JP5842282B2 - コイル部品 - Google Patents

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Description

本発明は、共振トランス等として好適に用いられるコイル部品に関する。
コイル部品は、様々の電気製品に、様々な用途で用いられている。例えば、液晶ディスプレイのバックライトの駆動等においては、高電圧を得るために、インバータ用共振トランスが使用される。
共振トランスは、適切なリーケージインダクタンスの発生など、電気的な特性に加えて、低背化などの外形的な要求を実現することが求められる。従来技術では、このような要求に応えるために、コアの軸方向が設置面に平行な横型であって、1次コイルと2次コイルがコアの軸方向に沿って分離して配列される分割構造のコイル部品が提案されている。また、分割構造のコイル部品は、比較的絶縁が容易であるという利点を有する。
特開2008−112753号公報
しかし、従来技術に係るコイル部品は、コイル部品を設置する設置面が存在する下方向や、その反対方向である上方向に向かって多くの漏れ磁束が発生するという問題を有している。例えば液晶テレビのバックライトに使用される共振トランスなどにおいては、コイル部品の上下方向に鉄製の構造材等が配置される場合がある。そうすると、コイル部品からの漏れ磁束が、構造材等に渦電流を発生させ、渦電流の発生に伴う熱やノイズを発生させるという問題が生じている。また、上下方向への漏れ磁束を防止するために、コイル部品の上下方向にアルミ板を張り付けるなどの対策を行うことも可能であるが、このような対策は、コイルの放熱性を悪化させるなどの問題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、薄型化が可能で上下方向への漏れ磁束が少なく、かつ好適な絶縁性を確保し得るコイル部品を提供することである。
本発明に係るコイル部品は、
互いに対向する2つの対向部と、2つの前記対向部の両端部同士を互いに連結する2つの側脚と、2つの前記側脚の間に配置され2つの前記対向部の中央部同士を互いに連結する中脚と、を有するコアと、
前記中脚の外周を周回する1次コイルと、
前記1次コイルの外周を周回する2次コイルと、を有し
前記1次コイルの外周縁と、前記2次コイルの内周縁との距離が、周方向に沿って変化していることを特徴とする。
本発明に係るコイル部品は、1次コイルの外周縁と2次コイルの内周縁との距離が周方向に沿って変化する。これにより、本発明に係るコイル部品は、1次コイルの外周縁と2次コイルの内周縁との距離が広い部分を用いて1次コイルへの配線の引き回しを行うことができる。そのため、本発明に係るコイル部品は、2次コイルが1次コイルの外周を周回する2重構造であるが、好適な絶縁特性を奏する。また、本発明に係るコイル部品は、2重構造であるため、コアの中脚及び側脚の長さを短くし、コアの強度を高めることができる。
また、前記1次コイルは、前記中脚の中心軸を通り前記コアにおける前記側脚及び前記中脚の配列方向である第1方向に平行な基準軸に関して、左右対称であっても良く、
前記2次コイルは、前記基準軸に関して左右非対称であっても良い。
基準軸に関して2次コイルを左右非対称とすることによって、コアから離れた位置に、1次コイルの外周縁と2次コイルの内周縁の距離が広い部分が形成される。このようなコイル部品は、1次コイルの外周縁と2次コイルの内周縁の距離が広い部分を用いて1次コイルを配線することにより、配線とコアの沿面距離を長くし、好適な絶縁特性を得られる。
また、例えば、前記2次コイルの巻回形状は、長軸の一方の端部に位置する底部と、前記長軸の他方の端部に位置し前記底部より曲率の大きい頂部と、を有するたまご形状であっても良く、
前記2次コイルは、前記長軸が、前記コアにおける前記側脚及び前記中脚の配列方向である第1方向に対して垂直になるように配置されていても良く、
前記2次コイルの前記頂部は、前記1次コイルの前記外周縁に対して、前記底部より大きく離間するように配置されていても良い。
このようなコイル部品は、2次コイルの頂部と1次コイルの間に、1次コイルの外周縁と2次コイルの内周縁の距離が広い部分が形成される。頂部は第1方向に対して垂直な長軸の端部に位置するために、コアからの距離が長い。したがって、このようなコイル部品は、配線とコアの沿面距離を長くし、好適な絶縁特性を得られる。また、2次コイルをたまご形状とすることによって、楕円形状等と比較して巻き線の長さを抑制することが可能である。
