JP2009041880A - 給湯機用水熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】スパイラル状に加工された水流路管の外周に、冷媒流路管が螺旋状に巻き付けられている型式の炭酸ガス冷媒を用いる給湯器用水熱交換器において、熱交換性能を低下させることなく、水流路管内面に健全な錫めっき皮膜を効果的に形成することが出来る熱交換器形状を提供すること。
【解決手段】水流路管12の外面に形成された凹条16に対応して管内面に形成される内面凸条20,20間に形成された内面凹部22を、その延びる方向に対して垂直な断面において、その深さ:hと幅:wとの比:h/wを0.50以下とし、且つ管軸に対して35°以上、50°以下の角度をもって螺旋状に延びるようにして、給湯機用水熱交換器10を構成した。
【選択図】図1
【解決手段】水流路管12の外面に形成された凹条16に対応して管内面に形成される内面凸条20,20間に形成された内面凹部22を、その延びる方向に対して垂直な断面において、その深さ:hと幅:wとの比:h/wを0.50以下とし、且つ管軸に対して35°以上、50°以下の角度をもって螺旋状に延びるようにして、給湯機用水熱交換器10を構成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱交換媒体である冷媒と水との間で熱交換を行なう型式の熱交換器に係り、中でも、炭酸ガスを主成分とする高温の冷媒を熱交換媒体として、これと水とを熱交換するための給湯機用の水熱交換器に関するものである。
従来から、冷媒(熱交換媒体)と水とを熱交換する給湯機用水熱交換器として、かかる冷媒を流通させる流路(冷媒流路)と水を流通させる流路(水流路)とを、2つの伝熱管を組み合わせて構成し、それら水と冷媒との間で熱交換を行なうようにした熱交換器が、各種用いられてきている。そして、そのような熱交換器で用いられる冷媒(熱交換媒体)としては、従来のフロン系冷媒に代えて、オゾン層保護や地球温暖化防止等の観点から、温暖化係数の低い自然冷媒が注目されてきており、近年、この自然冷媒を利用した熱交換器の開発が行なわれてきている。また、そのような自然冷媒の中でも、炭酸ガスを用いた場合にあっては、高温の熱が得られることから、給湯機用水熱交換器に用いられる冷媒として、特に注目を受けているのである。
ところで、このような炭酸ガスを主成分とする冷媒と水との間で熱交換を行なう方式の熱交換器としては、従来より、内部に冷媒を流通させる伝熱管と、内部に水を流通させる伝熱管とを組み合わせて、一つの熱交換器を構成したものが、各種提案されている。
例えば、特開2002−228370号公報(特許文献1)においては、熱が伝達される水が流通する芯管の外周に対して、熱を伝達する冷媒が流通する冷媒管を、螺旋状に巻き付けて、それらを伝熱的に接合することによって構成された熱交換器が、明らかにされている。しかしながら、かかる特許文献1の熱交換器にあっては、冷媒管を芯管の外周に巻き付ける際に、冷媒管の巻きピッチを一定に保つことが困難であったり、或いは冷媒管の巻き付けにバラツキが生じ易く、そのために伝熱性能が安定せず、更には、芯管と冷媒管の接触面積を大きく確保することが出来ないために、充分な伝熱性能が得られないといった問題を内在するものであった。
そこで、そのような熱交換器の伝熱性能を向上するべく、特開2005−164166号公報(特許文献2)においては、外周に管内方側へ凹む少なくとも1条のガイド溝が螺旋状に形成されたスクリュー部分を有している、流体が内部を流動する芯管の外周に、冷媒が内部を流動する少なくとも1本の冷媒管が、前記スクリュー部分においては、前記ガイド溝内に収容されるようにして、前記芯管に螺旋状に巻き付けられている構造の熱交換器が、明らかにされている。また、特開2006−90697号公報(特許文献3)においては、外周に複数条の山谷底部が各条毎に連続して螺旋状に設けられた第1流体配管の山谷底部に、第2流体配管を嵌め込んで、かかる第1流体配管外周の山谷底部の形状に沿って、前記第2流体配管を螺旋状に巻き付けて、それらを伝熱的に接合可能に構成した捩り管形熱交換器が、明らかにされている。
