JP2008014624A - 給湯機用水熱交換器及びその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的単純で、コンパクトな構造にて、水側の伝熱促進を効果的に向上せしめて、熱交換性能を大幅に向上させると共に、水側流路内にスケールが付着してしまうことを効果的に抑制することが出来る、給湯機用水熱交換器を提供すること。また、そのような水熱交換器を有利に製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】太径の外管12内に、内部に熱交換媒体が流通せしめられる細径の内管14を、外管12の内周面に直接に接触することなく内挿すると共に、熱交換される水が流通せしめられる外管12と内管14との間の間隙に、複数の中管16を、内管14の外周面と密接するように内挿、配置して、給湯機用水熱交換器10を構成した。
【選択図】図2
【解決手段】太径の外管12内に、内部に熱交換媒体が流通せしめられる細径の内管14を、外管12の内周面に直接に接触することなく内挿すると共に、熱交換される水が流通せしめられる外管12と内管14との間の間隙に、複数の中管16を、内管14の外周面と密接するように内挿、配置して、給湯機用水熱交換器10を構成した。
【選択図】図2
Description
本発明は、熱交換媒体と水との間で熱交換を行う給湯機用水熱交換器に係り、中でも、炭酸ガスを主成分とする冷媒を熱交換媒体として、これと水とを熱交換するための給湯機用の水熱交換器に関するものである。
従来から、熱交換媒体(冷媒)と水とを熱交換する給湯機用水熱交換器として、かかる冷媒を流通させる流路(冷媒側流路)と水を流通させる流路(水側流路)とを2つの伝熱管を組み合わせて構成し、それら水と冷媒との間で熱交換を行うようにした水熱交換器が、各種用いられてきている。
また、そのような水熱交換器で用いられる熱交換媒体(冷媒)としては、従来のフロン系冷媒に代えて、オゾン層保護や地球温暖化防止の観点から、温暖化係数の低い自然冷媒が注目されてきており、近年、この自然冷媒を利用した熱交換器の開発が行われている。そして、そのような自然冷媒の中でも、炭酸ガスを用いた場合にあっては、高温高圧のガス条件が得られることから、特に注目を受けている。
ところで、このような炭酸ガスを主成分とする冷媒と水との間で熱交換を行う方式の熱交換器としては、従来より、特許文献1〜4に開示されているもののように、内部に冷媒を流通させる伝熱管と、内部に水を流通させる伝熱管とを組み合わせて、一つの熱交換器を構成したものが、各種提案されている。
例えば、特開2003−214778号公報(特許文献1)においては、内部に被熱交換液が流される第1熱交換パイプの周壁に、その軸方向に沿って窪み部を形成し、その窪み部内に、内部に所定の熱媒体が流される第2熱交換パイプを配設すると共に、それら第1熱交換パイプと第2熱交換パイプをロウ付けして、一体化することにより、両者間に隙間を発生させることなく、第2熱交換パイプ内を流れる熱媒体の熱が、ロウ材を介して、第1熱交換パイプ内を流れる被熱交換液に伝達されて、熱交換されるようにしたものが、明らかにされている。
一方、特開2003−202194号公報(特許文献2)においては、水通路を構成する大径の芯管の内周面に、冷媒通路を構成する複数の小径の細管を、芯管の内壁に沿って長手方向に平行に配設し、それらをロウ付け等によって一体的に形成した熱交換器が明らかにされている。さらに、特開2002−122390号公報(特許文献3)おいては、内部に冷媒が流通せしめられる多数本の微細チューブを、熱交換される水が流通せしめられる水チューブ内に同軸的に配置せしめた、所謂二重管式の熱交換器が、明らかにされている。
また、そのような二重管式の熱交換器の伝熱促進効果を向上させたものとして、特開2001−201275号公報(特許文献4)においては、内管と外管からなる二重管式の熱交換器において、内管と外管との間に形成される流路を螺旋状に仕切る伝熱促進体を介設して、かかる流路の流路長を増大させると共に、流れる流体の流速および乱流化を増大せしめて、内管内を流れる流体から内管と外管との間を流れる流体への伝熱が促進されるようにした二重管式熱交換器が、明らかにされている。
