JP5383272B2 - 細胞培養用メンブレン - Google Patents

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Description

本発明は、酸根の溶出が抑制された陽極酸化皮膜を用いた細胞培養用メンブレンに関する。
特許文献1には、陽極酸化皮膜を使った細胞培養膜が開示されている。
また、アルミニウムの陽極酸化皮膜を用いた細胞培養用メンブレンは市販されている。また、従来技術では、メンブレンに表面処理が施されていないか、アミノ酸やタンパク質による表面処理がされている。
特開平1−165371号公報
本発明者らは、鋭意検討した結果、陽極酸化処理で使用した電解液や、脱膜処理に使用したアルミナ溶解液、更には後述するアルミニウム基板の除去やマイクロポアの貫通化処理で使用する処理液由来の酸イオン(例えば、電解液として硫酸を使用した場合、SO4 2-)が、陽極酸化皮膜中に残留し、それが細胞を培養する際に培養液中に溶出し、培養液が汚染されるので、細胞の成長不良、実験精度の低下が発生する等の細胞に悪影響を及ぼす問題があることを見出した。
一方、細胞を培養する際には、細胞をアミノ酸やタンパク質を含む血清や生理食塩水等の培養水溶液に25〜35℃の環境で接触させた際に、培養水溶液中に酸化皮膜中の酸根が溶出することに加え、培養水溶液によって陽極酸化皮膜表面の水和が自然に進行し、メンブレンの細孔径が狭小化し、細胞と水溶液との接触が不十分となり培養が不十分となる問題がある。また、広く使用されているオートクレーブによる水熱滅菌処理を施すと水和の進行による細孔径の封孔が発生し易くなることを見出した。
したがって、本発明の課題は、水溶液中に酸化皮膜中の酸根が溶出するのを抑制し、また、オートクレーブによる水熱滅菌処理で陽極酸化皮膜の水和が進行し、メンブレンの細孔径が狭小化する問題を解決しようとする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、陽極酸化皮膜の表面および/または細孔内部に無機材料を有することで培養水溶液に対して容易に反応せず、酸根の溶出が実質的にない細胞培養用メンブレンが得られ、またメンブレンの細孔径が狭小化ることも防げることを知見し本発明をなした。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
(1)アルミニウムの陽極酸化皮膜の表面および/または細孔の内部に水酸化アルミニウム;ケイ酸化合物;並びにP、Ca、およびZrからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む化合物;からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料を有する細胞培養用メンブレン。
(2)前記無機材料が、水酸化アルミニウム、ケイ酸化合物、PおよびCaを含む化合物、並びに、PおよびZrを含む化合物からなる群から選択される少なくとも一つである(1)に記載の細胞培養用メンブレン。
(3)前記無機材料が、陽極酸化皮膜の表面および/または細孔の内部に付着された後に焼成される(1)または(2)に記載の細胞培養用メンブレン。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の細胞培養用メンブレンを120〜200℃で滅菌処理した細胞培養用メンブレン。
(5)基板上に(1)〜(5)のいずれか1項に記載の細胞培養用メンブレンを備える細胞培養シート。
本発明によれば、陽極酸化皮膜の表面を培養水溶液に対して容易に反応しない無機材料で被覆した細胞培養用メンブレンを提供することができる。
本発明の細胞培養用メンブレンは、欠点であった陽極酸化皮膜に含有される酸根の溶出が抑制されると共に、水和の進行による細孔径の封孔が発生し難くなる。このため培養される細胞に栄養分が十分に供給できるので、細胞の培養性が向上する。
ガラス製やプラスチック製の基板を細胞培養シートに用いる場合において一般に行なわれている、アミノ酸やタンパク質による表面処理(プレコート)が不要となる。無機材料のみで構成されるので、過酷な乾熱滅菌処理に対して、抜群の耐久性を示す。また、広く使用されているオートクレーブによる水熱滅菌処理による水和の進行による細孔径の封孔が発生し難くなる。
陽極酸化皮膜の表面および/または細孔内部に無機材料を付着させることで、数10nm〜100nm程度の微小な凹凸が付与できるので、細胞の密着性が向上する副次的な効果が期待できる。
図1は、ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。 図2は、本発明で用いるポーラスアルミナメンブレンフィルターを説明するための、アルミニウム基板および該アルミニウム基板上に形成される陽極酸化皮膜の模式的な端面図である。 図3は、陽極酸化処理(A)後の状態を示した部分断面図である。 図4は、分離処理(B)後の状態を示した部分断面図である。 図5は、貫通化処理(C)後の状態を示した部分断面図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
[細胞培養用メンブレン]
本発明の細胞培養用メンブレンは、アルミニウムの陽極酸化皮膜の表面および/または細孔内部に無機材料を有し、細胞培養に用いる基材である。
無機材料は、陽極酸化皮膜の表面および/または細孔の内部に、陽極酸化皮膜そのものとは別の物理形状または化学構造を形成させ、陽極酸化皮膜中の酸根の溶出を抑制する。
無機材料は、マイクロポア貫通孔の内部を含めた陽極酸化皮膜の表面全域にわたって、無機材料を被覆するが、全域で層を形成していなくてもよく、穴あきであってもよいし、一部であってもよい。
本発明の細胞培養用メンブレンの製造方法は特に限定されないが、少なくとも、アルミニウム基板を陽極酸化してマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する陽極酸化処理(以下、「陽極酸化処理(A)」ともいう。)と、上記陽極酸化処理後にアルミニウム基板を除去し、上記酸化皮膜をアルミニウム基板から分離する分離処理(以下、「分離処理(B)」ともいう。)と、上記分離処理により分離された酸化皮膜のマイクロポアを貫通させる貫通化処理(以下、「貫通化処理(C)」ともいう。)と、をこの順に施すことにより形成されるのが好ましい。
更に、上記貫通化処理の後に、酸化皮膜の表面に無機材料を形成する無機材料の被覆処理(D)を施す。この無機材料の被覆処理は、後に説明する特殊な電解液を陽極酸化処理のときに使用することによって、陽極酸化処理を行うときにすることもできる。
また、無機材料の被覆処理後に被覆された無機材料を焼成する焼成処理(E)を行ってもよい。
以下に、アルミニウム基板および各処理について詳述する。
〔アルミニウム基板〕
アルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
本発明においては、アルミニウム基板のうち、後述する陽極酸化処理を施す表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であるのが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上記範囲であると、マイクロポアのポア配列の規則性が十分となる。
また、本発明においては、アルミニウム基板のうち、後述する陽極酸化処理を施す表面は、あらかじめ脱脂処理および鏡面仕上げ処理が施されるのが好ましく、特に、ポア配列の規則性を向上させる観点から、熱処理が施されるのが好ましい。
<熱処理>
熱処理を施す場合は、200〜350℃で30秒〜2分程度施すのが好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム基板を加熱オーブンに入れる方法等が挙げられる。
このような熱処理を施すことにより、後述する陽極酸化処理により生成するマイクロポアの配列の規則性が向上する。
また、熱処理後のアルミニウム基板は、急速に冷却するのが好ましい。冷却する方法としては、例えば、水等に直接投入する方法等が挙げられる。
<脱脂処理>
脱脂処理は、酸、アルカリ、有機溶剤等を用いて、アルミニウム基板表面に付着した、ほこり、脂、樹脂等の有機成分等を溶解させて除去し、有機成分を原因とする後述の各処理における欠陥の発生を防止することを目的として行われる。
脱脂処理としては、具体的には、例えば、各種アルコール(例えば、メタノール等)、各種ケトン(例えば、メチルエチルケトン等)、ベンジン、揮発油等の有機溶剤を常温でアルミニウム基板表面に接触させる方法(有機溶剤法);石けん、中性洗剤等の界面活性剤を含有する液を常温から80℃までの温度でアルミニウム基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(界面活性剤法);濃度10〜200g/Lの硫酸水溶液を常温から70℃までの温度でアルミニウム基板表面に30〜80秒間接触させ、その後、水洗する方法;濃度5〜20g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を常温でアルミニウム基板表面に30秒間程度接触させつつ、アルミニウム基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して電解し、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;各種公知の陽極酸化処理用電解液を常温でアルミニウム基板表面に接触させつつ、アルミニウム基板表面を陰極にして電流密度1〜10A/dm2の直流電流を流して、または、交流電流を流して電解する方法;濃度10〜200g/Lのアルカリ水溶液を40〜50℃でアルミニウム基板表面に15〜60秒間接触させ、その後、濃度100〜500g/Lの硝酸水溶液を接触させて中和する方法;軽油、灯油等に界面活性剤、水等を混合させた乳化液を常温から50℃までの温度でアルミニウム基板表面に接触させ、その後、水洗する方法(乳化脱脂法);炭酸ナトリウム、リン酸塩類、界面活性剤等の混合液を常温から50℃までの温度でアルミニウム基板表面に30〜180秒間接触させ、その後、水洗する方法(リン酸塩法);等が挙げられる。
これらのうち、アルミニウム表面の脂分を除去しうる一方で、アルミニウムの溶解がほとんど起こらない観点から、有機溶剤法、界面活性剤法、乳化脱脂法、リン酸塩法が好ましい。
また、脱脂処理には、従来公知の脱脂剤を用いることができる。具体的には、例えば、市販されている各種脱脂剤を所定の方法で用いることにより行うことができる。
<鏡面仕上げ処理>
鏡面仕上げ処理は、アルミニウム基板の表面の凹凸、例えば、アルミニウム基板の圧延時に発生した圧延筋等をなくして、電着法等による封孔処理の均一性や再現性を向上させるために行われる。
本発明において、鏡面仕上げ処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨が挙げられる。
