JP3702802B2 - 内燃機関用点火コイル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用点火コイル(以下、点火コイルと略す。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
自動車用の点火コイルの構造は、例えば特開平11−111545号公報に記載のごとく、棒状の中心コアの外周側に同軸上に配置された一次コイル(外周側コイル)、二次コイル(内周側コイル)及びこれら複数の部品間の隙間に充填された樹脂材(ポッティング材、注型樹脂)等から構成されているが、これら構成部品の線膨張係数がそれぞれ相違しているため、熱応力により構成部品にクラック(亀裂)が発生してしまう可能性が高い。
【0003】
本発明は、上記点に鑑み、内燃機関用点火コイルにいて、熱応力によるクラックの発生を抑制することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、内燃機関の点火装置に高電圧を供給する内燃機関用点火コイルであって、略円柱状に形成された中心コア(110)と、中心コア(110)に対して同軸上に巻かれた内周側コイル(130)及び外周側コイル(120)と、中心コア(110)の外周面を覆うチューブ(111)と、内周側コイル(130)とチューブ(111)と間の隙間に充填された電気絶縁性を有する樹脂材からなる樹脂層(154)とを有し、中心コア(110)は、磁性材からなる薄帯板(110a)を中心コア(110)の径方向に積層することにより構成されており、さらに、樹脂層(154)のうち、幅寸法が最大となる薄帯板(110a)の近傍は、その他の部位に比べて樹脂層の厚みが厚いことを特徴とする。
【0005】
ところで、中心コア(110)の線膨張係数に比べて樹脂層(154)の線膨張係数が小さいため、線膨張係数(熱膨張量)の差異による熱応力が、中心コア(110)のエッジ部分(角部)に集中してしまう。そして、この熱応力は、熱膨張量が最も大きく相違する、幅寸法が最大となる薄帯板(110a)の近傍において最も大きくなる。
【0006】
したがって、請求項1に記載の発明のごとく、幅寸法が最大となる薄帯板(110a)の近傍における樹脂層(154)の厚みが、その他の部位の樹脂層(154)の厚みに比べて厚くすれば、樹脂層(154)等にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、内燃機関の点火装置に高電圧を供給する内燃機関用点火コイルであって、略円柱状に形成された中心コア(110)と、中心コア(110)に対して同軸上に巻かれた内周側コイル(130)及び外周側コイル(120)と、中心コア(110)の外周面を覆うチューブ(111)と、内周側コイル(130)の内周側に配設され、略円筒状に形成された内周側コイル(130)の巻線を巻くためのスプール(131)と、スプール(131)とチューブ(111)と間の隙間に充填された電気絶縁性を有する樹脂材からなる樹脂層(154)とを有し、中心コア(110)は、磁性材からなる薄帯板(110a)を中心コア(110)の径方向に積層することにより構成されており、さらに、スプール(131)の内周面(131a)のうち、幅寸法が最大となる薄帯板(110a)の近傍には、中心コア(110)の軸方向と平行に延びる溝部(131b)が設けられていることを特徴とする。
【0008】
これにより、幅寸法が最大となる薄帯板(110a)の近傍における樹脂層(154)の厚みが、その他の部位の樹脂層(154)の厚みに比べて厚くなるので、請求項1に記載の発明と同様に、樹脂層(154)等にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0009】
ところで、中心コア(110)は、薄帯板(110a)を積層することにより円柱状としているので、その外周面は細かな階段状となるため、微少な空隙が発生してしまう。
【0010】
一方、コイルには非常に高い電圧が発生しているので、導電体である中心コア(110)(特に、そのエッジ部)とコイルとの間に位置する前記の微少空隙にコロナ放電が発生し易い。そして、コロナ放電が発生すると、スパークプラグの中心電極や接地電極が摩耗していくように、チューブ(111)が摩耗してしまう。
【0022】
