2であるのが好ましく、50〜800mg/m2であるのがより好ましく、100〜500mg/m2であるのが特に好ましい。
また、担持処理後の表面空隙率は、70%以下であるのが好ましく、50%以下であるのがさらに好ましく、30%以下であるのが特に好ましい。担持処理後の表面空隙率は、アルミニウム表面の面積に対する担持されていないマイクロポアの開口部の面積の合計の割合である。
分散液に用いられる触媒コロイド粒子は、通常、粒径分布のばらつきが変動係数で10〜20%程度である。本発明においては、ポア径のばらつきを特定の範囲にすることにより、粒径分布にばらつきのあるコロイド粒子を効率よく封孔に用いることができる。
ポア径が50nm以上である場合は、触媒コロイド粒子を用いる方法が好適に用いられる。また、ポア径が50nm未満である場合は、電着法が好適に用いられる。両者を組み合わせる方法も好適に用いられる。
本発明の微細構造体は、規則的な配列を有するマイクロポアを有するため、種々の用途に応用することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
1.微細構造体の作製
(実施例1〜30および比較例1〜3)
第1表に示されるように、基板に、鏡面仕上げ処理、第1の陽極酸化処理、脱膜処理、第2の陽極酸化処理およびポアワイド処理を順次施して、各微細構造体を得た。なお、第1表中、「−」は該当する処理を施していないことを示す。
Figure 0004800799
以下、基板および各処理について説明する。
(1)基板
微細構造体の作製に用いた基板は、以下のとおりである。これらを10cm四方の面積で陽極酸化処理できるような大きさにカットして使用した。
基板1:高純度アルミニウム、和光純薬工業社製、純度99.99質量%、厚さ0.4mm
基板2:表面層Aを設けたアルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.24mm
基板3:表面層Bを設けたアルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.24mm
基板4:アルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.30mm
基板5:表面層Cを設けたアルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.30mm
基板6:表面層Dを設けたアルミニウムJIS A1050材、日本軽金属社製、純度99.5質量%、厚さ0.30mm
基板7:アルミニウム蒸着フィルム、トレファンAT80、東レ社製、純度99.9質量%、厚さ0.02mm
基板8:表面層Aを設けたアルミニウムXL無処理材、住友軽金属工業社製、純度99.3質量%、厚さ0.30mm
基板9:表面層Eを設けたガラス、アズワン社製、純度99.9質量%、厚さ5mm
基板10:表面層Eを設けたシリコンウエハー、信越化学工業社製、純度99.99質量%以上
基板11:表面層Eを設けた合成石英、VIOSIL−SG−2B、信越化学工業社製、純度99.99質量%以上、厚さ0.6mm
基板12:表面層Eを設けた銅張積層板(RAS33S42、信越化学工業社製、純度不明、厚さ0.08mm)の表面にAl−Cu合金膜をスパッタリング法により設けたもの
なお、上記アルミニウムJIS A1050材は、縦方向の正反射率40%(標準偏差10%)、横方向の正反射率15%(標準偏差10%)、純度99.5質量%(標準偏差0.1質量%)であった。
また、上記アルミニウムXL無処理材は、縦方向の正反射率85%(標準偏差5%)、横方向の正反射率83%(標準偏差5%)、純度99.3質量%(標準偏差0.1質量%)であった。
また、表面層A〜Eは、以下のとおりである。
表面層Aは、真空蒸着法により、到達圧力:4×10-6Pa、蒸着電流:40A、基板:150℃加熱、蒸着材料:純度99.9質量%のアルミニウム線(ニラコ社製)の条件で、基板上に形成された。表面層Aの厚さは、0.2μmであった。
表面層Bは、蒸着材料として純度99.99質量%のアルミニウム線(ニラコ社製)を用いた以外は、表面層Aと同様の方法により、形成された。表面層Bの厚さは、0.2μmであった。
表面層Cは、スパッタリング法により、到達圧力:4×10-6Pa、スパッタ圧力:10-2Pa、アルゴン流量:20sccm、基板:150℃制御(冷却有り)、バイアス:なし、スパッタ電源:RC、スパッタ電力:RF400W、スパッタ材料:純度99.9質量%の3Nバッキングプレート(協同インターナショナル社製)の条件で、基板上に形成された。表面層Cの厚さは、0.5μmであった。
表面層Dは、スパッタ材料として純度99.99質量%の4Nバッキングプレート(協同インターナショナル社製)を用いた以外は、表面層Cと同様の方法により、形成された。表面層Dの厚さは、0.5μmであった。
表面層Eは、厚さを1μmとした以外は、表面層Aと同様の方法により、形成された。
なお、表面層の厚さは、PET基板にマスキングを施して、上記と同様の条件で、真空蒸着法およびスパッタリング法を時間を変化させて行い、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)でそれぞれの膜厚を測定することにより得られた時間と膜厚との相関検量線を用い、時間を調整することにより、調整した。
また、表面層の純度は、走査型X線光電子分光分析装置(Quantum 2000、アルバック・ファイ社製)を用いて、エッチング用イオン銃で深さ方向に掘りながら全定量分析を行い、異種金属元素の含有率を検量線法によって定量して求めた。その結果、いずれの表面層も、蒸着材料またはスパッタ材料の純度とほぼ同一の純度であった。
(2)鏡面仕上げ処理
上記基板1〜12のうち、基板1〜6については、以下の鏡面仕上げ処理を施した。
<鏡面仕上げ処理>
研磨布を用いた研磨、バフ研磨および電解研磨をこの順に行うことにより、鏡面仕上げ処理を施した。バフ研磨後には水洗を行った。
研磨布を用いた研磨は、研磨盤(Struers Abramin、丸本工業社製)および耐水研磨布(市販品)を用い、耐水研磨布の番手を#200、#500、#800、、#1000および#1500の順に変更しつつ行った。
