JP2010189688A - 微細構造体の製造方法および微細構造体 - Google Patents

微細構造体の製造方法および微細構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外線やX線等の比較的波長の短い電磁波の遮蔽用途に好適に用いることができる微細構造体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】金属基板と、前記金属基板の表面に存在する金属酸化物層と、前記金属酸化物層の表面に存在する導電性メッシュ層とを有し、前記導電性メッシュ層が、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料で形成され、平均開孔径が3〜1000nmであり、かつ、密度が1×106〜1×1010/mm2の貫通孔を有する微細構造体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細構造体およびその製造方法に関する。より具体的には、電磁波遮蔽用途に好適に用いることができる微細構造体およびその製造方法に関する。
携帯電話などの各種の電子機器から発せられる電磁波は人体に悪影響を与え、また各種の精密な電子機器に電波障害を及ぼすことが知られ、種々の電磁波遮蔽材が提案されている。
例えば、特許文献1には、周波数が特に510MHzより低い周波数帯域において優れた電磁遮蔽効果を奏する電磁波遮蔽材として、「導電性を有する金属シート上に絶縁シート材を介して炭素粉末層を積層一体化してなることを特徴とする電磁波遮蔽材。」が記載されている。
一方、電磁波の中でも波長が短いX線を遮蔽する部材としては、例えば、特許文献2では「錫安定剤を含む透明な塩化ビニル樹脂板から成り、該樹脂板の錫含有率が1重量%以上であることを特徴とするX線遮蔽板。」が提案されているものの、主に、鉛により遮蔽されているのが実情である。
特開平11−40982号公報 特許第2899997号公報
そこで、本発明は、紫外線やX線等の比較的波長の短い電磁波の遮蔽用途に好適に用いることができる微細構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、金属酸化物層を表面に有する金属基板に、所定の貫通孔を有する導電性のメッシュ層を設けた微細構造体が、紫外線やX線等の比較的波長の短い電磁波の遮蔽用途に好適に用いることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供する。
(1)金属基板と、上記金属基板の表面に存在する金属酸化物層と、上記金属酸化物層の表面に存在する導電性メッシュ層とを有し、
上記導電性メッシュ層が、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料で形成され、平均開孔径が3〜1000nmであり、かつ、密度が1×106〜1×1010個/mm2の貫通孔を有する微細構造体。
(2)上記導電性メッシュ層の膜厚が40nm以下である上記(1)に記載の微細構造体。
(3)上記金属酸化物層が、上記金属基板の表面を酸化させた酸化物である上記(1)または(2)に記載の微細構造体。
(4)上記金属酸化物層が、上記金属酸化物層の深さ方向にマイクロポアを有し、
上記マイクロポアの平均開孔径が5〜1000nmであり、かつ、密度が1×106〜1×1010個/mm2である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の微細構造体。
(5)上記マイクロポアの平均深さが1〜500μmであり、上記マイクロポアのアスペクト比(平均深さ/平均開孔径)が8以上である上記(4)に記載の微細構造体。
(6)上記マイクロポアについて下記式(i)により定義される規則化度が50%以上である、上記(4)または(5)に記載の微細構造体。
規則化度(%)=B/A×100 (i)
上記式(i)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に上記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる上記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
(7)上記金属基板が、バルブ金属基板である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の微細構造体。
(8)上記金属基板が、アルミニウム基板である上記(7)に記載の微細構造体。
(9)電磁波遮蔽用途に用いる上記(1)〜(8)のいずれかに記載の微細構造体。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の微細構造体を製造する微細構造体の製造方法であって、
上記金属基板上に上記金属酸化物層を形成する酸化物層形成工程と、
上記金属酸化物層の表面に上記導電性メッシュ層を形成し、微細構造体を得るメッシュ層形成工程とを有する微細構造体の製造方法。
(11)上記酸化物層形成工程が、上記金属基板に陽極酸化処理を施して上記マイクロポアを有する上記金属酸化物層を形成する工程であり、
上記メッシュ層形成工程が、上記金属酸化物層に蒸着処理またはスパッタリング処理を施して、上記金属酸化物層の表面に上記導電性メッシュ層を形成する工程である上記(10)に記載の微細構造体の製造方法。
以下に説明するように、本発明によれば、紫外線やX線等の比較的波長の短い電磁波の遮蔽用途に好適に用いることができる微細構造体およびその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の微細構造体の好適な実施態様の一例を示す模式図である。 図2は、マイクロポアの規則化度を算出する方法の説明図である。 図3は、アルミニウム基板および該アルミニウム基板上に形成される陽極酸化皮膜の模式的な断面図である。 図4は、陽極酸化処理後の状態を示した部分断面図である。 図5は、実施例1において陽極酸化皮膜(金属酸化物層)を形成させた後の表面写真(倍率10000倍)である。 図6は、実施例1において導電性メッシュ層を形成させた後の表面写真および断面写真(いずれも倍率10000倍)である。 図7は、貫通孔の密度を計算するための説明図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の微細構造体は、金属基板と、上記金属基板の表面に存在する金属酸化物層と、上記金属酸化物層の表面に存在する導電性メッシュ層とを有し、
上記導電性メッシュ層が、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料で形成され、平均開孔径が3〜1000nmであり、かつ、密度が1×106〜1×1010個/mm2の貫通孔を有する微細構造体である。
次に、本発明の微細構造体について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の微細構造体の好適な実施態様の一例を示す模式図である。
図1に示すように、本発明の微細構造体1は、金属基板2、金属酸化物層3および所定の貫通孔5を有する導電性メッシュ層4を具備するものである。
また、後述するように、金属酸化物層3は、深さ方向にマイクロポア6を有しているのが好ましい。なお、この場合において、マイクロポア6と貫通孔5とは、連続した孔を構成するものである。
