JP2011084810A - 微細構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】規則化度が高く、マイクロポアの中心間距離が大きく、膜厚が50μm以上となる微細構造体、およびその製造方法の提供。
【解決手段】本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化皮膜よりなる微細構造体で、底部面で複数のマイクロポアの規則化度が70%以上であり、該マイクロポアの中心間距離が600nm以上であり、該マイクロポアの軸方向の長さが50μm以上である微細構造体とその製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細構造体に関し、特に長周期のマイクロポア配列を有する微細構造体およびその製造方法に関する。
金属および半導体の薄膜、細線、ドット等の技術領域では、ある特徴的な長さより小さなサイズにおいて自由電子の動きが閉じ込められることにより、電気的、光学的および化学的に特異な現象が見られている。このような現象は「量子力学的サイズ効果(量子サイズ効果)」と呼ばれている。このような特異な現象を応用した機能材料の研究開発が、現在盛んに行われている。具体的には、数百nmより微細な構造を有する材料が、「微細構造体」または「ナノ構造体」と称されており、材料開発の対象とされている。
こうした微細構造体の作製方法としては、例えば、フォトリソグラフィ、電子線露光、X線露光等の微細パターン形成技術を初めとする半導体加工技術によって直接的にナノ構造体を作製する方法が挙げられる。
中でも、規則的なマイクロポアを有する微細構造体を作製する方法についての研究が注目され、多く行われている。
例えば、自己規制的に規則的な構造が形成される方法として、電解液中でアルミニウムを陽極酸化処理して得られる陽極酸化アルミナ膜(陽極酸化皮膜)が挙げられる。陽極酸化皮膜には、数nm程度から数百nm程度の直径を有する複数の微細孔(マイクロポア)が規則的に形成されることが知られている。この陽極酸化皮膜の自己規則化を用い、完全に規則的な配列を得ると、理論的には、マイクロポアを中心に底面が正六角形である六角柱のセルが形成され、隣接するマイクロポアを結ぶ線が正三角形を成すことが知られている。
このようなマイクロポアを有する陽極酸化皮膜の用途例としては、光機能性ナノデバイス、磁気デバイス、発光担体、触媒担持体等が知られている。例えば、特許文献1には、ポアを金属で封孔し局所プラズモン共鳴を発生させてラマン光分析装置へ応用する旨が記載されている。
このようにマイクロポアを形成させる陽極酸化処理の前には、陽極酸化処理のマイクロポアの生成の起点となる窪みを形成させておく方法が知られている。このように窪みを形成させることにより、マイクロポアの配列およびポア径のばらつきを所望の範囲に制御することが容易となる。
窪みを形成させる一般的な方法として、陽極酸化皮膜の自己規則性を利用した自己規則化法が知られている。これは陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。
また、特許文献2には、マイクロポアの窪みの間隔(周期)を2.5nm/Vで徐することによって得られるアノード酸化電圧で陽極酸化を行うこと、すなわち、ポア周期を電圧値で調整できることが記載されている。しかし、ポア周期が500nmを超える陽極酸化皮膜の記載は見られない。
特開2007-231336号公報 特許第3714507号
特許文献1記載の自己規則化法は、平均ポア密度が15個/μm2以下即ち、マイクロポアの重心間距離が300nm以上では、陽極酸化皮膜の膜成長速度をハニカム配列化に必要な速度に維持できず、規則配列化されたマイクロポアの構造を維持したまま膜をマイクロポアの軸方向に成長させることが困難であった。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、特定のカルボン酸を含む電解液を用いて陽極酸化処理を施すことにより、ハニカム配列化されたマイクロポアのハニカム配列を崩すことなく、マイクロポアの中心間距離が大きく、膜厚が50μm以上となる微細構造体を作成できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(4)を提供する。
(1)アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化皮膜よりなる微細構造体で、底部面で下記一般式(1)により定義される複数のマイクロポアの規則化度が70%以上であり、該マイクロポアの中心間距離が600nm以上であり、該マイクロポアの軸方向の長さが50μm以上である微細構造体:
一般式(1)
規則化度(%)=B/A×100
上記一般式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの長軸に直角方向の断面の中心から、その他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記マイクロポア以外のマイクロポアの中心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