請求項3に記載の発明では、磁性材からなる薄帯板(110a)を積層することにより略円柱状に形成された中心コア(110)と、中心コア(110)の外周面側を覆うチューブ(111)と、チューブ(111)より外周側に位置し、中心コア(110)に対して同軸上に巻かれた内周側コイル(130)及び外周側コイル(120)とを有し、薄帯板(110a)には、薄帯板(110a)の一部を分断して長手方向に延びるスリット(110b)が設けられていることを特徴とする。
【0023】
これにより、温度変化に伴う薄帯板(110a)の幅方向(長手方向と直交する方向)の伸縮をスリット(110b)にて吸収することができるので、エッジ部に熱応力が集中することを抑制することができ、樹脂層(154)等にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0024】
ところで、中心コア(110)は、その両端側が接合されているので、長手方向の熱膨張により、長手方向中央部が最も大きく変位するように弓なりに曲がる。このため、中心コア(110)の外周側に位置している部材は、最も大きく変位する中心コア(110)の長手方向中央部において、最も大きな熱応力を受ける。
【0025】
そこで、請求項4に記載の発明では、略円柱状に形成された中心コア(110)と、中心コア(110)より外周側に位置し、中心コア(110)に対して同軸上に巻かれた内周側コイル(130)及び外周側コイル(120)とを有し、中心コア(110)は、磁性材からなる薄帯板(110a)が積層されてその長手方向端部が接合された複数本のコア部品(110c)を軸方向に並べることにより構成されていることを特徴とする。
【0026】
これにより、薄板材(110a)の長手方向寸法が小さくなり、1本のコア部品(110c)により中心コア(110)を構成したものに比べて、長手方向の熱膨張による最大変位量が小さくすることができる。
【0027】
したがって、中心コア(110)の外周側に位置している部材に作用する熱応力を緩和することができるので、中心コア(110)の外周側に位置している部材にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0028】
また、請求項4に記載の発明では、複数本のコア部品(110c)のうち、一のコア部品(110c)における薄帯板(110a)の積層方向と他のコア部品(110c)における薄帯板(110a)の積層方向とが相違していることを特徴とする。
【0029】
これにより、長手方向の熱膨張に伴って中心コア(110)の外周側に位置している部材に作用する熱応力の向きを、一のコア部品(110c)と他のコア部品(110c)との相違させることができる。
【0030】
したがって、中心コア(110)の外周側に位置している部材に作用する熱応力を分散させることができるので、中心コア110の外周側に位置している部材にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0040】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0041】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る点火コイルを車両走行用のエンジン(内燃機関)のスパークプラグ(点火装置)に高い電圧(例えば、30kV)を供給する車両用点火コイルに適用したものであって、図1は本実施形態に係る点火コイル100の軸方向断面図(全体断面図)であり、図2は図1のA−A断面図である。
【0042】
因みに、本実施形態に係る点火コイル100は棒(スティック)状に構成されて、スパークプラグ(図示せず。)に装着されており、この点火コイル100は、シリンダヘッド(図示せず。)に形成されたプラグホール内に収容される。
【0043】
図1中、110は磁性材料(本実施形態では、ケイ素鋼板)からなる棒状の中心コアであり、この中心コア110は、図2に示すように、磁界の向き略平行(紙面垂直方向)に延び、かつ、幅寸法Wが相違する複数枚の薄帯板110aをその厚み方向に積層することにより構成されたラミネーションコアである。
【0044】
なお、中心コア110の長手方向両端側は、レーザ溶接にて各薄帯板110aが溶接されているとともに、その端部側には、後述する一次コイル120により誘起される磁界の向きと逆向きの極性を有する永久磁石112、113が配設されている。
【0045】
そして、中心コア110の外周側にはスパークプラグ側に電気的に接続される二次コイル(内周側コイル)130が配置され、この二次コイル130の外側には二次コイル130に発生する高電圧を制御するイグナイタからの制御信号が入力される一次コイル(外周側コイル)120が配置されている。
