JP2009008274A - 玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 内輪と外輪との間に介在させた転動体を保持する保持器4を有し、この保持器4は、環状体6の一側面に一部が開放されて内部に転動体を保持するポケット5を、前記環状体6の円周方向複数箇所に有する玉軸受において、前記保持器4の前記環状体6の外径面におけるポケット底部側の周縁にフランジ8を形成した。
【選択図】 図3
Description
この玉軸受の保持器は、鉄板の環状部品からなる波形保持器であったが、低コストな樹脂製の冠形保持器に置き換えられた。冠形保持器は、射出成形で安価に製造できるだけでなく、玉軸受の組立においても、玉が周方向に等間隔で配置さされた軌道輪間に保持器を挿入するだけで済み、軸受組立費用が低減できる。
冠形保持器の遠心力による変形は、ポケットの底壁となる部分の捩じりこわさと、ポケット間の部分である柱部に働く遠心力で決定される。このように、保持器のポケット底部側の周縁にフランジを形成することで、保持器のポケット底壁部分の断面積が増え、捩じりこわさが増大する。そのため、柱部に作用する遠心力によって保持器が変形することが抑制される。また、前記フランジは外径側に設けるため、遠心力により保持器が変形しても、その変形によりフランジは外輪から離れることになり、フランジが外輪と摺接して回転の抵抗となったり、保持器の摩耗を生じたりすることがない。
冠形保持器の遠心力による変形は、ポケットの底壁となる部分の捩じりこわさと、ポケット間の部分である柱部に働く遠心力で決定される。これに対して、上記のようにポケットのピッチ円径を、環状体の周壁断面の径方向厚さの中心よりも大きくすることにより、換言すれば、周壁断面をピッチ円径よりも内径側へ偏らせることにより、ポケット底壁部分の断面積が大きくなり、ポケット底壁部分の捩じりこわさが大きくなる。また、柱部の軸受回転中心からの半径が小さくなり、柱部に作用する遠心力が減少する。このため、保持器の遠心力による変形が減少し、より高速回転下で使用することができる。
このように、保持器の周壁断面の径方向厚さが、ポケット底部側の側面からポケット開放側の側面に向かって減少する形状とすることで、捩じりこわさが要求されるポケット底壁部分の断面積が増え、また遠心力の低減が要求される柱部先端側の質量が低減することになり、捩じりこわさの増大および遠心力の低減による保持器変形の防止効果が一層優れたものとなる。
このように柱部に端面凹み部を設けることで、遠心力の作用する柱部の質量が低減することになり、遠心力による変形が一層低減する。
このように、柱部に周面凹み部を設けた場合も、遠心力の作用する柱部の質量が低減することになり、遠心力による変形が一層低減する。
保持器が合成樹脂だけの合成樹脂組成物の成形体であっても、この発明の前記各構成により、遠心力による変形を抑制できる。また、合成樹脂だけの組成物であるため、安価に製造できる。
保持器が、合成樹脂と繊維からなる合成樹脂組成物の成形体である場合は、繊維による強化作用により、保持器の強度が増大し、遠心力による変形が一層低減できる。
H>W/2
となっている。
保持器4の外径面および内径面は、円筒面とされている。ポケット5のピッチ円径PCDは、各ポケット5内に保持される転動体3の中心を通る円の径のことであり、この例のようにポケット5の内面が球面状となっている場合は、各ポケット5の球面状内面の曲率中心を通る円の径となる。
このようにフランジ8を形成した場合、フランジ8によって、保持器4のポケット底壁部分の断面積が増え、捩じりこわさが増大する。そのため、柱部7に作用する遠心力によって保持器4が変形することが、一層低減する。また、フランジ8は外径側に設けるため、遠心力により柱部7の先端が外径側へ撓むように保持器4が変形しても、フランジ8は外輪から離れる方向に変形することになり、フランジ8が外輪2と摺接して回転の抵抗となったり、保持器4の摩耗を生じたりすることがない。
なお、フランジ8を設ける場合に、保持器4のポケット5のピッチ円径PCD(図1)を、環状体6のフランジ8を除く周壁断面の径方向厚さの中心と一致させても良い。
このように、保持器4の周壁断面の径方向厚さdが、ポケット底部側の側面4aからポケット開放側の側面4bに向かって減少する形状とすることで、捩じりこわさが要求されるポケット底壁部分6aの断面積が増え、また遠心力の低減が要求される柱部先端側の質量が低減することになり、捩じりこわさの増大および遠心力の低減による保持器変形の防止効果が一層優れたものとなる。
図4の例の保持器4において、さらに図5のように、環状体6の外径面におけるポケット底部側の周縁にフランジ8を形成しても良い。
このように、柱部7に端面凹み部9を設けることで、遠心力の作用する柱部7の質量が低減することになり、遠心力による変形が一層低減する。
図11の例は、図5の例、すなわち環状体6の外径面を円すい状面に、内径面を円筒状面とし、かつフランジ8を設けた例において、周面凹み部10を設けたものである。
これら図10,図11の例のように、周面凹み部10を設けた場合も、遠心力の作用する柱部7の質量が低減することになり、遠心力による変形が一層低減する。
なお、周面凹み部10は、柱部7に、環状体6の内径面から凹むように設けても良い。
また、保持器4を、合成樹脂、繊維、および潤滑油からなる合成樹脂組成物の成形体としても良く、その場合は、繊維による補強効果に加えて、高速回転時の玉軸受内の潤滑性能が高められる。
2…外輪
3…転動体
4…保持器
5…ポケット
6…環状体
7…柱部
8…フランジ部
9…端面凹み部
10…周面凹み部
PCD…ピッチ円径
Q…周壁断面の径方向厚さの中心
Claims (7)
- 内輪と外輪との間に介在させた転動体を保持する保持器を有し、この保持器は、環状体の一側面に一部が開放されて内部に転動体を保持するポケットを、前記環状体の円周方向複数箇所に有する玉軸受において、前記保持器の前記環状体の外径面におけるポケット底部側の周縁にフランジを形成したことを特徴とする玉軸受。
- 前記保持器のポケットのピッチ円径を、前記環状体の周壁断面の径方向厚さの中心よりも大きくした請求項1記載の玉軸受。
- 前記保持器は、環状体の周壁断面の径方向厚さが、ポケット底部側の側面からポケット開放側の側面に向かって減少する形状とした請求項1または請求項2記載の玉軸受。
- 前記保持器は、環状体のポケット間の部分である柱部に、先端から基端側へ凹む端面凹み部を有するものとした請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の玉軸受。
- 前記保持器は、環状体のポケット間の部分である柱部に、環状体の外径面または内径面から凹む周面凹み部を有するものとした請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の玉軸受。
- 前記保持器が、合成樹脂または合成樹脂と繊維からなる合成樹脂組成物の成形体である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の玉軸受。
- 前記保持器が、合成樹脂、繊維、および潤滑油からなる合成樹脂組成物の成形体である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の玉軸受。
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