これら特許文献2や特許文献3に開示の熱交換器の構成によれば、水が流通する管と冷媒が流通する管との接触面積が有利に増大せしめられているところから、冷媒から水への伝熱が効果的に促進され得ることとなり、特許文献1にて明らかにされている熱交換器よりも、熱交換性能をより向上させることが出来るのである。
ところで、これらの給湯機用水熱交換器においては、熱交換器を構成する材質として、熱交換率が高く、加工性の良好な、銅や銅合金を用いることが多い。このように、水流路管、即ち水が流通する部分を銅若しくは銅合金にて構成した場合、水のpHが酸性側やアルカリ性側に変化すると、これらの銅若しくは銅合金が、2価の銅イオンとして水に溶け出し易くなり、そしてその溶け出した銅イオンが石鹸や炭酸ガス等と反応して、青水が発生してしまうといった問題が内在している。
一方、使用する水中には、種々の成分が含まれており、例えば遊離炭酸の多い地下水を使用した場合には、I’型孔食の発生が懸念され、また上記の溶出した2価の銅イオンにより、水中の溶解性SiO2 が析出して、スケールを形成し、マウンドレス型孔食が生じる危険性がある。また、これらの孔食は、伝熱管に孔を開けるだけでなく、表面の腐食生成物で荒れた部分に、水垢等のスケールが付き易くなり、熱交換効率を悪くするという問題もある。このため、伝熱管が銅若しくは銅合金で構成されている場合においては、それらの問題への対策として、水が流通する部分の管内面に錫めっきを施して、熱交換器が構成されることが望ましいとされている。
ここにおいて、そのような給湯用銅管の内部に錫めっきを施す技術としては、従来より、置換めっき法若しくは化学めっき法による錫めっき銅管およびその製造方法が知られており、例えば、特開平4−45282号公報(特許文献4)においては、給水・給湯器用の銅管の端部開口部から管内部にめっき液を流通させて、銅管内面に、所定厚さのSn(錫)めっき皮膜を形成する、給水・給湯用内面Snめっき銅管の製造方法が明らかにされている。このように、置換めっき法若しくは化学めっき法によって銅管の内面に錫めっき処理を施す方法によれば、簡単に、安価に銅管内面へ薄い錫めっき皮膜を形成させることが可能となるのである。
ところで、前記特許文献2や特許文献3に開示されている如き給湯機用水熱交換器においては、一般に、冷媒流路管と水側流路管とを組み付けて一体化した後、曲げ加工を行なって、最終的な熱交換器として仕上げられることとなる。このような熱交換器において、水流路管内面に錫めっき処理を施す場合においては、例えば、前もって管内面に錫めっき処理が施された伝熱管を用いて、それを組み付け・曲げ加工を行なう方法を採用すると、特に、曲げ加工時に錫めっき皮膜に小さな亀裂が生じたり、曲げ加工に使用する芯金によって、錫めっき皮膜が損傷したりする危険性がある。そして、そのような錫めっき皮膜の微小亀裂部や欠損部においては、耐食性が低下する恐れがある。
そこで、冷媒流路管と水流路管とを組み付けて、一体化したものを、最終的な熱交換器形状に加工した後に、水流路管内へ錫めっき液を流通させて行なう置換めっき法、或いは化学めっき法が考案され、それを採用することによって、そのような錫めっき皮膜が損傷してしまう恐れを効果的に解消することが可能となり、水流路管内へ健全な錫めっき皮膜を被覆するための方法として、より好ましいものと考えられている。
しかしながら、このように伝熱管を最終的な熱交換器形状に加工した後に、水流路管内へ錫めっき液を流通させて行なう置換めっき法、或いは化学めっき法によって、錫めっき処理を行なう場合にあっては、錫めっき液を流通させる水流路管の形状がどのような形状であっても、その流路全面に、健全な錫めっき皮膜が形成される訳ではなく、特に、熱交換性能を向上させるべく、特許文献2や特許文献3に開示されているような、スパイラル状に加工された水流路管においては、錫めっき皮膜が被覆され難い部分が生じることが、本発明者らの実験によって判明したのである。
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、スパイラル状に加工された水流路管の外周に、冷媒流路管が螺旋状に巻き付けられている型式の炭酸ガス冷媒を用いる給湯器用水熱交換器において、熱交換性能を低下させることなく、水流路管内面に健全な錫めっき皮膜を効果的に形成することが出来る熱交換器形状を提供することにある。
