JP2009033112A - 点火コイル - Google Patents

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Abstract

【課題】電界集中が発生しやすい外周コアの内周面にて曲率が最大となる外縁と、二次コイルの外周面との最短距離が、外周コアの内周面と二次コイルの外周面との最短距離が同じ場合には、外周コアの内周面外縁に局部的な電界集中が発生し、絶縁破壊しやすい。
【解決手段】外周コア18の対向面183と二次コイル16の外周面160との最短距離をA、外周コア18の外縁183a,183bと二次コイル16の外周面160との最短距離をBとした時に、AよりもBの方が大きくなるように、二次コイル16および外周コア18を配設する。これにより、外縁183a、183bに電界が集中することを回避する効果が向上し、耐久性に優れた点火コイル100が得られる。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関において点火プラグに印加する電圧を発生させる点火コイルに関する。
従来、一次コイルの外周側に配設した二次コイルを、一次コイルとの相互誘導によって昇圧することで、点火プラグへの印加電圧を発生させる点火コイルが知られている。こうした点火コイルの一種に、外周コアを二次コイルの外周面に対向するように設け、それら二次コイルと外周コアとの間に樹脂部材を介在させることによって、電気的絶縁を実現する点火コイルが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
特開2005−50892号公報
さて、特許文献1の従来技術では、外周コアの内周面において角張った外縁が二次コイルの外周面と正対しているため、二次コイルと外周コアとの間に発生する電界が当該外縁に集中しやすい構成になっている。このような電界の局部的集中は、二次コイルと外周コアとの間の樹脂部材にトリーイング現象を生じさせて、当該樹脂部材を劣化させる。その結果、樹脂部材の劣化が進むと、二次コイルの外周面と外周コアの内周面外縁との間で絶縁破壊が起こり、絶縁破壊寿命が短くなってしまうため、耐久性に問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、高い耐久性を有する点火コイルを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、一次コイルの外周側に設けられ、一次コイルとの相互誘導によって、昇圧される二次コイルと、二次コイルの外周面に対向する対向面を有し、二次コイルの外周面と当該対向面との間に絶縁部材が介在する外周コアと、を備える点火コイルにおいて、二次コイルの外周面と外周コアの対向面との最短距離Aよりも、二次コイルの外周面と外周コアの対向面外縁との最短最短距離Bが大きくなるように、二次コイルと外周コアとが設けられることを特徴とする点火コイルである。ここで、本願発明において、対向面の外縁とは、外周コアの対向面において巨視的に曲率が最大となる点すべてを指す。なお、ここで言う巨視的とは微視的と対になるものであり、巨視的に曲率が最大となる点とは、人が視覚的に判断して最も曲率が大きいと識別し得る点のことである。
本発明によると、二次コイルの外周面に対向する外周コアの対向面の外縁から二次コイルまでの最短距離Bが、外周面と対向面との最短距離Aよりも大きくなるので、外周コアの対向面外縁において電界が集中しにくくなる。これによれば、二次コイルの外周面と外周コアの対向面との間に介在する絶縁部材が、局部的な電界集中によって劣化することを抑制できるので、二次コイルと外周コアとの間における絶縁破壊の回避効果が高まり、点火コイルの耐久性を向上することができる。
請求項2に記載の発明によると、二次コイルと外周コアとは、B/A≧1.5を満たすように設けられる。これにより、二次コイルと外周コアとの間では、外周コアの対向面外縁への電界集中が効果的に抑制されて、絶縁破壊の回避効果が高められることになる。
請求項3に記載の発明によると、二次コイルと外周コアとは、B/A≧2.0を満たすように設けられる。これにより、二次コイルと外周コアとの間では、外周コアの対向面外縁への電界集中がより効果的に抑制されて、絶縁破壊の回避効果が高められることになる。
請求項4に記載の発明によると、二次コイルは、矩形筒状を呈し、外縁は、外周コアと二次コイルとが正対する対向面から外れた位置に形成されるものである。これによれば、矩形筒状の二次コイルの一面は、それに平行な平坦面である外周コアの対向面に対して、最短距離Aをあけて正対すると共に、当該一面との正対部分から外れた箇所の対向面外縁との間に、最短距離Aよりも大きな最短距離Bを隔てることになる。したがって、電界が対向面外縁に集中しにくい構成を、矩形状のコイルと平坦面との組み合わせという比較的簡素な構成によって実現することができるのである。
請求項5に記載の発明によると、二次コイルは円筒状を呈する。これによれば、外周コアの対向面の外縁と二次コイルの外周面との最短距離Bは、最短距離Aに比して相対的に大きくすることができる。つまり、二次コイルが円筒状であることで、B/A>1とすることが可能となる。これにより、二次コイルの外周面と外周コアの対向面との間に介在する絶縁部材が、局部的な電界集中によって劣化することを抑制できるので、二次コイルと外周コアとの間における絶縁破壊の回避効果が高まり、点火コイルの耐久性が向上する。なお、円筒状の二次コイルの断面は、真円だけでなく、楕円等であっても上述の理由により、点火コイルの耐久性が向上する。
また、B/Aが同一のとき、円筒状の二次コイルを用いた場合には、矩形筒状の二次コイルを用いた場合と比べて、対向面の幅方向の長さが短い。つまり、円筒状の二次コイルを用いることによって、点火コイルの体格を小型化できる。
