JP4884202B2 - 微細構造体の製造方法および微細構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、微細構造体の製造方法および微細構造体に関する。
金属および半導体の薄膜、細線、ドット等の技術領域では、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて自由電子の動きが閉じ込められることにより、電気的、光学的および化学的に特異な現象が見られることが知られている。このような現象は「量子力学的サイズ効果(量子サイズ効果)」と呼ばれている。このような特異な現象を応用した機能性材料の研究開発が、現在、盛んに行なわれている。具体的には、数百nmより微細な構造を有する材料が、「微細構造体」または「ナノ構造体」と称されており、材料開発の対象の一つとされている。
こうした微細構造体の作製方法としては、例えば、フォトリソグラフィ、電子線露光、X線露光等の微細パターン形成技術を初めとする半導体加工技術によって直接的にナノ構造体を作製する方法が挙げられる。
中でも、規則的な微細構造を有する微細構造体を作製する方法についての研究が注目され、多く行われている。
例えば、自己規制的に規則的な構造が形成される方法として、電解液中でアルミニウムに陽極酸化処理を施して得られる陽極酸化アルミナ膜(陽極酸化皮膜)が挙げられる。陽極酸化皮膜には、数nm程度から数百nm程度の直径を有する複数の微細孔(マイクロポア)が規則的に形成されることが知られている。この陽極酸化皮膜の自己規則化を用い、完全に規則的な配列を得ると、理論的には、マイクロポアを中心に底面が正六角形である六角柱のセルが形成され、隣接するマイクロポアを結ぶ線が正三角形を成すことが知られている。
このようなマイクロポアを有する陽極酸化皮膜の用途例としては、光機能性ナノデバイス、磁気デバイス、発光担体、触媒担持体等が知られている。例えば、特許文献1には、ポアを金属で封孔し局在プラズモン共鳴を発生させてラマン分光分析用装置へ応用する旨が記載されている。
また、特許文献2には、表面に細孔を有し、該細孔に、陽極酸化と孔径拡大処理を組み合わせることで、連続的に細孔径が変化するテーパー形状を付与した陽極酸化ポーラスアルミナを製造することが記載されている。
このようなマイクロポアを形成させる陽極酸化処理の前には、陽極酸化処理のマイクロポアの生成の起点となる窪みを形成させておく方法が知られている。このような窪みを形成させることにより、マイクロポアの配列およびポア径のばらつきを所望の範囲に制御することが容易となる。
窪みを形成させる一般的な方法として、陽極酸化皮膜の自己規則性を利用した自己規則化法が知られている。これは陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。
この自己規則化法は、特許文献1に記載されているように、一度陽極酸化処理した後、リン酸および6価クロム酸の混合水溶液への浸せき処理を施し、再度陽極酸化処理を順に行うのが一般的である。
特開2005−307341号公報 特開2005−156695号公報
しかしながら、リン酸および6価クロム酸の混合水溶液を用いた脱膜工程は、陽極酸化皮膜の厚さによっても異なるが、通常、数時間から十数時間という長時間をかけて行う必要があった。
また、磁気デバイス等の用途によっては、規則的な配列のみならず、形成されたポアが真円に近いことも必須条件であり、従来技術の製造方法では更なる改良が必要であった。
したがって、本発明は、短時間で、規則的配列且つポアの真円性に優れた微細構造体の製造方法およびそれにより得られる構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、アルミニウム部材表面に所望の配列を有する窪みを形成し、陽極酸化、皮膜溶解、陽極酸化をこの順に施すことにより、短時間で、真円性の高いマイクロポアを有する微細構造体を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(i)〜(iii)を提供する。
(i)下記の工程をこの順序で含む微細構造体の製造方法:
(1)アルミニウム部材表面に所望の配列を有する窪みを形成する工程、
(2)該アルミニウム部材を陽極酸化処理しマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する工程、
(3)酸またはアルカリで少なくとも該陽極酸化皮膜の一部を溶解する工程、
(4)陽極酸化処理し、これにより深さ方向に向かって新たなマイクロポアを成長させる工程
(5)前記マイクロポアの断面形状が直管構造となるように陽極酸化皮膜の一部を除去する工程。
(ii)下記の工程をこの順序で含む微細構造体の製造方法:
(1)アルミニウム部材表面に所望の配列を有する窪みを形成する工程、
(2)該アルミニウム部材を陽極酸化処理しマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する工程、
(3)酸またはアルカリで少なくとも該陽極酸化皮膜の一部を溶解する工程、
(4)陽極酸化処理し、これにより深さ方向に向かって新たなマイクロポアを成長させる工程、
(5)前記マイクロポアの断面形状が直管構造となるように陽極酸化皮膜の一部を除去する工程、
(6)前記(4)工程および前記(5)工程を少なくとも1回繰返す工程。
(iii)上記の(i)〜(ii)に記載の微細構造体の製造方法で得られる微細構造体。
本発明の微細構造体の製造方法によれば、短時間で、真円度の高いマイクロポアを有する微細構造体を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、
(i)下記の工程をこの順序で含む微細構造体の製造方法:
(1)アルミニウム部材表面に所望の配列を有する窪みを形成する工程、
