JP2009030809A - ボールねじ - Google Patents
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Abstract
【課題】リターンパイプ両端にボールを衝突させる舌部を有することなく、ボールを掬い上げることができるボールねじを提供すること。
【解決手段】リターンパイプ9の両端9a,9bに、パイプ内に向かって徐々に幅が狭くなる切り口15を設ける。負荷転走路内を転がるボール8…は、徐々に幅が狭くなる切り口15の両脇で案内されながら、リターンパイプ9の奥の方に導かれる。切り口15を設けることによって、舌部を有することなくボール8…を掬い上げることができる。
【選択図】図3
【解決手段】リターンパイプ9の両端9a,9bに、パイプ内に向かって徐々に幅が狭くなる切り口15を設ける。負荷転走路内を転がるボール8…は、徐々に幅が狭くなる切り口15の両脇で案内されながら、リターンパイプ9の奥の方に導かれる。切り口15を設けることによって、舌部を有することなくボール8…を掬い上げることができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、ボールねじに関し、特に、ねじ軸とナット部材との間に設けられた負荷転走路内を転がるボールを、ナット部材に嵌め込まれたリターンパイプで循環させるボールねじに関する。
従来、この種のボールねじとして、ねじ軸にボール転走溝を形成し、ナット部材にボール転走溝に対向する負荷転走溝を形成し、ボール転走溝及び負荷転走溝との間でボールを転がり運動させる負荷転走路を構成し、このナット部材に嵌め込まれたリターンパイプで負荷転走路の一端と他端を連結し、このリターンパイプで負荷転走路内を転がるボールを一端で掬い上げ他端に戻す無負荷戻し通路を構成したものが提案されている(例えば実開平6−69502号公報参照)。
図9に示したように、リターンパイプの両端開口部には、負荷転走路内に入り込む一対の舌部2a,2bが形成される。ボールは、ねじ軸の周囲の負荷転走路内を転がり運動した後、舌部2a,2bに衝突し、掬い上げられ、リターンパイプ内に導入される。そして、ボールは、リターンパイプ1内を循環し、再び負荷転走路に戻される。舌部2a,2bの両脇には、ねじ軸に形成されたボール転走溝との干渉を避けるべく根元に切り欠き3が設けられる。
しかしながら、工作機械等の高速送りの要求に伴い、ボールねじも高速回転されることが多くなってきた。このように、(ねじ軸の1分間あたりの回転数にボールの回転径を掛けた値である)DN値を上げて、ボールねじを使用した場合、ボールによる衝突力の繰り返しで、応力集中が発生し易い舌部2a,2bの根元が金属疲労を起こして破損するおそれがあった。
そこで、本発明は、リターンパイプ両端にボールを衝突させる舌部を有することなく、ボールを掬い上げることができるボールねじを提供することを目的とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものでない。
請求項1の発明は、外周面に螺旋状のボール転走溝(6a)を有するねじ軸(6)と、内周面に前記ボール転走溝(6a)と対向する螺旋状の負荷転走溝(7a)を有するナット部材(7)と、前記ボール転走溝(6a)と前記負荷転走溝(7a)との間を転動するボール(8…)と、前記ナット部材(7)に嵌合され、前記ボール転走溝(6a)と前記負荷転走溝(7a)との間で形成される負荷転走路の一端と他端を連結し、前記ボール(8…)を一端から掬い上げ、他端に戻すリターンパイプ(9,21)とを備えるボールねじ(5)において、前記リターンパイプ(9,21)の両端(9a,9b)に、徐々に幅が狭くなる切り口(15)を設けたことを特徴とするボールねじにより、上述した課題を解決する。
この発明によれば、リターンパイプ(9,21)の両端に、徐々に幅が狭くなる切り口(15)を設けたので、負荷転走路内を転がるボール(8…)は、リターンパイプ(9,21)の両端内に入り込むと、幅が狭くなる切り口(15)の両脇で案内される。ボール(8…)は、切り口(15)の両脇で案内されながら、徐々にリターンパイプ(9,21)の奥の方に導かれる。このため、従来のように、舌部を有することなくボール(8…)を掬い上げることができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記リターンパイプ(9,21)の両端側(9a,9b)をねじ軸(6)のリード角に合わせて配置したことを特徴とする。