(2)前記微細構造体のマイクロポアの中心間距離が600nm〜1200nmである請求項1に記載の微細構造体。
ここでマイクロポアの中心間の距離(周期)とは、1つの円環状のマイクロポアの長軸に直角方向断面の中心と、一番近い次のマイクロポアの中心との距離を意味し、マイクロポアの長軸に直角方向の断面の形状が真円でない場合には直角方向の断面の重心を意味する。中心間の距離(周期)は、特に断らない限り複数のマイクロポアの平均値を意味する。マイクロポアの軸方向の長さ、密度等も同様に特に断らない限り複数のマイクロポアの平均値である。
また、底部面とは円環状のマイクロポアの軸に垂直な微細構造体の表面で、マイクロポアの複数の孔を有し、アルミニウムまたはアルミニウム合金板から微細構造体が製造されたときにアルミニウムまたはアルミニウム合金板に近い側の平面で、アルミニウムまたはアルミニウム合金板が除去されて得られる表面をいう。
(3)アルミニウムまたはアルミニウム合金板を、炭素数が3以上の脂式カルボン酸、または芳香族カルボン酸を含む、酸性水溶液中で195V以上の電圧を印加して陽極酸化処理する(1)または(2)に記載の微細構造体の製造方法。
(4)前記カルボン酸が、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸からなる群から選択される少なくとも1つである(3)に記載の微細構造体の製造方法。
上記微細構造体は、マイクロポア内に導電物質を充填した場合は、マイクロポア貫通方向(円環状のマイクロポアの軸方向)に導電性を、マイクロポア貫通方向と垂直な面に絶縁性を有する異方性導電膜として用いることができる。また、マイクロポア径の均一性、マイクロポアの細密充填構造、直管構造を利用した精密フィルタとしての用途が見込まれる。
本発明は、上記一般式(1)により定義される規則化度が70%以上であり、上記マイクロポアの中心間の距離が600nm以上で、上記マイクロポアの厚さが50μm以上である微細構造体を提供することができる。また、本発明の製造方法は、本発明の微細構造体を製造できる。
図1(A),(B)は、本発明の異方導電性部材の好適な実施態様の一例を示す簡略図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は図1(A)の切断面線IB−IBからみた断面図である。 図2(A),(B)は、ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。 図3(A)〜(D)は、本発明の製造方法における陽極酸化処理の一例を説明する模式的な端面図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
<微細構造体>
本発明の微細構造体は、マイクロポアを有するアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化皮膜よりなる。
本発明の微細構造体について、図1を用いて説明する。微細構造体は複数のマイクロポアを有し、本明細書においてマイクロポアに関する規定は特に断らない限り25個以上のマイクロポアの平均値で示されている。
図1は、本発明の微細構造体の好適な実施態様の一例を示す簡略図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は図1(A)の切断面線IB−IBからみた断面図である。
本発明の微細構造体1は、酸化皮膜2およびマイクロポア3から構成される。
図1(B)に示すようにマイクロポア3は、円環状の孔であり、該酸化皮膜2の厚み方向と略平行(図1においては平行)となるように設けられるのが好ましい。
本発明の微細構造体1のマイクロポア3の中心間の距離(図1(A)、図1(B)においては符号9で表される部分)は、600nm以上である。好ましくは、600〜1200nm、より好ましくは、600〜1000nmで、さらに好ましくは600nm超〜1000nmである。
この範囲であると、異方性導電膜として用いる場合に絶縁性と導電性のバランスがよい。
本発明においては、円環状のマイクロポアの軸方向の長さである上記酸化皮膜の厚み(図1(B)においては符号6で表される部分)は、50μm以上である。50〜200μmであるのが好ましく、50〜150μm、さらには50〜100μmであるのがより好ましい。
この範囲であると種々の用途に用いる場合に機械的強度が高く取扱が容易である。
マイクロポア密度は、好ましくは、3.55個/μm以下0.10個/μm以上、より好ましくは、3.55個/μm以下0.50個/μm以上、さらには3.53個/μm以下0.81個/μm以上、であるのが好ましい。この範囲であるとマイクロポアの中心間距離が十分大きい微細構造体を得ることができる。
本発明の微細構造体を構成する上記酸化皮膜2は、アルミニウムまたはアルミニウム合金板の酸化皮膜であり、陽極酸化処理で形成される。