(2)該アルミニウム部材を陽極酸化処理しマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する工程、
(3)酸またはアルカリで少なくとも該陽極酸化皮膜の一部を溶解する工程、
(4)陽極酸化処理し、これにより深さ方向に向かって新たなマイクロポアを成長させる工程。
(ii)上記工程(i)にさらに、(5)前記マイクロポアの断面形状が直管構造となるように陽極酸化皮膜の一部を除去する工程を含む上記(i)に記載の微細構造体の製造方法。
(iii)上記工程(ii)にさらに、工程(4)と工程(5)とを1回以上繰り返す工程。
<アルミニウム部材>
本発明に用いられるアルミニウム部材は、アルミニウム基板と、前記アルミニウム基板の表面に存在する、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜とを有する。このアルミニウム部材は、アルミニウム基板の少なくとも一方の表面に陽極酸化処理を施して得ることができる。
図1、2は、本発明の微細構造体の製造方法を説明するためのアルミニウム部材および微細構造体の模式的な端面図である。
<アルミニウム基板>
アルミニウム基板は、特に限定されず、例えば、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板が挙げられる。
アルミニウム基板のうち、陽極酸化処理により陽極酸化皮膜を設ける表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であるのが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上記範囲であると、ポア配列の規則性が十分となる。
アルミニウム基板の形状は、特に限定されない。例えば、アルミニウムウェブであってもよく、枚葉状シートであってもよい。
<ロールによるウエブの搬送>
アルミニウム基板がアルミニウムウェブである場合は、後述する皮膜溶解処理、陽極酸化処理および直管状処理を、アルミニウムウェブを搬送しつつ施すのが好ましい。
アルミニウムウェブの搬送においては、大量かつ安定に搬送を行う観点から、それに用いられる搬送ロールの曲率半径が50mm以上であるのが好ましく、70mm以上であるのがより好ましく、100mm以上であるのが更に好ましい。上記範囲であると、搬送ロールに強い圧がかかってアルミニウムウェブが切れるおそれが小さい。
アルミニウムウェブの幅は、大量搬送の観点から、50mm以上であるのが好ましく、100mm以上であるのがより好ましく、150mm以上であるのが更に好ましい。上記範囲であると、張力によりアルミニウムウェブが切れてしまうおそれが小さい。
搬送速度は、大量搬送の観点から、1mm/min〜150m/minであるのが好ましく、10mm/min〜100m/minであるのがより好ましく、50mm/min〜50m/minであるのが更に好ましい。上記範囲であると、搬送速度が速すぎてアルミニウムウェブが切れてしまうおそれが小さく、また、搬送速度が遅すぎて生産性が低くなりすぎることがない。
搬送の方法は、連続的および非連続的のいずれであってもよい。
アルミニウム基板の表面は、あらかじめ脱脂処理および鏡面仕上げ処理を施されるのが好ましい。
また、本発明により得られる微細構造体を、光透過性を利用する用途に用いる場合は、あらかじめアルミニウム基板が熱処理を施されるのが好ましい。熱処理により、ポア配列の規則性が高い領域が広くなる。
<熱処理>
熱処理を施す場合は、200〜350℃で30秒〜2分程度施すのが好ましい。これにより、後述する陽極酸化処理により生成するマイクロポアの配列の規則性が向上する。
熱処理後のアルミニウム基板は、急速に冷却するのが好ましい。冷却する方法としては、例えば、水等に直接投入する方法が挙げられる。
<脱脂処理>
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶剤等を用いて、アルミニウム表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分等を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。
脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
中でも、以下の各方法が好適に例示される。
アルコール(例えば、メタノール)、ケトン、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温でアルミニウム表面に接触させる方法(有機溶剤法);石けん、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度でアルミニウム表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度でアルミニウム表面に30〜80秒間接触させ、その後、水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温でアルミニウム表面に30秒間程度接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温でアルミニウム表面に接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃でアルミニウム表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法)。
脱脂処理は、アルミニウム表面の脂分を除去しうる一方で、アルミニウムの溶解がほとんど起こらない方法が好ましい。この点で、有機溶剤法、界面活性剤法、乳化脱脂法、リン酸塩法が好ましい。
<鏡面仕上げ処理>
