JP2009024515A - 多気筒内燃エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】バランサハウジングからの熱の放散を促進して、バランサ装置の耐久性を向上させることのできる多気筒内燃エンジンを提供する。
【解決手段】複数の気筒内に設けられたピストンがそれぞれコンロッドを介してクランクシャフトに連結されるとともに、クランクケース15の下方側にオイルを貯留するオイルパン16が装着され、クランクケース15とオイルパン16との間に、クランクシャフト14の回転に応じて回転駆動されるバランサシャフト21およびそれを収納するバランサハウジング23を有するバランサ装置20が収装された多気筒内燃エンジンにおいて、バランサハウジング23とオイルパン16との間でバランサシャフト21の下方側に、バランサハウジング23とクランクケース15とに接触した熱伝達部材51が設けられる。熱伝達部材51はバッフルプレートであるのが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、多気筒内燃エンジン、特にピストンの往復動に伴って生じる2次振動をバランサ装置により抑制するようにした多気筒内燃エンジンに関する。
従来、車両用の内燃エンジンのうち比較的大排気量の直列4気筒エンジン等において、振動・騒音の悪化要因となる2次慣性力を打ち消すバランサ装置を搭載したものが知られている。
2次慣性力とは、エンジン回転数の2倍の振動数で変化する慣性力であり、エンジンのクランク−ピストン機構の動作原理上、一定のクランク回転速度であっても図8に示すようにピストンの最大スピード点がクランク運動の上死点(TDC)側に位置し、クランクシャフトに連結されたピストン等の往復質量の運動が完全な単弦振動(正弦波振動)とならずに、例えば図9に示すように、4気筒のうちNo.1、No.4気筒での慣性力と、これとは位相の異なるNo.2、No.3気筒での慣性力とがそれぞれ同図(b)の上側のグラフ(点線および二点鎖線)に示すように歪んでしまい、これらの慣性力が合成されることによって2次成分として生じるものである。
従来のバランサ装置は、この2次慣性力と逆位相で同等の慣性力を生じ得るバランサシャフトマスを一体に装着したバランサシャフトを有しており(例えば、特許文献1〜6参照)、図10に示すように2本のバランサシャフトを同相で相互に逆回転させることによりバランサシャフト自体の回転による不要な振動成分を相殺するようにしたものも使用されている(例えば、特許文献2、4、5、6参照)。
ところで、バランサ装置のバランサシャフトはクランクシャフトの2倍の回転数で回転するため、バランサシャフトを支持するバランサハウジングの軸受部を十分に潤滑および冷却する必要がある。そこで、クランクシャフトのジャーナル部と同様にバランサシャフトの軸受部分にもエンジン内の主たるオイルギャラリからオイルが供給されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
また、バランサ装置の近傍には、車両の加減速やコーナリング時等においてもオイルパン内のオイルをオイルポンプに確実に吸い込み可能にするため、オイルパン内の液面の過大な変動を規制するバッフルプレートが設けられており、このバッフルプレートをバランサハウジングと一体に形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−9637号公報 特開2001−289055号公報 特開平05−296019号公報 特開2003−201912号公報 特開2006−105402号公報 特開2003−262253号公報
しかしながら、上述のような従来の多気筒内燃エンジンにあっては、バッフルプレートがバランサシャフトの回転中心より上側(クランクシャフト側)に位置したり、バランサシャフトの側方に位置したりする構成であったため、バランサ装置から流れ落ちるオイルがそのままオイルパン内に入っていた。そのため、クランクシャフトの2倍の速度で回転するバランサシャフトの軸受部分の冷却は、専ら循環供給されるオイルによるところとなり、バランサハウジングからの熱の放散が不十分となって、バランサ装置の十分な耐久性が得られなかった。
そこで、本発明は、バランサハウジングからの熱の放散を促進するようにして、バランサ装置の耐久性を向上させることのできる多気筒内燃エンジンを提供することを目的とする。
