JP5332744B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、冠形の保持器を有する転がり軸受に関する。
図9は、一般的な冠形の保持器を使用した転がり軸受の断面図である。この保持器114は、円環状の主部119と、この主部119の軸方向一方(左側)の側面から同方向に突出する柱部120を備え、周方向に隣接する柱部120の間に転動体117を収容するための収容空間(ポケット)121を形成している。このポケット121は保持器114の軸方向一方側(主部119とは反対側)で開放しており、保持器114は、転がり軸受110の軸方向中央を基準にして左右非対称の形状となっている。
また、下記特許文献1には、冠形保持器の内周面や外周面に周方向に延びる多数の細溝を形成することにより、周囲の潤滑剤の流れを整流して流体抵抗を低減する技術が開示されている。
2003−232362号公報
図9に示すように、冠形の保持器114を有する転がり軸受110を油浴潤滑下で使用すると、保持器114が回転することによって柱部120がファンのように作用し、矢印aで示すように内外輪112,111と主部119との間を通って軸受内部に潤滑油が引き込まれる。転がり軸受110内に吸引された潤滑油は矢印bのように転がり軸受110内で柱部120によって撹拌され、その後排出されるため、その撹拌抵抗により軸受トルクの損失が大きくなるという問題がある。また、特許文献1の技術では、保持器の内外周面と内外輪との間の潤滑油の周方向の流れを円滑にすることができるものの、転がり軸受内への潤滑油の引き込みを抑制することはできない。
本発明は、このような実情に鑑み、転がり軸受内への潤滑油の引き込みを抑制し、転がり軸受内における潤滑油の撹拌抵抗を低減することができる転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明は、外側軌道輪と、内側軌道輪と、前記外側軌道輪及び前記内側軌道輪の間に転動可能に設けられた複数の転動体と、この複数の転動体の間隔を保持するとともに、前記外側軌道輪、前記内側軌道輪、又は前記転動体によって回転が案内される冠形の保持器と、を備えている転がり軸受であって、前記保持器が、円環状の主部と、この主部の軸方向一方側の側面から同方向に突出するとともに前記転動体を収容するためのポケットを互いの間に形成している周方向に複数の柱部とを備え、前記保持器を案内していない前記外側軌道輪及び前記内側軌道輪の一方又は双方と、前記主部との間に、潤滑油の流通を制限するシール隙間が形成されており、前記主部の軸方向他方側の側面が、少なくとも径方向外側部分において径方向外方に向かうに従って漸次前記軸方向他方側に位置するように傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴としている。
この構成によれば、例えば、外側軌道輪が保持器を案内する軌道輪(案内軌道輪)である場合には、保持器を案内しない軌道輪(非案内軌道輪)である内側軌道輪と保持器の主部との間にシール隙間が形成され、内側軌道輪が案内軌道輪である場合には、非案内軌道輪である外側軌道輪と主部との間にシール隙間が形成される。また、保持器が転動体によって案内される場合には、外側軌道輪及び内側軌道輪の双方が非案内軌道輪となり、これら非案内軌道輪と主部との間にシール隙間が形成される。このシール隙間によって、主部と非案内軌道輪との間の潤滑油の流通が制限され、転がり軸受内に潤滑油が引き込まれるのを抑制することができる。
一方、外側軌道輪又は内側軌道輪が案内軌道輪である場合には、当該案内軌道輪と保持器との間には僅かな案内隙間が形成されるのみであり、当該案内隙間によって潤滑油の流通が制限されるため、当該案内隙間から転がり軸受内への潤滑油の引き込みが抑制される。
また、主部の軸方向他方側の側面付近に存在する潤滑油は、保持器の回転に伴う遠心力によって径方向外方へ流れながら、当該側面の傾斜によって主部から離反する方向に導かれる(図1の矢印A参照)。したがって、主部と外側軌道輪との間から転がり軸受内部に潤滑油が引き込まれるのを抑制することができる。

また、この発明の場合、前記外側軌道輪の前記軸方向他方側の端部における内周面が、前記軸方向一方側から前記軸方向他方側に向かうに従って漸次径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面に形成されていることが好ましい。これによって、主部の軸方向他方側の側面から径方向外方に流れる潤滑油をさらに外輪の傾斜面によって軸方向他方側へ導くことが可能となり、転がり軸受内へ潤滑油が引き込まれるのをより抑制することができる。
上記の各構成において、前記柱部の内周面は、前記軸方向他方側から前記軸方向一方側へ向かうに従って漸次径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面に形成されていることが推奨される。この柱部の内周面の傾斜によって転がり軸受内に入り込んだ潤滑油を積極的に軸方向一方側へ導き、転がり軸受外へ排出することができる。