また、本発明においては、マイクロポアの径(図1(B)において符号8で表される部分)は、10〜590nmであるのが好ましく、150〜360nmであるのがより好ましい。この範囲であると、陽極酸化処理形成時のマイクロポア径が均一性に優れるため、好ましいからである。
本発明においては、上記微細構造体1は、底部面で、下記一般式(1)により定義される複数のマイクロポアの規則化度が70%以上である。なお、底部面とは円環状のマイクロポアの軸に垂直な微細構造体の表面で、マイクロポアを複数有し、アルミニウムまたはアルミニウム合金板から微細構造体が製造されたときにアルミニウムまたはアルミニウム合金板に近い側の平面で、アルミニウムまたはアルミニウム合金板が除去されれば除去された後に得られる酸化皮膜の表面をいう。図1(B)においては符号Z2で表される側の平面4をいう。微細構造体1の底部面4の他方は表面5であり、図1(B)においては符号Z1で表される側の平面である。
底部面のマイクロポアの規則化度の測定は、後述する本発明の微細構造体の製造方法において、陽極酸化処理後、皮膜溶解を行い、底面部を走査型電子顕微鏡で観察した画像から所定のマイクロポア数を目視で確認し、下記一般式(1)より算出する。また、最終の陽極酸化処理の起点となる形状を観察して同様に求めてもよい。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
上記一般式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの長軸に直角方向の断面の中心から、その他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記マイクロポア以外のマイクロポアの中心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
図2は、マイクロポアの規則化度を算出する方法の説明図である。図2を用いて、上記式(1)をより具体的に説明する。
図2(A)に示されるマイクロポア101は、マイクロポア101の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円103(図では、マイクロポア102に内接している。)を描いた場合に、円103の内部にマイクロポア101以外のマイクロポアの中心を6個含んでいる。したがって、マイクロポア101は、Bに算入される。
図2(B)に示されるマイクロポア104は、マイクロポア104の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円106(図では、マイクロポア105に内接している。)を描いた場合に、円106の内部にマイクロポア104以外のマイクロポアの重心を5個含んでいる。したがって、マイクロポア104は、Bに算入されない。
また、図2(B)に示されるマイクロポア107は、マイクロポア107の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円109(マイクロポア108に内接している。)を描いた場合に、円109の内部にマイクロポア107以外のマイクロポアの重心を7個含んでいる。したがって、マイクロポア107は、Bに算入されない。
上記微細構造体は、マイクロポア内に電解メッキ、または無電解メッキにより金属を充填することにより、異方性導電膜としての用途が見込まれる。また、微細構造体をアルカリ溶液に浸漬することにより、マイクロポア底部面を貫通させ精密フィルターとしての用途が見込まれる。
本発明の微細構造体は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金板を、炭素数が3以上の脂式カルボン酸、または芳香族カルボン酸を含む、酸性水溶液中で195V以上の電圧を印加して陽極酸化処理することにより製造することができる。
図3は、本発明の微細構造体の製造方法を説明するためのアルミニウム部材および微細構造体の模式的な断面図である。
<アルミニウム基板>
アルミニウムまたはアルミニウム合金基板は特に限定されず、例えば、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板が挙げられる。
アルミニウム基板のうち、陽極酸化処理により陽極酸化皮膜を設ける表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であることがより好ましく、99.99質量%であることが更に好ましい。アルミニウム純度が上記範囲であると、マイクロポア配列の規則性が十分となる。
アルミニウム基板の表面は、あらかじめ脱脂処理および鏡面仕上げ処理を施されるのが好ましい。
<鏡面仕上げ処理>
鏡面仕上げ処理は、アルミニウム基板の表面の凹凸をなくして、電着法等による粒子形成処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。アルミニウム部材の表面の凹凸としては、例えば、アルミニウム部材が圧延を経て製造されたものである場合における、圧延時に発生した圧延筋が挙げられる。