鏡面仕上げ処理は、アルミニウム基板の表面の凹凸をなくして、電着法等による粒子形成処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。アルミニウム部材の表面の凹凸としては、例えば、アルミニウム部材が圧延を経て製造されたものである場合における、圧延時に発生した圧延筋が挙げられる。
本発明において、鏡面仕上げ処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
機械研磨としては、例えば、各種市販の研磨布で研磨する方法、市販の各種研磨剤(例えば、ダイヤ、アルミナ)とバフとを組み合わせた方法が挙げられる。具体的には、研磨剤を用いる方法を、用いる研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行う方法が好適に例示される。この場合、最終的に用いる研磨剤としては、#1500のものが好ましい。これにより、光沢度を50%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに50%以上)とすることができる。
化学研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法が挙げられる。
また、リン酸−硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好適に挙げられる。中でも、リン酸−硝酸法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
電解研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法が挙げられる。
また、米国特許第2708655号明細書に記載されている方法が好適に挙げられる。
また、「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p.32−38に記載されている方法も好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
これらの方法は、適宜組み合わせて用いることができる。例えば、研磨剤を用いる方法を、用いる研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行い、その後、電解研磨を施す方法が好適に挙げられる。
鏡面仕上げ処理により、例えば、平均表面粗さRa0.1μm以下、光沢度50%以上の表面を得ることができる。平均表面粗さRaは、0.03μm以下であるのが好ましく、0.02μm以下であるのがより好ましい。また、光沢度は70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741−1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG−1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で、測定する。
<(1)アルミニウム部材表面に所望の配列を有する窪みを形成する工程>
アルミニウム表面にマイクロポアを形成させる陽極酸化処理の前に、陽極酸化処理のマイクロポアの生成の起点となる窪みを形成させておく。このような窪みを形成させることにより、後述するマイクロポアの配列およびポア径の真円度を所望の範囲に制御することが容易となる。
窪みを形成させる方法は、特に限定されず、例えば、転写法を含む物理的方法、粒子線法、ブロックコポリマー法、レジストパターン・露光・エッチング法が挙げられる。
電気化学的なマイクロポアの形成は行わない。これにより陽極酸化により形成されるマイクロポアの起点を任意の所望の配列とすることができるようになり得られる構造体の真円性を高くすることができる。
<物理的方法>
例えば、インプリント法(突起を有する基板またはロールをアルミニウム板に圧接し、凹部を形成する、転写法、プレスパターニング法)を用いる方法が挙げられる。具体的には、複数の突起を表面に有する基板をアルミニウム表面に押し付けて窪みを形成させる方法が挙げられる。例えば、特開平10−121292号公報に記載されている方法を用いることができる。
また、アルミニウム表面にポリスチレン球を稠密状態で配列させ、その上からSiO2を蒸着した後、ポリスチレン球を除去し、蒸着されたSiO2をマスクとして基板をエッチングして窪みを形成させる方法も挙げられる。
<粒子線法>
粒子線法は、アルミニウム表面に粒子線を照射して窪みを形成させる方法である。粒子線法は、窪みの位置を自由に制御することができるという利点を有する。
粒子線としては、例えば、荷電粒子ビーム、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)、電子ビームが挙げられる。
粒子線法としては、例えば、特開2001−105400号公報に記載されている方法を用いることもできる。
<ブロックコポリマー法>
ブロックコポリマー法は、アルミニウム表面にブロックコポリマー層を形成させ、熱アニールによりブロックコポリマー層に海島構造を形成させた後、島部分を除去して窪みを形成させる方法である。
ブロックコポリマー法としては、例えば、特開2003−129288号公報に記載されている方法を用いることができる。
<レジストパターン・露光・エッチング法>
レジストパターン・露光・エッチング法は、フォトリソグラフィあるいは電子ビームリソグラフィ法によりアルミニウム板表面のレジストに露光および現像を施し、レジストパタンを形成した後これをエッチングする。レジストを設け、エッチングしてアルミニウム表面まで貫通した窪みを形成させる方法である。
上述した種々の窪みを形成させる方法の中でも、物理的方法、FIB法、レジストパターン・露光・エッチング法が望ましい。