また、本発明に係るコイル部品は、設置面に平行に延在し端部に端子が取り付けられる底面部と、前記底面部から前記設置面に垂直な方向に突出し前記コアの前記中脚によって挿通され前記1次コイルが巻回される第1中空筒部と、を有するボビンと、
前記ボビンの前記底面部に対向して備えられる上面部と、前記1次コイルを内部に収納するように前記上面部から前記底面部に向かって前記上面部に垂直な方向に突出しており前記2次コイルが巻回される第2中空筒部と、を有するケースと、を有しても良い。
このようなコイル部品は、コアの軸方向が設置面に垂直である縦型であるため、1次コイル及び2次コイルの上下方向にコアの対向部が配置される。したがって、このようなコイル部品は、上下方向への漏れ磁束が小さく、周辺部材での渦電流の発生及びこれに伴う熱及びノイズの発生を抑制することができる。また、漏れ磁束を防止するためのアルミ板等を配置する必要がないため、好適な放熱特性を有する。さらに、外形状の一部を規定するケースが、2次コイルのボビンを兼ねるため、2重構造でありながら部品数が少ない。また、縦型であっても2重構造なので、コイル部品を薄型化できる。またさらに、コアの脚が短いので、耐衝撃特性も良好である。
また、例えば、前記ボビンの前記底面部には、外部から前記1次コイルの外周縁と前記2次コイルの内周縁の間に形成された領域へ連通する連通路が形成されていても良く、
前記1次コイルと前記端子とを接続する引き回し部は、前記連通路を通過しても良い。
このようなコイル部品は、コアと引き回し部の沿面距離を大きくすることが可能であり、また、引き回し部の長さを短くすることが可能である。
前記一次コイルと前記端子とを接続する引き回し部は、前記1次コイルの外周縁と前記2次コイルの内周縁との間に配置されており前記1次コイルの前記外周縁から前記設置面に平行な方向に引き出される横引出部と、前記横引出部から前記設置面に垂直な方向に引き出される縦引出部と、を有しても良い。
このようなコイル部品は、引き回し部が、横引出部と縦引出部とを有するため、コアと引き回し部の沿面距離を大きくすることが可能であり、好適な絶縁特性を得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係るコイル部品の全体斜視図である。 図2は、図1に示すコイル部品の分解斜視図である。 図3は、1次コイルの斜視図である。 図4は、2次コイルの斜視図である。 図5は、設置面に垂直な断面によるコイル部品の断面図である。 図6は、設置面に平行な断面によるコイル部品の断面図である。 図7は、図1に示すコイル部品の底面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係るコイル部品10の斜視図である。コイル部品10は、コア12と、ボビン40と、ケース50とを有する。さらに、コイル部品10は、図1において図示を省略している1次コイル及び2次コイルを有する。
図2は、図1に示すコイル部品10の分解斜視図である。図2においても、図1と同様に、1次コイル及び2次コイルの図示は省略している。コイル部品10のコア12は、磁束を通過させる磁路を形成する。コア12は、別々に成形された2つの部品である第1部分12aと第2部分12bとを、組み立てて形成される。第1部分12aと第2部分12bとは、対称な形状を有しており、ケース50及びボビン40を上下方向から挟むようにして互いに接合される。
コア12は、上下方向に互いに対向する2つの対向部13a,13bと、2つの対向部13a,13bを連結する側脚16,18及び中脚14を有する。図1に示すように、側脚16,18は、2つの対向部13a,13bの両端部同士を互いに連結する。中脚14は、2つの側脚16,18の間に配置され、2つの対向部13a,13bの中央部同士を互いに連結する(図5参照)。図2に示すように、側脚16,18及び中脚14は、組立前において、第1部分12aに含まれる側脚第1部分16a,18a及び中脚第1部分14aと、第2部分12bに含まれる側脚第2部分16b,18b及び中脚第1部分14bに分かれている。それぞれの側脚及び中脚第1部分16a,18a,14aは、対応する側脚及び中脚第2部分16b,18b,14bに対して、直接又はギャップ材を介して接合される。