請求項6に記載の発明によると、外周コアは、複数枚の磁性板を二次コイルの径方向に積層してなり、それら複数の磁性板のうち、一枚の磁性板によって対向面の全体が形成される。これによれば、二次コイルの外周面に対向する外周コアの対向面の全体を、一枚の磁性板によって形成することが可能になるので、対向面に微視的に曲率の大きい凹凸が存在することはなく、局部的な電界集中の発生が抑制され、点火コイルの耐久性が向上する。
請求項7に記載の発明によると、外周コアは一枚の磁性板からなり、当該磁性板により対向面の全体が形成される。これによれば、二次コイルの外周面に対向する外周コアの対向面の全体を、一枚の磁性板によって形成することが可能になるので、対向面に微視的に曲率の大きい凹凸が存在することはなく、局部的な電界集中の発生が抑制され、点火コイルの耐久性が向上する。
請求項8に記載の発明によると、外周コアは、磁性粉末を加圧成形してなる。このようにして形成される外周コアの表面は、微視的に曲率の大きい凹凸がなく、滑らかな対向面を有することから、対向面における局部的な電界集中の発生が抑制され、点火コイルの耐久性が向上する。
請求項9に記載の発明によると、外周コアの対向面の外縁は、面取りされている。局部的な電界集中は曲率の大きい箇所に発生しやすいことから、対向面において巨視的に曲率が最大となる外縁を面取りし、曲率を減少させる。これにより、外縁への局部的な電界集中の発生が抑制され、点火コイルの耐久性が向上する。
請求項10に記載の発明によると、外周コアの表面のうち少なくとも外周コアの対向面外縁は、外周コアと絶縁部材との界面に発生する応力を緩和する応力緩和部材によって被覆される。これにより、少なくとも外周コアの対向面外縁と絶縁部材との界面に発生する応力は、応力緩和部材の有する弾性によって緩和されるので、絶縁破壊を助長するクラックの発生が抑制されることになる。
請求項11に記載の発明によると、応力緩和部材は、外周コアの表面の全体を被覆する熱収縮チューブである。これによれば、熱収縮チューブである応力緩和部材の熱収縮性を利用することによって、対向面外縁を含む外周コアの表面全体に当該応力緩和部材を密着させることができる。故に、絶縁破壊を助長する空気層が外周コアと応力緩和部材との間に形成されることを、抑制できるのである。
請求項12に記載の発明によると、二次コイルの径方向の断面積は、二次コイルの軸方向において、高電圧側の方が低電圧側よりも小さい。これによれば、二次コイルにおいて相対的に高電圧となる部分において、二次コイルと外周コアとの距離が大きくなる。その結果、二次コイルと外周コアとの間の絶縁距離が増加し、絶縁破壊がより効果的に抑制される。
請求項13に記載の発明によると、外周コアは接地される。このように接地された外周コアと、昇圧された二次コイルとの間では、大きな電位差が確実に生じることになるので、放電による絶縁破壊が起こる可能性が高い。しかし、最短距離Bが最短距離Aよりも大きいことから、外周コアと二次コイルとの間に大きな電位差が生じたとしても、局部的な電界集中による絶縁破壊の回避効果が高まり、耐久性を向上することができる。
請求項14に記載の発明によると、点火コイルは、外周コアとともに磁路を形成する中心コアを備えており、中心コアは、磁性粉末を加圧成形してなる。このように磁性粉末を加圧成形することによって形成される中心コアは、珪素鋼板等を積層して形成される中心コアに比して、製造コストおよび工数を低減することができる。
請求項15に記載の発明によると、二次コイルの径方向に沿った対向面の断面積は、二次コイルの高電圧側から低電圧側に向かって減少する。二次コイルの高電圧側にて最短距離Bが最短距離Aよりも大きいことにより局部的な電界集中が抑制されて点火コイルの耐久性が向上するため、二次コイルの低電圧側に関しては、最短距離Bが最短距離Aよりも大きくなる構成としても絶縁破壊寿命にほとんど影響しない。したがって、低電圧側の上記断面積を減少させることによって、外周コア全体の体積を減少させることが可能となり、外周コアの製造コストを低減することができる。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における点火コイル100の縦断面図であり、図2は、図1のII−II線断面図、図3は、図1のIII−III線断面図である。
図1乃至3に示すように、ハウジング10は樹脂材料からなり、エンジンヘッド1のプラグホール2の横断面積よりも大きな底面を有する矩形箱状を呈している。ハウジング10は、プラグホール2の外部に設けられている。また、ハウジング10の外側には、固定部11が一体に形成されている。固定部11には、筒状の金属ブッシュ12が嵌合しており、この金属ブッシュ12に螺合するボルト(図示せず)によって、固定部11がエンジンヘッド1に固定されている。
なお、本実施形態のハウジング10および固定部11は、硬質樹脂であるPBTによって形成されているが、PET、PCT等のDMT(ジメチルテレフタレート)と1.4BT(1−4ブタンジオール)とから縮重合して得られる熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂によって形成してもよい。
ハウジング10の内部には、図2に示すように、中心コア13、一次コイル14、一次スプール15、二次コイル16、二次スプール17および外周コア18が収容されている。
中心コア13は磁性材(図示せず)からなり、矩形柱状を呈している。中心コア13は、その軸方向がプラグホール2の軸方向に対して略垂直となるように、設けられている。一次スプール15は樹脂材料からなり、矩形筒状を呈している。なお、本実施形態の中心コア13は、珪素鋼板等の磁性板を積層することによって形成しているが、二次コイル16に所望の高電圧を発生させるに足る磁界を形成できるのであれば、当該磁性板の板厚および積層枚数に特に制限はない。
一次スプール15は樹脂材料からなり、矩形筒状を呈しており、中心コア13の外周側に同心上に設けられている。一次コイル14は、一次スプール15に、たとえばエナメル線を巻回してなり、全体として矩形状を呈している。なお、一次コイル14については、たとえば、直径が0.3〜0.8mmのエナメル線を100〜230ターン巻回することによって、形成することが好ましい。
