JP6322978B2 - 内燃機関用点火コイル - Google Patents

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Description

本発明は、車両用エンジン等の内燃機関において、点火装置に必要な高電圧を発生させる点火コイルに関する。
車両用エンジンに用いられる点火装置は、点火コイルで発生させた高電圧によって点火プラグに火花放電を生じさせる。点火コイルは、例えば、中心コアの外周に1次コイルと2次コイルを巻回し、その外側に、外周コアを配置して構成される。これら部品は、絶縁ケース内に収容され、ケース内の空間にはエポキシ樹脂等が充填されて絶縁を保っている。
また、冷熱応力緩和のために、コアの周囲をエラストマ材で被覆している構造のものがある。特許文献1には、枠状鉄芯と中央鉄芯の間に空隙を有する閉磁路鉄芯を構成し、樹脂ケースの内部に絶縁樹脂を封入した閉磁路鉄芯モールド型点火コイルについて、両鉄芯をオレフィン系のエラストマ樹脂と一体にモールド成形し、1次コイルと2次コイルを装着した中央鉄芯を枠状鉄芯の内部に組み込んで、熱硬化性の樹脂注入により接着固定する構造が開示されている。
特開平8−17657号公報
点火装置の信頼性を確保するため、点火コイルには、高い耐電圧特性が要求される。点火コイルは、ケース内に絶縁性樹脂を充填して、外周コアとコイルを固定しつつ必要な絶縁距離を維持しているが、一方で近年、搭載性やコスト面から、点火装置の小型化が進められており、絶縁性の向上との両立が課題となっている。
特に、特許文献1のように、コア周囲をエラストマ材で被覆する構造は、冷熱応力緩和には有効であるものの、エラストマ材自身の耐電圧特性は、エポキシ樹脂等の絶縁充填材と比較して低い。しかも、エラストマ材と絶縁充填材との間で剥離が生じた場合は、剥離部空気層の電界が高くなる。このため、比較的早期に、絶縁充填材の絶縁破壊による高電圧リークが発生するおそれがある。
また、絶縁性を向上させるには、高電圧となる2次コイルの外側に外周コアが対向位置する構成では、両者の間に充填される絶縁樹脂の厚さを十分大きくすることが有効であるが、樹脂充填量が増大してコイル体格の大型化につながり、コイル搭載性が低下する。また、絶縁距離は、2次コイルの高電圧部位と、外周コア間の距離で決まるが、コイルが巻回されるスプールが絶縁性に影響し、スプールつばと絶縁樹脂の界面で剥離等の欠陥が発生し絶縁性が低下することが判明した。
そこで、本願発明は、2次コイルと外周コアが対向する構成において、2次コイルが巻回されるスプールの影響で絶縁性が低下することを防止して、体格を大きくすることなく、高い絶縁性と信頼性を高度に両立させることができる点火コイルの実現を図ることを目的とする。
本発明の請求項1に記載の発明は、1次コイル(3)の外側に2次コイル(4)が配置され、上記2次コイルの外側に外周コア(6)が配置されて、コイルケース(2)に収容され、上記外周コアと上記2次コイルの間に絶縁用の樹脂充填材(15)が充填された内燃機関用点火コイルであって、
上記2次コイルは、外周面に複数のスプールつば(42)を配置した2次スプール(41)に分割巻線されており、
上記スプールつばのうち、少なくとも上記2次コイルの高電圧側に位置する1つ以上について、少なくとも上記外周コアに対向する一部に切欠き部(43)を形成し、上記切欠き部において、上記外周コアの角部(61)と上記スプールつばとの最短距離を、上記角部と上記2次コイルとの最短距離以上とするとともに、
上記外周コアに対向しない部位において、上記スプールつばのつば高さを上記2次コイルの高さよりも高くしたことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の発明は、上記2次スプールは矩形筒状で、その直線部の外方に一定の間隔をおいて上記外周コアが配置されており、上記スプールつばには、上記外周コアの上記角部に対向する部位に円弧状の上記切欠き部が形成されるとともに、上記外周コアの直線部に対向する部位に上記切欠き部に接続する直線部(421)を有しており、
上記外周コアと上記スプールつばの距離をDs、上記外周コアと上記2次コイルとの距離をDcとしたとき、上記切欠き部においては、Ds≧Dcの関係を満たしており、上記直線部においては、Ds<Dcの関係を満たす