本発明において、アルミニウム板の表面に複数の窪みを所定の間隔および配列で形成し、特に細孔間隔が0.1μm前後の非常に微細な多孔性陽極酸化アルミナ膜を作製する場合、上記アルミニウム板表面に微細な窪みを人工的に規則正しく形成するために電子ビームリソグラフィやX線リソグラフィなどを用いた高解像度の微細加工技術を用いる必要があり、このような微細加工技術を多孔性陽極酸化アルミナを製造するたびに毎回適用することは経済的でないため、複数の突起を表面に備えた基板を陽極酸化するアルミニウム板表面に押し付ける転写(インプリント)法が好ましい。
具体的には、突起を有する基板またはロールをアルミニウム板上に密着させ、油圧プレスなどを用いて圧力を印加することにより実施できる。基板に設ける突起の配列(パターン)は、陽極酸化によって形成する多孔性陽極酸化アルミナ膜の細孔の配列に対応させるものとし、正六角形状の周期的な配列は言うに及ばず、周期的配列の一部を欠いたような任意のパターンとすることもできる。また、突起を形成する基板は鏡面の表面を有するとともに、押し付ける圧力により破壊されたり突起の配置が変形することのない強度と硬度を有するものが望ましい。このためには、アルミニウムやタンタルのような金属基板も含め、微細加工が容易で汎用的なシリコン基板等を用いることができるが、強度の高いダイヤモンドやシリコンカーバイドで構成されている基板は、繰り返し使用回数を多くすることができるので、より望ましい。これによって、突起を有する基板またはロールを1個作製しておけば、これを繰り返し使用することにより、効率的に多数のアルミニウム板に規則的な窪み配列を形成することができる。
上記の転写法を用いた場合の圧力としては、基板の種類にもよるが、0.001〜100トン/cmが好ましく、0.01〜75トン/cmがより好ましく、0.1〜50トン/cmが特に好ましい。
また、プレス時の温度としては、0〜300℃が好ましく、5〜200℃がより好ましく、10〜100℃が特に好ましく、プレスの時間としては、2秒〜30分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、10秒〜5分が特に好ましい。
また、プレス後の表面形状を固定化する観点から、アルミニウム表面部を冷却する方法も後処理として付け加えることができる。
図1(A)に示されるように、アルミニウム基板12は、例えば、表面に所望の突起を有する基板13を、矢印の方向に圧接され、図1(B)に示されるように、表面に所望の配列を有する窪み15が形成される。
<(2)アルミニウム部材を陽極酸化処理しマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する工程、陽極酸化処理>
陽極酸化処理としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させる。
この方法においては、ポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のポア径を得ることができる。
陽極酸化処理をする際の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化処理を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため、好ましい。そのようなかくはん装置としては、例えば、AS ONE社製のマグネティックスターラーHS−50Dが挙げられる。
陽極酸化処理は、例えば、酸濃度1〜10質量%の溶液中で、アルミニウム基板を陽極として通電する方法を用いることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、酸溶液であることが好ましく、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度0.1〜20質量%、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜300V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.5〜15質量%、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度1〜10質量%、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化皮膜の厚さは、1〜300μmであるのが好ましく、5〜150μmであるのがより好ましく、10〜100μmであるのが更に好ましい。
陽極酸化処理の処理時間は、0.5分〜16時間であるのが好ましく、1分〜12時間であるのがより好ましく、2分〜8時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理は、一定電圧下で行う以外に、電圧を断続的または連続的に変化させる方法も用いることができる。この場合は電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、後に電着処理を行う場合に、均一化することができる。
平均ポア密度は50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
マイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。なお、マイクロポアの占める面積率は、アルミニウム表面の面積に対するマイクロポアの開口部の面積の合計の割合で定義される。
図1(C)に示されるように、陽極酸化されたアルミニウム部材10aは、アルミニウム基板12の表面に、マイクロポア16aを有する陽極酸化皮膜14aを有する。陽極酸化皮膜14aのアルミニウム基板12側には、バリア層18aが存在する。
<(3)酸またはアルカリで少なくとも該陽極酸化皮膜の一部を溶解する工程>
溶解処理は、陽極酸化皮膜の一部を溶解する。ポアワイド処理とも呼ばれる。