以下に、金属基板、金属酸化物層および導電性メッシュ層のそれぞれについて、材料、寸法、形成方法等について詳述する。
〔金属基板〕
上記金属基板は特に限定されないが、金属基板に陽極酸化処理を施すことにより後述する金属酸化物層を形成できる理由から、バルブ金属を用いたバルブ金属基板であるのが好ましい。
バルブ金属とは、陽極酸化により金属表面がその金属の酸化物の皮膜で覆われる特性を有し、更にその酸化皮膜が、電流を一方方向にのみ流して逆方向には非常に流しにくい特性を有する金属のことであり、その具体例としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。
これらのうち、陽極酸化処理を施して形成される金属酸化物層に存在するマイクロポアのポア配列の規則性が向上し、また、このマイクロポアを利用して容易に形成することができる導電性メッシュ層の貫通孔の配列の規則性も向上し、その結果、電磁波の遮蔽効果がより向上する理由から、アルミニウム基板であるのが好ましい。
<アルミニウム基板>
アルミニウム基板は特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
本発明においては、金属基板、特にバルブ金属基板に対して後述する陽極酸化処理を施す場合、陽極酸化処理を施す表面は、金属の純度が高い方が好ましい。具体的には、アルミニウム基板である場合、純度が、99.5質量%以上であるのが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。
特に、アルミニウム純度が上記範囲であると、陽極酸化処理を施して形成される金属酸化物層に存在するマイクロポアのポア配列の規則性が十分となり、また、このマイクロポアを利用して容易に形成することができる導電性メッシュ層の貫通孔の配列の規則性も向上し、その結果、電磁波の遮蔽効果がより向上する。
また、本発明においては、金属基板、特にバルブ金属基板に対して後述する陽極酸化処理を施す場合、陽極酸化処理を施す表面は、あらかじめ脱脂処理および鏡面仕上げ処理が施されるのが好ましく、特に、ポア配列の規則性を向上させる観点から、熱処理が施されるのが好ましい。
<熱処理>
熱処理を施す場合は、200〜350℃で30秒〜2分程度施すのが好ましい。具体的には、例えば、金属基板を加熱オーブンに入れる方法等が挙げられる。
このような熱処理を施すことにより、後述する陽極酸化処理により生成するマイクロポアの配列の規則性が向上する。
また、熱処理後の金属基板は、急速に冷却するのが好ましい。冷却する方法としては、例えば、水等に直接投入する方法等が挙げられる。
<脱脂処理>
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶剤等を用いて、金属基板表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分等を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。
脱脂処理としては、具体的には、例えば、各種アルコール(例えば、メタノール等)、各種ケトン(例えば、メチルエチルケトン等)、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温で金属基板表面に接触させる方法(有機溶剤法);石けん、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度で金属基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度で金属基板表面に30〜80秒間接触させ、その後、水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温で金属基板表面に30秒間程度接触させつつ、金属基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温で金属基板表面に接触させつつ、金属基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃で金属基板表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度で金属基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度で金属基板表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法);等が挙げられる。
これらのうち、金属基板表面の脂分を除去しうる一方で、金属の溶解がほとんど起こらない観点から、有機溶剤法、界面活性剤法、乳化脱脂法、リン酸塩法が好ましい。
また、脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
<鏡面仕上げ処理>
鏡面仕上げ処理は、金属基板の表面の凹凸、例えば、金属基板の圧延時に発生した圧延筋等をなくして、電着法等による封孔処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。
本発明において、鏡面仕上げ処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
機械研磨としては、例えば、各種市販の研磨布で研磨する方法、市販の各種研磨剤(例えば、ダイヤ、アルミナ)とバフとを組み合わせた方法等が挙げられる。具体的には、研磨剤を用いる場合、使用する研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行う方法が好適に例示される。この場合、最終的に用いる研磨剤としては、#1500のものが好ましい。これにより、光沢度を50%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに50%以上)とすることができる。
化学研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法等が挙げられる。
また、リン酸−硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好適に挙げられる。中でも、リン酸−硝酸法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
電解研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法;米国特許第2708655号明細書に記載されている方法;「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p.32−38に記載されている方法;等が好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
これらの方法は、適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更する機械研磨を施し、その後、電解研磨を施す方法が好適に挙げられる。
鏡面仕上げ処理により、例えば、平均表面粗さRa0.1μm以下、光沢度50%以上の表面を得ることができる。平均表面粗さRaは、0.03μm以下であるのが好ましく、0.02μm以下であるのがより好ましい。また、光沢度は70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741−1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG−1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で、測定する。