【0046】
また、121は二次コイル130と一次コイル120との間に配設された一次コイル120の巻線を巻くための一次スプール(外周側巻き枠)であり、この一次スプール121は樹脂(本実施形態では、PPE樹脂)等の電気絶縁材料にて略円筒状に形成されている。
【0047】
そして、一次スプール121の外周面(一次コイル120と一次スプール121との間)には、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなる薄膜フィルム122が巻かれており、この薄膜フィルム122により、一次スプール121と後述するモールド用樹脂(注型樹脂)とが完全に接着してしまうことを防止する第1接着抑制層を構成している。
【0048】
また、131は二次コイル130と中心コア110との間に配設された二次コイル130の巻線を巻くための二次スプール(内周側巻き枠)であり、この二次スプール131は樹脂(本実施形態では、PPE樹脂)等の電気絶縁材料にて略円筒状に形成されている。
【0049】
なお、点火コイル100は、一次コイル120に入力された電圧を昇圧して二次コイル130から出力するものであるので、二次コイル130の巻き数は、一次イル120の巻き数より多くするとともに、二次コイル130の巻線の線径を一次コイル120の巻き線の線径より小さくして、二次コイル130の巻線を斜行巻にて二次スプール131に巻いている。
【0050】
ここで、「斜行巻き」とは、図3に示すように、紙面上下方向(スプールの径方向)に対して斜めの方向に蛇行するように、巻線をスプールの軸方向一端側から他端側に向けて巻いていく巻き方であって、この「斜行巻き」により巻線をスプールに巻くと、隣り合う巻線間の巻線長さが短くなるので、隣り合う巻線間の電位差を小さくすることができる。
【0051】
因みに、二次コイル130は、高電圧側(本実施形態では、二次コイル130の軸方向端部のうちスパークプラグ側)に向かうほど、コイルの厚み(コイルの巻き段数)が減少するように巻かれている。
【0052】
また、二次スプール131の内周面側(二次スプール131と中心コア110との間)には、図2に示すように、中心コア110のエッジ部分(角部)が直接に二次スプール131に接触することを防止する緩衝部材(本実施形態では、ゴム製のチューブ)111が配設されている。
【0053】
因みに、緩衝部材(収縮チューブ)111は、加熱されることにより径寸法が縮小するものであり、中心コア110を緩衝部材(収縮チューブ)111内に挿入した状態で加熱することにより、中心コア110に緩衝部材(収縮チューブ)111を密着させている。
【0054】
また、一次コイル120の外周側には、磁性材料(本実施形態では、ケイ素鋼板)からなる筒状の外周コア140が配設され、この外周コア140の外周側は、樹脂製のハウジング150に覆われ(保護され)ている。
【0055】
なお、ハウジング150は、図1に示すように、概略3つの部分から構成されており、具体的には、外周コア140の外周側を覆って点火コイル本体部(一次コイル120や二次コイル130等が収容された部位)を保護する第1ハウジング部151と、第1ハウジング部151の軸方向一端側(紙面上方側)を覆うようにして、イグナイタからのケーブル(図示せず。)が接続されるコネクタ部160や点火コイル100をカムカバー(図示せず。)に固定するためのブラケット部161が一体化された第2ハウジング部152と、二次コイル130の軸方向端部に設けられた引き出し線(図示せず。)が接続される第1高圧ターミナル171、及び第1高圧ターミナル171とスパークプラグの端子に接触する導電性材料からなるスプリング172とを電気的に接続(中継)する第2高圧ターミナル173等が収納された第3ハウジング部(高圧タワー)153からなるものである。
【0056】
そして、ハウジング150内(特に、外周コア140内)には、電気絶縁性を有する注型樹脂(本実施形態では、エポキシ系樹脂)が充填されて両コイル120、130及びその他の部品がモールド固定する樹脂層154が形成されている。
【0057】
このとき、二次スプール131の内周面131aのうち、幅寸法Wが最大となる薄帯板110aの近傍に、図4に示すように、中心コア110の軸方向と平行(紙面垂直方向)に延びる溝部131bを設けることにより、幅寸法Wが最大となる薄帯板110aの近傍における樹脂層154の厚みt1が、その他の部位の樹脂層154の厚みt2に比べて厚くなる(t1>t2)ようにしている。