そして、本発明は、そのような課題を解決すべく、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果として、完成されたものであって、その要旨とするところは、管軸方向に螺旋状に連続して延びる凹条が管外面に形成された、管内に熱交換されるべき媒体としての水が流通せしめられる銅若しくは銅合金からなる水流路管に対して、炭酸ガスを主体とする冷媒が高温の熱交換媒体として管内を流通せしめられる冷媒流路管が、前記凹条内に収容されるように螺旋状に巻き付けられてなる給湯機用水熱交換器にして、前記水流路管における前記凹条に対応する内面凸条間に形成された内面凹部が、その延びる方向に対して垂直な断面における該内面凹部の深さ:hと幅:wとの比(h/w)が0.50以下となり、且つ管軸に対して35°以上、50°以下の角度をもって螺旋状に延びるように、構成されていると共に、該水流路管の内面に錫めっきが施されていることを特徴とする給湯機用水熱交換器にある。
なお、このような本発明に従う給湯機用水熱交換器の望ましい態様の一つによれば、前記錫めっきは、置換めっき法若しくは化学めっき法にて、行なわれることとなる。
さらに、かかる本発明に従う給湯機用水熱交換器の別の望ましい態様の一つによれば、前記内面凹部の底面は、1.0mm以上の曲率半径を有する湾曲面とされることとなる。
従って、このような本発明に従う構成とされた給湯器用水熱交換器によれば、管軸方向に螺旋状に連続して延びる凹条が外周面に形成された、銅若しくは銅合金からなる水流路管の、かかる凹条内に収容されるようにして、冷媒流路管が螺旋状に巻き付けられた、炭酸ガスを主体とする冷媒を用いた給湯機用水熱交換器において、水流路管に形成された凹条の高さ(深さ)や間隔(ピッチ)等が適切な範囲に設定されていることにより、水熱交換器の熱交換性能を著しく低下させることなく、水流路管の内面に対して、健全な錫めっき皮膜を形成することが可能となったのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う給湯機用水熱交換器の一実施形態が、その一部が切り欠かれた断面を表す正面図の形態において、示されている。そこにおいて、水熱交換器10は、管軸方向に螺旋状に連続して延びる凹条16が管外面に形成された大径の水流路管12に対して、小径の冷媒流路管14が、該水流路管12の外周に凹条16内に収容された形態において、螺旋状に巻き付けられて、一体化されていると共に、水流路管12の内面には所定厚さの錫めっきが施されて、構成されている。
より詳細には、管内に高温の炭酸ガスを主体とする熱交換媒体が流通せしめられる冷媒流路管14は、アルミニウムや銅又はそれらの合金等の公知の金属材料を用いて形成されており、また、図1におけるA−A断面、即ち冷媒流路管14の管軸に垂直な断面を示す図2から明らかな如く、単純な円形断面を呈する平滑管とされている。また、この冷媒流路管14のサイズとしては、水流路管12の外周面に形成された凹条16内に収容されて、冷媒流路管14の外周面が凹条16の底面と周方向に所定の幅をもって密着する程度の大きさとされ、一般に、外径(D1 ):4〜5mm程度、肉厚(t1 ):0.5〜1mm程度とされている。
一方、管内に熱交換されるべき水が流通せしめられる水流路管12は、銅若しくは銅合金を用いて形成され、そして、図1や図2に示されるように、所定深さの凹条16が管外周面に管軸方向に螺旋状に連続して延びるように形成された、捩り管(スパイラル管)とされている。また、そのサイズは、一般に、外径は、凹条16,16間に形成される凸条18の先端部における最大外径(D2max)が、17〜20mm程度、凹条16の底部における最小外径(D2min)が、8〜10mm程度、管の肉厚(t2 )が、0.7〜1mm程度とされ、更に外周面に形成されている凹条16の管軸に対する螺旋角度(θ)としては、35°以上、50°以下の角度とされている。
さらに、かかる水流路管12の外面に形成された凹条16に対応して、水流路管12の内面に形成される内面凸条20は、該内面凸条20の延びる方向に対して垂直な断面、換言すれば、冷媒流路管14の管軸方向に垂直な断面となる、図1におけるA−A断面を表す図2に示されるように、その高さ、即ち、かかる内面凸条20,20間に形成される内面凹部22の深さ:hと、該内面凸条20の幅(間隔):wとの比(h/w)が、0.50以下となるように、構成されている。