本発明の多気筒内燃エンジンは、上記目的達成のため、(1)複数の気筒内に設けられたピストンがそれぞれコンロッドを介してクランクシャフトに連結されるとともに、前記クランクシャフトが収納されるクランクケースの下方側にオイルを貯留するオイルパンが装着され、前記クランクケースと前記オイルパンとの間に、前記クランクシャフトの回転に応じて回転駆動されるバランサシャフトおよび該バランサシャフトを収納するバランサハウジングを有するバランサ装置が収装された多気筒内燃エンジンにおいて、前記バランサハウジングと前記オイルパンとの間で前記バランサシャフトの下方側に、前記バランサハウジングと前記クランクケースとに接触した熱伝達部材が設けられたことを特徴とする。
この構成により、熱伝達部材がクランクシャフトおよびバランサシャフトの双方より下方でバランサハウジングとクランクケースとに接触していることから、熱伝達部材を介したバランサハウジングからの熱の放散が促進され、しかも、熱伝達部材がクランクシャフトおよびバランサハウジングの双方側からオイルパン側に流れ落ちるオイルによって冷却されることで、バランサハウジングからの熱の放散がより助長されることになる。なお、バランサ装置内のオイルはバランサシャフトの回転に伴ってそのマス部で側方に掻き出され、あるいは、バランサハウジングの底面に形成されたオイル穴から流下する、ある程度の流量のオイルとなり、そのオイルによる冷却効果は大きい。
上記(1)の構成を有する多気筒内燃エンジンは、(2)前記熱伝達部材が、前記バランサシャフトの軸央部を下方側から覆うとともに、前記バランサシャフトを回転自在に支持する前記バランサハウジングの軸受部の近傍で前記バランサハウジングに接触しているのが好ましい。
この場合、熱伝達部材がバランサシャフトからオイルパン側に流れ落ちるオイルによって確実に冷却され得るので、バランサハウジングからの熱の放散がより助長されることになる。なお、ここにいうバランサシャフトの軸央部とは、バランサシャフトの軸方向中間部、例えば両端の軸受ジャーナル部以外の部分を意味する。
上記(1)又は(2)の構成を有する多気筒内燃エンジンは、(3)前記熱伝達部材が、前記オイルパン内のオイルの液面に対向するバッフルプレートで構成されているのが望ましい。
この構成により、既存のバッフルプレートを利用してバランサハウジングからの放熱のための十分な伝熱面積を容易に確保することができる。
上記(1)〜(3)のいずれかの構成を有する多気筒内燃エンジンは、好ましくは、(4)前記熱伝達部材が、前記バランサハウジングおよび前記クランクケースと同等かそれ以上の熱伝導率を有する板金で構成されたものである。
この構成により、伝熱および液面変動規制の両機能に適した熱伝達部材をプレス加工等によって容易に実現でき、製造コストを低減させることができる。
上記(3)又は(4)の構成を有する多気筒内燃エンジンは、(5)前記熱伝達部材が、前記バランサ装置側からのオイルを前記オイルパン内に流下させる開口部を有するものであってもよい。
この場合、例えばオイルパン内のオイルストレーナ上にオイルを流下させる等して、オイル冷却効果をより向上させることができる。
上記(1)〜(5)のいずれかの構成を有する多気筒内燃エンジンにおいては、(6)前記熱伝達部材が、前記クランクケースにボルト締結される第1締結部と、前記バランサハウジングにボルト締結される第2締結部とを有するのが好ましい。
この構成により、熱伝達部材を介したバランサハウジングからの熱の放散が確実に期待できる。
本発明によれば、熱伝達部材を介してバランサハウジングからの熱の放散を可能にするとともに、その熱伝達部材をクランクシャフトおよびバランサハウジングの双方側からオイルパン側に流れ落ちるオイルによって冷却するようにしているので、バランサ装置内からバランサシャフトの回転に伴って掻き出され、あるいはバランサハウジングの底面側から流下するオイルを有効活用して熱伝達部材を冷却し、バランサハウジングからの熱の放散を促進し、バランサ装置の耐久性を向上させることのできる多気筒内燃エンジンを提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1から図4は本発明の一実施形態に係る多気筒内燃エンジンを示す図であり、本発明をいわゆる横置きタイプの4サイクル4気筒ガソリンエンジンに適用した場合を例示している。
まず、図1〜図7により本実施形態の構成について説明する。