機械研磨としては、例えば、各種市販の研磨布で研磨する方法、市販の各種研磨剤(例えば、ダイヤ、アルミナ)とバフとを組み合わせた方法等が挙げられる。具体的には、研磨剤を用いる場合、使用する研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更して行う方法が好適に例示される。この場合、最終的に用いる研磨剤としては、#1500のものが好ましい。これにより、光沢度を50%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに50%以上)とすることができる。
化学研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法等が挙げられる。
また、リン酸−硝酸法、Alupol I法、Alupol V法、Alcoa R5法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好適に挙げられる。中でも、リン酸−硝酸法、H3PO4−CH3COOH−Cu法、H3PO4−HNO3−CH3COOH法が好ましい。
化学研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
電解研磨としては、例えば、「アルミニウムハンドブック」,第6版,(社)日本アルミニウム協会編,2001年,p.164−165に記載されている各種の方法;米国特許第2708655号明細書に記載されている方法;「実務表面技術」,vol.33,No.3,1986年,p.32−38に記載されている方法;等が好適に挙げられる。
電解研磨により、光沢度を70%以上(圧延アルミニウムである場合、その圧延方向および幅方向ともに70%以上)とすることができる。
これらの方法は、適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、研磨剤を粗い粒子から細かい粒子へと経時的に変更する機械研磨を施し、その後、電解研磨を施す方法が好適に挙げられる。
鏡面仕上げ処理により、例えば、平均表面粗さRa0.1μm以下、光沢度50%以上の表面を得ることができる。平均表面粗さRaは、0.03μm以下であるのが好ましく、0.02μm以下であるのがより好ましい。また、光沢度は70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。
なお、光沢度は、圧延方向に垂直な方向において、JIS Z8741−1997の「方法3 60度鏡面光沢」の規定に準じて求められる正反射率である。具体的には、変角光沢度計(例えば、VG−1D、日本電色工業社製)を用いて、正反射率70%以下の場合には入反射角度60度で、正反射率70%を超える場合には入反射角度20度で、測定する。
〔陽極酸化処理(A)〕
陽極酸化処理(A)は、アルミニウム基板を陽極酸化することにより、該アルミニウム基板表面にマイクロポアを有する酸化皮膜を形成する処理である。
陽極酸化処理としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、後述する自己規則化法を用いるのが好ましい。
自己規則化法は、陽極酸化皮膜のマイクロポアが規則的に配列する性質を利用し、規則的な配列をかく乱する要因を取り除くことで、規則性を向上させる方法である。具体的には、高純度のアルミニウムを使用し、電解液の種類に応じた電圧で、長時間(例えば、数時間から十数時間)かけて、低速で陽極酸化皮膜を形成させる。
この方法においては、ポア径は電圧に依存するので、電圧を制御することにより、ある程度所望のポア径を得ることができる。
自己規則化法によりマイクロポアを形成するには、後述する陽極酸化処理(a−1)を実施すればよいが、好ましくは、後述する陽極酸化処理(a−1)、脱膜処理(a−2)および再陽極酸化処理(a−3)をこの順に実施する方法により形成するのが好ましい。
<陽極酸化処理(a−1)>
陽極酸化処理をする際の平均流速は、0.5〜20.0m/minであるのが好ましく、1.0〜15.0m/minであるのがより好ましく、2.0〜10.0m/minであるのが更に好ましい。上記範囲の流速で陽極酸化処理を行うことにより、均一かつ高い規則性を有することができる。
また、電解液を上記条件で流動させる方法は、特に限定されないが、例えば、スターラーのような一般的なかくはん装置を使用する方法が用いられる。特に、かくはん速度をデジタル表示でコントロールできるようなスターラーを用いると、平均流速が制御できるため、好ましい。このようなかくはん装置としては、例えば、「マグネティックスターラーHS−50D(AS ONE製)」等が挙げられる。
陽極酸化処理(a−1)は、例えば、酸濃度0.01〜5mol/Lの溶液中で、アルミニウム基板を陽極として通電する方法を用いることができる。
陽極酸化処理(a−1)に用いられる溶液としては、酸溶液であることが好ましく、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸、グリコール酸、酒石酸、りんご酸、クエン酸等がより好ましく、中でも硫酸、リン酸、シュウ酸が特に好ましい。これらの酸は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理(a−1)の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度0.01〜5mol/L、液温−10〜30℃、電流密度0.01〜20A/dm2、電圧3〜300V、電解時間0.5〜30時間であるのが好ましく、電解液濃度0.05〜3mol/L、液温−5〜25℃、電流密度0.05〜15A/dm2、電圧5〜250V、電解時間1〜25時間であるのがより好ましく、電解液濃度0.1〜1mol/L、液温0〜20℃、電流密度0.1〜10A/dm2、電圧10〜200V、電解時間2〜20時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理(a−1)の処理時間は、0.5分〜16時間であるのが好ましく、1分〜12時間であるのがより好ましく、2分〜8時間であるのが更に好ましい。
陽極酸化処理(a−1)は、一定電圧下で行う以外に、電圧を断続的または連続的に変化させる方法も用いることができる。この場合は電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
本発明においては、このような陽極酸化処理(a−1)により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、0.1〜2000μmであるのが好ましく、1〜1000μmであるのがより好ましく、10〜500μmであるのが更に好ましい。
また、本発明においては、このような陽極酸化処理(a−1)により形成されるマイクロポアのポア径は、0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
また、マイクロポアの平均ポア密度は、0.5〜800個/μm2が好ましく、1〜500個/μm2がより好ましく、3〜300個/μm2が最も好ましい。
更に、マイクロポアの占める面積率は、20〜50%であるのが好ましい。
ここで、マイクロポアの占める面積率は、アルミニウム表面の面積に対するマイクロポアの開口部の面積の合計の割合で定義される。
<脱膜処理(a−2)>
脱膜処理(a−2)は、上記陽極酸化処理(a−1)によりアルミニウム基板表面に形成した陽極酸化皮膜を溶解させて除去する処理である。
上記陽極酸化処理(a−1)によりアルミニウム基板表面に陽極酸化皮膜を形成した後、後述する加熱処理(D)または分離処理(B)を直ちに施してもよいが、上記陽極酸化処理(a−1)の後、更に脱膜処理(a−2)および後述する再陽極酸化処理(a−3)をこの順で施した後に、後述する加熱処理(D)または分離処理(B)を施すのが好ましい。
陽極酸化皮膜は、アルミニウム基板に近くなるほど規則性が高くなっているので、この脱膜処理(a−2)により、一度陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に残存した陽極酸化皮膜の底部分を表面に露出させて、規則的な窪みを得ることができる。したがって、脱膜処理(a−2)では、アルミニウムは溶解させず、アルミナ(酸化アルミニウム)からなる陽極酸化皮膜のみを溶解させる。
アルミナ溶解液は、クロム化合物、硝酸、リン酸、ジルコニウム系化合物、チタン系化合物、リチウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、ケイフッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、マンガン化合物、モリブデン化合物、マグネシウム化合物、バリウム化合物およびハロゲン単体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有した水溶液が好ましい。
具体的なクロム化合物としては、例えば、酸化クロム(III)、無水クロム(VI)酸等が挙げられる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、フッ化ジルコンアンモニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウムが挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、硫化チタンが挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、フッ化リチウム、塩化リチウムが挙げられる。
セリウム塩としては、例えば、フッ化セリウム、塩化セリウムが挙げられる。
マグネシウム塩としては、例えば、硫化マグネシウムが挙げられる。
マンガン化合物としては、例えば、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カルシウムが挙げられる。
モリブデン化合物としては、例えば、モリブデン酸ナトリウムが挙げられる。
マグネシウム化合物としては、例えば、フッ化マグネシウム・五水和物が挙げられる。
バリウム化合物としては、例えば、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウム、塩素酸バリウム、塩化バリウム、フッ化バリウム、ヨウ化バリウム、乳酸バリウム、シュウ酸バリウム、過塩素酸バリウム、セレン酸バリウム、亜セレン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、亜硫酸バリウム、チタン酸バリウム、水酸化バリウム、硝酸バリウム、あるいはこれらの水和物等が挙げられる。上記バリウム化合物の中でも、酸化バリウム、酢酸バリウム、炭酸バリウムが好ましく、酸化バリウムが特に好ましい。
ハロゲン単体としては、例えば、塩素、フッ素、臭素が挙げられる。
中でも、上記アルミナ溶解液が、酸を含有する水溶液であるのが好ましく、酸として、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、2種以上の酸の混合物であってもよい。