そして、このような水流路管12の外面に形成された凹条16内に収容されるように、該凹条16に沿って冷媒流路管14が水流路管12の外面に螺旋状に巻き付けられて、かかる凹条16の底面と冷媒流路管14の外面、即ち、水流路管12の外面と冷媒流路管14の外面が密着するように一体化されて、水熱交換器10が構成されているのである。なお、水流路管12の内面には、置換めっき法若しくは化学めっき法によって、所定厚さの錫めっき皮膜が形成されている。
ところで、このような水熱交換器10の水流路管12内に水を流通させた場合にあっては、図3に示されるように、管の中央部分において水の主な流れ(主流)が発生するのであるが、このような主流より、水流路管12の管壁部分への流れ、即ち、螺旋状に形成されている内面凹部22部分への副次的な流れ(副流)が生じる。これは、置換めっき法によって水流路管12の内面に錫めっき皮膜を形成するために、水流路管12内に錫めっき液を流通させる場合も、同様である。即ち、錫めっき液の主流から分離する副流が、水流路管12の管壁における内面凹部22部分へ充分に流れ込まないと、内面凹部22の表面全体に対して、充分に錫めっき皮膜を被覆することが出来なくなる恐れがある。
そして、水流路管12の外周面に螺旋状に延びるように形成された凹条16の、管軸に対する螺旋角度:θが大きくされている場合にあっては、主流から副流へ流れが分離するための抵抗が大きくなるため、副流が水流路管12の内面凹部22部分へ充分に流れることが出来なくなり、内面凹部22の表面全体に対して、充分に錫めっき皮膜を被覆することが出来なくなる恐れがある。そのため、内面凹部22の表面全体に対して充分な錫めっき皮膜を形成するには、螺旋角度(θ)が、50°以下とされていることが必要であり、更に安定して錫めっき皮膜の被覆を形成するためには、螺旋角度θが45°以下とされることが、望ましいのである。
一方、そのような螺旋角度(θ)が小さくされた場合にあっては、水流路管12の外周面に巻き付けられる冷媒流路管14のピッチ(図1における間隔:p)を同一に保つためには、冷媒流路管14の巻き数を増やす必要があり、これによって水熱交換器10の製造コストアップに繋がるという問題を惹起する。また、螺旋角度(θ)を小さくすると共に、冷媒流路管14の巻き数を同一とした場合にあっては、冷媒流路管14のピッチが大きくなり、水熱交換器10の単位長さあたりの冷媒流路管14の長さが短くなってしまい、その結果、水熱交換器10の熱交換効率を低下させることとなるのである。このようなことから、螺旋角度(θ)は、35°以上とすることが必要となる。
さらに、そのような凹条16の管軸に対する螺旋角度(θ)の他にも、水流路管12の内面凹部22の深さや幅といった寸法形状も、副流の流入に影響を与えることとなる。つまり、水流路管12の内面全体に亘って健全な錫めっき皮膜を形成するためには、かかる内面凹部22の形状が重要となるのである。
即ち、凹条16(内面凸条20)の延びる方向に垂直な断面を示す図2において、内面凸条20,20間に形成される内面凹部22の深さ:hが小さいほど(浅いほど)、また内面凹部22の幅:wが広いほど、副流が内面凹部22内に流れ込む抵抗が小さくなり、その結果、内面凹部22の表面に対して充分な錫めっき皮膜を被覆し易くなるのである。つまり、そのような深さ:hと幅:wの比であるh/wが小さいほど、錫めっき処理性は良好となるため、本発明にあっては、0.5以下とされることとなる。特に、螺旋角度(θ)が45°を超える場合は、副流が内面凹部22内に流入し難くなるために、h/wをより小さくすることが好ましく、一般に、0.4以下とすることが望ましい。また、内面凹部22の底面の曲率半径(R)にあっても、出来るだけ大きくされている方が、副流が内面凹部22内へと流れ込み易くなり、従って健全な錫めっき皮膜の形成に有利であるため、望ましくは、1.0mm以上の曲率半径(R)を有する湾曲面とされることとなる。