しかしながら、それら提案技術のうち、例えば特許文献1に開示のものにあっては、水側流路となる第1熱交換パイプに冷媒側流路である第2熱交換パイプを嵌め込むための窪み部が形成されて、第1熱交換パイプの外壁部分が水側流路内に張り出した形状とされているため、水側の圧力損失が増大するといった問題を内在するものであった。また、特許文献2に開示のものにあっても、水通路とされる大径の芯管の内周面に冷媒通路とされる小径の細管がロウ付けされて、一体化されているところから、特許文献1の熱交換器と同様に、水側の圧力損失が増大してしまうものであった。このように、水側の圧力損失が増大してしまうと、給水ポンプの揚程不足を招く恐れがあるため、その対策のためには、給水ポンプの能力を大きくする必要があり、その結果、給湯機全体として生産コストの増大を引き起こしてしまうといった問題を新たに惹起するものであった。
また、特許文献1や特許文献2の熱交換器のように、水側流路となる管体と冷媒側流路となる管体とをロウ付けにて接合して熱交換器を構成したものにあっては、そのようなロウ付け部の不良により、冷媒側流路と水側流路の接触面積不足を招き易く、性能のばらつきが生じ易いという欠点がある。さらに、ロウ付け不良による歩留低下を引き起こし易く、生産コストが向上してしまうという問題も内在するものであった。
一方、特許文献3にて開示されている二重管式熱交換器にあっては、高温側である冷媒流路が、低温側となる水側流路の中に完全に封じ込められた形態とされているため、水側流路の管体と冷媒側流路の管体とをロウ付けにて接合した形態のものよりも、冷媒の熱が外気へと放出されてしまうことが低く抑えられるという利点を有しているのであるが、水側への伝熱面積を増加するためには、流路長を長くする必要があり、熱交換器の小型化が難しくなるものであった。
そこで、そのような二重管式熱交換器の、水側の伝熱促進効果を高めるための方法として、特許文献4においては、水側流路(外管)と冷媒側流路(内管)との間に、螺旋状の伝熱促進体を介設するようにした構造が、明らかにされている。しかしながら、かかる文献にて開示されている熱交換器においては、水側流路におけるスケール形成の問題が生じやすいという問題が、新たに惹起されるものであった。つまり、熱交換器を長期に亘って使用することにより、水道水に含まれるカルシウム等の成分が水流路内にスケールとして析出して、流路壁に付着し、そしてその付着量(厚さ)が経時的に増大することによって、最終的には流路を閉塞してしまうようになるのである。そこで、かかるスケールの付着がある程度進行したときに、その付着したスケールを除去する作業が必要となるのであるが、水側流路に介設されている螺旋状の伝熱促進体の存在によって、その作業は非常にやり難いものであって、現実的には、熱交換器全体を交換することとなり、これが、運用コストの悪化に繋がる問題を内在していたのである。
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、比較的単純で、コンパクトな構造にて、水側の伝熱促進を効果的に向上せしめて、熱交換性能を大幅に向上させると共に、水側流路内にスケールが付着してしまうことを効果的に抑制することが出来る、給湯機用水熱交換器を提供することにある。また、本発明は、そのようなスケールの付着を効果的に抑制せしめた水熱交換器を、有利に製造し得る方法を提供することをも、その解決課題としている。
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、太径の外管内に、細径の内管が、該外管の内周面に直接に接触することなく内挿されていると共に、該外管と該内管との間の間隙に、複数の中管が、該外管の内周面及び/又は該内管の外周面に密接するようにして内挿、配置せしめられてなる構造を有し、且つ該内管内に熱交換媒体が流通せしめられる一方、前記中管内と共に、前記外管と内管との間の間隙全体に、熱交換されるべき水が流通せしめられるように構成されていることを特徴とする給湯機用水熱交換器を、その要旨とするものである。
なお、本発明に従う給湯機用水熱交換器の望ましい態様の一つによれば、前記内管は、内面に伝熱促進手段を設けた伝熱管が用いられることとなる。また、本発明に従う給湯機用水熱交換器の望ましい態様の別の一つによれば、前記中管は、内面に伝熱促進手段を設けた伝熱管が用いられ、更にまた、本発明に従う給湯機用水熱交換器の望ましい態様の更に別の一つによれば、前記中管及び内管のうちの少なくとも一方は、銅又は銅合金にて構成されることとなる。
