JP5332744B2 - 転がり軸受 - Google Patents
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Description
また、下記特許文献1には、冠形保持器の内周面や外周面に周方向に延びる多数の細溝を形成することにより、周囲の潤滑剤の流れを整流して流体抵抗を低減する技術が開示されている。
本発明は、このような実情に鑑み、転がり軸受内への潤滑油の引き込みを抑制し、転がり軸受内における潤滑油の撹拌抵抗を低減することができる転がり軸受を提供することを目的とする。
一方、外側軌道輪又は内側軌道輪が案内軌道輪である場合には、当該案内軌道輪と保持器との間には僅かな案内隙間が形成されるのみであり、当該案内隙間によって潤滑油の流通が制限されるため、当該案内隙間から転がり軸受内への潤滑油の引き込みが抑制される。
特に、外側軌道輪が保持器を案内していることが好ましく、これによって、内輪軌道輪が保持器を案内する場合に比べて転がり軸受内への潤滑油の引き込みをより抑制することができる。
保持器14の主部19の軸方向他方側(右側)の側面は、径方向外方に向かうに従って漸次右側へ位置するように傾斜する傾斜面26に形成されている。この傾斜面26によって、主部19の径方向外端部の軸方向寸法(肉厚)が、径方向内端部の軸方向寸法よりも大きくなっている。また、柱部20の内周面は、右側から左側に向かうに従って漸次径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面27に形成されている。
本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。そして、傾斜面26が凹曲面とされているので、潤滑油をより右方向に導くことができ、シール隙間S2から転がり軸受10内への潤滑油の引き込みをより抑制することができる。その他の構成については第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施の形態では、主部19の傾斜面26が上記第2の実施の形態と同様に作用し、同様の効果を奏する。また、傾斜面32が形成されることによって、主部19の径方向内端部の軸方向寸法が、径方向外端部と同様に大きくなり、内輪12と主部19との間の案内隙間S1を軸方向に長くしてシール性を高めることができる。
本発明の転がり軸受は、車軸ケース内やミッションケース内等において油浴潤滑される転がり軸受として好適に使用することができるが、このような使用に限定されるものではない。
本願発明者は、本発明に係る転がり軸受(特に、図1に示す構造の転がり軸受)について、以下の3つの観点から保持器の最適形状を実験により検証した。
(1)保持器の案内方式(内輪案内又は外輪案内)
(2)保持器の背面角度(図1の傾斜面26の角度α)
(3)案内隙間の寸法
このグラフでは、案内方式を内輪案内とした場合よりも外輪案内とした場合の方が回転速度に関わらず貫通油量が少ないことが分かる。また、いずれの案内方式においても背面角度αを10°としたときの貫通油量が最も少なくなった。したがって、保持器14の背面角度αは、0°、5°、10°、15°の4つのなかでは10°とするのがより好適であるといえる。
図12のグラフから明らかなように、案内隙間は、その寸法が小さいほど貫通油量が少なくなることが分かる。なお、保持器14は、熱によって膨張すると外径が大きくなるため、案内隙間は、保持器14が熱膨張した場合でも外輪11に対して適切に摺接することが可能な最小限の寸法とするのが好ましい。本実験の場合、かかる熱膨張を加味したうえで、案内隙間(直径値)を0.26mm〜0.36mm程度とするのが好適である。
実施例1と実施例2とを比較すると、実施例2は実施例1に比べて回転速度に関わらずトルクがさらに低減されている。したがって、転がり軸受の内部諸元を適切に変更することによってもトルクを低減可能であることが分かる。また、従来例と実施例2とを比較すると、実施例2は従来例に比べてよりトルクが低減されている。したがって、保持器14の形状を最適にするのに加えて転がり軸受の内部諸元をも最適化することが軸受トルクを低減するうえで極めて有効であるといえる。
11 外輪
12 内輪
14 保持器
17 玉(転動体)
19 主部
20 柱部
21 ポケット
23 内輪案内面
24 被案内面
26 傾斜面
27 傾斜面
28 傾斜面
32 傾斜面
38 傾斜面
40 傾斜面
Claims (5)
- 外側軌道輪と、内側軌道輪と、前記外側軌道輪及び前記内側軌道輪の間に転動可能に設けられた複数の転動体と、この複数の転動体の間隔を保持するとともに、前記外側軌道輪、前記内側軌道輪、又は前記転動体によって回転が案内される冠形の保持器と、を備えている転がり軸受であって、
前記保持器が、円環状の主部と、この主部の軸方向一方側の側面から同方向に突出するとともに前記転動体を収容するためのポケットを互いの間に形成している周方向に複数の柱部とを備え、
前記保持器を案内していない前記外側軌道輪及び前記内側軌道輪の一方又は双方と、前記主部との間に、潤滑油の流通を制限するシール隙間が形成されており、
前記主部の軸方向他方側の側面が、少なくとも径方向外側部分において径方向外方に向かうに従って漸次前記軸方向他方側に位置するように傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴とする転がり軸受。 - 前記外側軌道輪の前記軸方向他方側の端部における内周面が、前記軸方向一方側から前記軸方向他方側に向かうに従って漸次径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面に形成されている請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記柱部の内周面が、前記軸方向他方側から前記軸方向一方側へ向かうに従って漸次径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面に形成されている、請求項1又は2に記載の転がり軸受。
- 前記外側軌道輪及び前記内側軌道輪の一方の軌道輪が、前記保持器を案内している請求項1〜3のいずれか1つに記載の転がり軸受。
- 前記外側軌道輪が、前記保持器を案内している請求項1〜3のいずれか1つに記載の転がり軸受。
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