図1は本実施形態のエンジンの下部に位置するバランサ装置周辺の正面断面図であり、図2はそのバランサ装置周辺の側面断面図、図3はそのバランサ装置の下方にバッフルプレートが装着された状態を示すクランクケースの下面図である。また、図4はそのバランサ装置の分解斜視図であり、図5(a)はそのエンジンの一部断面を含む側面図、図5(b)はそのエンジンの正面断面図、図6(a)はそのエンジンの概略オイルギャラリ配置形状を示す斜視図、図6(b)はそのエンジンの潤滑油の循環経路を説明するブロック図である。また、図7(a)は、本実施形態のエンジンを車体側に支持するエンジンマウントの配置を示す模式図、図7(b)はそのエンジンマウントの斜視図である。
本実施形態の多気筒内燃エンジン10は、図5に示すように、4つ(複数)の気筒11内に設けられたピストン12がそれぞれコンロッド13を介してクランクシャフト14のクランクピン14aに連結されており、クランクシャフト14が収納されるクランクケース15の下方側にはオイル(エンジンオイル)を貯留するオイルパン16が装着されている。このエンジン10は、図7に示すように、変速機110と一体にされたパワーユニット100として複数の公知のエンジンマウント101、102、103および104を介して所定角度だけ前傾した姿勢で車体200(詳細は図示していない)に弾性支持されている。
図4および図5に示すように、クランクシャフト14は、4つのクランクピン14aの各々に対応するカウンターウェイト14mと、その軸方向両端側および各気筒間のクランクジャーナル14jとを有し、各クランクジャーナル14jでクランクケース15側に回転可能に支持されている。
一方、図1〜図4に示すように、クランクケース15とオイルパン16との間には、バランサ装置20が設けられている。
このバランサ装置20は、クランクシャフト14の回転に応じて回転駆動されるバランサシャフト21、22と、これらバランサシャフト21、22を収納するバランサハウジング23とを有している。
バランサシャフト21には、クランクシャフト14に装着されたバランサシャフトドライブギヤ14gに噛合するバランサシャフトドリブンギヤ21aと、バランサシャフト21、22を同期逆回転させるためのギヤ21bとがそれぞれ一体的に装着されており、バランサシャフト22には、バランサシャフト21の同期用のギヤ21bに噛合するギヤ22aが一体的に装着されている。
これらバランサシャフト21、22は、上述した従来例の場合と同様に振動・騒音の悪化要因となる2次慣性力(0003段落参照)と逆位相で同等の慣性力を生じ得るよう、バランサシャフトマス21m、22m(図4参照)を一体に装着したもので、4気筒のピストン12およびコンロッド13等の往復質量の運動が正弦波振動から歪んで合成されることによって生じる2次慣性力を打ち消す機能を有している。また、これら2本のバランサシャフト21、22を同相で相互に逆回転させることによって、バランサシャフト21、22自体の回転による不要な振動成分を相殺するようになっている。
図5および図6(b)に示すように、エンジン10内には、オイルストレーナ31を通してオイルパン16内のオイルを汲み上げる公知のオイルポンプ32が設けられており、このオイルポンプ32から、オイルフィルタ33、エンジン10のシリンダブロック34(図5参照)内に形成されたサプライオイルホール35およびメインオイルホール36にオイルが供給されるようになっている。そして、メインオイルホール36からは、シリンダヘッド37内のチェーンテンショナ38、エキゾーストカムシャフトジャーナル39およびインテークカムシャフトジャーナル40と、可変バルブタイミング機構42を制御するオイルコントロールバルブ41とにオイルが供給されるとともに、クランクシャフト14のクランクジャーナル14jおよびシリンダブロック34内のチェーン44に供給され、また、クランクピン14aおよびオイルジェット46からピストン12へと供給される。
また、メインオイルホール36からは、バランサ装置20のバランサシャフト21、22にも直接オイルが供給されるようになっており、バランサハウジング23には左右のバランサシャフト21、22前後のジャーナル部分をそれぞれ支持する4つの軸受部分23a、23b、23c、23dにオイルを供給するための複数の油路23h(詳細油路形状は図示せず)が形成されている。
バランサ装置20のバランサシャフト21、22はクランクシャフト14の2倍の回転数で回転するため、バランサシャフト21、22を支持するバランサハウジング23の4つの軸受部は十分に潤滑および冷却する必要がある。そこで、クランクシャフト14のジャーナル部と同様に、軸受部分23a、23b、23c、23dにもエンジン10の主たるオイルギャラリであるメインオイルホール36から直接にオイルが供給されるようになっている。