【0058】
次に、本実施形態の特徴(作用効果)を述べる。
【0059】
中心コア110の線膨張係数に比べて樹脂層154の線膨張係数が小さいため、線膨張係数(熱膨張量)の差異による熱応力が、中心コア110のエッジ部分(角部)に集中してしまう。そして、この熱応力は、熱膨張量が最も大きく相違する、幅寸法Wが最大となる薄帯板110aの近傍において最も大きくなる。
【0060】
これに対して、本実施形態では、幅寸法Wが最大となる薄帯板110aの近傍における樹脂層154の厚みt1が、その他の部位の樹脂層154の厚みt2に比べて厚くしているので、樹脂層154及びこれに連なる二次スプール131にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0061】
(第2実施形態)
本実施形態は、図5(a)に示すように、緩衝部材(収縮チューブ)111を、中心コア110に位置する内周側チューブ111a及びこの内周側チューブ111aの外側を覆う外周側チューブ111bからなる二層構造とするとともに、外周側チューブ111bは加熱されることにより径寸法が縮小するものとし、かつ、内周側チューブ111aを外周側チューブ111bを縮小させる温度にて溶融状態となる樹脂製としたものである。
【0062】
次に、本実施形態の特徴(作用効果)を述べる。
【0063】
中心コア110は、薄帯板110aを積層することにより円柱状としているので、その外周面は、図2に示すように、細かな階段状となるため、微少な空隙が発生してしまう。
【0064】
一方、二次コイル130には、前述のごとく、非常に高い電圧が発生しているので、導電体である中心コア110(特に、そのエッジ部)と二次コイル130との間に位置する前記の微少空隙にコロナ放電が発生し易い。そして、コロナ放電が発生すると、スパークプラグの中心電極や接地電極が摩耗していくように、緩衝部材(収縮チューブ)111が摩耗してしまう。
【0065】
これに対して、本実施形態では、緩衝部材(収縮チューブ)111を加熱収縮させる際に、緩衝部材(収縮チューブ)111と中心コア110との間に発生する微少空隙が、溶融状態の樹脂(内周側チューブ111a)により埋め尽くされるので、緩衝部材(収縮チューブ)111と中心コア110との間に発生する微少空隙でコロナ放電が発生することを抑制できる。
【0066】
したがって、微少空隙で発生するコロナ放電により、緩衝部材(収縮チューブ)111が摩耗していくことを防止できるので、二次コイル130と中心コア110との間の高い電気絶縁性を維持することができる。
【0067】
(第3実施形態)
本実施形態も第2実施形態と同様に、緩衝部材(収縮チューブ)111と中心コア110との間に発生する微少空隙でコロナ放電が発生することを抑制することを目的とするものである。
【0068】
具体的には、図6(a)に示すように、緩衝部材(収縮チューブ)111を、中心コア110に位置する内周側チューブ111a及びこの内周側チューブ111aの外側を覆う外周側チューブ111bからなる二層構造とするとともに、外周側チューブ111bは加熱されることにより径寸法が縮小するものとし、かつ、内周側チューブ111aを導電性樹脂(炭素や金属等の導電材を混入した樹脂)製としたものである。
【0069】
これにより、内周側チューブ111a(緩衝部材111)が中心コア110と同電位となるので、二次コイル130から見ると、図6(b)に示すように、中心コア110は、あたかもエッジ部及び微少空隙が存在しない単純な円柱状のコアに見える。
【0070】
したがって、コロナ放電が発生することを抑制できるので、緩衝部材(収縮チューブ)111が摩耗していくことを防止でき、二次コイル130と中心コア110との間の高い電気絶縁性を維持することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、内周側チューブ111aを導電性樹脂としたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば内周側チューブ111aを加熱されることにより径寸法が縮小するものとし、かつ、外周側チューブ111bを導電性樹脂製とする、又は緩衝部材(収縮チューブ)111を一層構造として、緩衝部材111そのものを導電性樹脂製とする等してもよい。
【0072】
(第4実施形態)