また、本発明に従う給湯機用水熱交換器の望ましい態様の他の一つによれば、前記中管は、銅又は銅合金からなる材質にて構成され、且つ該中管の内面には錫めっきが施されて、給湯機用水熱交換器が構成されることとなる。更にまた、別の望ましい態様の一つによれば、前記内管、中管及び外管は、それぞれ銅又は銅合金からなる材質にて構成され、且つ該内管の外面、該中管の内外面及び該外管の内面には、錫めっきが施されて、給湯機用水熱交換器が構成されることとなる。
なお、本発明に従う給湯機用水熱交換器の好ましい態様の一つによれば、前記中管は、前記外管及び内管よりも薄肉の管体にて構成されることとなる。
さらに、本発明の別の好ましい態様によれば、前記熱交換媒体は、炭酸ガスを主体とする冷媒が用いられることとなる。
加えて、本発明にあっては、前記した給湯機用水熱交換器を製造する方法にして、前記外管内に、前記内管及び前記中管を挿入、位置せしめた後、それら外管、内管及び中管の一端を固定した状態において、縮径ダイスを用いて抽伸加工することにより、該中管が、該外管の内周面及び該内管の外周面に密着するようにしたことを特徴とする給湯機用水熱交換器の製造方法をも、その要旨とするものである。
従って、このような本発明に従う給湯機用水熱交換器の構成によれば、高温の伝熱媒体が流される内管が、水が流通せしめられる外管の内部に収容されて、それらが直接に接触することなく、水側流路内に封じ込められた形態とされているところから、内管の内部を流通せしめられる伝熱媒体の熱が、管壁の直接的な接触による伝熱作用によって、外気へと放出されてしまうことを有利に抑制することが出来、以て効果的に外管内を流通せしめられる水へと伝達することが可能となっているのである。
しかも、そのような外管と内管との間の間隙には、複数の中管が、内管の外周面や外管の内周面と密接するように内挿、配置されているため、内管内を流通する高温の冷媒(熱交換媒体)の熱が、内管の管壁を介して、中管の管壁へと伝熱せしめられることとなる。その結果、内管の外表面だけでなく、中管の内外周面も水側への伝熱面となり、冷媒から水への伝熱面積が効果的に増加せしめられ、以て、内管の熱を効果的に水に対して伝達することが出来るのである。
そして、そのような外管と内管との間の間隙に配置された複数の中管によって、水側流路が複数の区画に分割され、それらの区画が、大きな断面積を持つ区画と小さな断面積をもつ区画となっているところから、大きな断面積の区画を流れる水の流速と小さな断面積の区画を流れる水の流速に違いが生じ、流れの速い区画においては、流れの遅い区画よりもスケールが発生し難くなる。その結果、断面積の大きな区画、つまり主な水の流路となる区画におけるスケールの発生を、効果的に抑制することが可能となるのである。
このように、本発明に従う給湯機用水熱交換器によれば、外管と内管と複数の中管とを組み合わせた比較的単純な構造にて、内管内を流通せしめられる伝熱媒体から水への伝熱面積を内管に密接された中管によって増加させ、水側への伝熱促進効果を有利に向上させることが可能となると共に、中管によって水流路が分割されていることによって、主な流路となる大きな断面積とされた流路においては、スケールの発生を効果的に抑制することが可能となり、以て、水流路におけるスケールの析出による閉塞を有利に阻止することが出来る、水熱交換器を提供することが可能となるのである。
なお、本発明に従う給湯機用水熱交換器の望ましい態様の一つに従って、内管や中管として、内周面に溝やフィン等の伝熱促進手段を設けた伝熱管を採用することによって、管内を流れる冷媒や水への伝熱面積を、更に向上させることが出来、その結果、熱交換器の熱交換効率を有利に高め得ることとなる。
また、本発明の別の望ましい態様の一つに従って、中管及び内管の少なくとも一方を、熱伝導率の高い銅若しくは銅合金からなる材質にて形成することによって、更に熱交換性能を向上させることが出来るのである。
さらに、本発明に従う給湯機用水熱交換器の好ましい態様の一つに従って、銅又は銅合金にて構成されている中管の内面に錫めっきを施し、主な水流路となる大きな断面積とされた流路において管と水とが接する部分を、錫皮膜で被覆することによって、管材質である銅又は銅合金が、2価の銅イオンとして水に溶け出してしまうことを抑制することが可能となり、その結果、水熱交換器の青水発生の抑制や耐食性を有利に確保することが出来るのである。