酸濃度としては、0.01mol/L以上であるのが好ましく、0.05mol/L以上であるのがより好ましく、0.1mol/L以上であるのが更に好ましい。上限は特にないが、一般的には10mol/L以下であるのが好ましく、5mol/L以下であるのがより好ましい。濃度がこの範囲より高いとアルミニウム基板が溶解するおそれがある。
アルミナ溶解液は、−10℃以上であるのが好ましく、−5℃以上であるのがより好ましく、0℃以上であるのが更に好ましい。なお、沸騰したアルミナ溶解液を用いて処理すると、規則化の起点が破壊され、乱れるので、沸騰させないで用いるのが好ましい。
アルミナ溶解液は、アルミナを溶解し、アルミニウムを溶解しない。ここで、アルミナ溶解液は、アルミニウムを実質的に溶解させなければよく、わずかに溶解させるものであってもよい。
脱膜処理(a−2)は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を上述したアルミナ溶解液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
浸せき法は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム基板を上述したアルミナ溶解液に浸せきさせる処理である。浸せき処理の際にかくはんを行うと、ムラのない処理が行われるため、好ましい。
浸せき処理の時間は、10分以上であるのが好ましく、1時間以上であるのがより好ましく、3時間以上、5時間以上であるのが更に好ましい。
<再陽極酸化処理(a−3)>
上記脱膜処理(a−2)により陽極酸化皮膜を除去して、アルミニウム基板の表面に規則的な窪みを形成した後、再び陽極酸化処理を施すことで、マイクロポアの規則化度がより高い陽極酸化皮膜を形成することができる。
再陽極酸化処理(a−3)は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した陽極酸化処理(a−1)と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
また、再陽極酸化処理(a−3)を低温で行うと、マイクロポアの配列が規則的になり、また、ポア径が均一になる。
一方、再陽極酸化処理(a−3)を比較的高温で行うことにより、マイクロポアの配列を乱し、また、ポア径のばらつきを所定の範囲にすることができる。また、処理時間によっても、ポア径のばらつきを制御することができる。
本発明においては、このような再陽極酸化処理(a−3)により形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、0.1〜1000μmであるのが好ましく、1〜500μmであるのがより好ましく、10〜500μmであるのが更に好ましい。
また、本発明においては、このような陽極酸化処理(a−3)により形成される陽極酸化皮膜のマイクロポアのポア径は0.01〜0.5μmであるのが好ましい。
平均ポア密度は、0.5〜800個/μm2が好ましく、1〜500個/μm2がより好ましく、3〜300個/μm2が最も好ましい。
本発明においては、上述した陽極酸化処理(a−1)および脱膜処理(a−2)に代えて、例えば、物理的方法、粒子線法、ブロックコポリマー法、レジストパターン・露光・エッチング法等により、上述した再陽極酸化処理(a−3)によるマイクロポア生成の起点となる窪みを形成させてもよい。
<物理的方法>
例えば、インプリント法(突起を有する基板またはロールをアルミニウム板に圧接し、凹部を形成する、転写法、プレスパターニング法)を用いる方法が挙げられる。具体的には、複数の突起を表面に有する基板をアルミニウム表面に押し付けて窪みを形成させる方法が挙げられる。例えば、特開平10−121292号公報に記載されている方法を用いることができる。
また、アルミニウム表面にポリスチレン球を稠密状態で配列させ、その上からSiO2を蒸着した後、ポリスチレン球を除去し、蒸着されたSiO2をマスクとして基板をエッチングして窪みを形成させる方法も挙げられる。
<粒子線法>
粒子線法は、アルミニウム表面に粒子線を照射して窪みを形成させる方法である。粒子線法は、窪みの位置を自由に制御することができるという利点を有する。
粒子線としては、例えば、荷電粒子ビーム、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)、電子ビームが挙げられる。
粒子線法としては、例えば、特開2001−105400号公報に記載されている方法を用いることもできる。
<ブロックコポリマー法>
ブロックコポリマー法は、アルミニウム表面にブロックコポリマー層を形成させ、熱アニールによりブロックコポリマー層に海島構造を形成させた後、島部分を除去して窪みを形成させる方法である。
ブロックコポリマー法としては、例えば、特開2003−129288号公報に記載されている方法を用いることができる。
<レジストパターン・露光・エッチング法>
レジストパターン・露光・エッチング法は、フォトリソグラフィあるいは電子ビームリソグラフィ法によりアルミニウム板表面のレジストに露光および現像を施し、レジストパターンを形成した後これをエッチングする。レジストを設け、エッチングしてアルミニウム表面まで貫通した窪みを形成させる方法である。
また、本発明においては、上記陽極酸化処理(A)として、下記(1)〜(4)の工程をこの順に施すことにより、アルミニウム基板表面にマイクロポアを有する酸化皮膜を形成してもよい。
(1)アルミニウム基板の表面を陽極酸化して、アルミニウム基板の表面にマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する工程
(2)酸またはアルカリを用いて、上記陽極酸化皮膜を部分的に溶解させる工程
(3)陽極酸化処理を実施して上記マイクロポアを深さ方向に成長させる工程
(4)上記マイクロポアの断面形状の変曲点よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する工程
<工程(1)>
工程(1)では、アルミニウム基板の少なくとも一方の表面を陽極酸化処理して、該アルミニウム基板の表面にマイクロポアを有する陽極酸化皮膜を形成する。
工程(1)は、上記陽極酸化処理(a−1)と同様の手順で実施することができる。
図2は、アルミニウム基板および該アルミニウム基板上に形成される陽極酸化皮膜の模式的な端面図である。
図2(A)は、工程(1)により、アルミニウム基板12a表面に、マイクロポア16aを有する陽極酸化皮膜14aが形成された状態を示している。
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)で形成した陽極酸化皮膜を、酸またはアルカリを用いて、部分的に溶解させる。
ここで、陽極酸化皮膜を部分的に溶解させるとは、工程(1)で形成した陽極酸化皮膜を完全に溶解させるのではなく、図2(B)に示されるように、アルミニウム基板12a上に、マイクロポア16bを有する陽極酸化皮膜14bが残存するように、図2(A)に示す陽極酸化皮膜14aの表面およびマイクロポア16aの内部を部分的に溶解させることを示す。
また、陽極酸化皮膜の溶解量は、陽極酸化皮膜全体の0.001〜50質量%であるのが好ましく、0.005〜30質量%であるのがより好ましく、0.01〜15質量%であるのが更に好ましい。溶解量が上記範囲であると、陽極酸化皮膜の表面の配列が不規則な部分を溶解させて、マイクロポアの配列の規則性を高くすることができるとともに、マイクロポアの底部分に陽極酸化皮膜を残存させて、工程(3)で実施する陽極酸化処理の起点を残すことができる。
工程(2)は、アルミニウム基板上に形成された陽極酸化皮膜を酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
工程(2)に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は0.01〜1mol/Lであるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜60℃であるのが好ましい。
工程(2)にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.01〜1mol/Lであるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、0.5mol/L、40℃のリン酸水溶液、0.05mol/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.05mol/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
<工程(3)>
工程(3)では、工程(2)で陽極酸化皮膜が部分的に溶解されたアルミニウム基板に対して、再び陽極酸化処理を実施してマイクロポアを深さ方向に成長させる。
図2(C)に示されるように、工程(3)の陽極酸化処理により、図2(B)に示されるアルミニウム基板12aの酸化反応が進行し、アルミニウム基板12b上に、マイクロポア16bよりも深さ方向に成長したマイクロポア16cを有する陽極酸化皮膜14cが形成される。
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、上述した陽極酸化処理(a−1)と同一の条件で行われるのが好ましい。
また、直流電圧を一定としつつ、断続的に電流のオンおよびオフを繰り返す方法、直流電圧を断続的に変化させつつ、電流のオンおよびオフを繰り返す方法も好適に用いることができる。これらの方法によれば、陽極酸化皮膜に微細なマイクロポアが生成するため、特に電着処理により封孔処理する際に、均一性が向上する点で、好ましい。
上述した電圧を断続的に変化させる方法においては、電圧を順次低くしていくのが好ましい。これにより、陽極酸化皮膜の抵抗を下げることが可能になり、後に電着処理を行う場合に、均一化することができる。
陽極酸化皮膜の厚さの増加量は、0.1〜100μmであるのが好ましく、0.5〜50μmであるのがより好ましい。増加量が上記範囲であると、ポアの配列の規則性をより高くすることができる。
<工程(4)>
工程(4)では、図2(C)に示されるマイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する。自己規則化法により形成されるマイクロポアは、図2(C)に示されるように、マイクロポア16cの上部を除いて、断面形状が略直管形状になる。言い換えると、マイクロポア16cの上部には、該マイクロポア16cの残りの部分とは断面形状が異なる部分(異形部分)20が存在する。工程(4)では、このようなマイクロポア16c上部に存在する異形部分20を解消するため、マイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する。
ここで、変曲点30とは、マイクロポア16cの断面形状がなす主たる形状(ここでは、略直管形状)に対して、著しく形状が変化する部分を指し、別の言い方をすると、マイクロポア16cの断面形状において、主たる形状(略直管形状)に対して、形状の連続性が失われる部分を指す。
マイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去することにより、図2(D)に示されるように、マイクロポア16d全体が略直管形状となる。
工程(4)では、工程(3)実施後の陽極酸化皮膜14cを断面方向からFE−SEMを撮影することによって、マイクロポア16cの断面形状の変曲点30を特定し、該変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去してもよい。
ただし、マイクロポアに異形部分が生じるのは、主として、工程(1)のように、アルミニウム基板12a上に新たに陽極酸化皮膜14aを形成した場合である。したがって、マイクロポア16cの断面形状の変曲点30よりも上方の陽極酸化皮膜を除去して、マイクロポア16c上部の異形部分20を解消するには、工程(1)で形成された陽極酸化皮膜を工程(4)で除去すればよい。
なお、後述するように、工程(3)および工程(4)を2回以上繰り返す場合、工程(4)実施後の陽極酸化皮膜14dでは、異形部分30が解消されて、マイクロポア16dの断面形状全体が略直管形状となるので、工程(4)に続いて実施する工程(3)(以下、本段落においては「工程(3′)」という。)で形成されるマイクロポア上部には新たに異形部分が生じる。したがって、工程(3′)に続いて実施する工程(4)(以下、本段落においては「工程(4′)」という。)では、工程(3′)で形成されたマイクロポア上部に新たに生じた異形部分を除去する必要がある。このため、工程(4′)では、工程(3′)で形成されるマイクロポアの変曲点よりも上方の陽極酸化被膜を除去する必要がある。
工程(4)で、マイクロポア16cの断面形状の変曲点よりも上方の陽極酸化皮膜を除去する処理としては、例えば、機械研磨、化学研磨、電解研磨等の研磨処理であってもよい。ただし、工程(2)のように、酸またはアルカリを用いて、陽極酸化皮膜を溶解させる処理であることが好ましい。この場合、図2(D)に示されるように、図2(C)に示される陽極酸化皮膜14cよりも厚さが小さい陽極酸化皮膜14dが形成される。
工程(4)で、酸またはアルカリを用いて、陽極酸化皮膜を部分的に溶解させる場合、陽極酸化皮膜の溶解量は、陽極酸化皮膜の溶解量は、特に限定されず、陽極酸化皮膜全体の0.01〜30質量%であるのが好ましく、0.1〜15質量%であるのがより好ましい。溶解量が上記範囲であると、陽極酸化皮膜の表面の配列が不規則な部分を溶解させて、マイクロポアの配列の規則性を高くすることができる。また、工程(3)および工程(4)を2回以上繰り返して実施する場合、次に実施する工程(3)での陽極酸化処理の起点を残すことができる。
上記工程(3)および上記工程(4)は、2回繰り返して行うのが、ポアの配列の規則性が高くなるため好ましく、3回以上繰り返して行うのがより好ましく、4回以上繰り返して行うのが更に好ましい。
上記工程を2回以上繰り返して行う場合、各回の工程(3)および工程(4)の条件はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。規則化度向上性の観点から、工程(3)は、各回ごとに電圧を変えて実施することが好ましい。この場合、徐々に高電圧の条件に変えていくのが、規則化度向上性の観点から、より好ましい。
図2(D)に示す状態において、平均ポア密度が、0.5〜800個/μm2が好ましく、1〜500個/μm2がより好ましく、3〜300個/μm2が最も好ましい。マイクロポアの占める面積率が2〜50%であるのが好ましく、3〜40%であるのが好ましく5〜30%であるのが最も好ましい。
図3は、上記陽極酸化処理(A)後の状態を示した部分断面図である。図3に示すように、アルミニウム基板12表面には、マイクロポア16を有する陽極酸化皮膜14が形成されている。
本発明に用いる陽極酸化皮膜は、好ましくは、下記式(1)により定義される規則化度が50%以上である。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
上記式(1)中、Aは、測定範囲におけるマイクロポアの全数を表す。Bは、一のマイクロポアの断面の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円を描いた場合に、その円の内部に上記一のマイクロポア以外のマイクロポアの重心を6個含むことになる上記一のマイクロポアの測定範囲における数を表す。
ここで、図1は、ポアの規則化度を算出する方法の説明図である。図1を用いて、上記式(1)をより具体的に説明する。
図1(A)に示されるマイクロポア1は、マイクロポア1の断面の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円3(マイクロポア2に内接している。)を描いた場合に、円3の内部にマイクロポア1以外のマイクロポアの断面の略円の重心を6個含んでいる。したがって、マイクロポア1は、Bに算入される。
図1(B)に示されるマイクロポア4は、マイクロポア4の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円6(マイクロポア5に内接している。)を描いた場合に、円6の内部にマイクロポア4以外のマイクロポアの重心を5個含んでいる。したがって、マイクロポア4は、Bに算入されない。
また、図1(B)に示されるマイクロポア7は、マイクロポア7の重心を中心とし、他のマイクロポアの縁に内接する最も半径が短い円9(マイクロポア8に内接している。)を描いた場合に、円9の内部にマイクロポア7以外のマイクロポアの重心を7個含んでいる。したがって、マイクロポア7は、Bに算入されない。
ここで、本発明においては、マイクロポアの開口部面積は、画像解析ソフト等でマイクロポア部分と非マイクロポア部分を観察した写真を2値化し、マイクロポア部の等価円直径を算出する方法から求められる幾何学的面積、即ち、2次元的な平面であると仮定した面積である。
一方、本発明においては、マイクロポアの平均孔径(平均ポア径)は、表面写真(倍率20000倍)をFE−SEMにより撮影し、1μm×1μmの視野に存在するマイクロポアについて、求めた値である。
また、規則化度は60%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましい。規則化度がこの範囲であると、細孔径のバラツキが少なく、均一なので、細孔径分布として制御性が高いので、例えば、培養液液中から細菌やウイルスを除去し水分と栄養分となるアミノ酸類の低分子のみを通過させ、細胞に供給する分子フィルターとしての機能を併せ持たせる利点がある。
〔分離処理(B)〕
分離処理(B)は、上記陽極酸化処理(A)後にアルミニウム基板を除去し、酸化皮膜をアルミニウム基板から分離する処理である。
アルミニウム基板の除去は、図3に示す状態からアルミニウム基板12を溶解して除去する。図4は、分離処理(B)後の状態を示した部分断面図であり、マイクロポア16を有する陽極酸化皮膜14からなる微細構造体が示されている。
したがって、アルミニウム除去処理には、アルミナは溶解せず、アルミニウムを溶解する処理液を用いる。
処理液としては、アルミナは溶解せず、アルミニウムを溶解する液であれば特に限定されないが、例えば、塩化水銀、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水、塩酸/塩化銅混合物等の水溶液等が挙げられる。
濃度としては、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましい。
処理温度としては、−10℃〜80℃が好ましく、0℃〜60℃が好ましい。
アルミニウム除去処理は、上述した処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒〜5時間が好ましく、1分〜3時間がより好ましい。
アルミニウム除去処理後の陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜1000μmであるのが好ましく、10〜500μmであるのが更に好ましい。
アルミニウム除去処理後、後述する貫通化処理(C)を行う前に、陽極酸化皮膜14を水洗処理するのが好ましい。水和によるマイクロポア16のポア径の変化を抑制するため、水洗処理は30℃以下で実施することが好ましい。
〔貫通化処理(C)〕
貫通化処理(C)は、上記分離処理(B)により分離された酸化皮膜または上記分離処理(B)の後に後述する加熱処理(D)を施した場合は加熱処理(D)後の酸化皮膜のマイクロポアを貫通させる処理である。
貫通化処理(C)では、図4に示すマイクロポア16を有する陽極酸化皮膜14を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきさせることにより、陽極酸化皮膜14を部分的に溶解させる。これにより、マイクロポア16底部の陽極酸化皮膜14が除去され、マイクロポア16が貫通する(マイクロポア貫通孔18が形成される)。図5は、貫通化処理(C)後の状態を示した部分断面斜視図であり、マイクロポア貫通孔18を有する陽極酸化皮膜14からなる微細構造体が示されている。
図5では、陽極酸化皮膜14に存在する全てのマイクロポアがマイクロポア貫通孔18となっているが、貫通化処理(C)により、陽極酸化皮膜に存在する全てのマイクロポアが貫通しなくてもよい。ただし、貫通化処理(C)により、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのうち70%が貫通することが好ましい。
貫通化処理(C)に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜40℃であるのが好ましい。
貫通化処理(C)にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。
貫通化処理(C)後の陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜1000μmであるのが好ましく、10〜500μmであるのが更に好ましい。
貫通化処理(C)後、陽極酸化皮膜14を水洗処理する。水和によるマイクロポア貫通孔18のポア径の変化を抑制するため、水洗処理は30℃以下で実施することが好ましい。
また、上記分離処理の後であって上記貫通化処理の前、または、上記貫通化処理の後任意に、上記陽極酸化処理により形成した酸化皮膜を50℃以上の温度で少なくとも10分間加熱する加熱処理を施すこともできる。
〔無機材料の被覆処理(D)〕
陽極酸化皮膜の表面および/または細孔の内部に陽極酸化皮膜そのものとは別の物理形状または化学構造の無機材料を形成させ、陽極酸化皮膜中の酸根の溶出を抑制するとともに、滅菌処理時の水和の進行による細孔径の封孔を抑制する処理である。また、この処理により、陽極酸化皮膜の表面および/または細孔の内部に数10nm〜100nm程度の微小な凹凸が付与できる場合は、細胞の密着性が向上する副次的な効果が期待できる。
無機材料の被覆処理(D)では、図5に示すマイクロポア貫通孔18を有する陽極酸化皮膜14からなる陽極酸化メンブレンに対して、マイクロポア貫通孔18の内部を含めた陽極酸化皮膜14の表面全域にわたって、無機材料を被覆するが、全域で層を形成していなくてもよく、穴あきであってもよいし一部であってもよい。