上記の各構成において、前記外側軌道輪及び前記内側軌道輪の一方の軌道輪が、前記保持器を案内していることが好ましい。この場合、案内軌道輪と保持器との間には僅かな案内隙間が形成されるのみであるため、当該案内隙間によって潤滑油の流通が制限され、当該案内隙間から転がり軸受内へ潤滑油が引き込まれるのを抑制することができる。
特に、外側軌道輪が保持器を案内していることが好ましく、これによって、内輪軌道輪が保持器を案内する場合に比べて転がり軸受内への潤滑油の引き込みをより抑制することができる。
本発明によれば、転がり軸受内への潤滑油が引き込まれるのを抑制し、転がり軸受内における潤滑油の撹拌抵抗を低減することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。 図1に示される転がり軸受に使用される保持器を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。 本発明の第6の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。 本発明の第7の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。 従来技術に係る転がり軸受の断面図である。 保持器の案内方式を内輪案内および外輪案内とした場合の転がり軸受の回転速度と潤滑油の貫通油量との関係をそれぞれ示すグラフである。 保持器の背面角度を変化させた場合の転がり軸受の回転速度と潤滑油の貫通油量との関係を示すグラフである。 案内隙間を変化させた場合の転がり軸受の回転速度と潤滑油の貫通油量との関係を示すグラフである。 実施例および従来例の転がり軸受における、転がり軸受の回転速度と潤滑油の貫通油量との関係をそれぞれ示すグラフである。 実施例と従来例との双方について、転がり軸受の回転速度と軸受トルクとの関係をそれぞれ示すグラフである。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る転がり軸受の断面図であり、図2は、この転がり軸受に使用される保持器を示す斜視図である。転がり軸受10は、外輪(外側軌道輪)11、内輪(内側軌道輪)12、転動体17、及び保持器14を備えている。外輪11と内輪12とは互いに径方向に対向するように配置され、外輪11の内周面には凹曲面状の外輪軌道面15が、内輪12の外周面には凹曲面状の内輪軌道面16がそれぞれ形成されている。外輪軌道面15と内輪軌道面16との間には、転動体としての複数の玉17が転動可能に配置されている。外輪11、内輪12、及び玉17は、例えば軸受鋼等の金属によって形成され、保持器14は、例えば合成樹脂又は金属によって形成されている。
保持器14は、円環状の主部19と、この主部19の軸方向一方(左側)の側面から同方向(左方向)に突出する複数の柱部20とを備えている。複数の柱部20は周方向に間隔をあけて設けられ、隣接する柱部20の間には、玉17を収容するためのポケット(収容空間)21が形成されている。ポケット21は、玉17の半周以上の範囲を包囲するように形成されている。
保持器14は、いわゆる内輪案内式とされており、内輪12の外周面には保持器14を案内する案内面23が形成され、保持器14の主部19の内周面には被案内面24が形成され、案内面23と被案内面24との間には微小な案内隙間S1が形成されている。保持器14は、被案内面24と案内面23とが潤滑油を介して接触することによって内輪12によって案内され、円滑に回転することが可能なように構成されている。この案内隙間S1の寸法は、例えば約0.15mm(半径値)に設定される。
保持器14の主部19の外周面と、外輪11の内周面との間にはシール隙間S2が形成されている。このシール隙間S2は、案内隙間S1よりも大きいが、主部19の外周面と外輪11の内周面との間の潤滑油の流通を制限することが可能な隙間であり、例えば約0.4mm(半径値)に設定される。
保持器14の主部19の軸方向他方側(右側)の側面は、径方向外方に向かうに従って漸次右側へ位置するように傾斜する傾斜面26に形成されている。この傾斜面26によって、主部19の径方向外端部の軸方向寸法(肉厚)が、径方向内端部の軸方向寸法よりも大きくなっている。また、柱部20の内周面は、右側から左側に向かうに従って漸次径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面27に形成されている。
外輪11の内周面の右端部は、左側から右側に向かうに従って漸次径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面28に形成されており、この傾斜面28の左端部と、主部19の傾斜面26の径方向外端部とは、軸方向の位置が略一致している。したがって、主部19の右側面の傾斜面26と、外輪11の内周面の傾斜面28とは概ね連続している。