更にまた、本発明の好ましい態様の別の一つに従って、内管と中管と外管とを銅又は銅合金にて構成すると共に、それら内管の外面や中管の外面及び内面、更に外管の内面にも錫めっきを施すことによって、それら内管、中管及び外管の管壁と水と接触する部分の全てが錫皮膜で被覆されることとなり、以て、水熱交換器の青水発生の抑制や耐食性を、より一層有利に確保することが可能となる。
そして、本発明にあっては、前記中管を、前記外管及び内管よりも薄肉の管体にて構成することにより、外管に絞り加工を施し、内管の外周面及び外管の内周面が中管の外周面と密接するように縮径して、外管内部に配置した内管および中管を固定する際に、かかる薄肉とされた中管の方が、この中管よりも厚肉とされた内管より変形し易いため、内管の変形よりも中管の変形が優先的に行われ得て、中管の外周面と内管の外周面や外管の内周面とが、効果的に密接せしめられるようになる。また、このように内管が変形し難くなっているところから、冷媒側の流路が安定した形状とされることとなり、冷媒側流路の圧力損失が向上してしまう恐れも、回避されることとなる。
さらに、本発明の望ましい態様の一つに従って、熱交換媒体として、炭酸ガスを主体とする冷媒を用いることによって、従来のフロン系冷媒のようにオゾン層破壊の恐れや、地球温暖化の問題が有利に解消せしめられると共に、高温高圧のガス条件が得られるところから、単段の熱交換器とした場合であっても、高い湯温が得られるといった利点も有しているのである
なお、本発明に従う給湯機用水熱交換器を製造する方法として、外管内に内管及び中管を挿入、位置せしめた後、それら外管、内管及び中管の一端を固定した状態において、縮径ダイスを用いて抽伸加工することにより、中管が、外管の内周面及び内管の外周面に密着するようにした方法を採用することによって、ロウ付け等の作業をすることなく、単純な抽伸加工のみで水熱交換器を構成する管体を形成することが出来ることとなり、従来の、例えば水側流路となる伝熱管と冷媒側流路となる伝熱管をロウ付けによって一体化して水熱交換器を構成する方法よりも、有利に生産性を向上せしめることが可能となるのである。また、それらの伝熱管をロウ付けすることなく密接せしめて、固定することが出来るため、ロウ付け不良による熱交換性能のバラツキ等の問題が発生する恐れも、効果的に解消せしめられることとなるのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1及び図2には、本発明に従う水熱交換器の一実施形態が、示されている。そこにおいて、図1は、かかる実施形態を平面図の形態において、図2は、図1に示す水熱交換器10を縦方向に切断した断面図の形態(図1におけるA−A断面)において、それぞれ示している。そして、それらの図から明らかなように、水熱交換器10は、太径の外管12の内部に、細径の内管14が同軸的に配置せしめられると共に、かかる外管12の内周面と内管14の外周面との間に形成される間隙に、複数の中管16が挿入、配置せしめられて、構成されているのである。
より具体的には、外管12は、銅や銅合金等の所定の金属材料を用いて形成された、太径の断面が円形の管体とされ、また、その内部に炭酸ガス等の伝熱媒体が流通せしめられる内管14も、外管12と同様に、銅や銅合金等の所定の金属材料を用いて形成された、外管12よりも細径の管体とされている。そして、内管14の長さは外管12の長さよりも長くされており、そのような内管14が外管12内に同軸的に配置され、外管12の両側の閉塞された端部から、内管14の端部が突出するようにされている。
そして、かかる外管12の両端部が、そのような外管12の両端部から突出した内管14の外周面と密着するように絞り込まれることによって、外管12の内周面と内管14の外周面との間に形成される空間が密閉されると共に、かかる密閉された内部空間に連通せしめられるように、外管12の両端部の外周面には、水入口18aと水出口18bとが、それぞれ形成されている。そして、このような水入口18a側から外管12内に流入した水は、外管12の内周面と内管14の外周面にて形成される空間内を流通せしめられた後、水入口18aとは反対側の端部に設けられた水出口18bから、排出されるようになっているのである。