本発明においては、鏡面仕上げ処理は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
機械研磨としては、例えば、各種市販の研磨布で研磨する方法、市販の各種研磨剤(例えば、ダイヤ、アルミナ)とバフとを組み合わせた方法が挙げられる。具体的には、研磨剤を用いる方法と、用いる研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行う方法が好適に例示される。この場合、最終的に用いる研磨剤としては、#1500のものが好ましい。これより、光沢度を50%以上(圧延アルミ二ウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに50%以上)とすることができる。
化学研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」、第6版、(社)日本アルミニウム協会編、2001年、p.164-165に記載されている各種方法が挙げられる。
また、リン酸-硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4-CH3COOH-Cu法、H3PO4-HNO3-CH3COOH法が好適に挙げられる。中でも、リン酸-硝酸法、H3PO4-CH3COOH-Cu法、H3PO4-HNO3-CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延である場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
電解研磨としては、例えば、「アルミハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年p.164-165に記載されている各種の方法が挙げられる。
また、米国特許第2708655号明細書に記載されている方法が好適に挙げられる。
また、「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p32-38に記載されている方法も好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
これらの方法は、適宜組み合わせて用いることができる。例えば、研磨剤を用いる方法を、用いる研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行い、その後、電解研磨を施す方法が好適に挙げられる。
鏡面仕上げ処理により、例えば、平均表面粗さRa、0.1μm以下、光沢度50%以上の表面を得ることができる。平均表面粗さは、0.03μm以下であるのが好ましく、0.02μm以下であるのがより好ましい。また、光沢度は70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741-1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG-1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で測定する。
<脱脂処理>
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶媒等を用いて、アルミニウム表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。また、鏡面処理仕上げ処理の際に皮膜に形成された酸化膜を除去する目的としても用いられる。
脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
中でも、以下の各方法が好適に例示される。
アルコール(例えば、メタノール)、ケトン、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温でアルミニウム表面に接触させる方法(有機溶剤法);アセトン等の有機溶媒を常温でアルミニウム表面に接触させ、超音波を用いる方法(超音波洗浄法);石鹸、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度でアルミニウム表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度でアルミニウム表面に30〜80秒間接触させ、その後水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温でアルミニウム表面に30秒間程度接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度を1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温でアルミニウム表面に接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃でアルミニウム表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させ中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法)が例示できる。