ボビン40は、1次コイル20(図3等参照)や、1次端子70及び2次端子72を保持する。ボビン40は、底面部42と、第1中空筒部44と、ボビン鍔部48等を有する。底面部42は、設置面に平行に延在し、矩形の平板形状を有している。底面部42の長辺方向の両端部には、1次コイル20に対して電気的に接続される1次端子70と、2次コイル30(図4等参照)に対して電気的に接続される2次端子72とが取り付けられている。底面部42の短辺方向の両端部には、コア12の側脚16,18を通過させるための凹部43が形成されている。また、底面部42の側面には、ケース50の係合穴59aに係合する係合突起49が形成されている。
ボビン40の第1中空筒部44は、底面部42から垂直に、上方に向かって突出している。第1中空筒部44は、中空の筒状の外形状を有している。また、設置面に平行な断面による第1中空筒部44の断面形状は、図6等に示すように楕円である。図2に示すように、第1中空筒部44の内部は、コア12の中脚14によって挿通される。また、第1中空筒部44の外周には、1次コイル20(図3等参照)が巻回される。したがって、第1中空筒部44は、1次コイル20のボビン本体部として機能する。第1中空筒部44の上方端部には、ボビン鍔部48が形成されている。ボビン鍔部48は、第1中空筒部44から径方向に突き出た形状を有しており、1次コイル20を保持する機能を有する。
図3は、第1中空筒部44(図2参照)に巻回される1次コイル20の斜視図である。1次コイル20の内周縁である1次コイル内周縁21は、第1中空筒部44に接触しており、1次コイル20の巻回形状は、第1中空筒部44の断面形状と同様に、楕円形状である。
図2に示すケース50は、2次コイル30(図4等参照)を保持するとともに、コイル部品10の外形状の一部を規定する。ケース50は、上面部52、第2中空筒部54、下面部58及び側面部59等を有する。上面部52は、ボビン40の底面部42に対向して備えられ、設置面と平行に延在する。上面部52には、コア12の中脚14を挿通させるための貫通穴52aが形成されている。また、上面部52には、コア12の対向部13aを設置するための設置溝部52bが形成されている。
ケース50の第2中空筒部54は、上面部52から垂直に、下方に向かって突出している。図5は、設置面に垂直な断面(図1の断面線V参照)によるコイル部品10の断面図である。第2中空筒部54は、1次コイル20及び中脚14を、内部に収納するように形成されている。言い換えると、第2中空筒部54の内部は、中脚14及び1次コイル20によって挿通されている。第2中空筒部54の外周には、2次コイル30が巻回されている。第2中空円筒部54の外周面には、2次コイル30を分割配置するための中間鍔部56が、コイル部品10の用途等に応じて設けられる。このように、第2中空筒部54は、2次コイル30のボビン本体として機能する。また、図5に示すように、コイル部品10は、コア12の中脚14の周辺を、1次コイル20と2次コイル30が2重に周回する2重構造を有している。
図6に示すように、設置面に平行な断面による第2中空筒部54の断面形状は、楕円を、その長軸方向の両端部の曲率が非対称になるように変形させたようなたまご形状を有している。なお、コイル部品10の内部形状については、後ほど詳述する。
図2に示すように、ケース50の下面部58は、ボビン40の底面部42の上側表面を覆うように設置される。図5に示すように、下面部58は、上面部52に対して第2中空筒部54を介して接続されている。下面部58は、第2中空筒部54から、設置面と平行な方向に張り出しており、図2に示すように略矩形の外周形状を有する。下面部58の短辺方向の両端部には、ボビン40の底面部42と同様に、コア12の側脚16,18を通過させるための凹部58aが形成されている。また、下面部58の端辺方向の両端部には、下方に向かって張り出す側面部59が形成されている。側面部59には、ボビン40の係合突起49と係合する係合穴59aが形成されている。
図4は、第2中空筒部54に巻回される2次コイル30の斜視図である。本実施形態において、2次コイル30は、2つの独立したコイルによって構成されるが、2次コイル30は1つのコイルで構成されていても良く、3つ以上のコイルで構成されても良い。2次コイル30の内周縁である2次コイル内周縁31は、第2中空筒部54に接触しており、2次コイル内周縁31の巻回形状は、第2中空筒部54の断面形状と同様に、たまご形状である。