また、その内部に水が流通せしめられる中管16にあっても、外管12や内管14と同様に銅や銅合金等の所定の金属材料を用いて形成された断面が円形の管体とされている。そして、その太さは、外管12に内挿された内管14と外管12との間の隙間、即ち外管12の内周面と内管14の外周面との間に形成される空間に挿入せしめられ得る太さとされていると共に、その長さが外管12の全長よりも短くされることによって、かかる間隙内に中管16が収容せしめられた際に、図3に示すように、その両端部において、空間20がそれぞれ形成されることとなる。そして、この空間20に、前記した水入口18a、水出口18bが、それぞれ連通されているのである。なお、中管16の管壁の厚さは、ここでは、外管12や内管14よりも薄肉とされており、そのような中管16が、かかる外管12の内周面と内管14の外周面との間に形成される空間に、ここでは8本が挿入されて、中管16の外周面が、内管14の外周面や外管12の内周面に、それぞれ密接せしめられている。
従って、このような複数の中管16によって、外管12の内周面と内管14の外周面にて形成される空間、即ち水の流通せしめられる流路が、複数の区画に分割せしめられるようになっているのである。つまり、中管16の内側である区画22と、内管14の外周面と中管16の外周面にて区切られた区画24、そして中管16の外周面と外管12の内周面とで区切られた区画26の3つの大きさの区画に分割されて、水流路が形成されているのである。そして、前述したように、外管12の一方の端部に設けられた水入口18aから外管12内に導入せしめられた水が、外管12の一方の端部側から他方の端部側へと向かって、区画22,24,26に分けられた水流路内を流通せしめられる間に、内管14内を流通せしめられる高温の伝熱媒体からの伝熱によって加熱されて、他方の端部に設けられた水出口18bから、湯として取り出されるようになっている。
このように、本実施形態にかかる水熱交換器10によれば、その内部に高温の伝熱媒体が流通せしめられる内管14が、内部に水が流通せしめられる外管12の内側に収容されて、それらが実質的に直接に接触しないように構成されているところから、内管14の内部を流通せしめられる伝熱媒体の熱が外気へと放出されてしまうことを効果的に抑制することが可能となり、その熱を、外管12の内周面と内管14の外周面との間を流通せしめられる水に対して、有利に伝達することが出来るのである。
しかも、そのような水の流通せしめられる外管12と内管14との間の間隙に、複数の中管16が、かかる内管14の外周面に密接するように内挿、配置されているところから、内管14内を流通する高温の伝熱媒体の熱が、内管14の外周面に密接せしめられた中管16へと伝達されることとなり、その結果、内管14の外周面に加えて、中管16の内外周面も、内管14と外管12の間隙を流通する水に対する伝熱面となるため、伝熱媒体から水への伝熱面積を効果的に増加せしめ得て、伝熱媒体から水への伝熱効率を有利に向上することが可能となる。
なお、ここでは、そのような中管16が、内管14や外管12よりも薄肉の管体によって形成されているため、外管12を絞り加工して縮径した際に、内管14よりも中管16が容易に変形せしめられ、その結果、内管14の外周面や外管12の内周面との密接度が、効果的に向上されている。
また、水の流路となる外管12の内周面と内管14の外周面との間に、複数の中管16が挿入、配置せしめられて、水流路が、複数の大きさの区画22,24,26に分割されているところから、そのような断面積の大きさの違う流路を通過する際に、大きな断面積とされた区画22を流れる水の流速と、かかる区画22よりも小さな断面積となる区画24,26を流れる水の流速との間に、違いが生じることとなる。而して、一般的に、流速の速い箇所よりも流速の遅い箇所においてスケールが発生し易いところから、このように一つの水流路内に流れの速い区画と遅い区画が存在すると、その遅い区画の方からスケールが発生するようになる。つまり、断面積の小さな区画24,26においてはスケールが発生することとなるが、主たる水の流路となる、断面積が大きい区画22においては、スケールの発生を効果的に抑制することが可能となるのである。その結果、従来の水熱交換器のように、スケールの発生によって水流路が閉塞してしまうといった問題が発生する恐れを、効果的に緩和乃至は解消することが出来るのである。
更にまた、ここでは、内管14や中管16に熱伝導率の高い銅や銅合金を用いているところから、内管14内を流通せしめられる伝熱媒体の熱を、外側の水や中管16へと効果的に伝達することが出来、以て、水熱交換器10の熱交換効率が効果的に向上せしめられるようになっている。