この発明によれば、リターンパイプ(9,21)の両端側をねじ軸(6)のリード角に合わせて配置したので、ボール(8…)は、ねじ軸(6)のリード角方向すなわち進行方向を保ったまま掬い上げられる。したがって、リターンパイプ(9,21)内にボール(8…)を導入する際、リターンパイプ(9,21)に強い衝撃が加わるのを防止できる。また、ボール(8…)が進行方向を保ったままリードパイプ(9,21)に掬い上げられるので、ボール(8…)は、リターンパイプ(9,21)の切り口(15)の片側に片寄ることなく、切り口(15)の両脇でバランス良く掬い上げられる。
請求項3の発明は、請求項1または2記載の発明において、上記リターンパイプ(9,21)の両端側(9a,9b)をボール(8…)の軌道の接線方向へ配置したことを特徴とする。
この発明によれば、リターンパイプ(9,21)でボールを接線方向に掬い上げることができる。ボール(8…)は、その運動方向に沿って流れ込むように、リターンパイプ(9,21)に掬い上げられる。したがって、ボール(8…)がリターンパイプ(9,21)の両端に掬い上げられる際の衝撃力を軽減することができる。
以上に説明したように、本発明によれば、リターンパイプの両端に、パイプ内に向かって徐々に幅が狭くなる切り口を設けたので、負荷転走路内を転がるボールは、徐々に幅が狭くなる切り口両脇で案内されながら、リターンパイプの奥の方に導かれる。したがって、従来のように舌部を有することなくボールを掬うことができ、ボールねじのDN値を上げて使用することができる。
図1及び図2は、本発明の一実施形態におけるボールねじ5を示したものである。ボールねじ5は、外周面に螺旋状のボール転走溝6aを有するねじ軸6と、内周面に前記ボール転走溝6aと対向する螺旋状の負荷転走溝7aを有するナット部材7と、ボール転走溝6aと前記負荷転走溝7a間を転動するボール8…とを備える。ねじ軸6のボール転走溝6aと、ナット部材7の負荷転走溝7aとの間で負荷転走路が構成される。ナット部材12には、2つのリターンパイプ9が嵌合される。リターンパイプ9は、負荷転走路の一端と他端を連結して無負荷戻し通路を構成する。リターンパイプ9の両側は折り曲げられ、負荷転走路内に数ピッチの間隔を開けて、嵌入される。リターンパイプ9は、パイプ押え10によってナット部材7に固定される。
ねじ軸6には、その周囲に螺旋状の一定のリードを備えた略断面半円状のボール転走溝6aが研削加工または転造加工によって形成される。
ナット部材7は、略円筒状をなし、その端面にボールねじ5を機械等に取付けるためのフランジ11を備える。ナット部材7の内周面には、ねじ軸6のボール転走溝6aに対向する略断面半円状の負荷転走溝7aが形成される。ナット部材7には、その上面が一部平取りされた平面部16が形成される。平面部16には、リターンパイプ9の両側が挿入されるリターンパイプ嵌合穴13が4個所開けられる。このリターンパイプ嵌合穴13は、負荷転走溝7a内まで延びる。
図3乃至図5は、リターンパイプ9を示したものである。図3に示すように、リターンパイプ9は、円形断面をなし、両端側が湾曲される。すなわち、リターンパイプは、一対の脚部9a,9b及び水平部9cからなる略門型形状に形成される。リターンパイプ9の断面形状は、ボール8…が通る通路断面及び潤滑材が貯溜可能な断面を有すれば、円形に限られず、三角、四角等の非円形断面でもよい。脚部9a,9bの両端には、切り込みが入れられ、切り口15はアーチ型になる。切り口15は、リターンパイプ9の奥方向に向かい徐々に横幅が狭く形成される。
図4に示したように、脚部9a,9bは、ボール8…の軌道中心線Sの接線方向へ配置される。また、脚部9a,9bの先端は、ねじ軸6の軸心の水平面Lの位置まで延びる。脚部9a,9bへの切り口15は、ボール8…の軌道中心線Sよりも若干内側に形成される。切り口15の先端は、脚部9a,9bの中心線Dより、わずかにhだけ内側に位置する。
図5は、脚部9a,9bの断面形状の変化を示したものである。先端の断面形状を0の位置で示し、上方に向かうにしたがい、断面形状を1から9の位置で示す。脚部9a,9bの断面形状は0の位置で、リターンパイプ9の中心線Dよりも両脇がわずかにh寸法だけ突出した半円形断面となる。脚部9a,9bの断面形状は、上方に向かうにしたがい(1の位置から10の位置に進むにしたがい)円形断面に近づき、切り口15の両脇の幅Wが徐々に狭くなる。