無機材料による被覆は、特に細胞と接する表面部分が被覆されている事が好ましく、細孔部を除く表面が無機材料で被覆されている面積の割合である被覆率が、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
被覆率を算出する手段は特に限定されないが、次のように算出することができる。
(1)被覆率の算出方法I(SEM観察法)
被覆率 D[%]=S3/(S1-S2)×100
S1:サンプル表面のSEM観察における、幾何学的な観察面積。
S2:サンプル表面のSEM観察における、陽極酸化皮膜表面の細孔の全面積。
S3:サンプル表面のSEM観察における、粒状物が存在する面積。
(2)被覆率の算出方法II(ESCA分析法)
酸化アルミまたは、水酸化アルミ以外の異種元素による被覆に関しては、元素分析で求める事もできる。すなわち、表面からESCA分析装置にて全定性元素分析を行い、得られた元素量の内、アルミ元素の量をA[wt%]、酸素元素の量をB[wt%]、Alと酸素以外の異種の元素量をCwt%として下記式で定義できる。
被覆率 D[%]=C/(A+B+C)×100
無機材料の被覆物としては、限定されないが、具体的には、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸化合物、等のいずれか、またはそれらの組み合わせ、P、Ca、Zrからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む化合物、または、それらの組み合わせからなる物質が例示でき、それらを被覆する。
(1)酸化アルミニウムの形成方法
酸化アルミニウムは、上記陽極酸化皮膜メンブレンに有する貫通孔の少なくとも一部に形成させる。
まず、Al(OH)3、AlOOH等の水酸化アルミニウムを形成する。水酸化アルミニウムは、具体的には、例えば、塩化アルミニウム6水和物、結晶形はアモルファス状または、ギブサイト、ベーマイト、バイヤライトであり、アモルファス状もしくは、ベーマイト状である事が好ましい。
これら水酸化アルミニウムに焼成処理を施して、酸化アルミニウム(アルミナ)に転移できる。例えば、ベーマイトは、480〜760℃で焼成するとγ-アルミナに転移し、760〜920℃で焼成するとΔ-アルミナに転移し、920〜1020℃で焼成するとθ-アルミナに転移し、1020℃以上で焼成するとα-アルミナに転移する。
また、アモルファス状およびバイヤライトは240〜780℃でη-アルミナに転移し、1000℃以上でα-アルミナに転移する。
このように、焼成処理によって、化学的に耐性が強い酸化物に転移できる。これら酸化アルミニウムは、貫通孔の一部に形成されるものであってもよく、上記貫通孔の全体に形成されるものであってもよい。
このような酸化アルミを形成させることにより、陽極酸化皮膜に含有されている酸根の溶出を抑制し、結果として細胞の培養性が良好となる。
〔水酸化アルミニウムを形成する処理方法〕
陽極酸化メンブレンの貫通孔の内部に所定のpHに調製したアルカリ水溶液を供給することによって水酸化アルミニウムを形成することができる。
アルカリ水溶液のpHは、9〜13であるのが好ましく、10〜11.5であるのがより好ましく、11〜12であるのが更に好ましい。
また、アルカリ水溶液のpHは、脱気処理された純水、アンモニア、揮発性の高い薬液で調整することができる。ここで、薬液としては、具体的には、アンモニア、トリエタノールアミン、ニッケル塩、クロム酸塩、の群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する水溶液が好適に例示される。
これらのうち、生成する水酸化アルミニウムの量および、生成する細孔内部の位置、水酸化アルミニウムの粒子径を安定的に制御しやすい理由から、アンモニア水溶液であるのが好ましい。
上記アルカリ水溶液の供給方法は特に限定されないが、上記貫通孔を有する上記陽極酸化皮膜の表面全体に上記アルカリ水溶液を塗布する方法であってもよいが、上記貫通孔を有する上記陽極酸化皮膜を上記アルカリ水溶液に浸漬させる方法であるのが好ましい。
上記貫通孔を有する上記陽極酸化皮膜の片面のみを上記アルカリ水溶液に浸漬させると、上記貫通孔の片側のみに水酸化アルミニウムが形成され、上記貫通孔を有する上記陽極酸化皮膜の全体を上記アルカリ水溶液に浸漬させると、上記貫通孔の両側に水酸化アルミニウムが形成される。
一方、本発明においては、上記水酸化アルミニウムを上記貫通孔の全体に形成させる場合、上記無機材料の被覆処理の処理温度は、水酸化アルミニウムによる上記貫通孔の全体の均質な被覆が形成できる理由から、1〜40℃であるのが好ましく、3〜35℃であるのがより好ましく、5〜30℃であるのが更に好ましい。
また、上記無機材料の被覆処理の処理時間、即ち、浸漬処理する場合においては上記アルカリ水溶液への浸漬時間は、水酸化アルミニウムによる上記貫通孔の全体の均質な被覆が形成できる理由から、10分〜24時間であるのが好ましく、30分〜18時間であるのがより好ましく、45分〜3時間であるのが更に好ましい。
なお、上記貫通孔の全体に形成させる場合、上記貫通孔を有する上記陽極酸化皮膜の全体を上記アルカリ水溶液に浸漬させ、上記貫通孔の両側から水酸化アルミニウムを形成させるのが好ましい。
(2)珪酸塩の形成方法
陽極酸化メンブレンの表面および/または貫通孔をアルカリ金属ケイ酸塩の溶液と接触させて、メンブレンを無機材料で被覆する。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、具体的には、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等が挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を用いるのが好ましい。上記アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、更に、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含有してもよい。
更に、上記アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、更に、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。
ここで、上記アルカリ土類金属塩としては、具体的には、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩;等が挙げられる。
また、上記4族(第IVA族)金属塩としては、具体的には、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム等が挙げられる。
これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、一種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば代表的な珪酸塩である水ガラス(シリケート)水溶液にCaOや、Pなどを適量添加した水溶液に浸漬または塗布する事で、一般にバイオガラスと呼ばれて生体適合性があるNa2O-CaO-SiO2系ガラスに類似した成分を有する被覆を形成する事もできる。
<珪酸塩処理>
上記アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を用いた場合、上記アルカリ金属ケイ酸塩の濃度は0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.4〜8質量%であるのがより好ましく、0.8〜4質量%であるのが更に好ましい。
また、上記アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液の温度は、1〜70℃であるのが好ましく、2〜50℃であるのがより好ましく、3〜35℃であるの更に好ましい。
また、上記アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を用いた場合の処理時間は、5秒〜90分であるのが好ましく、8秒〜60分であるのが好ましく、12秒〜30分であるのが更に好ましい。また、SiO2の含有量としては、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、ケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す。)と濃度によって膜厚の調節が可能である。
ここで、Mとしては、特にナトリウム、カリウムが好適に用いられる。
また、モル比は、〔SiO2〕/〔M2O〕が0.1〜5.0が好ましく、0.5〜3.0がより好ましい。生体適合性を向上する為、添加材としてリン酸カルシウムを添加できる。添加する場合の好ましいモル比は、〔SiO2〕/〔CaO〕が0.1〜5.0が好ましく、0.5〜3.0がより好ましい。この範囲よりモル比が低すぎると粉末が溶解しない。モル比が高いと生体適合性が向上しない。
(3)Pを含む酸化物層の形成方法
リン化合物としては、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシウム等が使用でき、特にリン酸水素ナトリウムが好ましい。水溶液として用いる方法が例示される。また濃度としては、膜厚の均一性の観点から、0.1〜20wt%が好ましく、0.5〜10wt%がより好ましい。
(3)−1.CaとPを含む酸化物層の形成方法
[CaとPを含む酸化物の形成]
CaとPを含む化合物は、コロイドやスラリーを電気泳動させる電着法、CVD法、PVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、含漬法などの公知の方法で被覆できる。被覆の密着性、均一性の点からスパッタリング法が特に好ましい。
電解質溶液にCa及びPの化合物を含有しない陽極酸化処理を施した後に、Ca及びPの化合物を含有するセラミック板をターゲットとしてスパッタリング法で表面に付着させる事ができる。
スパッタリングターゲットの好ましい種類としては、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、ピロりん酸カルシウム、亜りん酸カルシウム、次亜りん酸カルシウムなどが挙げられる。中でも、入手性、ターゲットの強度、ヒドロキシアパタイトの形成のし易さからリン酸三カルシウムが好ましい。
出力の好ましい範囲は、1〜50W/cm2が好ましく、3〜40W/cm2がより好ましく、5〜30W/cm2が最も好ましい。
スパッタガスの好ましい種類は、空気、Ar、Kr、Ke不活性ガスが挙げられる。
スパッタガス圧力の好ましい範囲は0.01〜5Paであり、0.03〜3Paがより好ましく、0.05〜1Paが最も好ましい。
ターゲット距離の好ましい範囲は、5〜150mmであり、10〜100mmがより好ましく30〜80mmが最も好ましい。この範囲で均一な処理が可能である。
(3)−2.Zr、またはZrとPを含む酸化物層の形成
