JP2008093652A - 微細構造体および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム陽極酸化皮膜からなり、マイクロポア貫通孔を有する微細構造体であって、該微細構造体表面が前記アルミニウム陽極酸化皮膜の水和を妨げる保護膜により被覆されていることを特徴とする微細構造体。
【選択図】なし
Description
(i)アルミニウム陽極酸化皮膜からなり、マイクロポア貫通孔を有する微細構造体であって、該微細構造体表面が前記アルミニウム陽極酸化皮膜の水和を妨げる保護膜により被覆されていることを特徴とする微細構造体。
(ii)前記保護膜が、Zr元素およびSi元素からなる群から選択される少なくとも1つを含有する無機保護膜、又は水不溶性ポリマーを含有する有機保護膜である、上記(i)記載の微細構造体。
(iii)前記マイクロポアについて、下記式(1)により定義される規則化度が20%以上であり、下記式(2)により定義される空壁率が40%以上である、上記(i)または(ii)に記載の微細構造体。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
空壁率 (%)=C/D×100 (2)
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。また、上記式(2)中、Cは、測定範囲中のポアの面積を表す。Dは、測定範囲の面積を表す。
(iv)アルミニウム基板に、少なくとも、
(A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理、
(B)上記(A)で得られた酸化皮膜から、アルミニウムを除去する処理、
(C)上記(A)で得られた酸化皮膜のマイクロポアを貫通させる処理、および
(D)酸化皮膜表面に該酸化皮膜の水和を妨げる保護膜を形成する処理、
をこの順に施すことにより形成される微細構造体。
本発明の微細構造体は、アルミニウム陽極酸化皮膜からなり、マイクロポア貫通孔を有する微細構造体であって、該微細構造体表面が前記アルミニウム陽極酸化皮膜の水和を妨げる保護膜により被覆されていることを特徴とする。
アルミニウム基板に、少なくとも、
(A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理、
(B)上記(A)で得られた酸化皮膜から、アルミニウムを除去する処理、
(C)上記(A)で得られた酸化皮膜のマイクロポアを貫通させる処理、および
(D)酸化皮膜表面に該酸化皮膜の水和を妨げる保護膜を形成する処理、
をこの順に施すことにより形成される。
アルミニウム基板は、特に限定されず、例えば、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板が挙げられる。
熱処理を施す場合は、200〜350℃で30秒〜2分程度施すのが好ましい。これにより、後述する陽極酸化処理により生成するマイクロポアの配列の規則性が向上する。
熱処理後のアルミニウム基板は、急速に冷却するのが好ましい。冷却する方法としては、例えば、水等に直接投入する方法が挙げられる。
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶剤等を用いて、アルミニウム表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分等を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。
脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
アルコール(例えば、メタノール)、ケトン、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温でアルミニウム表面に接触させる方法(有機溶剤法);石けん、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度でアルミニウム表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度でアルミニウム表面に30〜80秒間接触させ、その後、水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温でアルミニウム表面に30秒間程度接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温でアルミニウム表面に接触させつつ、アルミニウム表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃でアルミニウム表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度でアルミニウム表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法)。
鏡面仕上げ処理は、アルミニウム基板の表面の凹凸をなくして、電着法等による粒子形成処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。アルミニウム基板の表面の凹凸としては、例えば、アルミニウム基板が圧延を経て製造されたものである場合における、圧延時に発生した圧延筋が挙げられる。
本発明において、鏡面仕上げ処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
また、リン酸−硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好適に挙げられる。中でも、リン酸−硝酸法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
また、米国特許第2708655号明細書に記載されている方法が好適に挙げられる。