二次スプール17は樹脂材料からなり、一次スプール15よりも大きな矩形筒状を呈している。二次スプール17は、一次スプール15の外周側に嵌合することにより、一次コイル14の外周側に距離を隔てて同心上に設けられている。また、二次スプール17には、所定の間隔毎に径方向外側に突設される円盤状の鍔部が複数設けられている。二次コイル16は、二次スプール17に、たとえば、エナメル線をスロット巻きすることによって形成され、全体として矩形筒状を呈している。なお、二次コイル16については、たとえば直径が40〜50μmのエナメル線を10000〜20000ターン巻回することによって、形成することが好ましい。
外周コア18は磁性材からなり、U字型を呈し、二次コイル16の外周側に距離を隔てて設けられている。なお、外周コア18は、アースバー(図示せず)を介して接地されている。
外周コア18の内周面180をなす三つの平坦面181〜183のうち、互いに対向する二面181,182は、中心コア13の軸方向の両端面を覆っており、それによって外周コア18と中心コア13とで閉磁路が形成されている。一方、外周コア18の内周面180において二面181,182に略垂直な平坦面183は、二次コイル16の外周面160をなす四つの平坦面161〜164のうち一面161に対して、略平行に対向している。以上、本実施形態における平坦面183が請求項記載の対向面に相当しており、以下、当該平坦面183を対向面183と称する。
なお、本実施形態の外周コア18は、珪素鋼板等よりなる五枚の磁性板18a〜18e(図2参照)を積層することによって形成されているが、二次コイル16に所望の高電圧を発生させるに足る磁界を形成できるのであれば、当該磁性板18a〜18eの板厚および積層枚数に特に制限はない。また、本実施形態では、外周コア18と中心コア13とで閉磁路を構成しているが、後述する相互誘導によって、二次コイル16に所望の高電圧を発生させることができるのであれば、外周コア18と中心コア13とで開磁路を構成してもよい。
このような外周コア18等を収容するハウジング10の内部には、樹脂部材20が充填されている。樹脂部材20は、二次コイル16の外周面160と外周コア18の内周面180との間に介在しており、それら二次コイル16と外周コア18とを電気的に絶縁している。また、樹脂部材20は、一次コイル14と二次スプール17との間にも介在しており、両者を電気的に絶縁している。なお、本実施形態における樹脂部材20はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂であるが、電気的絶縁作用を発揮し得る他の樹脂部材を用いてもよく、また、樹脂部材20の絶縁性を向上させるため、シリカ等の絶縁性を有する粒子を樹脂部材20に添加してもよい。以上、本実施形態における樹脂部材20が請求項記載の絶縁部材に相当する。
図1に示すように、シール部材24はゴム材料からなり、円筒状を呈している。シール部材24は、ハウジング10を支持する一端部を除いて、プラグホール2に同心上に挿入されている。シール部材24の内部には、ハウジング10と一体形成された高圧タワー部10aが収容され、当該高圧タワー部10aの内部には、二次コイル16の高電圧側(巻き終わり)と電気的に接続される高圧ターミナル21が収容されており、シール部材24は、ポール26とプラグホール2との間をシールしている。
ポール26は、PBT、PPS、不飽和ポリエステル等の樹脂材料からなり、円筒状を呈している。ポール26はプラグホール2に同心上に挿入され、シール部材24のハウジング10とは反対側の端部に連結されている。
プラグキャップ28は、ゴム材料からなり、円筒状を呈している。プラグキャップ28はプラグホール2に同心上に挿入され、ポール26のシール部材24とは反対側端部に連結されている。プラグキャップ28の内部には、エンジンヘッド1に固定された高圧ターミナル21と点火プラグ101とを電気的に接続するための導電スプリング22が収容されており、プラグキャップ28は、当該導電スプリング22とプラグホール2との間を電気的に絶縁している。
上記構成において、エンジンコントロールユニット(図示せず)からの信号や電源がコネクタ31より供給され、一次コイル14に流れる電流をイグナイタ(図示せず)を遮断すると、一次および二次コイル14,16間の相互誘導作用により、たとえば30〜40kVの高電圧が二次コイル16に発生する。こうして二次コイル16に発生した高電圧は、高圧ターミナル21および導電スプリング22を介して、点火プラグ101に導かれ、点火プラグ101の先端で火花放電を発生させることになる。
以下、本実施形態の特徴的構成について詳細に説明する。
図2に示すように、外周コア18の対向面183においては、その幅方向(同図の左右方向)の両端部の外縁183a,183bが、二次コイル16の平坦面161と正対する正対部183cから外れた位置に形成されている。このとき、外縁183a,183bは、対向面183の幅方向両端部を構成する辺およびその近傍にて、対向面183の曲率が巨視的に最大となる点すべてを指す。つまり、本実施形態では、対向面183において、外縁183a,183bが二次コイル16の軸方向に沿って線状に存在する。また、外縁183a,183bから二次コイル16の軸心までの距離は、等しく、図2の二点鎖線矢印は、対向面183における正対部183cの幅方向の両端を指示しており、外縁183a,183bは、該正対部183cから外れた部分に位置する。
このような構成により、正対部183cと平坦面161との平行間隔Aが、外周コア18の対向面183と二次コイル16の外周面160との最短距離Aとなっている。それと共に、図2中の要部C拡大図である図4に示すように、対向面183の外縁183aから二次コイル16の外周面160までの最短距離Bは、最短距離Aよりも大きくなっている。また、本実施形態において、外縁183aから二次コイル160の外周面までの最短距離Bと外縁183bから外周面160までの最短距離Bは等しい。このような最短距離Aと最短距離Bとの関係が当該軸方向の全域に亘って成立しているのである。