ZrとPを含む酸化物層を形成するには、好ましくは例えば、フッ化ジルコン酸処理が挙げられる。フッ化ジルコン酸処理は、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム等のフッ化ジルコン酸塩を用いて行われる。中でも、フッ化ジルコン酸ナトリウムを用いるのが好ましい。フッ化ジルコン酸処理に用いられるフッ化ジルコン酸溶液の濃度は、0.01〜2質量%であるのが好ましく、0.1〜0.3質量%であるのがより好ましい。また、フッ化ジルコン酸塩溶液は、リン酸二水素ナトリウムを含有するのが好ましい。リン酸二水素ナトリウムの濃度は、0.01〜3質量%であるのが好ましく、0.1〜0.3質量%であるのがより好ましい。更に、フッ化ジルコン酸塩溶液は、アルミニウムイオンを含有していてもよい。その場合、フッ化ジルコン酸塩溶液のアルミニウムイオン濃度は、1〜500mg/Lであるのが好ましい。
このようなフッ化ジルコン酸処理のうち、フッ化ジルコン酸ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムを含有するフッ化ジルコン酸塩溶液を用いるのが、形成される親水性皮膜がフッ素、ジルコニウムおよびリンを含有し、被覆性、柔軟性が高い理由から好ましい。
処理の温度の好ましい範囲は、20〜90℃であるのが好ましく、50〜80℃であるのがより好ましい。
溶液中への浸せき時間の好ましい範囲は、1〜600秒であるのが好ましく、5〜180秒であるのがより好ましい。形成される親水性皮膜の膜厚は、1〜200nmであるのが好ましく、5〜50nmであるのがより好ましい。膜厚がこの範囲である、陽極酸化皮膜から溶出する酸根を抑制し、細胞の健全な育成を可能にし、適度な凹凸から細胞の接着性の向上が期待できるので、好ましい。
(3)−3.Ca、Pを含む電解液での陽極酸化皮膜形成方法
さらに、Ca、Pを含む電解液で陽極酸化皮膜を形成できる。この場合には、無機材料の被覆処理(D)をしないでも、皮膜成分に生体適合物質であるハイドロキシアパタイトの前躯体(焼成処理で転移する)が生成する。前述のように無機材料の被覆処理(D)でCa、Pを被覆する事もできる。
Ca及びPの化合物の種類は限定されないが、Pの化合物としては、α−グリセロリン酸ナトリウム、β−グリセロリン酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウムなどのグリセロリン酸塩が好ましい。特に好ましくは、水に対する溶解度が高いβ−グリセロリン酸ナトリウムである。Caの化合物としては、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウムなどが好ましい。酢酸カルシウムは水に対する溶解度が高く、グリセロリン酸塩と同時に水に溶解しても反応して沈澱を生じることがなく、高濃度でCaとPを含む電解質を調製することができ、安定して陽極酸化できるので特に好ましい。このような電解質溶液にアルミを浸漬して陽極酸化するが、主な条件としては電圧、電流密度、電解質濃度、電解質温度などがあげられる。陽極酸化皮膜は、電圧が上昇するに従い厚さが増加して皮膜が成長するが、それと同時に電解質溶液中のCaとPを皮膜が取り込み、CaとPを含む陽極酸化皮膜が形成される。
例えば、β−グリセロリン酸ナトリウムと酢酸カルシウムを用いた場合、β−グリセロリン酸ナトリウムの好ましい範囲は、0.01−0.2mol/Lが好ましく 0.05−0.15mol/Lがより好ましく、0.08−0.13mol/Lが最も好ましい。酢酸カルシウムの好ましい範囲は0.05−0.8mol/Lが好ましく 0.08−0.6mol/Lがより好ましく、0.1−0.5mol/Lが最も好ましい。
陽極酸化皮膜の電解電圧は150 〜 500V の範囲にすることが好ましい。180 〜 400V の範囲にすることがより好ましい。200 〜 300V の範囲にすることがさらに好ましい。高電圧ほど好ましいが、電圧が高すぎると、焼けが発生し易く、不均一な皮膜となり、厚みのある皮膜が形成できない。
電流密度を高くするほど短時間で陽極酸化は終了するが、陽極酸化皮膜中のCaとPの濃度が場所によって不均一になる。電流密度を小さくし、長時間かけて陽極酸化することが好ましい。こうすることで皮膜中にCaとPが均一に取り込まれ、その結果、陽極酸化皮膜に均一に析出する。電流密度の好ましい範囲は、1 〜 200mA/cm 2 であり、3 〜 100mA/cm2 が好ましく5 〜 50mA/cm 2 が最も好ましい。
陽極酸化する場合、電解質溶液温度の好ましい範囲は5〜60℃が好ましい。8〜50℃がより好ましく、10〜40℃が最も好ましい。
<蒸気処理>
得られたメンブレンは、無機材料のハイドロキシアパタイトなどの生体適合性に優れる所望の水酸化物を析出させるため、蒸気処理を施しても良い。
例えば一般に市販されているオ−トクレ−ブ装置を用いて蒸気処理する事が好ましく、
蒸気処理の好ましい温度範囲は100 〜 500℃が好ましい。120 〜 450℃がより好ましく、140 〜 400 ℃が最も好ましい。
100℃より低いと水酸化物が析出しにくく、500℃より高いと装置が高価であり、大型化する。蒸気処理は主に飽和水蒸気中で行うのが好ましいが、水中あるいはCaとPなどの金属塩を含む水中で行う事もできる。
〔焼成処理(E)〕
以上の処理で得られる陽極酸化皮膜の表面および/または細孔内部に無機材料を有する細胞培養用メンブレンは、必要により所定の雰囲気中でさらに所定の温度で熱処理してもよい。生成した無機材料やヒドロキシアパタイトの酸化や結晶化を進行させる事で、メンブレンとしての耐久性が向上し、特に、シュウ酸などの有機酸電解浴で形成した陽極酸化皮膜の場合には、特に表面の酸根(COOH−)が熱分解してCO2化して揮発し、その後水溶液と接触しても溶出しなくなる副次的な作用が期待できるので、熱処理を行う事が好ましい。耐久性があまり必要でない用途や、微量の有機酸根が溶出しても問題ない用途では、焼成をおこなわなくても良い場合がある。
熱処理の温度は好ましくは200〜1500℃、より好ましくは400〜1200℃、さらに好ましくは400〜1000℃の範囲で、数秒〜十数時間、好ましくは数分〜数時間処理することで行なうことができる。クリーンルーム内などの清浄な空気中で大気圧で熱処理を行なう事が好ましい。
好ましい処理時間としては、0.5〜24時間が好ましく、1〜12時間が好ましく、2〜8時間が特に好ましい。昇温速度の好ましい範囲は10〜400℃/10minであり30〜300℃/10minがより好ましい。所定の時間焼成した後、降温速度の好ましい範囲は1〜100℃/10minであり、5〜50℃/10minの範囲がより好ましい。この範囲で熱衝撃による破損や強度劣化を防止できる。
処理方法としては、連続処理、断続処理であっても良いが、連続処理が、熱による内部応力によって破損が発生し難い点で好ましい。
[細胞培養への適用]
本発明の細胞培養用メンブレンは、単独で培養液に浸して細胞培養に用いてもよいが、ガラスやプラスチック等の基板上に載置して培養液中で細胞培養してもよい。
[滅菌処理]
細胞培養の為の前処理として、通常、滅菌処理が行われる。滅菌処理としては、オート
クレーブ法、UV法、γ線照射法、乾熱滅菌処理が知られている。本発明の細胞培養用メンブレンは、滅菌処理後包装してもよいし、包装の一部を開口したまま滅菌処理し後に包装の開口部をシールしてもよい。包装中に封入して滅菌処理してもよい。包装材料は、医療用器具の包装材料等を用いればよい。
UV法は効果が限定的であり、例えば、紫外線耐性菌には効果が少ない。γ線照射法も効果が限定的であり、一般に長時間の照射が必要とされる上に、死滅させる程の効果がない事がある。設備も大型でかつ高額であり、一般的でない。
<オートクレーブ滅菌処理>
オートクレーブ滅菌では、2気圧の飽和水蒸気によって温度を121℃に上昇させ、15〜20分間処理することで、対象物の水分を保持したまま、しかも乾熱滅菌より低い温度、短い時間で滅菌を行うことが可能であり、広く使われている。
しかし、陽極酸化皮膜にそのままオートクレーブ処理を施すと、水和が進行し、場合によっては、封孔(細孔の閉塞)してしまい、性能が劣化する。本発明の細胞培養用メンブレンは表面に無機材料を有するので封孔が抑制できる。また、分子生物学分野でのコンタミの原因の一つであるRNaseや、医療上コンタミの原因になる、内毒素であるリポ多糖などは、オートクレーブ滅菌によって除去することはできず、異常プリオンについても通常のオートクレーブの条件では感染性を失わせることができない。
<乾熱滅菌処理>
これらの分子生物学分野でのコンタミで、オートクレーブ滅菌では除去できない場合、滅菌処理として乾熱滅菌を行なう事が好ましく、120〜200℃の高温に数秒から数時間さらし、例えば、180℃、30分以上または160℃、1時間以上の処理によって、死滅し難い芽胞でも滅菌できる。しかし、乾熱滅菌処理は有機材料からなる細胞培養用の市販品は使用できず、無機材料のメンブレンを用いた研究開発が行なわれている。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
[メンブレン1〜4の作製]
1.メンブレン1の作製
(1)電解研磨処理
高純度アルミニウム基板(住友軽金属社製、純度99.99質量%、厚さ0.4mm)を、10cm四方の面積でカットし、以下の組成の電解研磨液を用いて、電圧10V、液温度65℃の条件で電解研磨処理を行った。陰極はカーボン電極とし、電源は、GP−250−30R(高砂製作所社製)を用いた。
<電解研磨液組成>
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 1320mL
・純水 80mL
・硫酸 600mL
(2)陽極酸化処理
上記で得られた電解研磨処理後のサンプルに、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25.0V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で4時間陽極酸化処理を施した。更に陽極酸化処理後のサンプルに、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬して脱膜処理を施した。この処理を4回繰り返した。さらに再陽極酸化処理条件として、0.30mol/L硫酸の電解液で、電圧25.6V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で16時間陽極酸化処理を施した。更に、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬させて脱膜処理を施すことにより、アルミニウム基板表面に、マイクロポアが直管状で且つハニカム状に配列された陽極酸化皮膜を形成させた。
なお、陽極酸化処理および再陽極酸化処理ともに、陰極はステンレス電極とし、電源は、GP0110−30R(高砂製作所社製)を用いた。また、冷却装置としては、NeoCool BD36(ヤマト科学社製)を用い、かくはん加温装置として、ペアスターラー PS−100(EYELA社製)を用いた。
(3)分離処理