陽極酸化皮膜の一部を溶解する工程は、上述したアルミニウム部材の陽極酸化皮膜の一部を溶解する処理である。好ましくは、FE−SEMで倍率20000倍の像を観察したときに、マイクロポアの配列がより規則的に見えるところまで溶解する。具体的には陽極酸化皮膜の一部とバリア層とが残存するように溶解させる処理である。陽極酸化皮膜をほとんど溶解させて除去しても良い。
この皮膜溶解処理により、陽極酸化皮膜の表面の配列が不規則な部分が一部溶解するため、マイクロポアの配列の規則性が高くなる。一方、陽極酸化皮膜のマイクロポア内部も同様に一部溶解し、後述する陽極酸化処理の起点となる。
図2(A)に示されるように、皮膜溶解処理により、図1(C)に示される陽極酸化皮膜14aの表面およびマイクロポア16aの内部(バリア層18aおよび多孔質層)が溶解し、アルミニウム基板12上に、マイクロポア16bを有する陽極酸化皮膜14bを有するアルミニウム部材10bが得られる。
皮膜溶解処理は、アルミニウム部材を酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
皮膜溶解処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜60℃であるのが好ましい。
皮膜溶解処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
皮膜溶解処理において、陽極酸化皮膜の溶解量は、陽極酸化皮膜の表面の配列が不規則な部分を溶解させて、マイクロポアの配列の規則性を高くすることができるとともに、マイクロポアの底部分の陽極酸化皮膜を溶解させずに残存させて、後述する陽極酸化処理の起点を残すことができる。
<(4)陽極酸化処理し、これにより深さ方向に向かって新たなマイクロポアを成長させる工程、陽極酸化処理>
陽極酸化処理は、上述した皮膜溶解処理の後に行われる。これにより、アルミニウム基板の酸化反応が進行し、皮膜溶解処理により一部溶解した陽極酸化皮膜より深さ方向に向かって新たなマイクロポアが成長する。
図2(B)に示されるように、陽極酸化処理により、図2(A)に示されるアルミニウム基板12の酸化反応が進行し、アルミニウム基板12上に、マイクロポア16bよりも深くなったマイクロポア16cを有する陽極酸化皮膜14cを有する微細構造体20aが得られる。
皮膜溶解処理後の陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した皮膜溶解処理前の陽極酸化処理と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
上述した電圧を断続的に変化させる方法においては、電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、後に電着処理を行う場合に、均一化することができる。
陽極酸化皮膜の厚さの増加量は、0.1〜100μmであるのが好ましく、0.5〜50μmであるのがより好ましい。上記範囲であると、ポアの配列の規則性をより高くすることができる。
バリア層の厚さは、1〜90nmであるのが好ましく、5〜60nmであるのがより好ましい。
<(5)前記マイクロポアの断面形状が直管構造となるように陽極酸化皮膜の一部を除去する工程、直管状工程>
直管状工程は、マイクロポアの断面形状が直管構造となるように、陽極酸化皮膜の一部を除去する。マイクロポアの断面形状が直管構造となるように、陽極酸化皮膜の一部を除去するとは、例えば、予め処理液浸漬前後の陽極酸化皮膜を、断面方向からFE−SEMにより撮影して溶解条件を定め、予め定められた溶解条件で溶解処理することができる。より具体的には、アルミニウム部材の破断面を形成し、FE−SEMで倍率20000倍で観察することにより、マイクロポアの断面の内径の深さ方向の変曲点より表面側の陽極酸化皮膜を溶解除去できる条件とする。これにより、陽極酸化皮膜の表面が溶解して、マイクロポアの直管性が高くなり、その結果マイクロポアの真円度の高い微細構造体が得られる。
図2(C)に示されるように、直管状処理により、図2(B)に示される陽極酸化皮膜14cの変曲点より表面側のマイクロポア16cの内部が溶解し、アルミニウム基板12上に、直管状のマイクロポア16dを有する陽極酸化皮膜14dを有する微細構造体20bが得られる。
直管状工程は、基本的に、皮膜溶解処理と同様の条件で行うことができるので、以下に相違する点のみを説明する。
直管状工程においては、マイクロポアの断面形状が直管構造となるように、陽極酸化皮膜の一部を除去する。マイクロポアの断面の内径の深さ方向の変曲点より表面側の陽極酸化皮膜を溶解除去するには、例えば、1)予め処理液浸漬前後の陽極酸化皮膜を、断面方向からFE−SEMにより撮影して溶解条件を定め、予め定められた溶解条件で溶解処理することができる。または2)予め先の陽極酸化条件から変極点の深さ方向の位置を推定し、推定位置の1〜70nm、好ましくは2〜60nm、より好ましくは3〜50nm深さ方向まで陽極酸化皮膜を溶解する。または、3)陽極酸化膜の表面をFE−SEMにより観察してより表面のマイクロポアの配列がほぼ規則的になる深さまで溶解する。
直管状工程においては、陽極酸化皮膜の溶解量は、特に限定されず、0.01〜30質量%であるのが好ましく、0.1〜15質量%であるのがより好ましい。
直管状工程においては、酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜90分であるのが好ましく、10〜60分であるのがより好ましく、15〜45分であるのが更に好ましい。
<(6)前記(4)工程および前記(5)工程を少なくとも1回繰返す工程>
次に、好ましくは上述した(4)陽極酸化処理とその後の(5)直管状工程とを含む工程を1回以上行う。繰り返すことによって上述したマイクロポアの断面形状が直管構造となる。この点で、この工程を3〜10回繰り返して行うのが好ましく、5〜7回繰り返して行うのがより好ましい。