このように構成された給湯機用水熱交換器10によれば、水流路管12の外面に形成された凹条16、即ち、かかる凹条16に対応して水流路管12の内面に形成される内面凸条20の螺旋角度(θ)や、深さ(h)と幅(w)の比(h/w)が、適切な範囲とされていることによって、置換めっき法により水流路管12内に錫めっき皮膜を形成するに際しても、水流路管12内部の隅々まで錫めっき液を充分に流通させることが可能となり、以て、水流路管12の内面に対して、健全な錫めっき皮膜を形成することが出来るのである。
また、そのような水流路管12の内面に形成された内面凸条20によって、水流路管12内を流通せしめられる水が効果的に撹乱されることにより、水と水流路管12の間の伝熱、換言すれば、水流路管12の外面に螺旋状に巻き付けられて密着せしめられている冷媒流路管14内を流通せしめられる高温の冷媒と水流路管12内を流通する水との間の伝熱が有利に促進されることとなり、以て、水熱交換器10の熱交換性能を効果的に向上させることが可能となる。
以上、本発明の代表的な実施形態の一つについて詳述してきたが、それらは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、前述の実施形態においては、冷媒流路管14として、内周面が平滑とされた管が用いられているが、内面に各種の伝熱促進加工が施された管、例えば、内周面に多数の溝(乃至はフィン)や突起が形成されてなる内面溝付き管を用いることも、勿論可能であり、本発明における有利な態様の一つである。
また、例示した実施の形態において、水流路管12の凹条16表面と冷媒流路管14の外面との接合は、単に、水流路管12の外面に冷媒流路管14を螺旋状に巻き付けることによって、密着せしめられているだけであったが、これらの間の接合は、必要に応じて、ろう付け等による接合を行なってもよい。
さらに、水流路管12の外面に形成される凹条16の条数も、目的に応じて適宜に選定され、例えば、前述の実施形態においては、1本の凹条16が管軸方向に螺旋状に延びるように形成されていたが、2本や3本、或いはそれ以上の条数の、複数本の凹条16とすることも可能である。このように、複数本の凹条18が管外面に形成された水流路管12とした場合には、それら複数本の凹条16内に、条数に対応した複数本の冷媒流路管14を、それぞれ冷媒流路管14が1本づつ収容されるようにして、水流路管12の外面に螺旋状に巻き付けて、水熱交換器10が構成されることとなる。
更にまた、かかる例示の実施形態において、水熱交換器10の水流路管12の内面に施されている錫めっき皮膜は、望ましくは、水流路管12の外面に冷媒流路管14を巻き付けて一体化し、その一体化したものを水熱交換器10の最終形状に変形せしめた後に、水流路管12の内部に錫めっき液を流通させて、その内面に所定厚さの錫めっき皮膜を形成する置換めっき法や化学めっき法によって形成されることとなるが、それ以外にも、例えば、予め管内面に錫めっき処理が施された単純な円形断面を呈する平滑管に対して各種の公知の方法を用いて管外面に凹条16を形成した捩り管(スパイラル管)、或いは、予め管内面に錫めっき処理が施された捩り管を水流路管12として、これと冷媒流路管14とを組み合わせて一体化した後、曲げ加工等を行なって、最終的な水熱交換器10として仕上げることも、勿論可能である。
しかしながら、このように予め錫めっき皮膜が形成されている水流路管12を使用した場合にあっては、凹条16の形成時や曲げ加工時に、錫めっき皮膜に小さな亀裂が生じたり、曲げ加工に使用する心金によって錫めっき皮膜が損傷する危険性がある。そして、このような錫めっき皮膜の微小亀裂部や欠損部においては、耐食性が低下する恐れがある。
そこで、本発明にあっては、水流路管12に冷媒流路管14を組み付けて、一体化したものを、最終的な熱交換器形状に加工した後に、水流路管12内へ錫めっき液を流通させて、水流路管12の内面に錫めっき皮膜の形成を行なう置換めっき法、或いは化学めっき法を採用することによって、そのような錫めっき皮膜が損傷してしまう恐れを効果的に解消することが可能となり、水流路管12内へ健全な錫めっき皮膜を被覆するための方法として、より好ましいのである。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