上記で得られた陽極酸化処理後のサンプルを、20質量%塩酸、および、0.1mol/L塩化第二銅の混合水溶液を用いて、10℃、20分間浸漬させることにより、アルミニウム基板を溶解して除去し、マイクロポアを有する陽極酸化皮膜からなる微細構造体を作製した。
(4)アルミ除去、貫通化処理
pH緩衝作用のあるKClに、得られた微細構造体を10分間浸漬させ、細孔内部に十分浸透させた。その後、バリア層側のみを0.1N-KOHに30℃20分浸漬させ、バリア層を溶解除去した。
<微細構造体の形状解析>
得られた貫通化処理後のポーラスアルミナメンブレンの表面写真および断面写真(倍率20000倍)をFE−SEMにより撮影し、1μm×1μmの視野に存在する全てのマイクロポアについて、平均孔径を算出し、以下の形状であることを確認した。
同様に、測定範囲である1μm×1μmの視野に存在する全てのマイクロポアについて、下記式(1)で定義される規則化度を求めた。
規則化度(%)=B/A×100 (1)
・構造体の厚さ: 90μm、 ・貫通孔の深さ:90μm
・貫通孔の平均開孔径:20nm、・貫通孔の周期(中心間距離):63nm
・貫通孔(マイクロポア)の規則化度:94%
2.メンブレン2の作製
(1)電解研磨処理
メンブレン1の作製と同様の処理をした。
(2)陽極酸化処理
電解研磨処理後のサンプルに、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧を40.0V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で2.5時間陽極酸化処理を施した。更に陽極酸化処理後のサンプルに、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬して脱膜処理を施した。この処理を4回繰り返した。
さらに、再陽極酸化処理条件として、0.5mol/L シュウ酸の電解液で、電圧41.7V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で10時間陽極酸化処理を施した。更に、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬させて脱膜処理を施すことにより、アルミニウム基板表面に、マイクロポアが直管状で且つハニカム状に配列された陽極酸化皮膜を形成させた。
(3)分離処理
メンブレン1の作製と同様の処理をした。
(4)アルミ除去、貫通化処理工程
pH緩衝作用のあるKClに得られたメンブレンを10分間浸漬させ、細孔内部に十分浸透させた。その後、バリア層側のみを0.1M−KOHに、30℃、45分間浸漬させることにより陽極酸化皮膜の底部を除去し、ポア径を拡大したマイクロポアを有する陽極酸化皮膜からなる微細構造体を作製した。
得られた貫通化処理後の微細構造体の表面写真および断面写真(倍率20000倍)をFE−SEMにより撮影し、以下の形状であることを確認した。
・構造体の厚さ:100μm、 ・貫通孔の深さ:100μm
・貫通孔の平均開孔径:30nm、 ・貫通孔の周期(中心間距離):100nm
・貫通孔(マイクロポア)の規則化度:96%
3.メンブレン3の作製
(1)電解研磨処理
メンブレン1の作製と同様の処理をした。
(2)陽極酸化処理
上記で得られた電解研磨処理後のサンプルに、 その後、0.05mol/Lリン酸の電解液で、電圧195V、液温度0℃、液流速5.0m/min の条件で、3時間の陽極酸化を施した。更に陽極酸化処理後のサンプルに、0.5mol/Lリン酸の水溶液に40℃の条件で20分間浸漬して脱膜処理を施した。この処理を4回繰り返した。その後、0.05mol/Lリン酸の電解液で、電圧200V、液温度0℃、液流速5.0m/minの条件で、12時間の陽極酸化を施した。
更に、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬させて脱膜処理を施すことにより、アルミニウム基板表面に、マイクロポアが直管状で且つハニカム状に配列された陽極酸化皮膜を形成させた。
(3)分離処理
メンブレン1の作製と同様の処理をした。
(4)アルミ除去、貫通化処理工程
pH緩衝作用のあるKClに得られたメンブレンを10分間浸漬させ、細孔内部に十分浸透させた。その後、バリア層側のみを0.1N-KOHに30℃で90分浸漬させ、バリア層を溶解除去し、ポア径を拡大したマイクロポアを有する陽極酸化皮膜からなる微細構造体を作製した。
得られた貫通化処理後の微細構造体の表面写真および断面写真(倍率5000倍)をFE−SEMにより撮影し、以下の形状であることを確認した。
・構造体の厚さ:70μm、 ・貫通孔の深さ:70μm
・貫通孔の平均開孔径:150nm ・貫通孔の周期(中心間距離):500nm
・貫通孔(マイクロポア)の規則化度:92%
4.メンブレン4の作製
(1)電解研磨処理
メンブレン1の作製と同様の処理をした。
(2)陽極酸化処理
以下の電解液を用いて、陽極酸化処理と無機材料の含有処理を行った。
電解研磨処理後のサンプルに、 その後、0.05mol/Lリン酸の電解液で、電圧195V、液温度0℃、液流速5.0m/minの条件で、3時間の陽極酸化を施した。更に陽極酸化処理後のサンプルに、0.5mol/Lリン酸の水溶液に40℃の条件で20分間浸漬して脱膜処理を施した。この処理を4回繰り返した。
その後、0.05mol/Lリン酸、0.08mol/L β−グリセロリン酸ナトリウム(分子量306 )と0.5mol/L酢酸カルシウム(分子量176 )を調整し、これを電解液として電解電圧を200V一定電圧、電解質温度を0℃として、液流速5.0m/min の条件で、10時間の陽極酸化を施した。
更に、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬させて脱膜処理を施すことにより、アルミニウム基板表面に、マイクロポアが直管状で且つハニカム状に配列された陽極酸化皮膜を形成させた。
(3)分離処理
メンブレン1の作製と同様の処理をした。
(4)アルミ除去、貫通化処理工程
pH緩衝作用のあるKClに得られたメンブレンを10分間浸漬させ、細孔内部に十分浸透させた。その後、バリア層側のみを0.1N-KOHに30℃で90分浸漬させ、バリア層を溶解除去し、ポア径を拡大したマイクロポアを有する陽極酸化皮膜からなる微細構造体を作製した。
得られた貫通化処理後の微細構造体の表面写真および断面写真(倍率5000倍)をFE−SEMにより撮影し、以下の形状であることを確認した。
・構造体の厚さ:70μm、 ・貫通孔の深さ:70μm
・貫通孔の平均開孔径:150nm、 ・貫通孔の周期(中心間距離):500nm
・貫通孔(マイクロポア)の規則化度:70%
[滅菌処理]
1.水熱滅菌処理、オートクレーブ滅菌処理
2気圧の飽和水蒸気によって温度を121℃に上昇させ、20分間処理することで、対象物の水分を保持したまま、しかも乾熱滅菌より低い温度、短い時間で滅菌を行う。
2.乾熱滅菌処理
180度の高温に1時間さらし、乾熱滅菌を行なう。
作製したメンブレン1〜4に以下の処理を行い無機材料を含ませた。得られた細胞培養シートをそれぞれの条件で滅菌処理し、以下の評価をして結果を表1に示した。
1.酸根の溶出量の測定
滅菌後、室温に戻した細胞培養シートの、9cm2の検体を乳鉢で#400まで粉砕し純水(50cc)に浸漬した。浸漬時間:24時間後、濃縮操作:Ptるつぼで10倍に濃縮した。ICP分析装置にて溶出する酸根の元素の全定性分析をおこなった。
装置:島津製作所製 ICPS-1000IV
2.以下の前処理を37℃3日間培養した後の細胞培養用メンブレンの破断面の異常の有無をSEMで観察した。結果を表1に示した。
3.培養中の細胞と培養用メンブレンの様子を光学顕微鏡で観察し、細胞培養性および
細胞接着性を評価した。結果を表1に示した。
[細胞培養性]: ○:優れる △:良い ×:効果少ない(細胞が培養された様子がほとんど見られない) ××:死滅または腐敗
[細胞接着性]:◎:優れる ○:良い ○△:効果ある △:効果少ない(接着するが傾けると剥離する) ×:悪い(接着しないまたは、浮いている)
[細胞の培養]
滅菌後、室温に戻した細胞培養用メンブレンを細胞培養担体として用いて、細胞の培養を行った。
(a)使用細胞:BAE(ウシ大動脈血管内皮細胞)
(b)使用培地:Eagle最小培地、10%牛胎児血清
(c)前処理:滅菌したメンブレンのマイクロポアが略垂直に並ぶようにPET製支持体上に置き、この支持体ごと、ポリスチレン製シャーレの底面に置いた。その後、培地を添加して30分浸漬し、培地交換することを2回繰り返した。
(d)細胞の播種:予め培養しておいた細胞をトリプシン処理で回収し、細胞濃度を40000cell/mlに調製した。セル及びシャーレ内の培地を捨てた後、この細胞液を細胞数7000cell/cm 2 となるようにシャーレ内に播種し培地を添加した。
(e)培養:CO インキュベーターを用いて37℃で3日間培養した。
(f)結果:本発明の実施例の細胞培養用メンブレンを用いて細胞培養したものは、細胞培養中に細胞膜が浮くことがなかった。さらに、培養中の細胞の生育状態が観察でき、細胞接着性に問題がなかった。
(実施例1)
メンブレン1に下記処理を行った。
[水酸化アルミの形成処理 1]
処理条件としては25℃での電気伝導度が0.06μS/cmである純水にアンモニア水を添加し20℃で、pHが11.4になるように調整し、温度40℃で1時間浸漬した。破断面をFE-SEM(日立製作所製 S-900)にて観察したところ、細孔の両端から、それぞれ20μm程度、粒子径が10〜60nm程度の緻密な粒状物が充填されていた。
XRD(X-Ray Diffractometer粉末X線回折装置)にて測定したところ、水酸化アルミ(バイヤライト)が主成分であった。
<焼成処理 H1>
清浄なガラス板に挟んで、電気炉で550℃で3時間焼成した。昇温速度は50℃/10minとした。所定の時間焼成した後、降温速度10℃/10minで室温まで徐冷した。XRDにて測定したところ、酸化アルミが主成分であった。
[滅菌処理(乾熱法)]
使用する前に、電気炉で180℃で1時間処理し、滅菌した。
(実施例2)
メンブレン1に下記処理を行った。
[珪酸塩処理 S1]
Siの濃度が2.5質量%の3号ケイ酸ナトリウム水溶液(液温30℃)に、陽極酸化皮膜を30秒間浸せきさせた。
<焼成処理 H2>
清浄なガラス板に挟んで、電気炉で400℃で3時間焼成した。昇温速度は50℃/10minとした。所定の時間焼成した後、降温速度10℃/10minで室温まで徐冷した。XRF(X-Ray Fluorecence Analysis)にてSi付着量を測定したところ、120mg/m2であった。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
(実施例3)
メンブレン1に下記処理を行った。
0.3M硫酸、15℃で8時間化学溶解し・細孔径を約50nmに拡大した。
[CaとPを含む処理 C1]
メンブレンの片側表面にスパッタリング法でリン酸カルシウムを付着させた。
<スパッタリング条件>
ターゲット:リン酸三カルシウム セラミック材、出力10W/cm2 スパッタガス:Ar、スパッタガス圧力:0.67Pa、ターゲット距離:50mm、