また、「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p.32−38に記載されている方法も好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741−1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG−1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で、測定する。
処理(A)では、アルミニウム基板に陽極酸化処理を施すことにより、該アルミニウム基板表面にマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する。
陽極酸化処理としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、後述する自己規則化法を用いるのが好ましい。
自己規則化法は、陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させる。
この方法においては、ポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のポア径を得ることができる。
なお、自己規則化法によりマイクロポアを形成するには、後述する陽極酸化処理を実施すればよいが、好ましくは、後述する陽極酸化処理、脱膜処理および再陽極酸化処理をこの順に実施する。
陽極酸化処理をする際の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化処理を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため、好ましい。そのようなかくはん装置としては、例えば、AS ONE社製のマグネティックスターラーHS−50Dが挙げられる。
平均ポア密度は50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
陽極酸化処理によりアルミニウム基板表面に陽極酸化皮膜を形成した後、直ちに後述するアルミニウムを除去する処理を実施してもよいが、陽極酸化処理の実施後、脱膜処理および再陽極酸化処理をこの順で実施してから、アルミニウムを除去する処理を実施することが好ましい。
脱膜処理では、陽極酸化処理によりアルミニウム基板表面に形成した陽極酸化皮膜を溶解させて除去する。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、フッ化ジルコンアンモニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウムが挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、硫化チタンが挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、フッ化リチウム、塩化リチウムが挙げられる。
セリウム塩としては、例えば、フッ化セリウム、塩化セリウムが挙げられる。
マグネシウム塩としては、例えば、硫化マグネシウムが挙げられる。
マンガン化合物としては、例えば、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カルシウムが挙げられる。
モリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸ナトリウムが挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、フッ化マグネシウム・五水和物が挙げられる。
バリウム化合物としては、例えば、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウム、塩素酸バリウム、塩化バリウム、フッ化バリウム、ヨウ化バリウム、乳酸バリウム、シュウ酸バリウム、過塩素酸バリウム、セレン酸バリウム、亜セレン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、亜硫酸バリウム、チタン酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウム、あるいはこれらの水和物等が挙げられる。上記バリウム化合物の中でも、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウムが好ましく、酸化バリウムが特に好ましい。
ハロゲン単体としては、例えば、塩素、フッ素、臭素が挙げられる。
酸濃度としては、0.01mol/L以上であるのが好ましく、0.05mol/L以上であるのがより好ましく、0.1mol/L以上であるのが更に好ましい。上限は特にないが、一般的には10mol/L以下であるのが好ましく、5mol/L以下であるのがより好ましい。不要に高い濃度は経済的でないし、より高いとアルミニウム基板が溶解するおそれがある。
浸せき処理の時間は、10分以上であるのが好ましく、1時間以上であるのがより好ましく、3時間以上、5時間以上であるのが更に好ましい。
脱膜処理により陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に規則的な窪みを形成した後、再び陽極酸化処理を施すことで、マイクロポアの規則化度がより高い陽極酸化皮膜を形成することができる。
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した<陽極酸化処理>と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
一方、陽極酸化処理を比較的高温で行うことにより、マイクロポアの配列を乱し、また、ポア径のばらつきを所定の範囲にすることができる。また、処理時間によっても、ポア径のばらつきを制御することができる。
マイクロポアのポア径は0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