ところで、水熱交換器10を構成する外管12や内管14、中管16を、銅若しくは銅合金にて形成した場合にあっては、水の流通せしめられる部位、即ち、主な水流路となる大きな断面積とされた流路(区画22)を構成する中管16の内周面や、小さな断面積とされた流路(区画24、区画26)を構成する内管14の外周面、中管16の外周面及び外管12の内周面には、好ましくは、錫めっきがそれぞれ施されて、用いられることとなる。これは、この種の水熱交換器において、水が流通する部分を銅又は銅合金で構成した場合にあっては、流路内を流通する水のpHが酸性側やアルカリ性側に変化すると、これらの銅または銅合金が2価の銅イオンとして水に溶け出し易くなり、使用時に石鹸や炭酸ガス等と反応して、青水が発生する問題を内在しているからである。
一方、流通する水中には種々の成分が含まれており、遊離炭酸の多い地下水を使用した場合には、I’型孔食の発生が懸念され、また、2価の銅イオンにより、水中の溶解性SiO2 が析出して、スケールを形成してマウンドレス型孔食が生じる危険性もある。これらの孔食は、伝熱管に穴を開けるだけでなく、表面の腐食生成物で荒れた部分に水垢等のスケールが付き易くなり、熱交換効率を悪くするという問題もある。
そこで、外管12、内管14及び中管16が、それぞれ銅又は銅合金で構成されている場合において、水が流通する部分、即ち、中管16の内周面や内管14の外周面、中管16の外周面、外管12の内周面に錫めっきを施すことにより、管壁から銅イオンが溶け出してしまうことが、効果的に抑制せしめられることとなり、以て、水熱交換器10の耐食性を有利に確保することが可能となるのである。
なお、そのような外管12の内周面や内管14の外周面、中管16の内外周面に対して錫めっきを施す方法としては、例えば、中管16の内周面にのみ錫めっきを施す場合においては、予め管内面に錫めっきを施した中管16を使用して、これを内管14と共に、外管12の内部に挿入し、組み付ける方法がある。一方、中管16の内外周面、内管14の外周面、外管12の内周面の全てに錫めっきを施す場合においては、同様に、予め内外周面に錫めっきを施した中管16、予め外周面に錫めっきを施した内管14、予め内周面に錫めっきを施した外管12を用いて、これらを組み付ける方法の他、外管12、内管14及び中管16を組み付けた後、水流路に該当する中管16内(区画22)、内管14と中管16の間隙(区画24)及び中管16と外管12の間隙(区画26)に、錫のめっき液を流通せしめる置換めっき法による方法もあり、本発明においては適宜に採用されることとなる。
このように、本実施形態に従う水熱交換器10によれば、外管12と内管14、そして複数の中管16とを組み合わせた比較的単純な構造にて、内管14内を流通せしめられる伝熱媒体の熱を、内管14と外管12の間の間隙を流通せしめられる水へと効果的に伝熱することが可能となると共に、水流路の全体がスケールの析出によって閉塞してしまうようなことも効果的に阻止することが可能となるのである。
ところで、このような、外管12内に内管14及び複数の中管16が挿入、配置せしめられて、それらの内外周面が密接せしめられてなる構造の水熱交換器10は、例えば、以下に示すような方法によって、製造されることとなる。
先ず、外管12、内管14、及び中管16として、単純な円形断面をもつ管体が用意される。ここでは、その一例として、外径:15.88mm、肉厚:0.6mmの外管12が、また外径:6.35mm、肉厚:0.6mmの内管14が、さらに外径:4.0mm、肉厚:0.3mmの中管16が、単純な円形断面の管体形状において、それぞれ準備された。
そして、それら準備された3種の管体を用いて、外管12の内部に、内管14を、外管12と同軸的となるように挿入、配置せしめた後、外管12と内管14との間に形成される間隙に、8本の中管16を挿入して、図1のような配置となるようにする。このとき、中管16の外径よりも、外管12と内管14の間の間隔の方が大きいため、中管16の外周面と内管14の外周面や外管12の内周面との間には、僅かな隙間が生じている。
次いで、この外管12、内管14、中管16をまとめたものの一方の端部に対して、口付け加工が行なわれる。なお、この口付け加工は、縮径ダイスを用いて抽伸加工する際に一般的に用いられる方法であって、例えば特開2000−271630号公報にも明らかにされているように、加工を行う金属管の加工開始部分を引抜きダイス(縮径ダイス)のダイス穴の穴径以下となるように、金属管の管径を小さくする加工である。なお、この口付け加工は、ここでは、縮径ダイスを通過出来るように、そのダイス穴径よりも小さくすることに加えて、外管12内に配置せしめられた内管14や複数の中管16の配置が、加工中にずれてしまわないように、固定するためでもある。