先ず、本発明に従う構造とされた水熱交換器を製作するために、外径:4mm、肉厚:0.6mmの、りん脱酸銅(JIS H 3300 C1220)からなる、断面が単純な円形の断面を呈する、内外面ともに平滑な小径管を準備し、これを冷媒流路管とした。また、水流路管としては、管外面に3本或いは4本の凹条が、管軸方向に螺旋状に延びるように形成された、りん脱酸銅(JIS H 3300 C1220)製の捩り管(スパイラル管)を準備した。なお、かかる捩り管の外面に形成される凹条は、平滑管から捩り管を製作する各種の公知の方法のうち、ここでは、特開平2−242091号公報にて明らかにされている方法である、平滑管の両端を把持装置にて把持せしめ、平滑管内に縮管量規制部材を挿入した状態で、その平滑管の軸心方向に圧縮力を作用させつつ、平滑管の両端を軸心周りに互いに反対方向に回転させる方法によって形成した。
そして、これら準備した水流路管と冷媒流路管とを組み合わせて、水流路管(12)の外面の凹条(18)に沿って、かかる凹条(18)内に冷媒流路管(14)が収容されるように、水流路管(12)の外面に冷媒流路管(14)を螺旋状に巻き付けて、図1や図2に示されるような断面を呈する、下記表1に示される如き諸元をもつ、螺旋角度(θ)やh/wが本発明の範囲内となる実施例1,2、及びそれらの値が本発明の範囲外となる比較例1,2の、4種類の水熱交換器(10)を製作した。なお、水流路管(12)の外面の凹条(18)表面と冷媒流路管(14)の外周面との接合は、ろう付け等による接合は行なわず、巻き付け加工による機械的な密着のみとした。また、冷媒流路管(14)の巻き付け後の水流路管(12)の内面凹部(22)の先端の曲率半径(R)は、何れも、1.0mm以上とした。
このように準備された実施例1,2及び比較例1,2の水熱交換器において、公知の置換めっき法に従って、水流路管(12)内に錫めっき液を流通させて、水流路管(12)内面に所定厚さの錫めっき皮膜を形成した。その後、それぞれの水熱交換器を、管軸方向と管周方向に切り開いて、水流路管12の内面の表面を目視にて観察することによって、錫めっき皮膜の形成状況の比較を行なった。
その結果、実施例1及び実施例2の水熱交換器においては、水流路管の内面凹部の全体に錫めっき皮膜が正常に形成されていることを確認した。一方、比較例1の水熱交換器においては、水流路管の内面凹部の先端近傍に、銅の素地である赤褐色が、内面凹部の螺旋に沿って、連続的に、或いは断続的に見られ、錫めっき皮膜が充分に形成されていないことを確認した。さらに、比較例2の水熱交換器においては、錫めっき皮膜が正常に形成されていることが認められたが、実施例2の水熱交換器と比較して、冷媒流路管のピッチが約1.6倍と大きくなっており、このように、冷媒流路管のピッチが大きくなると、熱交換器の単位長さあたりの冷媒流路管長さが短くなってしまい、熱交換率を低下させてしまうため、好ましくないのである。
10 水熱交換器
12 水流路管
14 冷媒流路管
16 凹条
18 凸条
20 内面凸条
22 内面凹部
12 水流路管
14 冷媒流路管
16 凹条
18 凸条
20 内面凸条
22 内面凹部
Claims (3)
- 管軸方向に螺旋状に連続して延びる凹条が管外面に形成された、管内に熱交換されるべき媒体としての水が流通せしめられる銅若しくは銅合金からなる水流路管に対して、炭酸ガスを主体とする冷媒が高温の熱交換媒体として管内を流通せしめられる冷媒流路管が、前記凹条内に収容されるように螺旋状に巻き付けられてなる給湯機用水熱交換器にして、
前記水流路管における前記凹条に対応する内面凸条間に形成された内面凹部が、その延びる方向に対して垂直な断面における該内面凹部の深さ:hと幅:wとの比(h/w)が0.50以下となり、且つ管軸に対して35°以上、50°以下の角度をもって螺旋状に延びるように、構成されていると共に、該水流路管の内面に錫めっきが施されていることを特徴とする給湯機用水熱交換器。 - 前記錫めっきが、置換めっき法若しくは化学めっき法にて行なわれる請求項1に記載の給湯機用水熱交換器。
- 前記内面凹部の底面が、1.0mm以上の曲率半径を有する湾曲面とされている請求項1または請求項2に記載の給湯機用水熱交換器。
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