図1から図4に示すように、バランサ装置20の近傍には、車両の加減速やコーナリング時等においてもオイルパン内のオイルをオイルポンプに確実に吸い込み可能にするように、オイルパン16内の液面の過大な変動を妨げるバッフルプレート51が設けられている。
このバッフルプレート51は、バランサハウジング23とオイルパン16との間であってバランサシャフト21、22より下方側(クランクシャフト14から離隔する側)に、バランサハウジング23とクランクケース15とに接触した熱伝達部材となっている。また、バッフルプレート51は、少なくともバランサシャフト21、22の軸央部を下方側から覆うとともにオイルパン16内のオイルの液面に対向しており、バランサシャフト21、22を回転自在に支持するバランサハウジング23の軸受部23a〜23dの近傍でバランサハウジング23に接触している。ここで、バランサシャフト21、22の軸央部とは、バランサシャフト21、22の両端の軸受ジャーナル部以外の軸方向中間部の意である。
図1〜図3に示すように、バッフルプレート51はバランサハウジング23およびクランクケース15と同等かそれ以上の熱伝導率を有する板状の金属、すなわち板金で構成されており、プレス加工により図示形状の輪郭形状、曲げ形状および凹凸形状に成形されている。
より具体的には、図2に示すように、バッフルプレート51は、バランサシャフト21、22の両端側のジャーナル部分以外の部分を下方から覆うようにバランサ装置20の下方でオイルパン16の底壁部16bと略平行になるように延在し、かつ、図1に示すように、バランサ装置20の左右方向中心部下で最も深くなるように凹形状をなした第1プレート部51aを有している。また、バッフルプレート51は、図2中の左方側でオイルストレーナ31の上方に位置するように、第1プレート部51aより高い位置でクランクケース15にボルトで締結された第2プレート部51bと、第2プレート部51bから第1プレート部51aまで斜下方に延在する第3プレート部51cとを有している。
バッフルプレート51の左右方向(図1中の左右方向)の幅は、バランサ装置20のバランサハウジング23の左右方向の幅より広くなっており、バランサシャフト21、22の回転に伴ってバランサシャフトマス21m、22m、バランサシャフトドリブンギヤ21aおよびギヤ21b、22a等によってバランサハウジング23から掻き出されるオイルがバッフルプレート51上に落ちるようになっている。
さらに、図3に示すように、バッフルプレート51の輪郭形状は、クランクケース15の下面側でオイルパン16が装着される開口周縁部15fに類似するものとなっており、他の部材をオイルで冷却するための通路を形成すべく、あるいは隣接する他の部品との機械的干渉を避けるように、必要に応じて凹凸51e(図1参照)や開口部51h、51i等が形成される。
ここで、開口部51h、51iは、バランサ装置20側からのオイルをオイルパン16内に流下させることができ、例えば、バッフルプレート51の開口部51hは、バッフルプレート51上の所定領域に落ちるオイルをオイルストレーナ31上、例えばオイルストレーナ31の先端部31a(吸込み側端部)上に流下させるようになっている。そして、オイルストレーナ31の先端部31aは、バッフルプレート51と共にボルト61によってバランサハウジング23に締結されており、この締結部位の近傍でバッフルプレート51の開口部51hから落ちるオイルがオイルストレーナ31の先端部31aに当たるようになっている。この場合、オイルストレーナ31は、バッフルプレート51と共にバランサハウジング23側からクランクケース15側への放熱のための熱伝達を担う熱伝達部材としても機能する。
バッフルプレート51は、また、クランクケース15にボルト締結される複数のボルト穴(穴形状は図示しないが例えば丸穴又は小判穴である)状の第1締結部52と、バランサハウジング23にボルト締結される複数のボルト穴状の第2締結部53とを有しており、第1締結部52は上方側に位置する第2プレート部51bに、第2締結部53はバランサ装置20の下方に位置する第1プレート部51aおよび第3プレート部51cの一部に設けられている。また、バランサハウジング23側にも、第1締結部52および第2締結部53に対応する締結面およびボルト締結用の雌ねじ穴を有する少なくとも1つ、例えば複数の突起状の締結部23pが設けられている。