そして、そのような口付け加工を行った後に、その口付け部をチャッキングして、縮径ダイスを介して金属管を引き抜くことにより、所望の管径となるように抽伸加工が実施されることとなる。なお、ここでは、外管12の外径が14.55mmとなるように縮径せしめることによって、中管16の外周面と内管14の外周面や外管12の内周面との間に存在していた隙間がなくなり、それら内管14と中管16及び外管12と中管16とが密接せしめられるようになっている。また、このような外管12の縮径によって、中管16が、外管12の内周面と内管14の外周面とに密接するように押圧せしめられる際に、中管16が内管14よりも管壁が薄肉とされているため、外管12の内周面と内管14の外周面との間で圧縮された中管16は、楕円形状に変形せしめられて、それぞれの面に密接せしめられる一方、内管14は、殆ど変形することがないのである。
その後、かかる抽伸加工の後に、口付け部分をカットし、所望の長さに切断することによって、図2に示されるように、太径の外管12内に、細径の内管14が、外管12の内周面に直接に接触せず、外管12と内管14との間の間隙に、複数の中管16が、外管12の内周面と内管14の外周面とに密接するようにして内挿、配置せしめられている構造の水熱交換器10を与える管体組付体が、得られるのである。なお、このようにして得られた管体組付体を、図1に示したような水熱交換器10として構成するには、所定の長さに切断した後、内管14や中管16の長さを切断等することによって調整した後、外管12の両端部を閉塞して、水入口18aや水出口18bを形成せしめることとなる。
従って、このような水熱交換器10の製造方法によれば、所定位置に配置された外管12、内管14、中管16を一まとめにして、単に、縮径ダイスを用いて抽伸加工するのみで、外管12と内管14とが直接に接触せず、外管12や内管14が中管16と密接せしめられた構造の水熱交換器10を構成する管体組付体を得ることが可能であり、ロウ付け等によってそれら管体を組み合わせて水熱交換器を構成するよりも、有利に生産性を向上せしめることが可能となるのである。
以上、本発明の代表的な実施形態の一つとその製造方法について詳述してきたが、それらは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、前述した実施形態においては、内管14や中管16に、内周面が平滑とされた伝熱管を用いたが、内面に各種の伝熱促進加工が施された伝熱管、例えば、図4に示すように、内周面に多数の溝(乃至はフィン)や突起が形成されてなる公知の内面溝付伝熱管32を用いることも、勿論可能である。なお、図4においては、内管のみに内面溝付伝熱管32が用いられた例が示されているが、中管のみを内面溝付伝熱管としたり、或いは内管と中管の両方を内面溝付伝熱管とすることも勿論可能であり、それらは、所望の伝熱性能等に応じて適宜に選択されて、採用されることとなる。
また、かかる例示の実施形態において、水熱交換器10は、8本の中管16を内管14と外管12の間隙に挿入、配置せしめた構造としていたが、この中管16の本数は、8本以外にも4本や6本、或いは10本や12本等、内管14が外管12と直接に接触しないようになっておれば、任意の本数とすることが可能である。さらに、中管16の太さにあっても、図2に示したもののように全てが同じ太さのものの場合の他、例えば、図5に示すように、2種類の太さとされた中管36,38を組み合わせて、内管14と外管12の間隙を埋めるようにすることも可能である。
なお、このような中管16の本数や太さは、伝熱面積を大きくする効果からすると、肉厚の薄い、外径の小さい中管16を、内管14と外管12の間の間隙に、多数配置することが効果的ではあるが、過度に多くした場合には、水流路の断面積が小さくなるため、圧力損失が増大してしまう、材料費が増大してしまう、製作性が悪化してしまう等の問題を惹起することとなるために、伝熱面積の増加による伝熱性能の向上とそれらのバランスを考慮して、選定されることとなる。