<マイクロポアの起点形成方法>
マイクロポアの起点形成方法としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、後述する自己規則化法を用いるのが好ましい。
自己規則化法は、陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で陽極酸化皮膜を形成させる。
この方法においては、マイクロポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のマイクロポア径を得ることができる。
陽極酸化処理をする際の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般攪拌装置を使用する方法が用いられる。攪拌速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため、好ましい。そのような攪拌装置としては、例えば、AS ONE社製のマグネティックスターラーHS-50Dが挙げられる。
陽極酸化処理は、炭素数が3以上の脂式カルボン酸、または芳香族カルボン酸を含む、酸性水溶液中で195V以上の電圧を印加して陽極酸化処理する。陽極酸化処理に用いる電圧は、195〜600Vが使用でき、195V〜500Vが好ましく、195V〜400Vがより好ましい。
上記、処理電圧に対応する平均マイクロポア密度は、0.57〜3.53個/μmとなる。
陽極酸化処理時の発生電流密度は、1000A/m以下で使用でき、500A/m以下が好ましく、400〜100A/mがより好ましく、250A/mがさらに好ましい。
上記、電圧/電流密度範囲内であれば、定電圧処理、定電流処理のどちらの処理も可能である。
陽極酸化処理に使用される電解液は、炭素数が3以上の脂式カルボン酸、または芳香族カルボン酸を含む、酸性水溶液であり、脂式カルボン酸については、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸を用いることができ、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸が好ましく、マロン酸、コハク酸、酒石酸がより好ましい。
また、芳香族カルボン酸については、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリト酸、メリト酸、ジフェン酸、トルイル酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、ジュリル酸、クミン酸が好ましく、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸を用いることができ、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましい。
上記のカルボン酸は単独で用いてもよいし2種以上混合して用いてもよい。
上記のカルボン酸以外の酸は本発明の効果を損なわない限り、用いてもよいが、水溶液中の全体の酸濃度の50質量%以下とする。上記のカルボン酸以外の酸では、硫酸、リン酸、ホウ酸等を、上記のカルボン酸と共に使用してもよい。
上記のカルボン酸の濃度は、0.01mol/L〜10mol/Lが使用でき、0.05〜5mol/Lが好ましく、0.1〜5.0mol/Lがより好ましい。
陽極酸化処理に用いる電解液温度は、0〜100℃で使用することができ、0〜50℃が好ましく、0℃〜20℃がより好ましい
マイクロポア密度は、好ましくは、3.55個/μm以下0.10個/μm以上、より好ましくは、3.55個/μm以下0.50個/μm以上、さらには3.53個/μm以下0.81個/μm以上、であるのが好ましい。
<規則化処理>
規則化処理は、陽極酸化皮膜を溶解させる皮膜溶解処理と、皮膜溶解処理後の陽極酸化処理とからなる工程を1回以上行う処理である。
<皮膜溶解処理>
皮膜溶解処理は、上記したアルミニウム部材の陽極酸化皮膜を溶解させる処理である。これにより、陽極酸化皮膜表面の配列が不規則な部分が一部溶解するため、マイクロポアの配列の規則性が高くなる。また、皮膜を溶解させることにより、第1回の皮膜溶解後の陽極酸化処理の際、電流密度の立ち上がりが大きくなり、この結果、マイクロポアの配列の規則化性が高くなる。
皮膜溶解処理は、アルミニウム部材を酸性水溶液またはアルカリ性水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。中でも浸漬法が好ましい。
皮膜溶解処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合液の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は、1〜10質量%であることが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜40℃であるのが好ましい。