本発明の請求項3に記載の発明において、上記2次スプールは矩形筒状で、その直線部の外方に一定の間隔をおいて上記外周コアが配置されており、上記スプールつばには、上記外周コアに対向する部位の全長にわたって上記切欠き部を形成するとともに、
上記外周コアと上記スプールつばの距離をDs、上記外周コアと上記2次コイルとの距離をDcとしたとき、上記切欠き部において、Ds≧Dcの関係を満たす
本発明の請求項4に記載の発明において、上記2次スプールは、上記外周コアに対向する上記切欠き部が、直線部(431)とその両端の曲線部(432)とを有し、上記直線部において、Ds>Dcの関係を満たす
本発明の請求項5に記載の発明は、上記2次スプールは円形または楕円形の筒状で、その曲線部の外方に間隔をおいて上記外周コアが配置されており、上記外周コアと対向する上記スプールつばに、直線状または曲線状の切欠き部を形成した。
本発明は、1次コイルの外側に2次コイルが配置され、その外側に外周コアが配置される構成において、2次コイルが巻回される2次スプールに着目し、外周コアに対向する部位のスプールつばに切欠き部を設けて電界強度を低減する緩和領域を形成したので、高電圧となる2次コイルと外周コアの間において、スプールつばに起因する絶縁破壊が進展するのを防止することができる。よって、樹脂充填材の絶縁破壊による高電圧リークの発生を阻止して、絶縁寿命を大幅に向上させ、小型高性能な点火コイルを実現する。
本発明を適用した第1実施形態であり、点火コイルの全体概略構成を示す図で、図1BのA−A線断面図である。 第1実施形態の点火コイルの上面視図である。 第1実施形態の点火コイルの部分拡大図である。 第1実施形態の点火コイルにおいて、2次コイルと外周コアの配置を示す模式的な図である。 第1実施形態における高圧側のスプールつば形状を示す概略図で、図4CのA−A線断面図である。 第1実施形態における低圧側のスプールつば形状を示す概略図で、図4CのB−B線断面図である。 第1実施形態の2次コイルと2次スプールの概略構成図である。 第1実施形態の点火コイルの概略断面図である。 第1実施形態の2次コイルと外周コアの配置を説明するための模式的な図である。 第1実施形態の2次コイルと外周コアの配置を説明するための模式的な図である。 第1実施形態の2次コイルとスプールつばの配置を説明するための模式的な図である。 第1実施形態の作用効果を説明するための模式的な図である。 第1実施形態の作用効果を説明するための模式的な図である。 複数の樹脂材料を積層した構成と電界強度を求める式を説明するための模式的な図である。 つば高さと絶縁破壊時の電界強度の関係を示す図である。 2次コイルとコア角部の間の電界分布を示す図である。 本発明を適用した第2実施形態の点火コイルの要部拡大図である。 第2実施形態の点火コイルの上面視図である。 第2実施形態における高圧側のスプールつば形状を示す概略図である。 本発明を適用した第3実施形態の点火コイルの要部拡大図である。 2次コイルと外周コアの間の電界分布を示す図である。 本発明を適用した第4実施形態の点火コイルの要部拡大図である。 本発明を適用した第5実施形態の点火コイルの概略構成図である。
以下、本発明を内燃機関の点火装置に適用した第1実施形態を、図面により説明する。図1A、1Bは、車両エンジン用の点火コイル1の概略構成であり、図示しない点火プラグに供給するための高電圧を発生する。点火プラグは、エンジンのシリンダヘッド11に気筒毎に設けられるプラグホール12に収容され、電極間に火花放電を生起する。本実施形態の点火コイル1は、プラグホール12の外部に配置されるコイルケース2を備え、コイルケース2内に、1次コイル3および2次コイル4と、閉磁路を構成する中心コア5および外周コア6を収容している。
コイルケース2は、樹脂材料を略矩形容器状に成形したもので、底面から軸状のプラグ接続部13が設けられる。図1Aに示すプラグ接続部13は、上端フランジ部14が、垂直方向に延びるプラグホール12の上端開口を覆うように配置され、プラグホール12内において点火プラグの上端部に取り付けられる。この時、内部に設けた高電圧端子部と点火プラグの端子部とが電気的に接続される。コイルケース2内には、1次コイル3と2次コイル4が、図の水平方向を軸方向として同心状に配置され、その軸方向の一端側(図1Bの左端側)にイグナイタ16が配設されている。イグナイタ16と対向するコイルケース2の側面には、図示しない車両制御部に接続されるコネクタ17が設けられて、イグナイタ16への通電を制御する。