更にまた、内管14の本数にあっても、2本以上の内管14を外管12内に挿入、配置して、そのような複数の内管14と外管12の間の間隙に、複数の中管を挿入、配置せしめるようにしてもよい。例えば、図6に示すように、外管12の内部に2本の内管14を配置した後、外管12と内管14とが直接に接しないように、内管14と外管12の間の間隙に、太さの異なる2種類の中管42,44を配置せしめて、水熱交換器40を構成することも可能である。
加えて、上述の実施の形態においては、内管14として、単純な円形断面形状の伝熱管を用いたが、例えば、特開2005−69620号公報にて明らかにされているような、漏洩検知機能を有する伝熱管を採用することも可能である。
また、水熱交換器10を製造するにあたって、前述の実施形態においては、外管12の両端部を絞り込むように縮径せしめて、内管14の外周面と外管12の内周面との間の間隙を消失せしめると共に、外管12の両端部に内部の空間20にそれぞれ連通する水出入口18a,18bを形成して、熱交換せしめられる水が流通せしめられる流路を形成していたのであるが、このような方法の他にも、公知の各種の手法によって、そのような水流路を形成することも、勿論可能である。例えば、前述した製造方法にて形成した、外管12、内管14、中管16の組み合わされた管体組付体に対して、外管12の両端部に別体の蓋部材を固着せしめて、冷媒が流通せしめられる内管14を外部に連通させると共に、外管12の両開口端部を閉塞する一方、外管12と内管14との間に形成される水流路に連通せしめる水出入口を、かかる蓋部材或いは外管12の端部に形成するようにしてもよいのである。
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施されるものであり、また、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
10 水熱交換器
12 外管
14 内管
16 中管
18a 水入口部
18b 水出口部
12 外管
14 内管
16 中管
18a 水入口部
18b 水出口部
Claims (9)
- 太径の外管内に、細径の内管が、該外管の内周面に直接に接触することなく内挿されていると共に、該外管と該内管との間の間隙に、複数の中管が、該外管の内周面及び/又は該内管の外周面に密接するようにして内挿、配置せしめられてなる構造を有し、且つ該内管内に熱交換媒体が流通せしめられる一方、前記中管内と共に、前記外管と内管との間の間隙全体に、熱交換されるべき水が流通せしめられるように構成されていることを特徴とする給湯機用水熱交換器。
- 前記内管が、内面に伝熱促進手段を設けた伝熱管である請求項1に記載の給湯機用水熱交換器。
- 前記中管が、内面に伝熱促進手段を設けた伝熱管である請求項1又は請求項2に記載の給湯機用水熱交換器。
- 前記中管及び内管のうちの少なくとも一方が、銅又は銅合金にて構成されている請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の給湯機用水熱交換器。
- 前記中管が、銅又は銅合金からなる材質にて構成され、且つ該中管の内面に、錫めっきが施されていることを特徴とする請求項4に記載の給湯機用水熱交換器。
- 前記内管、中管及び外管が、それぞれ銅又は銅合金からなる材質にて構成され、且つ該内管の外面、該中管の内外面及び該外管の内面に、錫めっきが施されていることを特徴とする請求項4に記載の給湯機用水熱交換器。
- 前記中管が、前記外管及び内管よりも薄肉の管体にて構成されている請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載の給湯機用水熱交換器。
- 前記熱交換媒体が、炭酸ガスを主体とする冷媒である請求項1乃至請求項7の何れか一つに記載の給湯機用水熱交換器。
- 請求項1乃至請求項8の何れか一つに記載の給湯機用水熱交換器を製造する方法にして、前記外管内に、前記内管及び前記中管を挿入、位置せしめた後、それら外管、内管及び中管の一端を固定した状態において、縮径ダイスを用いて抽伸加工することにより、該中管が、該外管の内周面及び該内管の外周面に密着するようにしたことを特徴とする給湯機用水熱交換器の製造方法。
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-
2007
- 2007-05-18 JP JP2007132539A patent/JP2008014624A/ja not_active Withdrawn
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