<蒸気処理 V1>
メンブレン上に膜を形成し、それを水蒸気気流中600℃で処理した。得られた膜をSEMで観察したところ、膜厚約100nmで膜表面のほぼ全面および細孔内の一部に付着していた。細孔部分は閉塞されていなかった。
XRF観察ではPとCaが存在し、Ca付着量を測定したところ、120mg/m2であった。
<焼成処理 H3>
清浄なガラス板に挟んで、電気炉で600℃、3時間焼成した。昇温速度は50℃/10minとした。所定の時間焼成した後、降温速度10℃/10minで室温まで徐冷した。
[滅菌処理(水熱法)]
2気圧の飽和水蒸気で温度を121℃に上昇させ、20分間処理した。
(実施例4)
メンブレン1に下記処理を行った。
0.3M硫酸、15℃で8時間化学溶解し・細孔径を約50nmに拡大した。
[水酸化アルミの形成処理 A1]実施例1と同様の処理を行った。
[CaとPを含む処理 C1]
メンブレン1の片側表面にスパッタリング法でリン酸カルシウムを付着させた。
<スパッタリング条件>
ターゲット:リン酸三カルシウム セラミック材、出力10W/cm2、スパッタガス:Ar、スパッタガス圧力:0.67Pa、ターゲット距離:50mm、
<蒸気処理 V1>
メンブレン上に膜を形成し、それを水蒸気気流中600℃で処理した。得られた膜をSEMで観察したところ、膜厚約100nmで一様に付着していた。細孔部分は封孔されていなかった。XRF観察ではPとCaが存在し、Ca付着量を測定したところ、120mg/m2であった。
<焼成処理 H3>
清浄なガラス板に挟んで、電気炉で、600℃、3時間焼成した。昇温速度は50℃/10minとした。所定の時間焼成した後、降温速度10℃/10minで室温まで徐冷した。
[滅菌処理(水熱法)]
2気圧の飽和水蒸気によって温度を121℃に上昇させ、20分間処理した。
(実施例5)
メンブレン1に下記処理を行った。
[水酸化アルミの形成処理 A1]実施例1と同様の処理を行った。
[珪酸塩処理 S1]実施例2と同様の処理を行った。
[焼成処理 H2]実施例2と同様の処理を行った。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
(実施例6)
メンブレン1に下記処理を行った。
[水酸化アルミの形成処理 A2]
処理条件としては25℃での電気伝導度が0.06μS/cmである純水で98℃で1分間浸漬した。破断面をFE-SEM(日立製作所製 S-900)にて観察したところ、細孔の両端から、それぞれ1μm程度、粒子径が10〜60nm程度の緻密な粒状物が充填されていた。細孔は封孔されていなかった。XRDにて測定したところ、水酸化アルミ(ベーマイト)が主成分であった。
<焼成処理 H1>実施例1と同様の処理を行った。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
(実施例7)
メンブレン1に下記処理を行った。
[水酸化アルミの形成処理 A3]
処理条件としては25℃での電気伝導度が0.06μS/cmである純水にトリエタノールアミンを1wt%添加し60℃で5分間浸漬した。破断面をFE-SEM(日立製作所製 S-900)にて観察したところ、細孔の両端がら、それぞれ1μm程度、粒子径が10〜60nm程度の緻密な粒状物が充填されていた。細孔は封孔されていなかった。
XRDにて測定したところ、水酸化アルミ(バイヤライト)が主成分であった。
<焼成処理 H1>実施例1と同様の処理を行った。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
(実施例8)
メンブレン2に下記処理を行った。
[水酸化アルミの形成処理 A4]
処理条件としては25℃での電気伝導度が0.06μS/cmである純水にアンモニア水を添加し20℃で、pHが11.4になるように調整し、温度40℃で2時間浸漬した。破断面をFE-SEM(日立製作所製 S-900)にて観察したところ、細孔の両端から、それぞれ20μm程度、粒子径が10〜60nm程度の緻密な粒状物が充填されていた。
XRDにて測定したところ、水酸化アルミ(バイヤライト)が主成分であった。
<焼成処理 H1>実施例1と同様の処理を行った。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
(実施例9)
メンブレン2に下記処理を行った。
[水酸化アルミの形成処理 A4]
[珪酸塩処理 S2]
Siの濃度が2.5質量%の3号ケイ酸ナトリウム水溶液(液温30℃)に、陽極酸化皮膜を45秒間浸せきさせた。
<焼成処理 H2>実施例2と同様の処理を行った。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
(実施例10)
メンブレン2に下記処理を行った。
0.5Mシュウ酸で、15℃、8時間化学溶解し、細孔径を約60nmに拡大した。
[CaとPを含む処理 C1]実施例3と同様の処理を行った。
<蒸気処理 V1>実施例3と同様の処理を行った。
<焼成処理 H3>実施例3と同様の処理を行った。
[滅菌処理(水熱法)]実施例3と同様の処理を行った。
(実施例11)
メンブレン3に下記処理を行った。
[水酸化アルミの形成処理 A5]
処理条件としては25℃での電気伝導度が0.06μS/cmである純水にアンモニア水を添加し20℃で、pHが11.4になるように調整し、温度40℃で3時間浸漬した。破断面をFE-SEM(日立製作所製 S-900)にて観察したところ、細孔の両端から、それぞれ20μm程度、粒子径が10〜60nm程度の緻密な粒状物が充填されていた。
XRDにて測定したところ、水酸化アルミ(バイヤライト)が主成分であった。
<焼成処理 H1>実施例1と同様の処理を行った。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
(実施例12)
メンブレン3に下記処理を行った。
[水酸化アルミの形成処理 A4]
[珪酸塩処理 S2]
Siの濃度が2.5質量%の3号ケイ酸ナトリウム水溶液(液温30℃)に、陽極酸化皮膜を90秒間浸せきさせた。
<焼成処理 H2>実施例2と同様の処理を行った。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
(実施例13)
メンブレン3に下記処理を行った。
0.05Mリン酸で、15℃、8時間化学溶解し、細孔径を約200nmに拡大した。
[CaとPを含む処理 C1]実施例3と同様の処理を行った。
<蒸気処理 V1>実施例3と同様の処理を行った。
<焼成処理 H3>実施例3と同様の処理を行った。
[滅菌処理(水熱法)]実施例3と同様の処理を行った。
(実施例14)
陽極酸化処理と無機材料の含有処理を行ったメンブレン4に以下の処理を行った。
<蒸気処理 V2>
メンブレン上に膜を形成し、それを水蒸気気流中600℃で処理した。得られた膜をFE-SEMで観察したところ、表面および細孔の内部に粒径約20〜50nmの粒状の突起物が観察できた。細孔部分は封孔されていなかった。
XRF観察ではPとCaが存在し、Ca付着量を測定したところ、1.2g/m2であった。
<焼成処理 H3>実施例3と同様の処理を行った。
[滅菌処理(水熱法)]実施例3と同様の処理を行った。
(実施例15)
実施例14において焼成処理を行わなかった以外は同様の処理を行った。
(実施例16)
メンブレン1に下記処理を行った。
[ZrとPを含む処理 C2]
90℃に加熱したフッ化ジルコン酸ナトリウム0.1質量%/リン酸2水素ナトリウム1質量%の水溶液中に90sec間浸漬した。
XRFにて、PとZrの付着を確認した。Zrの付着量を計測した結果、0.1g/m2であった。
[滅菌処理(水熱法)]実施例3と同様の処理を行った。
(実施例17)
実施例16においてさらに、焼成処理をおこなった。
[ZrとPを含む処理 C2]実施例16と同様の処理を行った。
<焼成処理 H1>実施例1と同様の処理を行った。
[滅菌処理(水熱法)]実施例3と同様の処理を行った。
(比較例1)
メンブレン1に無機材料の形成処理は行なわなかった。
[滅菌処理(水熱法)]実施例3と同様の処理を行った。
(比較例2)
メンブレン1に無機材料の形成処理は行なわなかった。
<焼成処理 H1>実施例1と同様の処理を行った。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
(比較例3)
メンブレン1に無機材料の形成処理は行なわなかった。
<焼成処理 H1>実施例1と同様の処理を行った。
[滅菌処理(水熱法)]実施例3と同様の処理を行った。
(比較例4)
市販品:商品名(アノディスク 47φ 0.02μm 無滅菌 ワットマン(株)製)型番:6809-5002のメンブレンを細胞培養用に用いた。
[滅菌処理(水熱法)]実施例3と同様の処理を行った。
(比較例5)
比較例4と同じ、市販品:商品名(アノディスク 47φ 0.02μm 無滅菌 ワットマン(株)製)型番:6809-5002のメンブレンを細胞培養用に用いた。
[滅菌処理(乾熱法)]実施例1と同様の処理を行った。
Figure 0005383272
表1で、↓は、同上を示す。表1の結果から、比較例の細胞培養用メンブレンは、SやPの溶出により、細胞の培養が阻害されたと思われる。一方、本発明の細胞培養用メンブレンは、P、Caを含む化合物の細胞適合性が特に優れ、細胞が細胞培養シートと良く融着する。また、表1の結果から本発明の珪酸塩や水酸化アルミを焼成して得た珪酸ガラスやアルミ酸化物を有する細胞培養用メンブレンに対して細胞適合性があることがわかる。
1、2、4、5、7、8 マイクロポア
3、6、9 円
12、12a、12b、 アルミニウム基板
14、14a、14b、14c、14d 陽極酸化皮膜
16、16a、16b、16c、16d マイクロポア
18:マイクロポア貫通孔
20 異形部分
30 変曲点

Claims (5)

  1. アルミニウムの陽極酸化皮膜の表面および/または細孔の内部に水酸化アルミニウム;ケイ酸化合物;並びにP、Ca、およびZrからなる群から選択される少なくとも一つの元素を含む化合物;からなる群から選択される少なくとも一つの無機材料を有する細胞培養用メンブレン。
  2. 前記無機材料が、水酸化アルミニウム、ケイ酸化合物、PおよびCaを含む化合物、並びに、PおよびZrを含む化合物からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の細胞培養用メンブレン。
  3. 前記無機材料が、陽極酸化皮膜の表面および/または細孔の内部に付着された後に焼成される請求項1または2に記載の細胞培養用メンブレン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養用メンブレンを120〜200℃で滅菌処理した細胞培養用メンブレン。
  5. 基板上に請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞培養用メンブレンを備える細胞培養シート。
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