〔金属酸化物層〕
上記金属基板の表面に設けられる上記金属酸化物層は、金属酸化物で形成される層であれば特に限定されないが、電磁波の遮蔽効果がより向上する理由から、絶縁性を有するものが好ましい。
具体的な絶縁抵抗としては、105Ωm以上であるのが好ましく、108Ωm以上であるのがより好ましく、1010Ωm以上であるのが特に好ましい。
本発明においては、上記金属酸化物層は、上記金属酸化物層の深さ方向にマイクロポアを有するのが好ましい。これは、後述する導電性メッシュ層の貫通孔が、マイクロポアを利用することにより容易に形成することができるためである。
ここで、上記マイクロポアの平均開孔径は、5〜1000nmであるのが好ましく、7〜800nmであるのがより好ましく、10〜500nmであるのが特に好ましい。
同様に、上記マイクロポアの密度は、1×106〜1×1010個/mm2であるのが好ましく、5×106〜5×109個/mm2であるのがより好ましく、1×107〜1×109個/mm2であるのが特に好ましい。
上記マイクロポアの平均開孔径と密度が上記範囲であると、後述する導電性メッシュ層の貫通孔の平均開孔径を3〜1000nmの範囲とし、かつ、密度を1×106〜1×1010個/mm2の範囲としやすい。
また、上記マイクロポアの平均深さが1〜500μmであるのが好ましく、3〜300μmであるのがより好ましく、8〜150μmであるのが特に好ましい。
同様に、上記マイクロポアのアスペクト比(平均深さ/平均開孔径)が8以上であるのが好ましく、10以上であるのが好ましく、20以上であるのが特に好ましい。
上記マイクロポアの平均深さとアスペクト比が上記範囲であると、後述する導電性メッシュ層を蒸着処理またはスパッタリング処理により形成する際に、マイクロポアの底部に導電材料が形成され難くなり、結果として本発明の微細構造体を製造しやすくなる。
更に、上記マイクロポアについて下記式(i)により定義される規則化度が50%以上であるのが好ましく、65%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのが特に好ましい。
上記マイクロポアの規則化度が上記範囲であると、電磁波の遮蔽効果がより向上する。
規則化度(%)=B/A×100 (i)
上記式(i)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に上記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる上記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
ここで、図2は、マイクロポアの規則化度を算出する方法の説明図である。図2を用いて、上記式(i)をより具体的に説明する。
図2(A)に示されるマイクロポア101は、マイクロポア101の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円103(マイクロポア102に内接している。)を描いた場合に、円3の内部にマイクロポア101以外のマイクロポアの重心を6個含んでいる。したがって、マイクロポア101は、Bに算入される。
図2(B)に示されるマイクロポア104は、マイクロポア104の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円106(マイクロポア105に内接している。)を描いた場合に、円106の内部にマイクロポア104以外のマイクロポアの重心を5個含んでいる。したがって、マイクロポア104は、Bに算入されない。
また、図2(B)に示されるマイクロポア107は、マイクロポア107の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円109(マイクロポア108に内接している。)を描いた場合に、円109の内部にマイクロポア107以外のマイクロポアの重心を7個含んでいる。したがって、マイクロポア107は、Bに算入されない。
また、本発明においては、上記金属酸化物層の厚みは、1〜500μmであるのが好ましく、3〜300μmであるのがより好ましく、8〜150μmであるのが特に好ましい。
上記金属酸化物層の厚みが上記範囲であると、電磁波を上記金属基板の表面に十分に透過することができ、かつ、上記金属基板の表面で反射した電磁波を十分に蓄えることができるため、電磁波の遮蔽効果がより向上することになる。
本発明においては、上記金属酸化物層の形成方法は特に限定されないが、上記金属酸化物層は、上記金属基板との密着性の観点から、上記金属基板の表面を酸化した酸化物として得るのが好ましく、上述したマイクロポアを形成させる観点から、上記金属基板の表面に陽極酸化処理を施した陽極酸化皮膜として得るのがより好ましい。
以下に、上記金属酸化物層の好ましい形成方法として、アルミニウム基板の陽極酸化処理を例に挙げて説明する。
<陽極酸化処理>
陽極酸化処理は、アルミニウム基板を陽極酸化することにより、該アルミニウム基板表面にマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理である。
陽極酸化処理としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、後述する自己規則化法を用いるのが好ましい。
自己規則化法は、陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させる。
この方法においては、ポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のポア径を得ることができる。
自己規則化法によりマイクロポアを形成するには、後述する陽極酸化処理(a−1)を実施すればよいが、好ましくは、後述する陽極酸化処理(a−1)、脱膜処理(a−2)および再陽極酸化処理(a−3)をこの順に実施する方法により形成するのが好ましい。
<陽極酸化処理(a−1)>
陽極酸化処理(a−1)をする際の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化処理を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。特に、かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため、好ましい。このようなかくはん装置としては、例えば、「マグネティックスターラーHS−50D(AS ONE製)」等が挙げられる。
陽極酸化処理(a−1)は、例えば、酸濃度0.01〜5mol/Lの溶液中で、アルミニウム基板を陽極として通電する方法を用いることができる。