ここで、最短距離Aと最短距離Bとの比B/Aに対する、二次コイル16と外周コア18との間の電界強度の関係を、図5に示す。なお、電界強度とは、樹脂部材20を隔てて二次コイル16および外周コア18の間に発生する電界の強さ(ストレス)の意であり、電界に対する樹脂部材20の強さ(耐力)のことではない。
ここで、図5は、幅方向(図2における左右方向)の長さの異なる複数の外周コア18を用いて、最短距離Bを変化させたときの、B/AとB/A=1に対する電界強度比率との関係を示したものである。また、図5は、電界強度計算ソフト(ANSYS社製:ANSYS10.0)を用い、2D静電場解析手法にて算出したものである。なお、ANSYS10.0はプリプロセッサ、ソルバー、ポストプロセッサが一つになっている。
図5の関係から、最短距離Aよりも最短距離Bが大きいことによって、つまり、B/A>1が成立することによって、二次コイル16と外周コア18との間の電界強度が低減されることがわかる。とりわけ、B/A≧1.5の時には、B/A=1(たとえば従来技術)の時に比べて、電界強度がたとえば60%程度にまで低減される。これは、B/A=1の時には、外周コア18の対向面183の曲率が巨視的に最大となる外縁183a,183bに電界が集中するのに対し、最短距離Aよりも最短距離Bが大きい時、特にB/Aの値が1.5よりも大きい時には、外縁183a,183bへの局部的な電界集中が抑制されるからである。
このように、電界強度が低減され、局部的な電界集中が抑制されることによれば、樹脂部材20での電気的な絶縁劣化現象であるトリーイング現象が抑制される。つまり、二次コイル16と外周コア18との間において樹脂部材20の絶縁劣化が抑制されることになる。なお、トリーイング現象とは、電界集中による高電界部分が樹脂部材20の持つ固有破壊限界を超えて局部的な絶縁破壊が起こり、徐々に樹枝状の放電路(トリー)が進展して、最終的には該トリーが二次コイル16と外周コア18との間を全路破壊させる現象のことである。
したがって、本実施形態によれば、従来と同一の体格であっても、二次コイル16と外周コア18との間の樹脂部材20の絶縁破壊寿命を向上し、点火コイル100の耐久性を高めることができる。特にB/A≧1.5が満たされる場合には、絶縁破壊寿命の延長効果が高くなるので、耐久性に極めて優れた点火コイル100を得ることができる。
また逆に、点火コイル100に対する小型化のニーズに応えるにあたっては、最短距離Aの値を小さくするとともに、最短距離Aよりも最短距離Bが大きくなるように二次コイル16と外周コア18とを設けることで、小型化を実現するとともに、従来と同等の耐久性を確保することができるのである。
また、図5より、B/A≧2.0とすることにより、外縁183a,183bへの電界集中が、B/A=1の時と比べて約55%まで低減され、飽和することから、B/A≧2.0、特にB/A=2.0となるよう、二次コイル16および外周コア18を配設することが好ましい。
以上より、電界強度は、二次コイル16の発生電圧に比例し、B/Aに反比例すると言えることから、とりわけ局部的な電界集中を抑制するためには、最短距離Bを最短距離Aよりも大きくし、B/A≧1.5とすることが好ましい。また上述のように、B/A≧2.0とすることがより好ましい。
ここで、本実施形態の二次コイル16は、図2,3に示すように、軸方向において、固定部11側(図3中左方)で相対的に高電圧を発生する高電圧側の巻数は、図3中右方の低電圧側よりも少なくなる構成となっている。これによって、点火コイル100の絶縁破壊寿命に大きな影響を及ぼす高電圧側は、低電圧側と比べて、二次コイル16と外周コア18との絶縁距離が大きくなるため、点火コイル100の絶縁破壊寿命が延長される。
次に、図2に示すように、外周コア18を構成する複数の磁性板18a〜18eは、二次コイル16の径方向に積層されている。そのため、外周コア18の対向面183の全体が、最内周の一枚の磁性板18aによって形成されており、当該対向面183が、微視的に曲率の大きな凹凸のない滑らかな平坦面となっている。これにより、二次コイル16と外周コア18との間において、局部的な電界集中の発生が抑制されるのである。
これに対し、比較例として示す図6のように、二次コイル16の径方向とは略垂直な方向に磁性板18a〜18mを積層して外周コア18を形成する場合には、積層される磁性板18a〜18m個々の大きさのバラつきや、磁性板18a〜18m同士の接合強度のバラつき等によって、対向面183に巨視的または微視的に曲率の大きな凹凸が生じやすい。よって、図6に示す構成では、対向面183の凹凸が、局部的な電界集中の発生サイトとなり、点火コイル100の耐久性の低下を招くおそれがある。
図7は、図6に示す構成において二次コイル16と外周コア18との間に生じる最大電界強度を100%としたときに、図2に示す構成の同最大電界強度を模式的に示したものである(図7中、左方:図6に対応、右方:図2に対応)。図7から、本実施形態では、図6に示す構成に比べて、二次コイル16と外周コア18との間に生じる最大電界強度を、90%弱程度にまで低減して、それら要素16,18間における絶縁破壊の回避効果をよりいっそう高めることができる。しかも、本実施形態では、磁性板18a〜18eの積層形態により、外周コア18に渦電流の発生に起因する磁気エネルギーの損失を抑制することができる。
なお、二次コイル16の径方向に磁性板18a〜18eが積層されてなるU字型の外周コア18は、たとえば、板厚0.2〜1.0mm程度で長さの異なる磁性板18a〜18eを、接着剤を用いて固定しながら略階段状に積層した後、中央部を保持しつつ各磁性板18a〜18eの板厚方向に荷重を加えてU字型に折曲することにより、形成することができる。
また、コストを極力抑えるために、図8に示すように一枚の磁性板18aから外周コア18を構成し、対向面183の全体を当該磁性板18aで形成することによっても、上記実施形態と同様にして、局部的な電界集中の発生を抑制し、絶縁破壊の回避効果を高めることができる。