皮膜溶解処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸漬時間は、8〜60分であるのが好ましく、10〜50分であるのがより好ましく、15〜30分であるのが更に好ましい。
<陽極酸化処理>
陽極酸化処理は、上述した皮膜溶解処理の後に行われる。これにより、アルミニウム基板の酸化反応が進行し、皮膜溶解処理により溶解した陽極酸化皮膜が厚くなる。
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した自己規則化法に用いた本発明の方法と同一条件で行われるのが好ましい。
陽極酸化処理では、電解時間は1〜100時間が好ましく、30〜80時間がより好ましく、40〜50時間が更に好ましい。
規則化処理は、上述した皮膜溶解処理とその後の陽極酸化処理とからなる工程を1回以上行ってもよい。繰り返し回数が多いほど上述したマイクロポアの配列の規則性が高くなるため、この工程を2回以上繰り返して行ってもよい、3回以上繰り返してもよく、4回以上行ってもよい。
規則化処理において、上記工程を2回以上繰り返して行う場合、各回の皮膜溶解処理および陽極酸化処理の条件はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
例えば、図3(A)は、アルミニウム基板12aとアルミニウム基板12aの表面に存在する、マイクロポア16aを有する陽極酸化皮膜14aとを示している。次に、図3(B)では、第1回目の皮膜溶解処理により、図3(A)に示される陽極酸化皮膜14aの表面およびマイクロポア16aの内部が溶解し、アルミニウム基板12a上に、マイクロポア16bを有する陽極酸化皮膜14bとなり、マイクロポア16bの底面部には、陽極酸化皮膜14bが残存している。図3(C)では、次の陽極酸化処理により、図3(B)に示されるアルミニウム基板12aの酸化反応が進行し、アルミニウム基板12b上に、マイクロポア16bよりも深くなったマイクロポア16cを有し、かつ、陽極酸化皮膜14bよりも厚い陽極酸化皮膜14cが得られる。図3(D)では、第2回の皮膜溶解処理により、図3(C)に示される陽極酸化皮膜14cの表面およびマイクロポア16cの内部が溶解し、アルミニウム基板12b上に、マイクロポア16dを有する陽極酸化皮膜14dを有する微細構造体20が得られる。バリア層は18dで示されている。図3(D)においては陽極酸化皮膜14dが残存しているが、第2回の皮膜溶解処理においては、陽極酸化皮膜を全部溶解させてもよい。陽極酸化皮膜を全部溶解させた場合には、アルミニウム基板の表面に存在する窪みが微細構造体のマイクロポアとなる。
上述した製造方法により、本発明の微細構造体が得られる。また、以下に説明する本発明の微細構造体のアルミニウムまたはアルミニウム合金基板を除去しても良いし、さらにマイクロポアの貫通化処理を行ってもよい。
<アルミニウム基板の溶解>
一定電流下での陽極酸化処理後のアルミニウム基板の溶解は、陽極酸化皮膜(アルミナ)は溶解しにくく、アルミニウムを溶解しやすい処理液を用いる。
即ち、アルミニウム溶解速度1μm/分以上、好ましくは3μm/分以上、より好ましくは5μm/分以上、および、陽極酸化皮膜溶解速度0.1nm/分以下、好ましくは0.05nm/分以下、より好ましくは0.01nm/分以下の条件を有する処理液を用いる。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pHが4以下8以上、好ましくは3以下9以上、より好ましくは2以下10以上の処理液に浸漬する処理を行う。
このような処理液としては、酸またはアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであるのが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドするのが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、このような処理液の組成は特に限定されず、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水等を用いることができる。
また、このような処理液の酸またはアルカリ濃度は、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましい。更に、このような処理液を用いた処理温度は、−10℃〜80℃が好ましく、0℃〜60℃が好ましい。
本発明の製造方法においては、アルミニウム基板の溶解は、上記陽極酸化処理工程の後のアルミニウム基板を上述した処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒〜5時間が好ましく、1分〜3時間がより好ましい。
<陽極酸化皮膜の底部の除去(貫通化処理)>
下記(2−a)または(2−b)の処理を実施することが好ましい。