中心コア5は、矩形断面の柱状で、磁性材料からなる平板を積層して構成される。外周コア6は、磁性材料からなる平板を積層して、コイルケース2の内周囲に沿う矩形筒状に成形されている。外周コア6は、磁性材よりなる平板を積層して、コイルケースの内周囲に沿う矩形枠状に成形されている。本実施形態において、外周コア6は、中心コア5と同じ幅(図1の上下方向長)で水平方向に対向している。コイルケース2の空間部には、絶縁用の樹脂充填材15が注入硬化されて、各部材間の絶縁を保持している。
1次コイル3は、図示を略す1次スプールに巻回されて、中心コア5の外周囲を取り囲むように配置される。1次スプールは、通常、樹脂材料を略矩形の筒状に成形したもので、軸方向の両端に設けたフランジ間に、所定線径の絶縁被覆銅線を所定のターン数巻回して、1次コイル3とする。自己融着線を用いて、1次スプールを省略することも可能である。
1次コイル3の外側には、樹脂材料からなる略矩形筒状の2次スプール41が、外挿される。2次スプール41は、外周面から径方向に突出する多数のスプールつば42を有して、隣り合うスプールつば42間に、多数のスロットを区画形成している。各スプールつば42は、2次スプール41の筒状基部の外周を取り巻く環状の平板で、軸方向に間隔をおいて並設される。2次コイル4は、これら多数のスロットに分割巻線され、軸方向の一端側から他端側のスロットへ、所定線径の絶縁被覆銅線を所定のターン数巻回することを繰返して構成される。通常は、2次コイル4は、イグナイタ16側(図1Bの左端側)が低電圧となり、他端側(図1Bの右端側)へ向けて高電圧となる。このように、2次コイル4を分割巻線することで、巻層間の電位差が小さくなるようにしている。
2次スプール41を構成する樹脂材料としては、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)等の耐熱性、機械特性に優れた材料が用いられる。樹脂充填材15としては、例えば、硬質エポキシ樹脂等の絶縁性に優れた熱硬化性樹脂材料が好適に使用される。本願発明では、図2に示すように、外周コア6と2次コイル4が対向する部位において、2次スプール41のスプールつば42に、切欠き部43を形成して、電界集中を緩和する緩和領域7が設定される。本願発明の特徴部分である緩和領域について、次に説明する。
近年、車載装置の小型化要求により、点火コイル1についても、コイルケース2の設置スペースが小さくなる傾向にある。このため、図3に示すように、外周コア6と2次コイル4が対向する部位では、2次スプール41のスプールつば42が外周コア6と近接しやすい。ここで、外周コア6と2次コイル4の間に介在する樹脂充填材15は、材料特性等から絶縁耐圧を十分確保できる厚さに設定されるが、2次コイル4が巻回される2次スプール41のスプールつば42が、2次コイル4より外方へ突出するために、絶縁性が低下しやすい。特に、2次コイル4の高電圧となる端部(本実施形態では、図1Bの右端側)では、外周コア6との電位差が大きくなり、絶縁破壊が生じるおそれが高くなる。
そこで、本願発明では、2次コイル4の高電圧側の端部に位置する少なくとも1つ、または2つ以上のスプールつば42において、外周コア6と対向する部位の一部を切り欠いて形成した切欠き部43により、電界集中を緩和する。切欠き部43は、スプールつば42のつば高さが2次コイル4の外径と同等程度となるように、好適には2次コイル4の外径以下となる部位を有するように形成され、図2に示す緩和領域7を構成して電界強度を低減する。
図2に示す切欠き部43は、外周コア6と対向する部位のスプールつば42を2次コイル4の高さより低くした直線部431と、この直線部431と外周コア6との距離(Ds)を保つように、スプールつば42の外径につなぐ曲線部432からなる。つまり、緩和領域7におけるスプールつば42の外径と外周コア6との距離(Ds)>2次コイル4の外径と外周コア6との距離(Dc)となる。
図4Dは、2次スプール4の断面を示しており、ここでは、緩和領域7を、高電圧側の2つのスプールつば42に設定している。図4Aに示すように、この2つのスプールつば42では、図2と同形状の切欠き部43を形成して、対向する外周コア6との絶縁距離を2次コイル4より大きくしている。スプールつば42の高さは、緩和領域7以外では、2次コイル4より高いので、絶縁被覆銅線の巻線に支障を生じることはない。これより低電圧側のスプールつば42は、図4Bに示すように、スプールつば42の高さが全周で一定としてある。