上記工程を2回以上繰り返して行う場合、各回の陽極酸化処理および直管状工程の条件はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。中でも、真円度向上性の観点から、2回以上の陽極酸化処理において、電圧を異なったものとするのが好ましい態様の一つである。その場合、徐々に高電圧の条件に変えていくのが、真円度向上性の観点から、より好ましい。
<微細構造体>
上述した本発明の微細構造体の製造方法により、本発明の微細構造体が得られる。
本発明の微細構造体は、平均ポア密度が50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
また、本発明の微細構造体は、マイクロポアの占める面積率が20〜50%であるのが好ましい。
更に、本発明の微細構造体は、マイクロポアについて下記式(1)により定義される真円度が0.1以下であるのが好ましい。より好ましくは0.08以下、さらには0.06以下である。
具体的には、得られた酸化皮膜を表面側からFE−SEMにて撮影し、画像解析ソフトにより1μm中の全ての孔形状を抽出して(なお、マイクロポア自体の配列は、実施例1〜5、比較例1、2いずれもハニカム配列を取っていた。)、各孔の等価円半径、最大半径、最小半径を求め、下記一般式により、真円度パラメータTを算出した。値が小さいほど真円に近いことを表す。
一般式(1):T=Σ(Smax−Smin)÷ΣS
ここで、Sは表面方向から孔を観察したときの等価円半径、Smaxは最大半径、Sminは最小半径を表す。
<その他の処理>
また、必要に応じて、その他の処理を施すことができる。
例えば、本発明の微細構造体を試料台にして、水溶液を垂らして膜状にしたい場合には、水との接触角を小さくするために、親水化処理を施してもよい。親水化処理は、従来公知の方法により施すことができる。
また、本発明の微細構造体を試料台にして、酸で変性し、または分解されるタンパク質を対象とする場合には、ポアワイド処理に用いられ、アルミニウム表面に残留している酸を中和するために、中和処理を施してもよい。中和処理は、従来公知の方法により施すことができる。
また、本発明の微細構造体は、用途に応じて、アルミニウム基板を除去することもできる。
アルミニウム基板を除去する方法は、特に限定されないが、例えば、アルミナが難溶または不溶であり、アルミニウムが可溶である溶剤に浸せきさせる方法が好ましい。
溶剤の種類としては、臭素、ヨウ素等のハロゲン溶剤;希硫酸、リン酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の酸性溶剤;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ性溶剤が好適に例示される。中でも、臭素、ヨウ素が好ましい。
本発明の微細構造体は、用途に応じて、陽極酸化皮膜のマイクロポアに触媒を担持することもできる。
触媒は、触媒機能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
AlCl3、AlBr3、Al23、SiO2、SiO2−Al23、Siゼオライト、SiO2−NiO、活性炭、PbO/Al23、LaCoO3、H3PO4、H427、Bi23−MoO3、Sb25、SbO5−Fe23、SnO2−Sb25、Cu、CuO2−Cr23、Cu−Cr23−ZnO、Cu/SiO2、CuCl2、Ag/α−Al23、Au、ZnO、ZnO−Cr23、ZnCl2、ZnO−Al23−CaO、TiO2、TiCl4・Al(C253、Pt/TiO2、V25、V25−P25、V25/TiO2、Cr23、Cr23/Al23、MoO3、MoO3−SnO2、Co・Mo/Al23、Ni・Mo/Al23、MoS2、Mo−Bi−O、MoO3−Fe23、H3PMo1240、WO3、H3PW1240、MnO2、Fe−K2O−Al23、Fe23−Cr23、Fe23−Cr23−K2O、Fe23、Co、Co/活性炭、Co34、Coカルボニル錯体、Ni、RaneyNi、Ni/担体、修飾Ni、Pt、Pt/Al23、Pt−Rh−Pd/担体、Pd、Pd/SiO2、Pd/Al23、PdCl2−CuCl2、Re、Re−Pt/Al23、Re27/Al23、Ru、Ru/Al23、Rh、Rh錯体。
担持の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、電着法;触媒粒子の分散液を、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム部材に塗布し乾燥させる方法が好適に挙げられる。触媒は、単一粒子または凝集体であるのが好ましい。
電着法は、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、金電着法の場合、1g/LのHAuCl4と7g/LのH2SO4を含有する30℃の分散液に、アルミニウム部材を浸せきさせ、11Vの定電圧(スライダックで調整)で、5〜6分間電着処理する方法が挙げられる。
電着法としては、現代化学,1997年1月号,p.51−54に銅、スズおよびニッケルを用いた例が詳細に記載されており、この方法を用いることもできる。
触媒粒子を用いる方法に用いられる分散液は、従来公知の方法により得ることができる。例えば、低真空蒸発法による微粒子の作製方法、触媒塩の水溶液を還元する触媒コロイド作製方法により得ることができる。
触媒コロイド粒子は、平均粒径が1〜200nmであるのが好ましく、1〜100nmであるのがより好ましく、2〜80nmであるのが更に好ましい。