またさらに、図2に示す、樹脂部材20と外周コア18との間には、線熱膨張係数に差があるため、樹脂部材20と外周コア18との界面に応力が発生しやすい。こうした応力によって、樹脂部材20と外周コア18との界面にクラックが発生すると、電気を容易に通す空気層が当該界面に形成されることになるため、トリーイング現象による絶縁破壊を助長するおそれがある。
そこで、図9に示すように本実施形態では、外周コア18の表面を応力緩和部材19によって被覆している。ここで、本実施形態の応力緩和部材19は、弾性を有するポリエチレン系の樹脂等から形成された熱収縮チューブであり、外周コア18を内包して当該コア18の表面全体に密着している。
このような応力緩和部材19によれば、樹脂部材20と外周コア18との界面に発生する応力を応力緩和部材19自身の弾性作用により緩和して、クラックの発生による空気層の形成を抑制できるのみならず、該弾性作用によって、応力緩和部材19自身と外周コア18との間において空気層が発生することを防止することができる。したがって、応力緩和部材19を用いることによって、絶縁破壊の回避効果がよりいっそう高められることになる。
また、磁性板18a〜18eを積層してなる外周コア18を内包する応力緩和部材19によれば、接着剤等によって接合された磁性板18a〜18e同士をより強固に一体化させることができるので、安定した磁路の形成が可能となる。
さらに、応力緩和部材19の製造方法として、従来、エラストマをコアの外周に流し込んで成形する方法が開発されているが、エラストマの流動性が悪いために、たとえば1.0mm程度の肉厚が応力緩和部材19に必要とされており、尚且つ製造コストが高価であった。これに対し、応力緩和部材19としての熱収縮チューブは、肉厚をたとえば0.35mm程度に抑えることができるため、点火コイル100の小型化に寄与するのみならず、成形型を使用せず、当該熱収縮チューブを外周コア18に被せて熱収縮させることによって、安価に製造することができる。
なお、本実施形態においては、外周コア18に準じて、中心コア13も応力緩和部材19によって被覆してもよい。
また、図3に示すように、二次コイル16の軸方向において、二次コイル16の外径、または径方向断面積に関して、高電圧側(図3中左方)を低電圧側(図3中右方)よりも小さくすることで、高電圧側にて二次コイル16の外周面160と外周コア18の対向面183との距離が相対的に長くなる。これにより、二次コイル16の高電圧側にて最短距離A、Bが共に増加して絶縁距離が増加することで、点火コイル100の絶縁破壊寿命も延長される。
(第二実施形態)
以下、第二実施形態について述べるが、基本的な構成は上記第一実施形態と同様であることから、相違点についてのみ説明する。
図10に、第二実施形態の点火コイル100の軸方向断面図を示す。なお、図2に対応する部位については同一の符号を付す。図10に示すように、円柱状の中心コア13および円筒状の二次コイル16、更には、円筒状の一次スプール15、円筒状の一次コイル14、円筒状の二次スプール17を用いる。また、外周コア18を磁性粉末、たとえば、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性金属単体、または、これら金属単体を主とする合金の粉末を加圧成形することによって形成する。これにより、珪素鋼板等を積層して形成するよりも安価な外周コア18が得られる。
円筒状の二次コイル16を用いることによって、断面矩形状の外周コア18における外縁183a,183bと二次コイル16の外周面160との最短距離Bは、正対部183cと外周面160との最短距離Aに比して相対的に大きくなる。よって、第一実施形態のように、断面矩形状の外周コア18と断面矩形状の二次コイル16とを用い、二次コイル16の平坦面161と正対する正対部183cから外れた箇所に形成する場合に比べて、B/A≧1.5とすることが容易となる。したがって、点火コイル100の体格を大型化することなく、B/A≧1.5を実現でき、点火コイル100の耐久性が向上する。
ここで、点火コイル100において、最短距離Aが二次コイルの軸方向全域に亘って略一定である場合には、該軸方向全域に亘ってB/A≧1.5を実現する必要はなく、少なくとも電界強度が相対的に大きい部分、つまり、図11に示すように、二次コイル16の高電圧側のみB/A≧1.5を実現する構成を採用してもよい。電界強度は、二次コイル16で発生する電圧に略比例する。また、二次コイル16で発生する電圧は、二次コイル16に巻回されるエナメル線の巻数に比例する。したがって、二次コイル16をスロット巻き、または斜向巻きを実施した場合には、二次コイル16の軸方向において、低電圧側から高電圧側に向かって電界強度は大きくなり、二次コイル16の最も高電圧を発生する点において最大電界強度をとる。つまり、この最大電界強度が樹脂部材20の絶縁破壊寿命に対して支配的となる。
本実施形態において、二次コイル16の高電圧側の電界強度がB/A≧1.5を満たすことにより、最大電界強度が60%程度抑制された値が点火コイル100の耐久性に直接影響を及ぼす。そのため、B/A<1.5の場合において、この60%程度低減された最大電界強度値よりも小さな電界強度値をとる二次コイル16の外周面160に関しては、B/A≧1.5としなくてもよい。具体的には、図11に示すように、対向面183の上記高電圧側に関して、二次コイル16の径方向の断面積が相対的に大きくなる外周コア18、たとえば、軸方向に平行な断面が略台形状を呈する外周コア18を用いて、上記高電圧側においてのみ、最短距離Bが最短距離Aよりも大きくなる構成を採用してもよい。これにより、外周コア18の体積を減少させ、点火コイル100の製造コストを削減できる。