陽極酸化処理(a−1)に用いられる溶液としては、酸溶液であることが好ましく、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理(a−1)の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度0.01〜5mol/L、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜300V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.05〜3mol/L、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度0.1〜1mol/L、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理(a−1)の処理時間は、0.5分〜16時間であるのが好ましく、1分〜12時間であるのがより好ましく、2分〜8時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理(a−1)は、一定電圧下で行う以外に、電圧を断続的または連続的に変化させる方法も用いることができる。この場合は電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
本発明においては、このような陽極酸化処理(a−1)により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、0.1〜2000μmであるのが好ましく、1〜1000μmであるのがより好ましく、10〜500μmであるのが更に好ましい。
また、本発明においては、このような陽極酸化処理(a−1)により形成されるマイクロポアのポア径は、0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
また、このような陽極酸化処理(a−1)により形成されるマイクロポアは、1μm2の範囲において、ポア径の分散が平均径の3%以内であることが好ましく、2%以内であることがより好ましい。なお、ポア径の平均径および分散はそれぞれ下記式で求めることができる。
平均径:μx=(1/n)ΣXi
分散:σ2=(1/n)(ΣXi2)−μx 2
分散/平均径=σ/μx≦0.03
ここで、Xiは、1μm2の範囲で測定された1個のマイクロポアのポア径である。
更に、本発明においては、このような陽極酸化処理(a−1)により形成されるマイクロポアの平均ポア密度は、50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
更に、このような陽極酸化処理(a−1)により形成されるマイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。
ここで、マイクロポアの占める面積率は、アルミニウム表面の面積に対するマイクロポアの開口部の面積の合計の割合で定義される。
<脱膜処理(a−2)>
脱膜処理(a−2)は、上記陽極酸化処理(a−1)によりアルミニウム基板表面に形成した陽極酸化皮膜を溶解させて除去する処理である。
陽極酸化皮膜は、アルミニウム基板に近くなるほど規則性が高くなっているので、この脱膜処理(a−2)により、一度陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に残存した陽極酸化皮膜の底部分を表面に露出させて、規則的な窪みを得ることができる。したがって、脱膜処理(a−2)では、アルミニウムは溶解させず、アルミナ(酸化アルミニウム)からなる陽極酸化皮膜のみを溶解させる。
アルミナ溶解液は、クロム化合物、硝酸、リン酸、ジルコニウム系化合物、チタン系化合物、リチウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、ケイフッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、マンガン化合物、モリブデン化合物、マグネシウム化合物、バリウム化合物およびハロゲン単体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有した水溶液が好ましい。
具体的なクロム化合物としては、例えば、酸化クロム(III)、無水クロム(VI)酸等が挙げられる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、フッ化ジルコンアンモニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウムが挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、硫化チタンが挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、フッ化リチウム、塩化リチウムが挙げられる。
セリウム塩としては、例えば、フッ化セリウム、塩化セリウムが挙げられる。
マグネシウム塩としては、例えば、硫化マグネシウムが挙げられる。
マンガン化合物としては、例えば、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カルシウムが挙げられる。
モリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸ナトリウムが挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、フッ化マグネシウム・五水和物が挙げられる。
バリウム化合物としては、例えば、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウム、塩素酸バリウム、塩化バリウム、フッ化バリウム、ヨウ化バリウム、乳酸バリウム、シュウ酸バリウム、過塩素酸バリウム、セレン酸バリウム、亜セレン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、亜硫酸バリウム、チタン酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウム、あるいはこれらの水和物等が挙げられる。上記バリウム化合物の中でも、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウムが好ましく、酸化バリウムが特に好ましい。
ハロゲン単体としては、例えば、塩素、フッ素、臭素が挙げられる。
中でも、上記アルミナ溶解液が、酸を含有する水溶液であるのが好ましく、酸として、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、2種以上の酸の混合物であってもよい。
酸濃度としては、0.01mol/L以上であるのが好ましく、0.05mol/L以上であるのがより好ましく、0.1mol/L以上であるのが更に好ましい。上限は特にないが、一般的には10mol/L以下であるのが好ましく、5mol/L以下であるのがより好ましい。不要に高い濃度は経済的でないし、より高いとアルミニウム基板が溶解するおそれがある。
アルミナ溶解液は、−10℃以上であるのが好ましく、−5℃以上であるのがより好ましく、0℃以上であるのが更に好ましい。なお、沸騰したアルミナ溶解液を用いて処理すると、規則化の起点が破壊され、乱れるので、沸騰させないで用いるのが好ましい。
アルミナ溶解液は、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しない。ここで、アルミナ溶解液は、アルミニウムを実質的に溶解させなければよく、わずかに溶解させるものであってもよい。
脱膜処理(a−2)は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を上述したアルミナ溶解液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