図4に示したように、ボール8…は、ねじ軸6の周囲を転がり運動し、ねじ軸6の軸心の水平面Lより上方に転がり、脚部9a,9b内に転がり込む。図5に示したように、切り口15の両脇の幅Wは、0から4の位置までは、ボール8…の直径よりも大きい。このため、ボールは、切り口15の両脇によって案内されることなく、ねじ軸6の周囲を転がり運動する。0から4の位置に進むにつれ、脚部9a,9bの内周面とボール8…の背面との隙間20が僅かずつ大きくなる。ボール8…が、さらに上方に転がり、5の位置まで移動した場合、ボール8…の両端が切り口15の両脇に案内され始める。切り口15の両脇は、リターンパイプ9の上方向に向かい徐々に幅が狭くなるため、6から10の位置で、ボール8…は、切り口15の両脇に案内されながら、円断面のリターンパイプ9内に導かれる。このように、リターンパイプ9の脚部9a,9bに切り込みを入れ、切り口15の両脇を上方に向かい徐々に幅狭になるように形成することで、従来のように舌部を設けなくても、切り口15の両脇でボール8…を掬い上げることができる。したがって、ボールねじ5を高速回転させ、DN値を上げて使用することもできる。
また、脚部9a,9bをボール8…の軌道中心線Sの接線方向へ配置したため、ボール8…は、その運動方向に沿って流れ込むように、脚部9a,9bに掬い上げられる。ボール8…を急激な方向転換することなく掬い上げることができ、ボール8…がリターンパイプ9の脚部9a,9bに掬い上げられる際の衝撃力を軽減することができる。
図6は、ねじ軸6とリターンパイプ9を示したものである。この図に示すように、リターンパイプ9の脚部9a,9bは、ねじ軸6のリード角に合わせて傾けて配置される。ボール8…は、ねじ軸6のリード角方向すなわち進行方向を保ったまま、脚部9a,9bに掬い上げられる。したがって、脚部9a,9b内で方向転換する必要なく、脚部9a,9bに強い衝撃が加わるのを防止できる。また、ボール8…が進行方向を保ったまま脚部9a,9bに掬い上げられるので、ボール8…は、切り口15の片側に片寄ることなく、両脇でバランス良く掬い上げられる。
図6及び図7に示すように、ねじ軸6を回転させると、ボール転走溝6a内を周方向に軸方向荷重を受けながら転がるボール8…は、脚部9aの先端で掬い上げられる。掬い上げられたボール8…は、リターンパイプ9内を循環する。そして、ボール8…は、数ピッチ間隔を開けた脚部9bから、再びボール転走溝6aに戻され、循環する。
図8は、他の実施形態におけるリターンパイプ21を示したものである。このリターンパイプ21においても、上述のリターンパイプ9と同様に、脚部21a,21bの両端には、切り込みが入れられる。切り口15は、パイプ内に向かい徐々に横幅が狭くなるよう形成される。このリターンパイプ21の内面には、パイプ全体に渡って軸方向に延びる一対のガイド溝22a,22bが形成される。ボール8…は、ボール8…同士の相互摩擦を防止すべく帯状のリテーナに所定間隔を開けて回転摺動自在に保持されることがある。一対のガイド溝22a,22bを形成することでリテーナの両側縁を案内することができる。なお、リテーナを介してボール8…が保持される場合は、ボール8…は、切り口15によって掬われると共に、リテーナがボール8…を引っ張り上げるによっても掬われる。
5 ボールねじ、 6 ねじ軸、 6a ボール転走溝、 7 ナット部材、 7a 負荷転走溝、 8 ボール、 9,21 リターンパイプ、 15 切り口
Claims (3)
- 外周面に螺旋状のボール転走溝を有するねじ軸と、内周面に前記ボール転走溝と対向する螺旋状の負荷転走溝を有するナット部材と、前記ボール転走溝と前記負荷転走溝との間を転動するボールと、前記ナット部材に嵌合され、前記ボール転走溝と前記負荷転走溝との間で形成される負荷転走路の一端と他端を連結し、前記ボールを一端から掬い上げ、他端に戻すリターンパイプとを備えるボールねじにおいて、前記リターンパイプの両端に、徐々に幅が狭くなる切り口を設けたことを特徴とするボールねじ。
- 上記リターンパイプの両端側をねじ軸のリード角に合わせるように配置したことを特徴とする請求項1記載のボールねじ。
- 上記リターンパイプの両端側をボールの軌道の接線方向に配置したことを特徴とする請求項1または2記載のボールねじ。
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