ここで、斜向巻きとは、最初に二次コイル16の低電圧側において、二次コイル16の外径が、二次コイル16の高電圧側に向かって縮径するようにエナメル線を巻回することによって、二次コイル16の一部で斜面を形成し、その後、該斜面に対して平行に、尚且つ二次コイル16の外径が該斜面の外径の最大値と略一定となるように、エナメル線を上記軸方向に巻回していくことで、二次コイル16を形成する方法のことである。なお、本実施形態においては、斜向巻きの性質上、図11に示すように、二次コイル16の高電圧側は、低電圧側よりも外径、または径方向の断面積が小さくなっている。
以上より、点火コイル100の耐久性を向上させるためには、二次コイル16において、少なくとも二次コイル16の外周面160の高電圧側、具体的には、二次コイル16の巻数が60%程度の付近よりも高電圧を発生する点がB/A≧1.5を満たせばよい。
また、加圧成形されてなる外周コア18に関して、対向面183を含む外周面全てが、微視的にも巨視的にも曲率の大きな凹凸が少ない滑らかな平面を呈する。よって、図6の比較例と比べてはるかに局部的な電界集中が発生しにくくなり、点火コイル100の耐久性が向上する。なお、図12に示すように、第一実施形態と同様に珪素鋼板等を積層してなる外周コア18と上記円筒状の二次コイル16とを用いて点火コイル100を構成してもよい。
ここで、図13は、本実施形態に関して、A=1.9mm、二次コイル16に発生する電圧を30kV、外周コア18を接地した状態にて、幅方向(図9における左右方向)の長さの異なる複数の外周コア18を用いて、最短距離Bを変化させたときの、B/Aと電界強度(kV/mm)との関係を示したものである。図13も、上記第一実施形態の図5と同様にして、電界強度計算ソフト(ANSYS社製:ANSYS10.0)を用い、2D静電場解析手法にて算出したものである。なお、ANSYS10.0はプリプロセッサ、ソルバー、ポストプロセッサが一つになっている。
縦軸に電界強度(kV/mm)、横軸にB/Aをとった図13は、縦軸にB/A=1に対する電界強度比率(%)、横軸にB/Aをとった図4と同様の傾向を示すことが分かる。つまり、断面形状が矩形状を呈する外周コア18を、用いる点火コイル100にあっては、二次コイル16の形状が矩形筒状であろうと、円筒状であろうと、二次コイル16の発生電圧が一定のとき、点火コイル100に発生する電界強度は、B/Aによって決定される。
また、図13に示されるように、上記実験方法にて、二次コイル16に発生する電圧を15kVとしたときには、電界強度は低減されるが、30kVと同様の傾向を示す、すなわち、B/A≧1.5のときに、電界強度が飽和することがわかる。したがって、二次コイル16の発生電圧が変化したとしても、B/A≧1.5となるよう、二次コイル16および外周コア18が配設されてあれば、樹脂部材20の絶縁破壊寿命は向上し、その結果、点火コイル100の耐久性も向上するわけである。
また、図10、および図10中の要部D拡大図である図14に示すように、少なくとも対向面183の外縁183a,183bを面取りし、外縁183a,183bに丸みをもたせることが好ましい。このように、外縁183a,183bを面取りすることによって、局部的な電界集中がよりいっそう抑制され、絶縁破壊寿命が向上し、点火コイル100の耐久性を向上させることができる。
またさらに、最短距離Aが増加することによっても電界強度は減少し、点火コイル100の耐久性を良化させる。しかし、最短距離Aを増加させることは、点火コイル100の大型化につながるため、最短距離Aを増加させて点火コイル100の耐久性を向上させることよりも、本実施形態のように、B/A>1とすることによって点火コイル100の耐久性および小型化を同時に実現できるため、より好ましい。
(第三実施形態)
以下、第三実施形態について述べるが、基本的な構成は上記実施形態と同様であることから、特筆すべき相違点についてのみ説明する。
図15に、第三実施形態の点火コイル100の軸方向断面図を示す。なお、第二実施形態と同様に、図2に対応する部位については同一の符号を付す。図15に示すように、断面形状が略楕円形状で大きさの異なる磁性板18a〜18eを用いて略楕円形状を呈する外周コア18を形成する。このとき、外周コア18の対向面183の外縁183a,183bは、断面形状が略楕円形状を呈する外周コア18の長軸方向に垂直な断面において、対向面183の曲率が変化する点、具体的には、図15に示す対向面183において、相対的に曲率の小さい円弧と、磁性板18aの左右方向の両端に存在する相対的に曲率の大きい円弧との境界点に相当する。したがって、本実施形態における外縁183a,183bは、上記第一実施形態と比べてはるかに丸みを帯びており、電界集中が発生しにくい。そのため、たとえばB/Aを1.5よりも小さい値とした場合においても、B/A=1で発生する電界強度に比べて、発生する電界強度をたとえば60%程度に抑制することが可能となり、第一実施形態と同様の効果を奏する。またさらに、B/A≧1.5とすることによって、発生する電界強度をよりいっそう低減でき、点火コイル100の耐久性が向上する。なお、本実施形態では、断面形状が略楕円形状の磁性板18a〜18eを用いて全体として断面形状が略楕円形状を呈する外周コア18を形成したが、図16に示すように、上記第二実施形態と同様、外周コア18を、磁性粉末を加圧成形し、外周コア18の製造コストの低減を図ってもよい。また、図16においても、外縁183a,183bは、対向面183において、曲率が変化する境界点を指し、上記第一実施形態および第二実施形態のように、巨視的に曲率が最大となる点を指すわけではない。つまり、本実施形態のように、外周コア18の断面形状が略円形を呈する場合においては、対向面183において最も電界集中が発生しやすい点は、巨視的に曲率が最大となる点ではなく、巨視的に曲率が変化する境界点であることが鋭意研究によって判明したため、本実施形態では、外縁183a,183bを別途規定した。このように、二次コイル16の外周面160から外縁183a,183bまでの最短距離Bを外周コア18の形状によって最適化することによって、点火コイル100の耐久性の向上を外周コア18の形状に応じて達成することができる。
(第四実施形態)