この関係を図5A〜5Cに示すと、2次スプール4は、緩和領域7を設定しない場合、スプールつば42の先端が、2次コイル4外径より外周コア6に向けて突出している。2次コイル4の外径と外周コア6との距離をDc、スプールつば42の外径と外周コア6との距離をDsとすると、Dc>Dsとなる。一般に、点火コイル1の絶縁設計は、2次コイル4と外周コア6の間の樹脂充填材15だけでなく2次スプール4の材料を考慮してなされるが、外周コア6の形状や配置によっては、電界集中が生じて絶縁破壊に至る可能性があることが判明した。本実施形態のように、2次コイル3の直線部に対して外周コア6の全幅が対向する配置では、外周コア6の角部61に電界が集中しやすい。このため、コア角部61と2次コイル4の外径との距離(Dc1)、スプールつば42の外径との距離(Ds1)が、他の部位における距離(Dc、Ds)と同等であっても、絶縁性を低下させる要因となりやすい。
これに対し、2次スプール4に緩和領域7を設定した場合には、図2における外周コア6の角部C1について、対向する2次コイル4の外径との距離(Dc1)よりも、スプー
ルつば42の外径との距離(Ds1)を大きくしたので、スプールつば42の界面に沿う
絶縁破壊を確実に防止できる。好適には、このように、スプールつば42の高さをコイル高さよりも低くするのがよいが、距離(Ds1)は、距離(Dc1)と同じかそれ以上であれば(Ds1≧Dc1)、本発明の効果が得られる。これについて、図6で説明する。
図6A、6Bは、2次スプール4のスプールつば42が、2次コイル4より外周コア6側に突出する形状と、2次コイル4と同じ高さとした形状について、絶縁破壊が生じる場合の形態を比較したものである。また、表1に、樹脂充填材15とスプールつば42を構成する材料について、単体での絶縁破壊電圧を比較して示した。表1に示すように、スプール材質によっては、樹脂充填材15よりもスプールつば42の方が優れる場合がある。ところが、図6Aの構成では、スプールつば42の絶縁耐圧を高めても、スプールつば42の近傍で絶縁破壊が生じやすくなる傾向が見られた。
Figure 0006322978

なお、表1において、絶縁破壊電圧は、所定の高電圧パルスを想定時間(目標寿命に相当)印加した場合に、絶縁破壊に至る電圧である。
図6Aにおいて、外周コア6との2次コイル4の間は、樹脂充填材15で絶縁されているが、外周コア6に近い側にスプールつば42が位置すると、2次コイル4からスプールつば42(厚さb)と樹脂充填材15(厚さa)の界面に沿って、絶縁破壊が進展しやすい。これは、2次スプール4の表層部分が他の部分より絶縁耐圧が低いことが原因と考えられ、2次コイルの端縁部とスプールつば42の境界部が起点となって、絶縁破壊が生じる。なお、スプール材は、絶縁性向上のためにフィラーを添加していることが多く、成形過程で表層のフィラー量が少なくなり、また、表層剥離等の成形欠陥が起きやすい。
一方、図6Bでは、高電圧の2次コイル4から外周コア6へ向けて、介在する樹脂充填材15(厚さc)に絶縁破壊が生じる。したがって、外周コア6との2次コイル4の間の樹脂充填材15の厚さが同じ、すなわち絶縁距離a+b=cの関係にあっても、図6Aの構成の方が、絶縁耐圧が低くなる。図7は、比誘電率の異なる2種類の材料を積層した絶縁層の模式図で、図中に示す理論式により各層の電界強度が算出される。2種類の材料を、表1に示したスプールつば42と樹脂充填材15の材料とし、その比誘電率ε=2.8(PPE)、ε=4.5(エポキシ樹脂)、厚さをt、tとした時、図中の理論式から、各層の電界強度E(PPE)、E(エポキシ樹脂)は、エポキシ樹脂だけで構成した絶縁層の電界強度EEPOに対して、以下の関係となる。
(PPE)>EEPO>E(エポキシ樹脂)。
これは、外周コア6との2次コイル4の間の絶縁層が、図6Bの樹脂充填材15だけの構成(つば高さ=0)よりも、図6Aのスプールつば42が介在する構成(つば高さあり)の方が、電界強度が高くなることを示している。そして、2次スプール4の表層部分や、スプールつば42と樹脂充填材15の界面は、絶縁寿命が低いため、一旦絶縁破壊が生じると、その絶縁破壊部の先端(スプールつば42の先端)の電位が、2次コイル4と同電位となる。このため、樹脂充填材15の電界強度が大きくなり、加速度的に絶縁寿命が低下する。したがって、図6Aにおいて、スプールつば42が絶縁破壊した場合の電界強度は、図8に示すように、スプールつば42の高さ(厚さbの部分)に応じて大きくなる。