図5は、図1において断面線Vで示す断面によるコイル部品10の断面図である。なお、図5では、1次コイル20及び2次コイル30も図示している。コイル部品10は、中脚14の軸方向(磁束が流れる方向)が設置面に対して垂直な縦型である。縦型であるコイル部品10は、図1及び図5に示すように、1次及び2次コイル20,30の上下方向にコア12の対向部13a,13bが配置され、これらの対向部13a,13bが上下方向への漏れ磁束を抑制する効果を奏する。したがって、コイル部品10は、コイルの上下方向がコアによってほとんど遮蔽されない横型に比べて、コイル部品10の上下方向への漏れ磁束を抑制することができる。
また、図5に示すように、コイル部品10は、2次コイル30が1次コイル20の外周を周回する2重構造である。2重構造とすることによって、コイル部品10は、コア12の軸方向の長さを短縮し、縦型でありながら薄型のコイルを実現することができる。ここで、従来技術に係る2重構造のコイル部品では、1次コイルの外周が2次コイルに覆われているために、1次コイルから端子までの配線は、2次コイルを上下方向に避けて行う必要がある。しかし、従来技術に係るコイル部品では、このような配線を実現しようとすると、薄型化か絶縁特性のいずれかが犠牲になるという問題を有していた。例えば、1次コイル20の配線を、1次コイル20から垂直下方へ向かって、ボビン40の底面部42を貫通するように引き回した場合には、コア12の対向部13bと引き回し部24との沿面距離が小さくなり、絶縁特性の確保が難しくなるという問題を生じる。
そこで、本実施形態に係るコイル部品10では、1次コイル外周縁22と、2次コイル内周縁31との距離が、周方向に沿って変化する構成とすることによって、1次コイル外周縁22と2次コイル内周縁31の間に中間領域80を設けた。コイル部品10は、この中間領域80に、1次コイル20の引き回し部24を配置することによって、1次コイル20から1次端子70までの配線を容易にし、コア12と引き回し部24との沿面距離を大きくしている。
図6は、図5に示す断面線VI−VIに沿う断面図であり、設置面に水平な断面によるコイル部品10の断面図である。図6に示すように、1次コイル20の巻回形状は楕円であり、楕円の短軸方向は、中脚14及び側脚16,18の配列方向である第1方向に対して平行である。したがって、1次コイル20は、コア12の中脚14の中心軸14cを通り、第1方向に平行な基準軸82に関して、左右対称である。
また、2次コイル30の巻回形状はたまご形状であり、たまご形状の長軸及び短軸方向は、1次コイル20の巻回形状である楕円の短軸及び長軸方向と一致している。すなわち、2次コイル30のたまご形状の長軸は、中脚14及び側脚16,18の配列方向である第1方向に対して垂直である。2次コイル30は、長軸の一方の端部に位置する底部34と、他方の端部に位置し底部34より曲率の大きい頂部36とを有する。したがって、2次コイル30は、基準軸82に関して、左右非対称である。
2次コイル30の頂部36の内周側では、1次コイル外周縁22と2次コイル内周縁31の距離が長くなり、中間領域80が大きく形成される。それに対して、2次コイルの底部34の内周側では、1次コイル外周縁22が、第2中空筒部54を挟んで2次コイル内周縁に近接して配置されており、中間領域80は僅かである。1次コイル外周縁22と2次コイル内周縁31の距離の最大値D1は、必要とされる沿面距離D2等(図7参照)に応じて調整される。
このように、コイル部品10では、1次コイル20と2次コイル30の巻回形状を互いに異なる形状とすることにより、1次コイル外周縁22と2次コイル内周縁31の距離を周方向に沿って変化させ、中間領域80を形成している。なお中間領域80は、2次コイル30の中心位置を、中脚14の中心軸14cからずらすことによって形成してもよい。
図5に示すように、引き回し部24は、ボビン40に取り付けられた1次端子70と1次コイル20とを接続する。図2及び図6に示すように、ボビン40の底面部42には、コイル部品10の外部から中間領域80へ連通する連通路46が形成されている。連通路46は、底面部42に形成された切り欠き、貫通穴又は溝等によって構成される。図7に示すように、引き回し部24は、連通路46を通過して、1次コイル20と1次端子70とを接続する。