以下、第四実施形態について述べるが、基本的な構成は上記実施形態と同様であることから、特筆すべき相違点についてのみ説明する。
図17に、第四実施形態の点火コイル100の軸方向断面図を示す。なお、上記実施形態と同様に、図2に対応する部位については同一の符号を付す。図17に示すように、円筒状の一次スプール15、円筒状の一次コイル14、円筒状の二次スプール17、円柱状の中心コア13および円筒状の二次コイル16に加えて、二次コイル16の径方向断面がU字状を呈する外周コア18を用いる。これら要素13〜18で構成される点火コイル100によってもB/A≧1.5とすることが可能であり、第一実施形態の点火コイル100と同様の効果を奏する。つまり、外周コア18は、全体として略U字形状のものに限定されるわけでなく、二次コイル16の外周面160に対して、外周コア18の対向面183がB/A≧1.5となるように構成できるのであれば、外周コア18の形状に関して特に制限はない。
(第五実施形態)
以下、第五実施形態について述べるが、基本的な構成は上記実施形態と同様であることから、特筆すべき相違点についてのみ説明する。
図18に、第五実施形態の点火コイル100の軸方向断面図を示す。なお、上記実施形態と同様に、図2に対応する部位については同一の符号を付す。
中心コア13は、磁性粉末、たとえば、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性金属単体、またはこれら金属単体を主とする合金の粉末を加圧成形してなり、全体として略円柱状を呈する。このようにして成形された円柱状の中心コア13の外周面は、珪素鋼板等を積層してなる中心コア13の外周面に比して、微視的に曲率が大きい凹凸が少なく、滑らかな曲面を有する。よって、樹脂製の一次スプール15を介することなく一次コイル14を中心コア13に直接巻回することが可能となる。つまり、一次スプール15を不要とする分、一次コイル14の外周側に配設される円筒状の二次スプール17および円筒状の二次コイル16の径を小さくすることができる。これにより、点火コイル100の小型化を実現することができる。また、このように加圧成形によって形成される中心コア13は、珪素鋼板等を積層してなる中心コアに比べて、製造コストおよび工数を低減できるという利点も有する。
また、上述のように、二次スプール17および二次コイル16の径が小さくなる分、上記実施形態よりも一次コイル14、二次コイル16の巻数を増やすことが可能となる。これにより、上記実施形態の点火コイル100と同等の体格にて、二次コイル16に発生させる電圧を高めることもできる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明は、上述の複数の実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。
たとえば、上記第一実施形態では、外周コア18等に応力緩和部材19を用いているが、製造コストおよび工数を削減するために、応力緩和部材19を用いることなく、点火コイル100を構成しても上記実施形態と略同等の効果が得られる。さらに、工数を削減するために、二次コイル16を斜向巻きによって形成することが好ましい。斜向巻きによって形成された二次コイル16は、二次コイル16を構成するエナメル線において、隣接するエナメル線間における層間電圧が低減できることから、この層間電圧に起因する二次コイル16の絶縁破壊を抑制することも可能となる。また、図11に示されるような斜向巻きによって二次コイル16を形成することによって、スロット巻きの際に必要であった、二次スプール17の鍔部は不要となるため、点火コイル100の製造コストを削減することができる。
また、図19に示されるように、外周コア18の対向面183が長手方向の軸心に対して、中心コア13を含む要素14〜17の軸心が中心コア13の水平方向にオフセット、つまり、同図における左右方向に外周コア18がオフセットされるようにして要素13〜18を配設してもよい。このとき、外周コア18の外縁183a,183bと二次コイル16の外周面160との最短距離Bに関して、外縁183aと外周面160との最短距離B1と、外縁183bと外周面160との最短距離B2との関係は、B1>B2となる。したがって、二次コイル16の外周面160との最短距離の短い外縁183bは、外縁183aと比べて局部的な電界集中が発生しやすい。よって、このような場合においては、上記実施形態にて用いた最短距離Bとして、B2を採用するものとする。つまり、B2/A≧1.5を満たすような点火コイル100を構成することによって、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、B/A≧1.5を満たす範囲であれば、外周コア18の形状および製造方法に特に制限はなく、たとえば、図20に示すように、磁性材料を加圧成形し、断面形状が略半円形状を呈する外周コア18を用いても上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、図21に示すように、中心コア13、一次コイル14、一次スプール15、二次コイル16、二次スプール17を断面形状が八角形となるもので構成してもよい。これら要素13〜17のうち、少なくとも二次コイル16を多角形化し、断面形状が円形に近づけば近づくほど、外周コア18の対向面の幅方向(図21における水平方向)の長さを減少させてもB/A>1とすることができ、点火コイル100の小型化を実現することが可能である。
またさらに、上記第二実施形態にて示した図14のように、外縁183a,183bに丸みを持たせる他にも、図22に示すように、外縁183a,183bを階段形状にしてもよく、また、図23に示すように、外縁183a,183bを粗く面取りするだけでもよい。
上記第一実施形態では、U字型の外周コア18と矩形柱状の中心コア13とを連結して閉磁路を形成しているが、共にL字型のコア18,13を連結して略ロ字状の閉磁路を形成するか、または、図24に示すように、プラグホール2の軸方向に開口する筒状の外周コア18と柱状の中心コア13との連結で閉磁路を形成するようにしてもよい。