このように、絶縁寿命を延ばすには、スプールつば42の高さが2次コイル4の外径と同等位置ないしそれ以下にすることが最も効果的である。ただし、図8から、2次コイル4の外径と同じつば高さ(図中に点線で示す)の近傍では、この値を超えても直ちに絶縁強度が増大することはない。一方、図9は、2次コイル4と外周コア6の間の電界分布を示しており、電界は外周コア6の角部61に集中するため、この対向部位においては、絶縁距離をより大きくとることが望ましい。このような知見から、スプールつば42の形状は、所望の絶縁特性が得られるように、適宜変更することができる。
図10は、本発明の第2実施形態であり、スプールつば42には、外周コア6の角部61に対向する2箇所に、円弧状の切欠き部43を設けて、緩和領域7としている。スプールつば42の高さは、角部61に対向する位置で、2次コイル4の外径より低くなっており、外周コア6との距離(Ds)が最大となっている。切欠き部43は、この位置からその両側の直線部421へ、距離(Ds)を保って滑らかに接続している。本実施形態においても、上述したように、2次コイル4が分割巻線される2次スプール41において、少なくとも高電圧側のスプールつば42の1つに、緩和領域7を形成すればよい。
このように、電界集中部となる角部61に対向する部位にのみ、緩和領域7を設けることもできる。2箇所の切欠き部43の間の直線部421では、スプールつば42高さは、その他の部位と同じとしたが、より低くすることもできる。例えば、2次コイル4の外径と同位置とすれば、上記図6Bの構成となり、電界強度を小さくする効果が大きくなる。この時のスプールつば42高さは、外周コア6との距離や、各部材の材質による電界強度への影響等を考慮して、適宜設定することができる。その他の基本構成は、第1実施形態と同様である。
図11に、本発明の第3実施形態を示す。図11Aに示す基本構成は、第1実施形態と同様であり、高電圧側の2つのスプールつば42において、切欠き部43を形成する。本実施形態では、図11Bにおいて、スプールつば42に対向する外周コア6の幅(図の左右方向長)が、スプールつば42の幅と同等以上となっている。この場合は、外周コア6に対向するスプールつば42の一辺を、2次コイル4と同じ高さとなるように、直線状の切欠き部43を形成して緩和領域7とする。
このように、外周コア6の角部61が対向しない構成では、スプールつば42のつば高さを、2次コイル4の外径と同等以下の一定高さとすることで、スプールつば42と外周コア6の距離に応じて、耐絶縁性を向上させることができる。
図12に、本発明の第3実施形態を示し、基本構成は第1実施形態と同様である。本実施形態では、2次コイル4および2次スプール41の形状が異なっており、円形筒状の2次スプール41の外周に円環状の多数のスプールつば42が配置され、2次コイル4が分割巻線される。図では、2次コイル4の内周の1次コイル3と中心コア5は省略している。2次スプール41の外側には、外周コア6が配置されており、その幅(図の上下方向長)は、2次スプール41の径よりもやや小さくなっている。
図13は、本実施形態の構成において、2次コイル4と外周コア6の間の電界分布を示し、電界強度は、外周コア6に近接するスプールつば42の中央部で高く、外方へ向けて徐々に低くなるが、外周コア6の角部61の近傍まで比較的高い。そこで、本実施形態では、外周コア6に対向する部位のスプールつば42を、中央部で2次コイル4とほぼ同じ高さとなるように、直線状の切欠き部43を形成して緩和領域7とする。
図14は、本発明の第4実施形態であり、第3実施形態と同様の円形の2次コイル4および2次スプール41において、対向する外周コア6が曲面状となっている。外周コア6の対向面の曲率R1は、2次コイル4の曲率R2より大きく(R1>R2)、第3実施形態と同様に、対向部の中央でスプールつば42との距離が小さくなる。この場合は、切欠き部43を、曲率R1、R2に応じた曲線状とし、対向部の中央でスプールつば42のつば高さが2次コイル4の外径と同等以下となるようにして、緩和領域7を形成する。
第3、第4の実施形態においても、緩和領域7において、外周コア6とスプールつば42との距離Dsが、外周コア6と2次コイル4との距離Dcより小さくなることがなく、2次コイル4の外側に、スプールつば42が位置しないので、耐絶縁性を向上させることができる。円形の2次コイル4および2次スプール41は、楕円形であってもよい。