図5に示すように、引き回し部24は、1次コイル外周縁22から設置面に平行な方向に引き出される横引出部24aと、横引出部24aから設置面に垂直な方向に引き出される縦引出部24bとを有している。横引出部24aは、中間領域80に配置されているのに対して、縦引出部24bは、連通路46を通って、中間領域80の外部と中間領域80の内部に跨って配置される。
図7は、コイル部品10を下方から観察した底面図である。引き回し部24は、図5に示す横引出部24aによって、ボビン40の長辺方向へ引き出された後、連通路46を通過してコイル部品10の底面側へ露出している。したがって、コイル部品10は、コア12の対向部13bと引き回し部24の沿面距離D2が長く、好適な絶縁特性を奏することができる。例えば、沿面距離D2は、4mm〜12mm程度とすることができる。また、コイル部品10では、中間領域80の形状・大きさ及び連通孔46の配置を調整することで、沿面距離D2を調整することができる。なお、2次コイル30から2次端子72までの配線は、底面部42に形成された溝部42a(図1参照)を通って、図7に示す2次端子72まで引き回される。
本実施形態に係るコイル部品10は、図2に示す各部材を組み立てると共に、ボビン40及びケース50に巻き線を巻回することによって作成される。以下に、コイル部品10の作成方法の一例を、図2等を用いて説明する。コイル部品10の作成においては、まず、1次端子70及び2次端子72を取り付けたボビン40を準備する。ボビン40の材質は特に限定されないが、ボビン40は、樹脂等の絶縁材料によって形成される。
次に、ボビン40の第1中空筒部44に巻き線を巻回し、1次コイル20(図3参照)を形成する。1次コイル20の形成に使用される巻き線としては、特に限定されないが、リッツ線等が好適に使用される。また、1次コイル20を形成した際の巻き線の末端部は、ボビン40の連通路46を通って1次端子70に絡げられ、引き回し部24を構成する(図7等参照)。
次に、1次コイル20が形成されたボビン40に対して、図2に示すケース50を取り付ける。ケース50とボビン40とは、ケース50の係合穴59aを、ボビン40の係合突起49に係合させることによって、組み立てられる。また、ケース50とボビン40とは、必要に応じて接着等により固定される。ケース50の材質も特に限定されず、樹脂等の絶縁材料によって形成される。
次に、ケース50の第2中空筒部54に巻き線を巻回し、2次コイル30(図4参照)を形成する。2次コイル30の形成に使用される巻き線としては、特に限定されないが、リッツ線等が好適に使用される。また、2次コイル30を形成した際の巻き線の末端部は、ボビン40の溝部42aを通って、2次端子72に絡げられる。
次に、1次コイル20、2次コイル30、ケース50及びボビン40が組み合わせられた中間組立品に対して、上下方向からコア12の第1部分12aと第2部分12bとを取り付け、コア12を形成する。コア12の材質としては、金属、フェライト等の軟磁性材料が挙げられるが、特に限定されない。コア12の第1部分12aと第2部分12bは、接着材を用いて接着されるか、又は外周をテープで巻かれることによって、ケース50及びボビン40に固定される。なお、一連の組み立て工程の後に、コイル部品10に対してワニス含浸処理が施されても良い。以上のような工程により、本実施形態に係るコイル部品10を製造することができる。
コイル部品10は、縦型・2重構造であるため、薄型化が可能であり、かつ上下方向への漏れ磁束が少ない。したがって、コイル部品10は、アルミ製の遮蔽板等を設けなくても、周辺の構造材等における渦電流の発生を防止することができる。また、渦電流の発生を防止することにより、コイル部品10は、渦電流の発生に伴う熱やノイズの発生を低減することができる。また、コイル部品10は、漏れ磁束を遮蔽するための遮蔽板を設ける必要がないため、良好な放熱特性を有する。さらに、コイル部品10は、コア12の中脚14及び側脚16,18の長さが短いため、外部からの衝撃等によるコア12の損傷を防止することができる。
コイル部品10は、1次コイル外周縁22と2次コイル内周縁31との距離が周方向に沿って変化する構造を有し、1次コイル外周縁22と2次コイル内周縁31の間の領域である中間領域80を有する。中間領域80は、1次コイル20に対する配線を引き回すためのスペースを提供するため、コイル部品10は、1次コイル20から1次端子70までの配線経路を単純化し、1次コイル20の配線を容易にすることができる。