バフ研磨は、スラリー状研磨剤(FM No.3(平均粒径1μm)およびFM No.4(平均粒径0.3μm)、いずれもフジミインコーポレーテッド社製)を用いて行った。
電解研磨は、下記組成の電解液(温度70℃)を用いて、陽極を基板、陰極をカーボン電極とし、130mA/cm2の定電流で、2分間行った。電源としては、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。
<電解液組成>
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
(3)第1の陽極酸化処理
鏡面仕上げ処理を施した基板1〜6および鏡面仕上げ処理を施していない基板7〜12の表面に、第1表に示される条件で、第1の陽極酸化処理を行った。
第1表に示される第1の陽極酸化処理条件の内容は、具体的には、第2表に示されている。即ち、電解液中に基板を浸せきさせ、第2表に示される電解液の種類、濃度、平均流速および温度、電圧、電流密度ならびに処理時間で、自己規則化陽極酸化処理を行い、第2表に示される膜厚の陽極酸化皮膜を形成させた。自己規則化陽極酸化処理においては、冷却装置としてNeoCool BD36(ヤマト科学社製)、かくはん加温装置としてペアスターラー PS−100(EYELA社製)、電源としてGP0650−2R(高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の平均流速は、渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて測定した。
陽極酸化皮膜の膜厚は、渦電流式膜厚計(EDY−1000、(株)サンコウ電子研究所製)を用いて測定した。
Figure 0004800799
第2表中、リン酸、シュウ酸および硫酸は、いずれも関東化学社製の試薬を用いた。電流密度は安定時の値を示した。
(4)脱膜処理
第1の陽極酸化処理後、陽極酸化皮膜を除去するため、第1表に示される条件で、脱膜処理を行った。
第1表に示される脱膜処理条件の内容は、具体的には、第3表に示されている。即ち、第3表に示される組成および温度の処理液に、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム部材を第3表に示される時間浸せきさせた。
Figure 0004800799
第3表中、85質量%リン酸および無水クロム酸は、いずれも関東化学社製の試薬を用いた。なお、条件53および56に用いた処理液は、JIS H8688(1998)−H8688に規定されている組成である。
(5)第2の陽極酸化処理
脱膜処理後、第1表に示される条件で、第2の陽極酸化処理を施した。
第1表に示される第2の陽極酸化処理条件の内容は、具体的には、第4表に示されている。即ち、電解液中に脱膜処理後のアルミニウム部材を浸せきさせ、第4表に示される電解液の種類、濃度および温度、1回目の電圧ならびに回数で、1回または複数回、電解処理を施すことにより行った。電解処理を複数回行う場合は、1回目は、定電圧の初期設定値V0に到達したら電解を中断し、2回目は、定電圧の初期設定値0.9×V0に到達したら電解を中断し、3回目は、定電圧の初期設定値0.8×V0に到達したら電解を中断するというように、n回目は、定電圧の初期設定値{1−0.1×(n−1)}×V0に到達したら電解を中断することを複数回繰り返した。
陽極酸化皮膜の膜厚を上記と同様の方法により測定し、増加分を第4表に示した。
Figure 0004800799
(6)ポアワイド処理
第2の陽極酸化処理後、第1表に示される条件で、ポアワイド処理を施した。
第1表に示されるポアワイド処理条件の内容は、具体的には、第5表に示されている。即ち、第5表に示される種類、濃度および温度の処理液に、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム部材を第5表に示される時間浸せきさせた。
Figure 0004800799
2.微細構造体の性状
上記で得られた微細構造体についてFE−SEMにより表面写真(倍率20000倍)を撮影し、100nm×100nmの視野で、マイクロポアについて上記式(1)により定義される規則化度を測定した。規則化度の測定は、10箇所において行い、平均値を算出した。結果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、本発明の微細構造体の製造方法(実施例1〜30)は、6価クロム酸を使用しないため安全性に優れ、かつ、6価クロム酸を使用する場合(比較例1〜3)と同じ程度にポアの配列の規則性が高い微細構造体を得ることができる。
ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。
符号の説明
1、2、4、5、7、8 マイクロポア
3、6、9 円

Claims (3)

  1. アルミニウム基板と、前記アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有するアルミニウム部材に、少なくとも、
    ロム酸化合物を含有せず、かつ、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しないアルミナ溶解液としてリン酸および硝酸の混合水溶液を用いて脱膜させる、脱膜処理と、
    陽極酸化処理と
    をこの順に施して、表面にマイクロポアを有する微細構造体を得る、微細構造体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の微細構造体の製造方法により得られる微細構造体。
  3. マイクロポアについて下記式(1)により定義される規則化度が50%以上である、請求項に記載の微細構造体。
    規則化度(%)=B/A×100 (1)
    上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
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