図15は、本発明の第5実施形態である。上記実施形態では、2次コイルおよび2次スプール42の外径が一定であるものについて説明したが、図示するように、高圧側ほど2次コイルの外形が小さくなるように、巻線位置で2次コイルおよびこれが巻回される2次スプール42の外径を変更したものがある。これにより、外周コア6との電位差が大きい高圧側ほど絶縁距離が大きくなるが、一般には、2次コイル4の巻線外径と外周コア6との距離に基づいて絶縁設計されており、スプールつば42が2次コイル4より外周コア6側に位置するので、上述したのと同様の問題が生じる。そこで、この場合も、外周コア6と対向するスプールつば42に。上記各実施形態と同様にして切欠き部43を形成し、緩和領域とすることで、同様の効果が得られる。
上記実施形態では、点火コイル1のコイルケース2がプラグホール12の上端側において、横置状態で配置される例について説明したが、本発明は、1次コイル3の外側に2次コイル4が配置され、その外側に外周コア6が位置する構成であれば、適用可能であり、同様の効果が得られる。例えば、プラグホール12内に配置される点火コイル1のハウジング内に、1次コイル3および2次コイルを収容するスティックコイルに応用することもできる。また、外周コア6の外表面を覆って、エラストマ等の応力緩和層を形成した構成とすることもできる。
本発明の点火コイル構造は、高電圧となる2次コイルが巻回される2次スプールに着目し、耐絶縁性を大きく改善することができるので、車載用の点火コイルの小型化と高性能化の要求に対応可能であり、利用価値が高い。
1 点火コイル
13 プラグ接続部
15 樹脂充填材
2 コイルケース
3 1次コイル
4 2次コイル
41 2次スプール
42 スプールつば
43 切欠き部
431 直線部
432 曲線部
5 中心コア
6 外周コア
7 緩和領域

Claims (5)

  1. 1次コイル(3)の外側に2次コイル(4)が配置され、上記2次コイルの外側に外周コア(6)が配置されて、コイルケース(2)に収容され、上記外周コアと上記2次コイルの間に絶縁用の樹脂充填材(15)が充填された内燃機関用点火コイルであって、
    上記2次コイルは、外周面に複数のスプールつば(42)を配置した2次スプール(41)に分割巻線されており、
    上記スプールつばのうち、少なくとも上記2次コイルの高電圧側に位置する1つ以上について、少なくとも上記外周コアに対向する一部に切欠き部(43)を形成し、上記切欠き部において、上記外周コアの角部(61)と上記スプールつばとの最短距離を、上記角部と上記2次コイルとの最短距離以上とするとともに、
    上記外周コアに対向しない部位において、上記スプールつばのつば高さを上記2次コイルの高さよりも高くしたことを特徴とする内燃機関用点火コイル。
  2. 上記2次スプールは矩形筒状で、その直線部の外方に一定の間隔をおいて上記外周コアが配置されており、上記スプールつばには、上記外周コアの上記角部に対向する部位に円弧状の上記切欠き部が形成されるとともに、上記外周コアの直線部に対向する部位に上記切欠き部に接続する直線部(421)を有しており、
    上記外周コアと上記スプールつばの距離をDs、上記外周コアと上記2次コイルとの距離をDcとしたとき、上記切欠き部においては、Ds≧Dcの関係を満たしており、上記直線部においては、Ds<Dcの関係を満たす請求項1記載の内燃機関用点火コイル。
  3. 上記2次スプールは矩形筒状で、その直線部の外方に一定の間隔をおいて上記外周コアが配置されており、上記スプールつばには、上記外周コアに対向する部位の全長にわたって上記切欠き部を形成するとともに、
    上記外周コアと上記スプールつばの距離をDs、上記外周コアと上記2次コイルとの距離をDcとしたとき、上記切欠き部において、Ds≧Dcの関係を満たす請求項記載の内燃機関用点火コイル。
  4. 上記2次スプールは、上記外周コアに対向する上記切欠き部が、直線部(431)とその両端の曲線部(432)とを有し、上記直線部において、Ds>Dcの関係を満たす請求項3記載の内燃機関用点火コイル。
  5. 上記2次スプールは円形または楕円形の筒状で、その曲線部の外方に間隔をおいて上記外周コアが配置されており、上記外周コアと対向する上記スプールつばに、直線状または曲線状の切欠き部を形成した請求項1または2記載の内燃機関用点火コイル。
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