図6に示すように、中間領域80は、設置面に平行な断面で見てコア12から遠ざかる方向、すなわち第1方向(コア12の脚の配列方向)に垂直な方向に、広く形成されることが好ましい。これにより、コイル部品10は、コア12と引き回し部24との沿面距離を大きくし、絶縁特性を好適に確保できる。また、2次コイル30をたまご形状とすることにより、巻き線長さの増加を抑制しつつ、中間領域80を形成することができる。
なお、上述の実施形態において、コア12の中脚14の断面形状は楕円であるが、中脚14の断面形状は特に限定されず、円、多角形等、その他の形状であっても良い。また、1次コイル20及び2次コイル30の巻回形状についても、中間領域80を形成できる形状であれば特に限定されず、円、多角形等、その他の形状であっても良い。また、コイルに対する「1次」及び「2次」の名称は便宜的なものであり、1次コイル20及び2次コイル30のいずれが入力側であっても良い。
10…コイル部品
12…コア
12a…第1部分
12b…第2部分
13a,13b…対向部
14…中脚
14c…中心軸
16,18…側脚
20…1次コイル
21…1次コイル内周縁
22…1次コイル外周縁
24…引き回し部
24a…横引出部
24b…縦引出部
30…2次コイル
31…2次コイル内周縁
34…底部
36…頂部
40…ボビン
42…底面部
42a…溝部
44…第1中空筒部
46…連通路
48…ボビン鍔部
49…係合突起
50…ケース
52…上面部
52a…貫通穴
54…第2中空筒部
56…中間鍔部
58…下面部
59…側面部
59a…係合穴
70…1次端子
72…2次端子
80…中間領域

Claims (5)

  1. 互いに対向する2つの対向部と、2つの前記対向部の両端部同士を互いに連結する2つの側脚と、2つの前記側脚の間に配置され2つの前記対向部の中央部同士を互いに連結する中脚と、を有するコアと、
    前記中脚の外周を周回する1次コイルと、
    前記1次コイルの外周を周回する2次コイルと、を有し
    前記1次コイルの外周縁と、前記2次コイルの内周縁との距離が、周方向に沿って変化しており、
    前記2次コイルの巻回形状は、長軸の一方の端部に位置する底部と、前記長軸の他方の端部に位置し前記底部より曲率の大きい頂部と、を有するたまご形状であり、
    前記2次コイルは、前記長軸が、前記コアにおける前記側脚及び前記中脚の配列方向である第1方向に対して垂直になるように配置されており、
    前記2次コイルの前記頂部は、前記1次コイルの前記外周縁に対して、前記底部より大きく離間するように配置されていることを特徴とするコイル部品。
  2. 前記1次コイルは、前記中脚の中心軸を通り前記コアにおける前記側脚及び前記中脚の配列方向である第1方向に平行な基準軸に関して、左右対称であり、
    前記2次コイルは、前記基準軸に関して左右非対称であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
  3. 設置面に平行に延在し端部に端子が取り付けられる底面部と、前記底面部から前記設置面に垂直な方向に突出し前記コアの前記中脚によって挿通され前記1次 コイルが巻回される第1中空筒部と、を有するボビンと、
    前記ボビンの前記底面部に対向して備えられる上面部と、前記1次コイルを内部に収納するように前記上面部から前記底面部に向かって前記上面部に垂直な方向に突出しており前記2次コイルが巻回される第2中空筒部と、を有するケースと、を有する請求項1または請求項2に記載のコイル部品。
  4. 前記ボビンの前記底面部には、外部から前記1次コイルの外周縁と前記2次コイルの内周縁の間に形成された領域へ連通する連通路が形成されており、
    前記1次コイルと前記端子とを接続する引き回し部は、前記連通路を通過していることを特徴とする請求項に記載のコイル部品。
  5. 前記一次コイルと前記端子とを接続する引き回し部は、前記1次コイルの外周縁と前記2次コイルの内周縁との間に配置されており前記1次コイルの前記外周縁から前記設置面に平行な方向に引き出される横引出部と、前記横引出部から前記設置面に垂直な方向に引き出される縦引出部と、を有していることを特徴とする請求項に記載のコイル部品。
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