浸せき法は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を上述したアルミナ溶解液に浸せきさせる処理である。浸せき処理の際にかくはんを行うと、ムラのない処理が行われるため、好ましい。
浸せき処理の時間は、10分以上であるのが好ましく、1時間以上であるのがより好ましく、3時間以上、5時間以上であるのが更に好ましい。
<再陽極酸化処理(a−3)>
上記脱膜処理(a−2)により陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に規則的な窪みを形成した後、再び陽極酸化処理を施すことで、マイクロポアの規則化度がより高い陽極酸化皮膜を形成することができる。
再陽極酸化処理(a−3)は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した陽極酸化処理(a−1)と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
また、再陽極酸化処理(a−3)を低温で行うと、マイクロポアの配列が規則的になり、また、ポア径が均一になる。
一方、再陽極酸化処理(a−3)を比較的高温で行うことにより、マイクロポアの配列を乱し、また、ポア径のばらつきを所定の範囲にすることができる。また、処理時間によっても、ポア径のばらつきを制御することができる。
本発明においては、このような再陽極酸化処理(a−3)により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜500μmであるのが好ましく、3〜300μmであるのがより好ましく、5〜150μmであるのが更に好ましい。
また、本発明においては、このような陽極酸化処理(a−3)により形成されるマイクロポアのポア径は5〜1000nmであるのが好ましい。
また、このような再陽極酸化処理(a−3)により形成されるマイクロポアは、1μm2の範囲において、ポア径の分散が平均径の3%以内であることが好ましく、2%以内であることがより好ましい。
更に、本発明においては、このような陽極酸化処理(a−3)により形成されるマイクロポアの平均ポア密度は1×106〜1×1010個/mm2であるのが好ましい。
更に、このような陽極酸化処理(a−3)により形成されるマイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。
本発明においては、上述した陽極酸化処理(a−1)および脱膜処理(a−2)に代えて、例えば、物理的方法、粒子線法、ブロックコポリマー法、レジストパターン・露光・エッチング法等により、上述した再陽極酸化処理(a−3)によるマイクロポア生成の起点となる窪みを形成させてもよい。
<物理的方法>
例えば、インプリント法(突起を有する基板またはロールをアルミニウム板に圧接し、凹部を形成する、転写法、プレスパターニング法)を用いる方法が挙げられる。具体的には、複数の突起を表面に有する基板をアルミニウム表面に押し付けて窪みを形成させる方法が挙げられる。例えば、特開平10−121292号公報に記載されている方法を用いることができる。
また、アルミニウム表面にポリスチレン球を稠密状態で配列させ、その上からSiO2を蒸着した後、ポリスチレン球を除去し、蒸着されたSiO2をマスクとして基板をエッチングして窪みを形成させる方法も挙げられる。
<粒子線法>
粒子線法は、アルミニウム表面に粒子線を照射して窪みを形成させる方法である。粒子線法は、窪みの位置を自由に制御することができるという利点を有する。
粒子線としては、例えば、荷電粒子ビーム、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)、電子ビームが挙げられる。
粒子線法としては、例えば、特開2001−105400号公報に記載されている方法を用いることもできる。
<ブロックコポリマー法>
ブロックコポリマー法は、アルミニウム表面にブロックコポリマー層を形成させ、熱アニールによりブロックコポリマー層に海島構造を形成させた後、島部分を除去して窪みを形成させる方法である。
ブロックコポリマー法としては、例えば、特開2003−129288号公報に記載されている方法を用いることができる。
<レジストパターン・露光・エッチング法>
レジストパターン・露光・エッチング法は、フォトリソグラフィあるいは電子ビームリソグラフィ法によりアルミニウム板表面のレジストに露光および現像を施し、レジストパタンを形成した後これをエッチングする。レジストを設け、エッチングしてアルミニウム表面まで貫通した窪みを形成させる方法である。
また、本発明においては、上記陽極酸化処理として、下記(1)〜(4)の工程をこの順に施すことにより、アルミニウム基板表面にマイクロポアを有する酸化皮膜を形成してもよい。
(1)アルミニウム基板の表面を陽極酸化して、アルミニウム基板の表面にマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する工程
(2)酸またはアルカリを用いて、上記陽極酸化皮膜を部分的に溶解させる工程
(3)陽極酸化処理を実施して上記マイクロポアを深さ方向に成長させる工程
(4)上記マイクロポアの断面形状の変曲点よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する工程
<工程(1)>
工程(1)では、アルミニウム基板の少なくとも一方の表面を陽極酸化処理して、該アルミニウム基板の表面にマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する。
工程(1)は、上記陽極酸化処理(a−1)と同様の手順で実施することができる。
図3は、アルミニウム基板および該アルミニウム基板上に形成される陽極酸化皮膜の模式的な端面図である。
図3(A)は、工程(1)により、アルミニウム基板12a表面に、マイクロポア16aを有する陽極酸化皮膜14aが形成された状態を示している。
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)で形成した陽極酸化皮膜を、酸またはアルカリを用いて、部分的に溶解させる。
ここで、陽極酸化皮膜を部分的に溶解させるとは、工程(1)で形成した陽極酸化皮膜を完全に溶解させるのではなく、図3(B)に示されるように、アルミニウム基板12a上に、マイクロポア16bを有する陽極酸化皮膜14bが残存するように、図3(A)に示す陽極酸化皮膜14aの表面およびマイクロポア16aの内部を部分的に溶解させることを示す。
また、陽極酸化皮膜の溶解量は、陽極酸化皮膜全体の0.001〜50質量%であるのが好ましく、0.005〜30質量%であるのがより好ましく、0.01〜15質量%であるのが更に好ましい。溶解量が上記範囲であると、陽極酸化皮膜の表面の配列が不規則な部分を溶解させて、マイクロポアの配列の規則性を高くすることができるとともに、マイクロポアの底部分に陽極酸化皮膜を残存させて、工程(3)で実施する陽極酸化処理の起点を残すことができる。
工程(2)は、アルミニウム基板上に形成された陽極酸化皮膜を酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