以上のような構成の転がり軸受10を油浴潤滑下で使用する場合について説明する。外輪11を固定輪とし内輪12を回転輪として使用する場合に、内輪12とともに保持器14が回転すると、柱部20がファンのように作用して内輪12及び外輪11と主部19との隙間S1,S2から潤滑油を引き込もうとする。しかしながら、本実施の形態の転がり軸受10では、外輪11と主部19との間がシール隙間S2とされているので、当該シール隙間S2における潤滑油の流通が制限される。また、内輪12と主部19との間は案内隙間S1とされているため、当該案内隙間S1における潤滑油の流通も制限される。そのため、各隙間S1,S2から転がり軸受10内への潤滑油の引き込みが抑制され、転がり軸受10内における潤滑油の撹拌抵抗を低減することができる。よって、この撹拌抵抗に起因する軸受トルクの損失を低減することができる。
また、保持器14の傾斜面26によって、当該傾斜面26の付近に存在する潤滑油は、保持器14の回転に伴う遠心力で径方向外側へ流れながら右方向へ導かれるため(矢印A参照)、当該潤滑油が外輪11と主部19とのシール隙間S2から転がり軸受10内へ引き込まれるのを抑制することができる。さらに、外輪11の傾斜面28によって、潤滑油をさらに径方向外方且つ右方向へ導くことができるため(矢印B参照)、外輪11と主部19とのシール隙間S2から転がり軸受10内へ潤滑油が引き込まれるのをより抑制することができる。
保持器14の主部19は、径方向内端部よりも径方向外端部の方が軸方向寸法(肉厚)が大きく形成されているので、外輪11と主部19との間のシール隙間S2を可及的に軸方向に長くすることができ、これによってシール性を高めることが可能となる。
さらに、柱部20の内周面が傾斜面27とされているので、各隙間S1,S2から転がり軸受10内へ潤滑油が引き込まれたとしても、保持器14の回転に伴って転がり軸受10内の潤滑油が傾斜面27に沿って左方向へ導かれ、転がり軸受10外への潤滑油の排出が促される(矢印C参照)。したがって、この傾斜面27の作用によっても転がり軸受10内における撹拌抵抗を低減することができる。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。この実施の形態では、保持器14における主部19の右側面の径方向外側部分が傾斜面26とされている。より具体的には、主部19の径方向中央C1から径方向外端までの範囲が傾斜面26とされ、径方向中央C1から径方向内端までの範囲は径方向に沿った平坦面に形成されている。また、傾斜面26は凹曲面状に形成されている。
本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。そして、傾斜面26が凹曲面とされているので、潤滑油をより右方向に導くことができ、シール隙間S2から転がり軸受10内への潤滑油の引き込みをより抑制することができる。その他の構成については第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。この実施の形態では、保持器14の主部19の右側面のうち、径方向中央C1から径方向外端までの範囲が傾斜面26とされ、径方向中央C1から径方向内端までの範囲が、傾斜面26とは逆向きの傾斜となる傾斜面32とされている。また、傾斜面26と傾斜面32とは、互いに連続した凹曲面に形成されている。
本実施の形態では、主部19の傾斜面26が上記第2の実施の形態と同様に作用し、同様の効果を奏する。また、傾斜面32が形成されることによって、主部19の径方向内端部の軸方向寸法が、径方向外端部と同様に大きくなり、内輪12と主部19との間の案内隙間S1を軸方向に長くしてシール性を高めることができる。
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。この実施の形態では、保持器14の内周面の傾斜面27が第1の実施の形態の傾斜面27(図2参照)よりも傾斜角度が大きく形成され、保持器14の左端部が尖った形状に形成されている。したがって、本実施の形態では、傾斜面27による潤滑油の排出作用がより高まっている。なお、本実施の形態の傾斜面27は、第2,第3実施の形態の保持器14(図3及び図4参照)に対して適用することもできる。
図6は、本発明の第5の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。本実施の形態では、主部19の外周面に径方向外方に突出する突起34が全周に亘って形成され、この突起34の先端面と外輪11の内周面との間にシール隙間S2が形成されている。したがって、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。また、本実施の形態では、第1〜第4の実施の形態と比較して保持器14の体積が小さくなり、保持器14の軽量化、材料の削減が可能となる。