(2−a)酸またはアルカリを用いて、陽極酸化皮膜を有するアルミニウム基板を溶解し、マイクロポアによる孔を貫通化する処理(化学溶解処理)。
(2−b)陽極酸化皮膜を有するアルミニウム基板を機械的に研磨し、マイクロポアによる孔を貫通化する処理(機械的研磨処理)。
[(2−a)化学溶解処理]
化学溶解処理では、具体的には、例えば、上記陽極酸化処理工程の後に、アルミニウム基板(図3(D)においては符号12bで表される部分)を溶解し、さらに、陽極酸化皮膜の底部(図3(D)においては符号18dで表される部分)を除去して、マイクロポアによる孔を貫通化させる。アルミニウム基板を溶解した後の陽極酸化皮膜の底部の除去は、酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきさせることにより行う。底部の陽極酸化皮膜が除去されることにより、マイクロポアによる孔が貫通する。
陽極酸化皮膜の底部の除去は、予めpH緩衝液に浸漬させてマイクロポアによる孔の開口側から孔内にpH緩衝液を充填した後に、開口部の逆面、即ち、陽極酸化皮膜の底部に酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させる方法により行うのが好ましい。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜40℃であるのが好ましい。
一方、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液や、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
また、予めpH緩衝液に浸漬させる場合は、上述した酸/アルカリに適宜対応した緩衝液を使用する。
[(2−b)機械的研磨処理]
機械的研磨処理では、具体的には、例えば、上記陽極酸化処理工程の後に、アルミニウム基板(図3(D)においては符号12bで表される部分)およびアルミニウム基板近傍の陽極酸化皮膜(図3(D)においては符号18dで表される部分)を機械的に研磨して除去することにより、マイクロポアによる孔を貫通化させる。
機械的研磨処理では、公知の機械的研磨処理方法を幅広く用いることができ、例えば、鏡面仕上げ処理について例示した機械研磨を用いることができる。但し、精密研磨速度が高いことから化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことが好ましい。CMP処理には、フジミインコーポレイテッド社製のPNANERLITE−7000、日立化成社製のGPXHSC800、旭硝子(セイミケミカル)社製のCL−1000等のCMPスラリーを用いることができる。
これらの貫通化処理工程により、図3(D)に示されるアルミニウム基板12bおよびバリア層18dがなくなった状態の構造物、即ち、マイクロポアが貫通した微細構造体が得られる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に記載する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
1.電解研磨処理
高純度アルミニウム基板(住友軽金属)社製、純度99.99質量%、厚さ0.4mm)を10cm四方の面積でカットし、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧10V、液温度65℃の条件で電解研磨処理を行った。陰極はカーボン電極とし、電源はGPO-250-30R(高砂製作所社製)を用いた。
<電解研磨液組成>
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 1320mL
・硫酸 600mL
・純水 80mL
2.脱脂処理
上記で得られた研磨処理後のサンプルを以下組成の脱脂処理液を用いて、液温度60℃の条件で、10〜60秒浸漬して脱脂処理を行った。得られた表面は、平均表面粗さRa、0.1μm以下、光沢度50%以上であった。
<脱脂処理液組成>
・1.75mol/L 水酸化ナトリウム
・0.16mol/L 硝酸ナトリウム
3.規則化陽極酸化処理
上記で得られたサンプルを0.30mol/Lのコハク酸水溶液の電解液で、電圧252V、液温度0℃の条件で45時間定電圧陽極酸化処理を行った。
4.皮膜溶解処理
上記で得られたサンプルを以下の組成の酸化膜除去処理液を用いて、液温度60℃の条件で、12時間浸漬して、酸化膜除去処理を行った。
<酸化膜除去液組成>
・0.16mol/L 酸化クロム
・0.62mol/L リン酸
5.陽極酸化処理
上記で得られたサンプルを、上記処理時間を43時間とした以外は同様の方法で陽極酸化処理を行った。
6.規則化度の算出
上記で得られた皮膜溶解処理後のサンプルにスパッタリング装置を用いて、2分間金蒸着処理を行い、走査型顕微鏡を用いて7500倍の視野において、マイクロポアが形成されたことにより生じるアルミニウム基板上の凹凸を観察した。上記アルミニウム基板上の凹凸から、上記一般式(1)中、AおよびBの値を目視で観察し、上記一般式(1)により定義される底部面での規則化度の算出を行い、底部規則化度として表1に示す。