工程(2)に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は0.01〜1mol/Lであるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜60℃であるのが好ましい。
工程(2)にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.01〜1mol/Lであるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、0.5mol/L、40℃のリン酸水溶液、0.05mol/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.05mol/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
<工程(3)>
工程(3)では、工程(2)で陽極酸化皮膜が部分的に溶解されたアルミニウム基板に対して、再び陽極酸化処理を実施してマイクロポアを深さ方向に成長させる。
図3(C)に示されるように、工程(3)の陽極酸化処理により、図3(B)に示されるアルミニウム基板12aの酸化反応が進行し、アルミニウム基板12b上に、マイクロポア16bよりも深さ方向に成長したマイクロポア16cを有する陽極酸化皮膜14cが形成される。
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した陽極酸化処理(a−1)と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
上述した電圧を断続的に変化させる方法においては、電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、後に電着処理を行う場合に、均一化することができる。
陽極酸化皮膜の厚さの増加量は、0.1〜100μmであるのが好ましく、0.5〜50μmであるのがより好ましい。増加量が上記範囲であると、ポアの配列の規則性をより高くすることができる。
<工程(4)>
工程(4)では、図3(C)に示されるマイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する。自己規則化法により形成されるマイクロポアは、図3(C)に示されるように、マイクロポア16cの上部を除いて、断面形状が略直管形状になる。言い換えると、マイクロポア16cの上部には、該マイクロポア16cの残りの部分とは断面形状が異なる部分(異形部分)20が存在する。工程(4)では、このようなマイクロポア16c上部に存在する異形部分20を解消するため、マイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する。
ここで、変曲点30とは、マイクロポア16cの断面形状がなす主たる形状(ここでは、略直管形状)に対して、著しく形状が変化する部分を指し、別の言い方をすると、マイクロポア16cの断面形状において、主たる形状(略直管形状)に対して、形状の連続性が失われる部分を指す。
マイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去することにより、図3(D)に示されるように、マイクロポア16d全体が略直管形状となる。
工程(4)では、工程(3)実施後の陽極酸化皮膜14cを断面方向からFE−SEMを撮影することによって、マイクロポア16cの断面形状の変曲点30を特定し、該変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去してもよい。
ただし、マイクロポアに異形部分が生じるのは、主として、工程(1)のように、アルミニウム基板12a上に新たに陽極酸化皮膜14aを形成した場合である。したがって、マイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去して、マイクロポア16c上部の異形部分20を解消するには、工程(1)で形成された陽極酸化皮膜を工程(4)で除去すればよい。
なお、後述するように、工程(3)および工程(4)を2回以上繰り返す場合、工程(4)実施後の陽極酸化皮膜14dでは、異形部分30が解消されて、マイクロポア16dの断面形状全体が略直管形状となるので、工程(4)に続いて実施する工程(3)(以下、本段落においては「工程(3′)」という。)で形成されるマイクロポア上部には新たに異形部分が生じる。したがって、工程(3′)に続いて実施する工程(4)(以下、本段落においては「工程(4′)」という。)では、工程(3′)で形成されたマイクロポア上部に新たに生じた異形部分を除去する必要がある。このため、工程(4′)では、工程(3′)で形成されるマイクロポアの変曲点よりも上方の陽極酸化被膜を除去する必要がある。
工程(4)で、マイクロポア16cの断面形状の変曲点よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する処理としては、例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨等の研磨処理であってもよい。ただし、工程(2)のように、酸またはアルカリを用いて、陽極酸化皮膜を溶解させる処理であることが好ましい。この場合、図3(D)に示されるように、図3(C)に示される陽極酸化皮膜14cよりも厚さが小さい陽極酸化皮膜14dが形成される。
工程(4)で、酸またはアルカリを用いて、陽極酸化皮膜を部分的に溶解させる場合、陽極酸化皮膜の溶解量は、陽極酸化皮膜の溶解量は、特に限定されず、陽極酸化皮膜全体の0.01〜30質量%であるのが好ましく、0.1〜15質量%であるのがより好ましい。溶解量が上記範囲であると、陽極酸化皮膜の表面の配列が不規則な部分を溶解させて、マイクロポアの配列の規則性を高くすることができる。また、工程(3)および工程(4)を2回以上繰り返して実施する場合、次に実施する工程(3)での陽極酸化処理の起点を残すことができる。
上記工程(3)および上記工程(4)は、2回繰り返して行うのが、ポアの配列の規則性が高くなるため好ましく、3回以上繰り返して行うのがより好ましく、4回以上繰り返して行うのが更に好ましい。
上記工程を2回以上繰り返して行う場合、各回の工程(3)および工程(4)の条件はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。規則化度向上性の観点から、工程(3)は、各回ごとに電圧を変えて実施することが好ましい。この場合、徐々に高電圧の条件に変えていくのが、規則化度向上性の観点から、より好ましい。
図3(D)に示す状態において、平均ポア密度が1×106〜1×1010個/mm2であるのが好ましく、マイクロポアの占める面積率が20〜50%であるのが好ましい。
図4は、上記陽極酸化処理後の状態を示した部分断面図である。図4に示すように、アルミニウム基板12表面には、マイクロポア16を有する陽極酸化皮膜14が形成されている。
上述した陽極酸化処理により形成される陽極酸化皮膜(金属酸化物層)中のマイクロポアは、上述したように、その平均深さが1〜500μmであるのが好ましく、3〜300μmであるのがより好ましく、8〜150μmであるのが特に好ましい。
同様に、上記マイクロポアのアスペクト比(平均深さ/平均開孔径)が8以上であるのが好ましく、10以上であるのが好ましく、20以上であるのが特に好ましい。