分散液に用いられる分散媒としては、水が好適に用いられる。また、水と混合しうる溶剤、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコールと、水との混合溶媒も用いることができる。
触媒コロイド粒子を用いる方法において、塗布方法は特に限定されず、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、浸せき塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等が挙げられる。
触媒コロイド粒子を用いる方法に用いられる分散液としては、例えば、金コロイド粒子の分散液、銀コロイド粒子の分散液が好適に用いられる。
金コロイド粒子の分散液としては、例えば、特開平2001−89140号公報および特開平11−80647号公報に記載されているものを用いることができる。また、市販品を用いることもできる。
銀コロイド粒子の分散液は、陽極酸化皮膜から溶出する酸によって影響を受けない点で、銀とパラジウムの合金の粒子を含有するのが好ましい。この場合、パラジウムの含有量は、5〜30質量%であるのが好ましい。
分散液を塗布した後、水等の溶媒を用いて適宜洗浄する。これにより、マイクロポアに担持された触媒粒子のみ陽極酸化皮膜に残存し、マイクロポアに充填されなかった触媒粒子は除去される。
担持処理後の触媒の付着量は、10〜1000mg/m2であるのが好ましく、50〜800mg/m2であるのがより好ましく、100〜500mg/m2であるのが特に好ましい。
また、担持処理後の表面空隙率は、70%以下であるのが好ましく、50%以下であるのがさらに好ましく、30%以下であるのが特に好ましい。担持処理後の表面空隙率は、アルミニウム表面の面積に対する担持されていないマイクロポアの開口部の面積の合計の割合である。
分散液に用いられる触媒コロイド粒子は、通常、粒径分布のばらつきが変動係数で10〜20%程度である。本発明においては、ポア径のばらつきを特定の範囲にすることにより、粒径分布にばらつきのあるコロイド粒子を効率よく封孔に用いることができる。
ポア径が50nm以上である場合は、触媒コロイド粒子を用いる方法が好適に用いられる。また、ポア径が50nm未満である場合は、電着法が好適に用いられる。両者を組み合わせる方法も好適に用いられる。
本発明の微細構造体は、真円度の高いマイクロポアを有するため、種々の用途に応用することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
1.微細構造体の作製
(実施例1〜5および比較例1、2)
基板に、鏡面仕上げ処理を施した後、以下に記載の方法で各微細構造体を得た。
(1)基板
微細構造体の作製に用いた基板は、高純度アルミニウム基板(住友軽金属工業(株)製、純度99.99質量%、厚さ0.4mm)であった。この高純度アルミニウム基板を、陽極酸化処理を施す部分を一辺10cmの正方形にすることができるような大きさにカットして用いた。
(2)鏡面仕上げ処理
上記基板に鏡面仕上げ処理を施した。
<鏡面仕上げ処理>
研磨布を用いた研磨、バフ研磨および電解研磨をこの順に行うことにより、鏡面仕上げ処理を施した。バフ研磨後には水洗を行った。
研磨布を用いた研磨は、研磨盤(Struers Abramin、丸本工業社製)および耐水研磨布(市販品)を用い、耐水研磨布の番手を#200、#500、#800、、#1000および#1500の順に変更しつつ行った。
バフ研磨は、スラリー状研磨剤(FM No.3(平均粒径1μm)およびFM No.4(平均粒径0.3μm)、いずれもフジミインコーポレーテッド社製)を用いて行った。
電解研磨は、下記組成の電解液(温度70℃)を用いて、陽極を基板、陰極をカーボン電極とし、130mA/cm2の定電流で、2分間行った。電源としては、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。
<電解液組成>
・85質量%リン酸(和光純薬工業社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
(3)工程(1)窪み形成工程
シリコン基板上に、ポジ型電子ビームレジスト(ZEP−520:日本ゼオン(株)の商品名)を0.1μmの厚さにスピンコートし、電子ビーム露光装置で各突起に対して周辺の突起が正六角形状に0.1μmの周期で配列したドットパタンを露光した後、これを現像して前記レジストに約25nm径の細孔を開けた。この上に、電子ビーム蒸着装置を用いて50nmの厚さのクロムを蒸着し、溶剤であるジグライム中に浸漬して超音波を印可し、レジスト上のクロムをレジストと共に除去することにより、約25nm径で、50nmの高さのクロムの突起を形成した。そして、このクロムをマスクとして、CF4 ガスを用いた反応性ドライエッチング法によりシリコン基板を60nmの深さにエッチングした。この後、酸素プラズマでクロムを除去して、約25nm径、高さ60nmの突起を、0.1μm周期で、規則的に配列した基板を作製した。そして、上述の突起を形成したシリコン基板を前記鏡面仕上げ処理後のアルミニウム上に置き、油圧プレス機を用いて3トン/cm2の圧力を加えることにより、アルミニウム板表面に窪みを形成した。
(4)工程(2)陽極酸化処理
処理後のアルミニウム基板に、0.50mol/Lシュウ酸水溶液の電解液を用いて、電圧40V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で5時間陽極酸化処理を行なった。なお、陰極はステンレス電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、冷却装置としては、NeoCool BD36(ヤマト科学社製)、かくはん加温装置としてペアスターラー PS−100(EYELA社製)を用いた。電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