図7は、本発明の第6の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。本実施の形態では、保持器14の主部19の外周面に径方向外方に突出する突起34が全周に亘って形成され、外輪11の内周面の右端部に、突起34を入り込ませるための段部36が形成されている。そして、この段部36と突起34の間には、L字形状に屈曲したシール隙間S2(ラビリンス隙間)が形成されている。したがって、本実施の形態では、シール隙間S2によるシール性能がより高められており、シール隙間S2から転がり軸受10内への潤滑油の引き込みをより抑制することができる。
図8は、本発明の第7の実施の形態に係る転がり軸受の断面図である。本実施の形態では、外輪11の内周面の左端部が、右側から左側に向かうに従って漸次径方向外側へ位置するように傾斜する傾斜面38に形成されている。この傾斜面38によって転がり軸受10内に流入した潤滑油の排出を促進することが可能となる(矢印D参照)。
本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、上記の各実施の形態では、内輪案内式の保持器14について説明したが、外輪案内式、転動体案内式の保持器14であってもよい。前者の場合、外輪11と保持器14との間に案内隙間S1が形成されるとともに内輪12と保持器14の間にシール隙間S2が形成される。後者の場合、内輪12と保持器14の間、及び、外輪11と保持器14の間の双方にシール隙間S2が形成される。
本発明の転がり軸受は、車軸ケース内やミッションケース内等において油浴潤滑される転がり軸受として好適に使用することができるが、このような使用に限定されるものではない。
〔保持器の最適形状の検証〕
本願発明者は、本発明に係る転がり軸受(特に、図1に示す構造の転がり軸受)について、以下の3つの観点から保持器の最適形状を実験により検証した。
(1)保持器の案内方式(内輪案内又は外輪案内)
(2)保持器の背面角度(図1の傾斜面26の角度α)
(3)案内隙間の寸法
評価の基準は、図1の転がり軸受の右側(主部19側)に供給された潤滑油が内輪12および外輪11と主部19との隙間S1,S2を通過して左側(柱部20側)へ流出する単位時間あたりの量(貫通油量)とした。この貫通油量が大きいと転がり軸受内部の攪拌抵抗が増大し、軸受トルクの損失が大きくなることから、この貫通油量が小さいほど最適形状の保持器であると判断した。
図10は、保持器の案内方式を内輪案内および外輪案内とした場合の転がり軸受(実施例)の回転速度と貫通油量との関係をそれぞれ示すグラフである。このグラフにおいて、従来例は、図9に示す玉案内方式の転がり軸受を用いた場合の回転速度と貫通油量との関係を示している。このグラフから明らかなように、実施例と従来例とでは、転がり軸受の回転速度に関わらず実施例の方が従来例よりも貫通油量が低減されている。したがって、実施例の場合、転がり軸受内部の潤滑油の攪拌抵抗が小さくなり、トルク損失の低減効果が高いことが分かる。さらに、実施例において、内輪案内と外輪案内とを比較すると、外輪案内の方が内輪案内よりも貫通油量が低減されている。したがって、トルク損失を低減するためには、外輪案内を採用した転がり軸受がより好適である。
図11は、保持器の背面角度を変化させた場合の転がり軸受の回転速度と貫通油量との関係を示すグラフである。この実験では、内輪案内方式と外輪案内方式との双方において、保持器14の主部19の背面角度(垂直面に対する角度)αを4段階(0°、5°、10°、15°)に変化させ、それぞれの貫通油量を測定した。
このグラフでは、案内方式を内輪案内とした場合よりも外輪案内とした場合の方が回転速度に関わらず貫通油量が少ないことが分かる。また、いずれの案内方式においても背面角度αを10°としたときの貫通油量が最も少なくなった。したがって、保持器14の背面角度αは、0°、5°、10°、15°の4つのなかでは10°とするのがより好適であるといえる。
なお、他の角度α=0°、5°、15°について検討すると、いずれも貫通油量に大差はなく、背面角度αが小さすぎても大きすぎても貫通油量を低減する効果が小さいことが分かる。これは、背面角度αが小さい場合、傾斜面26による右方向(軸方向外方)への潤滑油の案内作用が小さくなり、外輪11と保持器14の主部19との隙間からの潤滑油の流入が増大するためであると考えられ、また、背面角度αが大きいと、内輪12の外周面に対向する主部19の軸方向幅が必然的に小さくなり、内輪12と主部19との隙間からの潤滑油の流入が増大するためであると考えられる。