図5および図6に示すように、エンジン10の上部には動弁機構が設けられており、各気筒11の上部には例えば吸気通路10i内に燃料を噴射するインジェクタ17(燃料噴射弁)と点火プラグ18とが配置されている。複数の気筒11に対応する複数のインジェクタ17は複数の気筒11に燃料を供給するデリバリパイプ(図示せず)にそれぞれ接続しており、このデリバリパイプには燃料タンク内の燃料ポンプから吐出された燃料(例えばガソリン)が所定の燃料通路を通して供給される。排気通路10e上には触媒装置19が配置されている。なお、エンジン10は、筒内噴射型のエンジンでも、ポート噴射型のエンジン、あるいは、ポート噴射と筒内噴射を組み合わせて実行するデュアル噴射型のエンジンであってもよいし、ディーゼルエンジンやガス燃料(LPG又はLNG)等のように異なる燃料を用いるエンジンであってもよい。インジェクタ17および点火プラグ18はそれぞれ対応する気筒の近傍に配置されており、これらインジェクタ17および点火プラグ18の作動は、エンジン10を電子制御するエンジンECU(図示せず)からの燃料噴射信号及び点火時期制御信号によってそれぞれ制御されるようになっている。
次に、作用について説明する。
上述のように構成された本実施形態のエンジン10では、バッフルプレート51がクランクシャフト14およびバランサシャフト21、22の双方より下方に位置し、バッフルプレート51がバランサハウジング23とクランクケース15とに熱伝達可能に接触していることから、エンジン10の運転中にバランサシャフト21、22が高速回転してこれらを支持するバランサハウジング23の温度が上昇するとき、バランサハウジング23からの熱の放散がバッフルプレート51およびオイルストレーナ31を介した熱伝達(熱伝導)によって促進される。
しかも、バッフルプレート51がクランクシャフト14およびバランサハウジング23の双方側からオイルパン16側に流れ落ちるオイルによって冷却されるので、バランサハウジング23からの熱の放散がより助長されることになる。特に、バランサ装置20内のオイルがバランサシャフト21、22の回転に伴ってそのマス部21m、22mで側方に掻き出されるとともに、バランサハウジング23の底面に形成されたオイル穴(図示していない)等からも流下するので、そのオイルの流量は比較的多く、そのオイルによる冷却の効果は十分に期待できる。
また、本実施形態では、バッフルプレート51が、更にはおよびオイルストレーナ31が、バランサシャフト21、22からオイルパン16側に流れ落ちるオイルによって確実に冷却され得るので、バランサハウジング23からの熱の放散がより助長される。
さらに、既存のバッフルプレート51を利用してバランサハウジング23からの放熱のための十分な伝熱面積を容易に確保することができる。
また、熱伝達(伝熱)および液面変動規制の両機能に適したバッフルプレート51を板金プレス加工等によって容易に実現でき、バッフルプレートの部品製造コストを低減させることができる。
また、オイルパン16内のオイルストレーナ31上にオイルを流下させる等して、オイル冷却効果をより向上させることができる。
このように、本実施形態の多気筒内燃エンジンによれば、バッフルプレート51を介してバランサハウジング23からの熱の放散を可能にするとともに、そのバッフルプレート51をクランクシャフト14およびバランサハウジング23の双方側からオイルパン16側に流れ落ちるオイルによって冷却するようにしているので、バランサ装置20内からバランサシャフト21、22の回転に伴って掻き出され、あるいはバランサハウジング23の底面側から流下するオイルを有効活用してバッフルプレート51を冷却し、バランサハウジング23からの熱の放散を促進することができる。その結果、バランサ装置20の耐久性を向上させることができる多気筒内燃エンジンを提供することができる。
以上説明したように、本発明は、バランサ装置内からバランサシャフトの回転に伴って流下するオイルを有効活用して熱伝達部材を冷却し、バランサハウジングからの熱の放散を促進することができ、バランサ装置の耐久性を向上させることができる多気筒内燃エンジンを提供することができるという作用効果を奏するものであり、多気筒内燃エンジン、特にピストンの往復動に伴って生じる2次振動をバランサ装置により抑制するようにした多気筒内燃エンジン全般に有用である。