本実施形態は、図7(a)に示すように、緩衝部材(収縮チューブ)111の外周側に形成された樹脂層154と二次スプール131との間に、ゴムやエラストマ等の弾性変形可能な弾性部材154aを配設したものである。
【0073】
次に、本実施形態の特徴(作用効果)を述べる。
【0074】
通常、樹脂層154はこれに接触する他の部材(この例では、二次スプール131)と非常に強固に接着した状態となるので、線膨張係数(熱膨張量)の差による熱応力により樹脂層154にクラックが発生すると、このクラックが発生した樹脂層154と接着している部材も、クラックが発生した樹脂層154と共に割れてしまう(共割れしてしまう)。
【0075】
これに対して、本実施形態では、樹脂層154と二次スプール131との間に、ゴムやエラストマ等の弾性変形可能な弾性部材154aを配設しているので、図7(b)に示すように、樹脂層154に発生したクラックが発生しても、二次スプール131の内周面に対して樹脂層154が相対変位することができる。
【0076】
したがって、樹脂層154で発生したクラックの成長が弾性部材154aにて堰き止められるので、二次スプール131が樹脂層154と共に割れてしまうことを防止できる。
【0077】
(第5実施形態)
本実施形態は、図8に示すように、緩衝部材(収縮チューブ)111と中心コア110との間に略円筒状のカラー111cを配設することによって、カラー111cにて中心コア110の外周面を覆い、緩衝部材(収縮チューブ)111にてカラー111cの外周側を覆う構造としたものである。
【0078】
以上に述べた構成により、中心コア110のエッジ部がカラー111cにて覆われた構造となるので、エッジ部に熱応力が集中することを抑制することができ、樹脂層154や二次スプール131にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0079】
なお、本実施形態では、カラー111cは、緩衝部材(収縮チューブ)111より機械的強度が高い金属や樹脂等にて成形されているとともに、図8(b)に示すように、カラー111cの断面形状をC字形とすることにより、カラー111cが容易にその径寸法が拡大変形することができるようにして、カラー111cの中心コア110への装着性(挿入性)を向上させている。
【0080】
(第6実施形態)
本実施形態は、図9に示すように、中心コア110の構成する薄帯板110aの一部を分断して長手方向に延びるスリット110bを設けて、薄帯板110aを音叉状としたものである。
【0081】
これにより、温度変化に伴う薄帯板110aの幅方向(長手方向と直交する方向)の伸縮をスリット110bにて吸収することができるので、エッジ部に熱応力が集中することを抑制することができ、樹脂層154や二次スプール131にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0082】
(第7実施形態)
本実施形態は、図10に示すように、薄帯板110aが積層されてその長手方向端部がレーザ接合された複数本(本実施形態では、2本)のコア部品110cを軸方向に並べるように突き合わせるとともに、複数本のコア部品110cのうち、一のコア部品110cにおける薄帯板110aの積層方向と他のコア部品110cにおける薄帯板110aの積層方向とを(本実施形態では、約90°)相違させて中心コア110を構成したものである。
【0083】
次に、本実施形態の特徴(作用効果)を述べる。
【0084】
中心コア110(コア部品110cも含む。)は、その両端側が溶接されているので、長手方向の熱膨張により、長手方向中央部が最も大きく変位するように弓なりに曲がる。このため、中心コア110の外周側に位置している部材(特に、二次スプール131や樹脂層154)は、最も大きく変位する中心コア110(コア部品110cも含む。)の長手方向中央部において、最も大きな熱応力を受ける。
【0085】
これに対して、本実施形態では、複数本(本実施形態では、2本)のコア部品110cを軸方向に並べることにより中心コア110を構成しているので、薄板材110aの長手方向寸法が小さくなり、1本のコア部品110cにより中心コア110を構成したものに比べて、長手方向の熱膨張による最大変位量が小さくすることができる。
【0086】
したがって、中心コア110の外周側に位置している部材(特に、二次スプール131や樹脂層154)に作用する熱応力を緩和することができるので、中心コア110の外周側に位置している部材(特に、二次スプール131や樹脂層154)にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0087】