同様に、上記マイクロポアについて上記式(i)により定義される規則化度が50%以上であるのが好ましく、65%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのが特に好ましい。
〔導電性メッシュ層〕
上記金属酸化物層の表面に設けられる上記導電性メッシュ層は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料で形成され、平均開孔径が3〜1000nmであり、かつ、密度が1×106〜1×1010個/mm2の貫通孔を有する層である。
本発明においては、上記導電性メッシュ層を形成する材料の電気抵抗率が、10-3Ω・m以下であるのが好ましく、10-4Ω・m以下であるのがより好ましく、10-5Ω・m以下であるのが特に好ましい。
電気抵抗率が上記範囲であると、電磁波の遮蔽効果がより向上することになる。
上記導電性メッシュ層を形成する材料としては、上述した電気抵抗率を満たす材料であれば特に限定されず、有機材料であっても無機材料であってもよい。
有機材料としては、具体的には、例えば、導電性カーボンブラックが挙げられる。
無機材料としては、具体的には、例えば、アルミニウム、金、銀、コンスタンタン、黄銅、銅、ニクロム、白金、鉄、ニッケル、タングステン等が挙げられる。
これらの材料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用していてもよい。
また、本発明においては、上記導電性メッシュ層が有する上記貫通孔の平均開孔径は、3〜1000nmであり、5〜800nmであるのが好ましく、10〜500nmであるのがより好ましい。
同様に、上記貫通孔の密度は、1×106〜1×1010個/mm2であり、5×106〜5×109個/mm2であるのがより好ましく、1×107〜1×109個/mm2であるのが特に好ましい。
上記貫通孔の平均開孔径と密度が上記範囲であると、得られる本発明の微細構造体が、紫外線やX線等の比較的波長の短い電磁波をより確実に遮蔽することができる。
更に、本発明においては、上記導電性メッシュ層の膜厚が、5〜1000nmであるのが好ましく、10〜700nmであるのがより好ましく、20〜500nmであるのが更に好ましく、また、40nm以下であるのが好ましい。
膜厚が上記範囲であると、電磁波を上記金属酸化物層に十分に透過することができ、かつ、上記金属基板の表面で反射し、上記金属酸化物層で蓄積された電磁波を吸収する効果が十分となり、電磁波の遮蔽効果がより向上することになる。
本発明においては、このような導電性メッシュ層を有することにより、本発明の微細構造体を紫外線やX線等の比較的波長の短い電磁波の遮蔽用途に好適に用いることができる。
これは、詳細なメカニズムは不明だが、本発明の微細構造体に照射された電磁波が、まず上記導電性メッシュ層の貫通孔を通り、次いで上記金属基板表面で反射した後に上記金属酸化物層に蓄えられ、最終的に上記導電性メッシュ層で徐々に吸収され、消滅するためであると考えられる。
本発明においては、上記導電性メッシュ層の形成方法は特に限定されないが、上述した金属酸化物層がマイクロポアを有する場合、そのマイクロポアを利用し、またマイクロポアに追従した形状で上記貫通孔を形成できる理由から、例えば、スパッタリング処理、蒸着処理、メッキ処理等で形成するのが好ましい。
これらのうち、導電性メッシュ層の厚さを容易に制御できる理由から、スパッタリング処理、蒸着処理が好ましい。
上述した本発明の微細構造体を製造する本発明の微細構造体の製造方法は、上記金属基板上に上記金属酸化物層を形成する酸化物層形成工程と、上記金属酸化物層の表面に上記導電性メッシュ層を形成するメッシュ層形成工程とを有するものである。
本発明においては、上記酸化物層形成工程は、上記金属酸化物層の形成方法においても記載したように、上記金属基板に陽極酸化処理を施して上記マイクロポアを有する上記金属酸化物層を形成する工程であるのが好ましい。
同様に、上記メッシュ層形成工程は、上記導電性メッシュ層の形成方法においても記載したように、上記金属酸化物層に蒸着処理またはスパッタリング処理を施して、上記金属酸化物層の表面に上記導電性メッシュ層を形成する工程であるのが好ましい。
これらの工程を有することにより、陽極酸化処理の条件を変更してマイクロポアの径を調整することにより、種々の波長の電磁波を遮蔽することも可能になると考えられるため好ましい。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
(1)金属基板の前処理工程(電解研磨処理)
高純度アルミニウム基板(住友軽金属社製、純度99.99質量%、厚さ0.4mm)を、10cm四方の面積で陽極酸化処理できるようカットした後、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
<電解研磨液組成>
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
(2)酸化物層形成工程(陽極酸化処理)
上記で得られた電解研磨処理後の金属基板に、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で1時間陽極酸化処理を施した。更に陽極酸化処理後のサンプルに、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で25分間浸漬して脱膜処理を施した。
これらの処理をこの順に4回繰り返した後、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で10時間再陽極酸化処理を施し、更に、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で25分間浸漬させて脱膜処理を施すことにより、アルミニウム基板表面に、マイクロポアが直管状で且つハニカム状に配列された陽極酸化皮膜を形成させた。
陽極酸化皮膜(金属酸化物層)を形成させた後の表面写真(倍率10000倍)を図5に示す。
なお、陽極酸化処理および再陽極酸化処理ともに、陰極はステンレス電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、冷却装置としては、NeoCool BD36(ヤマト科学社製)を用い、かくはん加温装置として、ペアスターラー PS−100(EYELA社製)を用いた。電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
(3)メッシュ層形成工程(スパッタリング処理)
上記で得られた陽極酸化皮膜(金属酸化物層)の表面に対して、SANYU ELECTRON製のAuスパッタリング装置SC−708を用いて、アルゴンガス雰囲気下にて1400V、24mA条件で20分間スパッタリングを施し、導通性メッシュ層を形成し、微細構造体を得た。
導電性メッシュ層を形成させた後の表面写真および断面写真(いずれも倍率10000倍)を図6に示す。
形成した金属酸化物層が有するマイクロポアおよび導電性メッシュ層が有する貫通孔の平均開口径は、それぞれ、60nmおよび30nmであった。
ここで、平均開口径は、FE−SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、50点測定した平均値として算出した。
また、形成した金属酸化物層が有するマイクロポアの平均深さは80μmであり、アスペクト比(平均深さ/平均開孔径)は1300であった。