本発明の一実施形態に係る多気筒内燃エンジンの下部に位置するバランサ装置周辺の正面断面図である。 本発明の一実施形態に係る多気筒内燃エンジンの下部に位置するバランサ装置周辺の側面断面図である。 本発明の一実施形態におけるバランサ装置の下方にバッフルプレートが装着された状態を示すクランクケースの下面図である。 本発明の一実施形態におけるバランサ装置の分解斜視図である。 (a)は本発明の一実施形態に係る多気筒内燃エンジンの一部断面を含む側面図であり、(b)はそのエンジンの正面断面図である。 (a)は本発明の一実施形態に係る多気筒内燃エンジンの概略のオイルギャラリ配置形状を示す斜視図であり、(b)はそのエンジンの潤滑油の循環経路を説明するブロック図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る多気筒内燃エンジンを車体側に支持するエンジンマウントの配置を示す模式図であり、(b)はそのエンジンマウントの斜視図である。 従来例の4気筒内燃エンジンのクランク機構の原理説明図である。 従来例の4気筒内燃エンジンにおける2次慣性力の発生理由を説明する説明図である。 従来例のバランサ装置の作用説明図である。
符号の説明
10 エンジン(多気筒内燃エンジン)
10e 排気通路
10i 吸気通路
11 気筒
12 ピストン
13 コンロッド
14 クランクシャフト
14a クランクピン
14g バランサシャフトドライブギヤ
14j クランクジャーナル
15 クランクケース
15f 開口周縁部
16 オイルパン
16b 底壁部
17 インジェクタ
18 点火プラグ
20 バランサ装置
21、22 バランサシャフト
21a バランサシャフトドリブンギヤ
21b ギヤ
21m、22m バランサシャフトマス(マス部)
22 バランサシャフト
22a ギヤ
23 バランサハウジング
23a、23b、23c、23d 軸受部分
23h 油路
23p 締結部
31 オイルストレーナ
31a 先端部
32 オイルポンプ
34 シリンダブロック
36 メインオイルホール
37 シリンダヘッド
39 エキゾーストカムシャフトジャーナル
40 インテークカムシャフトジャーナル
41 オイルコントロールバルブ
42 可変バルブタイミング機構
44 チェーン
46 オイルジェット
51 バッフルプレート(熱伝達部材)
51a 第1プレート部
51b 第2プレート部
51c 第3プレート部
51e 凹凸
51h、51i 開口部
52 第1締結部
53 第2締結部
61 ボルト

Claims (6)

  1. 複数の気筒内に設けられたピストンがそれぞれコンロッドを介してクランクシャフトに連結されるとともに、前記クランクシャフトが収納されるクランクケースの下方側にオイルを貯留するオイルパンが装着され、前記クランクケースと前記オイルパンとの間に、前記クランクシャフトの回転に応じて回転駆動されるバランサシャフトおよび該バランサシャフトを収納するバランサハウジングを有するバランサ装置が収装された多気筒内燃エンジンにおいて、
    前記バランサハウジングと前記オイルパンとの間で前記バランサシャフトの下方側に、前記バランサハウジングと前記クランクケースとに接触した熱伝達部材が設けられたことを特徴とする多気筒内燃エンジン。
  2. 前記熱伝達部材が、前記バランサシャフトの軸央部を下方側から覆うとともに、前記バランサシャフトを回転自在に支持する前記バランサハウジングの軸受部の近傍で前記バランサハウジングに接触したことを特徴とする請求項1に記載の多気筒内燃エンジン。
  3. 前記熱伝達部材が、前記オイルパン内のオイルの液面に対向するバッフルプレートで構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の多気筒内燃エンジン。
  4. 前記熱伝達部材が、前記バランサハウジングおよび前記クランクケースと同等かそれ以上の熱伝導率を有する板金で構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多気筒内燃エンジン。
  5. 前記熱伝達部材が、前記バランサ装置側からのオイルを前記オイルパン内に流下させる開口部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の多気筒内燃エンジン。
  6. 前記熱伝達部材が、前記クランクケースにボルト締結される第1締結部と、前記バランサハウジングにボルト締結される第2締結部と、を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多気筒内燃エンジン。
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