また、複数本のコア部品110cのうち、一のコア部品110cにおける薄帯板110aの積層方向と他のコア部品110cにおける薄帯板110aの積層方向とを相違させているので、長手方向の熱膨張に伴って中心コア110の外周側に位置している部材(特に、二次スプール131や樹脂層154)に作用する熱応力の向きを、一のコア部品110cと他のコア部品110cとの相違させることができる。
【0088】
したがって、中心コア110の外周側に位置している部材(特に、二次スプール131や樹脂層154)に作用する熱応力を分散させることができるので、中心コア110の外周側に位置している部材(特に、二次スプール131や樹脂層154)にクラックが発生することを未然に防止できる。
【0089】
(第8実施形態)
本実施形態は、中心コア110と二次コイル130との間に形成された樹脂層154の肉厚を厚くすることが難しい点に着目してなされたものである。
【0090】
具体的には、中心コア110と二次コイル130との間に形成された樹脂層154に樹脂層154の機械的強度を増大させるフィラー(本実施形態では、ガラス繊維)を添加したものである。
【0091】
なお、このフィラーが添加された樹脂層154は、図11に示すように、フィラー予めコップ状に成形された二次スプール131内に充填し、その後に、樹脂材(ポッティング材)を充填することにより成形される。
【0092】
(第9実施形態)
本実施形態は、図12に示すように、二次スプール131の断面外形状が、軸方向一端側(スパークプラグ側)から他端側(第2ハウジング152側)に向かうほど、略円形から多角形に徐々に変化するようにしたものである。
【0093】
次に、本実施形態の特徴(作用効果)を述べる。
【0094】
二次コイル130の巻線は、第1実施形態で述べたように、斜行巻きにて巻かれているが、斜行巻きは、巻線を巻く際に、巻いた巻線が崩れ易いので、この巻き崩れを防止するためには、二次スプール131の断面外形状を多角形として、巻線を巻く際に、巻線が二次スプール131に食い込むようにすることが望ましい。
【0095】
しかし、二次スプール131の断面外形状を多角形とすると、二次スプール131をインジェクション成形法等にて成形する際に、単純な円形断面外形状に比べて樹脂流れに乱れが発生し易い。そして、樹脂流れに乱れが発生すると、二次スプール131を形成する樹脂材の配向が乱れ、二次スプール131の機械的強度が低下し易い。
【0096】
一方、二次スプール131の軸方向他端側(低圧側)は、第2ハウジング152にて、軸方向一端側(スパークプラグ側)に比べて強固に拘束されているため、大きな熱応力が発生し易い。このため、二次スプール131の軸方向他端側(低圧側)において、熱応力によるクラックが発生し易い。
【0097】
これに対して、本実施形態では、二次スプール131のうちクラック(大きな熱応力)が発生し易い軸方向一端側における断面外形状は略円形であり、一方、軸方向他端側における断面外形状は多角形であるので、巻き崩れを防止しつつ、二次スプール131にクラックが発生することを防止できる。
【0098】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、内周側が二次コイルであり、外周側が一次コイルであったが、本発明はこれに限定されうものではなく、外周側を二次コイルとし、内周側が一次コイルとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る点火コイルの断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】斜行巻きの説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る点火コイルの特徴を示す断面図である。
【図5】(a)は本発明の第2実施形態に係る緩衝部材(収縮チューブ)の軸方向断面図であり、(b)は本発明の第2実施形態に係る点火コイルの特徴を示す断面図である。
【図6】(a)は本発明の第3実施形態に係る緩衝部材(収縮チューブ)の軸方向断面図であり、(b)は本発明の第3実施形態に係る点火コイルの特徴を示す断面図である。
【図7】(a)は本発明の第4実施形態に係る点火コイルの特徴を示す断面図であり、(b)は本発明の第4実施形態に係る点火コイルの効果を示す説明図である。