平均ポア密度は50〜1500個/μm2であるのが好ましい。
アルミニウム除去処理では、図1に示す状態からアルミニウム基板10を溶解して除去する。図2は、本処理後の状態を示した部分断面図であり、マイクロポア14を有する陽極酸化皮膜12からなる微細構造体が示されている。
したがって、アルミニウム除去処理には、アルミナは溶解せず、アルミニウムを溶解する処理液を用いる。
濃度としては、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましい。
処理温度としては、−10℃〜80℃が好ましく、0℃〜60℃が好ましい。
マイクロポア貫通処理では、図2に示すマイクロポア14を有する陽極酸化皮膜12を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきさせることにより、陽極酸化皮膜12を部分的に溶解させる。これにより、マイクロポア14底部の陽極酸化皮膜12が除去され、マイクロポア14が貫通する(マイクロポア貫通孔16が形成される)。図3は、マイクロポア貫通処理後の状態を示した部分断面図であり、マイクロポア貫通孔16を有する陽極酸化皮膜12からなる微細構造体が示されている。
図3では、陽極酸化皮膜12に存在する全てのマイクロポアがマイクロポア貫通孔16となっているが、処理(C)により、陽極酸化皮膜に存在する全てのマイクロポアが貫通しなくてもよい。但し、本発明の微細構造体をポーラスアルミナメンブレンフィルターとして使用する場合、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのうち70%が、処理(C)により貫通することが好ましい。
マイクロポア貫通処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
保護膜形成処理では、図3に示すマイクロポア貫通孔16を有する陽極酸化皮膜12からなる微細構造体に対して、マイクロポア貫通孔16の内部を含めた陽極酸化皮膜12の表面全域にわたって、該陽極酸化皮膜の水和を妨げる保護膜を形成する。
Zr元素を有する保護膜の形成としては、特に限定されないが、例えば、ジルコニウム化合物が溶解している水溶液に直接浸せきして処理する方法が一般的であり、保護膜の強固性/安定性の観点からリン化合物をあわせて溶解させた水溶液を用いることが好ましい。
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カルシウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)ジルコニウム、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド等が使用でき、特にフッ化ジルコン酸ナトリウムが好ましい。また濃度としては、保護膜厚の均一性の観点から、0.01〜10wt%が好ましく、0.05〜5wt%がより好ましい。
リン化合物としては、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシウム等が使用でき、特にリン酸水素ナトリウムが好ましい。また濃度としては、保護膜厚の均一性の観点から、0.1〜20wt%が好ましく、0.5〜10wt%がより好ましい。
また、形成される保護膜の陽極酸化皮膜の水和を妨げる機能が向上することから、浸せき処理の際、ジルコニウム化合物が溶解している水溶液にタンニン酸を含めることが好ましい。この場合、水溶液中におけるタンニン酸の濃度は、0.05〜10wt%であることが好ましく、0.1〜5wt%がより好ましい。
また処理温度としては、0〜120℃が好ましく、20〜100℃がより好ましい。
アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、ケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す)と濃度によって保護膜厚の調節が可能である。ここでMとしては、特にナトリウム、カリウムが好適に用いられる。
モル比としては、〔SiO2〕/〔M2O〕が0.1〜5.0が好ましく、0.5〜3.0がより好ましい。また、SiO2の含有量としては、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
同様に、アルカリ土類金属ケイ酸塩の水溶液は、ケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ土類金属酸化物M´Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M´O〕のモル比で表す)と濃度によって保護膜厚の調節が可能である。ここでM´としては、特にカルシウム、マグネシウム、バリウムが好適に用いられる。
モル比としては、〔SiO2〕/〔M´O〕が0.1〜10.0が好ましく、0.5〜5.0がより好ましい。また、SiO2の含有量としては、0.1〜40質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
有機保護膜としては、水不溶性ポリマーが溶解している有機溶剤に、直接浸せきしたのち、加熱処理により溶剤のみを揮発させる方法が好ましい。
水不溶性ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリサルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、セロハン等が挙げられる。
また、有機溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、等が挙げられる。濃度としては、0.1〜50wt%が好ましく、1〜30wt%がより好ましい。
また、溶剤揮発時の加熱温度としては、30〜300℃が好ましく、50〜200℃がより好ましい。