図12は、案内隙間を変化させた場合の転がり軸受の回転速度と貫通油量との関係を示すグラフである。この実験では、図10,図11に示す実験において結果が良好であった外輪案内方式を採用し、案内隙間を直径値で0.26mm、0.41mm、0.56mmの3段階に変化させた。
図12のグラフから明らかなように、案内隙間は、その寸法が小さいほど貫通油量が少なくなることが分かる。なお、保持器14は、熱によって膨張すると外径が大きくなるため、案内隙間は、保持器14が熱膨張した場合でも外輪11に対して適切に摺接することが可能な最小限の寸法とするのが好ましい。本実験の場合、かかる熱膨張を加味したうえで、案内隙間(直径値)を0.26mm〜0.36mm程度とするのが好適である。
以上の実験から得られた各結果に基づけば、保持器14の案内方式として外輪案内を採用し、保持器14の背面角度αを10°とし、さらに案内隙間を0.26mm(直径値)とするのがより好適であると考えられる。このような形状の保持器14を有する転がり軸受(実施例)と、図9に示す転がり軸受(従来例)とにおける、転がり軸受の回転速度と貫通油量との関係は図13に示すようになる。この図13のグラフから明らかなように、実施例の転がり軸受は従来例の転がり軸受よりも回転速度に関わらず貫通油量が大きく低減しており、具体的には1/10程度、貫通油量が低減していることが分かる。
次に、上記の実施例(図14に実施例1と表記)と従来例との双方について、転がり軸受の回転速度と軸受トルクとの関係を実験により測定した。その結果を図14に示す。この図14から明らかなように、実施例1は、従来例と比較して回転速度に関わらずトルクが低減していることが分かる。特に、回転速度が大きくなるほどトルク低減は顕著となり、約10000r/minの回転速度では16%程度のトルクが低減した。
図14において、実施例2は、実施例1に対して転がり軸受の内部諸元を変更したものである。具体的には、実施例1の外輪軌道面および内輪軌道面の表面粗さが0.032μmとされているのに対して、実施例2の外輪軌道面および内輪軌道面の表面粗さは0.016μmに半減され、実施例1の内輪軌道面の曲率が50.5%とされているのに対して、実施例2の内輪軌道面の曲率は53.0%に増大されている。
実施例1と実施例2とを比較すると、実施例2は実施例1に比べて回転速度に関わらずトルクがさらに低減されている。したがって、転がり軸受の内部諸元を適切に変更することによってもトルクを低減可能であることが分かる。また、従来例と実施例2とを比較すると、実施例2は従来例に比べてよりトルクが低減されている。したがって、保持器14の形状を最適にするのに加えて転がり軸受の内部諸元をも最適化することが軸受トルクを低減するうえで極めて有効であるといえる。
10 転がり軸受
11 外輪
12 内輪
14 保持器
17 玉(転動体)
19 主部
20 柱部
21 ポケット
23 内輪案内面
24 被案内面
26 傾斜面
27 傾斜面
28 傾斜面
32 傾斜面
38 傾斜面
40 傾斜面

Claims (5)

  1. 外側軌道輪と、内側軌道輪と、前記外側軌道輪及び前記内側軌道輪の間に転動可能に設けられた複数の転動体と、この複数の転動体の間隔を保持するとともに、前記外側軌道輪、前記内側軌道輪、又は前記転動体によって回転が案内される冠形の保持器と、を備えている転がり軸受であって、
    前記保持器が、円環状の主部と、この主部の軸方向一方側の側面から同方向に突出するとともに前記転動体を収容するためのポケットを互いの間に形成している周方向に複数の柱部とを備え、
    前記保持器を案内していない前記外側軌道輪及び前記内側軌道輪の一方又は双方と、前記主部との間に、潤滑油の流通を制限するシール隙間が形成されており、
    前記主部の軸方向他方側の側面が、少なくとも径方向外側部分において径方向外方に向かうに従って漸次前記軸方向他方側に位置するように傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記外側軌道輪の前記軸方向他方側の端部における内周面が、前記軸方向一方側から前記軸方向他方側に向かうに従って漸次径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面に形成されている請求項に記載の転がり軸受。
  3. 前記柱部の内周面が、前記軸方向他方側から前記軸方向一方側へ向かうに従って漸次径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面に形成されている、請求項1又は2に記載の転がり軸受。
  4. 前記外側軌道輪及び前記内側軌道輪の一方の軌道輪が、前記保持器を案内している請求項1〜3のいずれか1つに記載の転がり軸受。
  5. 前記外側軌道輪が、前記保持器を案内している請求項1〜3のいずれか1つに記載の転がり軸受。
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