【図8】(a)は本発明の第5実施形態に係る点火コイルの特徴を示す断面図であり、(b)は本発明の第5実施形態に係る点火コイルにおける中心コアの組み付け説明図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る点火コイルの特徴を示す薄帯板の正面図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る点火コイルの特徴を示す説明図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る点火コイルの特徴を示す断面図である。
【図12】本発明の第7実施形態に係る点火コイルの特徴を示す二次スプールの正面図である。
【符号の説明】
110…中心コア、130…二次コイル(内周側コイル)、131…二次スプール(巻き枠)、154…樹脂層。
Claims (4)
- 内燃機関の点火装置に高電圧を供給する内燃機関用点火コイルであって、
略円柱状に形成された中心コア(110)と、
前記中心コア(110)に対して同軸上に巻かれた内周側コイル(130)及び外周側コイル(120)と、
前記中心コア(110)の外周面を覆うチューブ(111)と、
前記内周側コイル(130)と前記チューブ(111)と間の隙間に充填された電気絶縁性を有する樹脂材からなる樹脂層(154)とを有し、
前記中心コア(110)は、磁性材からなる薄帯板(110a)を前記中心コア(110)の径方向に積層することにより構成されており、
さらに、前記樹脂層(154)のうち、幅寸法が最大となる前記薄帯板(110a)の近傍は、その他の部位に比べて厚みが厚いことを特徴とする内燃機関用点火コイル。 - 内燃機関の点火装置に高電圧を供給する内燃機関用点火コイルであって、
略円柱状に形成された中心コア(110)と、
前記中心コア(110)に対して同軸上に巻かれた内周側コイル(130)及び外周側コイル(120)と、
前記中心コア(110)の外周面を覆うチューブ(111)と、
前記内周側コイル(130)の内周側に配設され、略円筒状に形成された前記内周側コイル(130)の巻線を巻くためのスプール(131)と、
前記スプール(131)と前記チューブ(111)と間の隙間に充填された電気絶縁性を有する樹脂材からなる樹脂層(154)とを有し、
前記中心コア(110)は、磁性材からなる薄帯板(110a)を前記中心コア(110)の径方向に積層することにより構成されており、
さらに、前記スプール(131)の内周面(131a)のうち、幅寸法が最大となる前記薄帯板(110a)の近傍には、前記中心コア(110)の軸方向と平行に延びる溝部(131b)が設けられていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。 - 内燃機関の点火装置に高電圧を供給する内燃機関用点火コイルであって、
磁性材からなる薄帯板(110a)を積層することにより略円柱状に形成された中心コア(110)と、
前記中心コア(110)の外周面側を覆うチューブ(111)と、
前記チューブ(111)より外周側に位置し、前記中心コア(110)に対して同軸上に巻かれた内周側コイル(130)及び外周側コイル(120)とを有し、
前記薄帯板(110a)には、前記薄帯板(110a)の一部を分断して長手方向に延びるスリット(110b)が設けられていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。 - 内燃機関の点火装置に高電圧を供給する内燃機関用点火コイルであって、
略円柱状に形成された中心コア(110)と、
前記中心コア(110)より外周側に位置し、前記中心コア(110)に対して同軸上に巻かれた内周側コイル(130)及び外周側コイル(120)とを有し、
前記中心コア(110)は、磁性材からなる薄帯板(110a)が積層されてその長手方向端部が接合された複数本のコア部品(110c)を軸方向に並べることにより構成されており、
前記複数本のコア部品(110c)のうち、一のコア部品(110c)における前記薄帯板(110a)の積層方向と他のコア部品(110c)における前記薄帯板(110a)の積層方向とが相違していることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
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