(5)工程(3)陽極酸化皮膜溶解処理
上記で得られた陽極酸化処理後のサンプルを温度40℃、0.50mol/Lのリン酸水溶液に25分間浸せきした。
(6)工程(4)陽極酸化処理
上記処理後のサンプルを、0.50mol/Lシュウ酸水溶液の電解液を用いて、電圧40V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で5時間陽極酸化処理を行なった。電極並びに装置等は、上記工程(2)で使用したものと同様のものを用いた。
(7)工程(5)陽極酸化皮膜溶解処理(直管状工程)
上記で得られた陽極酸化処理後のサンプルを温度40℃、0.50mol/Lのリン酸水溶液に25分間浸せきし、実施例1のサンプルを得た。
(実施例2)
上記実施例1において、工程(1)の窪み形成処理用の突起基板を以下記載の方法で作成した。すなわち、ダイヤモンド薄膜を厚さ0.5μm堆積したシリコンカーバイド基板上に、電子ビームネガ型レジスト(SNR−M5:東ソ(株)の商品名)を0.1μmスピンコートし、電子ビーム露光で、約25nm径、高さ70nmの突起を、100nm周期で規則的に配列した突起を形成した。
その後、実施例1と同様の方法で作成した鏡面仕上げ済みのアルミニウム基板表面に、突起を形成したシリコンカーバイド基板を密着させ、油圧プレス機を用い、4トン/cm2 の圧力を加えることによりアルミニウム板表面に窪みを形成した。
その後は、実施例1と同様の方法で、工程(2)〜(5)の処理を順に施し、実施例2のサンプルを得た。
(実施例3)
上記実施例1において、
工程(1)の突起基材の周期を62.5nmとし、工程(2)および(4)で処理液を0.30mol/Lの硫酸とし、電圧を25Vとし、工程(3)および(5)で処理時間を20分とした以外は、実施例1と同じ方法で、工程(1)〜(5)の処理を順に施し、実施例3のサンプルを得た。
(実施例4)
上記実施例1において、工程(5)を省略した以外は、実施例1と同様の方法で、工程(1)〜(4)の処理を順に施し、実施例4のサンプルを得た。
(実施例5)
上記実施例1において、工程(4)/(5)をそれぞれさらに2回追加した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5のサンプルを得た。
(比較例1)
上記実施例1において、工程(3)、(4)、(5)を省略した以外は、実施例1と同様の方法で、工程(1)(2)の処理を順に施し、比較例1のサンプルを得た。
(比較例2)
上記実施例1において、工程(4)、(5)を省略した以外は、実施例1と同様の方法で、工程(1)〜(3)の処理を順に施し、比較例2のサンプルを得た。
2.構造体の形状解析
上記のようにして得られた実施例1〜5、及び、比較例1、2の構造体サンプルの表面方向からみた時のマイクロポアの真円度を評価した。
具体的には、得られた酸化皮膜を表面側からFE−SEMにて撮影し、画像解析ソフトにより1μm中の全ての孔形状を抽出して(なお、マイクロポア自体の配列は、実施例1〜5、比較例1、2いずれもハニカム配列を取っていた。)、各孔の等価円半径、最大半径、最小半径を求め、下記一般式により、真円度パラメータTを算出した。値が小さいほど真円に近いことを表す。結果を第1表に示す。
一般式(1):T=Σ(Smax−Smin)÷ΣS
ここで、Sは表面方向から孔を観察したときの等価円半径、Smaxは最大半径、Sminは最小半径を表す。
Figure 0004884202
第1表から明らかなように、本発明の微細構造体の製造方法(実施例1〜5)は、真円度パラメータが小さく比較例1、2に比べて真円にちかい微細構造体を得ることができる。
図1(A)、(B)、(C)は、本発明の微細構造体の製造方法を説明するためのアルミニウム部材および微細構造体の模式的な端面図である。 図2(A)、(B)、(C)は、本発明の微細構造体の製造方法を説明するためのアルミニウム部材および微細構造体の模式的な端面図である。
符号の説明
1、2、4、5、7、8、16a、16b、16c、16d マイクロポア
10a、10b、10c アルミニウム部材
12 アルミニウム基板
13 基板
14a、14b、14c、14d 陽極酸化皮膜
15 窪み
18a、18b、18c、18d バリア層
20a,20b 微細構造体

Claims (2)

  1. 下記の工程をこの順序で含む微細構造体の製造方法:
    (1)アルミニウム部材表面に所望の配列を有する窪みを形成する工程、
    (2)該アルミニウム部材を陽極酸化処理しマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する工程、
    (3)酸またはアルカリで少なくとも該陽極酸化皮膜の一部を溶解する工程、
    (4)陽極酸化処理し、これにより深さ方向に向かって新たなマイクロポアを成長させる工程
    (5)前記マイクロポアの断面形状が直管構造となるように陽極酸化皮膜の一部を除去する工程。
  2. 下記の工程をこの順序で含む微細構造体の製造方法:
    (1)アルミニウム部材表面に所望の配列を有する窪みを形成する工程、
    (2)該アルミニウム部材を陽極酸化処理しマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する工程、
    (3)酸またはアルカリで少なくとも該陽極酸化皮膜の一部を溶解する工程、
    (4)陽極酸化処理し、これにより深さ方向に向かって新たなマイクロポアを成長させる工程、
    (5)前記マイクロポアの断面形状が直管構造となるように陽極酸化皮膜の一部を除去する工程、
    (6)前記(4)工程および前記(5)工程を少なくとも1回繰返す工程。
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