ここで、平均深さは、上記で得られた微細構造体をマイクロポアの部分で厚さ方向に対してFIBで切削加工し、その断面をFE−SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した。
また、形成した金属酸化物層が有するマイクロポアおよび導電性メッシュ層が有する貫通孔の密度は、いずれも、約1.5億個/mm2であった。
ここで、密度は、図7に示すように、上記式(i)により定義される規則化度が50%以上となるように配列するマイクロポア(貫通孔)の単位格子51中に1/2個のマイクロポア(貫通孔)52があるとして、下記式により計算した。ここで、下記式中、Ppは周期を表す。
密度(個/μm2)=(1/2個)/{Pp(μm)×Pp(μm)×√3×(1/2)}
また、形成した金属酸化物層が有するマイクロポアの規則化度は、90%であった。
ここで、規則化度は、FE−SEMにより表面写真(倍率20000倍)を撮影し、2μm×2μmの視野で、マイクロポアについて上記式(i)により定義される規則化度を測定した。
一方、形成した導電性メッシュ層の電気抵抗率は、2.2×10-6Ω・cmであった。
ここで、電気抵抗率は、四端子法により、メッシュ層における一定距離間に一定電流値を流した時の電位差から測定し、10点測定した平均値を算出した。
また、形成した導電性メッシュ層の厚さは、200nmであった。
ここで、厚さは、FE−SEMにより断面写真を撮影し、50点測定した平均値として算出した。
(実施例2)
(1)金属基板の前処理工程(電解研磨処理)
実施例1と同様の金属基板に対して同様の前処理を施した。
(2)酸化物層形成工程(陽極酸化処理)
上記で得られた電解研磨処理後の金属基板に、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で1時間陽極酸化処理を施した。更に陽極酸化処理後のサンプルに、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬して脱膜処理を施した。
これらの処理をこの順に4回繰り返した後、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で5時間再陽極酸化処理を施し、更に、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬させて脱膜処理を施すことにより、アルミニウム基板表面に、マイクロポアが直管状で且つハニカム状に配列された陽極酸化皮膜を形成させた。
なお、陽極酸化処理および再陽極酸化処理ならびに冷却装置等は、実施例1と同様のものを用いた。
(3)メッシュ層形成工程(スパッタリング処理)
上記で得られた陽極酸化皮膜(金属酸化物層)の表面に対して、実施例1と同様の方法で導通性メッシュ層を形成し、微細構造体を得た。
実施例2で得られた微細構造体について、貫通孔の平均開口径等を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を以下に示す。
貫通孔の平均開孔径:15nm
貫通孔の密度:約4.5億個/mm2
導電性メッシュ層の電気抵抗率:2.2×10-6Ω・cm
導電性メッシュ層の厚さ:200nm
マイクロポアの平均開孔径:30nm
マイクロポアの平均深さ:90μm
マイクロポアのアスペクト比:3000
マイクロポアの密度:約4.5億個/mm2
マイクロポアの規則化度:90%
(実施例3)
陽極酸化処理によるマイクロポア形成処理で使用する電解液を、0.30mol/Lリン酸の電解液とし、電圧を195Vとし、脱膜処理で使用するリン酸混合水溶液の濃度を1.0mol/Lとした以外は、実施例2と同様の方法により、微細構造体を得た。
実施例3で得られた微細構造体について、貫通孔の平均開口径等を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を以下に示す。
貫通孔の平均開孔径:150nm
貫通孔の密度:約300万個/mm2
導電性メッシュ層の電気抵抗率:2.2×10-6Ω・cm
導電性メッシュ層の厚さ:200nm
マイクロポアの平均開孔径:20nm
マイクロポアの平均深さ:60μm
マイクロポアのアスペクト比:300
マイクロポアの密度:約300万個/mm2
マイクロポアの規則化度:80%
1 微細構造体
2 金属基板
3 金属酸化物層
4 導電性メッシュ層
5 貫通孔
6 マイクロポア
12、12a、12b、 アルミニウム基板
14、14a、14b、14c、14d 陽極酸化皮膜
16、16a、16b、16c、16d マイクロポア
20 異形部分
30 変曲点
51 マイクロポア(貫通孔)の単位格子
52 マイクロポア(貫通孔)
101、102、104、105、107、108 マイクロポア
103、106、109 円

Claims (11)

  1. 金属基板と、前記金属基板の表面に存在する金属酸化物層と、前記金属酸化物層の表面に存在する導電性メッシュ層とを有し、
    前記導電性メッシュ層が、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料で形成され、平均開孔径が3〜1000nmであり、かつ、密度が1×106〜1×1010個/mm2の貫通孔を有する微細構造体。
  2. 前記導電性メッシュ層の膜厚が40nm以下である請求項1に記載の微細構造体。
  3. 前記金属酸化物層が、前記金属基板の表面を酸化させた酸化物である請求項1または2に記載の微細構造体。
  4. 前記金属酸化物層が、前記金属酸化物層の深さ方向にマイクロポアを有し、
    前記マイクロポアの平均開孔径が5〜1000nmであり、かつ、密度が1×106〜1×1010個/mm2である請求項1〜3のいずれかに記載の微細構造体。
  5. 前記マイクロポアの平均深さが1〜500μmであり、前記マイクロポアのアスペクト比(平均深さ/平均開孔径)が8以上である請求項4に記載の微細構造体。
  6. 前記マイクロポアについて下記式(i)により定義される規則化度が50%以上である、請求項4または5に記載の微細構造体。
    規則化度(%)=B/A×100 (i)
    前記式(i)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
  7. 前記金属基板が、バルブ金属基板である請求項1〜6のいずれかに記載の微細構造体。
  8. 前記金属基板が、アルミニウム基板である請求項7に記載の微細構造体。
  9. 電磁波遮蔽用途に用いる請求項1〜8のいずれかに記載の微細構造体。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の微細構造体を製造する微細構造体の製造方法であって、
    前記金属基板上に前記金属酸化物層を形成する酸化物層形成工程と、
    前記金属酸化物層の表面に前記導電性メッシュ層を形成し、微細構造体を得るメッシュ層形成工程とを有する微細構造体の製造方法。
  11. 前記酸化物層形成工程が、前記金属基板に陽極酸化処理を施して前記マイクロポアを有する前記金属酸化物層を形成する工程であり、
    前記メッシュ層形成工程が、前記金属酸化物層に蒸着処理またはスパッタリング処理を施して、前記金属酸化物層の表面に前記導電性メッシュ層を形成する工程である請求項10に記載の微細構造体の製造方法。
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