空壁率 (%)=C/D×100 (2)
図4(A)に示されるマイクロポア1は、マイクロポア1の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円3(マイクロポア2に内接している。)を描いた場合に、円3の内部にマイクロポア1以外のマイクロポアの重心を6個含んでいる。したがって、マイクロポア1は、Bに算入される。
図4(B)に示されるマイクロポア4は、マイクロポア4の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円6(マイクロポア5に内接している。)を描いた場合に、円6の内部にマイクロポア4以外のマイクロポアの重心を5個含んでいる。したがって、マイクロポア4は、Bに算入されない。また、図1(B)に示されるマイクロポア7は、マイクロポア7の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円9(マイクロポア8に内接している。)を描いた場合に、円9の内部にマイクロポア7以外のマイクロポアの重心を7個含んでいる。したがって、マイクロポア7は、Bに算入されない。
1.電解研磨処理
高純度アルミニウム基板(住友軽金属社製、純度99.99質量%、厚さ0.4mm)を、10cm四方の面積で陽極酸化処理できるようカットし、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を行なった。陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
上記で得られた研磨処理後のサンプルを、表1記載の条件で陽極酸化処理した。得られたサンプルを、0.2M無水クロム酸、0.6Mリン酸の混合水溶液を用いて50℃の条件で12時間浸せきして脱膜処理した。その後、表1の条件で再陽極酸化処理して、アルミニウム基板表面にマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成した。
なお、陽極酸化処理、再陽極酸化処理共に、陰極はステンレス電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、冷却装置としては、NeoCool BD36(ヤマト科学社製)、かくはん加温装置としてペアスターラー PS−100(EYELA社製)を用いた。電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(AS ONE製)を用いて計測した。
上記で得られたサンプルを、表1記載の条件で処理し、アルミニウム基板を除去した。
上記で得られたサンプルを、表1記載の条件で処理し、マイクロポアを貫通させた。
上記で得られたサンプルを、表1記載の条件で処理し、実施例1〜5の微細構造体を得た。また比較例1に関しては、前記(D)処理を行わなかった。
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
上記式(2)中、Cは、測定範囲中のポアの面積を表す。Dは、測定範囲の面積を表す。
本発明に関するフィルター状微細構造体の具体的な使用例を以下に示す。
ブレークダウン法により平均粒子径20nmまで粉砕した非晶質のケイ酸原料スラリーと、生石灰原料とを、CaO/SiO2モル比が0.4になるように混合し、原料全量に対して、質量比で10倍の水を加えてかきまぜ、スラリーを調製した。次いで、このスラリーをオートクレーブ中に入れ、撹拌しながら180℃で4時間水熱反応を行い、ケイ酸カルシウムスラリーを得た。このスラリーを70℃まで冷却し、ケイ酸カルシウム中の酸化カルシウムを除去するのに必要な高濃度の酢酸(濃度99.7%)を添加し、10分間撹拌した溶液に、実施例1で作成した微細構造体を浸漬温度30℃で60秒間浸漬し、次いで120℃で乾燥処理し、次いで、電気炉中で600℃にて1時間加熱処理し、高タンパク質吸着性ケイ酸質系微細フィルターを得た。
3、6、9 円
10 アルミニウム基板
12 陽極酸化皮膜
14 マイクロポア
16:マイクロポア貫通孔
Claims (4)
- アルミニウム陽極酸化皮膜からなり、マイクロポア貫通孔を有する微細構造体であって、該微細構造体表面が前記アルミニウム陽極酸化皮膜の水和を妨げる保護膜により被覆されていることを特徴とする微細構造体。
- 前記保護膜が、Zr元素およびSi元素からなる群から選択される少なくとも1つを含有する無機保護膜、又は水不溶性ポリマーを含有する有機保護膜である、請求項1記載の微細構造体。
- 前記マイクロポアについて、下記式(1)により定義される規則化度が20%以上であり、下記式(2)により定義される空壁率が40%以上である、請求項1または2に記載の微細構造体。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
空壁率(%)=C/D×100 (2)
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に前記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる前記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。また、上記式(2)中、Cは、測定範囲中のポアの面積を表す。Dは、測定範囲の面積を表す。 - アルミニウム基板に、少なくとも、
(A)陽極酸化処理によりマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理、
(B)上記(A)で得られた酸化皮膜から、アルミニウムを除去する処理、
(C)上記(A)で得られた酸化皮膜のマイクロポアを貫通させる処理、および
(D)酸化皮膜表面に該酸化皮膜の水和を妨げる保護膜を形成する処理、
をこの順に施すことにより形成される微細構造体。
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