7.マイクロポアの周期、厚さの測定
マイクロポア周期は、陽極酸化処理で得られたサンプルの断面を、FE−SEM(日立製作所社製、S−900)で観察し、写真(15万倍)をとり、25個以上のマイクロポアの周期を測定し、平均した値である。マイクロポアの厚さも同様に測定し平均した。
(実施例2)
上記3.規則化陽極酸化処理の電解条件を、0.3mol/Lのクエン酸水溶液の電解液で、電圧375V、液温度0℃の条件で47時間定電圧陽極酸化処理を行い、上記5.陽極酸化処理での処理時間を45時間とし、上記6.規則化度の算出での走査型顕微鏡観察視野を4000倍とした以外は、実施例1と同様の方法で実施例2を得た。
(実施例3)
上記3.規則化陽極酸化処理の電解条件を、0.03mol/Lのフタル酸水溶液の電解液で、電圧320V、液温度0℃の条件で49時間定電圧陽極酸化処理を行い、上記5.陽極酸化処理での処理時間を47時間とし、上記6.規則化度の算出での走査型顕微鏡観察視野を5000倍とした以外は、実施例1と同様の方法で実施例3を得た。
(実施例4)
上記3.規則化陽極酸化処理の電解条件を、0.1mol/Lの酒石酸水溶液の電解液で、電圧263V、液温度5℃の条件で17時間定電圧陽極酸化処理とし上記5.陽極酸化処理での処理時間を20時間とした以外は、実施例1と同様の方法で実施例4を得た。
(比較例1)
上記3.規則化陽極酸化処理の電解条件を、0.1mol/Lのコハク酸の電解液で、電圧40V、液温度20℃の条件で8時間定電圧陽極酸化処理を行い、上記5.陽極酸化処理での処理時間を9時間とし、上記6.規則化度の算出での走査型顕微鏡観察視野を10000倍とした以外は、実施例1と同様の方法で比較例1を得た。
(比較例2)
上記3.規則化陽極酸化処理の電解条件を、0.5mol/Lのシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度15℃の条件で8時間定電圧陽極酸化処理を行い、上記5.陽極酸化処理での処理時間を9時間とし、上記6.規則化度の算出での走査型顕微鏡観察視野を10000倍とした以外は、実施例1と同様の方法で比較例2を得た。
(比較例3)
上記3.規則化陽極酸化処理の電解条件を、0.5mol/Lのシュウ酸の電解液で、電圧195V、液温度0℃の条件で0.3時間定電圧陽極酸化処理を行い、上記5.陽極酸化処理での処理時間を0.3時間とした以外は、実施例1と同様の方法で比較例3を得た。形成させた陽極酸化皮膜は、「焼け」が生じた。(「焼け」とは、局所的な皮膜成長が生じ、均一な膜形成が起こらない現象をいう)このため、マイクロポア周期、マイクロポア厚さ、底部規則化度の算出が実施できなかった。
(比較例4)
上記3.規則化陽極酸化処理の処理時間を10時間とし、上記5.陽極酸化処理での処理時間を11時間とした以外は、実施例1と同様の方法で比較例4を得た。
2 酸化皮膜
3、16a、16b、16c、16d マイクロポア
4 底部面
5 表面
6 マイクロポアの軸方向の距離
7 マイクロポア間の幅
8 マイクロポアの直径
9 マイクロポアの中心間距離
12、12a、12b、12c、12d アルミニウム基板
14、14a、14b、14c、14d 陽極酸化皮膜
18d バリア層
20 微細構造体
101、102、104、105、107、108 マイクロポア
103、106、109 円

Claims (4)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化皮膜よりなる微細構造体で、底部面で下記一般式(1)により定義される複数のマイクロポアの規則化度が70%以上であり、該マイクロポアの中心間距離が600nm以上であり、該マイクロポアの軸方向の長さが50μm以上である微細構造体:
    一般式(1)
    規則化度(%)=B/A×100
    上記一般式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの長軸に直角方向の断面の中心から、その他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記マイクロポア以外のマイクロポアの中心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
  2. 前記微細構造体のマイクロポアの中心間距離が600nm〜1200nmである請求項1に記載の微細構造体。
  3. アルミニウムまたはアルミニウム合金板を、炭素数が3以上の脂式カルボン酸、または芳香族カルボン酸を含む、酸性水溶液中で195V以上の電圧を印加して陽極酸化処理する請求項1または2に記載の微細構造体の製造方法。
  4. 前記カルボン酸が、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸からなる群から選択される少なくとも1つである請求項3に記載の微細構造体の製造方法。
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