このとき、二次コイル16の外周面260に対して、対向面283,383が二つ形成されるが、各対向面283,383に関して上記実施形態における対向面183と同様の構成を採用することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。換言すると、外周コア18および中心コア13の形状は、上記実施形態と同様の効果を発現するのであれば、特に制限はない。
本発明に係る点火コイル100の断面図である。 図1におけるII−II断面図である。 図1におけるIII−III断面図である。 図2中の要部C拡大図である。 B/Aと、B/A=1に対する電界強度比率との関係を示すグラフである。 図2との比較例である。 図2と図6とに関して、発生する最大電界強度を比較した図である(右方が図2に対応)。 第一実施形態の変形例を示す図である。 外周コア18および応力緩和部材19を示す外観図である。 第二実施形態を示す図である。 図3の変形例を示す図である。 第二実施形態の変形例を示す図である。 B/Aと、電界強度との関係を示すグラフである。 図10中の要部D拡大図である。 第三実施形態を示す図である。 第三実施形態の変形例を示す図である。 第四実施形態を示す図である。 第五実施形態を示す図である。 変形例を示す図である。 変形例を示す図である。 変形例を示す図である。 図14の変形例を示す図である。 図14の変形例を示す図である。 変形例を示す図である。
符号の説明
1…エンジンヘッド
2…プラグホール
10…ハウジング
10a…高圧タワー部
11…固定部
12…金属ブッシュ
13…中心コア
14…一次コイル
15…一次スプール
16…二次コイル
160…外周面
161〜164…平坦面
17…二次スプール
18…外周コア
180…内周面
183…対向面
183a、183b…外縁
183c…正対部
18a〜18m…磁性板
19…応力緩和部材
20…樹脂部材(絶縁部材)
21…高圧ターミナル
22…導電スプリング
24…シール部材
26…ポール
28…プラグキャップ
31…コネクタ
100…点火コイル
101…点火プラグ

Claims (15)

  1. 一次コイルの外周側に設けられ、前記一次コイルとの相互誘導によって昇圧される二次コイルと、
    前記二次コイルの外周面に対向する対向面を有し、前記外周面と前記対向面との間に絶縁部材が介在する外周コアと
    を備える点火コイルにおいて、
    前記外周面と前記対向面との最短距離Aよりも、前記外周面と前記対向面の外縁との最短距離Bが大きくなるように、前記二次コイルと前記外周コアとが設けられることを特徴とする点火コイル。
  2. 前記外周コアと前記二次コイルとは、B/A≧1.5を満たすように設けられることを特徴とする請求項1記載の点火コイル。
  3. 前記外周コアと前記二次コイルとは、B/A≧2.0を満たすように設けられることを特徴とする請求項1記載の点火コイル。
  4. 前記二次コイルは、矩形筒状を呈し、
    前記外縁は、前記外周コアと前記二次コイルとが正対する前記対向面から外れた位置に形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の点火コイル。
  5. 前記二次コイルは、円筒状を呈することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の点火コイル。
  6. 前記外周コアは、複数枚の磁性板を前記二次コイルの径方向に積層してなり、それら複数の前記磁性板のうち、一枚の前記磁性板によって前記対向面の全体が形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の点火コイル。
  7. 前記外周コアは、一枚の磁性板からなり、前記磁性板により前記対向面の全体が形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の点火コイル。
  8. 前記外周コアは、磁性粉末を加圧成形してなることを特徴とする請求項6または7に記載の点火コイル。
  9. 前記対向面の前記外縁は、面取りされていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の点火コイル。
  10. 前記外周コアの表面のうち少なくとも前記外縁は、前記外周コアと前記絶縁部材との界面に発生する応力を緩和する応力緩和部材によって被覆されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の点火コイル。
  11. 前記応力緩和部材は、前記表面の全体を被覆する熱収縮チューブであることを特徴とする請求項10に記載の点火コイル。
  12. 前記二次コイルの軸方向において、前記二次コイルの高電圧側における前記二次コイルの径方向の断面積は、前記二次コイルの低電圧側における前記二次コイルの径方向の断面積よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の点火コイル。
  13. 前記外周コアは接地されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の点火コイル。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の点火コイルは、前記外周コアとともに磁路を形成する中心コアを備えており、前記中心コアは、磁性粉末を加圧成形してなることを特徴とする点火コイル。
  15. 前記二次コイルの径方向に沿った前記対向面の断面積は、前記二次コイルの高電圧側から低電圧側に向かって減少することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の点火コイル。
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